説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】ステッピングモータで絞りを駆動する撮像装置において、絞り位置の保持に要する電力量を抑制しつつ、良好な動画露出制御を行うこと。
【解決手段】動画露出制御において、判定手段は絞り駆動の発生の有無を判定する(S204,S211)。ステッピングモータの制御手段は、第1動作モードにてロータとステータの磁極が対向していない場合、対向する位置までロータを駆動し(S216)、コイルの電流を遮断する(S215)。ステッピングモータの制御手段は、第2動作モードにて絞り駆動が発生しない場合、モータのロータとステータの磁極が対向した状態で、コイルの電流を遮断する(S206)。両動作モードにてモータへの保持電流を断つことにより、省電力化を実現できる。また、撮影レンズユニットの種類に応じて、絞り駆動方法及び露出制御のプログラム線図(S203,S210)を切り替えることで、良好な動画露出制御を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞りの駆動及び位置制御に関し、特に動画露出の応答性を加味しながら省電力化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、交換レンズが取り外し可能な、いわゆるデジタル一眼レフカメラでは、静止画撮影前のプレビュー画像を筐体背面等に設置したTFTモニタ等に表示するライブビュー機能や、動画撮影が可能な製品が知られている。従来、静止画撮影が主目的であったため、交換レンズのフォーカス駆動や絞り駆動等においては、高速な応答性と高い位置精度が求められてきた。そのため、絞り駆動用のアクチュエータとして、駆動特性や制御性に優れたステッピングモータを用いる傾向がある。ステッピングモータの駆動方法には、1相励磁駆動、2相励磁駆動、1−2相励磁駆動等の駆動方式があり、それぞれ用途に応じて使い分けがなされる。
ステッピングモータを絞りのアクチュエータとして用い、絞りを停止させたままその位置に保持しておくには、その停止位置における励磁相のコイルに保持電流を流し続ける必要がある。保持電流自体は駆動時の電流に比べれば小さい値でよい。しかしこれは直流電流であり、この状態が長時間続けば、絞りを駆動していないにも関わらず、電力が消費され、発熱を伴う。このことは特に電池を電源とする場合に問題となる。
【0003】
1相励磁駆動では、停止状態においてステッピングモータの電流を遮断しても、ロータとステータの磁極がそれぞれ対向しているため、その停止位置がロータのマグネツトの磁力によって保持される。しかし1ステップの回転歩進角度が大きいため、絞りのように高精度の位置決めを要する場合には不向きである。
2相励磁駆動では、2つの相の中間でロータが停止するため、その停止位置を安定に保つには、停止状態においてもコイルに最低限の保持電流を流し続ける必要がある。よってその消費電力及び発熱が問題となる。
1−2相励磁駆動では、1相励磁駆動と2相励磁駆動を組み合わせることで1ステップの回転歩進角度が各駆動方式の場合の半分となり、詳細な制御が可能である。1相停止位置においては、電流を遮断してもその停止位置を保持できるが、2相停止位置では保持電流が必要となる。この保持電流については、ロータの停止位置を保持可能な限界値まで低減したとしても、電池電源による使用を考えた場合、無視できない。
【0004】
以上のように、いずれの駆動方式を用いても、満足の行く駆動制御を実現できないという問題があった。特に動画撮影等では、絞りによる露出制御を行う場合、精密な絞りの制御性と停止位置の保持が必要となる。
上記の問題を解決するため、特許文献1に開示されたフォーカスレンズの駆動方法が知られている。この方法では、被写界深度等によって、停止位置を厳密に管理する必要がないときに、ステッピングモータが2相の停止位置でも、その深度の範囲内で1ステップ回転させて1相の位置に停止させる。被写界深度内の場合、1相励磁位相の位置へとロータが1ステップ回転してから通電が遮断され、保持電流がゼロになる。また被写界深度外の場合は電流制限が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−77648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の方法を動画の露出制御における絞り制御方法に適用した場合、制御性や消費電力に問題がある。例えば絞りの制御性の劣る撮影レンズユニットがカメラ本体に装着されると、ロータを1相励磁位相の位置へ送る動作により、ちらつき等の問題が発生してしまう。また、動画撮影等のように長時間の撮影が予想される場合、電流制限をかけたとしても消費される電力量が問題となる。このため、保持電流をゼロにして絞り位置を保持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明に係る装置は、レンズ群及び絞りを有するレンズ部と、複数のコイルの励磁によって前記絞りを駆動するステッピングモータと、該ステッピングモータを制御する制御手段を備えた撮像装置であって、絞り値、撮像素子の電荷蓄積時間又はゲインを変更することにより、動画撮影時の露出を制御する露出制御手段と、前記複数のコイルに供給する電流を遮断した際に前記絞りの位置変化量が所定量以上であるか否かを判定する判定手段と、を備える。
前記制御手段は、前記レンズ部の種類に応じて前記ステッピングモータの駆動に係る動作モードを切り替え、前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持されない位相を使用する第1動作モードでは、前記露出制御手段の出力及び前記判定手段の判定結果に基づいて前記絞りの停止位置を制御し、また前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持される位相のみを使用する第2動作モードでは、前記露出制御手段の出力に基づいて絞り制御を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステッピングモータで絞り駆動を行う撮像装置において、レンズ部の種類に応じて動作モードを切り替えることで、絞り位置の保持に要する電力量を抑制しつつ、良好な動画露出制御を行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図2乃至10と併せて本発明の一実施形態を説明するために、撮像装置の一例を示す構成図である。
