説明

撮像装置およびその制御方法

【課題】 デジタルカメラは操作部材が多く、設定可能なパラメータも複数存在するため、扱うのが難しいと感じている人が多い。特にシャッター速度や、絞りなどの調節は使用者が意図する写真を撮影するのに必要にもかかわらず、適切な調整がわからないため自動モードや、シーンモードに頼った撮影しかできない使用者が多く存在する。
【解決手段】 そこで、撮影目的別に記憶装置に記憶しておいた模擬画像もしくは模擬動画によりガイダンスを行い、ユーザーに撮影装置の設定と撮影動作を実施させて、撮影目的に合った撮影装置の設定を練習できる模擬撮影モードを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが意図する写真を撮影するためのカメラの設定方法を習得するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは操作部材が多く、設定可能なパラメータも複数存在するため、扱うのが難しいと感じている人が多い。特にシャッター速度や、絞りなどの調節は使用者が意図する写真を撮影するのに必要にもかかわらず、適切な調整がわからないため自動モードや、シーンモードに頼った撮影しかできない使用者が多く存在する。
【0003】
この様な課題を解決するべく、ユーザーが詳細な知識を持たなくても、好適な撮影条件を設定して撮影することが出来るような技術が知られている。
【0004】
例えば特許文献1では記憶媒体にあらかじめ見本画像とその撮影条件を記録しておき、その見本画像を選択することで同様の撮影条件が自動的に設定される技術が開示されている。特許文献2ではカメラの撮影モードの操作方法をガイドする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−10133号公報
【特許文献2】特開2004−233839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の技術では使用者が選んだシーンに応じて、カメラ側が自動的に撮影条件を設定をするため、ユーザーの技術習得にはあまり役にたたない。つまり、自分で撮影装置のシャッター速度や、絞り値などを設定して、思い通りの表現の写真を撮影できるようにはなりにくい。
【0007】
また、特許文献2では、ガイダンスによって各撮影モードの操作方法がわかるようになるが、パラメータの設定変更によって撮影される画像にどのような影響があるかわからないため、操作と、ユーザーの意図が結びつかない場合もあった。
【0008】
かかる課題を解決するため、ユーザーに各種の撮影条件の調整方法を習得しやすい技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、被写体を撮影して画像データを生成するために、複数の撮影パラメータを設定する撮影装置において、画像表示手段と、撮影シーン毎に撮影パラメータの設定方法を説明する説明情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記録される説明情報を画像表示手段に表示させて、前記複数の撮影パラメータの設定方法をガイドすると共に、設定した撮影パラメータで模擬撮影をガイドする制御手段と、模擬撮影により得られた画像データと、当該画像データを取得したときの撮影パラメータとを画像表示手段に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする撮影装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればユーザーはガイダンスを見ながら撮影パラメータの設定を実際に練習することができ、設定による撮影画像への効果を学ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例のデジタルカメラの断面図である。
【図2】実施例のデジタルカメラの背面斜視図である。
【図3】実施例のデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図4】実施例のデジタルカメラの構成を示すフローチャートである。
【図5】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【図6】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【図7】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【図8】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【図9】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【図10】実施例の画像表示部に表示される画面の一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態にかかわる一例のデジタルカメラの断面図である。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明に適用できる一例のデジタルカメラ10の断面図である。