撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体
【課題】撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことを可能とした撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】撮像装置としてのビデオカメラは、撮像素子106、フォーカスレンズ105、マイクロコンピュータ114を備える。マイクロコンピュータ114は、被写体領域を検出した場合で、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる外測位相差検出方式のフォーカス制御(第2のフォーカス制御)によりフォーカスレンズ105が駆動されている最中のときは、次の制限を行う。第2のフォーカス制御の実行を制限する。
【解決手段】撮像装置としてのビデオカメラは、撮像素子106、フォーカスレンズ105、マイクロコンピュータ114を備える。マイクロコンピュータ114は、被写体領域を検出した場合で、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる外測位相差検出方式のフォーカス制御(第2のフォーカス制御)によりフォーカスレンズ105が駆動されている最中のときは、次の制限を行う。第2のフォーカス制御の実行を制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、撮影画面内の被写体領域を検出して、その検出結果に基づいてフォーカス制御を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置のオートフォーカス(AF)制御では、撮像素子を用いて生成された映像信号の鮮鋭度(コントラスト状態)を示すAF評価値信号を生成し、該AF評価値信号におけるAF評価値が最大となるフォーカスレンズの位置を探索するTV−AF方式が主流である。
【0003】
また、人物を撮影する場合において、主人物被写体に安定したピント合わせを行うために、顔検出機能を有する撮像装置が知られている。例えば、認識された顔検出領域を含む焦点検出領域を設定し、焦点検出を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、人物の目を検出し、その目に基づいて焦点検出を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
ところで、AF方式には、測距センサを撮影レンズとは独立に設け、当該測距センサにより検出された被写体距離の情報からフォーカスレンズの合焦位置を演算し、そこにフォーカスレンズを移動させる外測測距方式(外測位相差検出方式)がある。
【0005】
この外測位相差検出方式では、被写体から受けた光束を2分割し、該2分割した光束を一組の受光素子列(ラインセンサ)によりそれぞれ受光する。そして、当該一組のラインセンサ上に形成された像のずれ量、すなわち位相差を検出し、該位相差から三角測量法を用いて被写体距離を求め、該被写体距離に対して合焦する位置(合焦位置)にフォーカスレンズを移動させる。
【0006】
また、AF方式には、内測(TTL)位相差検出方式がある。
【0007】
この内測位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、該2分割した光束を一組の焦点検出用センサによりそれぞれ受光し、その受光量に応じて出力される像のずれ量、すなわち光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピントずれ量及びピントずれ方向を直接求めてフォーカスレンズを移動させる。
【0008】
さらに、内測位相差検出方式とTV−AF方式とを組み合わせたハイブリッドAF方式もある。このハイブリッドAF方式では、内測位相差検出方式で合焦位置近傍までフォーカスレンズを移動させた後に、TV−AF方式でさらに高精度にフォーカスレンズを合焦位置に移動させる(例えば、特許文献3参照。)。また、外測位相差検出方式とTV−AF方式とを組み合わせたハイブリッドAF方式もある(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
特許文献2にて提案されているハイブリットAF方式では、TV−AF方式と外測位相差検出方式における各々の信号の変化量に応じて、どちらの方式でフォーカス制御をするかを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−227080号公報
【特許文献2】特開2001−215403号公報
【特許文献3】特開平05−064056号公報(段落[0008]〜[0009]、図1等)
【特許文献4】特開2005−234325号公報(段落[0037]〜[0062]、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
撮像装置において、上述したハイブリッドAF方式と顔検出機能とを組み合わせて焦点検出を行うと、主人物被写体に対して安定したピント合わせを行うことができると共に、ボケている状態からは高速なピント合わせが可能となる。
【0012】
しかしながら、被写体が動いている場合や撮影者による手ぶれが発生している場合においては、顔検出領域での位相差検出方式によるフォーカスレンズの合焦位置を常に取得できるとは限らない。顔を検出して安定したピント合わせを行っている際に、一時的に顔検出領域に対するフォーカスレンズの合焦位置が取得できず背景に対するフォーカスレンズの合焦位置を取得した場合、合焦近傍にないと判断して、背景に対するフォーカスレンズの合焦位置にフォーカスレンズを移動し、このため撮影者に不快感を与えてしまうことがある。
【0013】
また、外測位相差検出方式を用いる場合、撮影レンズの主光学系とは別の光学系を用いるため、パララックスが発生する。このため、顔が検出された画面上の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが異なる場合がある。この場合、主人物被写体の顔を検出して安定したピント合わせを行っていても、外測位相差検出方式で取得されるフォーカスレンズの合焦位置が背景の被写体となることがある。そして、ボケていると判断して、背景の被写体にピント合わせを行い、このため撮影者に不快感を与えてしまうことがある。また、主人物被写体の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが重なった場合には、主人物被写体に高速なピント合わせを行うため、ピント合わせが不安定な状況が発生しうる。
【0014】
さらに、画面全体がボケている状態から、高速なピント合わせを行った場合、同様に主人物被写体の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが同じになるとは限らない。このため、同じでない場合には、主人物被写体に対して即座にピント合わせを行うのではなく、背景に対してピント合わせを行った後に、主人物被写体に対してピント合わせを行うことがあり、安定したピント合わせを高速に行えないことがある。
【0015】
本発明の目的は、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことを可能とした撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出手段と、前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成手段と、被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成手段と、前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被写体領域を検出した場合であって、第2のフォーカス制御によりフォーカスレンズが駆動されている最中のときは、第2のフォーカス制御の実行を制限する。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるマイクロコンピュータが実行するフォーカス制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。
【図4】図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。
【図5】図2におけるステップS208で実行されるハイブリッドAF処理を示すフローチャートである。
【図6】図2のフォーカス制御処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
【図7】図2のフォーカス制御処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
【図8】図2のフォーカス制御処理の第3の変形例を示すフローチャートである。
【図9】図2のフォーカス制御処理の第4の変形例を示すフローチャートである。
【図10】図3のTV−AF処理におけるステップS302で実行されるフォーカスレンズの微小駆動を説明するための図である。
【図11】図3のTV−AF処理におけるステップS311で実行されるフォーカスレンズの山登り駆動を説明するための図である。
【図12】ビデオカメラに外部測距センサが装着されている場合を説明するための図であり、(A)は、外部測距センサとレンズとの位置関係を示す図であり、(B)は、テレ側の撮影画面であり、(C)は、ワイド側の撮影画面である。
【図13】フォーカスレンズを合焦位置へ移動している最中に顔検出された場合を説明するための図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置について説明する。なお、本実施の形態では、撮像装置がビデオカメラであるが、ビデオカメラに限らず、デジタルスチルカメラ等の他の撮像装置であってもよい。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1において、101は第1の固定レンズ群、102は光軸方向に移動して変倍を行い、焦点距離を可変な変倍レンズ、103は絞りである。また、104は第2の固定レンズ群、105は変倍に伴う焦点面の移動を補正する機能とフォーカシングの機能とを兼ね備えたフォーカスコンペンセータレンズ(以下、「フォーカスレンズ」という。)である。第1の固定レンズ群101、変倍レンズ102、絞り103、第2の固定レンズ群104及びフォーカスレンズ105により撮像光学系が構成される。
【0023】
106はCCDセンサやCMOSセンサにより構成される光電変換素子としての撮像素子である。撮像素子106は撮像光学系により形成された被写体像を撮像して映像信号を出力する。107は撮像素子106の出力をサンプリングし、ゲイン調整するCDS/AGC回路である。
【0024】
108はカメラ信号処理回路であり、CDS/AGC回路107からの出力信号に対して各種の画像処理を施し、映像信号を生成する。109はLCD等により構成されるモニタであり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を表示する。115は記録部であり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を磁気テープ、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0025】
110は変倍レンズ102を移動させるためのズーム駆動源である。111はフォーカスレンズ105を移動させるためのフォーカシング駆動源である。ズーム駆動源110及びフォーカシング駆動源111は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ及びボイスコイルモータ等のアクチュエータにより構成される。
【0026】
112はCDS/AGC回路107からの全画素の出力信号のうち焦点検出に用いられる領域の信号のみを通すAFゲートである。
【0027】
AF信号処理回路113は、AFゲート112を通過した信号から高周波成分や輝度差成分(AFゲート112を通過した信号の輝度レベルの最大値と最小値の差分)等を抽出してAF評価値信号を生成する。AF評価値信号は、カメラ/AFマイクロコンピュータ(以下、単に「マイクロコンピュータ」という。)114に出力される。AF評価値信号は、撮像素子106からの出力信号に基づいて生成される映像信号の鮮鋭度(コントラスト状態)を表すものであるが、鮮鋭度は撮像光学系の焦点状態によって変化するので、結果的にAF評価値信号は撮像光学系の焦点状態を表す信号となる。
【0028】
マイクロコンピュータ114は、ビデオカメラ全体の動作の制御を司ると共に、フォーカシング駆動源111を制御してフォーカスレンズ105を移動させるフォーカス制御を行う。マイクロコンピュータ114は、フォーカス制御として、TV−AF方式でのフォーカス制御(以下、単に「TV−AF」という。)を行う。
【0029】
顔検出部116は、映像信号に対して公知の顔検出処理を施して、撮影画面内の人物の顔領域を検出する。その検出結果をマイクロコンピュータ114に送信する。マイクロコンピュータ114は、上記検出結果に基づき、撮影画面内の顔領域を含む位置に焦点検出に用いられる領域を追加するようにAFゲート112へ情報を送信する。
【0030】
なお、顔検出処理としては、例えば、画像データで表される各画素の階調色から、肌色領域を抽出し、予め用意する顔の輪郭プレートとのマッチング度で顔を検出する方法や、周知のパターン認識技術を用いて、目、鼻、口等の顔の特徴点を抽出することで顔検出を行う方法等が開示されている。本実施の形態では、顔検出処理の方法については、上述した方法に限られず、どのような方法であってもよい。
