説明

撮像装置及びその制御方法、プログラム並びに記憶媒体

【課題】記録中の画像に影響を与えることなく、記録画像の色域とは別の色域に適合して処理された画像を任意のタイミングで切り換えて画像表示部に表示可能な技術の実現。
【解決手段】被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像データを複数の色域に適合させる処理を行うカメラ信号処理部と、前記カメラ信号処理部により処理された画像データから第1の色域に対応する画像データを選択する第1選択手段と、前記カメラ信号処理部により処理された画像データから第2の色域に対応する画像データを選択する第2選択手段と、前記第1選択手段により選択された画像データを記録する画像記録部と、前記第2選択手段により選択された画像データを表示する画像表示部と、前記画像記録部が画像データを記録している場合であっても、前記第1選択手段及び第2選択手段により前記画像記録部への記録画像の色域と前記画像表示部への表示画像の色域とを選択可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像を表示及び記録する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー画像に関するRGBの色域には複数の色域が定義されているが、近年の撮像装置においても、より広い色域に対応した製品が実用化されている。例えば静止画像を撮影するデジタルカメラなどの撮像装置ではこれまで主にsRGBと呼ばれる色域が用いられてきた。また撮影された静止画を表示するディスプレイにおいても、表示できる色域はsRGBのものが主流であった。しかしながら、最近ではsRGBよりも広い色域を有するAdobeRGBと呼ばれる色域に対応した画像処理を行うことが可能なデジタルカメラやディスプレイも多く製品化されている。
【0003】
一方、動画像を撮影するテレビジョンカメラに関してはこれまで放送用のITU−R BT.709(以下、BT.709)で定義されたsRGBと同等の色域が用いられてきた。しかしながら最近になって動画像に関しても動画用に拡張されたBT.709よりも広い色域が提案され、IEC(国際電気標準会議)から非特許文献1として国際標準規格となっている。
【0004】
この規格で定義された色域はxvYCC(動画用拡張色空間)色域と称され、この規格に対応する撮像装置や表示装置も開発されてきている。
【0005】
なお、xvYCC色域を用いた撮像装置、及び表示装置に関する提案として特許文献1がある。
【0006】
このようにテレビジョン用やコンピュータ用ディスプレイの表示装置に関しても、これまでのsRGB色域のみを表示可能なものからAdobeRGB色域やxvYCC色域も表示可能な表示装置が実用化されてきている。
【0007】
また、前述のように複数の異なる色域が定義される中、デジタルカメラに代表される撮像装置にはユーザが必要に応じて複数の色域からどれか1つの色域を選択して、画像データに対し選択された色域に適合する処理を行い記録できる製品も実用化されている。そのような撮像装置の従来技術として特許文献2及び3がある。
【0008】
従来の複数の色域が選択可能な撮像装置の構成を図14に示す。
【0009】
図14において、被写体からの光学像はレンズ1401を介してCCD1402に結像され光電変換される。
【0010】
CCD1402で光電変換された信号はカメラ信号処理部1403にて既知のガンマ処理、色マトリクス処理等が行われカメラ画像データとして出力される。
【0011】
カメラ信号処理部1403から出力されるカメラ画像データは画像記録部1404、及び画像確認用の画像表示部(ファインダ)1405に入力される。
【0012】
画像記録部1404ではカメラ画像データに対してJPEGやMPEG2等の画像圧縮処理が行われ、磁気テープやメモリカードなどの記録媒体1406に記録される。
【0013】
操作部1407は記録開始や停止、記録する色域の指定など撮像装置全体の各種操作を行う。
【0014】
1408は撮像装置全体を統括的に制御するシステムコントローラである。1409はシステムコントローラ1408の制御プログラムや複数の色域に対応したマトリクス係数などが保存されているメモリである。
【0015】
ここで、ユーザが記録する画像の色域を変更する動作について簡単に説明する。
【0016】
ユーザは、操作部1407を操作して複数の色域の中から記録したい色域を指定する。次にシステムコントローラ1408はメモリ1409から選択された色域に対応する色マトリクス係数を読み込み、カメラ信号処理部1403に出力する。
【0017】
カメラ信号処理部1403では入力された色マトリクス係数に応じて色マトリクス処理を行い、指定された色域に応じた画像データが生成される。
【0018】
その結果、画像記録部1404や画像表示部1405にはユーザから指定された色域にて処理されたカメラ画像データが出力される。
【0019】
また、画像を再生する場合、記録された画像の色域に応じて画像表示部1405に表示する場合の彩度を調整可能な構成のものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2006−033575号公報
【特許文献2】特開2004−096400号公報
【特許文献3】特開2005−292814号公報
