説明

撮像装置、撮像方法およびプログラム

【課題】画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像素子10から出力された映像信号を増幅する増幅回路11と、映像信号および当該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいた補正信号を生成する補正信号生成回路13と、コアリングにより補正信号を整形する補正信号整形回路14と、補正信号整形回路14によって整形された補正信号を用いて、映像信号を補正する映像信号補正回路15と、コアリングの閾値を増幅回路11の利得に応じて設定する制御回路19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を補正する撮像装置、撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を補正する撮像装置としては、複数のフレームの撮影画像を連続的に撮影して各撮影画像間のずれ量を検出し、ずれた分だけ各撮影画像を補正した後に合成して1フレームの補正済みの画像を生成するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10に示すように、従来の撮像装置50は、撮像素子51と、撮像素子51から出力された映像信号を増幅する増幅回路52と、増幅回路52から出力された映像信号をディジタル画像データに変換するA/D変換回路53と、ディジタル画像データにホワイトバランス処理や補間処理等を施す信号処理回路54と、スイッチ55と、ディジタル画像データを格納する画像バッファメモリ56と、ディジタル画像データが表す撮影画像間のずれ量を検出するずれ量検出回路57と、CPU(Central Processing Unit)58とを備えている。
【0004】
スイッチ55は、連続して撮影された各フレームのディジタル画像データが画像バッファメモリ56のそれぞれ異なるメモリ領域に格納されるよう、ディジタル画像データの出力先を切り替えるようになっている。
【0005】
ずれ量検出回路57は、最初に撮影されたフレームのディジタル画像データが表す撮影画像と、その後に撮影された各フレームのディジタル画像データが表す撮影画像とのずれ量を検出するようになっている。
【0006】
CPU58は、ずれ量検出回路57によって検出された各フレームの撮影画像のずれ量に基づいて、各ディジタル画像データを補正し、補正した各ディジタル画像データを最初に撮影されたフレームのディジタル画像データに合成したディジタル画像データを出力するようになっている。
【0007】
ここで、図11(a)に示すように、撮像装置50が撮影している間tに、撮像装置50の光軸がL1からL5に移動したとする。これに伴い、撮像素子51では、図11(b)に示すように、撮影した撮影画像がぶれ量W1だけぶれることになる。
【0008】
ここで、図11(c)に示すように、撮像装置50は、光軸がL1からL5に移動する間に、撮像素子51をt/4の間隔で露光させ、光軸がL1からL2に移動する間、L2からL3に移動する間、L3からL4に移動する間、および、L4からL5に移動する間の4回の撮影を行う。
【0009】
これにより、図11(d)乃至(g)に示すように、各露光時の撮影画像のぶれ量W2は、W1のほぼ1/4に抑制される。
【0010】
このように増幅された各フレームの映像信号からA/D変換回路53によって変換されたディジタル画像データは、画像バッファメモリ56の各メモリ領域に格納され、ずれ量検出回路57によって検出された各フレームの撮影画像間のずれ量が解消するように、CPU58によって最初のフレームのディジタル画像データに合成される。
【0011】
このように、従来の撮像装置50は、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を画像の合成によりノイズを抑制しつつ補正していた。
【特許文献1】特開2004−266648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来の撮像装置は、複数の撮影画像をメモリに格納してから補正するため、画像バッファメモリが必要になるといった問題があった。
【0013】
また、従来の撮像装置は、複数のフレーム間に渡って撮影範囲内に動く被写体が存在する場合には、被写体と背景との位置関係が各フレームの撮影画像間でずれることにより、各フレームの撮影画像の被写体と背景との境界が4重にずれて合成されてしまうため、補正後の画像に違和感が生じてしまうといった問題があった。
【0014】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の撮像装置は、撮像素子から出力された映像信号を増幅する増幅手段と、前記映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいた補正信号を生成する補正信号生成手段と、コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形手段と、前記補正信号整形手段によって整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正手段と、前記コアリングの閾値を前記増幅手段の利得に応じて設定する閾値設定手段とを備えた構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の撮像装置は、増幅手段の利得に応じた閾値に基づいて整形された補正信号を用いて映像信号を補正するため、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる。
【0017】