【0031】
117は外部測距ユニットであり、従来の外測位相差検出方式、超音波センサ方式、赤外線センサ方式等いずれの方式であってもよい。外部測距ユニット117からの測距及び測距信頼性の情報は、マイクロコンピュータ114へ取り込まれフォーカスレンズ105の合焦位置の情報へと変換される。ここで、測距信頼性としては、例えば外測位相差検出方式であれば、光束の分割方向の相対的位置ずれ量に基づいて測距を行うので、分割した2像の相関性を信頼性とするのが一般的である。
【0032】
次に、マイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理について説明する。
【0033】
図2は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理を示すフローチャートである。本処理は、マイクロコンピュータ114内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行され、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子106からの撮像信号の読み出し周期にて繰り返し実行される。
【0034】
図2において、まず、最新の映像信号に対して顔検出処理を実行した後の顔検出部116から顔検出領域の有無の情報を取得する(ステップS201)。
【0035】
次いで、取得した顔検出領域の有無の情報に基づいて、顔検出部116で顔領域が検出できたか否かを判別する(ステップS202)。
【0036】
ステップS202の判別の結果、顔検出部116で顔領域が検出できたときは(ステップS202でYES)、顔が検出された撮影画面上の位置情報に基づいて顔検出領域を含む被写体に追従して移動する所定のAF枠(以下、単に「顔枠」という。)(第1の焦点検出領域)をAFゲート112に設定する(ステップS203)。位置情報としては、顔が認識された領域の中心位置や、目、鼻、口等の顔の特徴点の位置の情報であってもよい。
【0037】
次いで、AF信号処理回路113から出力される顔枠のAF評価値信号(第1の焦点領域情報)を取得する(ステップS204)(第1の生成手段)。
【0038】
次いで、取得した顔枠のAF評価値信号におけるAF評価値(第1の情報)を用いて、後述する図3及び図4のTV−AF処理(第1のフォーカス制御)を実行する(ステップS205)。図3及び図4のTV−AF処理では、AF評価値が最大になるように、AF評価値をモニタしつつフォーカスレンズ105を駆動して焦点を調節して合焦を得る。なお、図3及び図4のTV−AF処理では、合焦が得られている状態において、フォーカスレンズ105の再駆動の必要性の有無を判断するために、AF評価値の低下があったか否かを判別する等、合焦を維持するための処理も含まれる。
【0039】
ステップS202の判別の結果、顔検出部116で顔領域が検出できないときは(ステップS202でNO)、撮影画面の中央を中心とした固定のAF枠(以下、単に「通常枠」という。)(第2の焦点検出領域)をAFゲート112に設定する(ステップS206)。
【0040】
次いで、AF信号処理回路113から出力される通常枠のAF評価値信号(第2の焦点領域情報)を取得する(ステップS207)。
【0041】
次いで、取得した通常枠のAF評価値信号におけるAF評価値を用いて、後述する図5のハイブリッドAF方式でのフォーカス制御(以下、単に「ハイブリッドAF」という。)処理を実行する(ステップS208)。図5のハイブリッドAF処理では、TV−AF方式と位相差検出方式とを組み合わせてピント合わせを行う。
【0042】
ステップS205の処理、又はステップS208の処理の後、AFゲート112に設定されているAF枠から取得されたAF評価値の履歴を履歴情報として保存する(ステップS209)。
【0043】
次いで、得られたフォーカスレンズ105の合焦位置の履歴を履歴情報として保存して(ステップS210)、本処理を終了する。
【0044】
図3及び図4は、図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。なお、本処理は、後述する図5のハイブリッドAF処理におけるステップS401でも実行されるため、図3及び図4のフローチャートは図5のハイブリッドAF処理において実行される場合を考慮したものとなっている。
【0045】
図3において、まず、TV−AFのモードが微小駆動モードであるか否かを判別する(ステップS301)。微小駆動モードについては後述する。
【0046】
ステップS301の判別の結果、モードが微小駆動モードであるときは(ステップS301でYES)、フォーカスレンズ105を微小駆動する(ステップS302)。微小駆動については、後に図10を用いて説明する。
【0047】
次いで、合焦状態であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0048】
ステップS303の判別の結果、合焦状態であるときは(ステップS303でYES)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(ステップS304)。
【0049】
次いで、フォーカスレンズ105の合焦位置におけるAF評価値をマイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶させる(ステップS305)。
【0050】
次いで、現在のモードを再駆動判定モードに移行させる(ステップS306)。
【0051】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS307)。これは、TV−AFによって合焦判定され、フォーカスレンズ105が停止しているため、フォーカスレンズ105が外測AFによって外測合焦位置へ移動され、不要な映像のぼけを生じさせないようにするためである。
【0052】
ステップS303の判別の結果、合焦状態でないときは(ステップS303でNO)、現在のフォーカスレンズ105の位置に対して合焦位置がどの方向にあるかを判定する(ステップS308)。
【0053】
次いで、ステップS308において合焦位置の方向(以下、「合焦方向」という。)を判定できたか否かを判別する(ステップS309)。
【0054】
ステップS309の判別の結果、合焦方向を判定できたときは(ステップS309でYES)、TV−AFのモードを山登り駆動モードに移行させる(ステップS310)。
【0055】
ステップS301の判別の結果、モードが微小駆動モードでないときは(ステップS301でNO)、モードが山登り駆動モードであるか否かを判別する(ステップS311)。
【0056】
ステップS311の判別の結果、モードが山登り駆動モードであるときは(ステップS311でYES)、所定の速度でフォーカスレンズ105を山登り駆動(合焦位置検出制御)する(ステップS312)。
【0057】
次いで、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークを越えたか否かを判別する(ステップS313)。
【0058】
ステップS313の判別の結果、AF評価値がピークを越えたときは(ステップS313でYES)、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークとなった位置(以下、「ピーク位置」という。)にフォーカスレンズ105を戻す(ステップS314)。
【0059】
次いで、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻ったか否かを判別する(ステップS315)。
【0060】
ステップS315の判別の結果、ピーク位置に戻ったときは(ステップS315でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS316)。
【0061】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS317)。これは、山登り駆動モードで合焦位置(ピーク位置)が判別され、合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させたにも関わらず、外測AFによってフォーカスレンズ105が外測合焦位置に駆動されて不要な映像のぼけを生じさせないようにするためである。
【0062】
ステップS311の判別の結果、モードが山登り駆動モードでないときは(ステップS311でNO)、図4に進み、現在のモードが再駆動判定モードであるか又は位相差駆動モードであるかを判別する(ステップS318)。
【0063】
ステップS318の判別の結果、モードが再駆動判定モードであるときは、マイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶されているAF評価値と最新のAF評価値とを比較して、これらの差が所定の値よりも大きいか否か、すなわちAF評価値の変動が大きいか否かを判別する(ステップS319)。
【0064】
ステップS319の判別の結果、AF評価値の変動が大きいときは(ステップS319でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS320)。
【0065】
ステップS319の判別の結果、AF評価値の変動が小さいときは(ステップS319でNO)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(ステップS321)。
【0066】
ステップS318の判別の結果、モードが位相差駆動モードであるとき、すなわちフォーカスレンズ105を外測合焦位置に向けて移動させているときは、外測合焦位置を目標位置として、この目標位置にフォーカスレンズ105が到達したか否かを判別する(ステップS322)。
【0067】
ステップS322の判別の結果、目標位置にフォーカスレンズ105が到達したときは(ステップS322でYES)、現在のモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS323)。すなわち、外測AFからTV−AFの微小駆動モードへ移行させる。
【0068】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS324)。
【0069】
ステップS307、ステップS310、ステップS317、ステップS320、ステップS321又はステップS324の後、本処理を終了する。
【0070】
図10は、図3のTV−AF処理におけるステップS302で実行されるフォーカスレンズ105の微小駆動を説明するための図である。
【0071】
図10において、横軸は時間を、縦軸はフォーカスレンズ105の位置を示している。また、図中上方において、映像信号の垂直同期信号を示している。
【0072】
図10に示すように、期間Aの間に撮像素子106に蓄積された電荷(図中、斜線楕円で示す)に対するAF評価値EVAが時刻TAで取り込まれ、期間Bの間に撮像素子106に蓄積された電荷に対するAF評価値EVBが時刻TBで取り込まれる。また、時刻TCでは、AF評価値EVA,EVBを比較して、EVB>EVAであれば、微小駆動の駆動(振動)中心を移動させる。一方、EVA>EVBであれば、振動中心を移動させない。このように、フォーカスレンズ105を移動させながらAF評価値が増加する方向を判定したり、AF評価値が最も大きくなるフォーカスレンズ105の位置(ピーク位置)を探したりするのが微小駆動である。
【0073】
なお、AF評価値の変化から合焦状態か否かを判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動させる制御は、合焦確認制御ということもできる。
【0074】
また、AF評価値の変化から合焦方向を判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動させる制御は、合焦方向判別制御ということもできる。
【0075】
図11は、図3のTV−AF処理におけるステップS311で実行されるフォーカスレンズ105の山登り駆動を説明するための図である。
【0076】
図11において、横軸はフォーカスレンズ105の位置を、縦軸はAF評価値を示している。
【0077】
図11に示すように、Aの動きでは、AF評価値がピークを越えてから減少するので、ピーク位置(合焦位置)の存在を確認することができる。この場合、フォーカスレンズ105をピーク位置近傍に戻してから山登り駆動を終了して、微小駆動に移行する。一方、Bの動きでは、ピークが無く、AF評価値が単調に減少するので、フォーカスレンズ105の駆動方向が誤りであると判定することができる。この場合、フォーカスレンズ105の駆動方向を反転して山登り駆動を継続する。このように、フォーカスレンズ105を駆動して、その間に得られたAF評価値がピークとなるピーク位置又はその近傍を判定するのが山登り駆動である。
【0078】
図5は、図2におけるステップS208で実行されるハイブリッドAF処理を示すフローチャートである。
【0079】
図5において、まず、図3及び図4のTV−AF処理を実行する(ステップS401)。このTV−AF処理では、AF評価値をモニタしつつフォーカスレンズ105を駆動して合焦を得ると共に、合焦が得られている状態においてフォーカスレンズ105の再駆動の必要性を判断するために、AF評価値の低下があったか否かを判定する。このように、TV−AF処理は合焦を維持するための処理も含む。
【0080】
次いで、外部測距ユニット117から被写体距離の情報(第2の情報)を取得する(ステップS402)(第2の生成手段)。
【0081】
次いで、取得した被写体距離の情報から外測合焦位置を算出する(ステップS403)。
【0082】