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】IEC61966−2−4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上記特許文献2及び3では、例えば、ユーザが画像を記録中に画像表示部1405に複数の色域で処理された画像を切り換えて表示させたい場合、カメラ信号処理部1403で処理する色域を切り換える必要がある。
【0023】
しかしながら、画像を連続して記録している途中に、ユーザがカメラ信号処理部1403で処理する色域を変更する操作をすると、記録媒体1406に記録される画像データも連続した画像の途中で色域が切り替わり、シーンの途中で色味が変化してしまう。そのため、画像を記録中に記録画像とは異なる色域により処理された画像を画像表示部1405で視認したい場合は一旦記録動作を中止し、画像表示部1405で切り換えた色域による画像を視認後、再び画像を記録開始するという煩雑な作業となってしまう。
【0024】
このように、従来では画像を記録中に記録画像の色味に影響を与えることなく、画像表示部1405で記録中の画像とは異なる色域で処理された画像を視認することは困難である。
【0025】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、記録中の画像に影響を及ぼすことなく、記録画像の色域とは別の色域に適合して処理された画像を任意のタイミングで切り換えて表示できる技術を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像データを複数の色域に適合させる処理を行うカメラ信号処理部と、前記カメラ信号処理部により処理された画像データから第1の色域に対応する画像データを選択する第1選択手段と、前記カメラ信号処理部により処理された画像データから第2の色域に対応する画像データを選択する第2選択手段と、前記第1選択手段により選択された画像データを記録する画像記録部と、前記第2選択手段により選択された画像データを表示する画像表示部と、前記画像記録部が画像データを記録している場合であっても、前記第1選択手段及び第2選択手段により前記画像記録部への記録画像の色域と前記画像表示部への表示画像の色域とを選択可能とした。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、画像記録中であっても記録画像の色域を変更することなく、記録画像とは異なる色域の画像を画像表示部に表示することが可能となる。よって、記録画像の色味に影響を与えることなく画像表示部で複数の色域で処理した場合の画像を切り換えて表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る実施形態のビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】第1色域信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】BT.709及び撮像素子の色域を示す図である。
【図4】xvYCCのガンマ特性を示す図である。
【図5】輝度信号をデジタル値へ変換する関係を示す図である。
【図6】色差信号をデジタル値へ変換する関係を示す図である。
【図7】BT.709とxvYCCの信号のとり得る範囲を示す図である。
【図8】第2色域信号処理部の構成を示すブロック図である。
【図9】BT.709への色域圧縮を示す図である。
【図10】メモリ内のゲイン補正テーブル格納例を示す図である。
【図11】色域選択時のメニュー画面を示す図である。
【図12】色域情報の表示例を示す図である。
【図13】第2色域信号処理部の他の構成を示すブロック図である。
【図14】従来の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
尚、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0031】
図1は、本発明を適用できるビデオカメラの構成を示すブロック図である。
【0032】
なお、以下では、複数の色域に対応した処理を行うカメラ信号処理部について、説明の簡単化のため、処理する色域の種類を前述したxvYCCとBT.709との2種類として説明する。
【0033】
図1において、101はレンズ、102はCCDなどの撮像素子、103は2種類の色域に対応した処理を行うカメラ信号処理部である。
【0034】
104は画像表示部106に対して2種類の色域に対応して処理された画像信号のいずれかを選択する第1選択部である。
【0035】
105は画像記録部107に対して2種類の色域に対応して処理された画像信号のいずれかを選択する第2選択部である。
【0036】
106は画像を表示する画像表示部、107は画像データの記録に係る画像圧縮などの処理を行う画像記録部、108は画像データが記録される磁気テープや不揮発性メモリなどで構成される記憶媒体である。
【0037】
109はビデオカメラ全体を統括的に制御するシステムコントローラである。
【0038】
110はユーザによる操作を受け付ける操作部、111はシステムコントローラ109のプログラムや後述するゲイン補正テーブルなどを記憶するメモリである。
【0039】
次に、図1に示す各ブロックの動作について説明する。
【0040】
