説明

撮像素子固定構造

【課題】厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することのできる撮像素子固定構造を提供する。
【解決手段】撮像素子パッケージ51と、撮像素子パッケージ51の一対の素子外側面(54)と第1間隔C1で対向する一対の第1中間対向面56を規定しかつ第2方向への撮像素子パッケージ51の相対的な第1距離の移動を許容する中間部材52と、素子外側面と第1中間対向面56とを掛け渡して接合する第1接着層67と、中間部材52の一対の第2中間対向面61と第2間隔C2で対向する一対の保持内側面(63)を規定しかつ第1方向への中間部材52の相対的な第2距離の移動を許容する保持部材53と、第2中間対向面61と保持内側面とを掛け渡して接合する第2接着層68と、を備え、第1間隔C1は、第1距離の半分の値よりも小さく設定され、第2間隔C2は、第2距離の半分の値よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を取得する撮像素子を固定する撮像素子固定構造、それを用いる撮像装置、電子機器および撮像素子固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置では、撮影光学系を通して被写体像を撮像素子の受光面に受光させ、撮像素子からの画像信号に基づいて被写体像に対応したデジタル画像を生成するものが知られている。このような撮像装置では、撮像素子を保持部材に高い位置決め精度で固定し、その保持部材を撮影光学系に対して所定の位置に取り付ける撮像素子固定構造を採用するものがある。このような撮像素子固定構造では、撮像素子における受光面とは反対側の裏面に面で接することが可能な平板状を呈し、その平板箇所を貫通する固定孔を有する保持部材を用いることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、撮像装置では、基板および窓枠材により形成される凹部空間に撮像素子が設けられ、その凹部空間が気密的に封止されて構成される撮像素子パッケージを用いることが知られている。このような撮像素子パッケージでは、撮像素子の受光面に直交する方向で見て、その受光面(その中心位置)と外形形状の相対的な位置関係に公差があることから、外形形状を基準として撮影光学系に対する位置を設定すると、撮影光学系と受光面とを所定の位置関係とすることができなくなってしまう。
【0004】
これに対して、上記した従来の撮像素子固定構造では、撮像素子パッケージの裏面に保持部材を宛がい、その撮像素子パッケージに宛がわれた保持部材の裏面側から固定孔に接着剤を充填することで、撮像素子パッケージを保持部材に対して調整した位置で固定することができる。このため、この撮像素子固定構造を用いる撮像装置では、撮影光学系に対して保持部材を所定の位置に取り付けることで、撮影光学系に対して撮像素子パッケージを高い精度で所定の位置に配することができる。
【0005】
しかしながら、この撮像素子固定構造では、撮像素子パッケージ(撮像素子)の裏面に保持部材を宛がう構成であることから、撮像素子パッケージの受光面に直交する方向の大きさ寸法(撮像素子固定構造における厚さ寸法とする)の増大を招いてしまう。このような厚さ寸法の増大は、撮像素子固定構造を用いる撮像装置における大きさ寸法(多くの場合は厚さ寸法)の増大を招いてしまうことから、抑制することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することのできる撮像素子固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の撮像素子固定構造は、被写体像を受光面で取得する撮像素子を含み前記受光面に直交する光軸方向で見て矩形状を呈する撮像素子パッケージと、該撮像素子パッケージにおいて光軸方向に直交する第1方向上に存在する一対の素子外側面と第1間隔で対向する一対の第1中間対向面を規定し、かつ光軸方向に直交しつつ前記第1方向に直交する第2方向への前記撮像素子パッケージの相対的な第1距離の移動を許容する中間部材と、前記素子外側面と前記第1中間対向面とを掛け渡して接合する第1接着層と、前記中間部材において前記第2方向上に存在する一対の第2中間対向面と第2間隔で対向する一対の保持内側面を規定し、かつ前記第1方向への前記中間部材の相対的な第2距離の移動を許容する保持部材と、前記第2中間対向面と前記保持内側面とを掛け渡して接合する第2接着層と、を備え、前記第1間隔は、前記第1距離の半分の値よりも小さく設定され、前記第2間隔は、前記第2距離の半分の値よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る撮像素子固定構造では、厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10を示す説明図であり、(a)は正面を示し、(b)は背面を示している。
【図2】デジタルカメラ10における制御ブロックを示す説明図である。
【図3】固定枠31(その固定筒部13a)内にレンズ鏡胴13が設けられている様子を模式的な断面で示す説明図である。
【図4】実施例1に係る撮像素子固定構造50の構成を説明するためにZ軸方向正側から見た説明図である。
【図5】撮像素子固定構造50の構成を説明するための斜視図である。
【図6】撮像素子固定構造50の構成を説明するためにY軸方向正側から見た説明図である。
【図7】中間部材52の接着用切欠部58の構成を説明するための説明図である。
【図8】撮像素子固定構造50を用いた撮像素子パッケージ51の固定方法を示すフローチャートである。
【図9】従来の技術の課題を説明するための撮像素子固定構造1を示す説明図である。
【図10】実施例2に係る撮像素子固定構造50Aの構成を説明するための図4と同様の説明図である。
【図11】実施例3に係る撮像素子固定構造50Bの構成を説明するための図4と同様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る撮像素子固定構造の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明に係る撮像素子固定構造の一例としての実施例1の撮像素子固定構造50と、それを用いた撮像装置の一例としてのデジタルカメラ10と、を、図1から図7を用いて説明する。図1に示すZ軸方向は筐体11に設けられた状態でのレンズ鏡胴13(撮影光学系12)の撮影光軸方向に並行な方向である。この撮影光軸は、撮影光学系12における光学的な軸線、すなわちその各光学部材の回転対称軸であって、デジタルカメラ10の撮影光軸となる。そのZ軸に直交する面をX−Y平面とする。このZ軸方向の正の側は、デジタルカメラ10の正面側(前側)であり、Z軸方向の負の側は、カメラの背面側(後側)である。また、X軸方向は、筐体11に設けられたレンズ鏡胴13(撮影光学系12)の撮影光軸方向に垂直な方向である。X軸方向の正の側は右側であり、X軸方向の負の側は左側である。さらに、Y軸方向は、筐体11に設けられたレンズ鏡胴13(撮影光学系12)の撮影光軸方向に垂直な方向である。Y軸方向の正の側は上側であり、Y軸方向の負の側は下側である。なお、図5では、理解容易のために、第1接着層67および第2接着層68を省略して示している。
【0012】
実施例1のデジタルカメラ10は、撮像素子を撮影光軸方向に垂直な面内で移動させて手ぶれを補正する手ぶれ補正機能を有している。デジタルカメラ10は、図1に示すように、全体に直方体形状を呈する筐体11を有し、その筐体11の前面(図1(a)を正面視して手前側の面)側に撮影光学系12を取付けたレンズ鏡胴13が設けられている。この撮影光学系12は、図示は略すが、固定レンズ、ズームレンズ、フォーカスレンズ、シャッタユニットおよび絞りユニット等の複数の光学部材を備える。レンズ鏡胴13は、撮影光学系12の撮影光軸に沿って、所定の沈胴位置(収納状態(図1(a)参照))と所定の繰出位置(撮影待機状態(図3参照))との間で移動可能とされている。
【0013】
筐体11では、上面(図1を正面視して上側の面)に操作部14としてのレリーズボタン14aが設けられている。また、筐体11では、背面(図1(b)を正面視して手前側の面)に操作部14としての方向指示用スイッチ14bや各種スイッチ14cが設けられている。この操作部14は、その他にも、図示は略すが、各メニュー等の設定のためのダイヤルやADJレバー等を有している。また、筐体11の背面には、表示部15(その表示面)が設けられている。この表示部15は、撮像された画像データや記録媒体に記録された画像データに基づき画像を表示する。
【0014】
このデジタルカメラ10は、図2に示すように、撮像素子16と、レンズ鏡胴駆動ユニット17と、位置検出素子18と、ぶれ検出素子19と、制御部21と、手ぶれ補正機構30と、を有する。撮像素子16は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子で構成されており、撮影光学系12を通して受光面16a(図4参照)上に結像された被写体像を電気信号(画像データ)に変換して出力する。その出力された電気信号(画像データ)は、制御部21へと伝送される。この撮像素子16は、後述するように、撮像素子パッケージ51に設けられている。
【0015】
レンズ鏡胴駆動ユニット17は、レンズ鏡胴13を収納状態(図1(a)参照)と撮影待機状態(図3参照)とで移行すべく、撮影光学系12の各光学部材を各々支持する光学部材保持枠(図示せず)を移動させる。位置検出素子18は、後述するベース板32に対する載置ステージ33(図3参照)の位置を検出するものであり、実施例1では、ホール素子で構成されて、載置ステージ33に設けられている。ぶれ検出素子19は、デジタルカメラ10自体(その筐体11)に生じたぶれすなわち空間で移動を検出するぶれ検出機構であり、実施例1では、ジャイロセンサで構成されて、筐体11に設けられている。なお、このぶれ検出素子19は、加速度センサを用いて構成することもできる。この位置検出素子18およびぶれ検出素子19は、検出信号を制御部21へと出力する。位置検出素子18およびぶれ検出素子19は、実施例1では、手ぶれ補正機構30における撮像素子16(後述する撮像素子パッケージ51)の移動方向に合わせて検出方向が設定されている。
【0016】
制御部21は、操作部14に為された操作に基づく駆動処理や、撮像素子16からの信号に基づく画像データの生成処理や、表示部15、レンズ鏡胴駆動ユニット17(図1参照)および後述する手ぶれ補正機構30の駆動等の制御を統括的に行う。制御部21は、撮影光学系12を経て撮像素子16で画像を取得し、その画像を筐体11の後面側に設けられた表示部15に適宜表示させる。制御部21には、位置検出素子18やぶれ検出素子19から検出信号が入力される。
(レンズ鏡胴13の構成)
