説明

撮像用検出器を冷却するための液体冷却式の熱制御システム及び方法

【課題】撮像用検出器を冷却するための液体冷却式の熱制御システム及び方法を提供する。
【解決手段】撮像システム(100)の1つは、検出器レール上に位置決めされた検出器(400)を有するコンピュータ断層(CT)システムである。この検出器は複数の検出器素子を含む。検出器素子のうちの少なくとも幾つかはX線を検出するように構成されている。検出器レール(102)と熱的に連絡した冷却チャンネル(104)を有するような液体冷却式熱制御システム(100)を提供する。この冷却チャンネルは、X線検出器の温度を変化させる1つまたは複数の外乱に応答して検出器素子の温度を制御するためにその中を流れる冷却用流体を有する。液体冷却式熱制御システム内には、外乱に応答して液体冷却式熱制御システムのパラメータを調整するために制御モジュール(160)も設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載した主題は全般的にはコンピュータ断層(CT)検出器などの撮像用検出器に関し、またより詳細にはCT検出器向けの冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
CT検出器は、その上に位置決めされた複数の検出器素子を有する検出器レールを含むことがある。この検出器素子はさらに、対象から放出されたX線をシンチレータに導くための開口部をその内部に形成して有するコリメータを含むことがある。このコリメータは、シンチレータに沿ってX線を分離している。次いでこのX線はシンチレータの背面に位置決めされた複数のフォトダイオードによって光の波に変換される。このアナログの光波はアナログ対ディジタル変換器によって、対象の画像とするように作成可能なディジタル信号に変換されている。
【0003】
一般的に、CT検出器の検出器素子はかなりの量の熱を発生させる。検出器素子はCT検出器が発生させる熱に対して敏感であることがある。例えばこの熱によって、検出器レール上での検出器素子のシフトが生じることがある。このために、コリメータの開口部がシンチレータの開口部と整列不良となり、これがCT検出器により生成される画像内のスキャッタやノイズに繋がることがある。さらに検出器素子のうちのあるものは温度の変化に敏感である。例えばフォトダイオードは、大きな温度変化に曝されると過熱状態となったり損傷状態になることがある。このことは、フォトダイオードに隣接して位置決めされたアナログ対ディジタル変換器が大量の熱を発生する場合に特に問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7974384 B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CT検出器が発生させる熱を冷却するための従来の手段は、ファン、ヒートシンク、その他によって検出器を冷却することを含む。しかしこうした方法は、CT検出器の温度を維持しておらず、単に素子に対して冷気を供給しているだけである。このために、CT検出器の内部に依然として温度のばらつきが存在しており、これが検出器素子のシフト及び/または素子の感度のシフトに繋がる。別のCT検出器では素子を冷却しようとすることがなく、ソフトウェアを通じて検出器内部の熱を補償するだけである。具体的には、CT検出器の温度が監視されると共に、その検出温度に基づいてデータ収集及び画像形成が補償されている。ソフトウェア補正ではデータの内部に誤差が導入されかねないため、こうした方法は望ましくないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、検出器レールを有するコンピュータ断層(CT)検出器を提供する。この検出器レール上にX線検出器が位置決めされる。このX線検出器は複数の検出器素子を含む。検出器素子のうちの少なくとも幾つかはX線を検出するように構成されている。検出器レールと熱的に連絡した冷却チャンネルを有するような液体冷却式熱制御システムが提供される。この冷却チャンネルは、X線検出器の温度を変化させる1つまたは複数の外乱に応答して検出器素子の温度を制御するためにその中に流している冷却用流体を有する。液体冷却式熱制御システム内には外乱に応答して液体冷却式熱制御システムのパラメータを調整するための制御モジュールが設けられている。
【0007】
別の実施形態では、コンピュータ断層(CT)検出器向けの液体冷却式熱制御システムを提供する。CT検出器の検出器レールと熱的に連絡させて1つまたは複数の冷却チャンネルを設けている。この冷却チャンネルは、検出器レールの温度を変化させる1つまたは複数の外乱に応答して検出器レール上に位置決めされた検出器素子の温度を制御するためにその中に流している冷却用流体を有する。冷却チャンネルから加熱された冷却用流体を受け取るための熱交換器が設けられている。この熱交換器は冷却用流体を冷却する。さらに、熱交換器から冷却された冷却用流体を受け取るためのヒータが設けられている。このヒータは、冷却された熱交換器からの冷却用流体を加熱すると共に、この冷却用流体を冷却チャンネル内に放出している。熱交換器、ヒータまたは熱交換器のファンのうちの少なくとも1つを制御して冷却用流体の温度を制御するために制御モジュールが設けられている。
【0008】
さらに別の実施形態では、コンピュータ断層(CT)検出器の検出器素子を冷却する方法を提供する。本方法は、冷却用流体の温度を所定の温度に制御するために液体冷却式熱制御を制御するステップを含む。この冷却用流体は、液体冷却式熱制御によって所定の温度まで冷却される。この冷却用流体は、複数の検出器素子を有するCT検出器の検出器レールと熱的に連絡して位置決めされた冷却チャンネル内に放出される。冷却チャンネル内の冷却用流体によって、検出器素子の温度が所定の温度に制御される。
【0009】
ここに開示した主題については、以下に示した添付の図面を参照しながら非限定の実施形態に関する以下の説明を読むことでより理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システムの概略図である。
【図2】一実施形態に従って形成した検出器レールの上面図である。
【図3】一実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システム向けの制御システムのブロック概要図である。
【図4】一実施形態に従って形成されかつ液体冷却式熱制御システムを制御するように構成された制御モジュールのブロック図である。
【図5】別の実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システムのブロック概要図である。
【図6】一実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システムの概要図である。