【図2】絞り駆動制御の回路構成図である。
【図3】絞り制御回路の駆動モードを例示した図である。
【図4】絞り制御回路のマイクロステップ駆動の説明図である。
【図5】絞り制御回路の動作モードの説明図である。
【図6】各駆動方式の説明図である。
【図7】動画撮影時の処理例を示すフローチャートである。
【図8】露出制御の流れを例示したフローチャートである。
【図9】動画撮影時の露出応答を示す説明図である。
【図10】動画撮影時の露出制御例を説明するプログラム線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は実施形態に係る撮像装置として、一眼レフタイプのデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。カメラ本体100には、撮影レンズユニット200が不図示のマウント機構を介し着脱可能に取り付けられる。マウント部の電気的な接点群210はカメラ本体100と撮影レンズユニット200との間で制御信号、状態信号、データ信号等を送受し合う。そして接点群210は、電源電圧を含む各種電圧の供給機能と、撮影レンズユニット200からシステムコントローラ120への送信機能も備えている。これによりカメラ本体100と撮影レンズユニット200との間で通信し、撮影レンズユニット200内の撮影レンズ201(図には単レンズで示すが、複数のレンズ群を含む)、絞り202の駆動が可能となる。なお、接点群210については電気通信に限らず、光通信、音声通信等による信号を伝送可能に構成してもよい。接点群210とシステムコントローラ120によって、レンズ検出手段が構成される。
【0011】
被写体の撮影光束は、撮影レンズ201及び絞り202を含むレンズ部を介して、図の矢印方向に回動可能なクイックリターンミラー102に導かれる。クイックリターンミラー102は、その中央部がハーフミラーになっており、図示の位置に降下した際に一部の光が透過し、この光はクイックリターンミラー102に付設のサブミラー103により反射されてAFセンサユニット104に到達する。位相差検出方式のAFセンサユニット104は、図示しない結像面近傍に配置されたフィールドレンズ、反射ミラー、2次結像レンズ、絞り、及び複数のCCDから成るラインセンサ等で構成される。そして、システムコントローラ120からの制御信号に基づいて焦点検出回路105はAFセンサユニット104を制御し、周知の位相差検出方式により焦点検出を行う。なお、AFセンサユニット104と焦点検出回路105が焦点検出手段を構成している。
【0012】
一方、クイックリターンミラー102で反射した光は、ペンタプリズム101、接眼レンズ106を介して撮影者の眼に到達する。接眼レンズ106の近傍には、図示しない測光センサが配置されており、被写体の輝度の測定結果を示すセンサ出力が測光回路107を経てシステムコントローラ120へ送られる。測光センサ、測光回路107、システムコントローラ120が測光手段を構成している。
クイックリターンミラー102が上昇して撮影光軸から退避した際に、撮影レンズ201からの光束は、フォーカルプレーンシャッタ108、フィルタ109を介して、CMOS等のイメージセンサを用いた撮像素子112に到達する。
【0013】
フォーカルプレーンシャッタ108は先幕及び後幕を有し、撮影レンズ201からの光束の透過及び遮断を制御する。フィルタ109は赤外線をカットして可視光線のみを撮像素子112へ導く機能と、光学ローパスフィルタとしての機能を有する。なお、クイックリターンミラー102の上昇時にサブミラー103は折り畳まれるようになっている。
カメラ本体100は、カメラ全体の制御手段として、CPU等の演算処理装置を用いて構成されるシステムコントローラ120を備え、各部の動作を制御する。システムコントローラ120は、撮影レンズユニット200の光学系制御部207に制御指令を送信し、レンズ制御回路204を介してレンズ駆動機構203を制御し、また絞り制御回路206を介して絞り駆動機構205を制御する。光学系制御部207はCPU等を用いて構成され、絞り制御回路206とともに、絞り駆動用のステッピングモータの制御手段を構成する。
【0014】
レンズ駆動機構203は図示しないフォーカスレンズを光軸方向に移動させてピント合わせを行う。また絞り駆動機構205はステッピングモータを駆動源として絞り202を駆動する。システムコントローラ120はシャッタチャージ・ミラー駆動機構110を制御して、クイックリターンミラー102の駆動制御を行い、フォーカルプレーンシャッタ108のシャッタチャージを制御する。システムコントローラ120には、フォーカルプレーンシャッタ108の先幕、後幕の走行を制御するためのシャッタ制御回路111が接続されている。フォーカルプレーンシャッタ108の先幕、後幕は、駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。
【0015】
システムコントローラ120に接続されたEEPROM122は、カメラ制御上で調整が必要なパラメータや、カメラ自体を特定するための識別用のカメラID情報、基準レンズで調整されたオートフォーカス補正データや自動露出補正データ等を記憶している。
