説明

撮像装置のための、エッジを保護しながらノイズを低減する方法および装置

【課題】画像のエッジをぼやけさせることのない効率的な画像ノイズ除去の方法および装置を提供する。
【解決手段】最初に、画像のノイズ除去をしてスプリアスノイズを除去した後に、画像上で、各画素ごとにノイズ除去動作を行なう。このノイズ除去動作は、ターゲット画素の第1の値を得ることと、ターゲット画素を取り囲みかつターゲット画素と同じ色を有する近接画素ごとにそれぞれの第2の値を得ることと、それぞれの近接画素ごとに、第1及び第2の値の差を、画像中の画素信号を増幅するために与えられる利得の関数として設定された閾値と比較することと、上記比較の結果に基づいて、第1の値と、上記閾値以下の関連する差を有する近接画素からのすべての第2の値とから得られた平均値で、第1の値を置き換えることと、を含む。このように、まず最初に、ノイズ除去された値が画像中の各画素ごとに決定され、その後、上記ノイズ除去動作が、上記ノイズ除去された値を用いて各画素ごとに行なわれるよう、完全に再帰的に行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、固体撮像装置の分野に関し、より詳細には、固体撮像装置においてノイズを低減するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電荷結合素子(CCD)、CMOS撮像装置、などを含めて、固体撮像装置が、写真撮像分野に使用されている。固体撮像回路は、画素セルからなる焦点面アレイを含み、それらのセルのそれぞれは、フォトセンサーを含み、そのフォトセンサーは、光生成電荷を蓄積するためのドープト領域を有するフォトゲート、光導電体、または、フォトダイオードであってもよい。
【0003】
固体画像センサー、とりわけ、小さな画素寸法を備えたセンサーにとって最も厄介な問題の1つは、ノイズを低減することである。画質へのノイズの影響は、画素寸法が減少し続けるにつれて増加し、そして、画質に深刻な影響を与えることがある。具体的には、ノイズは、減少したダイナミックレンジのために、より小さい画素における画質に影響を与える。この問題を解決する方法の1つは、製造プロセスを改善することによるものであるが、そのような改善に関連する経費は大きい。したがって、技術者は、しばしば、ノイズを低減する別の方法に注目している。1つのそのような解決法は、画像処理中にノイズフィルターを使用する。エッジぼけを伴うことなく写真におけるノイズを低減する多くの複雑なノイズ低減アルゴリズムが、存在するが、それらのアルゴリズムは、膨大な計算資源を必要とし、シリコンオンチップ分野において実施することはできない。最も簡単なノイズ低減アルゴリズムは、画像のエッジをぼやけさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−086104号公報
【特許文献2】特開2005−318498号公報
【特許文献3】特開2003−179779号公報
【特許文献4】米国特許出願公開代2002/0126892号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像ノイズ除去に使用されてもよい2つの典型的な方法をここで簡単に説明する。第1の方法は、局所的平滑化フィルターを使用することを含み、このフィルターは、画像におけるノイズ成分を低減するために、局所的低域通過フィルターを使用することによって動作する。そのようなフィルターの典型的な例は、平均化フィルター、中央値フィルター、および、ガウスフィルターを含む。局所的平滑化フィルターに関連する1つの問題は、画像の一部である高周波成分とノイズによる高周波成分とをそれらのフィルターが区別しないことである。その結果として、これらのフィルターは、ノイズを除去するだけでなく、画像のエッジをぼやけさせる。
【0006】
ノイズ除去方法の第2のグループは、空間周波数領域において動作する。これらの方法は、典型的には、まず最初に、画像データを周波数空間に変換し(順方向変換)、そして、変換された画像をフィルタリングし、最終的に、画像を再び画像空間に変換する(逆方向変換)。そのようなフィルターの典型的な例は、DFTフィルターおよび波長変換フィルターを含む。しかしながら、これらのフィルターを画像ノイズ除去に使用することは、画像データを処理するのに必要な大量の計算によって妨げられる。さらに、ブロックアーティファクトおよび振動が、ノイズを低減するためにこれらのフィルターを使用した結果として発生することがある。さらに、これらのフィルターは、YUVカラー空間(Yは、輝度成分であり、UおよびVは、色差成分である)において最良に実施される。したがって、画像のエッジをぼやけさせることのない効率的な画像ノイズ除去の方法および装置が、必要とされ、かつ、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、様々な例としての実施形態において、撮像装置において画像ノイズ除去を可能にする方法および装置に関する。