次いで、現在のモードが位相差使用モードであるか否かを判別する(ステップS404)。位相差使用モードとは、特定の条件を満たす場合に限り、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる外測位相差検出方式のフォーカス制御(以下、「外測AF」という。)(第2のフォーカス制御)を行うことが許されるモードである。
【0083】
ステップS404の判別の結果、現在のモードが位相差使用モードでないときは(ステップS404でNO)、コントラスト及び被写体距離の変化が大きいか否かを判別するための閾値を設定する(ステップS405)。
【0084】
次いで、コントラスト及び被写体距離の情報と上記閾値とを用いてコントラスト及び被写体距離の変化が大きいか否かを判別する(ステップS406)。すなわち、前回のルーチンで取得したコントラストの情報に対する今回のルーチンで取得したコントラストの情報の変化が閾値より大きいか否かを判別する。また、前回のルーチンで取得した被写体距離の情報に対する今回のルーチンで取得した被写体距離の情報の変化が閾値より大きいか否かを判別する。
【0085】
本実施の形態では、マイクロコンピュータ114は、AF信号処理回路113から得られる、AFゲート112を通過した信号の各画素ラインでの輝度レベルの最大値と最小値との差を求める。そして、これらの差の最大値をコントラストの情報として用いる。なお、このコントラストの情報に代えて、コントラストの状態を示す点では共通であるAF評価値を閾値と比較してもよい。
【0086】
ステップS406の判別の結果、コントラスト及び被写体距離の変化が大きいときは(ステップS406でYES)、現在のモードを位相差使用モードへ移行させる(ステップS407)。
【0087】
一方、ステップS406の判別の結果、コントラスト及び被写体距離の少なくとも一方の変化が小さいときは(ステップS406でNO)、ステップS401の処理へ戻る。すなわち、コントラスト及び被写体距離の少なくとも一方の変化が小さいときは、TV−AF処理のみが上述した撮像信号の読み出し周期で繰り返し行われる。
【0088】
なお、本実施の形態では、被写体距離の情報の変化が閾値より大きいか否かを判断する場合について説明しているが、ステップS403にて被写体距離の情報に基づいて算出された外測合焦位置の変化を用いて判断してもよい。この場合、被写体距離の情報の変化について判断していることと等価である。
【0089】
なお、ステップS406は、被写体距離の情報(又は外測合焦位置の情報)を用いてフォーカスレンズ105を移動させる、すなわち外測AFを行うか否かを切り替えるための第1段階の判定である。つまり、外測AFによってフォーカスレンズ105を駆動させる条件(タイミング)を、被写体のコントラストの状態が大きく変化した場合であって、且つ被写体距離が大きく変化した場合に限定する。
【0090】
これにより、被写体距離は大きく変化しておらず合焦状態から外れていないのに、被写体の絵柄等の変化によりAF評価値が大きく変化した場合において、従来のようにまず外測合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させることで発生する不要な映像のぼけを防止することができる。
【0091】
ステップS404の判別の結果、現在のモードが位相差使用モードであるとき(ステップS404でYES)、又はステップS407の処理の後、現在のモードが位相差駆動モードであるか否かを判別する(ステップS408)。
【0092】
ステップS408の判別の結果、現在のモードが位相差駆動モードであるとき、すなわち既に位相差駆動モードに設定されていて外測合焦位置に向けてフォーカスレンズ105を移動させているときは(ステップS408でYES)、ステップS401の処理へ戻る。
【0093】
一方、ステップS403の判別の結果、現在のモードが位相差駆動モードでないときは(ステップS408でNO)、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる、すなわち外測AFを実行するべきかどうかを判定するためのフォーカス移動量の閾値を設定する(ステップS409)。この閾値は、外部測距ユニット117による被写体距離の検出のバラツキを考慮して設定される。
【0094】
次いで、ステップS403にて得られた外測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差(絶対値)を求めて、その差がステップS409で設定されたフォーカス移動量の閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS410)。
【0095】
なお、ステップS410は、外測AFを行うか否かを切り替えるための第2段階の判定である。つまり、外測AFによってフォーカスレンズ105を駆動させる条件(タイミング)を、外測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差が大きい場合に限定する。
【0096】
この第2段階の判定における条件を満たさない場合に外測AFを行わないのは、外測AFはTV−AFと比較して合焦精度が劣るためである。不用意に外測合焦位置にフォーカスレンズ105を移動させると、TV−AFと外測AFとの間でハンチングが生じたり、映像にぼけが生じたりするためである。
【0097】
ステップS410の判別の結果、差がフォーカス移動量の閾値よりも大きいときは(ステップS410でYES)、現在のモードを位相差駆動モードへ移行させる(ステップS411)。
【0098】
次いで、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に向けて移動させる(ステップS412)。
【0099】
一方、ステップS410の判別の結果、差がフォーカス移動量の閾値よりも小さいときは(ステップS410でNO)、位相差使用モードを解除する(ステップS413)。
【0100】
ステップS412又はステップS413の処理の後、本処理を終了する。
【0101】
なお、上述したハイブリッドAF処理におけるAF方式の切り換えは一例であり、TV−AFと外測AFとの切り替え方法はこの限りではない。
【0102】
図2のフォーカス制御処理によれば、被写体が動いている場合や撮影者による手ぶれが発生している場合において、常に顔検出領域で位相差検出方式によるフォーカスレンズ105の合焦位置を取得できるとは限らないため、顔が検出されたか否かによって、フォーカス制御の方式を選択(制限)する。これにより、顔を検出して安定してピント合わせを行っている際に、一時的に位相差検出方式により顔検出領域に対するフォーカスレンズ105の合焦位置が取得できず、背景に対するフォーカスレンズ105の合焦位置を取得した場合、合焦近傍にないと判断して、背景に対するフォーカスレンズ105の合焦位置にフォーカスレンズを移動するのを防止することができる。また、顔検出処理においても、ある一枚の画像をもとに顔検出処理を行うため、ピントが合っていない状態では、顔検出頻度が低下してしまうが、合焦近傍にある場合には、顔検出頻度が向上する。このため、顔が検出されている場合には既に合焦近傍にあると判断し、TV−AF方式により安定した高精度なピント合わせのみで行う方が好ましい。顔が検出されていない場合とは、合焦近傍にない場合や、主人物被写体が存在しない場合であり、ハイブリッドAF制御により、合焦近傍にない場合には、応答性を向上させ、合焦近傍にある場合には、安定した高精度なピント合わせを行うようにする。これにより、撮影者が主被写体に安定した高精度な、さらには応答性が向上したピント合わせ制御ができ、不快感を軽減することができる。
【0103】
次に、マイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理の変形例について説明する。
【0104】
まず、フォーカス制御処理の第1の変形例について説明する。
【0105】
図6は、図2のフォーカス制御処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
【0106】
図6の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0107】
図6の処理では、図2の処理において、顔領域が検出できた場合において、AF評価値により合焦度を判定し、合焦近傍にあるのか又は合焦近傍にないのかを判断するものである。
【0108】
図6において、ステップS204の処理の後、取得した顔枠のAF評価値信号におけるAF評価値を用いて、簡易的な合焦度の判定を行う(ステップS501)。ステップS501での判定は、撮影映像の輝度信号を用いて、コントラストがあるにも関わらず、高周波成分が取得できない場合にボケていると判定可能な簡易的なものであればよい。例えば、(各ラインの高周波成分の出力結果の最大値)を(各ラインの輝度信号の最大値と最小値との差の最大値)で除算して、その結果を1〜10に分割して表してもよい。
【0109】
次いで、ステップS501の判定結果に基づいて、ボケている状態であるか否かを判別する(ステップS502)。
【0110】
ステップS502の判別の結果、合焦近傍にあり、ボケている状態でないときは(ステップS502でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0111】
一方、ステップS502の判別の結果、ボケている状態であるときは(ステップS502でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0112】
通常、顔領域が検出された場合においても、撮影画面がボケている場合には、誤検出も考えられる。この場合、誤検出に対応してピント合わせが遅くなってしまう。また、ピントがボケている場合に、TV−AFのみでピント合わせを実行していては、ピントが合うまでに時間がかかってしまい、撮影者に不快感を与えてしまうため、ハイブリッドAF方式で合焦近傍までフォーカスレンズを移動させることが有効である。
【0113】
図6のフォーカス制御処理によれば、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0114】
次に、フォーカス制御処理の第2の変形例について説明する。
【0115】
図7は、図2のフォーカス制御処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
【0116】
図7の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0117】
図7の処理では、図2の処理において、顔領域が検出された場合において、焦点検出領域と外部測距領域とが重なっているかどうかを判定するものである。
【0118】
図7において、ステップS204の処理の後、焦点距離に応じて外部測距領域が画面上のどの位置に存在するかを判定する(ステップS601)。なお、ステップS601では、焦点距離だけでなく外部測距センサにより取得された被写体距離も含めて判定してもよい。具体的には、例えば被写体距離が3mで画面中央になるように設定した場合、図12(A)に示すように、撮影レンズに対して外部測距センサが装着されている場合、図12(B)のテレ側と図12(C)のワイド側とでは、画面上に占める外部測距領域の大きさが変化し、ワイド側の方が小さくなる。また、被写体距離が至近側と無限側とでは、至近側の場合、撮影画面の画面中央から右側に、無限側の場合、撮影画面の画面中央から左側に寄った位置に外部測距領域が位置される。
【0119】
次いで、ステップS601で得られた外部測距領域と顔検出領域とが重なっているか否かを判別する(ステップS602)。
【0120】
ステップS602の判別の結果、外部測距領域と顔検出領域とが重なっていないときは(ステップS602でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0121】
一方、ステップS602の判別の結果、外部測距領域と顔検出領域とが重なっているときは(ステップS602でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0122】
図7のフォーカス制御処理によれば、外部測距領域と顔検出領域とが重なっている場合には、外部測距方式による合焦フォーカスレンズ位置も主人物被写体を捉えているため、主人物被写体以外の被写体を測距して誤って背景にピント合わせを行うこともないため、ハイブリッドAF制御を行うことにより、応答性も向上させたピント合わせ動作を行う。また、重なっていない場合には、外部測距方式による合焦フォーカスレンズ位置は主人物被写体以外の被写体を測距していることが多いため、主人物被写体からピントが外れてしまうことが発生するため、TV−AF制御のみでピント合わせ動作を行う。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0123】
次に、フォーカス制御処理の第3の変形例について説明する。
【0124】
図8は、図2のフォーカス制御処理の第3の変形例を示すフローチャートである。
【0125】
図8の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0126】
図8の処理では、図2の処理において、顔領域が検出された場合において、顔検出結果で得られる顔である確からしさを示した信頼度に応じてAF制御を選択するものである。
【0127】
図8において、ステップS204の処理の後、検出された顔領域の画面上の位置、サイズの他に、顔である確からしさを示す信頼度を取得する(ステップS701)(信頼度検出手段)。この信頼度とは、例えば、顔検出処理においてパターンマッチングしたときのマッチング度合、又は、目、口、鼻、まゆげ、顔の形等、人間の顔の特徴点の検出数等で判定されるものであり、顔であると判定される正確性を示すものであればよい。この信頼度が高いほど顔である確率が高く、信頼度が低いほど誤検出が多い。