光学系制御部207は図示しないレンズ情報記憶装置を備え、これにはレンズ固有の情報、例えば焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り当てられたレンズID情報や、システムコントローラ120から受け取った情報が記憶されている。システムコントローラ120は、光学系制御部207を介してレンズ駆動機構203を制御し、被写体像を撮像素子112上に結像させる。また、設定された絞り値に相当するAv値に基づいて絞り駆動機構205が制御され、更に、設定されたシャッタ速度に相当するTv値に基づいて、シャッタ制御回路111への制御信号をシステムコントローラ120が出力し、露出制御を行う。
【0016】
システムコントローラ120に接続された画像データコントローラ115は、DSP(デジタル信号プロセッサ)により構成され、撮像素子112の制御や、撮像素子112から入力された画像データの補正や加工等を担当する。なおシステムコントローラ120と画像データコントローラ115は測光機能を有する。画像データコントローラ115により画像信号を領域分割し、各領域でのベイヤ画素毎の積分値をシステムコントローラ120が評価することで測光処理が行われる。
【0017】
タイミングパルス発生回路114は画像データコントローラ115に接続され、撮像素子112に駆動用パルス信号を出力する。A/Dコンバータ113は、タイミングパルス発生回路114が生成したタイミングパルスを受けて、撮像素子112から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換して画像データコントローラ115に送出する。得られたデジタル画像データはDRAM121によって一時記憶される。DRAM121は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するために使用される。
画像圧縮回路119には、記録媒体401を含む記録部が接続されている。画像圧縮回路119は、DRAM121に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG)を行い、変換後の画像データを記録媒体401へ記録させる。記録媒体401としては、磁気式記録媒体や半導体メモリ等が使用される。
【0018】
デジタル画像データをアナログ信号に変換するD/Aコンバータ116は、エンコーダ回路117を介して画像表示回路118に接続されている。画像表示回路118は、撮像素子112で撮像された画像データを表示するためにカラー液晶表示素子等で構成される。画像データコントローラ115は、DRAM121上の画像データを、D/Aコンバータ116によりアナログ信号に変換してエンコーダ回路117へ出力する。エンコーダ回路117はD/Aコンバータ116の出力を、画像表示回路118の駆動に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。
さらにシステムコントローラ120と画像データコントローラ115は焦点検出機能を有する。画像データコントローラ115は、補正した画像データに対し、所定の周波数特性を持つフィルタを通し、ガンマ処理後に得られる画像信号の所定方向のコントラストを評価する。その結果をシステムコントローラ120が受け取ると、光学系制御部207と通信を行い、コントラスト評価値が所定レベルよりも高くなるように焦点位置が調節される。
【0019】
システムコントローラ120に接続された動作表示回路123は、カメラの動作モードの情報や露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)を外部液晶表示装置124や内部液晶表示装置125に表示させる。通信インターフェース回路126は外部機器との間で通信を行う。
システムコントローラ120に撮影者の操作指示を与えるための操作手段は、例えば以下に示す通りである。
・撮影モード選択ボタン(130):ユーザが所望の動作をカメラに実行させるべくモードを設定するためのボタン。
・メイン電子ダイヤル(131)と決定SW(132)。
・焦点状態検出点選択ボタン(133):AFセンサユニット104が持つ複数の焦点検出位置から、使用する焦点検出位置を選択するためのボタン。
・AFモード選択ボタン(134)と測光モード選択ボタン(135)。
・レリーズSW1(136):測光や焦点検出等の撮影準備動作を開始させるためのスイッチ。
・レリーズSW2(137):撮像動作を開始させるためのスイッチ。
・ファインダモード選択SW138:接眼レンズ106を通過する光を確認可能な光学ファインダモードと、撮像素子112で受光した像を画像表示回路118によって表示部に逐次表示させるライブビュー表示モードとを切り替えるためのスイッチ。
この他、カメラ本体100には、電源制御回路及び該回路によって制御される電源部等が設けられるが、それらは既知として図示及び説明を省略する。
【0020】
ストロボ装置300は図示しないマウント機構を介してカメラ本体100に対して着脱可能に取り付けられる。マウント部に設けられた電気的な接点群310はカメラ本体100とストロボ装置300との間で制御信号、状態信号、データ信号等を送受し合う。発光タイミングの制御用端子や、システムコントローラ120との通信用端子が設けられている。ストロボ装置300は、キセノン(Xe)管301、反射笠302を備える。発光制御回路303はXe管301の発光を制御するIGBT等で構成される。充電回路304は、Xe管301への給電用に300V程度の電圧を発生させる。電源305には充電回路304等に給電する電池が使用される。ストロボ制御部306はストロボの発光、充電等を制御するとともに、カメラ側のシステムコントローラ120と通信する。
【0021】
次に、図2を用いて、絞り制御回路206を詳説する。
絞り制御回路206は絞り駆動機構205のステッピングモータの駆動制御を行う。BLK−Aはステッピングモータ1相分の駆動部であり、BLK−Bも駆動部BLK−Aと同じ回路構成の駆動部である。デコーダ216は、光学系制御部207からの制御信号に応じて駆動部BLK−A及びBLK−Bへの駆動制御信号を生成する。デコーダ216の出力信号はNOT(論理否定)回路221、NOR(否定論理和)回路223、後述のNPNトランジスタ227に送られる。NOT回路211の出力信号は、NOR回路222と、後述のNPNトランジスタ226に送られる。