なお、前記閾値設定手段は、前記増幅手段の利得が大きくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の撮像装置は、前記映像信号が表す撮影画像の明暗の比率を検出する明暗比率検出手段を備え、前記閾値設定手段は、前記明暗比率検出手段によって検出された比率が小さくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定するようにしてもよい。
【0019】
この構成により、本発明の撮像装置は、視覚的に目立ちやすい明暗の比率の大きい輪郭部分と視覚的に目立ちにくい濃淡が平坦な部分とで、コアリングの閾値を変えることで、輪郭部分の鮮鋭度を高くし、濃淡が平坦な部分のノイズを低減させるため、画質のよい画像を得ることができる。
【0020】
また、本発明の撮像装置は、撮像素子から出力された映像信号が表す撮影画像の明暗の比率を検出する明暗比率検出手段と、前記映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいて補正信号を生成する補正信号生成手段と、コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形手段と、前記補正信号整形手段によって整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正手段と、前記コアリングの閾値を前記明暗比率検出手段によって検出された比率に応じて設定する閾値設定手段とを備えた構成としてもよい。
【0021】
この構成により、本発明の撮像装置は、撮影画像の明暗の比率に応じた閾値に基づいて整形された補正信号を用いて映像信号を補正するため、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる。
【0022】
なお、前記閾値設定手段は、前記明暗比率検出手段によって検出された比率が小さくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定するようにしてもよい。
【0023】
この構成により、本発明の撮像装置は、輪郭部分の鮮鋭度を高くし、濃淡が平坦な部分のノイズを低減させるため、画質のよい画像を得ることができる。
【0024】
また、従来の問題を解決するために、本発明は、前述した撮像装置に加えて、当該撮像装置の機能を実現する撮像方法、当該撮像装置の機能をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、このプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる撮像装置、撮像方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における撮像装置のブロック図を図1に示す。
【0028】
図1において、撮像装置1は、撮像素子10と、撮像素子10から出力された微小な映像信号を増幅する増幅回路11と、増幅回路11から出力された映像信号をディジタル化するA/D変換回路12と、映像信号を補正するための補正信号を生成する補正信号生成回路13と、補正信号を整形する補正信号整形回路14と、補正信号を用いて映像信号を補正する映像信号補正回路15と、補正後の映像信号にガンマ補正処理、エッジ強調処理および補間処理等の信号処理を施す信号処理回路16と、信号処理が施された映像信号が表す画像を表示する画像表示部17と、撮像素子10のぶれ軌跡を検出するぶれ軌跡検出回路18と、増幅回路11の利得および補正信号整形回路14によって参照される閾値の設定等を行う制御回路19とを備えている。
【0029】
ぶれ軌跡検出回路18は、例えば、角速度センサを有し、角速度センサによって検出された角速度に基づいて、撮像素子10のぶれ軌跡を検出するようになっている。
【0030】
補正信号生成回路13は、ぶれ軌跡検出回路18によって検出されたぶれ軌跡に基づいて映像信号の補正関数を導き出し、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号を変数とした補正関数に基づいて補正信号を生成するようになっている。
【0031】
補正信号整形回路14は、例えば、コアリングフィルタを有し、補正信号に含まれるノイズのうち、制御回路19によって設定された閾値よりも低いレベルのノイズを抑圧するようになっている。
【0032】
映像信号補正回路15は、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号と、補正信号整形回路14によって整形された補正信号とを加算することにより、映像信号を補正するようになっている。
【0033】
図2は、撮像装置1の各部における信号の例を示す概念図である。なお、図2に示した各信号において、横軸は撮影画像における画素位置に対応し、縦軸は信号の値に対応している。
【0034】
ぶれのない状態で撮像素子10が撮影した撮影画像を表す映像信号は、図2(a)に示すようになる。一方、撮影時にぶれがあった場合には、図2(b)に示すように、撮影画像を表す映像信号に傾斜が生じる。
【0035】
撮影時にぶれがあった場合には、撮影画像における輪郭部分のような高周波成分が減衰するため、補正信号生成回路13は、映像信号に加算したときに映像信号の高周波成分を回復させる補正信号を生成するようになっている。
【0036】
したがって、図2(c)に示すように、補正信号の高周波成分が多くなり、補正信号に含まれるノイズが多くなってしまう。また、この状態の補正信号を映像信号に加算して映像信号を補正すると、図2(d)に示すように、補正後の映像信号に含まれるノイズも多くなってしまう。
【0037】
特に、撮影する場所が暗く、撮影画像を明るくする必要があるときには、制御回路19によって増幅回路11の利得が大きく設定されることにより、ノイズも増幅されてしまうため、補正後の映像信号が表す画像の画質が顕著に悪化する。
【0038】
