撮像装置およびプログラム
【課題】複数の被写体を連続撮像する場合に、ユーザの使いやすさを向上する。
【解決手段】撮像画像を取得する撮像部と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部と、受付部により参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部とを備える撮像装置が提供される。
【解決手段】撮像画像を取得する撮像部と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部と、受付部により参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部とを備える撮像装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、参照画像内の複数の被写体を認識し、その後の本撮像において当該複数の被写体ごとにピント調整して複数回撮像するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1 特開2009−81636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記撮像装置においては、参照画像内のすべての被写体にピント調整し、かつ、その撮影順序が撮像装置からの距離で一意に決まってしまうという点で、ユーザにとって重要な被写体のシャッタチャンスを逃すなど、ユーザに使いやすいとはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、撮像画像を取得する撮像部(234)と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部(248)と、受付部により参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部(230)とを備える撮像装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、撮像装置を制御するプログラムであって、撮像装置に撮像画像を撮像部により一時的に撮像する段階と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける段階と、参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる段階とを実行させるプログラムが提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の撮像装置10の外観を示す。
【図2】図1の撮像装置10の機能ブロックを示す。
【図3】撮像装置10の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3における被写体の指定を受け付ける動作(S20)の詳細を示すフローチャートである。
【図5】参照画像12の一例である。
【図6】被写体情報の一例である。
【図7】図3における撮影を実行する動作(S30)の詳細を示すフローチャートである。
【図8】制御部250が撮像画像をカードメモリ254に保存する例を示す説明図である。
【図9】指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。
【図10】図9に対応した被写体情報の例である。
【図11】指定被写体の指定の方法および指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。
【図12】図12は、図11に対応した被写体情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態の撮像装置10の外観を示す。撮像装置10は、レンズユニット100および当該レンズユニット100を前面に着脱可能な装置本体200を備える。撮像装置10の一例は一眼レフカメラである。撮像装置10は、ユーザにより指定された複数の被写体について、一度の撮像指示で当該複数の被写体に順次、合焦した複数の画像を取得する。
【0010】
装置本体200は、背面に配されて画像を表示するとともに、ユーザの接触により入力が可能なタッチパネル220、並びに、ユーザから操作されるレリーズ210および十字キー204を有する。装置本体200はさらに、タッチパネル220の上方にユーザが眼を近づけることにより視認できるファインダ202を有する。
【0011】
図2は、図1の撮像装置10の機能ブロックを示す。撮像装置10には、撮像装置10の全体の制御を司る制御部230が設けられる。
【0012】
制御部230には、プログラムメモリ250およびメインメモリ252が接続される。プログラムメモリ250は、不揮発性記録媒体および読出専用記録媒体の少なくとも一方を含み、制御部250が実行するファームウェア等を格納する。メインメモリ252はダイナミックRAMを含み、制御部210および画像処理の作業領域として使用される。
【0013】
制御部250には、さらに撮像素子駆動部232および画像処理部238が接続される。また、撮像素子駆動部232、撮像素子234、A/D変換部236および上記画像処理部238が互いに接続される。
【0014】
撮像素子234は、CMOS、CCD等の光電変換素子を含み、撮像素子駆動部232に特定のタイミングで駆動される。撮像素子駆動部232に駆動された撮像素子234は、駆動されたタイミングに受光した被写体光束を電気信号に変換して出力する。
【0015】
撮像素子234から出力された電気信号は、A/D変換部236により離散化され、画像処理部238において画素値に変換されて撮像画像が生成される。画像処理部238は、撮像画像を生成する過程で、ホワイトバランス、シャープネス、ガンマ、階調補正、圧縮等を調整する。
【0016】
画像処理部238において生成された撮像画像は、制御部230の制御の下に、メモリカード254に格納されて保存される。メモリカード254は、装置本体200に対して着脱して交換できる。
【0017】
画像解析部244は、撮像画像を解析して、当該撮像画像に含まれる被写体を認識する。例えば画像解析部244は、人物、ペット等の顔認識およびその個体認識を行う。また、コントラストAF方式の場合に、画像解析部224は撮像画像からコントラストを算出して制御部230に出力する。
【0018】
制御部230には、AF駆動部240も接続される。AF駆動部240は、モータ242を駆動してレンズユニット100のフォーカスレンズを移動させることにより、被写体の像光を撮像素子234の撮像面に結像させる合焦動作を行う。
【0019】
制御部230には、さらに表示駆動部246も接続される。表示駆動部246は、撮像画像をタッチパネル220の表示部222に表示する。表示駆動部246は、ライブビューモードが設定されている場合は撮像素子234からの撮像画像を参照画像として、表示部222に逐次表示する。さらに、表示駆動部246は、また、プログラムメモリ250から読み出されたメニー項目等を表示部222に表示する。
【0020】
制御部210には、入力部280も接続される。受付部248は、タッチパネル220のタッチ操作部224および十字キー204を通じてユーザからの入力を受け付ける。制御部210はさらにレリーズ210が押下されたことを撮像指示として受け取り、上記撮像素子駆動部232等を駆動して撮像画像を取得する。
