説明

撮像装置およびこれを備えた撮影レンズユニットまたはカメラ

【課題】測距精度を得やすい簡単な制御ロジックを提供するとともに、これらを小型かつ低コストに実現可能にする。
【解決手段】撮影光学系1,1aによって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子6と、撮像素子6で得られた電気的信号から映像信号を生成する信号処理手段11と、撮影光学系の撮影時の入射光量を制御する光量調整手段2と、撮影光学系の光路に対して挿入、退避可能な焦点検出手段3と、信号処理手段11の演算結果から焦点ずれ量を演算可能な焦点演算手段9を有し、光量調整手段2が特定位置にある場合のみ焦点検出手段3を光路に挿入し、焦点演算手段3を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に用いられるレンズ鏡筒に配置される光量調整手段および焦点検出手段の駆動に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀塩カメラにおける自動焦点調節(オートフォーカス,以下AFという)技術のうち良く知られたものとして、いわゆる位相差検知方式がある。図24は、この位相差検知方式の原理を示す図である。同図において、901は撮影レンズ、902は撮影レンズの絞り位置を示しており、903は撮影レンズ901の結像面である。また904は撮影光束を示し、904aは絞り位置902の902aを通過した光束、また904bは絞り位置902の902bを通過した光束を示している。
【0003】
この図24から分かるように被写体が撮影レンズ901によって結像面903に合焦しているときは撮影レンズ901の絞り位置の領域902a,902bのそれぞれを通過する光束は結像面903で一致する。しかし、結像面903に対して903aまたは903bにおいては、撮影レンズ901の絞り位置の領域902a,902bを通過する光束は結像面903a,903bでは一致せず、撮影レンズ901の絞り位置の領域902a,902b間の距離と結像面903と903a,903bのそれぞれの距離に応じて到達位置にずれが生じる。位相差検知方式はこの原理を利用して撮影レンズの焦点ずれ量を検知するものである。
【0004】
撮影光学系によって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子を備えたいわゆるデジタルカメラでは、例えば特許文献1に示されているように、AF用の専用センサを用いずに、AF用の位相差検知方式の像を撮像素子上に結像させる方法が提案されている。
【0005】
一方、光量調整手段としては複数の絞りばねを用いて虹彩のように光軸に対して連続して開口径を変化させるものがある。このほかNDフィルタ(減光フィルタ)と呼ばれる光学フィルタを、絞りばねを用いたものと組み合わせて、または単独で光量を調整する方式が用いられている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−184972号公報
【特許文献2】特開2004−37861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の焦点検出手段と光量調整手段はそれぞれ個別に制御され、また駆動機構も個別に設けられることが一般的であった。
【0008】
本発明はかかる実情に鑑み、測距精度を得やすい簡単な制御ロジックを提供するとともに、これらを小型かつ低コストに実現可能な方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明では以下のような制御ロジックと機構を用いる、すなわち、
(1)光量調整手段が特定位置に来たときにのみ、焦点検出手段を動作させる。
(2)特定位置として光量が最も多くなる位置を用いる。
(3)特定位置として撮像素子上の光量が予め定められた値になる位置を用いる。
(4)光量調整手段と焦点検出手段を同一アクチュエータで駆動する。
(5)光量調整手段と焦点検出手段がそれぞれ弾性体によって光路から退避した位置に押圧支持され、アクチュエータに印加する電流の向きによってそれぞれの手段を選択的に駆動可能とする。
(6)絞り位置における光量調整手段と焦点検出手段の退避位置が、光軸に直交する平面に投影した場合に略一致する。
(7)焦点検出手段を光路に挿入した後、光量調整手段を特定位置に動作させてから焦点演算手段を退避させる。
(8)特定位置として、光量が最も多くなる位置を用いる。
(9)特定位置として、撮像素子上の光量が予め定められた値になる位置を用いる。
(10)光量調整手段と焦点検出手段を同一アクチュエータで駆動する。
(11)光量調整手段が焦点検出手段の挿入方向の動作にのみ同期して動作を行い、退避方向の動作に対しては同期して動作しない。
(12)光量調整手段が焦点検出手段を挿入後、さらに挿入方向にアクチュエータを動作させた場合にのみ動作を行い、その他の動作に対しては動作しない。
(13)絞り位置における光量調整手段と焦点検出手段の退避位置が、光軸に直交する平面に投影した場合に略一致する。
(14)光量調整手段と焦点検出手段がそれぞれ弾性体によってアクチュエータに押圧支持され、アクチュエータに印加する電流の向きによってそれぞれの手段を選択的に駆動可能とする。
(15)焦点検出手段が光軸方向に分離した複数の部品からなり、それらが同期して挿入、退避の動作を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、焦点検出または光量調整のために設けられていた駆動源を1つの駆動源で兼用可能にし、装置の小型化に寄与すると共に簡単な制御ロジックと簡易な機構の構成によって、撮像素子を用いたAFで問題となる光量不足を補うことが可能となる。
【0011】
また、本発明によれば、焦点検出手段と光量調整手段がそれぞれ光路から退避する領域を重ねることが可能であるため、より一層の小型化に寄与する。
【0012】
また、本発明によれば、撮像素子によって焦点検出手段および光量調整手段の適切な位置を検出可能な装置において、焦点検出または光量調整のために設けられていた駆動源を1つの駆動源で兼用可能にし、装置の小型化に寄与すると共に簡単な制御ロジックと適した機構を示す。また、AF時の光量を撮像素子によって検出可能であるため、より広範囲な輝度の被写体に対して対応可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、焦点検出または光量調整のために設けられていた駆動源を1つの駆動源で兼用可能にし、装置の小型化に寄与すると共に簡単な制御ロジックと適した機構を示す。また、AF時の光量を撮像素子によって検出可能であるため、より広範囲な輝度の被写体に対して対応可能となる。
【0014】
さらに、本発明によれば、焦点検出手段を退避した際に撮像素子上の光量の変化を十分に小さくすることが可能である。これにより再度の光量調整が不要となり、レリーズ信号から撮像までの高速化を図ることができる。
【0015】
また、本発明によれば、焦点検出または光量調整のために設けられていた駆動源を1つの駆動源で兼用可能にし、装置の小型化に寄与すると共に簡単な制御ロジックと簡易な機構の構成によって、撮像素子を用いたAFで問題となる光量不足を補うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1から図6を用いて、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明を実施したいわゆる電子スチルカメラの第1の実施形態を示すブロック図である。同図において1は撮影レンズ、1aは撮影レンズ1の合焦位置を変更するための焦点レンズである。2は撮影レンズ1の絞り位置に設けられた光量調整手段であり、ここでは光路に挿入および退避可能な単一の減光フィルタを用いて示しているが、その他の光量調整手段でも良い。3は焦点検出手段であり、光量調整手段2および焦点検出手段3はアクチュエータ4により、光路に挿入された第1の位置と光路から退避した第2の位置にそれぞれ駆動される。5は光量調整手段2および焦点検出手段3を第2の位置にそれぞれ押圧支持する弾性体である。