本発明の例としての実施形態によれば、画像処理におけるノイズを低減するための方法およびそれを実施する装置において、上記方法は、まず最初に、画像のノイズ除去をしてスプリアスノイズを除去した後に、画像上でノイズ除去動作を行なうステップを含む。上記ノイズ除去動作は、画像中の各画素ごとに、以下のステップを含む。すなわち、ターゲット画素の第1の値を得るステップと、ターゲット画素を取り囲みかつターゲット画素と同じ色を有する近接画素ごとにそれぞれの第2の値を得るステップと、それぞれの近接画素ごとに、第1の値と第2の値との差を、規定されたしきい値(閾値)と比較するステップであって、この規定されたしきい値は、画像中の画素信号を増幅するために与えられるアナログまたはディジタルの利得の関数として設定される、ステップと、比較するステップの結果に基づいて、第1の値と、規定されたしきい値以下の関連する差を有する近接画素からのすべての第2の値とから得られた平均値で、第1の値を置き換えるステップとを含む。このように、まず最初に、ノイズ除去された値が画像中の各画素ごとに決定され、その後、上記の、得るステップ、比較するステップ、および置き換えるステップが、上記ノイズ除去された値を用いて各画素ごとに行なわれるよう、上記ノイズ除去動作が完全に再帰的に行なわれる。
【発明の効果】
【0008】
例としてのノイズフィルターは、ベイヤー、赤/緑/青(RGB)、シアン/マゼンタ/黄/黒(CMYK)、輝度/色差(YUV)におけるそれぞれの色に別々に適用されるか、または、その他のカラー空間に適用されてもよい。本発明は、ノイズ振幅しきい値(TH)を設定し、そのしきい値(TH)は、画像中の画素信号を増幅するために与えられるアナログ利得またはディジタル利得の関数である。ノイズ振幅しきい値(TH)よりも小さい振幅のばらつき(平均最大値と平均最小値との差)を有するノイズだけが、平均化され、低減される。したがって、しきい値よりも小さい信号を有するエッジだけが、平均化され、ぼやけることになる。本発明は、設定されたしきい値よりも小さい信号差を生成する中心ターゲット画素と同じ色のすべての近接画素と、その中心ターゲット画素を平均することによってその中心ターゲット画素を処理することで、これを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画素アレイとともに使用される一般的なマイクロレンズおよびカラーフィルターアレイの平面図である。
【図2A】本発明による画素アレイの赤画素または青画素に使用される画像補正カーネルを示す図である。
【図2B】本発明による画素アレイの緑画素に使用される補正カーネルを示す図である。
【図3】図2Aの補正カーネルをより詳細に示す図である。
【図4】本発明の例としての方法に基づいて画素ノイズを除去する方法のフローチャートである。
【図5】本発明の例としての実施形態に基づいて構成された撮像装置のブロック図である。
【図6】本発明の例としての実施形態に基づいて構成された少なくとも1つの撮像装置を含むプロセッサーシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明においては、添付図面が参照され、これらの図面は、本出願の一部を構成しかつ本発明が実施されてもよい具体的な実施形態を例として示すものである。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるほど十分に詳細に説明され、そして、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、その他の実施形態が使用されてもよいこと、および、構造的、論理的、および、電気的な変更がなされてもよいことを理解すべきである。説明される一連の処理ステップは、本発明の実施形態の例であるが、それらのステップの順序は、ここで説明される順序に限定されるものではなく、ある特定の順序で発生しなければならないステップを除けば、この分野において知られているように変更されてもよい。
【0011】
“画素”という用語は、ここで使用される場合、フォトセンサーデバイスと、光子を電気信号に変換する関連する構造体とを含むフォトエレメント単位セルを意味する。説明のために、小さな代表的な3色画素アレイが、図面に示され、かつ、ここで説明される。しかしながら、本発明は、単色撮像装置に適用されてもよく、さらには、アレイ内に存在する3つよりも少ない色成分または3つよりも多い色成分を感知するための撮像装置にも適用されてよい。したがって、以下の詳細な説明は、限定するような意味にとるべきではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0012】