【図7】一実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システムの動作性能を表したグラフである。
【図8】別の実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システムの動作性能を表したグラフである。
【図9】外側ループ制御を備えない制御システムの動作性能を表したグラフである。
【図10】外側ループ制御を備えた制御システムの動作性能を表したグラフである。
【図11】コンピュータ断層(CT)撮像システムの温度を制御するための方法を表した図である。
【図12】様々な実施形態に従って構築したコンピュータ断層(CT)撮像システムの外観図である。
【図13】図12のCT撮像システムのブロック概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述した要約並びにある種の実施形態に関する以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むことによってさらに十分な理解が得られよう。これらの図面が様々な実施形態の機能ブロックからなる図を表している場合も、必ずしもこれらの機能ブロックがハードウェア回路間で分割されることを意味するものではない。したがって例えば、1つまたは複数の機能ブロック(例えば、プロセッサ、制御器、回路またはメモリ)を単一のハードウェアの形で実現させることも、複数のハードウェアの形で実現させることがあり得る。こうした様々な実施形態は図面に示した配置や手段に限定されるものではないことを理解すべきである。
【0012】
本明細書で使用する場合、単数形で「a」や「an」の語を前に付けて記載した要素や工程は、これに関する複数の要素や工程も排除していない(こうした排除を明示的に記載している場合を除く)と理解すべきである。さらに「一実施形態」に対する言及は、記載した特徴も組み込んでいる追加的な実施形態の存在を排除すると理解されるように意図したものではない。さらに特に明示的に否定する記述をしない限り、ある具体的な性状を有する1つまたは複数の構成要素を「備える(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、こうした構成要素で当該性状を有しない追加的な構成要素も含むことがある。
【0013】
コンピュータ断層(CT)検出器に関連して実施形態を説明しているが、本明細書に記載した液体冷却式熱制御は別の検出器またはシステムと一緒に用いるように修正し得ることに留意すべきである。例えばこの液体冷却式熱制御は、少なくとも陽電子放出断層(PET)システム、単一光子放出コンピュータ断層(SPECT)システム、磁気共鳴撮像(MRI)システム及び/またはX線システム(ただし、これらに限らない)と一緒に利用することができる。一実施形態ではその液体冷却式熱制御を様々な材料から形成した検出器と一緒に利用することができる。
【0014】
図1は、図11及び12に示したCT検出器400として具現化し得るCT検出器101向けの液体冷却式熱制御システム100の概略図である。熱制御システム100は、CT検出器の検出器レール102と熱的に連絡している。具体的には熱制御システム100の冷却チャンネル104を検出器レール102と熱的に連絡させている。冷却チャンネル104は、低温チャンネル103及び高温チャンネル105を含む。一実施形態ではその冷却チャンネル104は検出器レール102を通過して延びることがある。別法として検出器レール102に対して低温プレート(図示せず)を結合させることがある。こうした実施形態では、冷却チャンネル104が低温プレートを通過して延びることがある。別法としてその冷却チャンネル104を、検出器レール102と低温プレートの両方を通過して延びるように構成させることがある。冷却チャンネル104は、その中を通って流れる適当な任意の冷却用流体(例えば、液体または気体)とし得る冷却用流体を有する。
【0015】
冷却チャンネル104から下流側にアキュムレータ106及びポンプ108が位置決めされている。アキュムレータ106は冷却チャンネル104から冷却用流体を受け取る。アキュムレータ106内に受け容れる冷却用流体の量は熱制御システム100内部の冷却用流体の圧力に依存することがある(これについては以下で説明する)。ポンプ108は、熱制御システム100を通る冷却用流体の流れを制御するためにアキュムレータ106の下流側に位置決めされている。ポンプ108は、単一速度ポンプや可変速ポンプとすることができる。
【0016】
ポンプ108は、冷却用流体を下流側に熱交換器110まで放出する。熱交換器110は、例えば気体対液体熱交換器や液体対液体熱交換器など適当な任意の熱交換器とすることができる。図示した実施形態では、熱交換器110はファン112を有する気体対液体熱交換器である。冷却用流体はこの熱交換器110から、下流側にヒータ114まで流れる。ヒータ114は、電気ヒータ、ガスヒータ、あるいは適当な別の任意のヒータとすることができる。ヒータ114は、冷却用流体を下流側に冷却チャンネル104まで放出する。
【0017】
動作の間に低温チャンネル103は、ヒータ114から冷却用流体を受け取る。冷却用流体は、検出器レール102の温度を維持するように構成された所定の温度で提供される。冷却チャンネル104内の冷却用流体は、熱誘導または熱対流の少なくとも1つを介して検出器レール102から熱を受け取ることによって検出器レール102を冷却している。次いで加熱された冷却用流体は、高温チャンネル105を通って下流側にアキュムレータ106まで流れる。アキュムレータ106は、熱制御システム100内部の圧力に基づいて冷却用流体の一部を蓄積する。例えば熱制御システム100が高い圧力で動作しているとき、アキュムレータ106はシステム100が低い圧力で動作しているときと比べてより多くの冷却用流体を蓄積することがある。アキュムレータ106は、熱制御システム100の一定の動作圧力が維持されるような冷却用流体を蓄積する。アキュムレータ106は、高い圧力における冷却用流体の膨張に対応しており、またポンプ108を加圧するために用いこれによりポンプ108内部のキャビテーションを防止することがある。
【0018】
ポンプ108はアキュムレータ106から冷却用流体を受け取る。ポンプ108は、熱交換器110に放出される冷却用流体の量を調整するように制御を受ける可変速ポンプとすることがある。ポンプ108の速度を制御することによって、冷却用流体の温度を制御することができる。例えばポンプ108の速度を増大させると、冷却用流体が熱交換器110内を伝わる際の液体流量が増大し、これが冷却率を増大させる。逆にポンプ108の速度が低下すると、冷却用流体が熱交換器110内を流れる際の液体流量が減少し、これが冷却率を低下させる。一実施形態では、そのポンプ108は熱交換器110に対して、冷却用流体の所定温度を達成させるように構成された流量で冷却用流体を放出している。