【0017】
6は撮像レンズ1によって結像された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子である。7はユーザーによって操作されることによりレリーズ信号を発生させるレリーズボタンである。8は撮像素子6の信号から被写体の明るさを測光する測光手段である。9は撮像素子6の信号から焦点ずれ量を求める焦点演算手段である。10は電子スチルカメラ全体を制御するシステムコントローラである。11は撮像素子6の信号を処理する信号処理ユニットである。12は信号処理ユニット11で得られた結果を記憶するメモリ手段である。13は焦点演算手段9で得られた結果を基に焦点レンズ1aを駆動するレンズ移動手段である。14は光量調整手段2および焦点検出手段3を駆動する素子移動手段である。15は光量調整手段2および焦点検出手段3が挿入および退避のいずれかの位置を検出するための素子位置検出手段である。
【0018】
つぎに、本実施形態における動作を図2のフローチャートを用いて説明する。
図2は、図1に示す電子スチルカメラのレリーズから撮影までの動作を示すフローチャートの第1の例である。図2でSTART要素(ステッフ゜S29)は電源投入を、END要素(ステッフ゜S53)は撮影完了を表している。
【0019】
まず、電源が投入されること(ステッフ゜S29)で撮影待機状態になる。ここで、レリーズボタン7が操作されレリーズ信号が発せられると、システムコントローラ10が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S31)、光量調整手段2を素子駆動手段14を用いて特定位置に移動させる(ステッフ゜S32,ステッフ゜S34)。特定位置への移動は素子位置検出手段15によって検出され、この位置への移動が完了するまで素子移動手段14によって光量調整手段2が移動される。この動作が予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S33)には、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S35)。
【0020】
つぎに、再びシステムコントローラ10が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S36)、光量調整手段2の場合と同様に焦点検出手段3を挿入位置へ動作させる(ステッフ゜S37,ステッフ゜S38,ステッフ゜S39)。挿入位置への移動は、素子位置検出手段15によって検出され、この位置への移動が完了するまで素子移動手段14によって焦点検出手段3が移動される。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S38)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S40)。
【0021】
つぎに、撮像素子6の信号を基に焦点演算手段9を動作させ、焦点ずれ量を演算し(ステッフ゜S41)、その結果を基にレンズ移動手段13を用いて焦点レンズ1aを動作させ、合焦状態にする。この動作は、演算結果が合焦となる位置まで繰り返し行われる(ステッフ゜S42,ステッフ゜S43,ステッフ゜S44)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S43)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S45)。
【0022】
つぎに、再びシステムコントローラ10が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S46)、焦点検出手段3を退避位置へ動作させる(ステッフ゜S47,ステッフ゜S48,ステッフ゜S49)。退避位置への移動は、素子位置検出手段15によって検出され、この位置への移動が完了するまで素子移動手段14によって焦点検出手段3が移動される。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S48)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S50)。
【0023】
ここまでの動作が完了した後に、撮影を行い(ステッフ゜S51)、その撮影結果をメモリ手段12に記録する(ステッフ゜S52)。以上で1回の撮影動作を終了し、再び撮影待機状態となる。
【0024】
つぎに、焦点検出手段について図3を用いて述べる。焦点検出手段20は光路中に挿入され、撮影光路の上下または左右に分けられた2つの領域で偏向され、それぞれ撮像素子上において別の位置に結像するようになっている。図3において領域21aはカメラ正面から見た際に光路の右側に設けられており、領域21bは左側に設けられている。
【0025】
焦点検出手段20を光路中に入れて焦点を検出する場合の模式図を図4に示す。図4(a)において、22aは合焦時における領域21aを通過する光軸上の物体の結像点を、22bは合焦時における領域22bを通過する光軸上の物体の結像点を示している。図4(b)において、22aはいわゆる前ピン時における領域21aを通過する光軸上の物体の結像点を、22bは前ピン時における領域21bを通過する光軸上の物体の結像点を示している。図4(c)において、22aはいわゆる後ピン時における領域21aを通過する光軸上の物体の結像点を、22bは後ピン時における領域22bを通過する光軸上の物体の結像点を示している。
【0026】
図に示したように焦点レンズが合焦位置に無い場合は、図24に示した位相差AFの原理に従って、図4(b)または図4(c)のように分割された像が結像する位置が、それぞれ変化する。このずれは、焦点レンズの合焦位置からのずれの関数になっているので、撮像素子上の信号からこの像のずれを検出し、焦点レンズを適切に駆動することで合焦位置を得ることが可能となる。
【0027】
一方、前記に示したような撮像素子を用いた焦点検出手段においては、前述の偏光回折格子の回折効率やカラーフィルタ、赤外カットフィルタ等撮像のための各種フィルタの透過効率などの影響がある。一般的に適切な光量を撮像素子上で得ることが簡単ではない。そこで本発明では焦点検出手段と光量調整手段と連動させることで、簡単な構成にすると共に撮像素子上での光量が変化するという問題を解消する。すなわち、焦点検出のための特定のセンサや撮像素子に特別な処理を施すことなく、焦点検出に撮像素子を用いることを可能とする。
【0028】
つぎに、焦点検出手段3および光量調整手段2を駆動する機構について、図5および図6を用いて説明する。図5は光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を光軸と直交する平面方向から見た図である。図5において光量調整手段3と焦点検出手段2は、それぞれの支持構造72および73に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸71を中心に光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。支持構造72および73は、弾性体5aおよび5bによって退避位置に押圧されている。図5において、70aは5aによって支持構造72上の光量調整手段2が押圧されている方向を、70bは5bによって支持構造73上の焦点検出手段3が押圧されている方向を示す。