デジタルカメラ10は、図3に示すように、固定枠31を備える。その固定枠31は、後述するように手ぶれ補正機構30が設けられたベース板32の前面側(被写体側)に一体的に形成されており、内方に円筒形状の固定筒部31aを有する。この固定筒部31aの内周面には、図示は略すが、軸方向に沿う直進溝やカム溝が形成されている。固定筒部31aの内方に、レンズ鏡胴13が設けられる。
【0017】
そのレンズ鏡胴13は、固定筒部31aの内方に挿入可能な筒状を呈する。レンズ鏡胴13では、図示は略すが、内方に撮影光学系12(図1参照)の各光学部材を各々保持する光学部材保持枠や、その光学部材保持枠を撮影光軸方向に移動させるための回転筒やライナー等が適宜設けられる。レンズ鏡胴13は、レンズ鏡胴駆動ユニット17を構成するモータの出力軸からの駆動力が適宜ギア伝達されることにより、固定筒部31a内において撮影光軸回りに回転しつつ撮影光軸方向に適宜進退されて、所定の沈胴位置(収納状態(図1(a)参照))と所定の繰出位置(撮影待機状態(図3参照))とで移行し、撮影光学系12(図1参照)の各光学部材(図示せず)を撮影光軸上での所定の位置へと適宜移動させる。
(手ぶれ補正機構30の構成)
手ぶれ補正機構30は、載置ステージ33(撮像素子16(後述する撮像素子パッケージ51))を撮影光軸方向(Z軸方向)に垂直な面(X−Y平面)内で移動させて手ぶれを補正する。その載置ステージ33は、図3に示すように、後述する撮像素子パッケージ51を保持することにより、撮像素子16を保持する。載置ステージ33は、図示は略すが、スライド枠によりX軸方向へと移動自在に保持され、そのスライド枠がベース板32に固定されたスライド保持枠によりY軸方向へと移動自在に保持されることにより、ベース板32においてX−Y平面に沿って移動可能に保持されている。そのスライド枠は、図示は略すが、載置ステージ33のY軸方向で見た両側に沿うようにX軸方向に延在する一対のガイド棒を有し、その両ガイド棒を載置ステージ33のY軸方向の両側部に摺動自在に挿通させて、当該載置ステージ33を保持している。また、スライド保持枠は、図示は略すが、載置ステージ33のX軸方向で見た両側に沿うようにY軸方向に延在する一対のガイド棒を有し、その両ガイド棒をスライド枠のX軸方向の両側部に摺動自在に挿通させて、当該スライド枠を保持している。これにより、載置ステージ33すなわちそこに保持された撮像素子パッケージ51(撮像素子16)は、スライド保持枠が固定されたベース板32すなわちレンズ鏡胴13の撮影光学系12(図1参照)(その撮影光軸)に対して、所定の範囲内でX−Y平面に沿って移動可能とされている。
【0018】
また、図示は略すが、上記したスライド保持枠には、X−Y平面で見て、スライド枠を取り囲むようにY軸方向またはX軸方向に隣接されて、永久磁石と一体に形成された2つのヨークが設けられている。この各ヨークの背面側(被写体とは反対側)には、当該各ヨークとZ軸方向で対向するように、2つのコイルが設けられている。この各コイルは、載置ステージ33において、スライド保持枠の裏面側(被写体とは反対側)で当該ヨークとZ軸方向で対向する位置まで延出された延出部に固定されている。
【0019】
手ぶれ補正機構30では、各コイルに磁力を適宜発生させて、それぞれがZ軸方向で対向されたヨーク(そこと一体に形成された永久磁石)との間で、双方の磁力による吸引反発力を適宜作用させることにより、載置ステージ33をX軸方向に、スライド枠(図示せず)をY軸方向にそれぞれ移動させることができる。この載置ステージ33には、上記したように、載置ステージ33の位置を検出するための位置検出素子18(図2参照)が設けられている。
【0020】
この手ぶれ補正機構30では、制御部21(図2参照)の制御下で、上記したぶれ検出素子19(図2参照)で検出したぶれ検出情報に基づいて、各コイルへの印加電流を制御する。この制御により、各コイルとヨーク(そこと一体に形成された永久磁石)との間に磁力による吸引反発力を適宜作用させる。この吸引反発力によって、載置ステージ33すなわち撮像素子パッケージ51(撮像素子16)をX軸方向に、スライド枠(図示せず)をY軸方向にそれぞれ手ぶれを打ち消すように移動させて、撮像素子16(撮像素子パッケージ51)を撮影光軸に対してX−Y平面上で所定の位置へと移動させることができる。このため、デジタルカメラ10すなわち手ぶれ補正機構30では、制御部21が各コイルへの印加電流を制御することにより、手ぶれを打ち消すようにX−Y平面上で移動させて手ぶれによる被写体の像の移動に撮像素子16(撮像素子パッケージ51)追従移動させて手ぶれ補正を行う。
【0021】
次に、本願発明のデジタルカメラ10の特徴部分について、図4から図7を用いて説明する。デジタルカメラ10では、本願発明に係る撮像素子固定構造50が用いられている。この撮像素子固定構造50は、撮像素子パッケージ51と、中間部材52と、保持部材53と、を備える。
【0022】
撮像素子パッケージ51は、全体に平板状を呈し、明確に図示はしないが基板および窓枠材により形成される凹部空間に撮像素子16が設けられ、その凹部空間が気密的に封止されて構成されている。この撮像素子パッケージ51では、図4を正面視して手前側に受光面16aを望ませて撮像素子16が配されており、図4の紙面に直交する方向が撮影光軸方向(Z軸方向)とされている。撮像素子パッケージ51には、実施例1では、撮像素子16(その受光面16a)に入射する光を制御する光学フィルタ51aが設けられている。この撮像素子パッケージ51は、撮影光軸方向(Z軸方向)で見て矩形状を呈し、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされている。実施例1では、撮像素子パッケージ51において、X軸方向上の位置に存在する一対の外側面を第1素子外側面54とし、Y軸方向上の位置に存在する一対の外側面を第2素子外側面55とする。この撮像素子パッケージ51の外方に中間部材52が設けられる。
【0023】
この中間部材52は、平板状の部材から形成されている。中間部材52は、実施例1では、Z軸方向での厚さ寸法が撮像素子パッケージ51よりも小さいものとされている。この中間部材52は、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、中央にZ軸方向に貫通する配置孔52aが設けられている。この配置孔52aは、Z軸方向で見て撮像素子パッケージ51の外形形状に倣う矩形状とされて、撮像素子パッケージ51よりも大きな大きさ寸法とされている。配置孔52aは、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされている。このため、中間部材52は、X−Y平面で見て、撮像素子パッケージ51を取り囲むことが可能な枠状とされている。
【0024】
この中間部材52の内側面すなわち配置孔52aを規定する壁面において、X軸方向上の位置に存在し一対の第1素子外側面54とX軸方向で対向する面を第1中間対向面56とし、Y軸方向上の位置に存在し一対の第2素子外側面55とY軸方向で対向する面を第4中間対向面57とする。
【0025】
中間部材52では、両第1中間対向面56に接着用切欠部58が設けられている。この接着用切欠部58は、後述する第1接着層67(図4参照)を形成すべく接着剤が配される箇所である。接着用切欠部58は、実施例1では、図7に示すように、第1中間対向面56が部分的に切り欠かれて形成されており、Z軸方向負側へ向かうに連れて配置孔52aの内方空間すなわち撮像素子パッケージ51の第1素子外側面54へと接近するようにY−Z平面に対して傾斜する接着材受面58aを有する。中間部材52では、図4および図5に示すように、実施例1では、各第1中間対向面56に2つの接着用切欠部58が設けられており、それぞれがX軸方向で対向する位置関係とされている。
【0026】
この中間部材52では、配置孔52aの大きさ寸法が次のように設定されている。配置孔52aでは、各第1中間対向面56が、それぞれが対向する撮像素子パッケージ51の各第1素子外側面54と、X軸方向で見て第1間隔C1を置いて対向するものとされている。すなわち、配置孔52aは、X軸方向で見た両側に第1間隔C1を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第1間隔C1は、各第1中間対向面56に設けられた各接着用切欠部58の大きさ寸法と、後述する第1接着層67(図4参照)を形成すべくそこに配される接着剤の材質および量と、を勘案して設定する。換言すると、第1間隔C1は、接着用切欠部58に第1接着層67のための接着剤が配された際、当該接着剤が接着用切欠部58内を埋めつつ、その接着材受面58aと第1間隔C1を置いてX軸方向で対向する第1素子外側面54との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡す(図3参照)ことを可能とする大きさに設定する。この第1間隔C1は、実施例1では、0.3mmに設定している。
【0027】
また、配置孔52aでは、各第4中間対向面57が、それぞれが対向する撮像素子パッケージ51の各第2素子外側面55と、Y軸方向で見て第3間隔C3を置いて対向するものとされている。すなわち、配置孔52aは、Y軸方向で見た両側に第3間隔C3を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第3間隔C3は、撮像素子パッケージ51と中間部材52とがY軸方向へと相対的に第1距離だけ移動することを許容する観点から設定するものであり、第1間隔C1よりも大きな値に設定する。この第1距離は、少なくとも撮像素子パッケージ51における、Y軸方向で見た外形形状の中心位置に対する撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照)のずれ量の許容値(公差)に設定する。このため、第3間隔C3は、少なくとも当該公差(第1距離)を半分にした値に設定する。この第3間隔C3は、実施例1では、当該公差を半分にした値よりも僅かに大きな値に設定しており、0.8mmに設定している。
【0028】
この中間部材52の外側面すなわち外形を規定する壁面において、Y軸方向上の位置に存在する面を一対の第2中間対向面61とし、X軸方向上の位置に存在する面を一対の第3中間対向面62とする。また、中間部材52では、中間基準位置59が設けられている。この中間基準位置59は、中間部材52において、撮像素子パッケージ51(その撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照))に対する位置決めの基準となる。中間基準位置59は、実施例1では、X軸方向上の位置に存在する辺材部すなわち第1中間対向面56と第3中間対向面62とを規定する辺材部のうち、X軸方向の正側に位置するものに設けられている。この中間部材52の外方に保持部材53が設けられる。
【0029】