図1は、1つの例としての一般的なカラーフィルターアレイを示し、このカラーフィルターアレイは、ベイヤーパターンとして配列され、入射する光を結像させるために画素アレイを覆う。画素は、単独に見れば、一般的には、入射光の1つの色を入射光の別の色と区別しないこと、および、その画素の出力信号は、受光した光の強度しか表現せず、いかなる色の識別もしないことを理解すべきである。しかしながら、カラーフィルター81が、特定の色に対応する特定の波長帯の光を画素80上に結像させるために、画素アレイとともに使用されるとき、画素80は、ここで説明される場合、色(すなわち、“赤色画素”、“青色画素”、など)で呼ばれる。したがって、“赤色画素”という用語がここで使用される場合、それは、赤色のカラーフィルターを通った光に関連しかつその光を受光する画素のことを言い、“青色画素”という用語がここで使用される場合、それは、青色のカラーフィルターを通った光に関連しかつその光を受光する画素のことを言い、また、“緑色画素”という用語がここで使用される場合、それは、緑色のカラーフィルターを通った光に関連しかつその光を受光する画素のことを言っている。
【0013】
図2Aおよび図2Bは、本発明による補正方法を施されてもよい特定されたターゲット画素32aおよび32bを有する画素アレイ100の一部分を示す。図2Aに示される画素アレイ100内に存在する特定されたターゲット画素32aは、赤色画素かまたは青色画素のどちらであってもよい。図2Bに示される画素アレイ100は、緑色画素である特定された画素32bを有する。本発明は、また、4つのカラーチャンネル、すなわち、赤色画素、青色画素、赤色行内に存在する緑色画素、および、青色行内に存在する緑色画素に適用される1つのカーネルを使用してもよい。
【0014】
説明される例においては、画素アレイ100はベイヤーパターンカラーフィルターアレイ82(図1)に対応していると仮定されるが、本発明は、その他のカラーフィルターパターンとともに使用されてもよい。カラーフィルター81は、特定の波長帯の入射光をその下にある画素80上に結像させる。ベイヤーパターンにおいては、図1に示されるように、画素アレイの行は、一行おきに、交互に現れる赤色(R)画素および緑色(G)画素からなり、その他の行は、交互に現れる緑色(G)画素および青色(B)画素からなる。
【0015】
本発明の例としての実施形態によれば、画素からノイズを除去するために、本発明は、特定されたターゲット画素32aおよび32bの最近接画素の信号値を使用する。特定されたターゲット画素32aおよび32bは、現在処理されている画素である。近接画素は、ここでは、一まとめにして、画像カーネルと呼ばれ、それぞれ、カーネル101aおよび101bとして図2Aおよび図2Bに示される。全部で8近接画素が、それぞれのカーネル101aおよび101bに含まれる。図示される補正カーネル101aおよび101bは、例として示されたものであり、その他の補正カーネルが、ベイヤーパターン以外のカラーフィルターパターンを使用する画素アレイのために選択されてもよいことに注意されたい。さらに、補正カーネルは、必要であれば、8近接画素よりも多いかまたは少ない画素を含んでもよい。
【0016】
図2Aおよび図2Bにおいて、例としての補正カーネル101aおよび101bは、点線で輪郭を描かれている。カーネル101aの場合、特定されたターゲット画素32aと同じ色を有する8個の画素(画素10、12、14、34、54、52、50、および、30)が、存在する。補正カーネル101aは16個の画素を含むことがわかるが、画素の中の半分は緑画素であり、そして、それらの緑画素の信号は、赤または青のターゲット画素32aからノイズを除去するのに使用することは考慮されないことに注意されたい。カーネル101aを構成する実際の画素が、図3により詳細に示される。また、カーネル101bは、特定された画素32bと同じ緑色を有する8個の画素(画素12、23、34、43、52、41、30、および、21)を含む。
【0017】
図4を参照して、ここで、本発明の例としての方法200が、説明される。この方法は、画像処理回路280(図5を参照して以下で説明される)によって実行されてもよい。それぞれの画素は画素において受光された光の量を表現する値を有することを理解すべきである。その値は、画素からの読み出し信号を表現するが、読み出しアナログ信号のディジタル化された表現である。これらの値は、以下の説明において、P(pixel)として表現され、ここで、“P”は、その値であり、“(pixel)”は、図2Aおよび図2Bに示される画素番号である。説明だけを目的として、方法200が、図2Aに示されるカーネル101aおよびターゲット画素32aに関して説明される。