本実施例ではレンズ交換可能なデジタルカメラを示すが、レンズを内蔵したものでもよく、撮像素子により、光を電気信号に変換して画像を撮影するものであればその形態は限定されない。また、ファインダー16は光学ファインダーを示しているが、電子ビューファインダーなどを使用して、表示装置としてもよく、特に限定はしない。なお点線は光路を示している。撮影レンズ11によって被写体の光を集め、絞り装置12によって光量と被写界深度を調整し、ミラー13に反射し、ペンタプリズム14によって光学ファインダー15に導かれる。撮影者は光学ファインダー16を覗く事により、構図を確認して撮影する事ができる。また、レリーズボタン(SW2)52を押すことによって撮影動作が開始され、ミラー13が光軸を退避すると同時にシャッター幕16が開放し、撮像素子17に結像されると画像データが生成されて、記録媒体80に画像データが保存される。また、18はジャイロセンサーで、撮影時の手ぶれ量を検知することができる。
【0014】
図2は、本発明に適用できる一例のデジタルカメラ10の背面斜視図を示す。各ボタンの説明は後述する。
【0015】
図3は、本発明に適用できるデジタルカメラ10の構成を示すブロック図である。撮影レンズ11によって、被写体の光は電気信号へ変換する撮像素子16に結像される。撮像素子16へ導かれる光量を調整するために、撮像素子16の手前には絞り装置12、シャッター幕15が設けてある。また、撮影時の手ぶれ情報を取得するためにジャイロセンサー18が設けてある。
【0016】
画像処理回路22は、撮像素子から取得された画像データ、メモリ制御回路20からの画像データに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0017】
画像処理回路22においては、撮像した画像データを用いて、所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路40がAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理を行う。
【0018】
メモリ制御回路20は、画像処理回路22、メモリ30を制御する。撮像素子16からのデータは、画像処理回路22、メモリ制御回路23、或いは直接、メモリ制御回路23を介して、メモリ30に書き込まれる。
【0019】
画像表示部21はTFT・LCD・有機EL等から成る表示部である。本実施例では撮影装置の外装である背面に設置してあるが、ファインダー16の内部の電子ビューファインダーでもよいし、それらを併用しても良い。
【0020】
メモリ30は、撮影した静止画像や動画像のデータを格納し、所定枚数の静止画像データや所定時間の動画像データを格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0021】
露光制御手段32は絞り装置12、シャッター幕15を制御し、測距制御手段33は撮影レンズ11のフォーカシーングを制御する。
【0022】
システム制御回路40はメモリに格納される制御プログラムに基づきデジタルカメラ10全体を制御し、撮影機能や、本実施例の制御をつかさどり、また画像表示部に表示する内容を制御する表示制御の機能もつかさどる。
【0023】
レリーズボタン(SW1)51、レリーズボタン(SW2)52、AF指示ボタン54、模擬撮影モード開始ボタン55、4方向コントローラー56、モード選択ダイヤル57、画像再生ボタン58、電源スイッチ64はそれぞれ、システム制御回路40の各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0024】
レリーズボタン(SW1)51は、レリーズボタン50の操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の動作開始を指示する。
【0025】
レリーズボタン(SW2)52は、レリーズボタン50の操作完了でONとなり、撮像素子16から読み出した信号を、メモリ制御回路20を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理の動作開始を指示する。同時に、記録媒体80に画像データを書き込む記録処理を指示する。
【0026】
決定ボタン53は各種選択を行った際に、選択を決定するためのボタンである。
【0027】
AF指示ボタン54は、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理等の動作開始を指示することができる。
【0028】
模擬撮影モード開始ボタン55は、模擬撮影モードの開始を指示するための操作部であるが、他のボタンと兼用するようにしてもよいし、メニュー画面で選択できるようにしてもよい。
【0029】
4方向コントローラー56は、表示部21が選択画面を表示している際に選択枠を移動させるボタンである。
【0030】
撮影モード選択ダイヤル57は、撮影装置の撮影モードを選択するダイヤルで、回転させることで撮影モードを選択することができる。
【0031】
電源ボタン64はデジタルカメラ10の電源のON/OFFを指示するボタンである。
【0032】
