説明

撮像装置及び撮像装置のノイズ低減方法

【課題】手ブレ補正機構の駆動音を簡単な構成で除去できる撮像装置及び撮像装置のノイズ低減方法を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置10は、ブレ補正動作を行うブレ補正機構21と、前記ブレ補正機構21の駆動時の音声を集音可能な集音部15M,15と、前記ブレ補正機構21の駆動時の音声より、前記ブレ補正機構21の駆動音を求める駆動音抽出部33と、前記駆動音抽出部33で求められた前記駆動音を記憶する記憶部16と、前記記憶部16に記憶された前記駆動音に基づいて、動画撮影時において前記集音部15M,15で集音される音声から、前記ブレ補正機構21の駆動音によるノイズを除去するノイズ低減処理を行う低減処理部34と、を備えること、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像装置のノイズ低減方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換式の撮像装置において、動画撮影が可能なものがある。このような撮像装置では、動画撮影時にレンズ駆動音等のノイズが音声と共に記録されるという問題が生じる。従来、このようなノイズを低減するため、撮像装置にレンズ毎のノイズデータ等を記憶させているものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−226412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、レンズ毎のノイズデータを記憶するには、大容量のメモリが必要となるとともに、制御も複雑になる。
【0005】
本発明の課題は、手ブレ補正機構の駆動音を簡単な制御で除去可能な撮像装置及び撮像装置のノイズ低減方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、ブレ補正動作を行うブレ補正機構(21)と、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声を集音可能な集音部(15M,15)と、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声より、前記ブレ補正機構(21)の駆動音を求める駆動音抽出部(33)と、前記駆動音抽出部(33)で求められた前記駆動音を記憶する記憶部(16)と、前記記憶部(16)に記憶された前記駆動音に基づいて、動画撮影時において前記集音部(15M,15)で集音される音声から、前記ブレ補正機構(21)の駆動音によるノイズを除去するノイズ低減処理を行う低減処理部(34)と、を備えること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置(10)であって、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声は、ブレ補正動作中にブレ補正動作の解除が指示された場合における、該指示からブレ補正レンズ(L2)が機械的にロックされるまでの間において前記集音部(15M,15)に集音された音声であること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置(10)であって、前記駆動音抽出部(33)は、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声から、前記ブレ補正機構(21)が前記ブレ補正レンズ(L2)をロックする際に該ブレ補正レンズ(L2)をロック位置へ移動させる際の移動音を除外して、前記駆動音を求めること、特徴とする撮像装置(10)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置(10)であって、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声は、動画撮影が指示された場合における、ブレ補正レンズ(L2)の機械的なロックが解除されてから動画撮影が開始されるまでの間において前記集音部(15M,15)に集音された音声であること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の撮像装置(10)であって、前記駆動音抽出部(33)は、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声から、前記ブレ補正機構(21)が前記ブレ補正レンズ(L2)のロックを解除して該ブレ補正レンズ(L2)がロック位置から初期移動する際の移動音を除外して、前記駆動音を求めること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置(10)であって、前記駆動音は、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声から前記ブレ補正機構(21)の非駆動時の音声を減算処理したものであること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項7に記載の発明は、請求項3又は5に記載の撮像装置(10)であって、前記記憶部(16)は、前記ブレ補正機構(21)における前記移動音を記録すること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何いずれか1項に記載の撮像装置(10)であって、前記ブレ補正機構(21)は、複数の作動モードを備え、前記記憶部(16)は前記各作動モードに対応する前記駆動音をそれぞれ記憶すること、を特徴とする撮像装置(10)である。