【0019】
一実施形態ではその熱交換器110はポンプ108から冷却用流体を受け取る。熱交換器110は、冷却用流体を所定温度未満の温度まで冷却する。熱交換器110のファン112は、冷却用流体の温度を調整するように制御を受けることがある。例えばファン112は、冷却用流体の冷却量を増大させるようにより高速度で動作させることがある。逆にファン112は、冷却用流体の冷却量を低下させるようにより低速度で動作させることがある。ファン112の速度は、所定の温度未満に至る冷却用流体の冷却が達成されるように制御される。
【0020】
冷却用流体は、熱交換器110から下流側にヒータ114まで放出される。ヒータ114は冷却用流体を所定の温度未満から所定の温度まで加熱する。具体的には、ヒータ114は冷却用流体の温度の微調整が可能である一方、熱交換器110は精密な温度を提供できないことがある。したがって熱交換器110は、冷却用流体の温度を所定の温度未満まで低下させるために利用される。次いでヒータ114により、冷却用流体の温度を微調整し所定の温度を達成する。ヒータ114に供給するパワーは、冷却用流体の温度を調整できるように制御されることがある。ヒータ114に供給するパワーの調整によって、ヒータが発生させる熱が調整される。例えばヒータ114は、冷却用流体に対する追加的な加熱を提供するためにより高いパワーで動作させることがある。逆にヒータ114は、冷却用流体に対する加熱量を低下させるためにより低いパワーで動作させることがある。ヒータ114は、検出器レール102の温度が維持されるような所定の温度で冷却用流体を低温チャンネル103内に放出する。
【0021】
様々な実施形態では、制御システム100は検出器レール102の温度を定常温度に維持するために利用される。制御システム100は、検出器レール102の温度変化の低減または防止を容易にする。制御システム100は、冷却用流体の温度を制御するために幾つかのパラメータを調整することがある。冷却用流体の所定温度を達成するために、例えばポンプ108の速度、ファン112の速度、ヒータ114のパワーのうちのいずれか1つを調整することがある。
【0022】
一実施形態ではその制御システム100はさらに、CT検出器のウォームアップ時間の短縮のためにも利用されることがある。例えば熱交換器110がシャットオフされることがあり、また加熱した冷却用流体を冷却チャンネル104に供給するためにヒータ114をより高いパワーで動作させることがある。加熱した冷却用流体によれば、CT検出器のウォームアップに必要な時間を短縮することができる。別の実施形態では、気体温度のダイナミックレンジまたはガントリ回転を増大させて液体温度を維持するためにヒータ114が用いられることがある。
【0023】
図2は、検出器レール102の構成要素を表している検出器レール102の上面図である。検出器レール102上には1つまたは複数のX線検出器116(その1つを図示)が位置決めされている。X線検出器116は複数の検出器素子を含む。対象から放出されたX線119を導くまたはコリメートするためにコリメータ118を設けている。コリメータ118は、例えばその間に開口部122が画定されたタングステンプレートなどの複数のプレート120を含む。開口部122は、X線119をシンチレータ124に導くように構成されている。X線検出器116はシンチレータ124を含むものに限定されない。別の実施形態ではそのX線検出器116は、別の検出器材料(例えば、直接変換材料)を含むことがある。シンチレータ124は画素構成による開口部126を含む。シンチレータ124の開口部126は、コリメータ118の開口部122と整列している。シンチレータ124は様々な画素箇所でX線119を検出し、このX線119を複数のフォトダイオード128に導いている。シンチレータ124はX線119を光の波に変換する。フォトダイオード128はこの光を電荷(例えば、電気信号)に変換し、これがアナログ対ディジタル(A/D)変換器130によってディジタル信号に変換される。このディジタル信号は、対象の画像の作成に用いられることがある。電子構成要素132は、A/D変換器130からディジタル信号を受け取りこのディジタル信号を処理して画像を作成する。
【0024】
図示した実施形態では、冷却チャンネル104は検出器レール102を通過して延びている。冷却チャンネル104は、検出器レール102を一定温度またはほぼ一定温度(例えば、許容範囲内や変動範囲内)に維持するために検出器レール102と熱接触状態にあると共にこれから熱を受け取っている。冷却チャンネル104は、検出器レール102の温度を通常の検出器動作に関するレンジ内に維持することがある。具体的には、動作中に検出器レール102の温度が変化すると、検出器レール102が収縮及び/または膨張することがある。検出器レール102の収縮及び/または膨張によって検出器素子のシフトが生じることがある。例えばコリメータ118及びシンチレータ124がシフトし、これによりコリメータ118の開口部122がシンチレータ124の開口部126と整列不良の状態になることがある。こうした整列不良によって画像データ内にスキャッタ及び/またはノイズが生じることがある。冷却チャンネル104は、検出器レール102の収縮及び/または膨張の量の低減あるいはその防止をするように検出器レール102の温度を維持し、これにより検出器素子のシフトが低減または防止される。このために冷却チャンネル104は、コリメータ118の開口部122とシンチレータ124の開口部126との整列の維持を容易にしている。
【0025】
冷却チャンネル104はさらに、X線検出器116から熱134を受け取るように構成されている。冷却チャンネル104は、検出器素子を一定温度またはほぼ一定温度に維持するためにX線検出器116と熱接触状態にあると共にこれから熱を受け取っている。具体的には、例えばフォトダイオード128などの幾つかの構成要素は、温度の変化に敏感であることがある。温度変化は、フォトダイオード128の損傷及び/または誤動作を生じさせることがある。冷却チャンネル104は、熱の伝導または対流を通じてX線検出器116から熱を受け取り、構成要素の損傷及び/または誤動作の恐れを低減するあるいはこれを防止するようにフォトダイオード128やその他の検出器素子の温度を維持している。
【0026】
図3は、制御システム100のブロック概要図を表している。検出器レール102とX線検出器116(いずれも図2参照)を1つのモジュール140として図示している。モジュール140は入力される冷却用流体142を所定の温度で受け取っている。さらにモジュール140は、例えば検出器素子及び/またはガントリからの熱負荷144を受け取る。熱負荷144からの熱は、冷却用流体に伝わり、入力冷却用流体142の温度より高い温度を有する出力冷却用流体146が生成される。冷却用流体がアキュムレータ106及びポンプ108を通って流れる際に、モジュール140から熱損失149が放出される。ポンプ108は、冷却用流体の温度を制御するように選択された流量制御信号148に基づいて動作する。