【0021】
図3は、撮像装置10の動作を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、撮像装置10の電源スイッチがオンになったことにより開始する。
【0022】
まず制御部230は、連続撮影が選択されているか否かを判断する(S10)。例えば、連続撮影の選択は表示部222表示したメニューを用いてユーザに十字キー204を操作させることにより予め実行される。当該選択の結果はメインメモリ252に格納されており、制御部250はメインメモリ252を参照して上記判断を行う。
【0023】
連続撮影が選択されている場合に(S10:Yes)、表示駆動部246は参照画像を表示部222に表示して、タッチ操作部224から被写体の指定を受け付ける(S20)。撮影指示があるまで指定を受けつつ待機し(S22:No)、撮影指示があった場合に(S22:Yes)、制御部250は、被写体の指定に応じた合焦および画像の取得の動作を実行し(S30)、終了する。この場合に制御部250は、レリーズ210が全押しされたことで、撮影指示があったと判断する。一方、連続撮影が選択されていなかった場合は(S10:No)、制御部250は通常の撮影動作を行い(S12)、終了する。
【0024】
図4は、図3における被写体の指定を受け付ける動作(S20)の詳細を示すフローチャートである。まず、制御部250は撮像素子駆動部232を駆動して撮像素子234等により参照画像を撮像する(S210)。ここで参照画像は、ユーザの参照にすべく一時的に取得される画像であって、例えばライブビュー動作におけるスルー画像を含む。
【0025】
画像解析部244は、参照画像を解析して、参照画像に含まれる被写体を検出し(S212)、被写体に関する被写体情報を生成する。この場合に画像解析部244は、顔認識により人物を検出してもよいし、その他の予め定められた被写体の形状および色等から人物以外の被写体を検出してもよい。被写体情報は例えばメインメモリ252に記憶される。
【0026】
表示駆動部246は、参照画像を表示部222に表示する(S214)。この場合に、表示駆動部246は、画像解析部244により検出された被写体に関する情報を上記参照画像に重畳して表示する。
【0027】
図5は、参照画像12の一例である。図5に示す例において、画像解析部244により検出された被写体AからEが、ユーザによる指定の候補であることが視認できるように、被写体を破線の丸で囲った表示が付されている。
【0028】
図4のステップS214の参照画像の表示中に、受付部248はユーザから被写体の指定があったか否かを判断する(S216)。受付部248は、タッチ操作部224の操作により、被写体の指定があったかどうかを判断する。
【0029】
ユーザから被写体の指定があった場合に(S216:Yes)、制御部250は受付部248からの入力に基づいて、メインメモリ252に記憶されている被写体情報を更新する(S218)。
【0030】
図6は、被写体情報の一例である。図6の被写体情報は、被写体を特定するIDに対応付けられた、撮像の順序、参照画像内のXY位置、合焦する場合のフォーカスレンズの位置であるフォーカスレンズ位置、参照画像内か外かを示す内外フラグを有する。図6に示す例は、図5の参照画像12に対応して6つの被写体に対してIDとしてAからEが割り振られている。IDは、例えば、被写体が検出された順に割り振られてもよいし、フォーカスレンズ位置の順に割り振られてもよいが、それ自体は必ずしも撮影順序を定めるものではない。
【0031】
撮像の順序は、ステップS216におけるユーザの被写体の指定に基づいて、制御部250が決定する。以下、撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序と同一に決定される例で説明する。
【0032】
図6の例において、タッチパネル220上で被写体Bが最初に選択されたことに対応して、撮像の順序「1」が割り当てられている。同様に、タッチパネル220上で被写体Bの次に、被写体C、Dがこの順に選択されたことに対応して、撮像の順序「2」「3」が割り当てられている。ユーザにより選択されて順序が割り当てられたことは、図5の例においては、被写体を示す丸の破線の近傍に数字を付することにより示されている。なお、ユーザに指定された被写体を、指定被写体という場合がある。
【0033】
被写体情報における参照画像内の位置は、画像解析部244により特定されて書き込まれる。ここで、ステップS20の動作は撮影指示があるまで所定間隔で繰り返されるので(S22)、新たな参照画像が取得される度に画像解析部244は被写体の位置を更新する。
【0034】
フォーカスレンズ位置は、例えば画像解析部244が参照画像を画像処理することにより、算出する。一例として被写体が人物の場合に、画像解析部244は被写体の顔の大きさに基づいて当該被写体までの距離を推定し、当該距離に合焦するフォーカスレンズ位置を算出する。なおこれに代えて、上記ステップS216で被写体が指定された場合にAF駆動部240がフォーカスレンズを移動して合焦させ、その位置を制御部230が被写体情報に書き込んでもよい。なお被写体が指定される毎にフォーカスレンズを移動するのに代えて、レリーズ210が半押しされたときにフォーカスレンズを移動してもよい。その他、フォーカスレンズ位置を知るためのフォーカスレンズの移動は、被写体の指定後であって撮影指示の前であればよい。
【0035】
図4の上記ステップS218の後またはステップS216の判断がNoである場合に、画像解析部244は、指定被写体のうち参照画像から消滅したか、再登場したものがあるか否かを判断する(S220)。指定被写体のうち参照画像から消滅したか、再登場したものがあった場合に(S220)、画像解析部244は、被写体情報の内外フラグを更新する(S222)。
【0036】
図6の内外フラグの「0」は指定被写体が現在の参照画像に存在することを示し、「1」は指定被写体が現在の参照画像に存在しないことを示す。内外フラグの初期値は「0」である。よって、指定されていない被写体についても内外フラグは「0」が割り当てられている。
【0037】
図6に示す例において、指定被写体Cが現在の参照画像に存在しないので、内外フラグ「1」が割り振られている。さらに、指定被写体CのXY位置およびフォーカスレンズ位置も無効な値「−」が割り振られている。
【0038】
上記ステップS222の後またはステップS220の判断がNoであった場合に、当該ステップS20の動作を終了する。上記の通り、ステップS20の動作は、撮影指示があるまで所定間隔で繰り返される(S22)。
【0039】
図7は、図3における撮影を実行する動作(S30)の詳細を示すフローチャートである。まず制御部250は、メインメモリ252に記憶されている被写体情報を参照し(S300)、被写体情報に含まれる指定被写体を特定する(S302)。
【0040】
ステップS302において制御部250は、被写体情報における撮影の順の早いものから指定被写体を特定する。図6に示す例において、最初は撮像の順序が「1」である被写体Bが特定される。
【0041】