請求項9に記載の発明は、ブレ補正動作を行うブレ補正機構(21)と、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声を集音可能な集音部(15M,15)と、前記ブレ補正機構(21)の駆動音を求める駆動音抽出部(33)とを備え、前記ブレ補正機構(21)の駆動時の音声より、前記ブレ補正機構(21)の駆動音を求め、該駆動音を記憶し、該記憶されている前記駆動音に基づいて、動画撮影時において前記集音部(15M,15)で集音される音声から、前記駆動音によるノイズを除去すること、を特徴とする撮像装置(10)のノイズ低減方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手ブレ補正機構の駆動音を簡単な構成で除去できる撮像装置及び撮像装置のノイズ低減方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態であるカメラの概念構成図である。
【図2】静止画撮影時において音声データからノイズ情報を取得する説明図である。
【図3】音声データからのノイズ情報の抽出を説明する音声データのスペクトル図である。
【図4】動画撮影時において音声データからノイズ情報を取得する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるカメラ1の概念構成図である。
カメラ1は、カメラ本体10と、カメラ本体10に対して着脱可能なレンズ鏡筒20と、により構成されている。
カメラ本体10は、ファインダー光学系11と、シャッタ12と、撮像素子13と、シャッタボタン14と、音声入力部15と、ノイズ情報メモリ16と、表示部17と、記録媒体18と、制御部30とを備えている。
【0011】
ファインダー光学系11は、レンズ鏡筒20によって集光された被写体像の光路をミラー11Aで屈折させて撮像範囲を確認可能に構成されている。
ミラー11Aは、撮影時には被写体光の撮像素子13への入射を妨げない位置に退避移動(ミラーアップ)するいわゆるクイックリターンミラーである。すなわち、静止画撮影の際には露光時(シャッタ解放時)のみにミラーアップして直ちに復帰し、動画撮影の際には撮影中ミラーアップして撮影終了後に復帰する。
【0012】
シャッタ12は、レリーズ操作(シャッタボタン14の押圧操作)に応じて制御部30によって制御され、静止画撮影時にはその開閉時間で撮像素子13に結像する被写体像光の露光時間を制御し、動画撮影時には開放する。
撮像素子13は、たとえば、CCDやCMOS等の光電変換素子であって、レンズ鏡筒20によってその撮像面に結像された画像を電気信号(画像データ)に変換して、信号処理回路14に出力する。
【0013】
シャッタボタン14は、後述する制御部30に動作指令を入力するスイッチを操作する部材である。シャッタボタン14は、半押しと全押しの二段のスイッチング操作が可能となっており、半押し操作で各部の動作開始を、全押し操作で撮影をそれぞれ指令するようになっている。
【0014】
音声入力部15は、マイク15Mを備え、マイク15Mによって集音した音声をA/D変換して後述する制御部30におけるプロファイル作成部33およびノイズ除去部34に入力する。
ノイズ情報メモリ16は、RAMによって構成され、後述する制御部30におけるプロファイル作成部33によって作成されたノイズ情報およびメカロックノイズ情報等を記憶する。
【0015】
表示部17は、液晶パネル等によって構成されてカメラ本体10の背面側に設けられ、撮影画像や露光時間等の撮影に関する情報等を表示する。また、動画撮影時には、撮像素子13による撮像画面のスルー画像(いわゆるライブビュー)を表示する。
記録媒体18は、カメラ本体10に設けられたスロットに着脱可能なSDカード,CFカード等のメモリであって、後述する制御部30における記録制御部35から出力される画像データおよび音声データを記録する。
【0016】
制御部30は、CPU等を備えて構成され、レンズ鏡筒20を含む当該カメラ1の動作を統括制御する。また、制御部30は、機能部として、動作指示部31と、画像処理部32と、プロファイル作成部33と、ノイズ除去部34と、記録制御部35と、を構成している。
動作指示部31は、シャッタボタン14等の操作部材の操作情報に基づいて、カメラ本体10およびレンズ鏡筒20の各機能部に、動作指令を行う。
画像処理部32は、撮像素子13からの出力を受けて、A/D変換すると共に、画像処理して画像データを生成する。
【0017】
プロファイル作成部33は、音声入力部15から入力された音声データからノイズ情報およびメカロックノイズ情報を抽出し、ノイズ情報メモリ16に記憶させる。
ノイズ除去部34は、音声入力部15から入力された音声データを、ノイズ情報メモリ16に記憶されたノイズ情報に基づいてノイズ除去し、記録制御部35に出力する。
【0018】
記録制御部35は、画像処理部32から入力された画像データ、およびノイズ除去部34から入力された音声データを、所定のフォーマットに従って記録媒体18に記録する。また、動画撮影時には、ノイズ除去部34から入力された音声データを画像データと共に記録媒体18に記録する。
