説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】 電子ズームを連続的に行っている時に読み出し方法を切り換えた場合にも、切り換え時に違和感の無い画像を表示できるようにする。
【解決手段】 撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、指示された電子ズームのズーム倍率が予め決められたズーム倍率以上の場合には撮像素子の第1の領域から第1の解像度で画像信号を読み出す第1の読み出し方法で、小さい場合には撮像素子の第1の領域よりも広い第2の領域から第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像信号を読み出す第2の読み出し方法で、切り換えて撮像素子から画像信号をフレーム毎に読み出し、ズーム倍率の変化に応じて読み出し方法を切り換える際に、切り換える直前の画像信号を記憶手段に記憶し、読み出し方法を切り換えてから予め決められたフレーム数の間は記憶した画像信号を、それ以外のフレームでは読み出した画像信号を、指示されたズーム倍率の画像となるように変換して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関し、電子ズーム機能を有する撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラなどの撮像装置において、イメージセンサなどの一部の画像領域から得られる画像を拡大処理して表示や記録を行う電子ズームは、一般的な機能となっている。図8(a)は、電子ズームを連続的に行った場合の画像の一例を示す図であり、ズーム倍率が大きくなるにつれて、フレームaからhに示すように、人物が拡大されていく様子を示している。電子ズームは、ズームレンズが無くても拡大画像を得ることができたり、ズームレンズのズーム倍率以上の拡大画像を得ることができるといった利点がある一方、ズーム倍率が大きくなるにつれて、拡大処理された画像の画質の劣化が大きくなるという問題がある。
【0003】
一方、こうした撮像装置に使用される撮像素子の画素数は年々増加しており、近年では、1000万画素を超えるものまである。このような撮像装置で、画像を所定周期で更新して液晶モニタに映し出す電子ビューファインダ(EVF)や、動画記録を行う場合、EVFや動画記録用の画素数の画像を得るために、画素を加算したり間引きしたりしている。
【0004】
そこで、特許文献1では、EVFや動画記録時に、ズーム倍率が比較的低い時には加算もしくは間引きを行って撮像素子から画像を読み出し、ズーム倍率が比較的高い時には加算も間引きも行わずに画像を読み出すことが開示されている。これにより、電子ズームによる画質の低下ができるだけ発生しないようにしている。
【0005】
一方、特許文献2では、電子ズームと光学ズームとが重複する部分を予め用意しておき、変化にヒステリシスがあるように制御を行うことで、画質の急激な変化が起きる頻度を下げるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−078081号公報
【特許文献2】特開2002−314868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、加算もしくは間引きを行う読み出しと、加算も間引きも行わない読み出しとを切り換える際に、急激に画質が変化するという問題が発生する。
【0008】
更に、一部のイメージセンサでは、特許文献1で示したような読み出しの切り換えを行った場合に、センサが自動補正等を行い、数フレーム正常な画像信号が出力されないという現象が発生する。図8(b)は、このような現象を示した一例であり、フレームaからdはズーム倍率が低く、加算もしくは間引き読み出しを行ったフレームを表しており、フレームg及びhは、加算も間引きも行わずに読み出しを行ったフレームを表している。そして、フレームe及びfは、読み出しの切り換えを行った場合に異常画像が出力される様子を示している。
【0009】
この様なセンサでは、図8(c)で示すように、異常画像が出力される直前の正常画像を記憶しておき、この画像で異常画像を置き換える事で異常画像が出力されないように処理を行っている。しかしながら、電子ズームの連続的な動作中に、異常画像を直前の正常画像でそのまま置き換えてしまうと、出力された画像に違和感が生じてしまう。図8(c)に示す例では、フレームe及びfにおいて、図8(b)に示すような異常画像の代わりにフレームdの画像が出力されている。この場合、本来であれば、徐々に画角が狭くなり、人物が拡大されていかなければならないところ、同じ画角で同じ大きさの人物が繰り返し表示されるため、フレームfからgに変わるときに、人物の大きさが急激に変わってしまい、違和感を与えてしまう。
【0010】