【0022】
高段のPNPトランジスタ224,225及び低段のNPNトランジスタ226,227は、いわゆるHブリッジを構成する。NOR回路222の出力信号がPNPトランジスタ224のベースに入力され、NOR回路223の出力信号がPNPトランジスタ225のベースに入力される。PNPトランジスタ224,225のエミッタ同士が接続されて所定の電源電圧が供給される。またNPNトランジスタ226,227のエミッタ同士が接続され、抵抗229を介して接地されている。抵抗229は、ステッピングモータの駆動電流の検出に用いる。
コンパレータ228は、そのプラス入力端子が抵抗229の非接地側の端子に接続され、マイナス入力端子が基準電圧発生回路220に接続されている。コンパレータ228の出力信号はNOR回路222,223に入力される。基準電圧発生回路220は、デコーダ216の出力VA0〜VA3(又はVB0〜VB3)に応じて、図4に示す基準電圧を発生する。なお、図4はVA0〜VA3の論理値に応じた電圧VOUTを、所定電圧に対する百分率にて表形式で例示している。
【0023】
次に、ステッピングモータの構成を詳細に説明する。A相ステータ251にて、A相コイル252がA相ヨークに巻かれている。A相コイル252の一端はPNPトランジスタ224及びNPNトランジスタ226のコレクタに接続されており、他端がPNPトランジスタ225及びNPNトランジスタ227のコレクタに接続されている。
B相ステータ253では、B相コイル254がB相ヨークに巻かれている。なお図示は省略するが、B相コイル254についても、前記の説明と同様にBLK−Bの各トランジスタのコレクタに接続されている。
ロータ250は各ステータの突部に対向して配置され、N極とS極に着磁されている(図には2極のみを示す)。
【0024】
次に、絞り制御回路206の各端子を説明する。各記号の意味は以下の通りである。
CK:ステッピングモータの駆動周波数の信号が入力されるクロック入力端子。
DIR:ステッピングモータの回転方向を指定するための入力端子。
EN:ステッピングモータの駆動及び停止を指定するための入力端子。
M0,M1:ステッピングモータの駆動モードを指定するための入力端子。
H/L:ステッピングモータの駆動電流を指定するための入力端子。
以上の各端子への入力信号は、図1の光学系制御部207より供給される。その他の記号の意味は以下の通りである。
SG:シグナルグランド端子。
VDD:制御回路用電源入力端子。
VM:モータ駆動電源入力端子。
MA,/MA:ステッピングモータのA相の接続端子。
MB,/MB:ステッピングモータのB相の接続端子。
PG:モータ系のグランド端子。
【0025】
図3は、入力端子M0,M1に入力された信号に対するステッピングモータの駆動モードを示す。M0=0,M1=0の場合、SLEEPモードが設定され、絞り制御回路206自体が低消費電力モードになる。M0=0,M1=1の場合、1相励磁駆動が設定され、M0=1,M1=0の場合、1−2相励磁駆動が設定される。M0=1,M1=1の場合、マイクロステップ駆動が設定される。なお各駆動方式については後で詳述する。
【0026】
図4は絞り制御回路206の基準電圧発生回路220の出力電圧を説明する図である。VA3〜VA0はデコーダ216の出力信号であり、この出力信号VA3〜VA0の信号に応じて基準電圧発生回路220がVOUT(基準電圧)を発生させる。該基準電圧はコンパレータ228のマイナス入力端子に入力される。コンパレータ228は、抵抗229に流れるステッピングモータの電流に応じて発生する電圧を基準電圧と比較する。抵抗229による検出電圧が基準値よりも高い場合、すなわちステッピングモータに流れる電流が大きい時にはコンパレータ228の出力がHi(ハイ)レベルとなる。NOR回路222及び223の出力信号によりトランジスタ224及び225がオフになり、ステッピングモータのA相コイル252に流れる電流は遮断される。その結果、抵抗229に流れる電流もゼロに遮断され、コンパレータ228の出力信号はLo(ロー)レベルとなる。NOR回路222及び223の出力信号によりトランジスタ224及び225がオンとなる。この繰り返しで、ステッピングモータのA相コイル252に流れる電流は基準電圧発生回路220の出力電圧に応じてほぼ一定に制御される。また、図4のVA3信号はデコーダ216のH/L入力端子につながっている。したがって、H/L端子の入力信号に応じてステッピングモータの駆動電流をフルレンジ(0乃至100%)とハーフレンジ(0乃至50%)に切り換えることができる。また、図4に示す基準電圧生成の動作は図2の駆動部BLK−BにおいてもVB0〜VB3によって同様に行われる。
【0027】
次に、ステッピングモータの駆動制御について、図5及び図6を用いて説明する。
図5において、CLKは図2に示したクロック入力端子CKに入力する基準クロック信号を示す。また、ΦA及びΦBはステッピングモータのコイル252及び254にそれぞれ流れる電流波形を示し、複数の横線は図4の基準電圧発生回路220の電圧に対応した電流レベルを表す。
ステッピングモータの駆動方法について説明すると、一般的には図5の(a),(b),(c)に示すように、1相励磁、2相励磁、1−2相励磁のいずれかの駆動方式に分類される。また、図5(d)は、1−2相励磁駆動において、コイル252及び254に流れる電流を段階的に制御することによりモータの1ステップをより細かく制御するマイクロステップ駆動の電流制御を示している。
図5の波形は、コイル252及び254に流れる電流の位相関係を示している。実際には騒音や振動等を除去するため、図5の励磁波形のように単純な矩形波ではなく、立ち上がり縁及び立ち下がり縁に傾斜をつけた台形波や、正弦波状に立ち上げ、又は立ち下げる波形の場合もあるが、位相関係は基本的に変わらない。
