説明

撮像装置およびその制御方法

【課題】 望遠側で撮影をするときに、煩わしい操作を撮影者に要求することなく、フレーミングのアシストを行う。
【解決手段】 揺れを検出する揺れ検出手段218と、揺れ検出手段の出力から揺れ情報を算出する揺れ情報演算手段106と、揺れ情報演算手段から第1の揺れ状態および第1の揺れ状態よりも揺れが小さい第2の揺れ状態を判定する揺れ判定手段107と、撮像光学系のズーム移動を行うズーム駆動手段221と、撮像光学系のズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段108、217と、第1の揺れ状態の場合はズーム駆動手段により所定のズーム位置に移動させ、第2の揺れ状態の場合はズーム位置記憶手段に記憶されたズーム位置に戻す制御手段109とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンニングなどの揺れの状態に連動してズーム移動を行う撮像装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のカメラ、ビデオ等の撮像装置はズームレンズの性能向上が著しく、広角から望遠まで同一のレンズで撮影できるものがある。ズーム倍率の変化が大きいにも関わらず、撮像素子の高画素化によって、望遠でも十分な解像感の得られる撮影が可能である。このようにズームの拡大率が上がると様々な撮影シーンに対応できるようになる反面、所望の倍率へズームを移動させることが手間になる場合がある。そこで予め撮像装置に任意のズーム位置を記憶させ、スイッチ操作でそのズーム位置へ移動する、いわゆるプリセットズーム機能が提案されている。
【0003】
特許文献1では、プリセットズーム機能に関わる制御装置が開示されている。この制御装置では、第1のズーム状態から、記憶手段に記憶された第2のズーム状態へズーム動作を行わせることができる。
【0004】
また、前述のように望遠での撮影機会が増えると、被写体を画角内に大きく捉えることができるが、被写体の僅かな動作でフレームアウトが起こり易くなる。そこで被写体がフレームアウトしたら、その被写体を追尾し、被写体を画角内に収めるように広角側に自動的にズームする機能が提案されている。
【0005】
特許文献2では、被写体追従ズーム機能に関わる制御装置が開示されている。この制御装置では、被写体追尾手段を用いて、撮影画面内に予め設定された限界エリアに被写体が至った場合にズームを広角側に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−117153号公報
【特許文献2】特公平7−69511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1では、スイッチを配する位置をユーザが操作しやすい位置にするなどの工夫が施されているが、ユーザが操作をしなければズームは移動しない。また記憶手段に記憶されたズーム位置以外には対応することができない。
【0008】
特許文献2では、所定の被写体がフレームアウトした場合に、ズーム移動するため、ユーザがその被写体をフレームに収めたくない場合、すなわちそのままの画角で撮影を継続したい場合に対応することができない。
【0009】
(発明の目的)
本発明の目的は、望遠側で撮影をするときに、煩わしい操作を撮影者に要求することなく、フレーミングのアシストを行うことができる撮像装置およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、揺れを検出する揺れ検出手段と、前記揺れ検出手段の出力から揺れ情報を算出する揺れ情報演算手段と、前記揺れ情報演算手段から第1の揺れ状態および該第1の揺れ状態よりも揺れが小さい第2の揺れ状態を判定する揺れ判定手段と、撮像光学系のズーム移動を行うズーム駆動手段と、前記撮像光学系のズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段と、第1の揺れ状態の場合は前記ズーム駆動手段により所定のズーム位置に移動させ、第2の揺れ状態の場合は前記ズーム位置記憶手段に記憶されたズーム位置に戻す制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、望遠側で撮影をするときに、煩わしい操作を撮影者に要求することなく、フレーミングのアシストを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1に関わる所定の揺れの有無に応じてズーム制御を行う回路を示すブロック図である。
【図3】手振れ波形と比較したパンニング波形を示す図である。
