説明

撮像装置

【課題】視野の大きさを変えた場合にもその視野上で撮像対象を均一に照明することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置2は受光レンズLA〜LCの位置を固定して、撮像素子34をレンズの光軸方向に移動させることにより撮像素子34の視野の大きさを変化させる。撮像装置2は視野調整の際に従来必要であった接写リングを用いることなく視野を変えることが可能になる。また、撮像装置2では照明部21は受光視野Fを囲むように撮像対象50に向けて照明光を発する。また照明部21の開口径D1は受光レンズ保持部33の内口径D2よりも小さくなるように設定される。これにより受光視野Fの外縁にできるだけ接近させて照明部21を配置できるので撮像対象50を均一に照明することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特にセンサ装置に用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場においては省力化および高効率化の観点からオートメーション化が進められている。オートメーション化を実現するためには、光、電気、電波、音波などを用いる数多くのセンサ類が使用される。このようなセンサ類の中でも、製品などを撮影し、その撮影した画像を処理することで当該製品の良否判別や当該製品のIDを特定できる視覚センサ(画像センサ)がよく用いられている。視覚センサによれば、人間の視覚による検出と同様の検出機能を実現できるため、その応用範囲は広い。
【0003】
多くの視覚センサは、撮像対象を撮影するカメラと、カメラから得られる画像を処理する画像処理装置(アンプ部とも称される)とから構成される。画像処理装置はカメラが撮影した画像の中に所定の形状をもつ領域が含まれるか否かなどを判断する。
【0004】
カメラの視野が検査領域をカバーできるようにするため、多くの場合にはユーザは最適な焦点距離のレンズを選択する。しかし接写を行なう場合にはレンズの焦点距離を変えても視野の大きさはあまり変化しない。一般的に接写の際にはレンズとカメラとの間に接写リングが挿入される。
【0005】
図15は、従来の撮像装置における接写時の構成を示す図である。
図15を参照して、撮像装置102は、レンズ111と、カメラ112と、接写リング113とを備える。接写リング113はレンズ111とカメラ112との間に挿入される。
【0006】
図16は、図15の撮像装置102において視野の大きさの変化を説明する図である。
図16を参照して、グラフの縦軸は物像間距離(撮像対象とレンズ111との距離)を示し、横軸は視野の範囲を示す。物像間距離は接写リング113の厚みに応じて変化する。図16のグラフにおいて物像間距離をyとし、視野の範囲をxとすると、y=1.8632x+22.451という関係が成立する。つまり図16のグラフから物像間距離と視野の大きさとは比例関係にあることが分かる。
【0007】
近年では照明装置とカメラとを一体化することによりユーザの利便性の向上を図ることが可能な視覚センサや視覚センサ用の撮像装置が提案されている。たとえば特開平10−320538号公報(特許文献1)にはカメラと照明とを一体化することで各部の調整を不要にしつつ照明の正反射光がカメラに入射することを抑制できる視覚センサが開示される。この視覚センサでは、照明ユニットの発光部から撮像面までの光路上に第1偏光フィルタが設けられ、撮像面から撮像素子までの光路上に、第1偏光フィルタと偏光面がほぼ90度異なる第2偏光フィルタが設けられる。
【特許文献1】特開平10−320538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図17は、視覚センサに用いられる従来の撮像装置の構成を示す断面図である。
図17を参照して、撮像装置102Aは、複数個のLED(Light Emitting Diode)131を含む照明部121と、受光レンズLA〜LCと、受光レンズLA〜LCを保持するレンズホルダ133と、撮像素子134とを備える。なお検査対象からの反射光が受光レンズに入射するために、照明部121の中心部は開口している。
【0009】