【0028】
図6はそれぞれの駆動方法によって、ステッピングモータのロータ250を回転したときの様子を示す。ここで用いたステッピングモータは、A−Abar相とB−Bbar相の2つのコイルを有し、各コイルから発生する磁場が図6に示される位置に誘導される。なお図にはAbar相、Bbar相については、A、Bの記号の上に「−」を付して示している。
1相励磁駆動の場合には、図6(a)に示すように、ロータの磁極がステータの磁極と必ず対向するように移動する。即ち、図6の黒点を付したロータの磁極に着目すると、図6(a)の(1)に示す状態では、A相に対して、黒点で示すロータのS極が対向している。図6(a)の(2)に示す状態になると、B相がN極となるので、黒点を付して示すロータの磁極がB相に対向する位置へ移動する。つまり、本例ではステータの1回の磁極の変化に伴い、22.5゜の回転を得ることが出来る。
1相励磁駆動では1ステップの回転歩進角度が大きいため、絞りのように高精度の位置決めを要するものには不向きである。しかし、ロータの磁極がステータの磁極と必ず対向しているため、絞り位置を保持する上で都合がよい。これは、仮にモータが停止しているときに保持電流を流さなくても、永久磁石であるロータが金属のステータとある程度引き合い、ロータが回転しないように防止できるからである。
【0029】
2相励磁駆動の場合には、図5(b)に示す電流を各相のコイルに供給することで、ロータ250の回転は、図6(b)に示すようになる。ロータはステータの隣り合う磁極同士の中間に対向するように移動する。1回の磁極の変化により22.5゜の角度でロータが回転することについては1相励磁駆動の場合と同じであるが、常時2つの励磁相のコイルに通電しているので、より強い駆動トルクと駆動速度を得ることが可能である。
2相励磁駆動の場合、ロータの磁極は必ずステータの隣り合った2つの磁極の中間位置に対向して停止する。停止状態でステータコイルへの電流を遮断すると、ロータが左右どちらかのステータと対向するように、1/2ステップ分の角度をもって移動してしまうことが予測される。この半ステップ分の角変位は、ステータの磁極の組み立て誤差や停止位置のわずかな偏り等に起因する。即ち2相励磁駆動の場合、停止状態であってもコイルには励磁が必要であり、ロータの停止位置を保持する磁場を確保するに足る最低限の電流を停止中も供給するために通電しなければならない。保持電流の大きさは、1コイル当たり、数十から数百mAとなり、発熱も相当なものである。
【0030】
図5(c)に示すように、1−2相励磁駆動の場合には、1相励磁と2相励磁を交互に繰り返している。よって、図6(c)の(1)に示すように、ステータの磁極と対向する位置からロータの回転が始まると、次の磁極の変化では、図6(c)の(2)に示すように、ステータの磁極と磁極の間にロータが移動する。その次の磁極の変化では、図6(c)の(3)に示すように、隣の磁極に対向するようにロータが移動する。そのため、1回のステータの磁極の変化で得られる回転量は1相励磁及び2相励磁の場合の1/2に相当する11.25゜となり、より細かくロータの回転位置を制御できる。しかし、ロータの停止位置を保持する場合、上記と同様の理由により、停止位置が1相励磁位相であれば電流を遮断してもよいが、2相励磁位相の場合は保持電流が必要となる。
【0031】
マイクロステップ駆動の場合には、図5(c)の1−2相励磁に対し、図5(d)に示すようにA相コイル252とB相コイル254に流れる電流を段階的に制御することで、より細かくロータの回転位置を制御することが可能である。そのため、絞りを高精度で滑らかに、しかも静かに駆動することが可能であり、動画撮影時の絞り制御等に向いている。マイクロステップ駆動では、1−2相励磁駆動と同様にロータの停止位置が1相励磁位相であれば電流を遮断しても、停止位置を保持可能である。しかし、2相励磁位相を含むそれ以外の停止位置では、その状態を保持するために電流を流す必要があるので、電流を遮断できない。
なお、以上の説明は、絞り制御回路206、絞り駆動機構205、及び、ステッピングモータの駆動に関する詳細な説明であるが、レンズ制御回路204についても同様に構成されているので、同様の制御が可能である。
【0032】
次に、本発明に係る実施形態の動作例について、図7乃至10を用いて詳細に説明する。なお本動作はシステムコントローラ120により解釈及び実行されるプログラムに従って行われる。
図7は、動画撮影動作を説明するフローチャートである。S101でカメラの電源が投入されると、システムコントローラ120にプログラムがロードされ、カメラ動作に必要な初期化処理、及び各制御パラメータの初期化が行われる。このときカメラ本体100に撮影レンズユニット200が装着されている場合、光学系制御部207からレンズのID(識別情報)と各種レンズ情報がカメラ本体100のシステムコントローラ120に通知される。このレンズ情報には、絞り駆動がマイクロスッテプ駆動に対応しているか否かを判定するためのフラグ情報が含まれ、後述するように、動作モードの切替に使用される。
【0033】
初期化処理の終了後、S102では動画記録の開始が判定される。ユーザの操作指示により動画記録の開始指令がカメラに通知されると、クイックリターンミラー102、及びサブミラー103が退避し、撮影レンズ201を通過した光束が撮像素子112に到達する。そしてS103に進む。動画記録の開始の判定が下されない間は、S102の処理が繰り返される。
S103では動画記録動作が開始する。撮像素子112から連続的に取得して読み出した画像信号は、カメラの筐体背面等に設置された液晶ディスプレイ等の表示部にて逐次に表示され、記録媒体401に画像データが記録される。