【0029】
すなわち、アクチュエータに無通電状態では、図6(a)に示すように光量調整手段と焦点検出手段はそれぞれ別の退避位置にある。また、光量調整手段と焦点検出手段の支持構造72および73上にはマグネット4bおよび4cが設けられており、マグネット4bの磁束は4dとして、マグネット4cの磁束は4eとして図示する。図5から明らかなようにマグネット4bおよび4cの磁界の方向は同一である。固定部に取り付けられたコイル4aに通電することにより、マグネット4bおよび4cは時計回りあるいは反時計回りのトルクと受ける。このとき光量調整手段2と焦点検出手段3が受けるトルクの方向は同一となる。トルクの方向は、コイルに流れる電流の方向によって制御される。
【0030】
このとき退避位置に押圧している弾性体5aおよび5bによって発生するトルクに抗して、動作するのに十分な電流をコイル4aに印加してやることで、光量調整手段2と焦点検出手段3を光路中に挿入可能である。すなわち、アクチュエータに印加する電流方向によって図6(b)および図6(c)のように、光量調整手段2または焦点検出手段3のいずれを光路中に挿入するかを制御可能である。図6(b)および図6(c)には光量調整手段を挿入する方向を電流の正方向、焦点検出手段を光路に挿入する方向を電流の負方向としているが、これらは説明の簡単のために定義した方向であって相対的な意味しか持たない。
【0031】
本実施形態によれば、簡単な構成で下記動作を実現可能である。
1.光量調整手段を挿入
2.焦点検出手段を挿入
3.光量調整手段と焦点検出手段をいずれも退避
【0032】
図6(b)および図6(c)のように光量調整手段2または焦点検出手段3のいずれかが光路に挿入されると、接触または非接触で素子の位置を検出する素子位置検出手段15によって、光量調整手段2または焦点検出手段3の光路への挿入が検出可能となっている。例えば、図5において光量調整手段2が光路に挿入された場合、素子位置検出手段15に設けられた15aの領域を光量調整手段2の支持構造72が横切るように配置する。15aは例えばフォトインタラプタなどで構成されており、支持構造72が挿入されたことを検出可能な構造となっている。焦点検出手段3が挿入された場合も同様に素子位置検出手段15に設けられた15bの領域を、焦点検出手段3の支持構造73が横切ることにより挿入を検出する。
【0033】
前述の機構を図2に適用した場合を説明する。図2においてレリーズボタン待ちの状態では、電流を印加せず光量調整手段と焦点検出手段をいずれも退避状態とする。そうすることで余分な電力の消費を抑えることができる。レリーズ信号を検出した後(ステッフ゜S34)までは、フローチャートの説明で述べたロジックに従って動作を行う。(ステッフ゜S34)において電流を正方向に印加して、光量調整手段を光路中に挿入する。挿入の検出は素子位置検出手段15によって行う。その後(ステッフ゜S39)において電流を負方向に印加して、焦点検出手段を光路中に挿入する。この場合も挿入の検出は素子位置検出手段15によって行う。その後(ステッフ゜S49)において電流を印加しない状態にして撮影および記録を行い、再びレリーズボタン待ち状態となる。
【0034】
本実施形態で述べた例では、マグネット4bおよび4cが移動側に設置されるいわゆるムービンマグネットの構成をとっているが、マグネットとコイルの固定、移動を反対にした構成でも実現可能である。この場合、磁気回路中に設けられる光量調整手段と焦点検出手段を駆動するべきコイルは同一方向に巻く。
【0035】
本実施形態によると、簡単な機構とロジックに従うことにより光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは、撮像素子上での光量が問題となる。本実施形態に示したように焦点検出を行う際に常に光量が最大となるように光量調整手段を光路から退避させる方法は有効である。
【0036】
(第2の実施形態)
図1から図4および図7、図8を用いて、本発明の第2の実施形態として好適な例を説明する。
装置のブロック図、フローチャートおよび焦点検出手段は、第1の実施形態と同様である。すなわち図1から図4に示し、第1の実施形態で説明した通りとする。第2の実施形態は、第1の実施形態に対して光量調整手段2および焦点検出手段3を駆動する機構が異なっているので、この部分に限って説明を行う。
【0037】
第2の実施形態に示す機構について、図7および図8を用いて説明する。図7は、光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を、光軸方向と光軸と90度をなす方向から見た図である。図7において光量調整手段3と焦点検出手段2は、それぞれの支持構造72および73に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸71を中心に光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。支持構造72および73は弾性体5aおよび5bによって退避位置に押圧されている。図7において、81は5aおよび5bによって支持構造72上の光量調整手段2および支持構造73上の焦点検出手段3が押圧されている方向を示す。
【0038】
すなわち、アクチュエータに無通電状態では、図8(a)に示すように光量調整手段と焦点検出手段は、光軸方向に投影した場合に重なるように設けられた退避位置にある。また、光量調整手段2と焦点検出手段3の支持構造72および73上には、マグネット4bおよび4cが設けられており、マグネット4bの磁束は4dとして、マグネット4cの磁束は4eとして図示する。図7に示すようにマグネット4bおよび4cの磁界の方向は反対である。固定部に取り付けられたコイル4aに通電することにより、マグネット4bおよび4cはそれぞれ反対方向のトルクを受ける。すなわち、光量調整手段2が光路に挿入されるようなトルクを受けている場合は、焦点検出手段3は無通電状態よりもより強い力で退避領域に押圧される。また、焦点検出手段3が光路に挿入されるようなトルクを受けている場合は、光量調整手段2は無通電状態よりもより強い力で退避領域に押圧される。トルクの方向は、コイルに流れる電流の方向によって制御される。
【0039】
このとき退避位置に押圧している弾性体5aおよび5bによって発生するトルクに抗して、動作するのに十分な電流をコイル4aに印加してやることで、光量調整手段2と焦点検出手段3を光路中に挿入可能である。すなわち、アクチュエータに印加する電流方向によって図8(b)および図8(c)のように、光量調整手段2または焦点検出手段3のいずれを光路中に挿入するかを制御可能である。図8(b)および図8(c)には光量調整手段を挿入する方向を電流の正方向、焦点検出手段を光路に挿入する方向を電流の負方向としているが、これらは説明の簡単のために定義した方向であって相対的な意味しか持たない。
【0040】
本実施形態によれば、簡単な構成で下記動作を実現可能である。
1.光量調整手段を挿入
2.焦点検出手段を挿入
3.光量調整手段と焦点検出手段をいずれも退避
【0041】
図8(b)および図8(c)のように光量調整手段2または焦点検出手段3のいずれかが光路に挿入されると、接触または非接触で素子の位置を検出する素子位置検出手段15によって、光量調整手段2または焦点検出手段3の光路への挿入が検出可能となっている。例えば、図7において光量調整手段2が光路に挿入された場合、素子位置検出手段15に設けられた15aの領域を、光量調整手段2の支持構造72が横切るようにように配置する。15aは例えばフォトインタラプタなどで構成されており、支持構造72が挿入されたことを検出可能な構造となっている。焦点検出手段3が挿入された場合も同様に、素子位置検出手段15に設けられた15bの領域を焦点検出手段3の支持構造73が横切ることにより挿入を検出する。