上記制御部30におけるプロファイル作成部33およびノイズ除去部34は、後述するレンズ鏡筒20におけるブレ補正ユニット21の駆動音を、音声データから除去するノイズ低減処理を行う。このノイズ低減処理については、後に詳述する。
【0019】
レンズ鏡筒20は、結像光学系を構成する複数のレンズ群L1〜L3と、ブレ補正ユニット21と、レンズ制御装置22等を備えている。
ブレ補正ユニット21は、レンズ群Lの1つであるブレ補正レンズ群L2を、ブレ補正駆動部21Aによって制御されるモータ21Mによって移動駆動可能に保持している。ブレ補正ユニット21は、図示しないジャイロセンサによって検知されたレンズ鏡筒20に作用するブレの角速度検出情報に基づいてレンズ制御装置22によって制御され、ブレ補正レンズ群L2を、結像面における像ブレを低減させるように光軸と略直交する面内で変位させる。また、ブレ補正ユニット21は、停止時(不作用時)においては、ブレ補正レンズ群L2の光軸をレンズ鏡筒20の光軸に一致させて移動不能とする機構的なロック機構を備えている。
【0020】
レンズ制御装置22は、当該レンズ20鏡筒が装着されたカメラ本体10の制御部30による制御下で、当該レンズ鏡筒20における各作動部(ブレ補正ユニット21や図示しないAFレンズの駆動および絞り等)の作動を制御する。
【0021】
そして、カメラ1は、使用者によるシャッタボタン14の押圧操作によって撮影が指令されると、制御部30によって制御され、撮像素子13によって被写体像光を電気信号に変換し、記録制御部35を介して記録媒体18に記録する(撮影する)。
すなわち、静止画撮影時においては、シャッタボタン14の押圧操作によって撮影が指令されると、ファインダー光学系11のミラー11Aをミラーアップさせた後、シャッタ12を所定時間開放させ、レンズ鏡筒20によって集光された被写体像光に撮像素子13を所定時間露光させる。そして、撮像素子13によって被写体像光を電気信号に変換し、記録制御部35を介して記録媒体18に記録する(撮影する)。
【0022】
一方、動画撮影時においては、ライブビューボタン14Aの押圧操作によって撮影が指令されると、表示部17に撮像画面をリアルタイムに表示するライブビュー制御が開始される。そして、ファインダー光学系11のミラー11Aをミラーアップさせ、動画撮影指令が開始されると、シャッタ12を開放させ、レンズ鏡筒20によって集光された被写体像光に撮像素子13を露光させる。撮像素子13は、静止画撮影時とは異なり、いわゆるローリングシャッターという方式で被写体像光を電気信号に変換して順次取り込み、記録制御部35を介して1秒間に所定のフレーム(コマ数)の画像を記録媒体18に記録する(撮影する)。同時に、音声入力部15におけるマイク15Mが集音した音声を記録する。
【0023】
上記撮影時において、レンズ鏡筒20におけるブレ補正ユニット21は、ブレ補正動作を行う。このブレ補正ユニット21の動作は、カメラ本体10における制御部30の動作指示部31からの指令に基づいて、レンズ制御装置22を介して行われる。
静止画撮影時においては、制御部30は、シャッタボタン14の半押し操作でブレ補正ユニット21の動作を開始させる。半押し操作が継続されている間はブレ補正動作を継続させ、半押し操作が解除されると所定時間後にブレ補正動作を停止させ、ロック機構によってロック(メカロック)させる。
動画撮影時においては、制御部30は、シャッタ12を開放させた所定時間(数msec)後に、ブレ補正ユニット21のメカロックを解除してブレ補正動作を開始させ、撮影期間を通して継続させる。
【0024】
つぎに、図2〜図4を参照して、制御部30のプロファイル作成部33およびノイズ除去部34によるノイズ低減処理について詳細に説明する。
図2は、静止画撮影時において音声データからノイズ情報を取得する説明図であって、
時間に対する音声データの音圧レベルを示す。図3は、音声データからのノイズ情報の抽出を説明する音声データのスペクトル図である。
【0025】
本構成は、プロファイル作成部33が、ブレ補正ユニット21におけるその駆動時と非駆動時の音声データを比較して、ブレ補正ユニット21の動作に起因するノイズ成分をノイズ情報として抽出する。そのノイズ情報は、ノイズ情報メモリ16に記憶される。そして、ノイズ除去部34は、ノイズ情報メモリ16に記憶されたノイズ情報に基づいて録音する音声データからブレ補正ユニット21の動作に起因するノイズを除去する。
【0026】
まず、図2を参照して、静止画撮影時における、プロファイル作成部33によるノイズ情報の抽出について説明する。
静止画撮影時においては、シャッタボタン14の半押し操作によって、ブレ補正ユニット21のブレ補正動作が開始され、シャッタボタン14の半押し操作が解除されると所定時間(たとえば、1sec)経過後、ブレ補正動作は停止してブレ補正ユニット21はメカロックされる。
【0027】
プロファイル作成部33は、音声入力部15からメカロックが作動する前後数msec(時間領域41)の音声データを取得し、その音声データをメカロック前データBL、メカロック衝撃音データML、メカロック後データALの3つに時間軸上で分割し、それぞれの音声データを周波数領域信号に変換する。
【0028】
図3に示すように、メカロック前データBLの周波数領域信号BLSには、環境音(F1〜F5)に加えてブレ補正ユニット21の駆動音(ノイズ:N1〜N5)が含まれている。一方、メカロック後データALの周波数領域信号ALSには、ブレ補正ユニット21の駆動音は含まれておらず、環境音(F1〜F5)のみである。