視覚センサに用いられる照明は検査対象をできるだけ均一に照明する必要がある。このために照明部121は受光視野Fの外縁にできるだけ接近するように配置する必要がある。しかし、視野を可変にするために従来のような受光レンズを動かす方法(たとえば接写リングをレンズと撮像素子との間に設ける方法やレンズそのものを交換する方法等)を用いようとした場合には、受光レンズおよびレンズホルダが撮像対象150側に突出することが起こる。
【0010】
図18は、図17の受光レンズLA〜LCおよびレンズホルダ133が撮像対象側に突出可能に構成された撮像装置の例を示す断面図である。
【0011】
図18を参照して、撮像装置102Bではレンズホルダ133が撮像対象150との距離を自由に変えることができるように、照明部121の開口部はレンズホルダ133よりも大きく形成されている。しかし、開口部を大きくすることで照明部121は受光視野Fの外縁から遠ざかる。よって撮像対象150を均一に照明することが困難になる。
【0012】
本発明の目的は、視野の大きさを変えた場合にもその視野上で撮像対象を均一に照明することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は要約すれば撮像装置であって、撮像部を備える。撮像部は、受光レンズと、受光レンズ保持部と、撮像素子とを含む。受光レンズ保持部は、受光レンズの周囲を覆うように受光レンズを保持する。撮像素子は、受光レンズの光軸に沿って移動可能であり、かつ、受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する。撮像装置は、照明部をさらに備える。照明部は、撮像部と一体化されて、撮像対象に向けて照明光を発する。照明部の中央には、受光レンズ保持部の内口径よりも小さい径を有する開口部が形成される。
【0014】
好ましくは、撮像装置は、撮像部と照明部とを収納する筐体をさらに備える。筐体は、耐水性を有する材質により構成されて、密閉構造を有し、少なくとも照明光を投光する側に透明材が設けられる。
【0015】
好ましくは、受光レンズは、交換可能である。
好ましくは、撮像部は、第1の基板と、駆動回路と、第2の基板と、接続部材とをさらに含む。第1の基板は、撮像素子を搭載し、かつ、光軸に沿って移動可能である。駆動回路は、撮像素子を駆動する。第2の基板は、駆動回路を搭載する。接続部材は、第1および第2の基板が一体となって移動可能なように、第1および第2の基板を接続する。
【0016】
より好ましくは、撮像部は、光軸と平行に第1および第2の基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトをさらに含む。
【0017】
好ましくは、撮像部は、基板と、駆動回路とをさらに含む。基板は、撮像素子を受光レンズに向き合う側の第1の主表面に搭載し、かつ、光軸に沿って移動可能である。駆動回路は、基板の第1の主表面の裏面側となる第2の主表面上に搭載されて、撮像素子を駆動する。
【0018】
より好ましくは、撮像部は、光軸と平行に基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトをさらに含む。
【0019】
さらに好ましくは、照明部は、受光レンズ保持部に対して撮像対象側に設けられる。
この発明の他の局面に従うと、撮像装置であって、受光レンズと、撮像素子と、第1の基板と、駆動回路と、第2の基板と、接続部材と、移動用のガイドとなるシャフトとを備える。撮像素子は、受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する。第1の基板は、撮像素子を搭載する。駆動回路は、撮像素子を駆動する。第2の基板は、駆動回路を搭載する。接続部材は、第1および第2の基板が一体となって移動可能なように、第1および第2の基板を接続する。シャフトは、光軸と平行に第1および第2の基板を貫通する。
【0020】
この発明のさらに他の局面に従うと、撮像装置であって、受光レンズと、撮像素子と、基板と、駆動回路と、移動用のガイドとなるシャフトとを備える。撮像素子は、受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する。基板は、撮像素子を受光レンズに向き合う側の第1の主表面に搭載する。駆動回路は、基板の第1の主表面の裏面側となる第2の主表面上に搭載されて、撮像素子を駆動する。シャフトは、光軸と平行に基板を貫通する。
【0021】