【0027】
冷却用流体は、下流側に熱交換器110まで流れると共に、所定の温度を超える温度にある入力150の位置で熱交換器110に入る。熱交換器110は、冷却用流体の温度を所定の温度未満の温度にある出力152まで低下させるように、例えばファン速度制御信号111に基づいたファン速度で動作している。次いで冷却用流体は、下流側のヒータ114まで移動する。冷却用流体は出力152の位置の流体温度あるいはこれに近い温度でヒータ114に入る。ヒータ114は、冷却用流体を所定の温度まで加熱させるように、例えば熱制御信号115に基づいて加熱レベルを規定するパワーレベルで動作する。ヒータ114は、その冷却用流体を入力冷却用流体142としてモジュール140に放出する。入力冷却用流体142の温度を制御するために、ポンプ108の流量制御信号148、熱交換器110のファン速度制御信号111及び/またはヒータ114の熱制御信号115が調整されることがある。
【0028】
図4は、一実施形態に従って形成されると共に液体冷却式熱制御システム100を制御するように構成された制御モジュール160のブロック図である。制御モジュール160は、本明細書に記載した様々な制御信号など制御システム100に対して命令を提供するように構成されたハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの組み合わせとすることができる。制御モジュール160は、制御システム100に対して命令を提供するためのソフトウェアを動作させるように構成されることがある。このソフトウェアは、プロセッサに制御システム100を動作させるようにその上に命令を記録させて有する有形で非一時的なマシン読み取り可能な媒体(複数のこともある)とすることがある。この媒体(複数のこともある)は、任意のタイプのCD−ROM、DVD、ハードディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ、または別のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体、あるいはこれらの組み合わせとすることができる。
【0029】
制御モジュール160は、ポンプ108、熱交換器110のファン112及びヒータ114と連絡している。制御モジュール160は、ポンプ108、ファン112またはヒータ114のうちの任意の1つまたは幾つかの動作を制御するように構成されている。例えば制御モジュール160は、ポンプ108の速度、ファン112の速度、及び/またはヒータ114のパワーレベルを制御することがある。制御モジュール160は、検出器レール102またはX線検出器116(いずれも図2参照)のうちの少なくとも1つの温度を示す温度入力信号162を受け取る。制御モジュール160は温度入力信号162を、事前決定とし得る温度設定点164と比較する。温度設定点164は、所望のまたは必要な検出器レール102の所定温度あるいは所望のまたは必要なX線検出器116の所定温度を示す。温度設定点164は、例えばオペレータによってCT検出器の動作前に入力されることがある。
【0030】
制御モジュール160は、制御システム100に対する調整値を決定するために温度入力信号162と温度設定点164の差を判定する。例えば制御モジュール160は、温度設定点164と実質的に等価な温度入力信号162(フィードバック信号とすることがある)に基づいた温度が達成されるように制御システム100の動作を調整する。例えば制御モジュール160は、温度設定点164と実質的に等価またはこれに等しい温度レベルが達成されるように、ファン112の速度、ポンプ108の速度、ヒータ114のパワーレベル、あるいはこれらの任意の組み合わせを調整することがある。
【0031】
図5は、別の実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システム200の概要図である。制御システム200は検出器レール202及びX線検出器204と流体連通している。検出器レール202とX線検出器204の両者はCT検出器のガントリから熱負荷203を受け取る。X線検出器204もまた熱負荷205を発生させる。制御システム200は、熱交換器206、インラインヒータ208及びポンプ210を含む。動作時において検出器レール202及びX線検出器204を冷却するために冷却用流体が検出器レール202内を通過する。制御システム200は内側制御ループ201を含む。制御モジュール216に対しては検出器レール温度信号212及びポンプ流量信号214が伝達される。制御モジュール216は、検出器レール温度信号212とポンプ流量信号214の少なくとも一方と事前決定とし得る冷却用流体温度設定点220との比較に基づいて、熱交換器206のファン速度218を調整する。別法としてまたは追加としてポンプ流量信号214は、検出器レール温度信号212とポンプ流量信号214のうちの少なくとも一方と冷却用流体温度設定点220との比較に基づいて制御モジュール216によって調整されることがある。別法としてまたは追加として、ヒータ208のパワーレベル信号221は、検出器レール温度信号212とポンプ流量信号214のうちの一方と冷却用流体温度設定点220との比較に基づいて制御モジュール216によって調整されることがある。
【0032】
制御システム200はさらに外側制御ループ222を含む。外側制御ループ222は、X線検出器204から温度入力226(例えば、計測した温度または温度信号)を受け取っている制御モジュール224を含む。制御モジュール224はまた、X線検出器温度設定点228を受け取っている。制御モジュール224は、温度入力226と温度設定点228の比較に基づいて冷却用流体温度設定点220を調整することがある。したがって制御システム200は、冷却用流体の温度を制御するようなポンプ流量214、熱交換器206のファン速度218またはヒータ出力221のうちの少なくとも1つの調整を可能にする2つのフィードバックループを含む。内側制御ループ201と外側制御ループ222は、独立にまたは別々に動作することがある。
【0033】
図6は、別の実施形態に従って形成した液体冷却式熱制御システム250の概要図である。制御システム250は、検出器レール及びX線検出器を含んだ検出器モジュール252と流体連通している。制御システム250は、熱交換器254、表面ヒータ256及びポンプ258を含む。熱交換器254と検出器モジュール252の両者は、CT検出器のガントリから熱負荷253を受け取る。制御システム250は制御モジュール261を有する内側制御ループ260を含む。内側制御モジュール261は、熱交換器254から温度入力262を受け取る。温度入力262は、制御モジュール261によって冷却用流体温度設定点264と比較される。この比較に基づいて制御モジュール261は、冷却用流体の温度を制御するようにポンプ258のポンプ流量268、熱交換器254のファン速度270またはヒータ256のヒータ出力272のうちの少なくとも1つを調整することがある。
