説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】 高精度な歪み補正処理を行うことができるようにする。
【解決手段】 撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段とを設け、プログレッシブ走査の映像信号に対して歪み補正処理を行うことにより、垂直方向の情報量が倍の状態で歪み補正処理を行うことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像方法に関し、とくに、撮像レンズの幾何学的歪みを補正処理する精度を向上させるために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、デジタルビデオカメラや電子スチルカメラなどは、ズームレンズ、フォーカスレンズのような撮像レンズにより得られた被写体像を、CCDなどの撮像素子によって光電変換し、映像信号を生成している。
【0003】
ところで、ズームレンズのズーム位置によって、光学歪みが生じることが知られている。この光学歪みを電気的に補正処理する技術として、例えば特許文献1に記載の「カメラの撮影方式」などが提案されている。これは、収差や歪みを含んだ映像信号を一旦メモリに入力し、ズーム位置に基づいて、予め設定された補正処理量だけメモリ内の映像のデータを補正処理することによって、ズーム位置によって変化する歪曲収差を、ズーム位置に応じて補正処理した映像を出力するようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平4−23575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルビデオカメラにおいて、撮像素子から得られる映像信号は、駆動周波数の問題から、インタレース走査の映像信号である。このため、例えば歪み補正処理を行う時に、インタレース走査の映像信号に対して補正処理を行うと、垂直方向の情報量が少ないために、精度の高い歪み補正処理を行うことができない問題があった。
【0006】
また、従来は拡大縮小処理を施した後で歪み補正処理を行っているので、歪み補正処理を行った場合は、入力された映像信号と比較して情報量が減少しているため、歪み補正処理の精度が低下してしまう問題があった。
【0007】
よって本発明の目的は上述の点に鑑み、高精度な歪み補正処理を行うことができるようにすることを第1の目的とする。
また、拡大縮小処理と歪み補正処理の両方を良好に行うことができるようにすることを第2の目的とする。
また、高精度な歪み補正処理及び拡大縮小処理の両方を行うことができるようにすることを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明の撮像装置の他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、映像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段と、前記歪み補正処理手段から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更手段とを備えることを特徴としている。
また、本発明の撮像装置のその他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段と、前記歪み補正処理手段から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
本発明の撮像方法は、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程とを有することを特徴としている。
また、本発明の撮像方法の他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有することを特徴としている。
また、本発明の撮像方法のその他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有することを特徴としている。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、本発明のコンピュータプログラムの他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
また、本発明のコンピュータプログラムのその他の特徴とするところは、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0011】
本発明の記録媒体は、前記の何れかに記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段とを設けたので、インタレース走査の映像信号をプログレッシブ信号に走査線補間し、その走査線補間した信号に対して幾何学的歪み補正処理を行うようにすることができ、前記撮像レンズによって幾何学的歪みが生じている場合でも、精度の高い歪み補正処理を行うことが可能になり、高画質な映像を得ることができる。
また、本発明の他の特徴によれば、歪み補正処理を行った映像信号に対して拡大縮小処理を行うようにすることができ、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことが可能となり、歪み補正処理を高精度に行うことができる。