先ず、被写体からの光学像は101のレンズによりズームやフォーカス、絞りの調整が行われ、撮像素子102上に結像される。撮像素子102では被写体の光学像に応じたR,G,B信号が生成される。
【0041】
なお、本実施形態における撮像素子102はBT.709で定義されたR,G,Bの原色点よりも広い色域に対応する特性を持っているものとする。
【0042】
ここでBT.709の原色点と本実施形態の撮像素子の原色点について図3を参照して説明する。
【0043】
図3は一般的なxy色度図である。図中、301で示す三角形の内側の領域はBT.709で定義されたR,G,Bの原色点により構成される色域範囲である。
【0044】
302で示す三角形の内側の領域は、撮像素子102が持つR,G,Bの原色点により構成される色域範囲である。また、303の内側の範囲は人間が認識することができる可視光の全範囲である。
【0045】
本実施形態では、302に示すようにBT.709よりも広い色域に対応可能な撮像素子から出力されるR,G,B信号がカメラ信号処理部103に入力される。
【0046】
カメラ信号処理部103は、第1色域信号処理部103−1および第2色域信号処理部103−2により構成され、第1色域信号処理部103−1から出力される信号が第2色域信号処理部103−2に入力される。
【0047】
前述した撮像素子102から出力される信号は先ずカメラ信号処理部103内の第1色域信号処理部103−1に入力される。
【0048】
ここで第1色域信号処理部103−1の構成および動作について説明する。
【0049】
図2は第1色域信号処理部の構成を示すブロック図である。
【0050】
なお、本実施形態における第1信号処理部の処理方法はBT.709で定義されたR,G,Bの原色点よりも広い色域を持つ信号に関する処理方法であり、その詳細は前述した非特許文献1や特許文献1に記載されているので、ここでは処理の概要のみ説明する。
【0051】
図2において、201はリニアマトリクス処理部であり、撮像素子102から出力されるR,G,B信号に対して3×3のリニアマトリクス処理を行い、BT.709に基づくR_ex,G_ex,B_ex信号に変換する。
【0052】
このリニアマトリクス処理では、入力される撮像素子102のR,G,Bの原色点がBT.709で定義された原色点の近傍にある場合、出力されるR_ex,G_ex,B_ex信号は0から1の間で変化する。
【0053】
しかしながら、撮像素子の原色点が前述した図3の302で示すようにBT.709で定義された原色点よりも広い場合、出力されるR_ex,G_ex,B_ex信号は負、および1より大きな値となる場合がある。
【0054】
このようにリニアマトリクス処理されたR_ex,G_ex,B_ex信号は次に202のガンマ処理部202に入力される。ガンマ処理部202で行われるガンマ処理の入出力特性を図4に示す。
【0055】
前述したようにガンマ処理部202に入力されるR_ex,G_ex,B_ex信号は0以上、1以下のほかにも負、および1より大きな値となる場合がある。
【0056】
そのため、入力が0以上、1以下の場合にはBT.709で定義されたガンマ特性をとり、入力が負および1より大きな場合にはそれを拡張した特性となっている。
【0057】
図4に示す特性でガンマ処理されたR_ex_g,G_ex_g,B_ex_g信号はYCマトリクス処理部203に入力される。
【0058】
YCマトリクス処理部203では、下記式で示すようなBT.709で定義された3×3のマトリクス式によりR_ex_g,G_ex_g,B_ex_gを輝度信号Y_ex,および色差信号Cr_ex,Cb_exに変換する処理を行う。
【0059】
【数1】

【0060】
次に、上記式により得られた輝度信号Y_exに対して図5に示すように8ビットのデジタル値(0乃至255)との割り当てを行う。例えば上記式により得られたY_exの信号レベルが0の時は16のデジタル値に割り当てられ、信号レベルが1.0の時は235のデジタル値に割り当てられる。
【0061】
また色差信号Cr_ex,Cb_exの信号に関しては図6に示すように8ビットの値(0乃至255)との割り当てを行う。例えば上記式により得られたCr_exやCb_exの信号レベルが−0.5の時は16のデジタル値に割り当てられ、信号レベルが+0.5の時は240のデジタル値に割り当てる。
【0062】
これらのデジタル値に割り当てられた輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_ex信号のとり得る値の範囲を図7に示す。
【0063】
図中701の矩形で囲まれた領域が輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exのとり得る値の範囲となる。
【0064】
そして図中702の斜線で示した領域は、R_ex,G_ex,B_exが0以上、1以下である場合にとり得る範囲であり、前述したBT.709の色域に対応する。
【0065】
即ち、図7において702の領域より外の領域はR_ex,G_ex,B_exのいずれかが負、または1より大きい場合にとり得る領域である。
【0066】
第1色域信号処理部103−1により処理された輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exはカメラ信号処理部103の端子103aから出力され、第1選択部104の端子104aおよび第2選択部105の端子105aにそれぞれ入力される。
【0067】