ここで、メカロック前データBLの周波数領域信号ALSから、メカロック後データALの周波数領域信号BLSを周波数領域ごとに減算する(BLS−ALS)ことで、ノイズ成分(N1〜N5)であるノイズ情報NSを得る。
【0029】
また、メカロック衝撃音データMLは、環境音に対してSN比(信号対雑音比:signal−noise ratio)が非常に小さい(悪い)ので、そのままをメカロックノイズ情報LNとする。
そして、プロファイル作成部33は、ノイズ情報NSと、メカロックノイズ情報LNとを、ノイズ情報メモリ16に出力し、記憶させる。
【0030】
ノイズ除去部34は、動画撮影時において、ノイズ情報メモリ16に記憶されたノイズ情報NSとメカロックノイズ情報LNとを用い、音声データに対してノイズ除去操作を行う。
すなわち、ノイズ除去部34によるブレ補正動作ノイズ除去操作は、ブレ補正動作ノイズが混入したフレーム(ブレ補正ユニット21の動作しているフレーム)の音声データを周波数領域信号に変換する。そして、その周波数領域信号からノイズ情報NSを減算し、減算した結果を時間領域に変換する。これにより、ブレ補正ユニット21の動作ノイズを軽減(除去)することができる。
【0031】
また、ブレ補正ユニット21のメカロックノイズ除去操作は、動画撮影中にブレ補正ユニット21の動作停止が指令されると、ブレ補正ユニット21のメカロックと同期させて音声データからメカロックノイズ情報LNを減算する。前述したように、メカロック衝撃音は、環境音に対してSN比が非常に小さく、そのままのメカロックノイズ情報を音声データから減算するものである。これにより、ブレ補正ユニット21のメカロックノイズを軽減(除去)することができる。
【0032】
つぎに、図4を参照して、動画撮影時における、プロファイル作成部33によるノイズ情報の抽出について説明する。図4は、動画撮影時において音声データからノイズ情報を取得する説明図である。
動画撮影時には、前述したように、撮像素子13が撮像している画像をリアルタイムに表示部17に表示するライブビューを行う。ライブビュー制御開始前には、ブレ補正ユニット21はメカロックされている。
【0033】
動画撮影が指令されると、ミラー11Aがミラーアップされ、続いてシャッタ12が開放される。シャッタ開放後数msec後に,ブレ補正ユニット21のメカロックが解除されてブレ補正ユニット21の動作が開始される。
プロファイル作成部33は、音声入力部15からメカロックが解除される前後数msec(時間領域42)の音声データを取得し、その音声データをメカロック解除前データBR、メカロック解除衝撃音データMR、メカロック解除後データARの3つに時間軸上で分割し、それぞれの音声データを周波数領域信号に変換する。
【0034】
メカロック解除前データBRにはブレ補正ユニット21の動作に起因するノイズが含まれておらず、メカロック解除後データARにはブレ補正ユニット21の動作に起因するノイズが含まれている(ノイズ+環境音)。
メカロック解除後データARの周波数領域信号からメカロック解除前データBRの周波数領域信号を周波数領域ごとに減算することで、前述した静止画撮影時の場合と同様にノイズ成分であるノイズ情報NSを得る。
【0035】
メカロック解除衝撃音データMRは、環境音に対してSN比が非常に小さいので、そのままをメカロック解除ノイズ情報RNとする。
そして、プロファイル作成部33は、ノイズ情報NSと、メカロック解除ノイズ情報RNとを、ノイズ情報メモリ16に出力し、記憶させる。
【0036】
ノイズ除去部34は、動画撮影時において、ノイズ情報メモリ16に記憶されたノイズ情報NSとメカロック解除ノイズ情報RNとを用い、音声データに対してノイズ除去操作を行う。
ノイズ情報NSを用いるノイズ除去部34によるブレ補正動作ノイズ除去操作は、前述した静止画撮影時に取得したものと全く同様であり、説明は省略する。
【0037】
また、ブレ補正ユニット21のメカロック解除ノイズ除去操作は、動画撮影中にブレ補正ユニット21の動作開始が指令されると、ブレ補正ユニット21のメカロック解除と同期させて音声データからメカロック解除ノイズ情報RNを減算する。これにより、ブレ補正ユニット21のメカロック解除ノイズを軽減(除去)することができる。
【0038】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)本実施形態におけるカメラ1は、制御部30におけるプロファイル作成部33が、ブレ補正ユニット21におけるその駆動時と非駆動時の音声データを比較して、ブレ補正ユニット21の駆動音成分をノイズ情報NSとして抽出する。そのノイズ情報NSは、ノイズ情報メモリ16に記憶される。そして、ノイズ除去部34は、ノイズ情報メモリ16に記憶されたノイズ情報に基づいて録音する音声データからブレ補正ユニット21の動作に起因するノイズを除去する。これにより、多くの交換レンズを備える交換レンズシステムに対しても、個々の交換レンズにおけるブレ補正作動音に関する情報を予め保持することなく、使用する交換レンズ(レンズ鏡筒)に対応してブレ補正作動に係るノイズを除去することができる。すなわち、大容量のメモリを必要とすることなく、簡単な処理および制御でブレ補正作動ノイズを除去できる。
(2)撮影の都度ノイズ情報NSを取得することで、同一の交換レンズ(レンズ鏡筒)がブレ補正作動音の異なる複数の動作モードを有している場合や、ブレ補正作動音が経時変化した場合にも対応でき、的確なノイズ除去が可能となる。