また、本発明のその他の特徴によれば、プログレッシブ走査の映像信号に対して歪み補正処理を行うことによって、垂直方向の情報量が倍の状態で歪み補正処理を行うことができ、歪み補正処理の精度を向上することができる。また、リサイズ処理の前に歪み補正処理を行うようにしたので、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができ、歪み補正処理の精度を向上することができ、これらにより、ひずみが無くて高画質なサイズ変更映像信号を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
図4は、本発明を適用した撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図4において、101は後述の如く被写体像を撮影して映像信号を出力する撮像部、102は撮像部101から得られた映像信号に対して符号化処理などを施す記録信号処理部、103は記録信号処理部102から出力された映像信号を記録媒体104に記録する記録部である。記録媒体104としては、メモリカードやディスク媒体などを用いることができる。
【0014】
図4の撮像装置は、静止画撮影機能と動画撮影機能とを有し、更に、撮像部101の設定によりインタレース走査の映像信号とプログレッシブ走査の映像信号とを出力することができる。
【0015】
次に、本実施の形態の撮像部101における特徴となる機能構成について説明する。
図1は、撮像部101の構成例を示すブロック図である。
図1に示したように、本実施の形態の撮像部101では、撮像レンズ1を通して電荷結合素子(CCD)2に結像し、CCD2で光電変換したインタレース走査の映像信号を、アナログ−デジタル変換器(以下、A/D変換器)3でAD変換を行う。
【0016】
さらに、カメラ信号処理回路4でアパーチャ補正処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス等の撮像系の信号処理を行う。このカメラ信号処理回路4の出力信号であるインタレース走査の現映像信号S1を入力信号とし、プログレッシブ変換処理回路5でプログレッシブ走査の映像信号S2に変換する。
【0017】
プログレッシブ変換の手法として、例えば次のような手法がある。
すなわち、インタレース走査の現映像信号S1を1フィールド遅延させるためのフィールドメモリ5aを使用し、入力されたインタレース走査の現映像信号S1を1フィールド遅延させた1フィールド遅延信号S2を生成する。
【0018】
そして、前記インタレース走査の現映像信号S1と1フィールド遅延信号S2とを補間ライン信号作成回路5bに供給し、インタレース走査の現映像信号S1の情報と1フィールド遅延信号S2の情報とから動き判定、斜め判定を行い、補間ライン信号S3を作成する。
【0019】
前述のようにして作成した補間ライン信号S3とインタレース走査の現映像信号S1とを合成回路5cに供給し、合成回路5cにおいてこれらの補間ライン信号S3及びインタレース走査の現映像信号S1を合成することにより、プログレッシブ走査の映像信号S4を生成する。
【0020】
このようにして得られたプログレッシブ走査の映像信号S4を歪み補正処理回路6で幾何学的歪みの補正処理を行い、高精度に歪み補正処理を施した高画質な映像信号S5を得ることができるようにしている。
【0021】
前記歪み補正処理回路6で行われる歪み補正処理の手法として、例えば次のような手法がある。
すなわち、CCD2に結像した画像の座標、ズーム倍率に対する補正処理係数を予めRAM等の記録媒体に記録しておく。そして、入力されたプログレッシブ走査の映像信号S4に対してこの補正処理係数を使用して2次元フィルタ処理を行い、歪み補正を行ったプログレッシブ走査の映像信号が作成される。この歪み補正後のプログレッシブ走査の映像信号のラインを間引き処理を行い、高画質なインタレース走査の映像信号S5を出力することにより、歪み補正の無い高画質な映像を得ることができる。
【0022】
(第2の実施の形態)
次に、撮像部101の第2の実施の形態を説明する。
図2は、第2の実施の形態を示し、撮像部101の構成例を示すブロック図である。図2に示したように、本実施の形態では、撮像レンズ1を通して電荷結合素子CCD2に結像し、CCD2で光電変換したインタレース走査の映像信号を、A/D変換器3でAD変換を行う。
【0023】
そして、A/D変換器3でA/変換したデジタル映像信号をカメラ信号処理回路4においてアパーチャ補正処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス等の撮像系の信号処理を行ってインタレース走査の現映像信号S1を得る。このカメラ信号処理回路4から出力されるインタレース走査の現映像信号S1を歪み補正処理回路6に与えて幾何学的歪みの補正処理を行って歪み補正処理後の映像信号S6を得る。
【0024】
歪み補正処理回路6において行う歪み補正処理の手法として、例えば次のような手法がある。
CCD2に結像した画像の座標、ズーム倍率に対する補正処理係数を予めRAM等の記録手段に記録しておく。そして、入力されたインタレース走査の現映像信号S1に対してこの補正処理係数を使用して2次元フィルタ処理を行い、歪み補正処理後の映像信号S6を出力する。
【0025】
歪み補正処理回路6から出力される歪み補正処理後の映像信号S6を入力信号とし、リサイズ処理回路7でリサイズ処理を行う。このリサイズ処理回路7で扱う歪み補正処理後の映像信号S6は歪み補正処理が行われているので、リサイズ処理回路7から出力するリサイズ処理後の映像信号S7は高画質な映像信号である。
【0026】
前述のように、本実施の形態の撮像部101は、リサイズ処理回路7でリサイズ処理を行う前に、歪み補正処理回路6において歪み補正処理を行うようにしたので、リサイズ処理を行った後に歪み補正処理を行う従来の場合よりも、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができるため、歪み補正処理の精度を大幅に向上させることができ、高画質な映像信号を得ることができる。