この保持部材53は、平板状の部材から形成されている。保持部材53は、実施例1では、Z軸方向での厚さ寸法が撮像素子パッケージ51よりも小さいものとされている。この保持部材53は、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、中央にZ軸方向に貫通する配置孔53aが設けられている。この配置孔53aは、Z軸方向で見て中間部材52の外形形状に倣う矩形状とされて、中間部材52よりも大きな大きさ寸法とされている。配置孔53aは、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされている。このため、保持部材53は、X−Y平面で見て、中間部材52を取り囲むことが可能な枠状とされている。
【0030】
この保持部材53の内側面すなわち配置孔53aを規定する壁面において、Y軸方向上の位置に存在し一対の第2中間対向面61とY軸方向で対向する面を第1保持内側面63とし、X軸方向上の位置に存在し一対の第3中間対向面62とY軸方向で対向する面を第2保持内側面64とする。
【0031】
保持部材53では、両第1保持内側面63に接着用切欠部65が設けられている。この接着用切欠部65は、後述する第2接着層68(図4参照)を形成すべく接着剤が配される箇所である。接着用切欠部65は、実施例1では、中間部材52の接着用切欠部58と同様に、第1保持内側面63が部分的に切り欠かれて形成されており、Z軸方向負側へ向かうに連れて配置孔53aの内方空間すなわち中間部材52の第2中間対向面61へと接近するようにX−Z平面に対して傾斜する接着材受面65aを有する。保持部材53では、実施例1では、各第1保持内側面63に2つの接着用切欠部65が設けられており、それぞれがY軸方向で対向する位置関係とされている。
【0032】
この保持部材53では、配置孔53aの大きさ寸法が次のように設定されている。配置孔53aでは、各第1保持内側面63が、それぞれが対向する中間部材52の各第2中間対向面61と、Y軸方向で見て第2間隔C2を置いて対向するものとされている。すなわち、配置孔53aは、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第2間隔C2は、各第1保持内側面63に設けられた各接着用切欠部65の大きさ寸法と、後述する第2接着層68(図4参照)を形成すべくそこに配される接着剤の材質および量と、を勘案して設定する。換言すると、第2間隔C2は、接着用切欠部65に第2接着層68のための接着剤が配された際、当該接着剤が接着用切欠部65内を埋めつつ、その接着材受面65aと第2間隔C2を置いてY軸方向で対向する第1保持内側面63との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡す(図3参照)ことを可能とする大きさに設定する。この第2間隔C2は、実施例1では、0.3mmに設定している。
【0033】
また、配置孔53aでは、各第2保持内側面64が、それぞれが対向する中間部材52の各第3中間対向面62と、X軸方向で見て第4間隔C4を置いて対向するものとされている。すなわち、配置孔53aは、X軸方向で見た両側に第4間隔C4を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第4間隔C4は、中間部材52と保持部材53とがX軸方向へと相対的に第2距離だけ移動することを許容する観点から設定するものであり、第2間隔C2よりも大きな値に設定する。この第2距離は、少なくとも撮像素子パッケージ51における、X軸方向で見た外形形状の中心位置に対する撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照)のずれ量の許容値(公差)に設定する。このため、第4間隔C4は、少なくとも当該公差(第2距離)を半分にした値に設定する。この第4間隔C4は、実施例1では、当該公差を半分にした値よりも僅かに大きな値に設定しており、0.8mmに設定している。
【0034】
また、保持部材53では、保持基準位置66が設けられている。この保持基準位置66は、保持部材53において、撮像素子パッケージ51(その撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照))に対する位置決めの基準となる。保持基準位置66は、実施例1では、X軸方向上の位置に存在する辺材部すなわち第2保持内側面64を規定する辺材部のうち、X軸方向の正側に位置するものに設けられている。
【0035】
第1接着層67は、各第1中間対向面56と各第1素子外側面54との間をX軸方向で掛け渡す(両面をX軸方向で繋ぐ)ことで、撮像素子パッケージ51と中間部材52とを接合するものである。実施例1では、中間部材52の各第1中間対向面56に設けられた各接着用切欠部58に、接着剤が配されることにより形成される。この接着材は、実施例1では、紫外線硬化型のものを用いている。接着剤は、上記した接着用切欠部58と第1間隔C1との設定により、接着用切欠部58(その接着材受面58a)と第1中間対向面56との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡す。この接着剤は、この掛け渡した状態において紫外線が照射されることにより、掛け渡した状態を維持しつつ硬化されて、接着用切欠部58(その接着材受面58a)すなわち第1中間対向面56と第1素子外側面54と掛け渡す第1接着層67が形成される。
【0036】
なお、第1接着層67のための接着材は、実施例1では、図示は略すが、空気圧を利用することにより、所定の量を塗布(出射)することのできる注射器型のディスペンサーを用いて各接着用切欠部58に配する。このため、接着用切欠部58と第1間隔C1との設定は、当該ディスペンサー(図示せず)における1回の接着材の塗布量を基準として設定する。このようなディスペンサーを用いることにより、第1接着層67の形成作業、すなわち撮像素子パッケージ51と中間部材52との接合作業を効率良く行うことができる。
【0037】
第2接着層68は、各第1保持内側面63と各第2中間対向面61との間をY軸方向で掛け渡す(両面をY軸方向で繋ぐ)ことで、中間部材52と保持部材53とを接合するものである。実施例1では、保持部材53の各第1保持内側面63に設けられた各接着用切欠部65に、上記したディスペンサーを用いて接着剤が配されることにより形成される。この接着材は、実施例1では、第1接着層67と同様に、紫外線硬化型のものを用いている。接着剤は、上記した接着用切欠部65と第2間隔C2との設定により、接着用切欠部65(その接着材受面65a)と第2中間対向面61との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡す。この接着剤は、この掛け渡した状態において紫外線が照射されることにより、掛け渡した状態を維持しつつ硬化されて、接着用切欠部65(その接着材受面65a)すなわち第1保持内側面63と第2中間対向面61と掛け渡す第2接着層68が形成される。このため、接着用切欠部65と第2間隔C2との設定は、当該ディスペンサー(図示せず)における1回の接着剤の塗布量を基準として設定する。このようなディスペンサーを用いることにより、第2接着層68の形成作業、すなわち中間部材52と保持部材53との接合作業を効率良く行うことができる。
【0038】
次に、撮像素子固定構造50における撮像素子パッケージ51の固定方法について図8を用いて説明する。図8は、実施例1の撮像素子固定構造50を用いた撮像素子パッケージ51の固定方法を示すフローチャートである。以下、図8のフローチャートの各ステップについて説明する。
【0039】
ステップS1では、中間部材52の配置孔52aの中に撮像素子パッケージ51を配して、ステップS2へ進む。このステップS1では、配置孔52aの内方において、撮像素子パッケージ51の一対の第1素子外側面54を中間部材52の各第1中間対向面56に対向させるとともに、撮像素子パッケージ51の一対の第2素子外側面55を中間部材52の各第4中間対向面57に対向させる(図4参照)。
【0040】
ステップS2では、ステップS1での配置孔52aの中に撮像素子パッケージ51を配することに続き、中間部材52(配置孔52a)に対する撮像素子パッケージ51のX軸方向の位置を調整して、ステップS3へ進む。このステップS2では、中間部材52の中間基準位置59を基準として撮像素子パッケージ51の外形形状(各第1素子外側面54)が所定の位置関係となるように、中間部材52と撮像素子パッケージ51とをX軸方向に相対的に移動し、撮像素子パッケージ51の各第1素子外側面54が、それぞれが対応する中間部材52(配置孔52a)の第1中間対向面56に対して、X軸方向で見て第1間隔C1を置くものとする。換言すると、ステップS2では、X軸方向で見た両側に第1間隔C1を置いて(略中心位置に)、撮像素子パッケージ51を配置孔52a内に配する。実施例1では、ステップS2において、中間部材52を固定するとともに、撮像素子パッケージ51を治具(図示せず)で摘んで移動させることにより、中間部材52に対する撮像素子パッケージ51のX軸方向での位置の調整を行う。
【0041】
ステップS3では、ステップS2での中間部材52に対する撮像素子パッケージ51のX軸方向の位置の調整に続き、中間部材52(配置孔52a)に対する撮像素子パッケージ51のY軸方向の位置を調整して、ステップS4へ進む。このステップS3では、中間部材52と撮像素子パッケージ51とをY軸方向に相対的に移動して、中間部材52の中間基準位置59と撮像素子パッケージ51の撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照)とを、Y軸方向で見て所定の位置関係とする。換言すると、ステップS3では、受光面16aの中心位置Rcを基準として、配置孔52a内におけるY軸方向で見た撮像素子パッケージ51の位置を調整する。このステップS3では、ステップS2と同様に、中間部材52を固定するとともに、撮像素子パッケージ51を治具(図示せず)で摘んで移動させることにより行う。このステップS3におけるY軸方向での位置の調整は、図示は略すが、画像認識技術やレーザー変位計を用いることにより受光面16aの中心位置Rcを測定し、その中心位置Rcと中間基準位置59とをY軸方向での所定の位置関係とすることにより行う。このステップS2およびステップS3は、配置孔52a内において、X軸方向(後述する第1方向)で見て撮像素子パッケージ51(その外形形状)と第1間隔C1を置き、かつY軸方向(後述する第2方向)で見て撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcを基準とする調整を行う第1工程となる。このため、実施例1では、X軸方向が第1方向となり、Y軸方向が第2方向となる。
【0042】