また、特許文献2において電子ズームと光学ズームとの切り換えに対してヒステリシスを設けたように、読み出しの切り換え時にヒステリシスを設けた場合、画質の急激な変化が発生する頻度を低減することはできるが、発生を防ぐことはできない。
【0011】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、電子ズームを連続的に行っている時に読み出し方法を切り換えた場合にも、切り換え時に違和感の無い画像を表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、入射した光学像を画像信号に変換する撮像素子と、電子ズームのズーム倍率を指示する指示手段と、前記指示手段により指示されたズーム倍率が予め決められたズーム倍率以上の場合には第1の読み出し方法で、前記指示手段により指示されたズーム倍率が前記予め決められたズーム倍率よりも小さい場合には第2の読み出し方法で、切り換えて前記撮像素子から画像信号をフレーム毎に読み出す読み出し手段と、前記ズーム倍率の変化に応じて前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換える際に、切り換える直前の画像信号を記憶する記憶手段と、前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換えてから予め決められたフレーム数の間は前記記憶手段に記憶された画像信号を、それ以外のフレームでは前記読み出し手段により読み出した画像信号を、前記指示手段により指示されたズーム倍率の画像となるように変換して出力する信号処理手段とを有し、前記第1の読み出し方法では、前記撮像素子の予め決められた第1の領域から第1の解像度で画像信号を読み出し、前記第2の読み出し方法では、前記撮像素子の前記第1の領域よりも広い予め決められた第2の領域から前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像信号を読み出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子ズームを連続的に行っている時に読み出し方法を切り換えた場合にも、切り換え時に違和感の無い画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】電子ズーム時の操作スイッチの一例を示す図。
【図3】1/3読み出しと独立読み出しとの画質の違いを示す図。
【図4】(a)は本実施形態におけるテレ方向に電子ズーム中の画像を説明する図、(b)は本実施形態におけるワイド方向に電子ズーム中の画像を説明する図。
【図5】(a)は本実施形態における通常動作時のデータの流れ、(b)は本実施形態における読出しが切り換わった直後のデータの流れを示す図。
【図6】従来の電子ズームのズーム倍率と画質の変化の一例を示す図。
【図7】本実施形態における電子ズームのズーム倍率と画質の変化の一例を示す図。
【図8】従来の電子ズームの問題点を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本形態において例示される構成部品の寸法、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明がそれらの例示に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の一例として、デジタル一眼レフカメラの概略構成を示すブロック図であり、100がカメラ本体、200が交換式のレンズユニットを示している。また、101は全体制御・演算部であり、各種の演算処理を行い、カメラ本体100とレンズユニット200の全体を統括的に制御する。
【0017】
レンズユニット200において、202は被写体の光学像を撮像素子106に結像させる、通常は複数のレンズから成る撮像レンズ、203は撮像レンズ202の焦点が合うように駆動するレンズ駆動部である。204は被写体からの反射光がレンズを通る光量を制御する絞り機構で、205は絞り機構204を駆動する絞り駆動部である。レンズユニット200とカメラ本体100との間は、取り外して交換することが可能で、接続時には、制御信号、状態信号、データ信号などを通信する機能も備えている。なお、接続時の通信では、カメラ本体100の全体制御・演算部101とレンズ制御部201が送信/受信の管理を行っている。
【0018】
また、カメラ本体100において、102はレンズユニット200を介して入射した光学像を、ファインダー使用時には不図示のファインダーに導き、撮影時は跳ね上がって、撮像素子106へと導く、クイックリターン(QR)ミラーである。103はQRミラーを駆動するミラー駆動部である。104はいわゆる一眼レフカメラに使用されるフォーカルプレーン型の先幕/後幕に相当するシャッタ幕を有するシャッタであり、レンズユニット200を介して入射した光学像の露光時間の制御と遮光を行う。105はシャッタ104の駆動を行うシャッタ駆動部である。