【0034】
制御システム250はさらに、外側制御モジュール276を有する外側制御ループ274を含む。制御モジュール276によって検出器モジュール温度入力278(例えば、計測した温度または温度信号)及び検出器モジュール温度設定点280を受け取っている。検出器モジュール温度入力278と検出器モジュール温度設定点280の比較に基づいて制御モジュール276は冷却用流体温度設定点264を調整することがある。したがって制御システム250は、冷却用流体の温度を制御するようなポンプ258のポンプ流量268、熱交換器254のファン速度270またはヒータ256のヒータ出力272のうちの少なくとも1つの調整を可能にする2つのフィードバックループを含む。内側制御ループ260と外側制御ループ274は、独立にまたは別々に動作することがある。
【0035】
図7は、制御システム200の動作性能を表したグラフを示している。グラフ310は、制御システム200によって冷却される例えばA/D変換器130(図2参照)などのA/D変換器の温度312を表している。x軸314は時間(単位:秒)を表しており、またy軸316は温度(単位:摂氏温度)を表している。グラフ330は、制御システム200の熱交換器206を通る気体フロー331を表している。x軸332は時間(単位:秒)を表しており、またy軸334は気体フロー(立方フィート毎分)を表している。グラフ350は、制御システム200のヒータ208のヒータパワー351を表している。x軸352は時間(単位:秒)を表しており、またy軸354はヒータパワー(単位:ワット)を表している。図示した実施形態では、そのヒータパワーは70W未満である。
【0036】
図8は、制御システム250の動作性能を表したグラフを示している。グラフ300は、制御システム250により冷却されるA/D変換器の温度302を表している。x軸304は時間(単位:秒)を表しており、またy軸306は温度(単位:摂氏温度)を表している。グラフ320は、制御システム250の熱交換器254を通る気体フロー321を表している。x軸322は時間(単位:秒)を表しており、またy軸324は気体フロー(立方フィート毎分)を表している。グラフ340は、制御システム250のヒータ256のヒータパワー341を表している。x軸342は時間(単位:秒)を表しており、またy軸344はヒータパワー(単位:ワット)を表している。図示した実施形態ではそのヒータパワーは50W未満である。
【0037】
図9は、外側ループ制御を備えない制御システムの動作性能を表したグラフを示している。グラフ360は、外側制御ループを有しない制御システムで用いられるA/D変換器の温度361を表している。x軸362は時間(単位:秒)を表しており、またy軸364は温度を表している。グラフ380は、外側制御ループを有しないを制御システムで用いられる冷却チャンネル内の冷却用流体のインレット温度381を表している。x軸382は時間(単位:秒)を表しており、またy軸384は温度を表している。
【0038】
図10は、外側ループ制御を備えた制御システムの動作性能を表したグラフを示している。グラフ370は、外側制御ループを有する制御システムで用いられるA/D変換器の温度371を表している。x軸372は時間(単位:秒)を表しており、またy軸374は温度を表している。グラフ390は、外側制御ループを有する制御システムで用いられる冷却チャンネル内の冷却用流体のインレット温度391を表している。x軸392は時間(単位:秒)を表しており、またy軸394は温度を表している。
【0039】
図9及び10に示したように、1つまたは複数の外側ループを備えた制御システムの様々な実施形態によれば、検出器電子回路の温度変化に基づいた液体設定点の調整によって一定の検出器電子回路(例えば、フォトダイオード)温度を維持するように液体温度が調整される。様々な実施形態ではこのスキームによって、検出器電子回路の熱負荷の変化並びに対流によるレールに対する回転の影響を補償することができる。液体温度を調整する1つまたは複数の外側ループを備えない制御システムでは、検出器電子回路の熱負荷変化及び検出器冷却に対するガントリ回転の影響の補償がなされない(電子回路のパワーのパワーを一定値に維持するように設計すること及び検出器電子回路の温度に対するガントリ回転の影響を低減するような遮断性の(insulated)レールを提供することによりこれは達成される)。
【0040】
図11は、コンピュータ断層(CT)撮像システムの温度を制御するための方法500を表している。本方法は、冷却用流体の温度を所定の温度に制御するように液体冷却式熱制御システムを制御するステップ502を含む。この液体冷却式熱制御システムは、熱交換器、ヒータまたはファンを含むことがある。熱交換器、ヒータまたはファンのうちの少なくとも1つの出力はCT撮像システム内の外乱に応答して制御されることがある。例えばその外乱は、ガントリ気体温度及び/またはガントリの回転により生じる熱対流を含むことがある。この外乱にはさらに、CTシステム内部の検出器素子が発生させる熱を含むことがある。例えばCTシステムの内部にアナログ対ディジタル変換器が熱を発生させることがある。
【0041】
方法500はさらに、液体冷却式熱制御システムによって冷却用流体を所定の温度まで冷却するステップ504を含む。液体冷却式熱制御システムのパラメータはその外乱に応答して制御モジュールによって調整(506)されることがある。例えば一実施形態では、液体冷却式熱制御システムの制御モジュールが熱交換器の出力を調整(508)することがある。別の実施形態ではその液体冷却式熱制御システムはヒータの出力を調整(510)することがある。さらに別の実施形態ではその液体冷却式熱制御システムは、ファンの出力を調整(512)することがある。さらに液体冷却式熱制御システムは、アキュムレータとポンプの少なくとも一方の出力を調整(514)することがある。例示的な一実施形態ではその液体冷却式熱制御システムは、調整ステップ508、510、512及び/または514を任意に組み合わせて実行することがある。
【0042】
方法500はさらに、複数の検出器素子を有するCT検出器の検出器レールと熱的に連絡して位置決めされた冷却チャンネル内に冷却用流体を放出するステップ516を含む。冷却チャンネル内の冷却用流体によって検出器素子の温度が所定の温度で制御される。
【0043】
一実施形態では、熱交換器の初期コンダクタンスは次式で定義される:
G=総熱負荷/ITD=Qtotal/(Tliq-hot−Tair