ステップS4では、ステップS3での中間部材52に対する撮像素子パッケージ51のY軸方向の位置の調整に続き、第1接着層67を形成して、ステップS5へ進む。このステップS4では、ステップS2およびステップS3により調整された状態を維持しつつ、上記したディスペンサー(図示せず)を用いて各接着用切欠部58に接着剤を配し、当該接着剤に紫外線を照射することにより、接着用切欠部58(その接着材受面58a)と第1中間対向面56との間を略均一な厚さ寸法で掛け渡す第1接着層67を形成する。このステップS4により、中間部材52の配置孔52aには、適切に形成された4つの第1接着層67により、Y軸方向の位置が調整された状態で撮像素子パッケージ51が取り付けられる。このステップS4は、第1接着層67を形成して中間部材52の配置孔52aに撮像素子パッケージ51を取り付ける第2工程となる。
【0043】
ステップS5では、ステップS4での第1接着層67の形成に続き、保持部材53の配置孔53aの中に撮像素子パッケージ51が取り付けられた中間部材52を配して、ステップS6へ進む。このステップS5では、配置孔53aの内方において、中間部材52の一対の第2中間対向面61を保持部材53の各第1保持内側面63に対向させるとともに、中間部材52の一対の第3中間対向面62を保持部材53の各第2保持内側面64に対向させる(図4参照)。
【0044】
ステップS6では、ステップS5での配置孔53aの中に中間部材52を配置することに続き、保持部材53(配置孔53a)に対する中間部材52のY軸方向の位置を調整して、ステップS7へ進む。このステップS6では、保持部材53の保持基準位置66を基準として中間部材52の外形形状(各第2中間対向面61)が所定の位置関係となるように、保持部材53と中間部材52とをY軸方向に相対的に移動して、中間部材52の各第2中間対向面61が、それぞれが対応する保持部材53(配置孔53a)の第1保持内側面63に対して、Y軸方向で見て第2間隔C2を置くものとする。換言すると、ステップS6では、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2を置いて(略中心位置に)、撮像素子パッケージ51を配置孔53a内に配する。実施例1では、ステップS6において、保持部材53を固定するとともに、中間部材52を治具(図示せず)で摘んで移動させることにより、保持部材53に対する中間部材52のY軸方向での位置の調整を行う。
【0045】
ステップS7では、ステップS6での保持部材53に対する中間部材52のY軸方向の位置の調整に続き、保持部材53(配置孔53a)に対する中間部材52のX軸方向の位置を調整して、ステップS8へ進む。このステップS7では、保持部材53と中間部材52とをX軸方向に相対的に移動して、保持部材53の保持基準位置66と、中間部材52に固定(保持)された撮像素子パッケージ51の撮像素子16の受光面16aの中心位置Rc(図4参照)とを、X軸方向で見て所定の位置関係とする。換言すると、ステップS7では、受光面16aの中心位置Rcを基準として、配置孔53a内におけるX軸方向で見た中間部材52(撮像素子パッケージ51)の位置を調整する。このステップS7では、ステップS6と同様に、保持部材53を固定するとともに、中間部材52を治具(図示せず)で摘んで移動させることにより行う。このステップS7におけるX軸方向での位置の調整は、図示は略すが、画像認識技術やレーザー変位計を用いることにより受光面16aの中心位置Rcを測定し、その中心位置Rcと保持基準位置66とをX軸方向での所定の位置関係とすることにより行う。このステップS6およびステップS7は、配置孔53a内において、Y軸方向(後述する第2方向)で見て中間部材52(その外形形状)と第2間隔C2を置き、かつX軸方向(後述する第1方向)で見て撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcを基準とする調整を行う第3工程となる。
【0046】
ステップS8では、ステップS7での保持部材53に対する中間部材52のX軸方向の位置の調整に続き、第2接着層68を形成して、撮像素子(撮像素子パッケージ51)の固定作業を終了する。このステップS8では、ステップS6およびステップS7により調整された状態を維持しつつ、上記したディスペンサー(図示せず)を用いて各接着用切欠部65に接着剤を配し、当該接着剤に紫外線を照射することにより、接着用切欠部65(その接着材受面65a)と第2中間対向面61との間を略均一な厚さ寸法で掛け渡す第2接着層68を形成する。このステップS8により、保持部材53の配置孔53aには、適切に形成された4つの第2接着層68により、X軸方向の位置が調整された状態で中間部材52(撮像素子パッケージ51)が取り付けられる。このステップS8は、第2接着層68を形成して保持部材53の配置孔53aに中間部材52すなわち撮像素子パッケージ51を取り付ける第4工程となる。
【0047】
次に、撮像素子の取り付け位置を調整可能な構成とする際の技術の課題について説明する。撮像素子パッケージ(51)として構成された撮像素子(16)では、例えば、上記したデジタルカメラ10に用いる場合、その撮影光学系12の撮影光軸に直交する方向での当該撮影光軸と受光面(16a)との位置関係を高い精度で所定のものとすることが望ましい。その撮像素子パッケージ(51)では、外形形状を規定する外枠部に複数の端子(図示せず)が設けられていることから、外形形状(外枠部)を基準として撮影光学系12の撮影光軸に対する位置を設定することとなる。ところが、撮像素子パッケージ(51)では、撮像素子(16)の受光面(16a(その中心位置(Rc)))と外形形状(外枠部)の相対的な位置関係には公差があるので、外形形状(外枠部)を基準として撮影光学系12の撮影光軸に対する位置を設定すると、当該撮影光軸と受光面(その中心位置)とを所定の位置関係とすることができなくなってしまう。
【0048】
このため、撮像素子(撮像素子パッケージ)における受光面とは反対側の裏面に面で接することが可能な平板状を呈し、その平板箇所を貫通する固定孔を有する保持部材を用いて、撮像素子を固定する撮像素子固定構造が考えられている。この撮像素子固定構造では、保持部材を撮像素子の裏面に宛がい、その撮像素子に宛がわれた支持プレートの裏面側から固定孔に接着剤を充填することで、撮像素子を保持部材に対して固定することができるので、支持プレートに対して撮像素子の固定位置を調整することができる。ところが、この撮像素子固定構造では、撮像素子の裏面に保持部材を宛がう構成であることから、撮像素子の受光面に直交する方向の大きさ寸法(撮像素子固定構造における厚さ寸法とする)の増大を招いてしまう。
【0049】
このことから、図9に示すように、保持部材2に平板面と直交する方向に貫通する配置孔2aを設け、その配置孔2aを撮像素子パッケージ3の平板面に沿う方向での移動を許容する大きさ寸法とする撮像素子固定構造1とすることが考えられる(図9参照)。この撮像素子固定構造1では、配置孔2a内で撮像素子パッケージ3の位置を調整して接着層4で固定することにより、保持部材2の外形形状に対して撮像素子パッケージ3の受光面(その中心位置)を所定の位置関係としつつ、撮像素子固定構造の厚さ寸法の増大を防止することができる。
【0050】
ところが、調整の結果、配置孔2a内での撮像素子パッケージ3の位置に偏りが生じた場合、保持部材2(配置孔2a)と撮像素子パッケージ3との間隔が小さくなったり大きくなったりすることから、接着層4を均等にかつ適切な強度で形成することができなくなる虞があり、保持部材2(配置孔2a)と撮像素子パッケージ3とを適切に接合することができなくなる虞がある。特に、上記したような所定の量の接着剤を塗布(出射)することのできる注射器型のディスペンサー(図示せず)を用いて接着層4を形成する場合、小さな間隔では配した接着材が溢れてしまったり(符号4A参照)、大きな間隔では配した接着材の厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)が不均一で小さくなったり(符号4B参照)してしまう。この大きな間隔における接着材の厚さ寸法の不均一は、接着剤の表面張力に起因する。ここで、接着層4を適切な強度とするためには、間隔に応じて接着剤を配する量を調整することが考えられるが、間隔を測定する機構が必要となるとともに当該間隔に応じて接着剤の量を調整する機構が必要となってしまう。このため、上記したディスペンサーを用いることに比較して、接着層4の形成作業すなわち保持部材2(配置孔2a)と撮像素子パッケージ3との接合作業の効率の悪化を招いてしまうとともに、撮像素子固定構造1におけるコストの上昇を招いてしまう。加えて、撮像素子パッケージ3の両側に設けられた両接着層4が不均等であることを解消することはできない。
【0051】
これに対し、撮像素子固定構造50では、中間部材52の配置孔52aが、X軸方向で見た両側に第1間隔C1を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能であるとともに、Y軸方向で見た両側に第3間隔C3を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能すなわち撮像素子パッケージ51のY軸方向への相対的な第1距離の移動を許容するものとされている。また、保持部材53の配置孔53aが、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能であるとともに、X軸方向で見た両側に第4間隔C4を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能すなわち中間部材52のX軸方向への相対的な第2距離の移動を許容するものとされている。
【0052】
このため、撮像素子固定構造50では、X軸方向での第1間隔C1の設定に影響を与えることなく中間部材52(配置孔52a)に対してY軸方向に撮像素子パッケージ51を第1距離だけ移動することができるとともに、Y軸方向での第2間隔C2の設定に影響を与えることなく保持部材53(配置孔53a)に対してX軸方向に中間部材52を第2距離だけ移動することができる。換言すると、中間部材52(配置孔52a)に対する撮像素子パッケージ51のY軸方向での位置調整に拘らず所定の第1間隔C1で各第1接着層67を形成することができるとともに、保持部材53(配置孔53a)に対する中間部材52のX軸方向での位置調整に拘らず所定の第2間隔C2で各第2接着層68を形成することができる。
【0053】
このことから、本発明に係る撮像素子固定構造50では、所定の第1間隔C1で形成した各第1接着層67でX軸方向(第1方向)に掛け渡すことにより撮像素子パッケージ51と中間部材52とを接合することができるととともに、所定の第2間隔C2で形成した各第2接着層68でY軸方向(第2方向)に掛け渡すことにより中間部材52と保持部材53とを接合することができるので、撮像素子パッケージ51を保持部材53に適切な強度で取り付けることができる。
【0054】