【0128】
次いで、顔である確からしさを示す信頼度が所定の閾値(第1の値)よりも低いか否かを判別する(ステップS702)。
【0129】
ステップS702の判別の結果、信頼度が閾値よりも高いときは(ステップS702でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0130】
一方、ステップS702の判別の結果、信頼度が閾値よりも低いときは(ステップS702でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0131】
図8のフォーカス制御処理によれば、信頼度が閾値よりも低い場合には、顔領域が検出されていても誤検出の確率も高く、また撮影画面がボケていることにより信頼度が低くなっている可能性もあるため、ハイブリッドAF方式により合焦近傍までフォーカスレンズ105の位置を移動させることにより、次により信頼性の高い顔検出結果を取得するようにする。また、信頼度が閾値よりも高い場合には、顔領域を検出できた確率が高く、合焦近傍にあるため、正確な検出できているため、TV−AF制御により安定した高精度なピント合わせ動作を行う。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0132】
なお、顔である確からしさを示す信頼度と比較する閾値は、様々な被写体を撮影した結果経験上により、どの程度の信頼度であれば誤検出がなくなるかにより閾値を決定すればよい。
【0133】
次に、フォーカス制御処理の第4の変形例について説明する。
【0134】
図9は、図2のフォーカス制御処理の第4の変形例を示すフローチャートである。
【0135】
図9の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0136】
図9の処理では、図2の処理におけるAF処理において、位相差検出方式によってフォーカスレンズ105の合焦位置へ移動している場合において、移動している最中に顔検出された場合の制御を示すものである。
【0137】
特に、図13に示すように、外部測距センサを用いた場合、図12を用いて説明したように外部測距領域で測距できたフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体とは限らない。このため、位相差検出方式においてフォーカスレンズ105の合焦位置と主人物被写体のフォーカスレンズ105の合焦位置とは異なる可能性がある。この場合、位相差検出方式におけるフォーカスレンズ105の合焦位置までフォーカスレンズ105の位置を移動させてしまうと、主人物被写体に対してピントが合わないことになる。
【0138】
図9において、ステップS204の後、現在、位相差検出方式によって得られたフォーカスレンズ105の合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させている最中か否かを判別する(ステップS801)。
【0139】
ステップS801の判別の結果、フォーカスレンズ105を移動させていないときは(ステップS801でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0140】
一方、ステップS801の判別の結果、フォーカスレンズ105を移動させている最中のときは(ステップS801でYES)、合焦近傍にない状態から位相差検出結果によりフォーカスレンズを移動させているので、顔が検出されて主人物被写体に対しては合焦近傍に来ている可能性がある。そのため、顔が検出された現在のフォーカスレンズ105の位置と位相差検出結果で移動させているフォーカスレンズ105の合焦位置とを比較するための閾値(第2の値)を設定する(ステップS802)。この閾値は、焦点深度や、焦点距離によって設定すればよく、焦点深度が浅いほど閾値を小さく、そして焦点距離が長くなるほど閾値を大きく設定する。
【0141】
次いで、顔が検出された現在のフォーカスレンズ105の位置と位相差検出結果で移動させているフォーカスレンズ105の合焦位置とを比較して、その差(第3の情報)がステップS802で設定した閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS803)。
【0142】
ステップS803の判別の結果、差が閾値よりも大きいときは(ステップS803でYES)、位相差検出結果によるフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体のピント位置と異なっているため、主人物被写体とは別の背景の被写体等にピントを合わせてしまう。そのため、この場合、位相差検出結果によるフォーカスレンズの移動を停止して(ステップS804)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0143】
ステップS803の判別の結果、差が閾値よりも小さいときは(ステップS803でNO)、位相差検出結果によるフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体のピント位置とほぼ同じであると考えられるため、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0144】
図9のフォーカス制御処理によれば、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0145】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置について説明する。
【0146】
本実施の形態に係る撮像装置は、上述した第1の実施の形態に係る撮像装置で用いていた外部位相差検出(外測)方式に代えてTTL(内測)位相差検出方式を用いている点が第1の実施の形態と異なるのみであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0147】
図14は、本実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【0148】
図14において、ビデオカメラの撮像光学系は、被写体側から順に、第1の固定レンズ群101、変倍レンズ102、フォーカスレンズ105、絞り103及び第2の固定レンズ群120により構成されている。
【0149】
121はハーフプリズムであり、フォーカスレンズ105と絞り103との間に配置されている。ハーフプリズム121は、フォーカスレンズ105から絞り103に向かう光束を、撮像素子106に向かう光束成分と、後述するAFセンサ124に向かう光束成分とに分割する。絞り103は、動画撮影中、常に動作しているので、絞り103よりも被写体側に配置したハーフプリズム121によって、入射光束を分割する。
【0150】
122はハーフプリズム121により分割された光束成分を反射するサブミラーであり、123はサブミラー122で反射した光束をAFセンサ124上に結像させる結像レンズである。AFセンサ124は、位相差検出方式AF用の一対の受光素子列(ラインセンサ)を有する。125はAFセンサ124の一対のラインセンサ上に形成された2つの像信号の位相差を演算するAF回路である。
【0151】
マイクロコンピュータ114は、AF回路125からの位相差情報に基づいて、ピントのずれ量及びずれ方向を求める。
【0152】
このように構成されたビデオカメラでは、上述した各フォーカス制御処理におけるハイブリッドAF処理において、被写体距離の情報に代えて、ピントのずれ量及びずれ方向を得ることにより、同様のハイブリッドAF処理を行うことができる。
【0153】
また、図9のフォーカス制御処理では、ステップS802にて、マイクロコンピュータ114は、AF回路125からの位相差情報に基づいて、ピントのずれ量及びずれ方向を算出する。また、ピントのずれ量及びずれ方向から、位相差検出方式によるフォーカスレンズ105の合焦位置(内測合焦位置)を算出し、そして、ステップS803にて、この内測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差が、閾値より大きいか否かを判別する。
【0154】
上述した各フォーカス制御処理は組み合わせて実行してもよく、各フォーカス制御処理で完結する限りのものではない。
【0155】
以上説明したように、上述した各実施の形態では、TV−AF方式と位相差AF方式とを組み合わせてAF制御を行う場合において、さらに顔検出処理を用いて撮影者が意図する被写体に対し、正確な安定したピント合わせを行う場合において、以下の特徴を有する。
【0156】
すなわち、顔が検出された場合には、TV−AFのみで実行する。また、顔が検出された場合において、AF評価値によるピントがボケているかどうかを判定すること、測距領域と顔検出領域が一致しているかを判定すること、顔である確からしさを示す信頼度に応じて判定することにより、顔が検出された場合に合焦近傍でピントがほぼ合っている状態では、TV−AFによって安定した高精度なピント合わせを行い、合焦近傍ではなく撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。また、顔が検出されて主人物被写体の合焦近傍にいるにも関わらず、位相差AF制御により主人物被写体とは異なる被写体に対してピント合わせを行ってしまうことを軽減することができる。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0157】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0158】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0159】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0160】
更に、前述した各実施の形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0161】
105 フォーカスレンズ
106 撮像素子
112 AFゲート
113 AF信号処理回路
114 マイクロコンピュータ
116 顔検出部
117 外部測距ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、撮影画面内の被写体領域を検出して、その検出結果に基づいてフォーカス制御を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置のオートフォーカス(AF)制御では、撮像素子を用いて生成された映像信号の鮮鋭度(コントラスト状態)を示すAF評価値信号を生成し、該AF評価値信号におけるAF評価値が最大となるフォーカスレンズの位置を探索するTV−AF方式が主流である。
【0003】
また、人物を撮影する場合において、主人物被写体に安定したピント合わせを行うために、顔検出機能を有する撮像装置が知られている。例えば、認識された顔検出領域を含む焦点検出領域を設定し、焦点検出を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、人物の目を検出し、その目に基づいて焦点検出を行う撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
ところで、AF方式には、測距センサを撮影レンズとは独立に設け、当該測距センサにより検出された被写体距離の情報からフォーカスレンズの合焦位置を演算し、そこにフォーカスレンズを移動させる外測測距方式(外測位相差検出方式)がある。
【0005】
この外測位相差検出方式では、被写体から受けた光束を2分割し、該2分割した光束を一組の受光素子列(ラインセンサ)によりそれぞれ受光する。そして、当該一組のラインセンサ上に形成された像のずれ量、すなわち位相差を検出し、該位相差から三角測量法を用いて被写体距離を求め、該被写体距離に対して合焦する位置(合焦位置)にフォーカスレンズを移動させる。
【0006】
また、AF方式には、内測(TTL)位相差検出方式がある。
【0007】
この内測位相差検出方式では、撮影レンズの射出瞳を通過した光束を2分割し、該2分割した光束を一組の焦点検出用センサによりそれぞれ受光し、その受光量に応じて出力される像のずれ量、すなわち光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影レンズのピントずれ量及びピントずれ方向を直接求めてフォーカスレンズを移動させる。
【0008】
さらに、内測位相差検出方式とTV−AF方式とを組み合わせたハイブリッドAF方式もある。このハイブリッドAF方式では、内測位相差検出方式で合焦位置近傍までフォーカスレンズを移動させた後に、TV−AF方式でさらに高精度にフォーカスレンズを合焦位置に移動させる(例えば、特許文献3参照。)。また、外測位相差検出方式とTV−AF方式とを組み合わせたハイブリッドAF方式もある(例えば、特許文献4参照。)。
【0009】
特許文献2にて提案されているハイブリットAF方式では、TV−AF方式と外測位相差検出方式における各々の信号の変化量に応じて、どちらの方式でフォーカス制御をするかを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−227080号公報
【特許文献2】特開2001−215403号公報
【特許文献3】特開平05−064056号公報(段落[0008]〜[0009]、図1等)
【特許文献4】特開2005−234325号公報(段落[0037]〜[0062]、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