【0019】
106は撮像レンズ202により結像された被写体の光学像を画像信号として取り込むための、例えば、CMOSセンサなどのX−Yアドレス型の撮像素子である。本実施形態では、各画素から画像信号をそれぞれ独立に読み出す方法(以下、「独立読み出し」と呼ぶ。)と、各画素の画像信号を縦と横それぞれ1/3に加算もしくは間引きして読み出す方法(以下、「1/3読み出し」と呼ぶ。)のいずれかにより駆動できる。なお、独立読み出しと1/3読み出しの詳しい駆動方法は後述する。
【0020】
107は撮像素子106から出力される画像信号の増幅処理や、アナログからデジタルへの変換を行うA/D変換処理、A/D変換後の画像データに対するキズ補正等の各種の補正処理、或いは、画像データを圧縮する圧縮処理等を行う撮像信号処理部である。108は撮像素子106と撮像信号処理部107に対して各種のタイミング信号を出力するタイミング発生部である。
【0021】
109は撮像信号処理部107により処理された画像データ等を一時的に記憶し、また各種の調整値や全体制御・演算部101による各種の制御を実行させるためのプログラムなどを恒久的に記憶するためのメモリ部である。110は記録媒体111に対する画像データ等の記録処理又は記録媒体111から画像データ等の読み出し処理を行うための記録媒体制御インターフェース(I/F)部である。111は画像データ等の各種のデータを記録する半導体メモリ等からなる着脱可能な記録媒体である。
【0022】
112は撮影した静止画像や動画像等を表示する表示部113を駆動する表示駆動部である。114はSWインターフェースであり、SW115の入力を検知して全体制御・演算部101へ電子ズームのSW115の操作状態を送る。SW115は、図2に示すようなズーム操作を指示するためのワイド(Wide)スイッチ及びテレ(Tele)スイッチを含み、ユーザはこれらのスイッチを操作することで、電子ズームにより撮影画角を変える指示をすることができる。なお、ズーム操作を指示するためのスイッチの形状はこれに限られるものではなく、例えば、スライド式のスイッチやシーソー型のスイッチなど、ズーム方向を指示できるようなものであれば、どのような形状であっても構わない。また、レンズユニット200がズームレンズ及びズームリングを有する場合、ズームリングを利用することも可能である。
【0023】
ここで、本実施形態における「独立読み出し」(第1の読み出し方法)と「1/3読み出し」(第2の読み出し方法)とについて説明する。最初に、1/3読み出しについて説明する。
【0024】
上述したように、現在、一般的なデジタル一眼レフカメラで用いられている撮像素子106の画素数は非常に多く、撮像素子の全画素もしくは広範囲(第2の領域)を動画に対応したフレームレートで読み出すことができない。そこで、EVFや動画撮影時には、撮像素子から読み出す画素数を、フレーム毎に、例えば、縦を1/3に間引き、横を1/3になるように加算するなどして(第2の解像度)、動画のフレームレートに対応できる画素数に減らして画像を荒くしている。ただし、電子ズームの倍率が低い場合には、画像の荒さは問題となるレベルではない。図3(a)は、1/3読み出しで得られる画像の概念を示す図である。
【0025】
また、一般的に加算を行った画像と間引きを行った画像とを比較した場合、加算を行った方がモワレや偽色が発生しにくくなり画質は良くなる。しかし、間引きに比べ加算を行う回路の方が複雑になるため、読み出す画素数を減らす場合、加算と間引き両方の方法が存在している。本実施形態では、加算の方法と間引きの方法、どちらの方法でも用いることが可能である。
【0026】
次に、独立読み出しについて説明する。1/3読み出しで読み出している場合、電子ズームの倍率が低い場合には、この様な読み出しでも問題が無いが、電子ズームの倍率が高くなってくると、画像の荒さが目立ってくる。そのため読み出し方法を切り換え、加算も間引きもしないで(第1の解像度)、各画素の画像データをそれぞれ独立して読出す独立読み出しにする。この場合、撮像素子106の全画面もしくは広範囲を動画に対応したフレームレートで読み出すことができないため、動画のフレームレートで読み出すことが可能な撮像素子106の中心付近の狭い範囲(第1の領域)を、フレーム毎に読み出す。従って、独立読み出しは、この読み出し可能な範囲を画角とするズーム倍率以上のズーム倍率が指示された場合には有効であるが、それよりも小さいズーム倍率が指示された場合には必要な画角を得ることができないため、用いることはできない。
【0027】
図3(b)は、図3(a)と同じズーム倍率で画像を独立読み出しした場合の画像の概念を示す図である。電子ズームの倍率が高くなった場合には、この様に狭い範囲の画素全てから独立に読み出した画像を用いることにより画像が荒くならないようにしている。本実施形態では、1/3読み出しに対して、この様に加算も間引きも行わない読み出しを独立読み出しと表現している。