【図4】実施例1の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例2の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例3の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例5の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1ないし5に記載される通りである。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る撮像装置としてのデジタルカメラの全体構成を示すブロック図である。
【0015】
201はズームユニットであり、変倍を行うズームレンズを含む。202はズーム駆動制御部であり、ズームユニット201の駆動を制御する。203は光軸に対して略垂直な平面での位置を変更することが可能な揺れ補正光学系としてのシフトレンズユニットである。204は防振制御部であり、シフトレンズユニット203の駆動を制御する。205は絞り・シャッタユニットである。206は絞り・シャッタ駆動制御部であり、絞り・シャッタユニット205の駆動を制御する。207はフォーカスユニットであり、ピント調節を行うレンズを含む。208はフォーカス駆動制御部であり、フォーカスユニット207の駆動を制御する。
【0016】
209は撮像素子が用いられる撮像部であり、各レンズ群を通ってきた光像を電気信号に変換する。210は撮像信号処理部であり、撮像部209から出力された電気信号を映像信号に変換処理する。211は映像信号処理部であり、撮像信号処理部210から出力された映像信号を用途に応じて加工する。
【0017】
212はシステム全体を制御する制御部であり、図示しないCPU(中央演算処理装置)がプログラムを解釈して実行することで、各種の処理を行う。213は表示制御部であり、映像信号処理部211により得られた画像の表示制御を行う。214は表示部であり、表示制御部213から出力された信号に基づいて、必要に応じた画像表示を行う。
【0018】
215は電源部であり、システム全体に用途に応じて電源を供給する。216は操作部であり、撮像装置の操作を行うユーザインタフェースである。217は記憶部であり、映像情報など様々なデータを記憶する。218は揺れ検出部であり、手振れ等の揺れを検出する。
【0019】
図2は実施例1に関わる所定の揺れの有無に応じてズーム制御を行う回路を示すブロック図である。
【0020】
以下、揺れ検出部218としては代表的なセンサである角速度センサとして説明を行う。100はAD変換部であり、揺れ検出部218が検出した振れ信号(角速度信号)をアナログデータからデジタルデータに変換する。101はLPF(ローパスフィルタ)であり、検出した角速度信号を積分して角度信号に変換する。102は目標位置算出部であり、角度を距離に換算するための距離換算定数を乗算して、目標位置であるところの揺れキャンセル量を算出する。103は位置制御部であり、シフトレンズユニット203のフィードバック制御を行う。104は駆動信号出力部であり、位置制御部103の制御量を駆動信号として出力する。105は位置検出部であり、シフトレンズユニット203の位置を検出する。検出された位置はフィードバックされ、目標位置算出部102で算出された目標位置との偏差が位置制御部103に入力される。
【0021】
106は揺れ情報演算部であり、揺れの振幅と周波数を算出している。図3は通常の手振れ波形とパンニング動作をしたときの波形を比較した図である。図3(a)は通常の手振れ波形であり、振幅0.05度程度、周波数10Hz前後の波形となっている。図3(b)はパンニング波形であり、手振れ以下の小さな(図3では3Hz以下)周波数、かつ、手振れよりも大きな(図3では0.3度より大きい)振幅の波形となる。これにより、パンニング動作をしているときは、3Hz以下の波形であり、0.3度より大きい振幅の波形が1秒以上続くとパンニングしていると考えられる。ここでこれらの数値はチューニングにより変化するパラメータ値とする。
【0022】
107は揺れ有無判定部であり、上記のように振幅と周波数からパンニング動作の有無を判定しており、またパンニング有りの場合はその動作が繰り返された回数をカウントしている。ここで動作が繰り返された回数とは、所定時間内にパンニング動作有と判定された回数を指す。
【0023】
216は操作部であり、パンニング判定により自動的にズーム駆動する、しないを撮影者は選択することができる。217は記憶部であり、現在のズーム位置を記憶することができる。
【0024】
108はズーム位置記憶部であり、揺れ有無判定部107でパンニング有りと判定した場合は、現在のズーム位置を記憶部217に記憶させる。109はズーム位置指令部であり、揺れ有無判定部107でパンニング有りと判断した場合は、指定されたズーム位置までの駆動を開始する。210はズームユニットであり、変倍を行うズームレンズを含む光学系ユニットである。110は位置制御部であり、ズームユニット210のフィードバック制御を行う。111は駆動信号出力部であり、位置制御部110の制御量を駆動信号として出力する。112は位置検出部であり、ズームユニット210の位置を検出する。