次に、制御部250はステップS302で特定した指定被写体の内外フラグが「0」であるか否かを判断する(S304)。特定した指定被写体の内外フラグが「0」である場合に(S304:Yes)、AF駆動部240は当該指定被写体に合焦すべくモータ242を駆動する(S306)ステップS306において、AF駆動部240は被写体情報を参照して当該指定被写体のフォーカスレンズ位置を読み出し、当該位置へフォーカスレンズを移動させることにより、合焦動作を行う。
【0042】
引き続き撮像素子駆動部232は撮像素子234を駆動して撮像画像を読み出し(S308)、画像処理部238から制御部250が当該撮像画像を取得する。制御部250は取得した撮像画像をメインメモリ252に一時的に格納する。
【0043】
制御部250は、被写体情報のなかに次の指定被写体があるかどうかを判断する(S310)。次の被写体がある場合に(S310:Yes)、上記ステップS302に戻る。図6に示す例において、今回、特定されたのが被写体Bであった場合に、ステップS302では撮像の順序が「2」である被写体Cが特定される。
【0044】
ここで図6において被写体Cの内外フラグは「1」であるから、ステップS304の判断はNoとなり、ステップ306およびS308は省略される。これにより、制御部250は、一旦指定された被写体が後の参照画像から消滅した場合は、上記撮像指示に対して当該被写体に対する合焦および撮像を省略する。したがって、それらの動作に要する時間をなくして全体の撮影時間を短くすることができるとともに、複数の撮像画像間の撮像タイミングを近づけることができる。
【0045】
なお、図6の例において被写体Bが撮影指示前に参照画像内に再登場していた場合には、上記ステップ222において内外フラグが「0」に更新されている。よって、上記ステップS304の判断はYesになり、ステップS304およびS306が実行される。これにより、一旦指定された被写体が参照画像から消滅した後に、さらに後の参照画像に再登場した場合は、上記撮像指示に対して、再登場した被写体への合焦および撮像を実行する。これにより、ユーザの意図に合った撮像画像を得ることができる。
【0046】
ステップS310において次の指定被写体がない場合に(S310:No)、制御部230は、撮像画像を保存する(S312)。内外フラグが「0」の指定被写体が複数あった場合には、複数の撮像画像が取得される。この場合に制御部230は、例えば、複数の撮像画像を1つのフォルダに入れて保存する。以上により、ステップS30の動作が終了する。
【0047】
図8は、制御部250が撮像画像をカードメモリ254に保存する例を示す説明図である。図8の例において、制御部250は、通常の撮像画像と同じルールで、連続撮影の複数の撮像画像にもファイル名「PIC003.jpg」等を割り振る。さらに、一の撮像指示に対する連続撮影の複数の撮像画像を、その中に含まれるファイル名を用いたフォルダ名「PIC003−005」のフォルダに格納する。これにより、一の撮像指示に対する連続撮影の複数の撮像画像を通常の撮像画像と区別しつつ、かつ、連続撮影の複数の撮像画像を見つけやすくすることができる。
【0048】
以上、図1から図8に示す実施形態では、参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像素子234等により、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する。よって、ユーザが意図しない被写体に対して合焦および撮像の動作を省略して、それらの動作に要する時間をなくして全体の撮影時間を短くすることができるとともに、複数の撮像画像間の撮像タイミングを近づけることができる。
【0049】
さらにその撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序により決定される。したがって、本実施形態によれば、ユーザが意図した順序で連続撮影をすることができ、ユーザがより重要度が高いと認識した被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0050】
なお、上記実施形態において、撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序と同一に決定されたが、撮像の順序は撮影指示があるまで変更できてもよい。例えば、被写体を4番目まで指定した後に、1番目の被写体を再度指定することで、「4→1→2→3」の順序に入れ替えるようにしてもよい。また、同一の被写体が二度指定された場合には、指定被写体である旨を解除するようにしてもよい。
【0051】
図9は、指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。図10は、図9に対応した被写体情報の例である。図9および図10の例では、合焦するときの光学系の移動量が全体として少なくなる順序で指定被写体が撮像される。以下、図1から図8の実施形態と異なる点について説明する。
【0052】
図9において、図5に示す参照画像12内の被写体AからEがフォーカスレンズ位置の順に並べられている。ここでステップS20において被写体AからDが指定されており、現在のフォーカスレンズ位置が被写体Cの合焦に近い位置にあったとする。この場合にプラスマイナス方向に最も遠い被写体AとDのどちら一方までは往復する必要があるが、他方は往路だけでよいことを考えると、「C→A→D」の順にフォーカスレンズを動かすとより移動量が全体としてより少なくなる。なお被写体Bについては往路で撮像しても復路で撮像しても移動量としては変わらないが、撮像指示のタイミングにより近いのは往路なので、往路で撮像することが好ましい。
【0053】
よって、図10に示すように、被写体AからDが指定された場合に指定された順序にかかわらず、フォーカスレンズの移動量が全体としてより少なくなるように、「C→B→A→D」の撮像の順序が決定される。撮像の順序は、上記ステップS216において新たな被写体の指定がある度に制御部230により決定されて、被写体情報が更新される(S218)。さらに、ステップS30の動作により当該順序にて複数の撮像画像が取得される。
【0054】
以上、本実施形態によれば、ユーザが指定した被写体に対して光学系の移動量が少なくなる順序で連続撮影をするので、連続撮影の撮影時間を短縮して、各被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0055】
図11は、指定被写体の指定の方法および指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。図12は、図11に対応した被写体情報の例である。図11および図12の例では、タッチパネル220上の領域の指定によって被写体が指定され、指定された被写体は領域の指定の始点からのXY位置に応じて決定される。以下、図11から図12の実施形態と異なる点について説明する。
【0056】
図11において、上記ステップS216において、ユーザによりタッチパネル220のXY位置(x0,y0)から(x1,y1)が指定されたとする。この場合に、制御部230は(x0,y0)から(x1,y1)の矩形に含まれる被写体AからCを指定被写体として特定し、上記ステップS218において被写体情報を更新する。
【0057】
この場合に、制御部230は、指定された領域内のXY面内の特定の方向に沿って特定被写体の撮像の順序を決定する。例えば、制御部230は領域の始点(x0,y0)に近い順に撮像の順序を決定する。図11の例において始点(x0,y0)からの距離に応じて被写体A、B、Cの順に撮像の順序「1」、「2」、「3」をそれぞれ割り振る。