気体流量を変更すること(例えば、液体冷却式熱制御システム内部のファン速度の調整による気体フローの立方フィート毎分値の変更)によって、ガントリ内部の様々な気体温度条件向けに液体温度が制御されるようにコンダクタンスを変更することができる。熱交換器設計について、その初期コンダクタンスは気体流量(CFM)と液体流量(GPM)の関数である。これら2つの変数を用いることによって、熱交換器のアウトレット液体温度を制御することが可能である。熱交換器のファン速度制御によって誤差を設定点から低下させることがある。
【0044】
液体温度の制御を微調整するために制御ループ内にインラインヒータを用いることがある。検出器に供給されるインラインヒータにおける液体温度アウトレットを微調整するようにヒータパワーを操作することがある。幾つかの実施形態では、対流境界条件変化並びに気体温度変化に伴ってパワーを可変とさせることが可能である。こうした実施形態では、内側ループがファン及び/またはポンプ及び/またはインラインヒータを用いて検出器に対する液体インレット温度を制御する一方、外側ループが検出器モジュール温度をフィードバックしこれにより内側ループ液体温度の制御をリセットしているようなカスケード型ループを組み込んでいる。
【0045】
図12及び13を参照すると、様々な実施形態をその内部で実現し得る多重スライススキャン撮像システム(例えば、CT撮像システム400)について検出器402を複数含むように表している。システム400は、上に記載した液体冷却式熱制御システムと一緒に用いることができる。CT撮像システム400は、X線源406(本明細書では、X線源406とも呼ぶ)を含んだガントリ404を含んでおり、このガントリ404の対向する側にある検出器アレイ410に向けてX線源406がX線ビーム408を投射している。検出器アレイ410に対して冷却システム411(例えば、上に記載した冷却システムのいずれか)を熱接触させている。別法として冷却システム411は、CT撮像システム400の構成要素のいずれかと熱接触させることがある。検出器アレイ410は、アレイ410と線源406の間にある患者412などの被検体を通過するように投射されたX線を一体となって検知する複数の検出器402を含んだ複数の検出器横列(図示せず)によって形成されている。各検出器402は入射したX線ビームの強度を表す電気信号を発生させており、したがってこれを用いてビームが患者412を通過した際のビームの減衰を推定することが可能となる。X線投影データを収集するスキャンの間に、ガントリ404とその中に装着された構成要素は回転中心414の周りで回転する。図7は、検出器402の単一横列(すなわち、1つの検出器横列)だけを表している。しかし多重スライス検出器アレイ410は、1回のスキャンの間に複数の疑似並列または並列スライスに対応した投影データを同時に収集可能とするように検出器402の複数の並列検出器横列を含む。
【0046】
ガントリ404上での構成要素の回転並びにX線源406の動作は、CT撮像システム400の制御機構416によって制御されている。制御機構416は、X線源406に対してパワー信号とタイミング信号を提供するX線制御器418と、ガントリ404上の構成要素の回転速度及び位置を制御するガントリモータ制御器420と、を含む。制御機構416内にあるデータ収集システム(DAS)422は、検出器402からのアナログデータをサンプリングし、このデータを後続の処理のためにディジタル信号に変換している。画像再構成装置424がDAS422からサンプリング及びディジタル化を受けたX線データを受け取り、高速の画像再構成を実行する。この再構成画像は、コンピュータ426に対して入力として与えられ、この画像はコンピュータ426によって記憶デバイス428内に保存される。画像再構成装置424は、特殊なハードウェアとすることも、コンピュータ426上で実行させるコンピュータプログラムとすることも可能である。
【0047】
コンピュータ426は、キーボード及び/あるいはマウス、トラックボール、ライトペンなどの別のユーザ入力及び/またはマーキングデバイスを有するコンソール430を介してオペレータからのコマンドやスキャンパラメータを受け取っている。付属のディスプレイ432(その例としては、陰極線管(CRT)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)またはプラズマディスプレイが含まれる)によって、オペレータはコンピュータ426からの再構成画像やその他のデータを観察することが可能である。ディスプレイ432は、感圧式入力画面などのユーザポインティングデバイスを含むことがある。コンピュータ426はオペレータが供給したコマンド及びパラメータを用いてDAS422、X線制御器418及びガントリモータ制御器420に対して制御信号や情報を提供している。さらにコンピュータ426は、ガントリ404内に患者412を位置決めするようにモータ式テーブル436を制御するテーブルモータ制御器434を操作している。例えばテーブル436によって、患者412の一部をガントリ開口部438内に通している。
【0048】
様々な実施形態によって、検出器素子から熱を受け取るように検出器レール及び/または低温プレートに装着させかつこれから熱を受け取るような熱制御システムが提供される。この熱制御システムは、例えば検出器レールまたはこの検出器レールに結合させたX線検出器の温度をばらつかせるまたは変化させる1つまたは複数の外乱に応答して、検出器レールを一定温度に維持するように制御された温度(例えば、実質的に一定温度)の冷却用流体をその内部に循環させている。様々な実施形態においてこの冷却用流体温度は、温度制御用のアクチュエータの役割をする熱交換器、ヒータ及びポンプを用いて制御される。熱交換器のファン速度は必要な冷却用流体温度と計測した冷却用流体温度の誤差に基づいて制御モジュールを用いて制御されることがある。検出器レールに供給される冷却用流体温度を制御するようにヒータパワーもまた調整されることがある。熱制御システムを通過させる必要な冷却用流体流量を達成するためにポンプ速度も制御されることがある。
【0049】
様々な実施形態ではその制御モジュールパラメータは、温度制御の達成に必要な利得差に対応するために冷却用流体温度と気体温度の差に基づいて計算される。一実施形態では、冷却用流体温度設定点を変更して検出器素子の熱負荷変化を補償するためにカスケード外側ループのフィードバックが提供される。別法として、低温プレート及び/または検出器レールに対して表面ヒータを装着させることがある。このヒータパワーは、熱制御システムを装着されているレール温度を制御するように調整される。
【0050】
幾つかの実施形態の少なくとも1つの技術的効果は、検出器電子回路の一定温度の維持である。
【0051】