また、撮像素子固定構造50では、X軸方向での第1間隔C1の設定に影響を与えることなく中間部材52(配置孔52a)に対して撮像素子パッケージ51(撮像素子16)のY軸方向(第2方向)での位置の調整が可能であるとともに、Y軸方向での第2間隔C2の設定に影響を与えることなく保持部材53(配置孔53a)に対して中間部材52のX軸方向(第1方向)での位置の調整が可能であることから、主に撮像素子パッケージ51と中間部材52との間でY軸方向(第2方向)の位置を調整することにより、撮像素子16(撮像素子パッケージ51)のY軸方向の位置決め精度を決定することができ、かつ主に中間部材52と保持部材53との間でX軸方向(第1方向)の位置を調整することにより、撮像素子16(撮像素子パッケージ51)のX軸方向の位置決め精度を決定することができる。よって、保持部材53に対して撮像素子16(その中心位置Rc)のX−Y平面に沿う方向での位置を高い精度で調整して取り付けることができる。
【0055】
さらに、撮像素子固定構造50では、各第1接着層67でX軸方向(第1方向)に掛け渡すことにより撮像素子パッケージ51と中間部材52とを接合するととともに、各第2接着層68でY軸方向(第2方向)に掛け渡すことにより中間部材52と保持部材53とを接合する構成であることから、従来の撮像素子の裏面に保持部材を宛がって接着する構成に比較して、厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)の増大を防止することができる。
【0056】
撮像素子固定構造50では、中間部材52の配置孔52aを、X軸方向で見た両側に第1間隔C1を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能な大きさ寸法としていることから、X軸方向で見て配置孔52a内の中間位置に撮像素子パッケージ51を配するだけで、一対の第1素子外側面54と一対の第1中間対向面56とを第1間隔C1とすることができる。このため、撮像素子パッケージ51と中間部材52とのX軸方向での位置調整を容易なものとしつつ適切な状態でX軸方向に掛け渡す第1接着層67を形成することができ、撮像素子パッケージ51すなわち撮像素子16と中間部材52とを容易にかつ適切に接合することができる。
【0057】
撮像素子固定構造50では、中間部材52の配置孔52aを、X軸方向で見た両側に第1間隔C1を置きつつ撮像素子パッケージ51を受け入れることが可能な大きさ寸法としており、その第1間隔C1を、ディスペンサー(図示せず)における1回の接着材の塗布量を基準として当該接着材が第1素子外側面54と第1中間対向面56との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定していることから、1回の接着材の塗布回数で1つの第1接着層67を適切に形成することができる。このため、撮像素子パッケージ51と中間部材52との接合作業における接着材の塗布回数を最小限とすることができ、当該接合作業を効率良く行うことができる。
【0058】
撮像素子固定構造50では、第3間隔C3を撮像素子パッケージ51と中間部材52とがY軸方向へと相対的に第1距離だけ移動することを許容する観点から設定しており、その第1距離を少なくとも撮像素子パッケージ51におけるY軸方向で見た外形形状の中心位置に対する撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcのずれ量の許容値(公差)に設定していることから、配置孔52a内においてY軸方向での十分な調整代を確保することができ撮像素子パッケージ51における公差を確実に吸収することができるので、中間部材52すなわち保持部材53に対するY軸方向での撮像素子パッケージ51の位置をより適切に設定することができる。
【0059】
撮像素子固定構造50では、保持部材53の配置孔53aを、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能な大きさ寸法としていることから、Y軸方向で見て配置孔53a内の中間位置に中間部材52を配するだけで、一対の第2中間対向面61と一対の第1保持内側面63とを第2間隔C2とすることができる。このため、中間部材52と保持部材53とのY軸方向での位置調整を容易なものとしつつ適切な状態でY軸方向に掛け渡す第2接着層68を形成することができ、中間部材52に取り付けられた撮像素子パッケージ51すなわち撮像素子16と保持部材53とを容易にかつ適切に接合することができる。
【0060】
撮像素子固定構造50では、保持部材53の配置孔53aを、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2を置きつつ中間部材52を受け入れることが可能な大きさ寸法としており、その第2間隔C2を、ディスペンサー(図示せず)における1回の接着材の塗布量を基準として当該接着材が第2中間対向面61と第1保持内側面63との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定していることから、1回の接着材の塗布回数で1つの第2接着層68を適切に形成することができる。このため、中間部材52と保持部材53との接合作業における接着材の塗布回数を最小限とすることができ、当該接合作業を効率良く行うことができる。
【0061】
撮像素子固定構造50では、第4間隔C4を中間部材52と保持部材53とがX軸方向へと相対的に第2距離だけ移動することを許容する観点から設定しており、その第2距離を少なくとも撮像素子パッケージ51におけるX軸方向で見た外形形状の中心位置に対する撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcのずれ量の許容値(公差)に設定していることから、配置孔53a内における中間部材52の変位によりX軸方向での十分な調整代を確保することができ撮像素子パッケージ51における公差を確実に吸収することができるので、保持部材53に対するX軸方向での撮像素子パッケージ51の位置をより適切に設定することができる。
【0062】
撮像素子固定構造50では、中間部材52に、Z軸方向負側へ向かうに連れて撮像素子パッケージ51の第1素子外側面54へと接近するようにY−Z平面に対して傾斜する接着材受面58aを有する接着用切欠部58が設けられていることから、Z軸方向の正側から接着用切欠部58に接着剤を配するだけで、その接着剤を接着材受面58aと第1素子外側面54とを掛け渡らせることができるので、第1接着層67の形成作業を容易なものとすることができる。
【0063】
撮像素子固定構造50では、保持部材53に、Z軸方向負側へ向かうに連れて中間部材52の第2中間対向面61へと接近するようにX−Z平面に対して傾斜する接着材受面65aを有する接着用切欠部65が設けられていることから、Z軸方向の正側から接着用切欠部65に接着剤を配するだけで、その接着剤を接着材受面65aと第2中間対向面61とを掛け渡らせることができるので、第2接着層68の形成作業を容易なものとすることができる。
【0064】
撮像素子固定構造50では、中間部材52が撮像素子パッケージ51をZ軸回りで取り巻く構成であるとともに、保持部材53がその中間部材52をZ軸回りで取り巻く構成であることから、従来の撮像素子の裏面に保持部材を宛がう構成に比較して、厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)の増大を防止することができる。特に、実施例1では、中間部材52および保持部材53が、Z軸方向での厚さ寸法が撮像素子パッケージ51よりも小さいものとされていることから、撮像素子パッケージ51の厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)とすることができる。
【0065】
撮像素子固定構造50では、第1接着層67および第2接着層68を形成するための接着材として紫外線硬化型のものを用いていることから、紫外線を照射する前であれば接着材を配した後であっても位置の調整を行うことができるので、保持部材53に対するX−Y平面に沿う方向での撮像素子パッケージ51の撮像素子16の受光面16a(その中心位置Rc)の位置をより適切に設定することができる。
【0066】
撮像素子固定構造50を用いたデジタルカメラ10では、適切な位置関係で撮像素子パッケージ51が取り付けられた保持部材53を載置ステージ33で保持するものであることから、撮影光学系12の撮影光軸に対して撮像素子16を適切な位置とすることができるので、より適切な画像を取得することができる。
【0067】
撮像素子固定構造50を用いたデジタルカメラ10では、適切な位置関係で撮像素子パッケージ51が取り付けられた保持部材53を保持する載置ステージ33を、撮影光軸方向(Z軸方向)に垂直な面(X−Y平面)内で移動させて手ぶれを補正するものであることから、より精度の良い手ぶれ補正を行うことができる。
【0068】
撮像素子固定構造50を用いたデジタルカメラ10では、従来の撮像素子の裏面に保持部材を宛がう構成に比較して、撮像素子固定構造50における厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)の増大を防止することができるので、自身の外形形状における厚さ寸法(Z軸方向での大きさ寸法)の増大を防止することができ、よりコンパクトな構成とすることができる。
【0069】
したがって、本発明に係る撮像素子固定構造50では、厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することができる。
【0070】
なお、上記した実施例1では、第1方向をX軸方向としかつ第2方向をY軸方向としていたが、第1方向が光軸方向に直交するものであるとともに、第2方向が当該光軸方向に直交しつつ第1方向に直交するものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0071】
また、上記した実施例1では、撮像素子固定構造50における撮像素子パッケージ51の固定方法の第1工程において、ステップS2の後にステップS3を行うものとしていたが、逆の順序で行うものであってもよく、双方の調節を織り交ぜて行うものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0072】
さらに、上記した実施例1では、ステップS2およびステップS3により調整された状態を維持しつつ各接着用切欠部58に接着剤を配していたが、先に各接着用切欠部58に接着剤を配してからステップS2およびステップS3による調整を行うものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0073】
上記した実施例1では、撮像素子固定構造50における撮像素子パッケージ51の固定方法の第3工程において、ステップS6の後にステップS7を行うものとしていたが、逆の順序で行うものであってもよく、双方の調節を織り交ぜて行うものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0074】