【0058】
図12は上記例によって更新された被写体情報が示されている。上記ステップS30の動作により、被写体情報に示された順序に従って複数の撮像画像が取得される。
【0059】
以上、本実施形態によれば、ユーザの範囲指定により被写体が指定されて、指定された被写体間では自動的に順序が設定されて連続撮影をするので、ユーザによる被写体の指定および順序の指定の手間を省くことができる。
【0060】
なお、図5および図6に示した被写体の指定と図11および図12に示した被写体の指定を混在させてもよい。この場合に撮像の順序は、まず領域指定を一の被写体とみて指定被写体が指定された順序を撮像の順序にしたうえで、同一領域内の複数の指定被写体間はXY面内の特定の方向にそって自動的に決めてもよい。
【0061】
上記図1から図12に示す実施形態において、被写体の指定についてタッチパネル220のタッチ操作部214を用いたが、これに限られない。他の操作部材、例えば十字キー204により被写体が指定されてもよい。この場合には表示部222もタッチパネル222以外の液晶モニタであってもよい。また、上記実施形態においては、合焦させたい被写体を指定するが、これに代えて、被写体の候補が提示された状態で、合焦を要しない被写体が選択されてもよい、この場合には、候補のうち選択されなかった被写体について図9に示された方法等により撮像の順序が決定されてもよい。
【0062】
上記図1から図12に示す実施形態において、被写体の候補はステップS20が実行されている場合に検出されて表示されるが、これに代えて、レリーズ210が半押しされたときに被写体の候補が検出または表示されてもよい。
【0063】
上記図1から図12に示す実施形態において、ステップS30で指定被写体のいずれに対しても合焦して撮像している。これに代えて、すでに撮像した指定被写体の撮影時における被写界深度に含まれている、後の順序の指定被写体については、改めて合焦および撮像する動作を省略してもよい。この場合に、制御部230は、ステップS300において被写体情報および撮像装置10の絞り値を参照し、指定被写体のうち、被写界深度すなわち合焦の範囲に基づいてグルーピングして被写体情報を更新する。さらに制御部230は撮影素子駆動部232を駆動して、グルーピングされたグループのそれぞれにつき一の合焦および撮像を実行する。これにより、連続撮影の撮影時間を短縮して、各被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0064】
上記図1から図12に示す実施形態において、一度の撮像指示で取得された複数の撮像画像は一のフォルダにまとめて保存されているが、保存の形式はこれに限られない。例えば、通常撮影と同様に個々の撮像画像を保存してもよいし、マルチピクチャー(MP)フォーマット等により1つのファイルとして保存してもよい。なお、図3に示す動作をプログラムメモリ250に格納したコンピュータプログラムにより実行してもよい。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 撮像装置
12 参照画像
100 レンズユニット
200 装置本体
202 ファインダ
204 十字キー
210 レリーズ
220 タッチパネル
222 表示部
224 タッチ操作部
230 制御部
232 撮像素子駆動部
234 撮像素子
236 A/D変換部
238 画像処理部
240 AF駆動部
242 モータ
244 画像解析部
246 表示駆動部
248 受付部
250 プログラムメモリ
252 メインメモリ
254 メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置において、参照画像内の複数の被写体を認識し、その後の本撮像において当該複数の被写体ごとにピント調整して複数回撮像するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1 特開2009−81636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記撮像装置においては、参照画像内のすべての被写体にピント調整し、かつ、その撮影順序が撮像装置からの距離で一意に決まってしまうという点で、ユーザにとって重要な被写体のシャッタチャンスを逃すなど、ユーザに使いやすいとはいえなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、撮像画像を取得する撮像部(234)と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部(248)と、受付部により参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部(230)とを備える撮像装置が提供される。
【0005】
本発明の第2の態様においては、撮像装置を制御するプログラムであって、撮像装置に撮像画像を撮像部により一時的に撮像する段階と、撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける段階と、参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像部に、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる段階とを実行させるプログラムが提供される。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の撮像装置10の外観を示す。
【図2】図1の撮像装置10の機能ブロックを示す。
【図3】撮像装置10の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3における被写体の指定を受け付ける動作(S20)の詳細を示すフローチャートである。
【図5】参照画像12の一例である。
【図6】被写体情報の一例である。
【図7】図3における撮影を実行する動作(S30)の詳細を示すフローチャートである。
【図8】制御部250が撮像画像をカードメモリ254に保存する例を示す説明図である。
【図9】指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。
【図10】図9に対応した被写体情報の例である。
【図11】指定被写体の指定の方法および指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。
【図12】図12は、図11に対応した被写体情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、本実施形態の撮像装置10の外観を示す。撮像装置10は、レンズユニット100および当該レンズユニット100を前面に着脱可能な装置本体200を備える。撮像装置10の一例は一眼レフカメラである。撮像装置10は、ユーザにより指定された複数の被写体について、一度の撮像指示で当該複数の被写体に順次、合焦した複数の画像を取得する。
【0010】
装置本体200は、背面に配されて画像を表示するとともに、ユーザの接触により入力が可能なタッチパネル220、並びに、ユーザから操作されるレリーズ210および十字キー204を有する。装置本体200はさらに、タッチパネル220の上方にユーザが眼を近づけることにより視認できるファインダ202を有する。