【0027】
(第3の実施の形態)
次に、撮像部101の第3の実施を説明する。
図3は、第3の実施の形態を示し、撮像部101の構成例を示すブロック図である。図3に示したように、この第3の実施の形態では、撮像レンズ1を通して電荷結合素子CCD2に結像し、CCD2で光電変換したインタレース走査の映像信号を、A/D変換器3でAD変換を行う。
【0028】
A/D変換器3においてA/D変換された映像信号はカメラ信号処理回路4に与えられ、カメラ信号処理回路4でアパーチャ補正処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス等の撮像系の信号処理が行われる。
【0029】
次段のプログレッシブ変換処理回路5は、カメラ信号処理回路4の出力信号であるインタレース走査の現映像信号S1を入力信号とし、プログレッシブ変換処理回路5でプログレッシブ走査の映像信号に変換する。
【0030】
プログレッシブ変換の手法として、例えば次のような手法がある。
すなわち、インタレース走査の現映像信号S1を1フィールド遅延させるためのフィールドメモリ5aを使用し、入力されたインタレース走査の現映像信号S1を1フィールド遅延させた1フィールド遅延信号S2を生成する。
【0031】
そして、前記インタレース走査の現映像信号S1と1フィールド遅延信号S2とを補間ライン信号作成回路5bに供給し、インタレース走査の現映像信号S1の情報と1フィールド遅延信号S2の情報とから動き判定、斜め判定を行い、補間ライン信号S3を作成する。
【0032】
前述のようにして作成した補間ライン信号S3とインタレース走査の現映像信号S1とを合成回路5cに供給し、合成回路5cにおいてこれらの補間ライン信号S3及びインタレース走査の現映像信号S1を合成することにより、プログレッシブ走査の映像信号S4を生成する。
【0033】
このようにして得られたプログレッシブ走査の映像信号に対して、歪み補正処理回路6で幾何学的歪みの補正処理を行う。歪み補正処理回路6で行う歪み補正処理の手法として、例えば次のような手法がある。
【0034】
すなわち、CCD2に結像した画像の座標、ズーム倍率に対する補正処理係数を予めRAM等の記録媒体に記録しておく。そして、入力されたプログレッシブ走査の映像信号S4に対してこの補正処理係数を使用して2次元フィルタ処理を行い、歪み補正処理を行ったプログレッシブ走査の映像信号S8を作成して出力する。
【0035】
そして、次段に設けられているリサイズ処理回路7は、歪み補正処理回路6の出力信号8を入力信号としてリサイズ処理を行う。この場合、リサイズ処理の対象となる映像信号は、歪み補正処理を行ったプログレッシブ走査の映像信号S8なので、リサイズ処理回路7において偶数ラインまたは奇数ラインの何れかのラインを間引き処理して、インタレース走査の映像信号とし、リサイズ後の高画質映像信号S9を出力する。
【0036】
なお、この走査線間引き処理は、歪み補正処理回路6で行うこともできる。プログレッシブ走査の映像信号に対して歪み補正処理を行い、走査線間引きを行ったインタレース走査の映像信号を出力するようにすることもできる。その場合は、リサイズ処理回路7では走査線間引きを行わず、リサイズ処理のみを行うようにする。
【0037】
このように、プログレッシブ走査の映像信号S4に対して歪み補正処理を行うことによって、垂直方向の情報量が倍の状態で歪み補正処理を行うことができるため、歪み補正処理の精度を向上することができる。さらに、リサイズ処理の前に歪み補正処理を行うことにより、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができるため、歪み補正処理の精度を向上することができ、高画質な歪み補正処理を行ったリサイズ後の高画質映像信号S9を出力することができる。
【0038】
次に、フローチャートを参照しながら本発明の撮像方法を説明する。
(第1の撮像方法例)
図5は、本発明の第1の撮像方法例を示すフローチャートである。
図5に示したように、本実施の形態の撮像方法は、ステップS51において被写体を撮影して被写体像をCCD2に結像する。
【0039】
次に、ステップS52に進み、CCD2で光電変換して被写体像をインタレース走査の映像信号を生成し、これをA/D変換してデジタルの映像信号を生成する。
次に、ステップS53に進み、デジタルの映像信号にカメラ信号処理を施す。
【0040】
本実施の形態においては、ステップS53で行うカメラ信号処理として、アパーチャ補正処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス等の撮像系の信号処理を行うようにしている。
【0041】
次に、ステップS54に進み、カメラ信号処理を施した映像信号をプログレッシブ変換処理する。これは、前記カメラ信号処理を施した映像信号がインタレース走査の映像信号であるので、プログレッシブ変換処理を行ってプログレッシブ走査の映像信号に変換するものである。
【0042】
次に、ステップS55に進み、プログレッシブ走査の映像信号に歪み補正処理を行う。本実施の形態の撮像方法では、インタレース走査の現映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換してから歪み補正処理を行うので、歪み補正処理を高精度に行うことができる。歪み補正処理の詳細は前述したので省略する。
【0043】