【0039】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
上記実施形態では、ブレ補正ユニット21におけるメカロックが作動する前後の音声データを取得し、メカロックを挟む前後の音声データに基づいてノイズ情報を抽出する。しかし、メカロック直前のセンタリング動作およびメカロック解除直後の準備動作の際には通常のブレ補正とは異なる制御が行われ、作動音も異なることがある。このような場合には、ノイズ情報を抽出する音声データからメカロック直前のセンタリング動作時およびメカロック解除直後の準備動作時における作動音を排除するように構成しても良い。これにより、より精度の高いノイズ除去が可能となる。
【0040】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0041】
1:カメラ、10:カメラ本体、13:撮像素子、14:シャッタボタン、15:音声入力部、15M:マイク、16:ノイズ情報メモリ、30:制御部、33:プロファイル作成部、34:ノイズ除去部、20:レンズ鏡筒、21:ブレ補正ユニット、BL:メカロック前データ、LN:メカロックノイズ情報、AL:メカロック後データ、BR:メカロック解除前データ、RN:メカロック解除ノイズ情報、AR:メカロック解除後データ、NS:ノイズ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレ補正動作を行うブレ補正機構と、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声を集音可能な集音部と、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声より、前記ブレ補正機構の駆動音を求める駆動音抽出部と、
前記駆動音抽出部で求められた前記駆動音を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記駆動音に基づいて、動画撮影時において前記集音部で集音される音声から、前記ブレ補正機構の駆動音によるノイズを除去するノイズ低減処理を行う低減処理部と、
を備えること、を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声は、ブレ補正動作中にブレ補正動作の解除が指示された場合における、該指示からブレ補正レンズが機械的にロックされるまでの間において前記集音部に集音された音声であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記駆動音抽出部は、前記ブレ補正機構の駆動時の音声から、前記ブレ補正機構が前記ブレ補正レンズをロックする際に該ブレ補正レンズをロック位置へ移動させる際の移動音を除外して、前記駆動音を求めること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声は、動画撮影が指示された場合における、ブレ補正レンズの機械的なロックが解除されてから動画撮影が開始されるまでの間において前記集音部に集音された音声であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記駆動音抽出部は、前記ブレ補正機構の駆動時の音声から、前記ブレ補正機構が前記ブレ補正レンズのロックを解除して該ブレ補正レンズがロック位置から初期移動する際の移動音を除外して、前記駆動音を求めること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記駆動音は、前記ブレ補正機構の駆動時の音声から前記ブレ補正機構の非駆動時の音声を減算処理したものであること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項3又は5に記載の撮像装置であって、
前記記憶部は、前記ブレ補正機構における前記移動音を記録すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何いずれか1項に記載の撮像装置であって、
前記ブレ補正機構は、複数の作動モードを備え、前記記憶部は前記各作動モードに対応する前記駆動音をそれぞれ記憶すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項9】
ブレ補正動作を行うブレ補正機構と、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声を集音可能な集音部と、
前記ブレ補正機構の駆動音を求める駆動音抽出部とを備え、
前記ブレ補正機構の駆動時の音声より、前記ブレ補正機構の駆動音を求め、
該駆動音を記憶し、
該記憶されている前記駆動音に基づいて、動画撮影時において前記集音部で集音される音声から、前記駆動音によるノイズを除去すること、
を特徴とする撮像装置のノイズ低減方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55617(P2013−55617A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194311(P2011−194311)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】