【0042】
前述の機構を図2に適用した場合を説明する。図2においてレリーズボタン待ちの状態では、電流を印加せず光量調整手段と焦点検出手段をいずれも退避状態とする。そうすることで余分な電力の消費を抑えることができる。レリーズ信号を検出した後(ステッフ゜S34)までは、フローチャートの説明で述べたロジックに従って動作を行う。(ステッフ゜S34)において電流を正方向に印加して、光量調整手段を光路中に挿入する。挿入の検出は素子位置検出手段15によって行う。その後(ステッフ゜S39)において電流を負方向に印加して、焦点検出手段を光路中に挿入する。この場合も挿入の検出は、素子位置検出手段15によって行う。その後(ステッフ゜S49)において電流を印加しない状態にして撮影および記録を行い、再びレリーズボタン待ち状態となる。
【0043】
本実施形態で述べた例では、マグネット4bおよび4cが移動側に設置されるいわゆるムービンマグネットの構成をとっているが、マグネットとコイルの固定、移動を反対にした構成でも実現可能である。この場合、磁気回路中に設けられる光量調整手段と焦点検出手段を駆動するべきコイルは反対方向に巻く。
【0044】
本実施形態によると、簡単な機構とロジックに従うことにより、光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは、撮像素子上での光量が問題となる。本実施形態に示したように焦点検出を行う際に常に光量が最大となるように光量調整手段を光路から退避させる方法は有効である。また、光量調整手段と焦点検出手段が光路外に退避した領域を小さくすることが可能なため、装置全体の小型化に寄与する。
【0045】
(第3の実施形態)
図9から図12を用いて、本発明の第3の実施形態について説明する。
図9において101は撮影レンズ、101aは撮影レンズ1の合焦位置を変更するための焦点レンズである。102は撮影レンズ101の絞り位置に設けられた光量調整手段である。103は焦点検出手段であり、光量調整手段102および焦点検出手段103はアクチュエータ104で光路に挿入された第1の位置と光路から退避した第2の位置にそれぞれ駆動される。105は光量調整手段102および焦点検出手段103を第1の位置または第2の位置にそれぞれ押圧支持する弾性体である。
【0046】
106は撮像レンズ101によって結像された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子である。107はユーザーにより操作されることにより、レリーズ信号を発生させるレリーズボタンである。108は撮像素子106の信号から被写体の明るさを測光する測光手段である。109は撮像素子106の信号から焦点ずれ量を求める焦点演算手段である。110は電子スチルカメラ全体を制御するシステムコントローラである。111は撮像素子106の信号を処理する信号処理ユニットである。112は信号処理ユニット111で得られた結果を記憶するメモリ手段である。113は焦点演算手段108で得られた結果を基に焦点レンズ101aを駆動するレンズ移動手段である。114は光量調整手段102および焦点検出手段103を駆動する素子移動手段である。
【0047】
つぎに、動作フローについて図10を用いて説明する。
図10は、図9に示す電子スチルカメラのレリーズから撮影までの動作を示すフローチャートの例である。図10でSTART要素(ステッフ゜S129)は電源投入を、END要素(ステッフ゜S154)は撮影完了を表している。
【0048】
まず、電源が投入されることで(ステッフ゜S129)、撮影待機状態になる。ここでレリーズボタン107が操作されレリーズ信号が発せられると、システムコントローラ110が備える図示しないタイマー手段をリセットして、焦点検出手段103が光路にあるか撮像素子106の信号を基に判断する(ステッフ゜S132)。挿入位置にない場合(ステッフ゜S133)、素子移動手段14によって焦点検出手段109を光路へ挿入する(ステッフ゜S134)。この動作が予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S133)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S135)。
【0049】
つぎに、システムコントローラ110が備える図示しないタイマー手段をリセットし (ステッフ゜S136)、撮像素子106の信号を基に焦点演算手段109を動作させ、焦点ずれ量を演算する(ステッフ゜S137)。その結果を基にレンズ移動手段113を用いて、焦点レンズ101aを動作させ合焦状態にする。この動作は、演算結果が合焦となる位置まで繰り返し行われる(ステッフ゜S138,ステッフ゜S139,ステッフ゜S140)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S139)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S141)。
【0050】
つぎに、再びシステムコントローラ110が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S142)、焦点検出手段103を退避位置へ動作させる(ステッフ゜S143,ステッフ゜S144,ステッフ゜S145)。退避位置への移動は、撮像素子106によって検出され、この位置への移動が完了するまで、素子移動手段114によって焦点検出手段103が移動される。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S144)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S146)。
【0051】
最後に、再びシステムコントローラ110が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S147)、光量調整手段102を撮像素子106の光量が適切になる位置へ動作させる(ステッフ゜S148,ステッフ゜S149,ステッフ゜S150)。光量が適切になる位置への移動が、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S149)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S151)。
【0052】
ここまでの動作が完了した後に、撮影を行い(ステッフ゜S152)、その撮影結果をメモリ手段112に記録する(ステッフ゜S153)。以上で1回の撮影動作を終了し、再び撮影待機状態となる。なお、焦点検出手段103は、第1の実施形態に示したものと同様のものとする。
【0053】
つぎに、焦点検出手段103および光量調整手段102を駆動する機構について、図111および図12を用いて説明する。図11は光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を、光軸と直交する平面方向から見た図である。図11において光量調整手段102と焦点検出手段103は、それぞれの支持構造122および123に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸116を中心に、光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。また光量調整手段102は、透過光量の異なる領域102aおよび102bを有し、軸116を中心に支持構造122が回転することにより、図示しない撮像素子106上の光量を調整可能である。支持構造122および123は、弾性体105aおよび105bによってそれぞれ押圧されている。図11において、125aは105aによって支持構造123上の焦点検出手段103が押圧されている方向を、125bは5bによって支持構造122上の光量調整手段102が押圧されている方向を示す。