【0011】
図2は、図1の撮像装置10の機能ブロックを示す。撮像装置10には、撮像装置10の全体の制御を司る制御部230が設けられる。
【0012】
制御部230には、プログラムメモリ250およびメインメモリ252が接続される。プログラムメモリ250は、不揮発性記録媒体および読出専用記録媒体の少なくとも一方を含み、制御部250が実行するファームウェア等を格納する。メインメモリ252はダイナミックRAMを含み、制御部210および画像処理の作業領域として使用される。
【0013】
制御部250には、さらに撮像素子駆動部232および画像処理部238が接続される。また、撮像素子駆動部232、撮像素子234、A/D変換部236および上記画像処理部238が互いに接続される。
【0014】
撮像素子234は、CMOS、CCD等の光電変換素子を含み、撮像素子駆動部232に特定のタイミングで駆動される。撮像素子駆動部232に駆動された撮像素子234は、駆動されたタイミングに受光した被写体光束を電気信号に変換して出力する。
【0015】
撮像素子234から出力された電気信号は、A/D変換部236により離散化され、画像処理部238において画素値に変換されて撮像画像が生成される。画像処理部238は、撮像画像を生成する過程で、ホワイトバランス、シャープネス、ガンマ、階調補正、圧縮等を調整する。
【0016】
画像処理部238において生成された撮像画像は、制御部230の制御の下に、メモリカード254に格納されて保存される。メモリカード254は、装置本体200に対して着脱して交換できる。
【0017】
画像解析部244は、撮像画像を解析して、当該撮像画像に含まれる被写体を認識する。例えば画像解析部244は、人物、ペット等の顔認識およびその個体認識を行う。また、コントラストAF方式の場合に、画像解析部224は撮像画像からコントラストを算出して制御部230に出力する。
【0018】
制御部230には、AF駆動部240も接続される。AF駆動部240は、モータ242を駆動してレンズユニット100のフォーカスレンズを移動させることにより、被写体の像光を撮像素子234の撮像面に結像させる合焦動作を行う。
【0019】
制御部230には、さらに表示駆動部246も接続される。表示駆動部246は、撮像画像をタッチパネル220の表示部222に表示する。表示駆動部246は、ライブビューモードが設定されている場合は撮像素子234からの撮像画像を参照画像として、表示部222に逐次表示する。さらに、表示駆動部246は、また、プログラムメモリ250から読み出されたメニー項目等を表示部222に表示する。
【0020】
制御部210には、入力部280も接続される。受付部248は、タッチパネル220のタッチ操作部224および十字キー204を通じてユーザからの入力を受け付ける。制御部210はさらにレリーズ210が押下されたことを撮像指示として受け取り、上記撮像素子駆動部232等を駆動して撮像画像を取得する。
【0021】
図3は、撮像装置10の動作を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、撮像装置10の電源スイッチがオンになったことにより開始する。
【0022】
まず制御部230は、連続撮影が選択されているか否かを判断する(S10)。例えば、連続撮影の選択は表示部222表示したメニューを用いてユーザに十字キー204を操作させることにより予め実行される。当該選択の結果はメインメモリ252に格納されており、制御部250はメインメモリ252を参照して上記判断を行う。
【0023】
連続撮影が選択されている場合に(S10:Yes)、表示駆動部246は参照画像を表示部222に表示して、タッチ操作部224から被写体の指定を受け付ける(S20)。撮影指示があるまで指定を受けつつ待機し(S22:No)、撮影指示があった場合に(S22:Yes)、制御部250は、被写体の指定に応じた合焦および画像の取得の動作を実行し(S30)、終了する。この場合に制御部250は、レリーズ210が全押しされたことで、撮影指示があったと判断する。一方、連続撮影が選択されていなかった場合は(S10:No)、制御部250は通常の撮影動作を行い(S12)、終了する。
【0024】
図4は、図3における被写体の指定を受け付ける動作(S20)の詳細を示すフローチャートである。まず、制御部250は撮像素子駆動部232を駆動して撮像素子234等により参照画像を撮像する(S210)。ここで参照画像は、ユーザの参照にすべく一時的に取得される画像であって、例えばライブビュー動作におけるスルー画像を含む。
【0025】
画像解析部244は、参照画像を解析して、参照画像に含まれる被写体を検出し(S212)、被写体に関する被写体情報を生成する。この場合に画像解析部244は、顔認識により人物を検出してもよいし、その他の予め定められた被写体の形状および色等から人物以外の被写体を検出してもよい。被写体情報は例えばメインメモリ252に記憶される。
【0026】
表示駆動部246は、参照画像を表示部222に表示する(S214)。この場合に、表示駆動部246は、画像解析部244により検出された被写体に関する情報を上記参照画像に重畳して表示する。
【0027】
図5は、参照画像12の一例である。図5に示す例において、画像解析部244により検出された被写体AからEが、ユーザによる指定の候補であることが視認できるように、被写体を破線の丸で囲った表示が付されている。
【0028】
図4のステップS214の参照画像の表示中に、受付部248はユーザから被写体の指定があったか否かを判断する(S216)。受付部248は、タッチ操作部224の操作により、被写体の指定があったかどうかを判断する。
【0029】
ユーザから被写体の指定があった場合に(S216:Yes)、制御部250は受付部248からの入力に基づいて、メインメモリ252に記憶されている被写体情報を更新する(S218)。
【0030】
図6は、被写体情報の一例である。図6の被写体情報は、被写体を特定するIDに対応付けられた、撮像の順序、参照画像内のXY位置、合焦する場合のフォーカスレンズの位置であるフォーカスレンズ位置、参照画像内か外かを示す内外フラグを有する。図6に示す例は、図5の参照画像12に対応して6つの被写体に対してIDとしてAからEが割り振られている。IDは、例えば、被写体が検出された順に割り振られてもよいし、フォーカスレンズ位置の順に割り振られてもよいが、それ自体は必ずしも撮影順序を定めるものではない。
【0031】
撮像の順序は、ステップS216におけるユーザの被写体の指定に基づいて、制御部250が決定する。以下、撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序と同一に決定される例で説明する。
【0032】
図6の例において、タッチパネル220上で被写体Bが最初に選択されたことに対応して、撮像の順序「1」が割り当てられている。同様に、タッチパネル220上で被写体Bの次に、被写体C、Dがこの順に選択されたことに対応して、撮像の順序「2」「3」が割り当てられている。ユーザにより選択されて順序が割り当てられたことは、図5の例においては、被写体を示す丸の破線の近傍に数字を付することにより示されている。なお、ユーザに指定された被写体を、指定被写体という場合がある。
【0033】