【0025】
220はパンニング動作検出を行う回路ブロックであり、防振制御部204および制御部212からなる。221はズーム移動を行う回路ブロックであり、ズーム駆動制御部202および制御部212からなる。
【0026】
以下、図4を参照して、本発明の実施例1について説明する。ここからは揺れ情報を検出した揺れの振幅と周波数として説明する。
【0027】
一般的には、揺れ情報を周波数と振幅に限定せずに、また、所定揺れの判定では判定閾値をパラメータとして可変にすることで説明することができる。また、第1の揺れ状態としてはパンニング動作、第2の揺れ状態としてはパンニング動作が停止したときとして説明する。パンニング動作とは、振幅と周波数が所定の条件を満たしているときの通称であるため、振幅と周波数の条件を変更することにより、他の揺れ状態においても以下の実施例は適用することができる。
【0028】
図4はパンニング動作有りと判定したときズーム移動を行い、パンニング動作停止と判定したとき元のズーム位置へ戻す動作を示すフローチャートである。尚、揺れ検出部218は縦方向(PITCHとも呼ばれる)の揺れと横方向(YAWとも呼ばれる)の揺れの検出が可能であるが、それぞれの方向で同じフローチャートが適用できるため片方向のみ説明する。
【0029】
ステップS401は、パンニング動作検出とズーム移動開始を宣言している。ステップS402は、状態カウンタをクリアしている。状態カウンタは、後述する振幅と周波数がパンニング動作となる条件を満たしている期間を計測するときに使用する。
【0030】
ステップS403は、パンニング動作フラグをOFFしている。パンニング動作フラグは、パンニング動作と判定したときにONとなり、パンニング動作が停止したときにOFFとするフラグである。ステップS404は、パンニング動作有り検出ループを開始している。
【0031】
ステップS405は、揺れ検出手段218により角速度の検出をしている。ステップS406は、ステップS405で取得した角速度に対してLPF、即ち積分処理を行い角度に変換している。
【0032】
ステップS407は、揺れの振幅を算出している。振幅とは、符号付きの揺れ角度の絶対値をとり、その最大値を計算することで求めることができる。ステップS408は、揺れの周波数の算出している。周波数とは、符号付きの揺れ角度の最大値と最小値の数をカウントすることで求めることができる。ステップS409は、ステップS408で算出した周波数を所定周期と比較している。周波数が所定周期より大きい場合、パンニング動作ではないと判定してステップS405に戻る。周波数が所定周期以下の場合、パンニング動作候補として次のステップに進む。ステップS410は、ステップS407で算出した振幅を所定量と比較している。振幅が所定量以下の場合、パンニング動作ではないと判定してステップS405に戻る。振幅が所定量より大きい場合、パンニング動作候補として次のステップに進む。
【0033】
ステップS411は、パンニング動作となる条件を満たしている期間の継続を示すため、状態カウンタをインクリメントしている。ステップS412は、ステップS411でインクリメントした状態カウンタと所定回数を比較している。状態カウンタが所定回数以下の場合、パンニング動作候補のままステップS405に戻る。状態カウンタが所定回数より大きい場合、パンニング動作有りと判定する。このときステップS413により、パンニング動作フラグをONにする。ステップS414は、パンニング動作有り検出ループを終了している。
【0034】
ステップS415は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS429で処理を終了する。ここではパンニング動作フラグがONであることを期待しているため、エラーとしてもよい。パンニング動作フラグがONの場合は、ステップS416で現在ズーム位置を記憶する。ステップS417は、ズーム位置を所定位置まで広角側に移動させている。画角を変えたことにより、パンニング動作停止の可能性が生じる。
【0035】
ステップS418は、パンニング動作停止検出ループを開始している。ステップS419からステップS422までは、それぞれステップS405からステップS408までに対応するため説明は省略する。ステップS423は、ステップS421で算出した振幅を所定量と比較している。振幅が所定量より大きい場合、パンニング動作が停止してないと判定してステップS419へ戻る。振幅が所定量以下の場合、パンニング動作停止候補として次のステップへ進む。
【0036】