次に、ステップS56に進み、プログレッシブ走査の映像信号の間引き処理を行い、高画質なインタレース走査の映像信号を出力する。
【0044】
(第2の撮像方法例)
次に、図6のフローチャートを参照しながら第2の撮像方法例を説明する。
図6に示したように、本実施の形態の撮像方法は、ステップS61において被写体を撮影して被写体像をCCD2に結像する。
【0045】
次に、ステップS62に進み、CCD2で光電変換して被写体像をインタレース走査の映像信号を生成し、これをA/D変換してデジタルの映像信号を生成する。
次に、ステップS63に進み、デジタルの映像信号にカメラ信号処理を施す。カメラ信号処理の詳細は前述したので省略する。
【0046】
次に、ステップS64に進み、プログレッシブ走査の映像信号に歪み補正処理を行う。本実施の形態の撮像方法では、インタレース走査の現映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換してから歪み補正処理を行うので、歪み補正処理を高精度に行うことができる。歪み補正処理の詳細は前述したので省略する。
【0047】
次に、ステップS65に進み、サイズ変更処理を行う。第2の撮像方法例においては、歪み補正処理を行った後の映像信号に対してリサイズ処理を行うようにしている。このため、リサイズ処理を行った後に歪み補正処理を行う従来の場合よりも、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができる。これにより、歪み補正処理の精度を大幅に向上させることができ、高画質な映像信号を得ることができる。
【0048】
次に、ステップS66に進み、プログレッシブ走査の映像信号の間引き処理を行い、高画質なインタレース走査の映像信号を出力する。
【0049】
(第3の撮像方法例)
図7に示したように、本実施の形態の撮像方法は、ステップS71において被写体を撮影して被写体像をCCD2に結像する。
【0050】
次に、ステップS72に進み、CCD2で光電変換して被写体像をインタレース走査の映像信号を生成し、これをA/D変換してデジタルの映像信号を生成する。
次に、ステップS73に進み、デジタルの映像信号にカメラ信号処理を施す。
【0051】
本実施の形態においては、ステップS73で行うカメラ信号処理として、アパーチャ補正処理、ガンマ補正処理、ホワイトバランス等の撮像系の信号処理を行うようにしている。
【0052】
次に、ステップS74に進み、カメラ信号処理を施した映像信号をプログレッシブ変換処理する。これは、前記カメラ信号処理を施した映像信号がインタレース走査の映像信号であるので、プログレッシブ変換処理を行ってプログレッシブ走査の映像信号に変換するものである。
【0053】
次に、ステップS75に進み、プログレッシブ走査の映像信号に歪み補正処理を行う。本実施の形態の撮像方法では、インタレース走査の現映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換してから歪み補正処理を行うので、歪み補正処理を高精度に行うことができる。歪み補正処理の詳細は前述したので省略する。
【0054】
次に、ステップS76に進み、サイズ変更処理を行う。第3の撮像方法例においては、プログレッシブ変換処理及び歪み補正処理を行った後の映像信号に対してリサイズ処理を行うようにしている。このため、インタレース走査の現映像信号に対してリサイズ処理を行い、その後に歪み補正処理を行う従来の場合と比較して、格段と情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができる。これにより、歪み補正処理の精度を大幅に向上させることができ、サイズ変更した映像信号を高画質で得ることができる。
【0055】
次に、ステップS77に進み、プログレッシブ走査の映像信号の間引き処理を行い、高画質なインタレース走査の映像信号を出力する。
第3の撮像方法例のように、プログレッシブ走査の映像信号に対して歪み補正処理を行うことによって、垂直方向の情報量が倍の状態で歪み補正処理を行うことができ、歪み補正処理の精度を向上することができる。さらに、リサイズ処理の前に歪み補正処理を行うことにより、情報量が多い状態で歪み補正処理を行うことができ、歪み補正処理の精度を向上することができ、高画質な歪み補正処理を行ったサイズ変更後の映像信号を得ることができる。
【0056】
(本発明に係る他の実施の形態)
上述した本発明の実施の形態における撮像装置を構成する各手段、並びに撮像方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び上記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0057】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0058】