被写体情報における参照画像内の位置は、画像解析部244により特定されて書き込まれる。ここで、ステップS20の動作は撮影指示があるまで所定間隔で繰り返されるので(S22)、新たな参照画像が取得される度に画像解析部244は被写体の位置を更新する。
【0034】
フォーカスレンズ位置は、例えば画像解析部244が参照画像を画像処理することにより、算出する。一例として被写体が人物の場合に、画像解析部244は被写体の顔の大きさに基づいて当該被写体までの距離を推定し、当該距離に合焦するフォーカスレンズ位置を算出する。なおこれに代えて、上記ステップS216で被写体が指定された場合にAF駆動部240がフォーカスレンズを移動して合焦させ、その位置を制御部230が被写体情報に書き込んでもよい。なお被写体が指定される毎にフォーカスレンズを移動するのに代えて、レリーズ210が半押しされたときにフォーカスレンズを移動してもよい。その他、フォーカスレンズ位置を知るためのフォーカスレンズの移動は、被写体の指定後であって撮影指示の前であればよい。
【0035】
図4の上記ステップS218の後またはステップS216の判断がNoである場合に、画像解析部244は、指定被写体のうち参照画像から消滅したか、再登場したものがあるか否かを判断する(S220)。指定被写体のうち参照画像から消滅したか、再登場したものがあった場合に(S220)、画像解析部244は、被写体情報の内外フラグを更新する(S222)。
【0036】
図6の内外フラグの「0」は指定被写体が現在の参照画像に存在することを示し、「1」は指定被写体が現在の参照画像に存在しないことを示す。内外フラグの初期値は「0」である。よって、指定されていない被写体についても内外フラグは「0」が割り当てられている。
【0037】
図6に示す例において、指定被写体Cが現在の参照画像に存在しないので、内外フラグ「1」が割り振られている。さらに、指定被写体CのXY位置およびフォーカスレンズ位置も無効な値「−」が割り振られている。
【0038】
上記ステップS222の後またはステップS220の判断がNoであった場合に、当該ステップS20の動作を終了する。上記の通り、ステップS20の動作は、撮影指示があるまで所定間隔で繰り返される(S22)。
【0039】
図7は、図3における撮影を実行する動作(S30)の詳細を示すフローチャートである。まず制御部250は、メインメモリ252に記憶されている被写体情報を参照し(S300)、被写体情報に含まれる指定被写体を特定する(S302)。
【0040】
ステップS302において制御部250は、被写体情報における撮影の順の早いものから指定被写体を特定する。図6に示す例において、最初は撮像の順序が「1」である被写体Bが特定される。
【0041】
次に、制御部250はステップS302で特定した指定被写体の内外フラグが「0」であるか否かを判断する(S304)。特定した指定被写体の内外フラグが「0」である場合に(S304:Yes)、AF駆動部240は当該指定被写体に合焦すべくモータ242を駆動する(S306)ステップS306において、AF駆動部240は被写体情報を参照して当該指定被写体のフォーカスレンズ位置を読み出し、当該位置へフォーカスレンズを移動させることにより、合焦動作を行う。
【0042】
引き続き撮像素子駆動部232は撮像素子234を駆動して撮像画像を読み出し(S308)、画像処理部238から制御部250が当該撮像画像を取得する。制御部250は取得した撮像画像をメインメモリ252に一時的に格納する。
【0043】
制御部250は、被写体情報のなかに次の指定被写体があるかどうかを判断する(S310)。次の被写体がある場合に(S310:Yes)、上記ステップS302に戻る。図6に示す例において、今回、特定されたのが被写体Bであった場合に、ステップS302では撮像の順序が「2」である被写体Cが特定される。
【0044】
ここで図6において被写体Cの内外フラグは「1」であるから、ステップS304の判断はNoとなり、ステップ306およびS308は省略される。これにより、制御部250は、一旦指定された被写体が後の参照画像から消滅した場合は、上記撮像指示に対して当該被写体に対する合焦および撮像を省略する。したがって、それらの動作に要する時間をなくして全体の撮影時間を短くすることができるとともに、複数の撮像画像間の撮像タイミングを近づけることができる。
【0045】
なお、図6の例において被写体Bが撮影指示前に参照画像内に再登場していた場合には、上記ステップ222において内外フラグが「0」に更新されている。よって、上記ステップS304の判断はYesになり、ステップS304およびS306が実行される。これにより、一旦指定された被写体が参照画像から消滅した後に、さらに後の参照画像に再登場した場合は、上記撮像指示に対して、再登場した被写体への合焦および撮像を実行する。これにより、ユーザの意図に合った撮像画像を得ることができる。
【0046】
ステップS310において次の指定被写体がない場合に(S310:No)、制御部230は、撮像画像を保存する(S312)。内外フラグが「0」の指定被写体が複数あった場合には、複数の撮像画像が取得される。この場合に制御部230は、例えば、複数の撮像画像を1つのフォルダに入れて保存する。以上により、ステップS30の動作が終了する。
【0047】
図8は、制御部250が撮像画像をカードメモリ254に保存する例を示す説明図である。図8の例において、制御部250は、通常の撮像画像と同じルールで、連続撮影の複数の撮像画像にもファイル名「PIC003.jpg」等を割り振る。さらに、一の撮像指示に対する連続撮影の複数の撮像画像を、その中に含まれるファイル名を用いたフォルダ名「PIC003−005」のフォルダに格納する。これにより、一の撮像指示に対する連続撮影の複数の撮像画像を通常の撮像画像と区別しつつ、かつ、連続撮影の複数の撮像画像を見つけやすくすることができる。
【0048】
以上、図1から図8に示す実施形態では、参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、撮像素子234等により、指定に含まれる複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する。よって、ユーザが意図しない被写体に対して合焦および撮像の動作を省略して、それらの動作に要する時間をなくして全体の撮影時間を短くすることができるとともに、複数の撮像画像間の撮像タイミングを近づけることができる。
【0049】
さらにその撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序により決定される。したがって、本実施形態によれば、ユーザが意図した順序で連続撮影をすることができ、ユーザがより重要度が高いと認識した被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0050】
なお、上記実施形態において、撮像の順序はユーザが被写体を指定した順序と同一に決定されたが、撮像の順序は撮影指示があるまで変更できてもよい。例えば、被写体を4番目まで指定した後に、1番目の被写体を再度指定することで、「4→1→2→3」の順序に入れ替えるようにしてもよい。また、同一の被写体が二度指定された場合には、指定被写体である旨を解除するようにしてもよい。
【0051】