上記した実施例1では、ステップS6およびステップS7により調整された状態を維持しつつ各接着用切欠部65に接着剤を配していたが、先に各接着用切欠部65に接着剤を配してからステップS6およびステップS7による調整を行うものであってもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0075】
上記した実施例1では、中間部材52に第1接着層67の形成のための各接着用切欠部58が設けられていたが、第1間隔C1とした第1素子外側面54と第1中間対向面56とを第1接着層67でX軸方向に掛け渡すことにより、撮像素子パッケージ51と中間部材52とを接合することができれば、この接着用切欠部(58)を撮像素子パッケージ51に設けてもよく、各接着用切欠部58を設けなくてもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0076】
上記した実施例1では、保持部材53に第2接着層68の形成のための各接着用切欠部65が設けられていたが、第2間隔C2とした第2中間対向面61と第1保持内側面63とを第2接着層68でY軸方向に掛け渡すことにより、中間部材52と保持部材53とを接合することができれば、この接着用切欠部(65)を中間部材52に設けてもよく、各接着用切欠部65を設けなくてもよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【実施例2】
【0077】
次に、本発明の実施例2に係る撮像素子固定構造50Aおよびそれを用いたデジタルカメラ10について、図10を用いて説明する。この実施例2は、撮像素子固定構造50Aにおける構成が実施例1とは異なる例である。この実施例2の撮像素子固定構造50Aは、基本的な構成は上記した実施例1の撮像素子固定構造50と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、実施例2のデジタルカメラ10は、撮像素子固定構造50Aを用いることを除くと、実施例1のデジタルカメラ10と同様であることから、その説明は省略する。図10は、実施例2に係る撮像素子固定構造50Aの構成を説明するための図4と同様の説明図である。
【0078】
実施例2に係る撮像素子固定構造50Aでは、図10に示すように、撮像素子パッケージ51と、中間部材52Aと、保持部材53Aと、を備える。この撮像素子パッケージ51は、実施例1と同様の構成である。
【0079】
中間部材52Aは、平板状の部材から形成された2つの中間片部69を有する。両中間片部69は、実施例2では、Z軸方向での厚さ寸法が撮像素子パッケージ51よりも小さいものとされている。この両中間片部69は、Y軸に関して線対称な構成とされていることから、基本的に同一の構成であるので、以下では、X軸方向正側に配される中間片部69について説明し、他方の中間片部69については省略する。
【0080】
中間片部69は、Y軸方向に延びる長尺な板状を呈する本体部分69aと、その長尺方向の中間位置からX軸方向正側に突出する取付腕部分69bと、を有する。本体部分69aは、Z軸方向で見て、全体に矩形状を呈する。この本体部分69aは、X軸方向負側の外形形状を規定する外側面でY−Z平面に沿う第1中間対向面56Aを形成している。取付腕部分69bは、Z軸方向で見て、全体に矩形状を呈する。この取付腕部分69bは、Y軸方向の外形形状を規定する一対の外側面でX−Z平面に沿う第2中間対向面61Aを形成しており、X軸方向正側の外形形状を規定する外側面でY−Z平面に沿う第3中間対向面62Aを形成している。中間部材52Aでは、両中間片部69における本体部分69aのY軸方向正側の端部に中間基準位置59Aが設けられている。
【0081】
この中間部材52Aとしての両中間片部69は、X軸方向で見た撮像素子パッケージ51の両側に、その第1素子外側面54に第1中間対向面56Aが対向されて配される。このため、中間部材52Aでは、撮像素子パッケージ51の第2素子外側面55とY軸方向で対向する位置には何も存在させていない。換言すると、中間部材52Aでは、実施例1の第4中間対向面57に相当する面を構成するものが何もないこととなる。このため、中間部材52Aでは、実施例1の中間部材52と比較して、Y軸方向で見た大きさ寸法が小さく設定されている。
【0082】
保持部材53Aは、平板状の部材から形成されている。この保持部材53Aは、実施例2では、Z軸方向での厚さ寸法が撮像素子パッケージ51よりも小さいものとされている。保持部材53Aは、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、中央にZ軸方向に貫通する配置孔53Aaが設けられている。この保持部材53Aおよびそこに設けられた配置孔53Aaは、中間部材52Aが実施例1の中間部材52よりもY軸方向で見た大きさ寸法が小さいことから、実施例1の保持部材53(配置孔53a)と比較して、Y軸方向で見た大きさ寸法が小さく設定されている。その配置孔53Aaは、Z軸方向で見て撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Aの外形形状に倣う矩形状とされて、その中間部材52Aよりも大きな大きさ寸法とされている。配置孔53Aaは、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされており、Y軸方向に沿う箇所の中間位置に一対の受入切欠53bが設けられている。
【0083】
この両受入切欠53bは、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされている。この両受入切欠53bは、中間部材52Aの両取付腕部分69bを、間隔を置いて受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。このため、保持部材53Aは、X−Y平面で見て、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Aを取り囲むことが可能な枠状とされている。
【0084】
この両受入切欠53bを規定する壁面において、Y軸方向上の位置に存在し取付腕部分69bにより規定される一対の第2中間対向面61AとY軸方向で対向するそれぞれの面を第1保持内側面63Aとする。また、両受入切欠53bを規定する壁面において、X軸方向上の位置に存在し取付腕部分69bにより規定される第3中間対向面62AとX軸方向で対向する面を第2保持内側面64Aとする。
【0085】
この保持部材53Aでは、配置孔53Aaおよびその両受入切欠53bの大きさ寸法が次のように設定されている。配置孔53Aaでは、X軸方向で見て、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Aにおいて、各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間に第1間隔C1Aを設定することを可能とする大きさ寸法とされている。その第1間隔C1Aは、第1接着層67Aを形成すべく各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間に配される接着剤の材質および量を勘案して設定する。この第1接着層67Aは、実施例1の第1接着層67とは異なり、各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間に形成される。このため、第1間隔C1Aは、実施例1のディスペンサー(図示せず)における1回の接着剤の塗布量を基準として、各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間に第1接着層67Aのための接着剤が配された際、当該接着剤が各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定する。この第1間隔C1Aは、実施例2では、0.3mmに設定している。
【0086】
また、両受入切欠53bでは、各第1保持内側面63Aが、それぞれが対向する中間部材52Aの取付腕部分69bの各第2中間対向面61Aと、Y軸方向で見て第2間隔C2Aを置いて対向するものとされている。すなわち、両受入切欠53bは、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2Aを置きつつ中間部材52Aの取付腕部分69bを受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第2間隔C2Aは、第2接着層68Aを形成すべく第1保持内側面63Aと第2中間対向面61Aとの間に配される接着剤の材質および量を勘案して設定する。この第2接着層68Aは、実施例1の第2接着層68とは異なり、第1保持内側面63Aと第2中間対向面61Aとの間に形成される。このため、第2間隔C2Aは、実施例1のディスペンサー(図示せず)における1回の接着剤の塗布量を基準として、第1保持内側面63Aと第2中間対向面61Aとの間に第2接着層68Aのための接着剤が配された際、当該接着剤が第1保持内側面63Aと第2中間対向面61Aとの間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定する。この第2間隔C2Aは、実施例2では、0.3mmに設定している。
【0087】
さらに、両受入切欠53bでは、第2保持内側面64Aが、それぞれが対向する中間部材52Aの取付腕部分69bの第3中間対向面62Aと、X軸方向で見て第4間隔C4を置いて対向するものとされている。すなわち、両受入切欠53bは、X軸方向で見た両側に第4間隔C4を置きつつ撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52A(中間片部69)を受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第4間隔C4は、実施例1と同様であり、0.8mmに設定している。
【0088】
加えて、配置孔53Aaでは、Y軸方向で見て、中間部材52A(中間片部69)に対して第1距離で移動され得る撮像素子パッケージ51の位置に拘らず、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52A(中間片部69)を受け入れ可能な大きさ寸法とされている。この保持部材53Aでは、両受入切欠53bを含む配置孔53Aaに干渉しない位置に、保持基準位置66Aが設けられている。
【0089】