撮像装置において、上述したハイブリッドAF方式と顔検出機能とを組み合わせて焦点検出を行うと、主人物被写体に対して安定したピント合わせを行うことができると共に、ボケている状態からは高速なピント合わせが可能となる。
【0012】
しかしながら、被写体が動いている場合や撮影者による手ぶれが発生している場合においては、顔検出領域での位相差検出方式によるフォーカスレンズの合焦位置を常に取得できるとは限らない。顔を検出して安定したピント合わせを行っている際に、一時的に顔検出領域に対するフォーカスレンズの合焦位置が取得できず背景に対するフォーカスレンズの合焦位置を取得した場合、合焦近傍にないと判断して、背景に対するフォーカスレンズの合焦位置にフォーカスレンズを移動し、このため撮影者に不快感を与えてしまうことがある。
【0013】
また、外測位相差検出方式を用いる場合、撮影レンズの主光学系とは別の光学系を用いるため、パララックスが発生する。このため、顔が検出された画面上の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが異なる場合がある。この場合、主人物被写体の顔を検出して安定したピント合わせを行っていても、外測位相差検出方式で取得されるフォーカスレンズの合焦位置が背景の被写体となることがある。そして、ボケていると判断して、背景の被写体にピント合わせを行い、このため撮影者に不快感を与えてしまうことがある。また、主人物被写体の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが重なった場合には、主人物被写体に高速なピント合わせを行うため、ピント合わせが不安定な状況が発生しうる。
【0014】
さらに、画面全体がボケている状態から、高速なピント合わせを行った場合、同様に主人物被写体の顔検出領域と外測位相差検出方式の測距領域とが同じになるとは限らない。このため、同じでない場合には、主人物被写体に対して即座にピント合わせを行うのではなく、背景に対してピント合わせを行った後に、主人物被写体に対してピント合わせを行うことがあり、安定したピント合わせを高速に行えないことがある。
【0015】
本発明の目的は、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことを可能とした撮像装置、その制御方法、プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出手段と、前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成手段と、被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成手段と、前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、被写体領域を検出した場合であって、第2のフォーカス制御によりフォーカスレンズが駆動されている最中のときは、第2のフォーカス制御の実行を制限する。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるマイクロコンピュータが実行するフォーカス制御処理を示すフローチャートである。
【図3】図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。
【図4】図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。
【図5】図2におけるステップS208で実行されるハイブリッドAF処理を示すフローチャートである。
【図6】図2のフォーカス制御処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
【図7】図2のフォーカス制御処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
【図8】図2のフォーカス制御処理の第3の変形例を示すフローチャートである。
【図9】図2のフォーカス制御処理の第4の変形例を示すフローチャートである。
【図10】図3のTV−AF処理におけるステップS302で実行されるフォーカスレンズの微小駆動を説明するための図である。
【図11】図3のTV−AF処理におけるステップS311で実行されるフォーカスレンズの山登り駆動を説明するための図である。
【図12】ビデオカメラに外部測距センサが装着されている場合を説明するための図であり、(A)は、外部測距センサとレンズとの位置関係を示す図であり、(B)は、テレ側の撮影画面であり、(C)は、ワイド側の撮影画面である。
【図13】フォーカスレンズを合焦位置へ移動している最中に顔検出された場合を説明するための図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
まず、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置について説明する。なお、本実施の形態では、撮像装置がビデオカメラであるが、ビデオカメラに限らず、デジタルスチルカメラ等の他の撮像装置であってもよい。
【0021】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1において、101は第1の固定レンズ群、102は光軸方向に移動して変倍を行い、焦点距離を可変な変倍レンズ、103は絞りである。また、104は第2の固定レンズ群、105は変倍に伴う焦点面の移動を補正する機能とフォーカシングの機能とを兼ね備えたフォーカスコンペンセータレンズ(以下、「フォーカスレンズ」という。)である。第1の固定レンズ群101、変倍レンズ102、絞り103、第2の固定レンズ群104及びフォーカスレンズ105により撮像光学系が構成される。
【0023】
106はCCDセンサやCMOSセンサにより構成される光電変換素子としての撮像素子である。撮像素子106は撮像光学系により形成された被写体像を撮像して映像信号を出力する。107は撮像素子106の出力をサンプリングし、ゲイン調整するCDS/AGC回路である。
【0024】
108はカメラ信号処理回路であり、CDS/AGC回路107からの出力信号に対して各種の画像処理を施し、映像信号を生成する。109はLCD等により構成されるモニタであり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を表示する。115は記録部であり、カメラ信号処理回路108からの映像信号を磁気テープ、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0025】
110は変倍レンズ102を移動させるためのズーム駆動源である。111はフォーカスレンズ105を移動させるためのフォーカシング駆動源である。ズーム駆動源110及びフォーカシング駆動源111は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ及びボイスコイルモータ等のアクチュエータにより構成される。
【0026】
112はCDS/AGC回路107からの全画素の出力信号のうち焦点検出に用いられる領域の信号のみを通すAFゲートである。
【0027】
AF信号処理回路113は、AFゲート112を通過した信号から高周波成分や輝度差成分(AFゲート112を通過した信号の輝度レベルの最大値と最小値の差分)等を抽出してAF評価値信号を生成する。AF評価値信号は、カメラ/AFマイクロコンピュータ(以下、単に「マイクロコンピュータ」という。)114に出力される。AF評価値信号は、撮像素子106からの出力信号に基づいて生成される映像信号の鮮鋭度(コントラスト状態)を表すものであるが、鮮鋭度は撮像光学系の焦点状態によって変化するので、結果的にAF評価値信号は撮像光学系の焦点状態を表す信号となる。
【0028】
マイクロコンピュータ114は、ビデオカメラ全体の動作の制御を司ると共に、フォーカシング駆動源111を制御してフォーカスレンズ105を移動させるフォーカス制御を行う。マイクロコンピュータ114は、フォーカス制御として、TV−AF方式でのフォーカス制御(以下、単に「TV−AF」という。)を行う。
【0029】
顔検出部116は、映像信号に対して公知の顔検出処理を施して、撮影画面内の人物の顔領域を検出する。その検出結果をマイクロコンピュータ114に送信する。マイクロコンピュータ114は、上記検出結果に基づき、撮影画面内の顔領域を含む位置に焦点検出に用いられる領域を追加するようにAFゲート112へ情報を送信する。
【0030】
なお、顔検出処理としては、例えば、画像データで表される各画素の階調色から、肌色領域を抽出し、予め用意する顔の輪郭プレートとのマッチング度で顔を検出する方法や、周知のパターン認識技術を用いて、目、鼻、口等の顔の特徴点を抽出することで顔検出を行う方法等が開示されている。本実施の形態では、顔検出処理の方法については、上述した方法に限られず、どのような方法であってもよい。
【0031】
117は外部測距ユニットであり、従来の外測位相差検出方式、超音波センサ方式、赤外線センサ方式等いずれの方式であってもよい。外部測距ユニット117からの測距及び測距信頼性の情報は、マイクロコンピュータ114へ取り込まれフォーカスレンズ105の合焦位置の情報へと変換される。ここで、測距信頼性としては、例えば外測位相差検出方式であれば、光束の分割方向の相対的位置ずれ量に基づいて測距を行うので、分割した2像の相関性を信頼性とするのが一般的である。
【0032】
次に、マイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理について説明する。
【0033】
図2は、図1におけるマイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理を示すフローチャートである。本処理は、マイクロコンピュータ114内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行され、例えば1フィールド画像を生成するための撮像素子106からの撮像信号の読み出し周期にて繰り返し実行される。
【0034】
図2において、まず、最新の映像信号に対して顔検出処理を実行した後の顔検出部116から顔検出領域の有無の情報を取得する(ステップS201)。
【0035】
次いで、取得した顔検出領域の有無の情報に基づいて、顔検出部116で顔領域が検出できたか否かを判別する(ステップS202)。
【0036】
ステップS202の判別の結果、顔検出部116で顔領域が検出できたときは(ステップS202でYES)、顔が検出された撮影画面上の位置情報に基づいて顔検出領域を含む被写体に追従して移動する所定のAF枠(以下、単に「顔枠」という。)(第1の焦点検出領域)をAFゲート112に設定する(ステップS203)。位置情報としては、顔が認識された領域の中心位置や、目、鼻、口等の顔の特徴点の位置の情報であってもよい。
【0037】
次いで、AF信号処理回路113から出力される顔枠のAF評価値信号(第1の焦点領域情報)を取得する(ステップS204)(第1の生成手段)。
【0038】
次いで、取得した顔枠のAF評価値信号におけるAF評価値(第1の情報)を用いて、後述する図3及び図4のTV−AF処理(第1のフォーカス制御)を実行する(ステップS205)。図3及び図4のTV−AF処理では、AF評価値が最大になるように、AF評価値をモニタしつつフォーカスレンズ105を駆動して焦点を調節して合焦を得る。なお、図3及び図4のTV−AF処理では、合焦が得られている状態において、フォーカスレンズ105の再駆動の必要性の有無を判断するために、AF評価値の低下があったか否かを判別する等、合焦を維持するための処理も含まれる。
【0039】
ステップS202の判別の結果、顔検出部116で顔領域が検出できないときは(ステップS202でNO)、撮影画面の中央を中心とした固定のAF枠(以下、単に「通常枠」という。)(第2の焦点検出領域)をAFゲート112に設定する(ステップS206)。
【0040】
次いで、AF信号処理回路113から出力される通常枠のAF評価値信号(第2の焦点領域情報)を取得する(ステップS207)。
【0041】
次いで、取得した通常枠のAF評価値信号におけるAF評価値を用いて、後述する図5のハイブリッドAF方式でのフォーカス制御(以下、単に「ハイブリッドAF」という。)処理を実行する(ステップS208)。図5のハイブリッドAF処理では、TV−AF方式と位相差検出方式とを組み合わせてピント合わせを行う。
【0042】
ステップS205の処理、又はステップS208の処理の後、AFゲート112に設定されているAF枠から取得されたAF評価値の履歴を履歴情報として保存する(ステップS209)。
【0043】
次いで、得られたフォーカスレンズ105の合焦位置の履歴を履歴情報として保存して(ステップS210)、本処理を終了する。
【0044】
図3及び図4は、図2におけるステップS205で実行されるTV−AF処理を示すフローチャートである。なお、本処理は、後述する図5のハイブリッドAF処理におけるステップS401でも実行されるため、図3及び図4のフローチャートは図5のハイブリッドAF処理において実行される場合を考慮したものとなっている。
【0045】
図3において、まず、TV−AFのモードが微小駆動モードであるか否かを判別する(ステップS301)。微小駆動モードについては後述する。
【0046】
ステップS301の判別の結果、モードが微小駆動モードであるときは(ステップS301でYES)、フォーカスレンズ105を微小駆動する(ステップS302)。微小駆動については、後に図10を用いて説明する。
【0047】
次いで、合焦状態であるか否かを判別する(ステップS303)。
【0048】
ステップS303の判別の結果、合焦状態であるときは(ステップS303でYES)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(ステップS304)。