このため、図3に示すように、制御回路19は、増幅回路11の利得がg1に設定され、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値がTH1に設定されているときに、増幅回路11の利得をg1より大きいg2に設定した場合には、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値をTH1より大きいTH2に設定するようになっている。
【0039】
これにより、図2(e)に示すように、補正信号整形回路14によって整形された補正信号に含まれるノイズが低減し、図2(f)に示すように、映像信号補正回路15によって補正された映像信号に含まれるノイズも低減する。
【0040】
以上のように構成された撮像装置1について図4を用いてその動作を説明する。
【0041】
まず、増幅回路11の利得が制御回路19によって設定され(S1)、撮影が行われると(S2)、撮像素子10が露光している間の撮像素子10のぶれ軌跡がぶれ軌跡検出回路18によって検出される(S3)。
【0042】
次に、ぶれ軌跡検出回路18によって検出されたぶれ軌跡に基づいて補正関数が補正信号生成回路13によって導き出され(S4)、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号を変数とした補正関数に基づいて補正信号が補正信号生成回路13によって生成される(S5)。
【0043】
次に、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値が、図3を用いて説明したように、制御回路19によって増幅回路11の利得に応じて設定される(S6)。ここで、増幅回路11の利得が大きく設定されるにつれて、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値は、大きく設定される。
【0044】
補正信号生成回路13によって生成された補正信号は、制御回路19によって閾値が設定された補正信号整形回路14によってコアリングによる整形が施され(S7)、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号に加算される(S8)。
【0045】
この映像信号は、信号処理回路16によって信号処理が施され(S9)、画像表示部17に画像として表示される(S10)。
【0046】
このような本発明の実施の形態1における撮像装置1は、増幅回路11の利得に応じた閾値に基づいて整形された補正信号を用いて映像信号を補正するため、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる。
【0047】
なお、本実施の形態において、制御回路19は、本発明における閾値設定手段を構成する。
【0048】
また、A/D変換回路12、補正信号生成回路13、補正信号整形回路14、映像信号補正回路15、信号処理回路16および制御回路19は、上述した撮像装置1の動作が記述されたプログラムを実行するDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって一体に構成してもよい。
【0049】
また、図3において、コアリングの閾値THと増幅回路11の利得gとの関係を一次関数で示したが、これに限定されることはない。
【0050】
また、映像信号補正回路15は、映像信号と補正信号とを加算することによって、映像信号を補正するものとして説明したが、これに限定されることはない。
【0051】
また、ぶれ軌跡検出回路18は、角速度センサによって検出された角速度に基づいて撮像素子10のぶれ軌跡を検出するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、撮影画像から画像処理により撮像素子10のぶれ軌跡を検出するようにしてもよい。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における撮像装置のブロック図を図5に示す。なお、本実施の形態では、本発明の実施の形態1における撮像装置1の構成要素と同一な構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図5において、撮像装置21は、撮像素子10と、増幅回路11と、A/D変換回路12と、補正信号生成回路13と、補正信号整形回路14と、映像信号補正回路15と、信号処理回路16と、画像表示部17と、ぶれ軌跡検出回路18と、A/D変換回路12から出力された映像信号が表す撮影画像の各画素の明暗の比率(以下「明暗比率」という。)を検出する明暗比率検出回路29とを備えている。
【0054】
図6は、明暗比率検出回路29が明暗比率を検出する際に参照する撮影画像の領域を示す概念図であり、一例として、水平3画素×垂直3ラインの領域を示している。
【0055】
図6において、a〜iは3画素×3ラインの各画素値を示している。A/D変換回路12から出力された映像信号は、水平、垂直の2次元の画像を表すため、本実施の形態において、明暗比率検出回路29は、3画素×3ラインの範囲を水平、垂直に1画素ずつ移動させて全ての画素について明暗比率を検出するようになっている。
【0056】
例えば、明暗比率は、以下の式(1)で表すことができる。
【0057】
明暗比率=(画素値a〜iの最大値)/(画素値a〜iの最小値) 式(1)
この明暗比率が予め定められた閾値より大きければ、当該3画素×3ラインの領域の中心(画素値ではe)が輪郭であり、明暗比率が小さければ当該領域が明暗差がなく濃度が平坦であると判断することができる。
【0058】
明暗比率検出回路29は、検出した明暗比率に応じたコアリングの閾値を算出し、算出した閾値を補正信号整形回路14に設定するようになっている。ここで、明暗比率検出回路29は、検出した明暗比率が小さくなるにつれて閾値を大きく設定するようになっている。
【0059】