ステップS424は、ステップS422で算出した周波数を所定周期と比較している。周波数が所定周期以下の場合、パンニング動作が停止してないと判定してステップS419へ戻る。周波数が所定周期より大きい場合、パンニング動作停止と判定する。このときステップS425により、パンニング動作フラグをOFFにする。ステップS426は、パンニング動作停止検出ループを終了している。
【0037】
ステップS427は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがONの場合は、ステップS429で処理を終了する。ここではパンニング動作フラグがOFFであることを期待しているため、エラーとしてもよい。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS428によりステップS416で記憶しておいたズーム位置まで移動する。ステップS429は、パンニング動作検出とズーム移動開始の処理を終了する。
【0038】
本実施例1によれば、角速度センサで手振れを検出する像振れ補正機能とズーム駆動機能とを有する撮像装置において、望遠側で撮影するときに、被写体がフレームアウトする等でユーザが被写体を探す動作をした場合には広角側にズームを自動的に移動させる。そして、被写体を探す動作を止めたときに、元のズーム倍率に自動的に移動させる。これにより、煩わしい操作を撮影者に要求することなく、フレーミングのアシストを行うことができる。
【実施例2】
【0039】
以下、図5を参照して、本発明の実施例2について説明する。撮像装置の全体構成、パンニング動作検出およびズーム移動に係る回路ブロック構成は、実施例1と同様である。
【0040】
図5はパンニング動作有りと判定したときの回数をカウントして、ユーザが被写体を見失い探していると考えられる回数だけパンニング動作を行ったらズーム移動を行い、パンニング動作停止と判定したとき元のズーム位置へ戻す動作を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS501は、パンニング動作検出とズーム移動開始を宣言している。ステップS502は、状態カウンタをクリアしている。ステップS503は、パンニング動作フラグをOFFしている。
【0042】
ステップS504は、パンニング動作有り検出ループを開始している。この中の処理については、前述のステップS405からステップS413までと同様であるため、説明は省略する。ステップS505は、パンニング動作有り検出ループを終了している。
【0043】
ステップS506は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS520で処理を終了する。パンニング動作フラグがONの場合は次のステップに進む。
【0044】
ステップS507は、パンニング動作有りと判定された回数をカウントしている。ステップS508は、パンニング動作有りと判定されたときのシステム時間を保存している。システム時間とは撮像装置内で流れている絶対時間のことである。パンニング動作された回数をカウントしているときに、それらの動作間隔が空いていると撮影者が被写体を探している動作ではなく、単にパンニング動作をしている場合が考えられるため、間隔を判定する必要がある。
【0045】
ステップS509は、パンニング動作回数が2回以上であるか?を判定している。最初のパンニング動作を検出した場合は、2回目以降の検出を行うため、ステップS502へ戻る。パンニング動作を検出した回数が2回以上ある場合は、次のステップに進む。ステップS510は、前回パンニング動作との時間差を所定時間と比較している。パンニング動作回数に依存するシステム時間を、システム時間[パンニング]と表現したとき、システム時間[今回パンニング]―システム時間[前回パンニング]で算出される値が時間差となる。時間差が所定時間より大きい場合、ステップS511によりパンニング動作回数をクリアする。ユーザがパンニング動作を繰り返しているときには、被写体を見失い、探している可能性が高い。しかし単発のパンニング動作の繰り返しは意図した流し撮りの可能性が高いためである。時間差が所定時間以下の場合、次のステップに進む。
【0046】
ステップS512は、パンニング動作回数と所定回数を比較している。パンニング動作が所定回数以下の場合、ステップS502に戻り、状態カウンタをクリアして新たにパンニング動作が発生するかを判定する。パンニング動作が所定回数より大きい場合、次のステップに進む。ステップS513は、パンニング動作回数をクリアする。
【0047】
ステップS514は、現在ズーム位置を記憶している。ステップS515は、ズーム位置を所定位置まで移動させている。ステップS516は、パンニング動作停止検出ループを開始している。この中の処理については、前述のステップS419からステップS425までと同様であるため、説明は省略する。ステップS517は、パンニング動作停止検出ループを終了している。