この撮像素子固定構造50Aでは、実施例1の固定方法(図8参照)のステップS1に相当する作業として、X軸方向で、撮像素子パッケージ51を介在させて両中間片部69を配する。また、そのステップS2に相当する作業として、両中間片部69の中間基準位置59Aと、撮像素子パッケージ51の外形形状(各第1素子外側面54)と、を所定の位置関係とする。さらに、そのステップS3に相当する作業として、両中間片部69の中間基準位置59Aと、撮像素子パッケージ51の撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcとを、Y軸方向で見て所定の位置関係とする。ついで、ステップS4に相当する作業として、第1間隔C1とされた各第1中間対向面56Aと各第1素子外側面54との間に接着剤を配して、それらをX軸方向に掛け渡す第1接着層67Aを形成する。ステップS8に相当する作業として、第2間隔C2Aとされた各第1保持内側面63Aと各第2中間対向面61Aとの間に接着剤を配して、それらをY軸方向に掛け渡す第2接着層68Aを形成する。これらのことを除くと、撮像素子固定構造50Aでは、実施例1の撮像素子固定構造50と同様に、撮像素子(撮像素子パッケージ51)を固定することができる。
【0090】
実施例2の撮像素子固定構造50A(デジタルカメラ10)では、基本的に実施例1の撮像素子固定構造50(デジタルカメラ10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0091】
それに加えて、実施例2の撮像素子固定構造50A(デジタルカメラ10)では、中間部材52Aにおいて、撮像素子パッケージ51の一対の第2素子外側面55とY軸方向で対向する位置に何も存在するものがないことから、実施例1の中間部材52と比較して、Y軸方向で見た大きさ寸法を小さくすることができる。これにより、撮像素子固定構造50Aでは、実施例1の撮像素子固定構造50と比較して、第2方向としてのY軸方向で見た大きさ寸法を小さくすることができ、よりコンパクトな構成とすることができる。
【0092】
したがって、本発明に係る撮像素子固定構造50Aでは、厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することができる。
【実施例3】
【0093】
次に、本発明の実施例3に係る撮像素子固定構造50Bおよびそれを用いたデジタルカメラ10について、図11を用いて説明する。この実施例3は、撮像素子固定構造50Bにおける構成が実施例1および実施例2とは異なる例である。この実施例3の撮像素子固定構造50Bは、基本的な構成は上記した実施例1の撮像素子固定構造50と同様であって実施例2の撮像素子固定構造50Aにおける第1方向および第2方向の設定を変更したものであることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、実施例3のデジタルカメラ10は、撮像素子固定構造50Bを用いることを除くと、実施例1のデジタルカメラ10と同様であることから、その説明は省略する。図11は、実施例3に係る撮像素子固定構造50Bの構成を説明するための図4と同様の説明図である。
【0094】
実施例3に係る撮像素子固定構造50Bでは、図11に示すように、撮像素子パッケージ51と、中間部材52Bと、保持部材53Bと、を備える。この撮像素子パッケージ51は、実施例1と同様の構成である。
【0095】
中間部材52Bは、実施例2の中間部材52Aと同様の構成であって、2つの中間片部69Bを有する。この両中間片部69Bは、X軸に関して線対称な構成とされている。このため、中間部材52Bでは、本体部分69aにおけるY軸方向の外形形状を規定する外側面で、X−Z平面に沿う第1中間対向面56Bを形成している。また、中間部材52Bでは、取付腕部分69bにおけるX軸方向の外形形状を規定する一対の外側面でY−Z平面に沿う一対の第2中間対向面61Bを形成しており、Y軸方向の外形形状を規定する外側面でX−Z平面に沿う第3中間対向面62Bを形成している。さらに、中間部材52Bでは、両中間片部69Bにおける本体部分69aのX軸方向正側の端部に中間基準位置59Bが設けられている。
【0096】
この中間部材52Bとしての両中間片部69Bは、Y軸方向で見た撮像素子パッケージ51の両側に、第1中間対向面56Bを対向されて配される。このため、撮像素子固定構造50Bでは、撮像素子パッケージ51において、Y軸方向上の位置に存在する一対の外側面が第1素子外側面54Bとなり、X軸方向上の位置に存在する一対の外側面が第2素子外側面55Bとなる。また、撮像素子固定構造50Bの中間部材52Bでは、撮像素子パッケージ51の第2素子外側面55BとX軸方向で対向する位置には何も存在させていない。換言すると、中間部材52Bでは、実施例1の第4中間対向面57に相当する面を構成するものが何もないこととなる。このため、中間部材52Bでは、実施例1の中間部材52と比較して、X軸方向で見た大きさ寸法が小さく設定されている。
【0097】
保持部材53Bは、実施例2の保持部材53Aと同様の構成であって、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、中央にZ軸方向に貫通する配置孔53Baが設けられている。その配置孔53Baは、Z軸方向で見て撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Bの外形形状に倣う矩形状とされて、その中間部材52Bよりも大きな大きさ寸法とされている。配置孔53Baは、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされており、X軸方向に沿う箇所の中間位置に一対の受入切欠53Bbが設けられている。
【0098】
その両受入切欠53Bbは、Z軸方向で見て全体に矩形状を呈し、その各辺がX軸方向およびY軸方向に沿うものとされている。この両受入切欠53Bbは、中間部材52Bの両取付腕部分69bを、間隔を置いて受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。このため、保持部材53Bは、X−Y平面で見て、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Bを取り囲むことが可能な枠状とされている。
【0099】
この両受入切欠53Bbを規定する壁面において、X軸方向上の位置に存在し取付腕部分69bにより規定される一対の第2中間対向面61BとY軸方向で対向するそれぞれの面を第1保持内側面63Bとする。また、両受入切欠53Bbを規定する壁面において、Y軸方向上の位置に存在し取付腕部分69bにより規定される第3中間対向面62BとY軸方向で対向する面を第2保持内側面64Bとする。
【0100】
この保持部材53Bでは、配置孔53Baおよびその両受入切欠53Bbの大きさ寸法が次のように設定されている。配置孔53Baでは、Y軸方向で見て、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Bにおいて、各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間に第1間隔C1Bを設定することを可能とする大きさ寸法とされている。その第1間隔C1Bは、第1接着層67Bを形成すべく各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間に配される接着剤の材質および量を勘案して設定する。この第1接着層67Bは、実施例2の第1接着層67Aと同様に、各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間に形成される。このため、第1間隔C1Bは、実施例1のしたディスペンサー(図示せず)における1回の接着剤の塗布量を基準として、各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間に第1接着層67Bのための接着剤が配された際、当該接着剤が各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定する。この第1間隔C1Bは、実施例3では、0.3mmに設定している。
【0101】
また、両受入切欠53Bbでは、各第1保持内側面63Bが、それぞれが対向する中間部材52Bの取付腕部分69bの各第2中間対向面61Bと、X軸方向で見て第2間隔C2Bを置いて対向するものとされている。すなわち、両受入切欠53Bbは、Y軸方向で見た両側に第2間隔C2Bを置きつつ中間部材52Bの取付腕部分69bを受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第2間隔C2Bは、第2接着層68Bを形成すべく第1保持内側面63Bと第2中間対向面61Bとの間に配される接着剤の材質および量を勘案して設定する。この第2接着層68Bは、実施例2の第2接着層68Aと同様に、各第1保持内側面63Bと各第2中間対向面61Bとの間に形成される。このため、第2間隔C2Bは、実施例1のディスペンサー(図示せず)における1回の接着剤の塗布量を基準として、第1保持内側面63Bと第2中間対向面61Bとの間に第2接着層68Bのための接着剤が配された際、当該接着剤が第1保持内側面63Bと第2中間対向面61Bとの間を略均一な厚さ寸法(Z軸方向で見た高さ寸法)で掛け渡すことを可能とする大きさに設定する。この第2間隔C2Bは、実施例3では、0.3mmに設定している。
【0102】
さらに、両受入切欠53Bbでは、各第2保持内側面64Bが、それぞれが対向する中間部材52Bの取付腕部分69bの第3中間対向面62Bと、Y軸方向で見て第4間隔C4を置いて対向するものとされている。すなわち、両受入切欠53Bbは、Y軸方向で見た両側に第4間隔C4を置きつつ撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52Bの中間片部69Bを受け入れることが可能な大きさ寸法とされている。この第4間隔C4は、実施例1と同様であり、0.8mmに設定している。
【0103】
加えて、配置孔53Baでは、X軸方向で見て、中間部材52B(中間片部69B)に対して第1距離で移動され得る撮像素子パッケージ51の位置に拘らず、撮像素子パッケージ51を介在させた中間部材52B(中間片部69B)を受け入れ可能な大きさ寸法とされている。この保持部材53Bでは、両受入切欠53Bbを含む配置孔53Baに干渉しない位置に、保持基準位置66Bが設けられている。
【0104】
この撮像素子固定構造50Bでは、実施例1の固定方法(図8参照)のステップS1に相当する作業として、Y軸方向で、撮像素子パッケージ51を介在させて両中間片部69Bを配する。また、そのステップS2に相当する作業として、両中間片部69Bの中間基準位置59Bと、撮像素子パッケージ51の外形形状(各第1素子外側面54B)と、を所定の位置関係とする。さらに、そのステップS3に相当する作業として、両中間片部69Bの中間基準位置59Bと、撮像素子パッケージ51の撮像素子16の受光面16aの中心位置Rcとを、X軸方向で見て所定の位置関係とする。ついで、ステップS4に相当する作業として、第1間隔C1Bとされた各第1中間対向面56Bと各第1素子外側面54Bとの間に接着剤を配して、それらをY軸方向に掛け渡す第1接着層67Bを形成する。ついで、ステップS8に相当する作業として、第2間隔C2Bとされた各第1保持内側面63Bと各第2中間対向面61Bとの間に接着剤を配して、それらをX軸方向に掛け渡す第2接着層68Bを形成する。これらのことを除くと、撮像素子固定構造50Bでは、実施例1の撮像素子固定構造50と同様に、撮像素子(撮像素子パッケージ51)を固定することができる。