【0054】
すなわち、アクチュエータに無通電状態では、図12(a)に示すように光量調整手段と焦点検出手段はそれぞれ別の位置に押圧される。図12(a)では焦点検出手段102は退避位置に、光量調整手段102は領域102aが光路中に挿入された位置に押圧されている。また、光量調整手段と焦点検出手段の支持構造122および123上には、マグネット104bおよび104cが設けられており、マグネット104bの磁束は104dとして、マグネット104cの磁束は104eとして図示する。図11から明らかなようにマグネット104bおよび104cの磁界の方向は同一である。固定部に取り付けられたコイル104aに通電することにより、マグネット104bおよび104cは、時計回りあるいは反時計回りのトルクと受ける。このとき光量調整手段102と焦点検出手段103が受けるトルクの方向は同一となる。トルクの方向は、コイルに流れる電流の方向によって制御される。
【0055】
このとき押圧している弾性体105aおよび105bによって発生するトルクに抗して、動作するのに十分な電流をコイル104aに印加してやることで、光量調整手段102と焦点検出手段103を光路中に挿入等の制御が可能である。すなわち、アクチュエータに印加する電流方向によって、図12(b), 図12(c)および図12(d)のように焦点検出手段103の光路中への挿入退避または光量調整手段102のいずれの領域を、光路中に挿入するかを制御可能である。
【0056】
図12(b), 図12(c)および図12(d)には、光量調整手段を挿入する方向を電流の正方向としているが、これらは説明の簡単のために定義した方向であって相対的な意味しか持たない。また、説明の簡単のために光量調整手段は、透過光量の異なる2つの領域を持つ例で説明を行ったが、さらに多数の透過光量の異なる領域を持つ場合や透過光量が次第に変化する場合であっても本発明を適用可能である。
【0057】
本実施形態によれば、簡単な構成で下記動作を実現可能である。
1.焦点検出手段を挿入
2.光量調整手段を透過光量の多い領域に移動
3.光量調整手段を透過光量の少ない領域に移動
【0058】
図12(b), 図12(c)および図12(d)のように光量調整手段102または焦点検出手段103のいずれが光路に挿入されると、撮像素子106からの信号によって、光量調整手段102または焦点検出手段103の光路への挿入が検出可能となっている。焦点検出手段103は第1の実施形態で説明したような構成をしているために、図12(b)のように焦点検出手段103が光路に挿入されると、挿入前に対して撮像素子106上の輝度分布が大きく異なる。これを検出することで、焦点検出手段103の光路への挿入を検出可能となる。また、光量調整手段102を動作させることで、撮像素子106の総和信号が大きく異なる。これを適正量とすることで、適切に光量調整手段102を制御可能である。
【0059】
本実施形態によると、簡単な機構とロジックに従うことにより光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは、撮像素子上での光量が問題となる。本実施形態に示したように焦点検出を行う際に、常に光量が最大となるように光量調整手段の透過光量が最も多い領域にする方法は有効である。
【0060】
(第4の実施形態)
図13から図17を用いて、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13において201は撮影レンズ、201aは撮影レンズ201の合焦位置を変更するための焦点レンズである。202は撮影レンズ201の絞り位置に設けられた光量調整手段である。203は焦点検出手段である。光量調整手段202は、アクチュエータ204によって透過光量を変化させることが可能であり、焦点検出手段203は、アクチュエータ204で光路に挿入された第1の位置と、光路から退避した第2の位置にそれぞれ駆動される。205は光量調整手段202および焦点検出手段203をそれぞれ押圧支持する弾性体である。
【0061】
206は撮像レンズ201によって結像された光学像を、電気的な信号に変換する撮像素子である。207はユーザーにより操作されることによりレリーズ信号を発生させるレリーズボタンである。208は撮像素子206の信号から被写体に明るさを測光する測光手段である。209は撮像素子206の信号から焦点ずれ量を求める焦点演算手段である。210は電子スチルカメラ全体を制御するシステムコントローラである。211は撮像素子206の信号を処理する信号処理ユニットである。212は信号処理ユニット211で得られた結果を記憶するメモリ手段である。213は焦点演算手段208で得られた結果を元に焦点レンズ201aを駆動するレンズ移動手段である。214は前記光量調整手段202および焦点検出手段203を駆動する素子移動手段である。
【0062】
つぎに、本実施形態における動作フローについて図14を用いて説明する。
図14は、図13に示す電子スチルカメラのレリーズから撮影までの動作を示すフローチャート例である。図14でSTART要素(ステッフ゜S229)は電源投入を、END要素(ステッフ゜S259)は撮影完了を表している。
【0063】
まず、電源が投入されること(ステッフ゜S229)で撮影待機状態になる。ここでレリーズボタン207が操作されレリーズ信号が発せられると、システムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S231)、点検出手段203が光路にあるかを撮像素子206の信号を基に判断する(ステッフ゜S232)。挿入位置にない場合(ステッフ゜S233)、素子移動手段214によって焦点検出手段209を光路へ挿入する(ステッフ゜S234)。この動作が予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S233)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S235)。
【0064】
つぎに、再びシステムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S236)、撮像素子206の信号を基に光量が適正な範囲にあるか判断する(ステッフ゜S237)。光量が適切ではない場合は、光量調整手段202を適切な位置へ動作させる(ステッフ゜S237,ステッフ゜S238,ステッフ゜S239)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S238)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S240)。
【0065】
つぎに、撮像素子206の信号を基に焦点演算手段209を動作させ、焦点ずれ量を演算し(ステッフ゜S241)、その結果を基にレンズ移動手段213を用いて焦点レンズ201aを動作させ合焦状態にする。この動作は、演算結果が合焦となる位置まで繰り返し行われる(ステッフ゜S242),(ステッフ゜S243),(ステッフ゜S244)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S243)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S245)。
【0066】
つぎに、再びシステムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S246)、点検出手段203を退避位置へ動作させる(ステッフ゜S247,ステッフ゜S248,ステッフ゜S249)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S248)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S250)。