【0018】
まず最初に、ステップ201において、処理されるターゲット画素32aが、特定され
る。次に、ステップ202において、ターゲット画素32aに関連するカーネル101aが、選択/特定される。関連するカーネル101aが選択された後、ステップ203において、中心(処理される)画素32aの値P(pixel)とカーネル101aにおけるそれぞれの近接画素10、12、14、30、34、50、52、54の値P(pixel)との差が、しきい値THと比較される。しきい値THは、例えば、電流利得設定からのノイズレベルを用いて、あるいは、その他の適切な方法を用いて、予め選択されてもよい。説明される例においては、ステップ203において、値P(pixel)がしきい値THよりも小さいかまたはしきい値THに等しい差を有する近接画素が、選択される。例示だけを目的として、ターゲット画素32aが、赤画素ならば、値は、赤の値であるはずである。
【0019】
次に、ステップ204において、ターゲット画素32aの周囲に存在するステップ203において選択されたそれぞれのカーネル画素ごとの値P(pixel)が、それに対応するターゲット画素32aの値に加算され、そして、平均値A(pixel)が、計算される。例えば、ターゲット画素32aの場合、8個すべての近接画素が、ステップ203において選択されたならば、平均値A32=(P10+P12+P14+P30+P32a+P34+P50+P52+P54)/9が、計算される。ステップ205において、計算された値A(pixel)が、これはこの例においてはA32であるが、元々のターゲット画素値P32aに取って代わる。
【0020】
ここで説明される方法は、画素信号が処理されるときに、そのそれぞれの画素信号に対して実行されてもよい。画素値からノイズが除去されるとき、以前にノイズを除去された画素の値が、別の画素値からノイズを除去するのに使用されてもよい。それによって、ここで説明される方法および以前にノイズが除去された画素の値が、別の画素からノイズを除去するのに使用されるとき、この方法および装置は、部分的に再帰的な形で実施される(画素は、以前にノイズを除去された画素からの値を用いてノイズを除去される)。しかしながら、本発明は、この実施形態に限定されることはなく、完全に再帰的な形で(画素は、ノイズを除去された別の画素からの値を用いてノイズを除去される)、または、非再帰的な形で(ノイズを除去された画素は、その後の画素からノイズを除去するのに使用されない)実施されてもよい。
【0021】
上述した方法200は、また、上述したように、ターゲット画素32bおよびそれに関連する画像補正カーネル101bに対して実施および実行されてもよい。例えば、ステップ202において、カーネル101bが、選択/特定される。関連するカーネル101bが、ターゲット画素32bのために選択された後、ステップ203において、ターゲット画素32bの周囲に存在するカーネル101bにおけるそれぞれの近接画素12、21、23、30、34、41、43、52の値とターゲット画素32bの値との差が、しきい値THと比較される。残りのステップ204および205が、カーネル101bに対応する画素に対して、上述したように実行される。
【0022】
上述した実施形態は、スプリアスノイズ(すなわち、6σよりも大きいノイズ)を除去するほど十分にノイズを除去しないかもしれない。したがって、本発明は、スプリアスノイズを除去するフィルターによって画像データが処理された後に実施されるとき、より良好に利用される。
【0023】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、方法を具体化するプログラムは、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、データ伝送、コンパクトディスク、などを含んでもよい担持媒体(carriermedium)上に記憶され、そして、関連するプロセッサーによって実行されてもよい。例えば、本発明は、既存のソフトウェアアプリケーションのためのプラグインとして実施されてもよく、あるいは、その既存のソフトウェアアプリケーション上で使用されてもよい。本発明は、ここで具体的に説明された担持媒体に限定されることはなく、また、本発明は、この分野において知られているどのような担持媒体を用いて実施されてもよい。
【0024】
図5は、例としてのCMOS画素アレイ240を有する例としての撮像装置300を示す。アレイ240の行ラインは、行アドレスデコーダー255に応答して、行ドライバ245によって選択的に駆動される。また、列ドライバ260および列アドレスデコーダー270が、撮像装置300に含まれる。撮像装置300は、タイミング&制御回路250によって動作させられ、そのタイミング&制御回路250は、アドレスデコーダー255および270を制御する。制御回路250は、また、行ドライバ回路245および列ドライバ回路260を制御する。