【0048】
ステップS518は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがONの場合は、ステップS520で処理を終了する。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS519によりステップS514で記憶しておいたズーム位置まで移動する。ステップS520は、パンニング動作検出とズーム移動開始の処理を終了する。
【実施例3】
【0049】
以下、図6を参照して、本発明の実施例3について説明する。撮像装置の全体構成、パンニング動作検出およびズーム移動に係る回路ブロック構成は、実施例1と同様である。
【0050】
図6はパンニング動作停止した際に記憶しておいた位置までズーム駆動している最中に再度前記第1の揺れ状態であるパンニング動作を検出したら、再び被写体がフレームアウトしたと判断してその場でズーム駆動を停止するフローチャートである。
【0051】
ステップS601は、パンニング動作検出とズーム移動開始を宣言している。ステップS602は、状態カウンタをクリアしている。ステップS603は、パンニング動作フラグをOFFしている。
【0052】
ステップS604は、パンニング動作有り検出ループを開始している。この中の処理については、前述のステップS405からステップS413までと同様であるため、説明は省略する。ステップS605は、パンニング動作有り検出ループを終了している。
【0053】
ステップS606は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS618で処理を終了する。パンニング動作フラグがONの場合は次のステップに進む。ステップS607は、現在ズーム位置を記憶している。ステップS608は、ズーム位置を所定位置まで移動させている。
【0054】
ステップS609は、パンニング動作停止検出ループを開始している。この中の処理については、前述のステップS419からステップS425までと同様であるため、説明は省略する。ステップS610は、パンニング動作停止検出ループを終了している。
【0055】
ステップS611は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがONの場合は、ステップS618で処理を終了する。パンニング動作フラグがOFFの場合は次のステップに進む。ステップS612は、ステップS607で記憶しておいたズーム位置まで移動を開始する。ここでズーム駆動は継続しながらステップS613で状態カウンタをクリアして、続けてステップS614でパンニング動作有り検出ループを開始している。この中の処理については、前述のステップS405からステップS413までと同様であるため、説明は省略する。ステップS615は、パンニング動作有り検出ループを終了している。
【0056】
ステップS616は、パンニング動作フラグを判定している。パンニング動作フラグがOFFの場合は、ステップS618で処理を終了する。パンニング動作フラグがONの場合は次のステップに進む。ここでズーム駆動が継続していて、パンニング動作フラグがONの場合には、ステップS617でズームをその場で停止させる。ステップS618は、パンニング動作検出とズーム移動開始の処理を終了する。
【実施例4】
【0057】
以下、図2を参照して、本発明の実施例4について説明する。撮像装置の全体構成、パンニング動作検出およびズーム移動に係る回路ブロック構成は、実施例1と同様である。
【0058】
パンニング動作に応じて自動的にズーム駆動を行うモードを、撮影者が解除したい場合には、操作部216から入力する。操作部216より解除要求が通知された場合には、揺れ有無判定部107はパンニング動作の判定を行わないようにする。
【実施例5】
【0059】
以下、図7を参照して、本発明の実施例5について説明する。撮像装置の全体構成、パンニング動作検出およびズーム移動に係る回路ブロック構成は、実施例1と同様である。
【0060】
図7はパンニング動作判定中に、周波数と振幅がそれぞれ所定値以下であったら、平地に置かれたと判断して、自動的にズーム駆動しないとする動作を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS701は、パンニング動作検出とズーム移動開始を宣言している。ステップS702からステップS708までは、ステップS402からステップS408までと同じ処理であるため省略する。ステップS709は、ステップS708で算出した周波数を三脚周波数(平地設置基準の周波数)と比較している。三脚のような平地に置かれた場合は、一般的に周波数と振幅ともパンニング動作時よりも小さな値となる。周波数が三脚周波数より大きい場合、次のステップS712へ進む。周波数が三脚周波数以下の場合、平地に置かれている可能性があるとして次のステップS710に進む。ステップS710は、ステップS707で算出した振幅を三脚振幅量(平地設置基準の振幅)と比較している。振幅が三脚振幅量より大きい場合、次のステップS712へ進む。振幅が三脚振幅量以下(平地設置基準の振幅以下)の場合、平地に置かれたとしてステップS711でパンニング動作フラグをOFFにする。