【0028】
図4は本発明の実施形態における電子ズームの変化の様子を模式的に示した図である。
【0029】
図4(a)は、テレ方向のズーム操作に応じた電子ズームにより画角が狭くなっていく場合の被写体の大きさの変化を示しており、図2のTeleスイッチを押し続けているときの動作に相当する。各フレームの画角は、記録される動画の更新タイミングに同期して変化するように制御する。また、フレームa〜dは1/3読み出しにより得られた画像で、g〜h間は独立読み出しにより得られた画像である。
【0030】
電子ズームを行う場合には、読み出し方法の切換えを行わない方が画像が滑らかに変化して画質的にはよいのであるが、上述したように、現状のデジタル一眼レフカメラでは動画に必要なフレームレートで全画素を読み出すことができない。そのため、ある程度画質を維持しつつ電子ズームを行うためには、このような読出しの切換えが必要となってくる。本実施形態では、1/3読み出しから独立読み出しへの切り換え時に、図8(b)に示すような異常画像が出力されないように、次のような処理を行う。
【0031】
即ち、本実施形態ではフレームdで取得した画像を一時保存しておき、その画像をフレームeとfで、これらのフレームにおけるズーム倍率に相当する大きさに拡大して、異常画像と置き換える。この様に、画像を置き換えることにより異常画像を表示することなく、また滑らかに拡大が行われた動画を取得することが可能となる。但し、この時はフレームfからgへの切り換わりで、1/3読み出しから独立読み出しへの切り換えが完了するため、画像の倍率は滑らかに変化するが、コントラストが大きく変化して、一気に画質が良くなるという現象が発生してしまう。
【0032】
そこで、本実施形態では、フレームfの画像のコントラストとの差が小さくなるように、フレームgの画像のコントラストを下げて表示し、次のフレームから画角を狭めると同時に徐々にコントラストを上げていく処理を行う。このようにすることで、フレームfからgで読み出し方法が切り換わった時にも、画質が大きく変化しないようにする。
【0033】
図4(b)は、ワイド方向のズーム動作に応じた電子ズームにより画角が広くなっていく場合の被写体の大きさの変化を示しており、図2のWideスイッチを押し続けているときの動作に相当する。各フレームの画角は、記録される動画の更新タイミングに同期して変化するように制御する。また、フレームa〜cは独立読み出しにより得られた画像で、フレームg〜hは1/3読み出しにより得られた画像である。
【0034】
本実施形態では、独立読み出しから1/3読み出しに切り換えたときにも、また撮像素子106の自動補正などの影響により動画記録に適さない異常画像が得られてしまう。
【0035】
そこで、本発明ではフレームdで画像を取得しておくときに予めフレームf相当のズーム倍率で画像を取得しこれをメモリに保存しておき、これをフレームiとする。このフレームiをフレームdとeのタイミングに相当する大きさに拡大して、異常画像を置換え、そして、フレームfのタイミングでフレームiの画像を出力することで、異常画像を表示することなくまた滑らかに拡大が行われる動画を取得することが可能となる。但し、この時もフレームfからgへの切り換わりで、独立読み出しから1/3読み出しへの切り換えが完了するため、画像の倍率は滑らかに変化するが、コントラストが大きく変化して、一気に画質が悪くなるという現象が発生してしまう。
【0036】
そこで、本実施形態では、フレームgの画像のコントラストとの差が小さくなるように、フレームdからfにかけて画像のコントラストを徐々に下げて表示する処理を行う。このようにすることで、フレームfからgに読み出し方法が切り換わった時にも、画質が大きく変化しないようにすることができる。
【0037】
図5は、図4(a)もしくは図4(b)で示したテレ方向/ワイド方向の電子ズームを行ったときの画像信号の流れを示したものである。図5(a)は画像の置き換えを行っていない通常の信号の流れを示し、図5(b)は画像の置き換えを行っているときの信号の流れを示している。
【0038】
図5(a)において、撮像素子106により撮影された画像信号は撮像信号処理部107に読み出され処理される。図5(a)はこの撮像信号処理部107の内部機能を示している。撮像素子106から画像信号が読み出される。これを現像によりYUVの画像信号に変換する。変換したときに電子ズームとして必要な部分の切り出しを同時に行う。
【0039】
この切り出しを行ったYUV画像信号に対して、リサイズ1において画像の拡大/縮小を行い、表示用の画像信号を生成してVRAMに一旦記憶した後、表示部113に表示する。このとき、表示部113にその時のズーム倍率に適合した表示となるよう、リサイズ1では画像の拡大/縮小を行う必要がある。
【0040】