図9は、指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。図10は、図9に対応した被写体情報の例である。図9および図10の例では、合焦するときの光学系の移動量が全体として少なくなる順序で指定被写体が撮像される。以下、図1から図8の実施形態と異なる点について説明する。
【0052】
図9において、図5に示す参照画像12内の被写体AからEがフォーカスレンズ位置の順に並べられている。ここでステップS20において被写体AからDが指定されており、現在のフォーカスレンズ位置が被写体Cの合焦に近い位置にあったとする。この場合にプラスマイナス方向に最も遠い被写体AとDのどちら一方までは往復する必要があるが、他方は往路だけでよいことを考えると、「C→A→D」の順にフォーカスレンズを動かすとより移動量が全体としてより少なくなる。なお被写体Bについては往路で撮像しても復路で撮像しても移動量としては変わらないが、撮像指示のタイミングにより近いのは往路なので、往路で撮像することが好ましい。
【0053】
よって、図10に示すように、被写体AからDが指定された場合に指定された順序にかかわらず、フォーカスレンズの移動量が全体としてより少なくなるように、「C→B→A→D」の撮像の順序が決定される。撮像の順序は、上記ステップS216において新たな被写体の指定がある度に制御部230により決定されて、被写体情報が更新される(S218)。さらに、ステップS30の動作により当該順序にて複数の撮像画像が取得される。
【0054】
以上、本実施形態によれば、ユーザが指定した被写体に対して光学系の移動量が少なくなる順序で連続撮影をするので、連続撮影の撮影時間を短縮して、各被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0055】
図11は、指定被写体の指定の方法および指定被写体の撮像の順序の他の例を説明するための説明図である。図12は、図11に対応した被写体情報の例である。図11および図12の例では、タッチパネル220上の領域の指定によって被写体が指定され、指定された被写体は領域の指定の始点からのXY位置に応じて決定される。以下、図11から図12の実施形態と異なる点について説明する。
【0056】
図11において、上記ステップS216において、ユーザによりタッチパネル220のXY位置(x0,y0)から(x1,y1)が指定されたとする。この場合に、制御部230は(x0,y0)から(x1,y1)の矩形に含まれる被写体AからCを指定被写体として特定し、上記ステップS218において被写体情報を更新する。
【0057】
この場合に、制御部230は、指定された領域内のXY面内の特定の方向に沿って特定被写体の撮像の順序を決定する。例えば、制御部230は領域の始点(x0,y0)に近い順に撮像の順序を決定する。図11の例において始点(x0,y0)からの距離に応じて被写体A、B、Cの順に撮像の順序「1」、「2」、「3」をそれぞれ割り振る。
【0058】
図12は上記例によって更新された被写体情報が示されている。上記ステップS30の動作により、被写体情報に示された順序に従って複数の撮像画像が取得される。
【0059】
以上、本実施形態によれば、ユーザの範囲指定により被写体が指定されて、指定された被写体間では自動的に順序が設定されて連続撮影をするので、ユーザによる被写体の指定および順序の指定の手間を省くことができる。
【0060】
なお、図5および図6に示した被写体の指定と図11および図12に示した被写体の指定を混在させてもよい。この場合に撮像の順序は、まず領域指定を一の被写体とみて指定被写体が指定された順序を撮像の順序にしたうえで、同一領域内の複数の指定被写体間はXY面内の特定の方向にそって自動的に決めてもよい。
【0061】
上記図1から図12に示す実施形態において、被写体の指定についてタッチパネル220のタッチ操作部214を用いたが、これに限られない。他の操作部材、例えば十字キー204により被写体が指定されてもよい。この場合には表示部222もタッチパネル222以外の液晶モニタであってもよい。また、上記実施形態においては、合焦させたい被写体を指定するが、これに代えて、被写体の候補が提示された状態で、合焦を要しない被写体が選択されてもよい、この場合には、候補のうち選択されなかった被写体について図9に示された方法等により撮像の順序が決定されてもよい。
【0062】
上記図1から図12に示す実施形態において、被写体の候補はステップS20が実行されている場合に検出されて表示されるが、これに代えて、レリーズ210が半押しされたときに被写体の候補が検出または表示されてもよい。
【0063】
上記図1から図12に示す実施形態において、ステップS30で指定被写体のいずれに対しても合焦して撮像している。これに代えて、すでに撮像した指定被写体の撮影時における被写界深度に含まれている、後の順序の指定被写体については、改めて合焦および撮像する動作を省略してもよい。この場合に、制御部230は、ステップS300において被写体情報および撮像装置10の絞り値を参照し、指定被写体のうち、被写界深度すなわち合焦の範囲に基づいてグルーピングして被写体情報を更新する。さらに制御部230は撮影素子駆動部232を駆動して、グルーピングされたグループのそれぞれにつき一の合焦および撮像を実行する。これにより、連続撮影の撮影時間を短縮して、各被写体の撮像タイミングをレリーズの押下のタイミングにより近づけることができる。
【0064】
上記図1から図12に示す実施形態において、一度の撮像指示で取得された複数の撮像画像は一のフォルダにまとめて保存されているが、保存の形式はこれに限られない。例えば、通常撮影と同様に個々の撮像画像を保存してもよいし、マルチピクチャー(MP)フォーマット等により1つのファイルとして保存してもよい。なお、図3に示す動作をプログラムメモリ250に格納したコンピュータプログラムにより実行してもよい。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 撮像装置
12 参照画像
100 レンズユニット
200 装置本体
202 ファインダ
204 十字キー
210 レリーズ
220 タッチパネル
222 表示部
224 タッチ操作部
230 制御部
232 撮像素子駆動部
234 撮像素子
236 A/D変換部
238 画像処理部
240 AF駆動部
242 モータ
244 画像解析部
246 表示駆動部
248 受付部
250 プログラムメモリ
252 メインメモリ
254 メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部と、