図7は、撮像装置21の各部における信号の例を示す概念図である。なお、図7に示した各信号において、横軸は撮影画像における画素位置に対応し、縦軸は信号の値に対応している。
【0060】
ぶれのない状態で撮像素子10が撮影した撮影画像を表す映像信号は、図7(a)に示すようになる。一方、撮影時にぶれがあった場合には、図7(b)に示すように、撮影画像を表す映像信号に傾斜が生じる。
【0061】
撮影時にぶれがあった場合には、撮影画像における輪郭部分のような高周波成分が減衰するため、補正信号生成回路13は、映像信号に加算したときに映像信号の高周波成分を回復させる補正信号を生成するようになっている。
【0062】
したがって、図7(c)に示すように、補正信号の高周波成分が多くなり、補正信号に含まれるノイズが多くなってしまう。また、この状態の補正信号を映像信号に加算して映像信号を補正すると、図7(d)に示すように、補正後の映像信号に含まれるノイズも多くなってしまう。特に、増幅回路11の利得が高い場合には、ノイズがさらに増幅されてしまうので、補正後の映像信号が表す画像の画質が顕著に悪化する。
【0063】
このため、図8に示すように、明暗比率検出回路29は、検出した明暗比率がR1、すなわち明暗比率が小さく濃度が平坦であると判断される場合には、補正信号整形回路14に設定する閾値を大きくすることによってノイズ低減に重点におき、明暗比率がR2、すなわち明暗比率が大きく輪郭と判断される場合には、補正信号整形回路14に設定する閾値を小さく設定することによってぶれの補正に重点をおくようになっている。
【0064】
このように、明暗比率検出回路29は、図6に示したような3画素×3ラインの領域を撮影画像の全領域に渡って1画素ずつずらしながら検出した明暗比率に応じて、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値を算出していくようになっている。
【0065】
これにより、図7(e)に示すように、補正信号整形回路14によって整形された補正信号において、濃度が平坦な部分のノイズが低減し、図7(f)に示すように、映像信号補正回路15によって補正された映像信号において、ぶれによる影響を受けない濃度が平坦な部分にあたる映像信号に含まれるノイズも低減する。
【0066】
以上のように構成された撮像装置21について図9を用いてその動作を説明する。
【0067】
まず、撮影が行われると(S21)、撮像素子10が露光している間の撮像素子10のぶれ軌跡がぶれ軌跡検出回路18によって検出される(S22)。また、明暗比率検出回路29によって、撮影画像の各画素の明暗比率が検出される(S23)。
【0068】
次に、ぶれ軌跡検出回路18によって検出されたぶれ軌跡に基づいて補正関数が補正信号生成回路13によって導き出され(S24)、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号を変数とした補正関数に基づいて補正信号が補正信号生成回路13によって生成される(S25)。
【0069】
次に、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値が、図8を用いて説明したように、明暗比率検出回路29によって明暗比率に応じて設定される(S26)。ここで、明暗比率が小さくなるにつれて、補正信号整形回路14によるコアリングの閾値は、大きく設定される。
【0070】
補正信号生成回路13によって生成された補正信号は、明暗比率検出回路29によって閾値が設定された補正信号整形回路14によってコアリングによる整形が施され(S27)、A/D変換回路12によってディジタル化された映像信号に加算される(S28)。
【0071】
この映像信号は、信号処理回路16によって信号処理が施され(S29)、画像表示部17に画像として表示される(S30)。
【0072】
このような本発明の実施の形態2における撮像装置21は、明暗比率検出回路29によって検出された明暗比率に応じた閾値に基づいて整形された補正信号を用いて映像信号を補正するため、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができる。
【0073】
また、撮像装置21は、視覚的に目立ちやすい明暗の比率の大きい輪郭部分と視覚的に目立ちにくい濃淡が平坦な部分とで、コアリングの閾値を変えることで、輪郭部分の鮮鋭度を高くし、濃淡が平坦な部分のノイズを低減させるため、画質のよい画像を得ることができる。
【0074】
なお、A/D変換回路12、補正信号生成回路13、補正信号整形回路14、映像信号補正回路15、信号処理回路16および明暗比率検出回路29は、上述した撮像装置21の動作が記述されたプログラムを実行するDSP等のプロセッサによって一体に構成してもよい。
【0075】
また、撮像装置21は、本発明の実施の形態1で説明した制御回路19をさらに設け、増幅回路11の利得gが大きく、かつ、撮影画像の明暗の比率Rが小さいときには、コアリングの閾値THを大きく設定するように構成してもよい。
【0076】
このように構成することにより、撮像装置21は、撮影が暗い環境で行われ、かつ、撮影画像を明るくしたい場合にも、濃淡が平坦な部分は特に補正量が少なくなるため、ぶれ補正とノイズ低減の性能を向上させることができる。
【0077】
また、図6において、明暗比率検出回路29は、水平3画素×垂直3ラインの領域を参照して各画素の明暗比率を検出するものとして説明したが、この領域の大きさに限定されることはない。また、明暗比率検出回路29は、上述した式(1)に基づいて明暗比率を検出するものとして説明したが、この式に限定されることはなく別の式に基づいて明暗比率を検出するようにしてもよい。
【0078】