ここで、動画記録時の動作に関し説明する。撮像素子112の露光動作が行われた後、撮像素子112内の各画素の蓄積電荷が画像信号として読み出される。この読み出し動作は、制御パルス垂直同期信号VD、及び水平同期信号HDに同期して行われる。VD信号は、撮像の1フレームを表す信号である。例えば1/30秒ごとにシステムコントローラ120からのコマンドを受けて、タイミングパルス発生回路114が撮像素子112へ信号を送る。また、HD信号は、撮像素子112の水平同期信号である。1フレームの期間に水平ラインのライン数に応じた数のパルスが所定間隔で送出され、水平ラインの制御が行われる。また、HD信号に同期して、設定された電荷蓄積時間となるように水平ライン毎に画素リセットが行われる。VD信号やHD信号により、蓄積読み出しが実行されると、VD信号の送出タイミングに従って、次フレームの蓄積動作が開始される。また、読み出された画像信号は、画像データコントローラ115へ転送され、欠陥画素補正等の処理が行われ、画像処理を経てカメラ背面等に設置した表示部の画像表示回路118へ送られる。また、動画記録に関しては、同様にして読み出した信号に画像処理が施された後、記録媒体401へ送られて画像データが逐次に記録される。なお、これらは公知の技術であり、よってそれ以上の詳細な説明は省略する。
【0034】
S104では、S103で読み出された信号に基づき測光動作が行われる。測光に際し、画像データコントローラ115は、画像信号を領域分割し、それぞれの領域でベイヤ画素毎に積分した値をシステムコントローラ120に供給する。システムコントローラ120は、得られた積分信号を評価して測光処理を行う。次のS105では、S104で求めた測光値、及びレンズ情報に基づいて、動画の自動露出制御が行われる。
【0035】
図8を用いて、動画記録中の自動露出制御例について説明する。本実施形態では、レンズ部の種類に応じて、絞り駆動用のステッピングモータを駆動する動作モードを切り替えている。
先ずS201では、前記S104で求めた測光値(Bv値)に基づき、動画露出が所定の輝度レベルとなるようにカメラの制御Bv値が算出される。ここでBv値とは、下式[数1]で与えられる輝度を表す指標値であり、その指標値が表す明るさの被写体が適正な露出レベルとなるTv,Av,Svの組み合わせによって一意に決まる値である。Tvはシャッタ速度に相当し、Avは絞り値に相当し、Svは感度に相当する。また、制御Bv値については、カメラを制御するTv、Av、Svの組み合わせによって求まる設定値とする。
【0036】
【数1】

【0037】
一般的に動画の露出では、ちらつきやハンチング等、連続するフレーム間の露出変化が問題とされ、露出については、ゆっくりと滑らかにある程度の時定数をもって応答することが望ましい。図9はBv値の時間的変化に対する制御Bv値の時間的変化を例示したグラフを示す。動画記録中に被写体の明るさが変化した場合、例えば、図9に示すような測光値(Bv値)と制御値(制御Bv値)の応答が期待される。本例では、被写体の輝度値がBv3から立ち上がり、時刻t0でBv6へと変化したとき、カメラの制御Bv値は時刻t0からt1にかけて、ゆっくりと滑らかに変化し、時刻t1で適正な露出レベル(Bv6)に到達する。また被写体の輝度値がBv6から降下して、時刻t2でBv4へと変化したときも、同様にカメラの制御Bv値は、時刻t2の直前からt3にかけて、ゆっくりと滑らかに変化して適正な露出レベル(Bv4)に到達する。このような変化については、所定の応答関数によって制御Bv値を求めることで実現される。
【0038】
図8のS202では、図7のS101で取得したレンズ情報に基づき、カメラ本体100に装着されている撮影レンズユニット200が、マイクロステップ駆動での絞り駆動(以下、マイクロステップ絞り駆動という)に対応しているか否かが判定される。マイクロステップ絞り駆動に対応していない撮影レンズユニットの場合、ステップ203に進み、マイクロステップ絞り駆動に対応している撮影レンズユニットの場合にはS210に進む。
【0039】
カメラ本体100に装着した撮影レンズユニット200が、マイクロステップ絞り駆動に対応しているか否かによって、露出制御の動作モードがそれぞれ選択される。つまり、カメラ本体100に装着した撮影レンズユニット200がマイクロステップ駆動に対応した絞り駆動機構を有する場合、第1動作モード(静音駆動モード)に切り替えられる。第1動作モードでは複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持されない位相を使用する。また、カメラ本体100に装着した撮影レンズユニット200がマイクロステップ駆動に対応した絞り駆動機構を有していない場合、第2動作モードに切り替えられる。第2動作モードでは、複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持される位相のみを使用する。この動作モードの切り替えにより、絞りの駆動特性に応じて最適なプログラム線図がそれぞれ選択される。すなわち、第1動作モードでは、所定の輝度範囲において、電荷蓄積時間を固定し絞り値を変化させて露出制御を行う第1プログラム線図が選択される(図10(b)参照)。また第2動作モードでは、所定の輝度範囲において、絞りを固定し電荷蓄積時間を変化させて露出制御を行う第2プログラム線図(図10(a)参照)が選択される。これにより、絞りの制御性が良好でない撮影レンズユニットであっても、絞り駆動回数を少なくすることで、絞り動作に起因する露出のちらつき等を抑制できる。また、各動作モードに応じて、最適な絞りの電流制御を切り替えることが可能になる。
【0040】
S203では、前記第2プログラム線図に従って露出制御値が決定される。図10(a)は、マイクロステップ絞り駆動に対応していない撮影レンズユニット用のプログラム線図を例示しており、これにより、カメラを制御する、電荷蓄積時間、絞り値、及びゲインの値が決定される。第2プログラム線図の特徴としては、絞りの設定値(Av)が離散的(図中のF2.8,F8,F22参照)に選択され、細かい露出値は、電荷蓄積時間(Tv)、及びゲイン(Sv)を変更することで設定される。ここで、実際に選択される絞りの設定値は、絞り駆動用のステッピングモータの1相励磁駆動の停止位置となるように丸められた値になるものとする。また、絞りの設定値については、±3段分のヒステリシス(点線部参照)を有しており、一度絞り駆動が発生するとヒステリシスの範囲内での輝度変化においては、絞り駆動が発生しないようになる。つまり、絞りの制御性が良好でないレンズであっても、絞り駆動回数を減らすことで、露出のちらつき等を抑制する効果が得られる。これに対して、絞り駆動が発生した際には、ちらつきや急激な深度変化、また、絞り駆動音が動画に記録されてしまう。