一方、第1色域信号処理部103−1により処理された信号は同じくカメラ信号処理部103内にある第2色域信号処理部103−2に入力される。
【0068】
なお、本実施形態では第1色域信号処理部103−1で処理された輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exが第2色域信号処理部103−2に入力される例について説明する。
【0069】
第2色域信号処理部103−2は第1色域信号処理部103−1で処理された信号を第2の色域に対応させる処理を行うものであり、そのブロック構成を図8に示す。
【0070】
図8において、801は後述する3次元LUTのデータに従い、輝度、および色差信号のゲインを補正するYCゲイン補正部である。
【0071】
802は3次元の参照テーブル、所謂ルックアップテーブル(以下、LUT)であり、入力された輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exの3つの信号により構成される3次元信号に対応するゲイン補正データを有している。
【0072】
このような構成による第2色域信号処理部のゲイン補正動作の一例について図9を参照して説明する。
【0073】
図9は図7中の破線領域703で示した部分を拡大した図である。なお、本来は輝度と色差による3次元の補正であるが、ここでは説明を簡略化するために図9に示す2次元の図を用いて説明する。
【0074】
例えば、輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exが図9のP901、P902、P903のような値とする。この場合、LUTのゲイン補正データを参照して各々をP901’、P902’、P903’に変換して領域702の内側に入れ込む補正処理を行う。
【0075】
即ち、このようなゲイン補正処理を行うことにより図7において702の領域より外に存在した信号は全て領域702の内側に圧縮されるようになり、全ての信号がBT.709の色域内に圧縮される。
【0076】
なお、このようにゲイン補正により特定の色域に圧縮する方法は必ずしも図9で示したような補正パターンでなくても良い。例えば、色域圧縮の手法はとしては圧縮前後の色差を最小にして色域圧縮する手法、輝度を保持して色域圧縮する手法、色相を保持して色域圧縮する手法など様々な方法が知られている。
【0077】
また、図10(a)の1001〜1003に示すようにメモリ111内に複数の色域圧縮法に対応するゲイン補正LUTを記録させておき、どの種類の色域圧縮法を使うかをユーザが選択できる構成にしてもよい。その場合、ユーザが選択した種類のゲイン補正LUTをメモリ111から図8の802で示す3次元LUT内に読み込ませるようにしておけばよい。
【0078】
第2色域信号処理部103−2によりBT.709の色域内に変換された輝度信号Y_709および色差信号Cr_709,Cb_709はカメラ信号処理部103の端子103bから出力される。そして、第1選択部104の端子104bおよび第2選択部105の端子105bにそれぞれ入力される。
【0079】
次に、上記2つの色域により処理された信号が入力される第1選択部104及び第2選択部105の動作について説明する。
【0080】
図11(a),(b)は画像表示部と画像記録部の色域を選択するメニュー画面を例示している。
【0081】
図中、1101は画像表示部106に表示する画像の色域を選択する部分であり、1102は記録する画像の色域を選択する部分である。また、これらは各々独自に選択状態を変更できるようになっている。
【0082】
図11(a)の例では画像表示部106にはxvYCCの色域で表示することが選択され、記録画像はBT.709の色域で記録することが選択されている状態を示している。
【0083】
また、図11(b)の例では画像表示部106にはBT.709の色域で表示することが選択され、記録画像はxvYCCの色域で記録することが選択されている状態を示している。
【0084】
ここで図11(a)のように設定された場合、システムコントローラ109は第1選択部104に対し端子104aの信号を選択するように制御信号を出力し、第2選択部104に対し端子105ab信号を選択するように制御信号を出力する。
【0085】
その結果、画像表示部106にはxvYCCの色域により処理された表示画像が表示され、画像記録部107にはBT.709の色域により処理された記録画像が出力される。
【0086】
また、操作部110が図11(b)のように設定されていた場合、システムコントローラ109は第1選択部104に対し端子104bの信号を選択するように制御信号を出力し、第2選択部104に対し端子105a信号を選択するように制御信号を出力する。
【0087】
その結果、画像表示部106にはBT.709の色域により処理された表示画像が表示され、画像記録部107にはxvYCCの色域により処理された記録画像が出力される。
【0088】
このようにカメラ信号処理部103において複数の色域に適合して処理された複数の画像信号に対して、画像表示部106と画像記録部107のそれぞれが画像を選択する第1又は第2選択部104,105を有し、各選択部が独自に画像信号を選択可能である。
【0089】
即ち、ビデオカメラが動画像を記録中の場合であっても、第2選択部105の選択状態は保持したまま、第1選択部104のみを切り換えて画像表示部106にxvYCCの色域やBT.709の色域によって処理された画像を任意に切り換えて表示できる。