インターフェース70はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とデジタルカメラ10との情報のやり取りを仲介するものである。コネクタ71はメモリカードやハードディスク等の記録媒体との接続を行うものである。
【0033】
なお、本実施例では記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタを1系統持つものとして説明している。もちろん、記録媒体を取り付けるインターフェース及びコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。インターフェース及びコネクタとしては、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。
【0034】
記録媒体80はメモリカードやハードディスク等を示し、記録媒体80は半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部75、デジタルカメラ10とのインターフェース72、デジタルカメラ10と接続を行うコネクタ73を備えている。
【0035】
本発明の撮影装置は、使用者が意図する写真を撮影するための撮影装置の設定方法を習得することを可能にした模擬画像撮影モードを備えたものである。以下に模擬画像撮影の操作方法を、(図4)に示す模擬撮影モードのフローチャート、(図5)(図6)(図7)(図8)の模擬撮影モード中の表示画面により説明する。本実施形態では、模擬撮影画面表示のための説明情報および、動画データ、静止画データはメモリ30に記憶されているが、記憶しておく装置は、フラッシュメモリーカードなどの外部記憶装置でも良く、特に限定はされるものではない。
【0036】
ユーザーが電源を立ち上げ、模擬撮影開始ボタンを押すと、模擬撮影モードが立ち上がる。模擬撮影の開始には前記のように模擬撮影モード開始ボタンを設けてもよいし、他の機能と兼用するボタンにしてもよいし、メニュー画面で選択できるようにしてもよい。
【0037】
(S01)では、模擬撮影モードが立ち上がると、撮影シーン選択画面が表示される。これを見て、ユーザーは自分の希望するシーンを4方向コントローラー56により選択し、決定ボタン53により決定する。(S02)では、(S01)でシーンが決定されると、撮影装置にレンズが装着されていた場合(S03)に進み、撮影装置にレンズが装着されていない場合、(S04)に進む。
【0038】
(S03)では、装着レンズのレンズ情報を利用するかの選択が可能で、装着レンズのレンズ情報を利用する場合は、(S05)へ進み、装着レンズのレンズ情報を利用しない場合は、(S04)へ進む。
【0039】
(S04)では、予めメモリ30に記憶しておいたレンズ情報から模擬撮影に使用するレンズを4方向コントローラー56によって選択し、決定ボタン53によって決定することができる。レンズが決定されると、(S05)に進む。
【0040】
(S05)では、撮影モードの選択をすることができる。ユーザーは撮影モード選択ダイヤル57によって撮影モードを選択し、決定ボタン53によって決定する。撮影モードが決定されると、(S06)に進む。
【0041】
(S06)では、(S01)で選択されたシーンに応じて、模擬撮影画面が表示され、ユーザーは画面を見ながら撮影装置の操作をして各種の撮影パラメータを設定する。設定したらレリーズスイッチ50を押すとユーザーの設定に応じた模擬画像が取得され、(S07)に進む。
【0042】
(S07)では、(S06)にて取得された模擬画像が表示され、ユーザーは画像に対して「満足」もしくは「不満」を選択し、「満足」が選択されると(S09)に進み、「不満」が選択されると(S08)に進む。
【0043】
(S08)では、取得された模擬画像に対する不満点を選択する選択肢が表示され、ユーザーが不満点を選択すると、(S06)に進み、選択肢に応じたアドバイスを新たに表示して模擬撮影が開始される。これによって、ユーザーは選択されたシーンと同様の実際のシーンにおいて、取得画像に不満があった時にどのように撮影装置を設定すれば、自分のイメージに近い画像を取得できるかを練習することができる。
【0044】
(S09)では、取得された模擬画像に満足だった場合に、その設定を保存するかどうかを選択することができる。「設定値を保存する」を選択した場合、設定値を保存して(S11)に進み、「設定値を保存しない」を選択すると、設定値を保存しないで(S11)に進む。
【0045】
(S11)では、模擬撮影モードを続けるかの選択肢がでて、「続ける」を選択すると(S01)から模擬撮影モードをスタートさせ、「終了する」を選択すると、模擬撮影モードは終了となる。
【0046】
次に、(図5)に示すように「背景をぼかしたポートレート」の模擬撮影モードの説明を、表示される画面を示しながら説明する。まず、模擬撮影モード開始ボタン55が押されると(画面01)が表示され、「Yes」を選択すると、模擬撮影モードが開始される。
【0047】
次に(画面02)が表示され、撮影シーンの選択にうつる。撮影シーンの選択には(画面02)のように練習する撮影シーンのタイトル、模擬撮影画面のサムネイル、練習内容の簡単な説明が表示される。4方向コントローラー56で練習したいシーンを選択し、決定ボタン53で決定する。本実施例では「背景をぼかしたポートレート」を選択する。