本明細書に記載した様々な実施形態によれば、プロセッサまたはコンピュータが撮像装置を動作させて本明細書に記載した方法の一実施形態を実行するような命令をその上に記録して有する有形で非一時的な機械読み取り可能媒体(複数のこともある)が提供される。この媒体(複数のこともある)は、CD−ROM、DVD、フロッピー(商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ、別のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体、あるいはこれらの組み合わせのうちの任意のタイプとすることができる。
【0052】
さらに、様々な実施形態及び/または構成要素(例えば、モジュールあるいはこれらの内部にある構成要素や制御器)は、1つまたは複数のコンピュータまたはプロセッサの一部として実現させることができる。このコンピュータまたはプロセッサは、コンピュータ処理デバイス、入力デバイス、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェースを含むことがある。このコンピュータまたはプロセッサは、マイクロプロセッサを含むことがある。このマイクロプロセッサは、通信バスと接続させることがある。このコンピュータまたはプロセッサはさらにメモリを含むことがある。このメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び読出し専用メモリ(ROM)を含むことがある。コンピュータまたはプロセッサはさらに、ハードディスクドライブ、あるいはフロッピー(商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ、その他などの取外し可能な記憶ドライブとし得る記憶デバイスを含むことがある。この記憶デバイスはさらに、コンピュータプログラムやその他の命令をコンピュータまたはプロセッサにロードするための別の同様の手段とすることがある。
【0053】
本明細書で使用する場合、「コンピュータ」または「モジュール」という用語は、マイクロコントローラを用いたシステム、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、及び本明細書に記載した機能を実行可能な別の任意の回路またはプロセッサを含めプロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースの任意のシステムを含むことができる。上述の例は単に例示であり、またしたがっていかなる意味においても「コンピュータ」という用語の定義及び/または意味を限定することを意図していない。
【0054】
このコンピュータまたはプロセッサは、入力データを処理するために1つまたは複数の記憶素子内に保存された1組の命令を実行する。この記憶素子はさらに、所望によりまたは必要に応じて、データやその他の情報も保存することがある。この記憶素子は情報ソースの形態とすることや、処理装置内部にある物理的なメモリ素子とすることがある。
【0055】
この命令の組は、本明細書に記載した主題に関する様々な実施形態の方法や処理などの指定の動作を実行するように処理装置としてのコンピュータまたはプロセッサに指令するための様々なコマンドを含むことがある。この命令の組はソフトウェアプログラムの形態とすることがある。このソフトウェアは、システムソフトウェアやアプリケーションソフトウェアなど様々な形態とすることがある。さらにこのソフトウェアは、個別プログラムまたはモジュール、より大きなプログラム内部のプログラムモジュール、あるいはプログラムモジュールの一部分からなる集合体の形態とすることがある。このソフトウェアはさらに、オブジェクト指向プログラミングの形態をしたモジュール型プログラミングを含むことがある。処理装置による入力データの処理は、ユーザコマンドに応答すること、以前の処理結果に応答すること、あるいは別の処理装置が発した要求に応答することがある。
【0056】
本明細書で使用する場合、「ソフトウェア」と「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めコンピュータによって実行するためにメモリ内に記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上述のメモリタイプは単に例示であり、またしたがってコンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0057】
上の記述は例示であって限定でないことを理解されたい。例えば上述の実施形態(及び/または、その態様)は、互いに組み合わせて使用されることがある。さらに、具体的な状況や材料を記載した主題の様々な実施形態の教示に適応させるように本趣旨を逸脱することなく多くの修正を実施することができる。本明細書に記載した材料の寸法及びタイプは本発明の様々な実施形態に関するパラメータを規定するように意図していても、これらの実施形態は決して限定ではなく例示の実施形態である。上の記述を検討することにより当業者には別の多くの実施形態が明らかとなろう。本発明の主題に関する様々な実施形態の範囲はしたがって、添付の特許請求の範囲、並びに本請求範囲が規定する等価物の全範囲を参照しながら決定されるべきである。添付の特許請求の範囲では、「を含む(including)」や「ようになった(in which)」という表現を「を備える(comprising)」や「であるところの(wherein)」という対応する表現に対する平易な英語表現として使用している。さらに添付の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」及び「第3の」その他の表現を単にラベル付けのために使用しており、その対象に対して数値的な要件を課すことを意図したものではない。さらに、添付の特許請求の範囲の限定は手段プラス機能形式で記載しておらず、また35 U.S.C.§112、第6パラグラフに基づいて解釈されるように意図したものでもない(ただし、本特許請求の範囲の限定によって「のための手段(means for)」の表現に続いて追加的な構造に関する機能排除の記述を明示的に用いる場合を除く)。
【0058】
この記載では、本発明の様々な実施形態(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による任意のデバイスやシステムの製作と使用及び組み込んだ任意の方法の実行を含む本発明の様々な実施形態の実施を可能にするために例を使用している。本発明の様々な実施形態の特許性のある範囲は本特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、その例が本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、その例が本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0059】
100 熱制御システム
102 検出器レール
103 低温チャンネル
104 冷却チャンネル
105 高温チャンネル