前記受付部により前記参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、前記撮像部に、前記指定に含まれる前記複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザから前記複数の被写体が指定された順序に基づいて、前記複数の被写体を順次、合焦して複数の撮像画像を取得する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の被写体に順次、合焦するときの光学系の移動量が全体として少なくなる順序を算出して、前記複数の被写体を順次、合焦して複数の撮像画像を取得する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の被写体のそれぞれを合焦する光学系の移動量を、前記参照画像の画像処理に基づいて算出する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の被写体のそれぞれを合焦する光学系の移動量を、前記被写体の指定後であって撮像指示の前に前記被写体に合焦することにより取得する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記受付部は、ユーザから前記参照画像の領域の指定を受け付けることにより、前記領域内に含まれる被写体の指定がされたと判断する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記指定に含まれる前記複数の被写体を合焦の範囲に基づいてグルーピングし、グルーピングされたグループのそれぞれにつき一の合焦および撮像を実行する請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記受付部はタッチパネルを有し、前記タッチパネルに前記参照画像を表示して被写体の指定を受け付ける請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記受付部は、前記参照画像内の被写体を指定の候補として提示する請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記受付部は、提示した候補のうち撮像時に合焦を要しない被写体の指定を受け付ける請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部は撮像指示があるまで前記参照画像を更新するとともに、
前記制御部は、一旦指定された前記複数の被写体のいずれかが後の参照画像から消滅した場合は、前記撮像指示に対して前記消滅した被写体に対する合焦および撮像を省略する請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記制御部は、一旦指定された前記複数の被写体のいずれかが後の参照画像から消滅した後に、さらに後の参照画像に再登場した場合は、前記撮像指示に対して前記再登場した被写体に対して合焦および撮像を実行する請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮像装置を制御するプログラムであって、前記撮像装置に
撮像画像を撮像部により一時的に撮像する段階と、
前記撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける段階と、
前記参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、前記撮像部に、前記指定に含まれる前記複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる段階と
を実行させるプログラム。
【請求項1】
撮像画像を取得する撮像部と、
前記撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける受付部と、
前記受付部により前記参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、前記撮像部に、前記指定に含まれる前記複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザから前記複数の被写体が指定された順序に基づいて、前記複数の被写体を順次、合焦して複数の撮像画像を取得する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の被写体に順次、合焦するときの光学系の移動量が全体として少なくなる順序を算出して、前記複数の被写体を順次、合焦して複数の撮像画像を取得する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の被写体のそれぞれを合焦する光学系の移動量を、前記参照画像の画像処理に基づいて算出する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の被写体のそれぞれを合焦する光学系の移動量を、前記被写体の指定後であって撮像指示の前に前記被写体に合焦することにより取得する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記受付部は、ユーザから前記参照画像の領域の指定を受け付けることにより、前記領域内に含まれる被写体の指定がされたと判断する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記指定に含まれる前記複数の被写体を合焦の範囲に基づいてグルーピングし、グルーピングされたグループのそれぞれにつき一の合焦および撮像を実行する請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記受付部はタッチパネルを有し、前記タッチパネルに前記参照画像を表示して被写体の指定を受け付ける請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記受付部は、前記参照画像内の被写体を指定の候補として提示する請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記受付部は、提示した候補のうち撮像時に合焦を要しない被写体の指定を受け付ける請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像部は撮像指示があるまで前記参照画像を更新するとともに、
前記制御部は、一旦指定された前記複数の被写体のいずれかが後の参照画像から消滅した場合は、前記撮像指示に対して前記消滅した被写体に対する合焦および撮像を省略する請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記制御部は、一旦指定された前記複数の被写体のいずれかが後の参照画像から消滅した後に、さらに後の参照画像に再登場した場合は、前記撮像指示に対して前記再登場した被写体に対して合焦および撮像を実行する請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮像装置を制御するプログラムであって、前記撮像装置に
撮像画像を撮像部により一時的に撮像する段階と、
前記撮像部により一時的に撮像された参照画像に含まれる被写体の指定をユーザから受け付ける段階と、
前記参照画像内の複数の被写体の指定を受け付けた場合に、一度の撮像指示に対して、前記撮像部に、前記指定に含まれる前記複数の被写体のそれぞれに合焦した複数の撮像画像を取得する動作を実行させる段階と
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−222787(P2012−222787A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90133(P2011−90133)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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