【0041】
S204では、現在、カメラで制御している絞り値とS203で求めた絞りの設定値とが比較され、絞り駆動が発生するか否かをシステムコントローラ120が判定する。絞り駆動の発生の有無についての判定は、絞りの位置変化量、つまり現時点の絞り値と設定値との差を所定量(予め設定された基準値)と比較することで行われる。判定結果として絞りの位置変化量が所定量以上であって絞り駆動が発生する場合、S205に進むが、判定結果として絞りの位置変化量が所定量未満であって絞り駆動が発生しない場合、S206に進む。
S205では、システムコントローラ120から光学系制御部207に対し、S203で求めた絞り値となるように絞り駆動要求が行われる。その際、ステッピングモータの駆動方式としては、上記で説明した1相励磁駆動が選択され、ステッピングモータのロータとステータの磁極は常に対向する位置で停止される。
【0042】
S206では、絞り駆動が発生しないため、システムコントローラ120から光学系制御部207に対し、絞り保持電流の遮断命令が送られ、ステッピングモータへの電流が遮断され、保持電流がゼロになる。このときの絞りの停止位置については前記S205での駆動制御により、常にロータとステータの磁極が対向する位置でステッピングモータが停止している。よって、永久磁石であるロータとステータは、電流を遮断してもある程度引き合うため、絞りの停止位置がずれないように回避できる。
S205、S206の後、S207に進む。ここではS203で求めた電荷蓄積時間、及びゲインが得られるように、タイミングパルス発生回路114、A/Dコンバータ113、画像データコントローラ115が設定され、動画の露出制御が行われ、上記した一連の処理が終了する。
【0043】
一方、S202でマイクロステップ絞り駆動に対応した撮影レンズユニット200がカメラ本体100に装着された場合、S210に移行する。
S210では、前記第1プログラム線図に従って露出制御値が決定される。図10(b)は、マイクロステップ駆動に対応した撮影レンズユニット用のプログラム線図を例示し、これにより、カメラを制御する、電荷蓄積時間、絞り、及びゲイン値が決定される。第1プログラム線図の特徴としては、所定の輝度範囲内(図中のEv10からEv16参照)において、電荷蓄積時間、及びゲインの設定が固定されており、絞り値の変更によって露出が制御される。また、このとき絞りはマイクロステップ駆動により駆動されるため、記録される動画の露出のちらつき、急激な深度変化、記録時の絞り駆動音等が抑制される。一方、上述したようにマイクロステップ駆動では、ロータがステータの隣り合う磁極の中間位置に停止する可能性があるため、この状態でステッピングモータの通電を断つとロータが安定する位置まで回転してしまう。
【0044】
S211では、現在、カメラで制御している絞り値とS210で求めた絞りの設定値とが比較され、絞り駆動が発生するか否かについて判定が行われる。その際、現在の絞りの位置と、演算で求めた絞り設定値との差が所定の範囲内であれば、絞り駆動を要しないと判断することができる。これは、後述するステッピングモータへの電流を遮断した状態と再起動をかける状態が頻繁に発生するハンチング現象が起こり、円滑な絞り駆動が行えなくなることを抑制するためである。また、上記の所定の範囲内の露出誤差を、電荷蓄積時間、又はゲインの設定により補正することで、適正な露出レベルが得られるように補正してもよい。S211にて絞り駆動が発生する場合、S212に進み、絞り駆動が発生しない場合、S213に進む。
【0045】
S212では、システムコントローラ120から光学系制御部207に対し、S210で求めた絞り値となるように絞り駆動要求が行われる。その際、ステッピングモータの駆動方式として、マイクロステップ駆動が選択される。そしてS207に進む。
S213では、撮影レンズユニット200からステータス情報を得て、ステッピングモータへの通電の如何をシステムコントローラ120が判定する。ステッピングモータの電流が遮断されている場合、S207へ進み、通電状態の場合、S214へ進む。
【0046】
S214では、システムコントローラ120が撮影レンズユニット200からステータス情報を得て、ステッピングモータのロータの停止位相を把握する。ロータの停止位相が安定位相、すなわち、ロータとステータの磁極が対向していると判定された場合、S215へ進む。ここで、撮影レンズユニット200に対して制御指令が送られ、ステッピングモータへの電流が遮断され、保持電流がゼロとなる。一方、ロータの停止位相が不安定位相の場合、すなわち、ロータがステータとステータの中間に位置すると判定された場合、S216へ移行する。
S216では、上記不安定位相から最もロータの回転角が少ない安定位相になるように、システムコントローラ120から光学系制御部207に対してマイクロステップ駆動が要求される。この処理により、動画の露出が安定し、絞りの駆動が発生しない場合には、ステッピングモータのロータの位置は安定位相へと誘導される。そしてS215、S207へと進む。
【0047】
再び図7に戻って説明を続ける。S106にて、不図示の操作ボタンにより動画記録終了が通知されると、システムコントローラ120は、動画記録撮影を終了させ、退避していたクイックリターンミラー102、及びサブミラー103を戻してから処理を終了する。また、動画記録撮影の終了が通知されない場合、S103に戻って、動画記録撮影を続行する。