【0067】
つぎに、再びシステムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S251)、撮像素子206の信号から光量が適切であるか判断を行う(ステッフ゜S251)。光量が適切ではない場合は、光量調整手段202を適切な位置へ動作させる(ステッフ゜S252,ステッフ゜S253,ステッフ゜S254)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S253)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S256)。
【0068】
ここまでの動作が完了した後に、撮影を行い(ステッフ゜S257)、その結果をメモリ手段212に記録する(ステッフ゜S258)。以上で1回の撮影動作を終了し、再び撮影待機状態となる。
【0069】
つぎに、焦点検出手段203および光量調整手段202駆動する機構について図15から図17を用いて説明する。図15は、光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を、光軸と直交する平面方向から見た図である。図15において光量調整手段202と焦点検出手段203はそれぞれの支持構造222および223に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸216を中心に光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。また光量調整手段202は、透過光量の異なる領域202aおよび202bを有し、軸216を中心に支持構造222が回転することにより、図示しない撮像素子206上の光量を調整可能である。支持構造222および223は、弾性体205aおよび205bによってそれぞれ駆動カム204bおよび204cに押圧されている。図11において、225は弾性体205aによって支持構造223上の焦点検出手段203に押圧されている方向と、弾性体205bによって支持構造222上の焦点検出手段202に押圧されている方向を示す。
【0070】
カム204b,204cは駆動源204aによって駆動され、カムの論理は図16に示すようなものを考える。すなわち、焦点検出手段203はカムの1周期に1度の挿入および退避運動行い、光量調整手段202は焦点検出手段203が挿入および退避のそれぞれの状態において、光量が最大位置から最小位置まで変化する。このような構成とすることで、図17の(a),(b),(c),(d)の状態が得られる。
【0071】
例えば図17において光量調整手段の202aを光量最大位置、202bを光量最小位置とすると、カムの回転によって下記の4つの状態を容易に得ることができる。
1.焦点検出手段203:挿入、光量調整手段202:光量最大
2.焦点検出手段203:挿入、光量調整手段202:光量最小
3.焦点検出手段203:退避、光量調整手段202:光量最大
4.焦点検出手段203:退避、光量調整手段202:光量最小
【0072】
上記説明した機構では、焦点検出手段202を挿入、または退避の状態で容易に光量を調整可能である。
【0073】
本実施形態によると、簡単な機構とロジックに従うことにより光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは撮像素子上での光量が問題となるので、本実施形態に示したように焦点検出を行う際に、光量を適切に制御可能となる構成は有効である。
【0074】
(第5の実施形態)
図13および図18から図21を用いて、本発明の第5の実施形態について説明する。
動作フローについて図14を用いて説明する。
図14は、図13に示す電子スチルカメラのレリーズから撮影までの動作を示すフローチャート例である。図14でSTART要素(ステッフ゜S229)は電源投入を、END要素(ステッフ゜S259)は撮影完了を表している。
【0075】
まず、電源が投入されること(ステッフ゜S229)で撮影待機状態になる。ここでレリーズボタン207が操作されレリーズ信号が発せられると、システムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S231)、焦点検出手段203が光路にあるか、撮像素子206の信号を基に判断する(ステッフ゜S232)。挿入位置にない場合(ステッフ゜S233)、素子移動手段214によって焦点検出手段209を光路へ挿入する(ステッフ゜S234)。この動作が、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S233)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S235)。
【0076】
つぎに、再びシステムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S236)、撮像素子206の信号を基に光量が適正な範囲にあるか判断する(ステッフ゜S237)。光量が適切ではない場合は、光量調整手段202を適切な位置へ動作させる(ステッフ゜S237,ステッフ゜S238,ステッフ゜S239)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S238)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S240)。
【0077】
つぎに、撮像素子206の信号を元に焦点演算手段209を動作させ焦点ずれ量を演算し(ステッフ゜S241)、その結果を基にレンズ移動手段213を用いて、焦点レンズ201aを動作させ合焦状態にする。この動作は演算結果が合焦となる位置まで繰り返し行われる(ステッフ゜S242,ステッフ゜S243,ステッフ゜S244)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S243)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S245)。
【0078】
つぎに、再びシステムコントローラ210が備える図示しないタイマー手段をリセットして(ステッフ゜S246)、焦点検出手段203を退避位置へ動作させる(ステッフ゜S247,ステッフ゜S248,ステッフ゜S249)。この場合も、予め定められた期間内に終了しない場合(ステッフ゜S248)は、適切なタイムアウト処理が施されて終了する(ステッフ゜S250)。
【0079】
ここまでの動作が完了した後に、撮影を行い(ステッフ゜S257)、その結果をメモリ手段212に記録する(ステッフ゜S258)。以上で1回の撮影動作を終了し、再び撮影待機状態となる。
【0080】
図14に示した第4の実施形態のフローと比較すると、後述する機構によって焦点検出手段203の退避動作に対して、光量調整手段202が同期して動作しないために退避後に再度光量を調整する必要が無く、撮像に移ることが可能である。
【0081】
つぎに、焦点検出手段203および光量調整手段202駆動する機構について、図19から図21を用いて説明する。図19は光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を、光軸と直交する平面方向から見た図である。図19において光量調整手段202と焦点検出手段203はそれぞれの支持構造222および223に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸216を中心に光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。また、光量調整手段202は透過光量の異なる領域202aおよび202bを有し、軸216を中心に支持構造222が回転することにより、図示しない撮像素子206上の光量を調整可能である。支持構造222は、弾性体205aによって駆動カム204fに押圧されている。一方、支持構造223は構造上に設けられたプーリー223aと駆動ベルト226を介して、駆動プーリー204dによって駆動される。図19において、225は弾性体205aによって支持構造222上の焦点検出手段202が押圧されている方向を示す。