【0049】
次いで、フォーカスレンズ105の合焦位置におけるAF評価値をマイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶させる(ステップS305)。
【0050】
次いで、現在のモードを再駆動判定モードに移行させる(ステップS306)。
【0051】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS307)。これは、TV−AFによって合焦判定され、フォーカスレンズ105が停止しているため、フォーカスレンズ105が外測AFによって外測合焦位置へ移動され、不要な映像のぼけを生じさせないようにするためである。
【0052】
ステップS303の判別の結果、合焦状態でないときは(ステップS303でNO)、現在のフォーカスレンズ105の位置に対して合焦位置がどの方向にあるかを判定する(ステップS308)。
【0053】
次いで、ステップS308において合焦位置の方向(以下、「合焦方向」という。)を判定できたか否かを判別する(ステップS309)。
【0054】
ステップS309の判別の結果、合焦方向を判定できたときは(ステップS309でYES)、TV−AFのモードを山登り駆動モードに移行させる(ステップS310)。
【0055】
ステップS301の判別の結果、モードが微小駆動モードでないときは(ステップS301でNO)、モードが山登り駆動モードであるか否かを判別する(ステップS311)。
【0056】
ステップS311の判別の結果、モードが山登り駆動モードであるときは(ステップS311でYES)、所定の速度でフォーカスレンズ105を山登り駆動(合焦位置検出制御)する(ステップS312)。
【0057】
次いで、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークを越えたか否かを判別する(ステップS313)。
【0058】
ステップS313の判別の結果、AF評価値がピークを越えたときは(ステップS313でYES)、フォーカスレンズ105の山登り駆動においてAF評価値がピークとなった位置(以下、「ピーク位置」という。)にフォーカスレンズ105を戻す(ステップS314)。
【0059】
次いで、フォーカスレンズ105がピーク位置に戻ったか否かを判別する(ステップS315)。
【0060】
ステップS315の判別の結果、ピーク位置に戻ったときは(ステップS315でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS316)。
【0061】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS317)。これは、山登り駆動モードで合焦位置(ピーク位置)が判別され、合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させたにも関わらず、外測AFによってフォーカスレンズ105が外測合焦位置に駆動されて不要な映像のぼけを生じさせないようにするためである。
【0062】
ステップS311の判別の結果、モードが山登り駆動モードでないときは(ステップS311でNO)、図4に進み、現在のモードが再駆動判定モードであるか又は位相差駆動モードであるかを判別する(ステップS318)。
【0063】
ステップS318の判別の結果、モードが再駆動判定モードであるときは、マイクロコンピュータ114のメモリ(図示しない)に記憶されているAF評価値と最新のAF評価値とを比較して、これらの差が所定の値よりも大きいか否か、すなわちAF評価値の変動が大きいか否かを判別する(ステップS319)。
【0064】
ステップS319の判別の結果、AF評価値の変動が大きいときは(ステップS319でYES)、TV−AFのモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS320)。
【0065】
ステップS319の判別の結果、AF評価値の変動が小さいときは(ステップS319でNO)、フォーカスレンズ105の駆動を停止する(ステップS321)。
【0066】
ステップS318の判別の結果、モードが位相差駆動モードであるとき、すなわちフォーカスレンズ105を外測合焦位置に向けて移動させているときは、外測合焦位置を目標位置として、この目標位置にフォーカスレンズ105が到達したか否かを判別する(ステップS322)。
【0067】
ステップS322の判別の結果、目標位置にフォーカスレンズ105が到達したときは(ステップS322でYES)、現在のモードを微小駆動モードへ移行させる(ステップS323)。すなわち、外測AFからTV−AFの微小駆動モードへ移行させる。
【0068】
次いで、位相差使用モードを解除する(ステップS324)。
【0069】
ステップS307、ステップS310、ステップS317、ステップS320、ステップS321又はステップS324の後、本処理を終了する。
【0070】
図10は、図3のTV−AF処理におけるステップS302で実行されるフォーカスレンズ105の微小駆動を説明するための図である。
【0071】
図10において、横軸は時間を、縦軸はフォーカスレンズ105の位置を示している。また、図中上方において、映像信号の垂直同期信号を示している。
【0072】
図10に示すように、期間Aの間に撮像素子106に蓄積された電荷(図中、斜線楕円で示す)に対するAF評価値EVAが時刻TAで取り込まれ、期間Bの間に撮像素子106に蓄積された電荷に対するAF評価値EVBが時刻TBで取り込まれる。また、時刻TCでは、AF評価値EVA,EVBを比較して、EVB>EVAであれば、微小駆動の駆動(振動)中心を移動させる。一方、EVA>EVBであれば、振動中心を移動させない。このように、フォーカスレンズ105を移動させながらAF評価値が増加する方向を判定したり、AF評価値が最も大きくなるフォーカスレンズ105の位置(ピーク位置)を探したりするのが微小駆動である。
【0073】
なお、AF評価値の変化から合焦状態か否かを判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動させる制御は、合焦確認制御ということもできる。
【0074】
また、AF評価値の変化から合焦方向を判定するためにフォーカスレンズ105を微小駆動させる制御は、合焦方向判別制御ということもできる。
【0075】
図11は、図3のTV−AF処理におけるステップS311で実行されるフォーカスレンズ105の山登り駆動を説明するための図である。
【0076】
図11において、横軸はフォーカスレンズ105の位置を、縦軸はAF評価値を示している。
【0077】
図11に示すように、Aの動きでは、AF評価値がピークを越えてから減少するので、ピーク位置(合焦位置)の存在を確認することができる。この場合、フォーカスレンズ105をピーク位置近傍に戻してから山登り駆動を終了して、微小駆動に移行する。一方、Bの動きでは、ピークが無く、AF評価値が単調に減少するので、フォーカスレンズ105の駆動方向が誤りであると判定することができる。この場合、フォーカスレンズ105の駆動方向を反転して山登り駆動を継続する。このように、フォーカスレンズ105を駆動して、その間に得られたAF評価値がピークとなるピーク位置又はその近傍を判定するのが山登り駆動である。
【0078】
図5は、図2におけるステップS208で実行されるハイブリッドAF処理を示すフローチャートである。
【0079】
図5において、まず、図3及び図4のTV−AF処理を実行する(ステップS401)。このTV−AF処理では、AF評価値をモニタしつつフォーカスレンズ105を駆動して合焦を得ると共に、合焦が得られている状態においてフォーカスレンズ105の再駆動の必要性を判断するために、AF評価値の低下があったか否かを判定する。このように、TV−AF処理は合焦を維持するための処理も含む。
【0080】
次いで、外部測距ユニット117から被写体距離の情報(第2の情報)を取得する(ステップS402)(第2の生成手段)。
【0081】
次いで、取得した被写体距離の情報から外測合焦位置を算出する(ステップS403)。
【0082】
次いで、現在のモードが位相差使用モードであるか否かを判別する(ステップS404)。位相差使用モードとは、特定の条件を満たす場合に限り、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる外測位相差検出方式のフォーカス制御(以下、「外測AF」という。)(第2のフォーカス制御)を行うことが許されるモードである。
【0083】
ステップS404の判別の結果、現在のモードが位相差使用モードでないときは(ステップS404でNO)、コントラスト及び被写体距離の変化が大きいか否かを判別するための閾値を設定する(ステップS405)。
【0084】
次いで、コントラスト及び被写体距離の情報と上記閾値とを用いてコントラスト及び被写体距離の変化が大きいか否かを判別する(ステップS406)。すなわち、前回のルーチンで取得したコントラストの情報に対する今回のルーチンで取得したコントラストの情報の変化が閾値より大きいか否かを判別する。また、前回のルーチンで取得した被写体距離の情報に対する今回のルーチンで取得した被写体距離の情報の変化が閾値より大きいか否かを判別する。
【0085】
本実施の形態では、マイクロコンピュータ114は、AF信号処理回路113から得られる、AFゲート112を通過した信号の各画素ラインでの輝度レベルの最大値と最小値との差を求める。そして、これらの差の最大値をコントラストの情報として用いる。なお、このコントラストの情報に代えて、コントラストの状態を示す点では共通であるAF評価値を閾値と比較してもよい。
【0086】
ステップS406の判別の結果、コントラスト及び被写体距離の変化が大きいときは(ステップS406でYES)、現在のモードを位相差使用モードへ移行させる(ステップS407)。
【0087】
一方、ステップS406の判別の結果、コントラスト及び被写体距離の少なくとも一方の変化が小さいときは(ステップS406でNO)、ステップS401の処理へ戻る。すなわち、コントラスト及び被写体距離の少なくとも一方の変化が小さいときは、TV−AF処理のみが上述した撮像信号の読み出し周期で繰り返し行われる。
【0088】
なお、本実施の形態では、被写体距離の情報の変化が閾値より大きいか否かを判断する場合について説明しているが、ステップS403にて被写体距離の情報に基づいて算出された外測合焦位置の変化を用いて判断してもよい。この場合、被写体距離の情報の変化について判断していることと等価である。
【0089】
なお、ステップS406は、被写体距離の情報(又は外測合焦位置の情報)を用いてフォーカスレンズ105を移動させる、すなわち外測AFを行うか否かを切り替えるための第1段階の判定である。つまり、外測AFによってフォーカスレンズ105を駆動させる条件(タイミング)を、被写体のコントラストの状態が大きく変化した場合であって、且つ被写体距離が大きく変化した場合に限定する。
【0090】
これにより、被写体距離は大きく変化しておらず合焦状態から外れていないのに、被写体の絵柄等の変化によりAF評価値が大きく変化した場合において、従来のようにまず外測合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させることで発生する不要な映像のぼけを防止することができる。
【0091】
ステップS404の判別の結果、現在のモードが位相差使用モードであるとき(ステップS404でYES)、又はステップS407の処理の後、現在のモードが位相差駆動モードであるか否かを判別する(ステップS408)。
【0092】
ステップS408の判別の結果、現在のモードが位相差駆動モードであるとき、すなわち既に位相差駆動モードに設定されていて外測合焦位置に向けてフォーカスレンズ105を移動させているときは(ステップS408でYES)、ステップS401の処理へ戻る。
【0093】
一方、ステップS403の判別の結果、現在のモードが位相差駆動モードでないときは(ステップS408でNO)、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に移動させる、すなわち外測AFを実行するべきかどうかを判定するためのフォーカス移動量の閾値を設定する(ステップS409)。この閾値は、外部測距ユニット117による被写体距離の検出のバラツキを考慮して設定される。
【0094】
次いで、ステップS403にて得られた外測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差(絶対値)を求めて、その差がステップS409で設定されたフォーカス移動量の閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS410)。
【0095】
なお、ステップS410は、外測AFを行うか否かを切り替えるための第2段階の判定である。つまり、外測AFによってフォーカスレンズ105を駆動させる条件(タイミング)を、外測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差が大きい場合に限定する。
【0096】
この第2段階の判定における条件を満たさない場合に外測AFを行わないのは、外測AFはTV−AFと比較して合焦精度が劣るためである。不用意に外測合焦位置にフォーカスレンズ105を移動させると、TV−AFと外測AFとの間でハンチングが生じたり、映像にぼけが生じたりするためである。
【0097】
ステップS410の判別の結果、差がフォーカス移動量の閾値よりも大きいときは(ステップS410でYES)、現在のモードを位相差駆動モードへ移行させる(ステップS411)。
【0098】