また、図8において、コアリングの閾値THと明暗比率Rとの関係を一次関数で示したが、これに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかる撮像装置は、画像バッファメモリを要することなく、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を違和感が生じずかつノイズが少なく補正することができるという効果を有し、例えば、撮影時のぶれによってぼけた撮影画像を補正する撮像装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における撮像装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における撮像装置の各部の信号の例を示す概念図
【図3】本発明の実施の形態1における撮像装置の補正信号整形回路に設定されるコアリングの閾値と増幅回路の利得との関係を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態1における撮像装置の動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の実施の形態2における撮像装置のブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における撮像装置の明暗比率検出回路が明暗比率を検出する際に参照する撮影画像の領域を示す概念図
【図7】本発明の実施の形態2における撮像装置の各部の信号の例を示す概念図
【図8】本発明の実施の形態2における撮像装置の補正信号整形回路に設定されるコアリングの閾値と明暗比率検出回路によって検出された明暗比率との関係を示すグラフ
【図9】本発明の実施の形態2における撮像装置の動作説明のためのフロー図
【図10】従来の撮像装置のブロック図
【図11】従来の撮像装置の動作説明のための概念図
【符号の説明】
【0081】
1、21、50 撮像装置
10、51 撮像素子
11、52 増幅回路
12、53 A/D変換回路
13 補正信号生成回路
14 補正信号整形回路
15 映像信号補正回路
16、54 信号処理回路
17 画像表示部
18 ぶれ軌跡検出回路
19 制御回路
29 明暗比率検出回路
55 スイッチ
56 画像バッファメモリ
57 ずれ量検出回路
58 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子から出力された映像信号を増幅する増幅手段と、
前記映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいた補正信号を生成する補正信号生成手段と、
コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形手段と、
前記補正信号整形手段によって整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正手段と、
前記コアリングの閾値を前記増幅手段の利得に応じて設定する閾値設定手段とを備えた撮像装置。
【請求項2】
前記閾値設定手段は、前記増幅手段の利得が大きくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記映像信号が表す撮影画像の明暗の比率を検出する明暗比率検出手段を備え、
前記閾値設定手段は、前記明暗比率検出手段によって検出された比率が小さくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像素子から出力された映像信号が表す撮影画像の明暗の比率を検出する明暗比率検出手段と、
前記映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいて補正信号を生成する補正信号生成手段と、
コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形手段と、
前記補正信号整形手段によって整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正手段と、
前記コアリングの閾値を前記明暗比率検出手段によって検出された比率に応じて設定する閾値設定手段とを備えた撮像装置。
【請求項5】
前記閾値設定手段は、前記明暗比率検出手段によって検出された比率が小さくなるにつれて前記コアリングの閾値を大きく設定することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像素子から出力された映像信号を増幅する増幅ステップと、
前記映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいて補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形ステップと、
前記補正信号整形ステップで整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正ステップと、
前記コアリングの閾値を前記増幅ステップにおける利得に応じて設定する閾値設定ステップとを有する撮像方法。
【請求項7】
撮像素子から出力され増幅手段によって増幅された映像信号および該映像信号が表す撮影画像が撮影されたときのぶれ軌跡に基づいて補正信号を生成する補正信号生成ステップと、
コアリングにより前記補正信号を整形する補正信号整形ステップと、
前記補正信号整形ステップで整形された補正信号を用いて、前記映像信号を補正する映像信号補正ステップと、
前記コアリングの閾値を前記増幅手段の利得に応じて設定する閾値設定ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−72448(P2008−72448A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249259(P2006−249259)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】