【0082】
駆動プーリー204dは駆動源204aによって駆動され、カム204fはワンウェイクラッチ204eを介して、駆動源204aによって駆動される。ワンウェイクラッチ204eは焦点検出手段203を挿入する際には光量調整手段202を同時に駆動し、焦点検出手段203を退避する際には光量調整手段202を駆動しないように設ける。さらに、焦点検出手段の支持構造223は挿入位置で、図示しないストッパに接触して停止する。さらに駆動源204aを焦点検出手段203の挿入方向に回転させたときは、駆動プーリー204dと駆動ベルト226の間または支持構造223上に設けられたプーリー223aと駆動ベルト226の間でスリップが発生するようにする。つまり、焦点検出手段203を挿入した後にさらに駆動源204aを駆動することで、光量調整手段202を動作可能な構成とする。上記のような構成とすることで駆動源を正転または逆転することで図20に示すような動作を得ることが可能となる。
【0083】
明らかなように駆動源204aを適切に制御することで、下記の4つの状態を容易に得ることができる。
1.焦点検出手段203:挿入、光量調整手段202:光量最大
2.焦点検出手段203:挿入、光量調整手段202:光量最小
3.焦点検出手段203:退避、光量調整手段202:光量最大
4.焦点検出手段203:退避、光量調整手段202:光量最小
【0084】
説明の便宜のために焦点検出手段203を光路に挿入する方向を駆動源の正転方向、退避する方向を駆動源の逆転方向としたが、これらは相対的な意味しかもたない。
【0085】
上記に説明した機構動作させる例を図21を用いて説明する。図21において、(a)→(b)→(c)は焦点検出手段203を挿入後、さらに駆動源204aを正転させた場合の変化を示す。光量調整手段202上の透過光量の異なる領域202a,202bを光路に対して挿入可能である。光量が適切となる位置を図示しない撮像素子206から得て、焦点合わせを行った後に焦点検出手段203を退避させる。例えば図21(b)が光量の適切となる位置であるとした場合、(b)の状態から焦点検出手段203を退避させると図21(d)の状態を得る。
【0086】
本実施形態によると、簡単な機構とロジックに従うことにより光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは、撮像素子上での光量が問題となる。本実施形態に示したように焦点検出を行う際に光量を適切に制御可能となる構成は有効である。さらに、焦点検出手段を退避させた後に光量調整を行う必要が無いので装置の高速化に寄与する。
【0087】
(第6の実施形態)
図1から図4および図22を用いて、本発明の第6の実施形態について説明する。
装置のブロック図、フローチャートおよび焦点検出手段は、第1の実施形態と同様である。すなわち図1から図4に示し、第1の実施形態で説明した通りとする。第6の実施形態は第1の実施形態に対して、光量調整手段2および焦点検出手段3を駆動する機構が異なっているので、この部分に限って説明を行う。
【0088】
第6の実施形態における機構について図22を用いて説明する。図22は光量調整手段と焦点検出手段を駆動する機構部を、光軸方向と光軸と90度をなす方向から見た図である。図22において光量調整手段303と焦点検出手段302はそれぞれの支持構造372および373に取り付けられ、適当な位置に設けられた軸371を中心に光軸と直交する平面内で回転可能に支持される。さらに、駆動手段支持構造374が支持構造372および373と同一の回転軸371を中心に回転可能に支持され、駆動手段支持構造上には、駆動コイル304cと支持構造372および373駆動用の突起312および313が設けられている。また、フレーム310上には支持構造372および373が退避位置において接触する突起322および323が設けられている。
【0089】
支持構造372および373は弾性体305aおよび305bによって退避位置に押圧されており、駆動手段が動作しないときにはフレーム上の突起322および323にそれぞれ接触している。図22において、370aおよび370bは、305aおよび305bによって支持構造372上の光量調整手段302および支持構造373上の焦点検出手段303が押圧されている方向を示す。すなわち、アクチュエータに無通電状態では図23(a)に示すように光量調整手段302と焦点検出手段303は、それぞれ別の退避位置にある。またフレーム310上には、マグネット304aおよび304bが設けられ磁気回路を構成している。マグネット304aと304bはそれぞれ2つの領域に分けて着磁されている。適切な着磁領域を設けることで、駆動コイル305に通電することで駆動手段支持構造374は回転軸371回りのトルクを受けることができる。トルクの方向は、電流の方向によって制御される。
【0090】
駆動手段支持構造374は、突起312および313を介して支持構造372および373を駆動可能となる。すなわち光量調整手段302が光路に挿入されるようなトルクを受けている場合は、図23(b)に示すように駆動手段支持構造374は突起312を介して支持構造372を挿入位置に駆動し、焦点検出手段は弾性体305bによってフレーム上の突起323に押圧され退避状態にある。一方焦点検出手段303が光路に挿入されるようなトルクを受けている場合は、図23(c)に示すように駆動手段支持構造375は、突起313を介して支持構造373を挿入位置に駆動し、光量調整手段302は弾性体305aによってフレーム上の突起322に押圧され退避状態にある。
【0091】
本実施形態によれば、簡単な構成で下記動作を実現可能である。
1.光量調整手段を挿入
2.焦点検出手段を挿入
3.光量調整手段と焦点検出手段をいずれも退避
【0092】
図23(b)および図23(c)のように光量調整手段2または焦点検出手段3のいずれが光路に挿入されると、接触または非接触で素子の位置を検出する素子位置検出手段315によって、光量調整手段302または焦点検出手段303の光路への挿入が検出可能となっている。
【0093】
本実施形態によれば、簡単な機構とロジックに従うことにより光量調整手段と焦点検出手段を制御可能である。特に撮像素子を用いたオートフォーカスでは撮像素子上での光量が問題となるので、本実施形態に示したように焦点検出を行う際に光量を適切に制御可能となる構成は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1および第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る焦点検出手段の説明図である。
【図4】本発明に係る焦点検出手段による焦点検出原理を示す図である。
【図5】第1の実施形態における機構の構成例を示す図である。
【図6】第1の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における機構の構成例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態における駆動機構の構成例を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態における構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第4の実施形態における駆動機構の構成例を示す図である。