【0048】
シーンが選択されると装着レンズがある場合は(画面03)が表示される。ここで「レンズ情報を利用」を選択するか、で装着レンズがなかった場合は(図7)のレンズ選択画面が表示される。(画面03)で「装着レンズを使用」を選択するか、(図7)のレンズ選択画面で、4方向コントローラー56でレンズの焦点距離と、開放絞り値を選択し、決定ボタン53で決定すると、模擬撮影モードで使用するレンズが決定される。
【0049】
レンズが決定されると、撮影モード選択画面(画面04)が表示される。撮影モード選択画面では、前記撮影シーンに応じて好ましい「推奨撮影モード(絞り値優先、シャッター速度優先、マニュアル等)」が表示される。ユーザーは表示を見て撮影モード選択ダイヤル57で撮影モードを設定し、決定ボタン53を押して撮影モードを決定する。
【0050】
撮影モードが決定されると、(画面05)が表示される。模擬撮影画面には、シーンによって静止画はもちろん、動画が表示されてもよい。ここで表示される模擬撮影画面は適正露出であることが好ましいので、模擬撮影画面をはじめに表示するときは、シーンごとに設定された適正露出パラメータに自動的にセットされても良い。または、ユーザーにパラメータを適正露出に変更するようにガイダンスがなされてもよい。本実施例では、模擬撮影画面、設定可能なパラメータ(絞り値)、パラメータの推奨値、パラメータの設定値の変更方法、パラメータの変更による効果、現在のパラメータの値が表示部24に表示される。しかし、シーンによっては、ストロボの使用、ISO感度、ホワイトバランスや、露出値、現像方法などが表示されてもよく、撮影装置で設定可能なパラメータであれば限定されない。例えば、野外の太陽光下でホワイトバランスが蛍光灯下になっていた場合、ホワイトバランスを太陽光に変更するようなガイダンスが表示されたり、露出オーバーになってしまった場合は、ISO感度を下げるようなガイダンスが表示されてもよい。ユーザーは(画面05)を見ながら設定を行うが、露出オーバーや露出アンダーなど撮影の失敗が考えられる条件になると、図8(a)のように警告画面が表示される。警告画面が表示されても撮影動作は実行可能としてもよいし、警告画面が表示されている間は撮影動作が実行不可能となるようにしてもよい。設定を終了して、レリーズボタン52(SW2)を押すと、その設定値に応じたパラメータをもった模擬画像が取得される。
【0051】
取得される模擬画像は、パラメータ(本実施例では絞り値)を変更しただけの複数の画像を記憶しておいて、その中から設定値が同一のものを読み出してもよい。または、絞り値の変化に応じて画像のぼけを変化させた画像を画像処理によって取得しても良く、本発明ではその取得方法は限定しない。
【0052】
模擬画像が取得されると、(画面06)のように取得された模擬画像と、模擬画像に対する評価の選択肢が表示部24に表示される。ユーザーは模擬画像を見て、不満か満足かを判断し、4方向コントローラー56で選択し、決定ボタン53で決定する。ユーザーが「不満」選択すると、図9(a)のように不満点を選択する画面が現れ、4方向コントローラー56で不満点を選択し、決定ボタン53で決定をする。決定されるとユーザーの不満点を解消するためのパラメータの設定をガイダンスした模擬画像撮影モードが再度開始される。また、(画面06)でユーザーが「満足」を選択すると、模擬画像が保存され(画面07)が表示される。4方向コントローラー56で「Yes」を選択し、決定ボタン53で決定すると、(画面08)のように保存された模擬画像と、そのときの設定値が並べて表示され、ユーザーは設定による画像の違いを確認することが可能となる。確認終了が選択されると、(画面08)が表示される。また、(画面06)において「No」を選択した場合は画像情報は破棄され、(画面09)が表示される。(画面09)では「模擬撮影を続けますか?」が表示され、「Yes」を選択すると、シーン選択画面(画面02)が表示され、模擬撮影モードが継続される。「No」を選択する模擬撮影モードは終了する。
【0053】
次に、(図6)に示すように「動きの速いスポーツ撮影」の模擬撮影モードの説明を、表示される画面を示しながら説明する。まず、模擬撮影モード開始ボタン55が押されると(画面11)が表示され、「Yes」を選択すると、模擬撮影モードが開始される。
【0054】
次に(画面12)が表示され、撮影シーンの選択にうつる。撮影シーンの選択には(画面12)のように練習する撮影シーンのタイトル、模擬撮影画面のサムネイル、練習内容の簡単な説明が表示される。4方向コントローラー56で練習したいシーンを選択し、決定ボタン53で決定する。本実施例では「動きの速いスポーツ撮影」を選択する。
【0055】
シーンが選択されると装着レンズがある場合は(画面13)が表示される。ここで「レンズ情報を利用」を選択するか、で装着レンズがなかった場合は(図7)のレンズ選択画面が表示される。(画面13)で「装着レンズを使用」を選択するか、(図7)のレンズ選択画面で、4方向コントローラー56でレンズの焦点距離と、開放絞り値を選択し、決定ボタン53で決定すると、模擬撮影モードで使用するレンズが決定される。レンズが決定されると、