次いで、フォーカスレンズ105を外測合焦位置に向けて移動させる(ステップS412)。
【0099】
一方、ステップS410の判別の結果、差がフォーカス移動量の閾値よりも小さいときは(ステップS410でNO)、位相差使用モードを解除する(ステップS413)。
【0100】
ステップS412又はステップS413の処理の後、本処理を終了する。
【0101】
なお、上述したハイブリッドAF処理におけるAF方式の切り換えは一例であり、TV−AFと外測AFとの切り替え方法はこの限りではない。
【0102】
図2のフォーカス制御処理によれば、被写体が動いている場合や撮影者による手ぶれが発生している場合において、常に顔検出領域で位相差検出方式によるフォーカスレンズ105の合焦位置を取得できるとは限らないため、顔が検出されたか否かによって、フォーカス制御の方式を選択(制限)する。これにより、顔を検出して安定してピント合わせを行っている際に、一時的に位相差検出方式により顔検出領域に対するフォーカスレンズ105の合焦位置が取得できず、背景に対するフォーカスレンズ105の合焦位置を取得した場合、合焦近傍にないと判断して、背景に対するフォーカスレンズ105の合焦位置にフォーカスレンズを移動するのを防止することができる。また、顔検出処理においても、ある一枚の画像をもとに顔検出処理を行うため、ピントが合っていない状態では、顔検出頻度が低下してしまうが、合焦近傍にある場合には、顔検出頻度が向上する。このため、顔が検出されている場合には既に合焦近傍にあると判断し、TV−AF方式により安定した高精度なピント合わせのみで行う方が好ましい。顔が検出されていない場合とは、合焦近傍にない場合や、主人物被写体が存在しない場合であり、ハイブリッドAF制御により、合焦近傍にない場合には、応答性を向上させ、合焦近傍にある場合には、安定した高精度なピント合わせを行うようにする。これにより、撮影者が主被写体に安定した高精度な、さらには応答性が向上したピント合わせ制御ができ、不快感を軽減することができる。
【0103】
次に、マイクロコンピュータ114が実行するフォーカス制御処理の変形例について説明する。
【0104】
まず、フォーカス制御処理の第1の変形例について説明する。
【0105】
図6は、図2のフォーカス制御処理の第1の変形例を示すフローチャートである。
【0106】
図6の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0107】
図6の処理では、図2の処理において、顔領域が検出できた場合において、AF評価値により合焦度を判定し、合焦近傍にあるのか又は合焦近傍にないのかを判断するものである。
【0108】
図6において、ステップS204の処理の後、取得した顔枠のAF評価値信号におけるAF評価値を用いて、簡易的な合焦度の判定を行う(ステップS501)。ステップS501での判定は、撮影映像の輝度信号を用いて、コントラストがあるにも関わらず、高周波成分が取得できない場合にボケていると判定可能な簡易的なものであればよい。例えば、(各ラインの高周波成分の出力結果の最大値)を(各ラインの輝度信号の最大値と最小値との差の最大値)で除算して、その結果を1〜10に分割して表してもよい。
【0109】
次いで、ステップS501の判定結果に基づいて、ボケている状態であるか否かを判別する(ステップS502)。
【0110】
ステップS502の判別の結果、合焦近傍にあり、ボケている状態でないときは(ステップS502でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0111】
一方、ステップS502の判別の結果、ボケている状態であるときは(ステップS502でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0112】
通常、顔領域が検出された場合においても、撮影画面がボケている場合には、誤検出も考えられる。この場合、誤検出に対応してピント合わせが遅くなってしまう。また、ピントがボケている場合に、TV−AFのみでピント合わせを実行していては、ピントが合うまでに時間がかかってしまい、撮影者に不快感を与えてしまうため、ハイブリッドAF方式で合焦近傍までフォーカスレンズを移動させることが有効である。
【0113】
図6のフォーカス制御処理によれば、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0114】
次に、フォーカス制御処理の第2の変形例について説明する。
【0115】
図7は、図2のフォーカス制御処理の第2の変形例を示すフローチャートである。
【0116】
図7の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0117】
図7の処理では、図2の処理において、顔領域が検出された場合において、焦点検出領域と外部測距領域とが重なっているかどうかを判定するものである。
【0118】
図7において、ステップS204の処理の後、焦点距離に応じて外部測距領域が画面上のどの位置に存在するかを判定する(ステップS601)。なお、ステップS601では、焦点距離だけでなく外部測距センサにより取得された被写体距離も含めて判定してもよい。具体的には、例えば被写体距離が3mで画面中央になるように設定した場合、図12(A)に示すように、撮影レンズに対して外部測距センサが装着されている場合、図12(B)のテレ側と図12(C)のワイド側とでは、画面上に占める外部測距領域の大きさが変化し、ワイド側の方が小さくなる。また、被写体距離が至近側と無限側とでは、至近側の場合、撮影画面の画面中央から右側に、無限側の場合、撮影画面の画面中央から左側に寄った位置に外部測距領域が位置される。
【0119】
次いで、ステップS601で得られた外部測距領域と顔検出領域とが重なっているか否かを判別する(ステップS602)。
【0120】
ステップS602の判別の結果、外部測距領域と顔検出領域とが重なっていないときは(ステップS602でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0121】
一方、ステップS602の判別の結果、外部測距領域と顔検出領域とが重なっているときは(ステップS602でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0122】
図7のフォーカス制御処理によれば、外部測距領域と顔検出領域とが重なっている場合には、外部測距方式による合焦フォーカスレンズ位置も主人物被写体を捉えているため、主人物被写体以外の被写体を測距して誤って背景にピント合わせを行うこともないため、ハイブリッドAF制御を行うことにより、応答性も向上させたピント合わせ動作を行う。また、重なっていない場合には、外部測距方式による合焦フォーカスレンズ位置は主人物被写体以外の被写体を測距していることが多いため、主人物被写体からピントが外れてしまうことが発生するため、TV−AF制御のみでピント合わせ動作を行う。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0123】
次に、フォーカス制御処理の第3の変形例について説明する。
【0124】
図8は、図2のフォーカス制御処理の第3の変形例を示すフローチャートである。
【0125】
図8の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0126】
図8の処理では、図2の処理において、顔領域が検出された場合において、顔検出結果で得られる顔である確からしさを示した信頼度に応じてAF制御を選択するものである。
【0127】
図8において、ステップS204の処理の後、検出された顔領域の画面上の位置、サイズの他に、顔である確からしさを示す信頼度を取得する(ステップS701)(信頼度検出手段)。この信頼度とは、例えば、顔検出処理においてパターンマッチングしたときのマッチング度合、又は、目、口、鼻、まゆげ、顔の形等、人間の顔の特徴点の検出数等で判定されるものであり、顔であると判定される正確性を示すものであればよい。この信頼度が高いほど顔である確率が高く、信頼度が低いほど誤検出が多い。
【0128】
次いで、顔である確からしさを示す信頼度が所定の閾値(第1の値)よりも低いか否かを判別する(ステップS702)。
【0129】
ステップS702の判別の結果、信頼度が閾値よりも高いときは(ステップS702でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0130】
一方、ステップS702の判別の結果、信頼度が閾値よりも低いときは(ステップS702でYES)、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0131】
図8のフォーカス制御処理によれば、信頼度が閾値よりも低い場合には、顔領域が検出されていても誤検出の確率も高く、また撮影画面がボケていることにより信頼度が低くなっている可能性もあるため、ハイブリッドAF方式により合焦近傍までフォーカスレンズ105の位置を移動させることにより、次により信頼性の高い顔検出結果を取得するようにする。また、信頼度が閾値よりも高い場合には、顔領域を検出できた確率が高く、合焦近傍にあるため、正確な検出できているため、TV−AF制御により安定した高精度なピント合わせ動作を行う。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0132】
なお、顔である確からしさを示す信頼度と比較する閾値は、様々な被写体を撮影した結果経験上により、どの程度の信頼度であれば誤検出がなくなるかにより閾値を決定すればよい。
【0133】
次に、フォーカス制御処理の第4の変形例について説明する。
【0134】
図9は、図2のフォーカス制御処理の第4の変形例を示すフローチャートである。
【0135】
図9の処理は、図2の処理と基本的に同じであり、図2のステップと同一のステップには同一符号を付して重複した説明を省略し、以下に図2の処理と異なる部分についてのみ説明する。
【0136】
図9の処理では、図2の処理におけるAF処理において、位相差検出方式によってフォーカスレンズ105の合焦位置へ移動している場合において、移動している最中に顔検出された場合の制御を示すものである。
【0137】
特に、図13に示すように、外部測距センサを用いた場合、図12を用いて説明したように外部測距領域で測距できたフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体とは限らない。このため、位相差検出方式においてフォーカスレンズ105の合焦位置と主人物被写体のフォーカスレンズ105の合焦位置とは異なる可能性がある。この場合、位相差検出方式におけるフォーカスレンズ105の合焦位置までフォーカスレンズ105の位置を移動させてしまうと、主人物被写体に対してピントが合わないことになる。
【0138】
図9において、ステップS204の後、現在、位相差検出方式によって得られたフォーカスレンズ105の合焦位置へフォーカスレンズ105を移動させている最中か否かを判別する(ステップS801)。
【0139】
ステップS801の判別の結果、フォーカスレンズ105を移動させていないときは(ステップS801でNO)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0140】
一方、ステップS801の判別の結果、フォーカスレンズ105を移動させている最中のときは(ステップS801でYES)、合焦近傍にない状態から位相差検出結果によりフォーカスレンズを移動させているので、顔が検出されて主人物被写体に対しては合焦近傍に来ている可能性がある。そのため、顔が検出された現在のフォーカスレンズ105の位置と位相差検出結果で移動させているフォーカスレンズ105の合焦位置とを比較するための閾値(第2の値)を設定する(ステップS802)。この閾値は、焦点深度や、焦点距離によって設定すればよく、焦点深度が浅いほど閾値を小さく、そして焦点距離が長くなるほど閾値を大きく設定する。
【0141】
次いで、顔が検出された現在のフォーカスレンズ105の位置と位相差検出結果で移動させているフォーカスレンズ105の合焦位置とを比較して、その差(第3の情報)がステップS802で設定した閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS803)。
【0142】
ステップS803の判別の結果、差が閾値よりも大きいときは(ステップS803でYES)、位相差検出結果によるフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体のピント位置と異なっているため、主人物被写体とは別の背景の被写体等にピントを合わせてしまう。そのため、この場合、位相差検出結果によるフォーカスレンズの移動を停止して(ステップS804)、ステップS205のTV−AF処理を実行する。
【0143】
ステップS803の判別の結果、差が閾値よりも小さいときは(ステップS803でNO)、位相差検出結果によるフォーカスレンズ105の合焦位置が主人物被写体のピント位置とほぼ同じであると考えられるため、ステップS208のハイブリッドAF処理を実行する。
【0144】
図9のフォーカス制御処理によれば、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0145】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置について説明する。
【0146】
本実施の形態に係る撮像装置は、上述した第1の実施の形態に係る撮像装置で用いていた外部位相差検出(外測)方式に代えてTTL(内測)位相差検出方式を用いている点が第1の実施の形態と異なるのみであるので、重複した構成、作用については説明を省略し、以下に異なる構成、作用についての説明を行う。