また、同時に切り出しを行ったYUV画像信号に対してリサイズ2において画像の拡大/縮小を行い、動画記録用の画像信号を生成する。この中間画像であるYUV画像に動画用の圧縮を行い、動画データを生成し、これを記録媒体111に記録する。これらの処理を、図4(a)におけるフレームa〜d及びフレームg〜h、図4(b)におけるフレームa〜c及びフレームg〜hで行う。但し、図4(b)のフレームgでは、リサイズ1及び2において、上述したようにフレームfとのコントラストの差を小さくするように、コントラストを下げ、次のフレームからフレームhに向けて、徐々にコントラストを上げていく処理を行う。
【0041】
一方、図5(b)において、図5(a)と同様に、撮像素子106により撮影された画像信号は撮像信号処理部107に読み出される。しかし、この画像信号は読み出し方法を切り換えたときの異常画像なので、その後処理は行わない。代わりに、事前に取得したYUVの中間画像である中間画像oldを用いる。このYUV画像oldには、読み出し方法を切り換える直前の正常な画像を保存しておき使用する。
【0042】
中間画像oldに対してリサイズ1において画像の拡大/縮小を行い、表示用の画像信号を生成してVRAMに一旦記憶した後、表示部113に表示する。このとき、表示部113にその時のズーム倍率に適合した表示となるよう、リサイズ1は画像の拡大/縮小を行う必要がある。
【0043】
また、同時に中間画像oldに対してリサイズ2において画像の拡大/縮小を行い、動画記録用の画像信号を生成する。この中間画像であるYUV画像に動画用の圧縮を行い、動画データを生成し、これを記録媒体111に記録する。これらの処理を、図4(a)のフレームe〜f及び図4(b)におけるフレームd〜fで行う。但し、図4(b)のフレームfはリサイズを行わずに図4(b)のフレームiの画像そのままのサイズで利用する。また、図4(b)のフレームd〜fでは、リサイズ1及び2において、上述したようにフレームgとのコントラストの差を小さくするように、コントラストを徐々に下げていく処理を行う。
【0044】
ズーム倍率の変化に対する画質の変化を図6と図7とを用いて説明する。図6は、従来の処理による画質の変化を示し、図7は、本実施形態の処理による画質の変化を示す。図6、図7共に、横軸がズーム倍率、縦軸が画像の拡大率であり、拡大率が大きい程、画質が劣化する。また、太線が1/3読み出しの変化、細線が独立読み出しの変化、点線が読み出し方法の切り換えを行わなかった場合の変化となっている。
【0045】
図6において、a〜eの間はズーム倍率が上がるのに応じて徐々に画質が劣化していくが、読み出しの切り換えを行わずに、そのまま拡大を行うとgまで画質の劣化が進んでしまう。この様な劣化を防ぐために、eで1/3読み出しから独立読み出しに切換える事によりbになる。b〜dの間はまたズーム倍率を上げるのに応じて徐々に画質が劣化するが、g程の劣化は発生しない。なお、eからbに変わる時は、図3(a)から(b)へ画質が一気によくなる。
【0046】
また、図6において、d〜fの間はズーム倍率が下がるのに応じて徐々に画質が良くなっていく。そして、fで独立読み出しから1/3読み出しに切り換えることによりcとなる。ここでは図3(b)から(a)へ画質が劣化する。これ以降、c〜aの間はズーム倍率を下げるのに応じて徐々に画質が良くなっていく。図3(a)から(b)、(b)から(a)への急激な画質の変化はユーザーにとっては見苦しいものである。
【0047】
そこで、本実施形態では、図7に示すようにeからbへの変化が急激にならないようズーム倍率アップに対して滑らかに変化するように制御を行う。同様に、fからcへの変化もズーム倍率ダウンの対して滑らかに変化するように制御を行う。
【0048】
即ち、上述したように、図5のリサイズ1及び2の処理において、コントラストを意図的に下げる。図7のeからbでは画質が急激に変化しないようにeではあらかじめコントラストを下げておき、eからbで徐々にコントラストを上げていく。同様に、図7のfからcでは徐々にコントラストを下げていき、cの読み出し切り換え時に画質が急激に悪化しないように制御を行う。
【0049】
上記の通り本実施形態によれば、電子ズーム時における読み出し方法の切り換え時にも、ズーム倍率が滑らかに変化するとともに、画質が急激に変化することのない画像を出力することが可能になる。
【0050】
なお、上述した例では、読み出し方法として、1/3読み出しと独立読み出しとを説明したが、本発明はこれに限るものではなく、加算及び間引き率を1/2や1/4等1/3以外にしても良い。また、独立読み出しではなく、加算及び間引き率が、他方の読み出しにおける加算及び間引き率よりも低い読み出し方法であっても構わない。
【0051】
また、上述した例では、読み出し方法が2種類の場合について説明したが、3種類以上の場合であっても、読み出し方法の切り換え時に上述した処理を行うことで、本発明を適用することが可能である。