【0062】
以降ステップS712からステップS717までは、ステップS409からステップS414までと同じ処理であるため省略する。また、ステップ717以降のステップは、ステップS414からステップS429までと同様の処理であるため省略する。これにより、振幅もしくは周波数がそれぞれ平地設置基準の振幅である三脚振幅量、平地設置基準の周波数である三脚周波数より大きくならない限り、自動的にズーム駆動することはない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上、撮像装置を例にして説明してきたが、撮像装置(デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ)のみに限定されるものではなく、本発明は撮像装置を有する携帯電話やゲーム機などの携帯機器にも展開できる。
【符号の説明】
【0064】
106 揺れ情報演算部
107 揺れ有無判定部
108 ズーム位置記憶部
109 ズーム移動位置指令部
212 制御部
216 操作部
217 記憶部
218 揺れ検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺れを検出する揺れ検出手段と、
前記揺れ検出手段の出力から揺れ情報を算出する揺れ情報演算手段と、
前記揺れ情報演算手段から第1の揺れ状態および該第1の揺れ状態よりも揺れが小さい第2の揺れ状態を判定する揺れ判定手段と、
撮像光学系のズーム移動を行うズーム駆動手段と、
前記撮像光学系のズーム位置を記憶するズーム位置記憶手段と、
第1の揺れ状態の場合は前記ズーム駆動手段により所定のズーム位置に移動させ、第2の揺れ状態の場合は前記ズーム位置記憶手段に記憶されたズーム位置に戻す制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記揺れ情報演算手段は、揺れの振幅と周波数を算出し、
前記揺れ判定手段が判定する第1の揺れ状態はパンニング動作であり、
前記揺れ判定手段が判定する第2の揺れ状態はパンニング動作の停止であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の揺れ状態の回数が所定回数より大きくなったらズーム位置を広角側に移動させ、前記第2の揺れ状態で前記ズーム位置記憶手段に記憶されたズーム位置に戻すことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2の揺れ状態で前記ズーム位置記憶手段に記憶されたズーム位置に戻している最中に、再度前記第1の揺れ状態となったらズーム移動をその場で停止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の揺れ状態でズーム移動を自動的に行うモードを解除する操作手段を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記揺れ情報演算手段が算出した振幅が平地設置基準の振幅以下、かつ周波数が平地設置基準の周波数以下のときは、振幅が平地設置基準の振幅もしくは周波数が平地設置基準の周波数より大きくなるまでズーム移動をさせないことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
ズーム動作可能な撮像光学系を有する撮像装置の制御方法であって、
揺れを検出する揺れ検出ステップと、
前記揺れ検出ステップの出力から揺れ情報を算出する揺れ情報演算ステップと、
前記揺れ情報演算ステップから第1の揺れ状態および該第1の揺れ状態よりも揺れが小さい第2の揺れ状態を判定する揺れ判定ステップと、
前記撮像光学系のズーム移動を行うズーム駆動ステップと、
前記撮像光学系のズーム位置を記憶するズーム位置記憶ステップと、
前記第1の揺れ状態の場合は前記ズーム駆動ステップにより所定のズーム位置に移動させ、前記第2の揺れ状態の場合は前記ズーム位置記憶ステップに記憶されたズーム位置に戻す制御ステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46149(P2013−46149A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181536(P2011−181536)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】