106 アキュムレータ
108 ポンプ
110 熱交換器
112 ファン
114 ヒータ
116 X線検出器
118 コリメータ
119 X線
120 プレート
122 開口部
124 シンチレータ
126 開口部
128 フォトダイオード
130 A/D変換器
132 電子構成要素
134 熱
140 モジュール
142 入力冷却用流体
144 熱負荷
146 出力冷却用流体
148 流量
149 熱損失
150 温度
152 温度
160 制御モジュール
162 温度入力
164 温度設定点
200 制御システム
201 内側制御ループ
202 検出器レール
204 X線検出器
206 熱交換器
208 インラインヒータ
210 ポンプ
212 検出器レール温度
214 ポンプ流量
216 制御モジュール
218 ファン速度
220 冷却用流体温度設定点
221 ヒータ出力
222 外側制御ループ
224 制御モジュール
226 温度入力
228 温度設定点
250 制御システム
252 検出器モジュール
254 熱交換器
256 ヒータ
258 ポンプ
260 内側制御ループ
262 温度入力
264 冷却用流体温度設定点
266 制御モジュール
268 ポンプ流量
270 ファン速度
272 ヒータ出力
274 外側制御ループ
276 制御モジュール
278 検出器モジュール温度入力
280 検出器モジュール温度設定点
300 グラフ
302 温度
304 x軸
306 y軸
310 グラフ
312 温度
314 x軸
316 y軸
320 グラフ
322 x軸
324 y軸
330 グラフ
332 x軸
334 y軸
340 グラフ
342 x軸
344 y軸
350 グラフ
352 x軸
354 y軸
360 グラフ
362 x軸
364 y軸
370 グラフ
372 x軸
374 y軸
380 グラフ
382 x軸
384 y軸
390 グラフ
392 x軸
394 y軸
400 CT撮像システム
402 検出器
404 ガントリ
406 X線源
408 X線
410 検出器アレイ
412 患者
414 回転中心
416 制御機構
418 X線制御器
420 ガントリモータ制御器
422 システム(DAS)
424 画像再構成装置
426 コンピュータ
428 記憶デバイス
430 コンソール
432 ディスプレイ
434 テーブルモータ制御器
436 モータ式テーブル
438 ガントリ開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層(CT)検出器向けの液体冷却式熱制御システム(100)であって、
CT検出器(400)の検出器レール(102)と熱的に連絡した冷却チャンネル(104)であって、検出器レールの温度を変化させる1つまたは複数の外乱に応答して検出器レール上に位置決めされた検出器素子の温度を制御するためにその中を通って流れる冷却用流体を有する冷却チャンネルと、
冷却用流体を冷却している、冷却チャンネルから加熱された冷却用流体を受け取るための熱交換器(110)と、
熱交換器からの冷却された冷却用流体を加熱しかつ該冷却用流体を冷却チャンネルに放出している、熱交換器からの冷却された冷却用流体を受け取るためのヒータ(114)と、
冷却用流体の温度を制御するように熱交換器、ヒータまたは熱交換器のファンのうちの少なくとも1つを制御するための制御モジュール(160)と、
を備える液体冷却式熱制御システム(100)。
【請求項2】
さらに、冷却チャンネル(104)からの冷却用流体の熱交換器(114)への流れを制御するためのポンプ(108)であって、制御モジュール(160)によって該ポンプの速度が制御されているポンプ(108)を備える請求項1に記載の制御システム(100)。
【請求項3】
前記熱交換器(110)は冷却用流体を所定の温度未満まで冷却していること、並びに
前記ヒータ(114)は冷却用流体の温度を所定温度未満から所定温度まで上昇させていること、
を特徴とする請求項1に記載の制御システム(100)。
【請求項4】
前記ヒータ(110)は、冷却チャンネル(104)内に放出される冷却用流体を加熱してCT検出器(400)を加熱している、請求項1に記載の制御システム(100)。
【請求項5】
さらに、熱交換器(110)の上流側でかつ冷却チャンネル(104)の下流側に位置決めされたアキュムレータ(106)であって、冷却用流体の圧力を制御するように制御モジュール(160)により制御を受けているアキュムレータ(106)を備える請求項1に記載の制御システム(100)。
【請求項6】
さらにガントリ(404)を備えており、前記検出器レール(102)は該ガントリの内部に位置決めされており、前記外乱はガントリの気体温度及びガントリの回転により発生する熱対流を含む、請求項1に記載の制御システム(100)。
【請求項7】
コンピュータ断層(CT)検出器の検出器素子を冷却する方法(500)であって、
冷却用流体の温度を所定の温度に制御するように液体冷却式熱制御システムを制御するステップ(502)と、
液体冷却式熱制御システムによって冷却用流体を所定の温度まで冷却するステップ(504)と、
複数の検出器素子を有するCT検出器の検出器レールと熱的に連絡した状態で位置決めされた冷却チャンネル内に冷却用流体を放出するステップ(516)であって、冷却チャンネル内の冷却用流体によって検出器素子の温度を所定の温度に制御している放出ステップと、
を含む方法(500)。
【請求項8】
前記検出器素子はコリメータ及びシンチレータを含み、該コリメータはシンチレータの開口部と整列した開口部を有すると共に、コリメータの開口部のシンチレータの開口部との整列を維持するために冷却用流体を冷却チャンネル内に放出して検出器レールの温度を制御するステップ(504、516)をさらに含む請求項7に記載の方法(500)。
【請求項9】
前記液体冷却式熱制御システムは冷却チャンネルと流体連通する熱交換器及びヒータを含むと共に、
熱交換器によって流れる冷却用流体を所定の温度未満まで冷却するステップ(506)と、
冷却用流体の温度をヒータによって所定の温度未満から所定の温度まで上昇させるステップ(510)と、
をさらに含む請求項7に記載の方法(500)。
【請求項10】
前記液体冷却式熱制御システムは冷却チャンネルと流体連通するヒータを含むと共に、CT検出器を加熱するように該ヒータによって冷却用流体を加熱するステップ(510)をさらに含む請求項7に記載の方法(500)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39362(P2013−39362A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−169036(P2012−169036)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】