本実施形態では、1相励磁駆動の場合にステッピングモータの通電を断ってもロータが回転しない位相としたが、これ限らず、2相励磁駆動の際に通電を断ってもロータが回転しない位相とした構成にしてもよい。
以上に述べた通り、本実施形態では、カメラ本体に装着された撮影レンズユニットに応じて、ステッピングモータの制御方法、及び通電制御方法を切り替える。これにより、良好な動画の露出制御を実現できると共に、各動作モードに従って最適な電流制御が可能となり、撮像装置の省電力化を実現できる。
【符号の説明】
【0048】
100 カメラ本体
110 シャッタチャージ・ミラー駆動機構
111 シャッタ制御回路
112 撮像素子
114 タイミングパルス発生回路
120 システムコントローラ
200 撮影レンズユニット
201 撮影レンズ
202 絞り
205 絞り駆動機構
206 絞り制御回路
207 光学系制御部
210 接点群
250 ロータ
252,254 コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ群及び絞りを有するレンズ部と、複数のコイルの励磁によって前記絞りを駆動するステッピングモータと、該ステッピングモータを制御する制御手段を備えた撮像装置であって、
絞り値、撮像素子の電荷蓄積時間又はゲインを変更することにより、動画撮影時の露出を制御する露出制御手段と、
前記複数のコイルに供給する電流を遮断した際に前記絞りの位置変化量が所定量以上であるか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記レンズ部の種類に応じて前記ステッピングモータの駆動に係る動作モードを切り替え、前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持されない位相を使用する第1動作モードでは、前記露出制御手段の出力及び前記判定手段の判定結果に基づいて前記絞りの停止位置を制御し、また前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持される位相のみを使用する第2動作モードでは、前記露出制御手段の出力に基づいて絞り制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記露出制御手段は、前記判定手段によって前記絞りの位置変化量が所定量未満であると判定された場合、絞りの位置を変更せず、前記電荷蓄積時間又はゲインを変更して露出補正を行うことを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記絞りの位置変化量が所定量以上であると判定された場合、絞りの位置を変更することを特徴とする、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記露出制御手段は、前記第1動作モードにて、電荷蓄積時間を固定して絞り値を変化させる露出制御を含む第1プログラム線図を選択し、また前記第2動作モードにて、絞り値を固定して電荷蓄積時間を変化させる露出制御を含む第2プログラム線図を選択することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1動作モードにて前記ステッピングモータのマイクロステップ駆動を行い、前記第2動作モードにて前記ステッピングモータの1相励磁駆動を行うことを特徴とする、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記露出制御手段は、前記レンズ部が前記マイクロステップ駆動に対応した絞り駆動機構を有すると判定した場合、前記第1動作モードにて前記第1プログラム線図を選択し、前記レンズ部が前記マイクロステップ駆動に対応した絞り駆動機構を有していないと判定した場合、前記第2動作モードにて前記第2プログラム線図を選択することを特徴とする、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1動作モードにて、前記判定手段により前記絞りの位置変化量が所定量未満であると判定された場合、前記ステッピングモータの停止位置を制御した後、前記複数のコイルへの電流を遮断し、また前記第2動作モードにて、前記判定手段により、前記絞りの位置変化量が所定量未満であると判定された場合、前記複数のコイルへの電流を遮断することを特徴とする、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
レンズ群及び絞りを有するレンズ部と、複数のコイルの励磁によって前記絞りを駆動するステッピングモータと、該ステッピングモータを制御する制御手段を備えた撮像装置の制御方法であって、
絞り値、撮像素子の電荷蓄積時間又はゲインを変更することにより、動画撮影時の露出を制御する露出制御ステップと、
前記複数のコイルに供給する電流を遮断した際に前記絞りの位置変化量が所定量以上であるか否かを判定する判定ステップと、
前記レンズ部の種類に応じて前記ステッピングモータの駆動に係る動作モードを切り替え、前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持されない位相を使用する第1動作モードでは、前記露出制御ステップでの設定値及び前記判定ステップでの判定結果に基づいて前記絞りの停止位置を制御し、また前記複数のコイルへの電流を遮断した際にロータの位置が保持される位相のみを使用する第2動作モードでは、前記露出制御ステップでの設定値に基づいて絞り制御を行うステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−77643(P2011−77643A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224547(P2009−224547)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】