【0090】
そのため、画像記録中であっても、記録画像に影響を与えることなく画像表示部106に複数の色域で処理された画像を切り換えて表示し視認することが可能となる。
【0091】
図12は本実施形態の画像表示部による表示例を示しており、1201で示すように画像記録部107(REC)と画像表示部106(EVF)とが選択している画像の色域情報を表示してユーザが視認できるような構成にしても良い。
【0092】
また、画像表示部106をカメラ信号処理部103が処理可能な複数の色域のうち、最も広い色域の原色点(色度点)を表示可能なものとすることにより、色域を切り換えた場合の色味の変化をより認識しやすくすることができる。
【0093】
また、記録画像と画像表示部106に表示している画像の色域が異なる状態で画像記録を開始した場合には、所定の期間、図12の色域情報1201を点滅させるなどしてユーザに警告させても良い。
【0094】
更には第2色域信号処理部103−2の処理する色域をBT.709に限らずとも第1の色域より狭い他の複数の色域に圧縮可能な構成としても良い。
【0095】
即ち、図10(b)の1021〜1023に示すようにメモリ111内に色域BT.709以外にもxvYCCよりも狭い他の複数の色域(例えばAdobeRGB等)に対応するゲイン補正LUTを格納しておく。そして、いずれの種類の色域へ圧縮するかをユーザが選択できる構成にしてもよい。
【0096】
なお、本実施形態では第1色域信号処理部103−1で処理された輝度信号Y_exおよび色差信号Cr_ex,Cb_exが第2色域信号処理部103−2に入力される例について説明したが、第2色域信号処理部103−2での処理方法はこれに限られない。例えば、図13に示すように第1色域信号処理部103−1でガンマ処理されたRGB信号を入力して色域圧縮する構成にしても良い。その場合、図13の3次元LUT1302には各RGBを補正するゲイン補正値を保持する構成にしておけば良い。
【0097】
また、カメラ信号処理部103に2つの色域信号処理部103−1,2を設けた例を説明したが、3つ以上の色域信号処理部を設けてもよい。この場合、それぞれの色域信号処理部で処理された画像信号を画像表示部106と画像記録部107とが独立して任意に選択可能な構成であればよい。
【0098】
また、処理する色域はxvYCCとBT.709に限らずともAdobeRGB、WideGamutRGB、ITU−R BT.601など他の色域でも良いことは言うまでもない。
【0099】
[他の実施形態]
また、本発明は各信号処理部をハードウェアにより実施した場合でも、コンピューターを用いたソフトウェア処理にて実施した場合でも適用することができ、同様な効果を得ることが可能である。この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現する。そして、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段(例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体)は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記憶媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0100】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけではない。即ち、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS或いは他のアプリケーションソフト等の共同して上述の実施の形態で示した機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0101】
更に、供給されたプログラムコードをコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納させる。その後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により得られた画像データに対して複数の色域に応じた処理を行う信号処理部と、
前記信号処理部により処理された画像データを記録する画像記録部と、
前記信号処理部により処理された画像データを表示する画像表示部と、
前記複数の色域から、前記画像記録部に記録する画像データの色域を選択する第1選択手段と、
前記複数の色域から、前記画像表示部に表示する画像データの色域を選択する第2選択手段と、を有し、
前記画像記録部に記録中の画像データの色域にかかわらず、前記第2選択手段により前記画像表示部に表示する画像データの色域を選択可能としたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−165474(P2012−165474A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−128457(P2012−128457)
【出願日】平成24年6月5日(2012.6.5)
【分割の表示】特願2007−320064(P2007−320064)の分割
【原出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】