撮影モード選択画面(画面14)が表示される。撮影モード選択画面では、前記撮影シーンに応じて好ましい「推奨撮影モード(絞り値優先、シャッター速度優先、マニュアル等)」が表示される。ユーザーは表示を見て撮影モード選択ダイヤル57で撮影モードを設定し、決定ボタン53を押して撮影モードを決定する。
【0056】
撮影モードが決定されると、(画面15)が表示される。模擬撮影画面には、シーンによって静止画はもちろん、動画が表示されてもよい。ここで表示される模擬撮影画面は適正露出であることが好ましいので、模擬撮影画面をはじめに表示するときは、シーンごとに設定された適正露出パラメータに自動的にセットされても良い。または、ユーザーにパラメータを適正露出に変更するようにガイダンスがなされてもよい。本実施例では、模擬撮影画面、設定可能なパラメータ(シャッター速度)、パラメータの推奨値、パラメータの設定値の変更方法、パラメータの変更による効果、現在のパラメータの値が表示部24に表示される。シーンによっては、ストロボの使用、ISO感度、ホワイトバランスや、露出値、現像方法などが表示されてもよく、撮影装置で設定可能なパラメータであれば限定されない。例えば、暗い体育館などでは、シャッター速度を速くすると露出がアンダーになることがあるので、ストロボを使用するようなガイダンスがなされてもよい。模擬撮影画面には、シーンの動画が表示され、ユーザーは(画面15)を見ながら設定を行うが、手ぶれなどのように撮影の失敗が考えられる条件になると、図8(b)のように警告画面が表示されてもよい。また、警告画面が表示されても撮影動作は実行可能としてもよいし、警告画面が表示されている間は撮影動作が実行不可能となるようにしてもよい。
【0057】
設定を終了して、レリーズボタン52(SW2)を押すと、その設定値に応じたパラメータをもった模擬画像が取得される。取得される模擬画像は、模擬動画の1フレームに対してパラメータ(本実施例ではシャッター速度)を変更しただけの複数の画像を記憶しておいて、その中から設定値が同一のものを読み出してもよい。または、画像処理によって画像のぶれ量を変化させた画像を取得するようにしても良く、本発明ではその取得方法は限定しない。
【0058】
模擬画像が取得されると、(画面16)のように取得された模擬画像と、模擬画像に対する評価の選択肢が表示部21に表示される。ユーザーは模擬画像を見て、不満か満足かを判断し、4方向コントローラー56で選択し、決定ボタン53で決定する。ユーザーが「不満」を選択すると、図9(b)のように不満点を選択する画面が現れ、4方向コントローラー56で不満点を選択し、決定ボタン53で決定をする。決定されるとユーザーの不満点を解消するためのパラメータの設定をガイダンスした模擬画像撮影モードが再度開始される。また、(画面16)でユーザーが「満足」を選択すると、模擬画像が保存され(画面17)が表示される。4方向コントローラー56で「Yes」を選択し、決定ボタン53で決定すると、(画面18)のように保存された模擬画像が並べて表示され、そのときの設定値も表示されるため、ユーザーは設定による画像の違いを確認することが可能となる。確認終了が選択されると、(画面18)が表示される。また、(画面16)において「No」を選択した場合は画像情報は破棄され、(画面19)が表示される。(画面19)では「模擬撮影を続けますか?」が表示され、「Yes」を選択すると、シーン選択画面(画面12)が表示され、模擬撮影モードが継続される。「No」を選択する模擬撮影モードは終了する。
【0059】
ここまでの実施例では撮影装置の設定の効果を確認する練習を説明してきたが、本発明においては撮影動作自体の練習を行えるようにしてもよい。
【0060】
例えば、手ぶれをしないための練習をする方法を示す。模擬撮影画面が表示されている間、レンズ11のジャイロセンサー18から取得された手ぶれ情報によって手ぶれ量を測定し、測定値がある閾値を超えると模擬撮影画面で警告が表示されるようにする。撮影装置の手ぶれ補正をONにすると、閾値が変化して手ぶれ補正の効果も確認することができる。また、シーン選択で手ぶれ練習を選択できるようにして図10(a)のような模擬撮影画面を表示させて練習できるようにしてもよい。このシーンでは中央に照準が固定してあり、レンズ11のジャイロセンサーの手ぶれ情報によって画面が手ぶれ方向にシフトするため、手ぶれを実感することが可能である。照準が動かないように練習することで実際の撮影シーンにおいてもユーザーは手ぶれを抑制した写真を撮影することが可能となる。
【0061】
もう一つの例として、レリーズタイムラグを想定した撮影練習を考える。実際の撮影時にはユーザーがレリーズボタン(SW)52の操作をするタイミングと、実際に撮影が行われるまでのタイムラグであるレリーズタイムラグが発生する。しかし、スポーツシーンなど一瞬を切り取りたいシーンにおいてはレリーズタイムラグによって、ユーザーの撮影したい瞬間に撮影できないことがある。模擬撮影ではシーンを動画で再生しながら撮影動作が可能なため、難しい練習も繰り返すことが可能である。練習方法であるが、例えば模擬撮影画面に図10(b)のような野球のバッティングシーンの動画を表示して、バットにボールがあたる瞬間を捉える練習をできるようにする。ユーザーはバットにボールがあたった瞬間を捉えたつもりでも、レリーズタイムラグによってボールを打った後の写真を撮影してしまうことになる。そこで(図4)のフローチャートでの(S06)(S07)(S08)の操作を繰り返して、レリーズタイムラグ分早くレリーズボタン(SW)52を操作する必要があることを繰り返し体験することができる。これによって、実際の撮影シーンにおいても、レリーズタイムラグを意識して好ましいタイミングで撮影を行える可能性が高くなる。