【0025】
列ドライバ260に結合されたサンプル&ホールド回路261が、アレイ240の選択された画素に対する画素リセット信号Vrstおよび画素画像信号Vsigを読み込む。差分信号(Vrst−Vsig)が、差動増幅器262によって画素ごとに生成され、アナログ−ディジタル変換器275(ADC)によってディジタル化される。アナログ−ディジタル変換器275は、ディジタル化された画素信号を画像プロセッサー280に供給し、その画像プロセッサー280は、ディジタル画像を形成してそれを出力してもよい。画像プロセッサー280は、画素アレイ240からのディジタル化された信号に対して方法200(図4)を実行することのできるプログラムを実行する。あるいは、処理が、増幅器262とADC275との間に配置されたハードワイヤード回路によって、画素アレイのアナログ出力に対してなされてもよい。
【0026】
例としてのノイズフィルターは、ベイヤー、赤/緑/青(RGB)、シアン/マゼンタ/黄/黒(CMYK)、輝度/色差(YUV)におけるそれぞれの色に別々に適用されるか、または、その他のカラー空間に適用されてもよい。本発明は、ノイズ振幅しきい値(TH)を設定し、そのしきい値(TH)は、元々の信号を増幅するのに適用されたかもしれないアナログ利得およびディジタル利得の関数であってもよい。ノイズ振幅しきい値(TH)よりも小さい振幅のばらつき(平均最大値と平均最小値との差)を有するノイズだけが、平均化され、低減される。したがって、しきい値よりも小さい信号を有するエッジだけが、平均化され、ぼやけることになる。本発明は、設定されたしきい値よりも小さいかまたはそのしきい値に等しい信号差を生成する中心ターゲット画素と同じ色のすべての近接画素とその中心ターゲット画素を平均することによってその中心ターゲット画素を処理することによって、これを実現する。
【0027】
図6は、本発明の撮像装置300(図5)を含むように変更された典型的なプロセッサーシステムであるシステム1100を示す。システム1100は、画像センサーデバイスを含んでもよいディジタル回路を有する典型的なシステムである。限定することなく、そのようなシステムは、コンピュータシステム、スチルカメラまたはビデオカメラシステム、スキャナー、マシンビジョン、テレビ電話、および、自動焦点システム、または、その他の撮像システムを含んでもよい。
【0028】
例えば、カメラシステムであるシステム1100は、一般的には、バス1104を介して入力/出力(I/O)装置1106と通信する、マイクロプロセッサーのような中央処理装置(CPU)1102を備える。また、撮像装置300は、バス1104を介して、CPU1102と通信する。プロセッサーに基づいたシステム1100は、また、ランダムアクセスメモリー(RAM)1110を含み、また、フラッシュメモリーのような取り外し可能メモリー1115を含んでもよく、それらのメモリーも、また、バス1104を介して、CPU1102と通信する。撮像装置300は、単一集積回路上に、または、プロセッサーとは別のチップ上に、メモリー記憶装置を備えてかまたは備えずに、CPU、ディジタル信号プロセッサー、または、マイクロプロセッサーのようなプロセッサーと組み合わせられてもよい。
【0029】
本発明が、この時点でわかる例としての実施形態に関して詳細に説明されたが、当然ながら、本発明は開示されたそのような実施形態に限定されないことが容易に理解できる。それどころか、本発明は、ここで説明されなかった多くの変種、変形、置換、または、等価な構成を取り込むように変更されてもよく、それらの変更は、本発明の趣旨および範囲に含まれる。例えば、本発明による方法は、説明されたベイヤーパターン以外のパターンにおける画素とともに使用されてもよく、補正カーネルは、それに応じてしかるべく調節される。さらに、本発明は、本発明が使用される撮像装置の種類に限定されることはない。このように、本発明は、これまでの説明によって限定されるものとして理解されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0030】
80 画素
81 カラーフィルター
82 カラーフィルターアレイ
100 画素アレイ
101a 補正カーネル
101b 補正カーネル
240 画素アレイ
245 行ドライバ
250 制御回路
255 行アドレスデコーダー
260 列ドライバ
261 サンプル&ホールド回路
262 差動増幅器
270 列アドレスデコーダー
275 アナログ−デジタル変換器
280 画像プロセッサー
300 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像中のノイズを低減する方法であって、