【0052】
また、図4に示す例では、異常画像が2フレームである場合について説明したが、各カメラの読み出し方法の切り換え時の異常画像のフレーム数は予め調べることができるので、それにより予め決められたフレーム数の間、異常画像を置き換えるようにすればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光学像を画像信号に変換する撮像素子と、
電子ズームのズーム倍率を指示する指示手段と、
前記指示手段により指示されたズーム倍率が予め決められたズーム倍率以上の場合には第1の読み出し方法で、前記指示手段により指示されたズーム倍率が前記予め決められたズーム倍率よりも小さい場合には第2の読み出し方法で、切り換えて前記撮像素子から画像信号をフレーム毎に読み出す読み出し手段と、
前記ズーム倍率の変化に応じて前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換える際に、切り換える直前の画像信号を記憶する記憶手段と、
前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換えてから予め決められたフレーム数の間は前記記憶手段に記憶された画像信号を、それ以外のフレームでは前記読み出し手段により読み出した画像信号を、前記指示手段により指示されたズーム倍率の画像となるように変換して出力する信号処理手段とを有し、
前記第1の読み出し方法では、前記撮像素子の予め決められた第1の領域から第1の解像度で画像信号を読み出し、前記第2の読み出し方法では、前記撮像素子の前記第1の領域よりも広い予め決められた第2の領域から前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像信号を読み出すことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記予め決められたズーム倍率よりも小さいズーム倍率から、前記予め決められたズーム倍率以上のズーム倍率に上げられた場合に、前記信号処理手段は、前記第2の読み出し方法から前記第1の読み出し方法への切り換え後、前記予め決められたフレーム数の後に読み出された画像信号のコントラストを、該切り換え前に前記第2の読み出し方法で得た画像のコントラストに近づけるように下げることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記予め決められたズーム倍率以上のズーム倍率から、前記予め決められたズーム倍率より小さいズーム倍率に上げられた場合に、前記予め決められたフレーム数の間、前記信号処理手段は、前記第1の読み出し方法から前記第2の読み出し方法への切り換え後、前記記憶手段に記憶された画像信号のコントラストを、前記予め決められたフレーム数の後に読み出される画像信号のコントラストに近づけるように徐々に下げることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
入射した光学像を画像信号に変換する撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、
指示手段が、電子ズームのズーム倍率を指示する指示工程と、
読み出し手段が、前記指示工程で指示されたズーム倍率が予め決められたズーム倍率以上の場合には第1の読み出し方法で、前記指示工程で指示されたズーム倍率が前記予め決められたズーム倍率よりも小さい場合には第2の読み出し方法で、切り換えて前記撮像素子から画像信号をフレーム毎に読み出す読み出し工程と、
前記ズーム倍率の変化に応じて前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換える際に、切り換える直前の画像信号を記憶手段に記憶する記憶工程と、
信号処理手段が、前記第1の読み出し方法と前記第2の読み出し方法とを切り換えてから予め決められたフレーム数の間は前記記憶手段に記憶された画像信号を、それ以外のフレームでは前記読み出し工程で読み出した画像信号を、前記指示工程で指示されたズーム倍率の画像となるように変換して出力する信号処理工程とを有し、
前記第1の読み出し方法では、前記撮像素子の予め決められた第1の領域から第1の解像度で画像信号を読み出し、前記第2の読み出し方法では、前記撮像素子の前記第1の領域よりも広い予め決められた第2の領域から前記第1の解像度よりも低い第2の解像度で画像信号を読み出すことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227886(P2012−227886A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96369(P2011−96369)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】