【0062】
なお、上記の模擬撮影のガイダンスにおいて、選択されたシーンに基づく模擬撮影をガイドするのに加えて、シーンの選択をしない場合としてフルオート撮影またはシーンの選択前の撮影モードでの撮影もガイダンスしても良い。
【0063】
そして、前記模擬撮影で得られた画像と、フルオートまたはシーンの選択前の撮影モードでの撮影で得られた画像と並べて表示することで、撮影パラメータの違いによる画像の違いを比較できるような表示を提供するとさらに便利である。
【0064】
また、このときに撮影パラメータも各画像とともに同時に文字で並べて表示すると、撮影パラメータがどれだけ違うと、どのような画像に変化するのかを認識しやすくなり、また便利である。
【0065】
(その他の実施例)
上記の実施例ではデジタルカメラを例にして説明したが、通信機能を備えたカメラ付き携帯電話やスマートフォン、ノートPC等でも利用可能である。
【0066】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影して画像データを生成するために、複数の撮影パラメータを設定する撮影装置において、
画像表示手段と、
撮影シーンに毎に撮影パラメータの設定方法を説明する説明情報を記憶するメモリと、
前記メモリに記録される説明情報を前記画像表示手段に表示させて、前記複数の撮影パラメータの設定方法をガイドすると共に、設定した撮影パラメータで模擬撮影をガイドする制御手段と、
前記模擬撮影により得られた画像データと、当該画像データを取得したときの撮影パラメータとを前記画像表示手段に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
さらに、ユーザーにより撮影シーンの選択を行うための選択手段を有し、
前記説明情報は、静止画データまたは動画データであり、前記選択手段による撮影シーンの選択に応じて、前記制御手段の制御によって前記画像表示手段に前記説明情報が表示されることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、選択されたシーンに基づく模擬撮影をガイドするのに加えて、フルオート撮影または前記シーンの選択前の撮影モードでの撮影もガイドし、
前記表示制御手段は前記模擬撮影で得られた画像と、前記フルオートまたは前記シーンの選択前の撮影モードでの撮影で得られた画像と並べて前記画像表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は前記画像表示手段に、前記模擬撮影で得られた画像と、前記フルオートまたは前記シーンの選択前の撮影モードでの撮影で得られた画像とを並べて表示すると共に、各画像を撮影したときの撮影パラメータも並べて表示することを特徴とする請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記画像表示手段は、外装面に設置されたTFT・LCD・有機ELまたは、ファインダーの内部に設置されたTFT・LCD・有機ELなどの電子ビューファインダーであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記模擬撮影モードにおいて、パラメータの設定に応じた画像を取得するために、一つのシーンに対してあらかじめ複数のパラメータを設定した画像をメモリに記憶しておいて、メモリ制御回路によって、設定されたパラメータに応じた画像を読み出して画像表示部表示に表示することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
メモリは、少なくとも、撮影シーンに毎に撮影パラメータの設定方法を説明する説明情報を記憶すると、画像表示手段を有し、被写体を撮影して画像データを生成するために、複数の撮影パラメータを設定する撮影装置の制御方法であって、
前記メモリに記録される説明情報を前記画像表示手段に表示させて、前記複数の撮影パラメータの設定方法をガイドすると共に、設定した撮影パラメータで模擬撮影をガイドする制御工程と、
前記模擬撮影により得られた画像データを、当該画像データを取得したときの撮影パラメータを前記画像表示手段に表示させることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109866(P2012−109866A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258190(P2010−258190)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】