最初に、前記画像のノイズ除去をしてスプリアスノイズを除去した後に、前記画像上でノイズ除去動作を行なうステップを含み、
該ノイズ除去動作は、前記画像中の各画素ごとに、
ターゲット画素の第1の値を得るステップと、
前記ターゲット画素を取り囲みかつ前記ターゲット画素と同じ色を有する近接画素ごとにそれぞれの第2の値を得るステップと、
それぞれの前記近接画素ごとに、前記第1の値と前記第2の値との差を、規定された閾値と比較するステップであって、前記規定された閾値は、前記画像中の画素信号を増幅するために与えられるアナログまたはディジタルの利得の関数として設定される、ステップと、
前記比較するステップの結果に基づいて、前記第1の値と、前記規定された閾値以下の関連する差を有する前記近接画素からのすべての前記第2の値とから得られた平均値で、前記第1の値を置き換えるステップと、
を含み、
最初に、ノイズ除去された値が前記画像中の各画素ごとに決定され、その後、前記得るステップ、前記比較するステップ、および前記置き換えるステップが、前記ノイズ除去された値を用いて各画素ごとに行なわれるよう、前記ノイズ除去動作が完全に再帰的に行なわれる、方法。
【請求項2】
画像中のノイズを低減する方法であって、
特定されたターゲット画素を取り囲む一組の画素を選択するステップと、
前記組の中の同色の前記取り囲んだそれぞれの画素ごとに、前記ターゲット画素の値と前記同色の取り囲んだ画素の値とのそれぞれの差分値を計算するステップと、
前記組の中の前記同色の取り囲んだそれぞれの画素ごとに、前記それぞれの差分値が予め定められた閾値以内であるかを判定するステップであって、前記予め定められた閾値は、前記画像中の画素信号を増幅するために与えられるアナログまたはディジタルの利得の関数として設定される、ステップと、
前記ターゲット画素の値として平均値を代用するステップであって、前記平均値が、前記ターゲット画素の値と、前記予め定められた閾値以下のそれぞれの差分値を有する前記組のそれぞれの同色の取り囲んだ画素の値とを比較することによって得られる、ステップと、
を含み、
最初に、ノイズ除去された値が前記画像中の各画素ごとに決定され、その後、前記計算するステップ、前記判定するステップ、および前記代用するステップが、前記ノイズ除去された値を用いて各画素ごとに行なわれるよう、前記方法が完全に再帰的に行なわれる、方法。
【請求項3】
前記第1の値が、赤色画像信号値、緑色画像信号値、または、青色画像信号値の中の1つである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の値が、前記第1の値と同じ種類の、赤色信号値、緑色信号値、または、青色信号値である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の値が、輝度画像信号値または色差画像信号値の中の1つである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の値が、前記第1の値と同じ種類の、輝度値または色差値である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
撮像装置であって、
受光した光の量を表わす信号をそれぞれの画素が出力する複数の画素からなる画素アレイと、
少なくとも1つの特定された画素値からノイズを除去するための画素ノイズ除去回路と、
を備え、
前記画素ノイズ除去回路が、請求項1乃至6のいずれかの方法を実行するように構成される、撮像装置。
【請求項8】
関連するプログラムを有するプロセッサーであって、
前記プログラムが、前記プロセッサーに請求項1乃至6のいずれか1つの方法を実行させることによって、前記プロセッサーが画像からノイズを除去するのを可能にする、プロセッサー。
【請求項9】
画像からノイズを除去するようにプロセッサーに動作させるプログラムを格納した記録媒体であって、
前記プログラムが、請求項1乃至6のいずれか1つの方法を実行するように構成される、記録媒体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−90309(P2012−90309A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269065(P2011−269065)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【分割の表示】特願2008−544425(P2008−544425)の分割
【原出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(595168543)マイクロン テクノロジー, インク. (444)
【Fターム(参考)】