【図16】本発明の第4の実施形態におけるカム動作の例を示す図である。
【図17】本発明の第4の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図18】本発明の第4の実施形態における動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第5の実施形態における駆動機構の構成例を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図22】本発明の第6の実施形態における駆動機構の構成例を示す図である。
【図23】本発明の第6の実施形態における機構動作のロジック例を示す図である。
【図24】位相差AFの原理を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 撮影レンズ群、1a 焦点レンズ、2 光量調整手段、3 焦点検出手段、4 素子駆動アクチュエータ、5 素子支持用弾性体、6 撮像素子、7 レリーズボタン、8 測光手段、9 焦点演算手段、10 システムコントローラ、11 信号処理ユニット、12 メモリ手段、13 レンズ移動手段、14 素子移動手段、15 素子位置検出手段、20 焦点検出手段、21a 焦点検出手段200上に設けられた開口、21b 焦点検出手段200上に設けられた開口、22a 領域202を通過した光束が結像面上に作るスポット、22b 領域201を通過した光束が結像面上に作るスポット、23 偏光ビームスプリッタ、24 結像面、25 ファインダーへ向かう光束、26 結像面へ向かう光束、71 回転軸、72 光量調整手段2の支持構造、73 焦点検出手段3の支持構造、102 光量調整手段、102a 光量調整手段102上に設けられた102bと透過光量の異なる領域、102b 光量調整手段102上に設けられた102aと透過光量の異なる領域、204a 駆動源、204b 光量調整手段を駆動するカム、204c 焦点検出手段を駆動するカム、204e ワンウェイクラッチ、204f 光量調整手段を駆動するカム、901 撮影レンズ群、902 撮影レンズ901の絞り位置、902a 絞り902上に設けられた開口、902b 絞り902上に設けられた開口、903 撮影レンズ901の結像面、903a 結像ずれを示す面、903b 結像ずれを示す面、904a 902aを通過する光束、904b 902bを通過する光束。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を形成する撮影光学系と、この撮影光学系によって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子と、この撮像素子によって得られた電気的な信号から所要の映像信号を生成する信号処理手段と、前記撮影光学系の撮影時の入射光量を制御する光量調整手段と、前記撮影光学系の光路に対して挿入および退避可能に構成された焦点検出手段と、前記信号処理手段の演算結果から焦点ずれ量を演算可能な焦点演算手段とを備え、
前記光量調整手段が特定位置にある場合のみ、前記焦点検出手段を前記光路に挿入し、前記焦点演算手段を動作させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記焦点検出手段が前記光路に対して挿入可能となる前記光量調整手段の特定位置が、光量を最も多く取り込むことが可能な位置であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記焦点検出手段が前記光路に対して挿入可能となる前記光量調整手段の特定位置が、前記撮像素子上の光量が予め定められた値になる位置であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光量調整手段と前記焦点検出手段を、同一のアクチュエータで駆動することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光量調整手段と前記焦点検出手段の片方または双方が弾性体を用いて退避または挿入位置に押圧支持され、前記アクチュエータに印加される電流の向きによって退避または挿入動作を制御可能であることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
絞り位置における前記光量調整手段と前記焦点検出手段の退避位置が、光軸に直交する平面に投影した場合に略一致することを特徴とする請求項4または5記載の撮像装置。
【請求項7】
被写体像を形成する撮影光学系と、この撮影光学系によって形成された被写体像を電気的な信号に変換する撮像素子と、この撮像素子によって得られた電気的な信号から所要の映像信号を生成する信号処理手段と、前記撮影光学系の撮影時の入射光量を制御する光量調整手段と、前記撮影光学系の光路に対して挿入および退避可能に構成された焦点検出手段と、前記信号処理手段の演算結果から焦点ずれ量を演算可能な焦点演算手段とを備え、
前記焦点検出手段を前記光路に挿入した後、前記光量調整手段を特定位置に動作させてから前記焦点演算手段を退避させることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記焦点演算手段を動作させる前記光量調整手段の特定位置が、光量を最も多く取り込むことが可能な位置であることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記焦点演算手段を動作させる前記光量調整手段の特定位置が、撮像素子上の光量が予め定められた値になる位置であることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項10】
前記光量調整手段と前記焦点検出手段を、同一のアクチュエータで駆動することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項11】
前記光量調整手段が前記焦点検出手段の挿入方向の動作に対してのみ同期して動作を行い、退避方向の動作に対しては動作しないことを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記光量調整手段が前記焦点検出手段を挿入後、さらに挿入方向に前記アクチュエータを動作させた場合にのみ動作を行い、その他の動作に対しては動作しないことを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項13】
絞り位置における前記光量調整手段と前記焦点検出手段の退避位置が、光軸に直交する平面に投影した場合に略一致することを特徴とする請求項11または12記載の撮像装置。
【請求項14】
光軸と平行に設けられた軸を中心に回転可能なアクチュエータを有し、前記光量調整手段と前記焦点検出手段の双方が弾性体を用いて前記アクチュエータに押圧支持され、前記アクチュエータに対する電流の向きによって前記光量調整手段および前記焦点検出手段の退避または挿入動作を制御可能にしたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の撮像装置を備えた撮影レンズユニットまたはカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−184788(P2006−184788A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380931(P2004−380931)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】