なお、本発明は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図5〜図7に示したフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0059】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0060】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0061】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0062】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0063】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0064】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0065】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の撮像装置の実施の形態を示し、第1の実施の形態を適用した撮像部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の撮像装置の実施の形態を示し、第2の実施の形態を適用した撮像部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の撮像装置の実施の形態を示し、第3の実施の形態を適用した撮像部の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の撮像装置の実施の形態を示し、撮像装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図5】本発明の撮像方法の実施の形態を示し、第1の撮像方法例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の撮像方法の実施の形態を示し、第2の撮像方法例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の撮像方法の実施の形態を示し、第3の撮像方法例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1 撮像レンズ
2 CCD
3 A/D変換回路
4 カメラ信号処理回路
5 プログレッシブ変換処理回路
5a フィールドメモリ
5b 補間ライン信号作成回路
5c 合成回路
6 歪み補正処理回路
7 間引き処理回路
8 リサイズ処理回路
S1 インタレース走査の現映像信号
S2 1フィールド遅延信号
S3 補間ライン信号
S4 プログレッシブ走査の映像信号
S5 高画質なの映像信号
S6 歪み補正処理後の映像信号
S7 リサイズ処理後の映像信号
S8 プログレッシブ走査の映像信号
S9 リサイズ後の高画質映像信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、
前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、映像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段と、
前記歪み補正処理手段から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを有し、インタレース走査の映像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換手段と、
前記変換手段から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理手段と、
前記歪み補正処理手段から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、
前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程とを有することを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、
前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有することを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、
前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、
前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有することを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、
前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力された映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、
前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
撮像レンズと、前記撮像レンズにより結像された被写体像を電気信号に変換する撮像素子とを用い、インタレース走査の映像信号を出力する撮像工程と、
前記撮像工程から出力されたインタレース走査の映像信号をプログレッシブ走査の映像信号に変換する変換工程と、
前記変換工程から出力されたプログレッシブ走査の映像信号に対し、前記撮像レンズによる幾何学的歪みを補正する歪み補正処理を施す歪み補正処理工程と、
前記歪み補正処理工程から出力された映像信号のサイズを変更するサイズ変更工程とを有する撮像方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記請求項7〜9の何れか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−129069(P2006−129069A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−314527(P2004−314527)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】