【0147】
図14は、本実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラの主要部の構成を示すブロック図である。
【0148】
図14において、ビデオカメラの撮像光学系は、被写体側から順に、第1の固定レンズ群101、変倍レンズ102、フォーカスレンズ105、絞り103及び第2の固定レンズ群120により構成されている。
【0149】
121はハーフプリズムであり、フォーカスレンズ105と絞り103との間に配置されている。ハーフプリズム121は、フォーカスレンズ105から絞り103に向かう光束を、撮像素子106に向かう光束成分と、後述するAFセンサ124に向かう光束成分とに分割する。絞り103は、動画撮影中、常に動作しているので、絞り103よりも被写体側に配置したハーフプリズム121によって、入射光束を分割する。
【0150】
122はハーフプリズム121により分割された光束成分を反射するサブミラーであり、123はサブミラー122で反射した光束をAFセンサ124上に結像させる結像レンズである。AFセンサ124は、位相差検出方式AF用の一対の受光素子列(ラインセンサ)を有する。125はAFセンサ124の一対のラインセンサ上に形成された2つの像信号の位相差を演算するAF回路である。
【0151】
マイクロコンピュータ114は、AF回路125からの位相差情報に基づいて、ピントのずれ量及びずれ方向を求める。
【0152】
このように構成されたビデオカメラでは、上述した各フォーカス制御処理におけるハイブリッドAF処理において、被写体距離の情報に代えて、ピントのずれ量及びずれ方向を得ることにより、同様のハイブリッドAF処理を行うことができる。
【0153】
また、図9のフォーカス制御処理では、ステップS802にて、マイクロコンピュータ114は、AF回路125からの位相差情報に基づいて、ピントのずれ量及びずれ方向を算出する。また、ピントのずれ量及びずれ方向から、位相差検出方式によるフォーカスレンズ105の合焦位置(内測合焦位置)を算出し、そして、ステップS803にて、この内測合焦位置と現在のフォーカスレンズ105の位置との差が、閾値より大きいか否かを判別する。
【0154】
上述した各フォーカス制御処理は組み合わせて実行してもよく、各フォーカス制御処理で完結する限りのものではない。
【0155】
以上説明したように、上述した各実施の形態では、TV−AF方式と位相差AF方式とを組み合わせてAF制御を行う場合において、さらに顔検出処理を用いて撮影者が意図する被写体に対し、正確な安定したピント合わせを行う場合において、以下の特徴を有する。
【0156】
すなわち、顔が検出された場合には、TV−AFのみで実行する。また、顔が検出された場合において、AF評価値によるピントがボケているかどうかを判定すること、測距領域と顔検出領域が一致しているかを判定すること、顔である確からしさを示す信頼度に応じて判定することにより、顔が検出された場合に合焦近傍でピントがほぼ合っている状態では、TV−AFによって安定した高精度なピント合わせを行い、合焦近傍ではなく撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。また、顔が検出されて主人物被写体の合焦近傍にいるにも関わらず、位相差AF制御により主人物被写体とは異なる被写体に対してピント合わせを行ってしまうことを軽減することができる。これにより、撮影者の意図した被写体に対し安定した、そして高速なピント合わせを行うことが可能となる。
【0157】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0158】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0159】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記各実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0160】
更に、前述した各実施の形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0161】
105 フォーカスレンズ
106 撮像素子
112 AFゲート
113 AF信号処理回路
114 マイクロコンピュータ
116 顔検出部
117 外部測距ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出手段と、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成手段と、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成手段と、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときに、前記第2の情報を用いて算出された前記フォーカスレンズの合焦位置と前記検出手段が前記被写体領域を検出した際の前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置との差が所定の第2の値より大きいという条件を満たすときは前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、焦点距離を可変な変倍レンズを備え、
前記制御手段は、前記第2の値を焦点距離に応じて設定することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の値を焦点距離が長くなるほど、大きくすることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合において、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときに、前記第2のフォーカス制御による当該フォーカスレンズの駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の生成手段は、前記検出手段により検出された被写体領域に基づいて被写体に追従して移動する第1の焦点検出領域から第1の焦点領域情報を生成すると共に、前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域から第2の焦点領域情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の焦点検出領域は、被写体に追従しない固定の検出領域であり、
前記第1のフォーカス制御は、前記検出手段により被写体領域が検出されている状態において、前記第1の焦点領域情報と前記第2の焦点領域情報とに基づいて焦点を調節することを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の生成手段は、被写体までの距離に対応する前記第2の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2の生成手段は、フォーカスレンズの合焦位置までのずれ量と方向に対応する前記第2の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の人物の顔領域を検出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出ステップと、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成ステップと、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、前記検出ステップで前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段を備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出ステップと、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成ステップと、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、前記検出ステップで前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを格納することを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出手段と、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成手段と、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成手段と、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記フォーカスレンズの位置を検出する位置検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときに、前記第2の情報を用いて算出された前記フォーカスレンズの合焦位置と前記検出手段が前記被写体領域を検出した際の前記位置検出手段により検出された前記フォーカスレンズの位置との差が所定の第2の値より大きいという条件を満たすときは前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置は、焦点距離を可変な変倍レンズを備え、
前記制御手段は、前記第2の値を焦点距離に応じて設定することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の値を焦点距離が長くなるほど、大きくすることを特徴とする請求項2又は3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検出手段が前記被写体領域を検出した場合において、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときに、前記第2のフォーカス制御による当該フォーカスレンズの駆動を停止することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の生成手段は、前記検出手段により検出された被写体領域に基づいて被写体に追従して移動する第1の焦点検出領域から第1の焦点領域情報を生成すると共に、前記第1の焦点検出領域とは異なる第2の焦点検出領域から第2の焦点領域情報を生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2の焦点検出領域は、被写体に追従しない固定の検出領域であり、
前記第1のフォーカス制御は、前記検出手段により被写体領域が検出されている状態において、前記第1の焦点領域情報と前記第2の焦点領域情報とに基づいて焦点を調節することを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の生成手段は、被写体までの距離に対応する前記第2の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2の生成手段は、フォーカスレンズの合焦位置までのずれ量と方向に対応する前記第2の情報を生成することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の人物の顔領域を検出することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出ステップと、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成ステップと、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、前記検出ステップで前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とする制御方法。
【請求項12】
フォーカスレンズを含む撮像光学系により形成された被写体像を撮像して画像信号を出力する撮像手段を備えた撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、
前記撮像手段から出力された画像信号に基づいて撮影画面内の被写体領域を検出する検出ステップと、
前記撮像手段から出力された画像信号のコントラスト状態に対応する第1の情報を生成する第1の生成ステップと、
被写体に関する前記第1の情報とは異なる第2の情報を生成する第2の生成ステップと、
前記第1の情報を用いる第1のフォーカス制御と前記第2の情報を用いる第2のフォーカス制御とを行う制御ステップとを有し、
前記制御ステップは、前記検出ステップで前記被写体領域を検出した場合であって、前記第2のフォーカス制御により前記フォーカスレンズが駆動されている最中のときは、前記第2のフォーカス制御の実行を制限することを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを格納することを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−8045(P2013−8045A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184136(P2012−184136)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2008−175620(P2008−175620)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2008−175620(P2008−175620)の分割
【原出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]