【0105】
実施例3の撮像素子固定構造50B(デジタルカメラ10)では、基本的に実施例1の撮像素子固定構造50(デジタルカメラ10)と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0106】
それに加えて、実施例3の撮像素子固定構造50B(デジタルカメラ10)では、中間部材52Bにおいて、撮像素子パッケージ51の第2素子外側面55BとX軸方向で対向する位置に何も存在するものがないことから、実施例1の中間部材52と比較して、X軸方向で見た大きさ寸法を小さくすることができる。これにより、撮像素子固定構造50Bでは、実施例1の撮像素子固定構造50と比較して、第2方向としてのX軸方向で見た大きさ寸法を小さくすることができ、よりコンパクトな構成とすることができる。
【0107】
したがって、本発明に係る撮像素子固定構造50Bでは、厚さ寸法の増大を招くことなく、保持部材に対して適切な位置に撮像素子パッケージを固定することができる。
【0108】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る撮像素子固定構造の一例としての撮像素子固定構造50、50A、50Bについて説明したが、被写体像を受光面で取得する撮像素子を含み前記受光面に直交する光軸方向で見て矩形状を呈する撮像素子パッケージと、該撮像素子パッケージにおいて光軸方向に直交する第1方向上に存在する一対の素子外側面と第1間隔で対向する一対の第1中間対向面を規定し、かつ光軸方向に直交しつつ前記第1方向に直交する第2方向への前記撮像素子パッケージの相対的な第1距離の移動を許容する中間部材と、前記素子外側面と前記第1中間対向面とを掛け渡して接合する第1接着層と、前記中間部材において前記第2方向上に存在する一対の第2中間対向面と第2間隔で対向する一対の保持内側面を規定し、かつ前記第1方向への前記中間部材の相対的な第2距離の移動を許容する保持部材と、前記第2中間対向面と前記保持内側面とを掛け渡して接合する第2接着層と、を備え、前記第1間隔は、前記第1距離の半分の値よりも小さく設定され、前記第2間隔は、前記第2距離の半分の値よりも小さく設定されている撮像素子固定構造であればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0109】
また、上記した各実施例では、本発明に係る撮像素子固定構造の一例としての撮像素子固定構造50、50A、50Bについて説明したが、撮像素子パッケージ51と中間部材52との間で、撮像素子16(撮像素子パッケージ51)の第2方向の位置の調整を可能としつつ第1方向で所定の第1間隔C1での各第1接着層67による接合を可能とするとともに、中間部材52と保持部材53との間で、撮像素子16(撮像素子パッケージ51)の第1方向の位置の調整を可能としつつ第2方向で所定の第2間隔C2での各第2接着層68による接合を可能とするものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0110】
さらに、上記した各実施例では、第1接着層67および第2接着層68を形成するための接着材として紫外線硬化型のものを用いていたが、撮像素子パッケージ51と中間部材(52等)とを、もしくは中間部材(52等)と保持部材(53等)とを、接合することができるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0111】
上記した各実施例では、デジタルカメラ10について説明しているが、本発明に係る撮像素子固定構造(50、50A、50B)を用いるものであれば、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置としての電子機器や画像入力装置としての電子機器であってもよく、上記した各実施例に限定されるものではない。これは、上述した電子機器では、カメラ機能を組み込んだものが近年登場しており、そのような電子機器も外観は若干異にするもののデジタルカメラ10と実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多いことによる。
【0112】
以上、本発明の撮像素子固定構造を各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0113】
10 (撮像装置の一例としての)デジタルカメラ
50、50A、50B 撮像素子固定構造
51 撮像素子パッケージ
52、52A、52B 中間部材
53、53A、53B 保持部材
54、54B 第1素子外側面
55、55B 第2素子外側面
56、56A、56B 第1中間対向面
57 第4中間対向面
59、59A、59B 中間基準位置
61、61A、61B 第2中間対向面
62、62A、62B 第3中間対向面
63、63A、63B 第1保持内側面
64、64A、64B 第2保持内側面
66、66A、66B 保持基準位置
67、67A、67B 第1接着層
68、68A、68B 第2接着層
C1、C1A、C1B 第1間隔
C2、C2A、C2B 第2間隔
C3 (第1距離のための)第3間隔
C4 第4間隔
Rc 中心位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0114】
【特許文献1】特開2006−094444号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を受光面で取得する撮像素子を含み前記受光面に直交する光軸方向で見て矩形状を呈する撮像素子パッケージと、
該撮像素子パッケージにおいて光軸方向に直交する第1方向上に存在する一対の素子外側面と第1間隔で対向する一対の第1中間対向面を規定し、かつ光軸方向に直交しつつ前記第1方向に直交する第2方向への前記撮像素子パッケージの相対的な第1距離の移動を許容する中間部材と、
前記素子外側面と前記第1中間対向面とを掛け渡して接合する第1接着層と、
前記中間部材において前記第2方向上に存在する一対の第2中間対向面と第2間隔で対向する一対の保持内側面を規定し、かつ前記第1方向への前記中間部材の相対的な第2距離の移動を許容する保持部材と、
前記第2中間対向面と前記保持内側面とを掛け渡して接合する第2接着層と、を備え、
前記第1間隔は、前記第1距離の半分の値よりも小さく設定され、
前記第2間隔は、前記第2距離の半分の値よりも小さく設定されていることを特徴とする撮像素子固定構造。
【請求項2】
前記保持部材は、前記保持内側面を第1保持内側面として、前記第1方向上に存在する一対の第2保持内側面を有し、
前記中間部材は、前記各第2保持内側面に前記第1方向で対向する一対の第3中間対向面を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像素子固定構造。
【請求項3】
前記撮像素子パッケージにおいて、前記素子外側面を第1素子外側面とし、前記第2方向上に存在する一対の第2素子外側面として、
前記中間部材は、前記第2素子外側面に前記第2方向で対向する一対の第4中間対向面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像素子固定構造。
【請求項4】
前記第1距離は、前記第2方向で見て前記撮像素子の中心位置と前記中間部材における中間基準位置とを所定の位置関係とすべく前記撮像素子パッケージと前記中間部材との前記第2方向への相対的な移動を許容し、
前記第2距離は、前記第1方向で見て前記撮像素子の中心位置と前記保持部材における保持基準位置とを所定の位置関係とすべく前記中間部材と前記保持部材との前記第1方向への相対的な移動を許容すること特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像素子固定構造。
【請求項5】
前記第1接着層は、前記第1方向で見て前記各素子外側面とそれぞれに対向する前記各第1中間対向面との間を前記第1間隔とし、かつ前記第2方向で見て前記撮像素子の中心位置と前記中間部材における中間基準位置とを所定の位置関係として、前記撮像素子パッケージと前記中間部材とを接合し、
前記第2接着層は、前記第2方向で見て前記各第2中間対向面とそれぞれに対向する前記各保持内側面との間を前記第2間隔とし、かつ前記第1方向で見て前記撮像素子の中心位置と前記保持部材における保持基準位置とを所定の位置関係として、前記中間部材と前記保持部材とを接合していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮像素子固定構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像素子固定構造が搭載されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像素子固定構造が搭載されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮像素子固定構造を用いる撮像素子固定方法であって、
前記撮像素子パッケージおよび前記中間部材を前記第1方向に相対的に移動して、前記各素子外側面とそれぞれに対向する前記各第1中間対向面との間を前記第1間隔とするとともに、前記撮像素子パッケージおよび前記中間部材を前記第2方向に相対的に移動して、前記撮像素子の中心位置と前記中間部材における中間基準位置とを所定の位置関係とする第1工程と、
該第1工程による位置関係を維持しつつ前記素子外側面と前記第1中間対向面との間に接着剤を配して前記第1接着層を形成する第2工程と、
前記撮像素子パッケージが固定された前記中間部材および前記保持部材を前記第2方向に相対的に移動して、前記各第2中間対向面とそれぞれに対向する前記各保持内側面との間を前記第2間隔とするとともに、前記中間部材および前記保持部材を前記第1方向に相対的に移動して、前記撮像素子の中心位置と前記保持部材における保持基準位置とを所定の位置関係とする第3工程と、
該第3工程による位置関係を維持しつつ前記第2中間対向面と前記保持内側面との間に接着剤を配して前記第2接着層を形成する第4工程と、を含むことを特徴とする撮像素子固定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21417(P2013−21417A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151358(P2011−151358)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】