好ましくは、上述のいずれかの撮像装置は、視覚センサに用いられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、視野の大きさを変えた場合にもその視野上で撮像対象を均一に照明することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0024】
[実施の形態1]
図1は、本発明の撮像装置の適用例を示す図である。
【0025】
図1を参照して、視覚センサ100は製造ライン上に配置される。視覚センサ100は連続的に搬送される製品を撮影し、予め登録された色と領域とが撮影した画像に含まれていれば、その製品を良品と判定する。なお視覚センサ100は図示しない他の装置へ判定結果を出力するよう構成されていてもよい。
【0026】
視覚センサ100は画像処理装置1と撮像装置2とを備える。撮像装置2は撮像対象を撮影して画像信号を出力する。なお撮像装置2は静止画像および動画像のいずれを撮像する装置でもよい。画像処理装置1は画像信号の伝送のために設けられるケーブル4を介して撮像装置2に接続される。画像処理装置1は画像信号に基づいて上述の判定処理を行なう。
【0027】
画像処理装置1は、表示部8と、入力部12とを含む。表示部8は撮影された画像や画像処理装置1が処理した画像を表示する。一例として、表示部8は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、ELディスプレイ(Electro Luminescence display)などからなる。入力部12はユーザからの設定指令、変更指令および決定指令などを受ける部分である。
【0028】
図2は、撮像装置2の外観を示す斜視図である。
図2を参照して、撮像装置2は、筐体20と、照明部21と、撮像部22と、取付部23とを備える。
【0029】
筐体20は、照明部21と、撮像部22とを収納する。なお以下の図2〜図5では撮像装置2において照明部21および撮像部22が収納される部分を「照明部21」、「撮像部22」とそれぞれ示す。
【0030】
筐体20は耐水性を有する材質で構成され、密閉構造を有する。また、筐体20において少なくとも前面(すなわち照明部21が照明光を投光する側)には、たとえばガラスやアクリル板等の透明材24が設けられる。
【0031】
照明部21は、撮像対象を照明する。撮像部22は撮像装置2の主要部分であり、撮像対象を撮像する。照明部21および撮像部22は一体化されている。なお、照明部21および撮像部22の構成の詳細は後述する。
【0032】
取付部23は撮像装置2を設置するために用いられる。
詳細は後述するが、撮像装置2では視野を変更する際に撮像部22の内部に設けられる撮像素子をレンズの光軸方向に沿って移動させる。これにより撮像装置2における視野変更時に接写リング等のスペーサを用いる必要がなくなるので、レンズを突出させる必要がなくなる。したがって撮像装置2は前面に余分なスペースを持たせる必要がないので小型化が可能になる。また撮像装置2は耐水性を有する材質で構成される筐体20によって内部が密閉されるので防水性を高めることができる。
【0033】
次に撮像装置2の寸法の一例を具体的に示す。以下では図2のX方向、Y方向、Z方向の長さをそれぞれ「幅」、「高さ」、「奥行き」と称する。
【0034】
図3は、図2の撮像装置2の正面図である。
図4は、図2の撮像装置2の上面図である。
【0035】
図5は、図2の撮像装置2の右側面図である。
図3から図5を参照して、照明部21の幅および高さはともに52.5mmであり、奥行きは33mmである。撮像部22の幅および高さはともに35.5mmであり、奥行きは50.7mmである。取付部23の高さは4mmであり、奥行きは34mmである。撮像部22の背面側(照明部21と反対側)には外部接続コネクタ25および防水用の保護部26が設けられる。外部接続コネクタ25、保護部26の奥行きはそれぞれ9.8mmおよび5.6mmである。
【0036】
続いて撮像装置2において視野を変える方法をより詳細に説明する。
図6は、図2に示す撮像部22の背面を詳細に示す図である。
【0037】
図6を参照して、撮像部22の背面には上述した外部接続コネクタ25、ケーブル4、および保護部26に加えて、シャフト39が挿入された視野調整機構28が設けられる。シャフト39の先端はネジ頭となっている。ユーザはネジ回しを用いてシャフト39の先端部(ネジ頭)を回転させることで撮像装置2の視野の大きさを調整できる。
【0038】
図7は、図2の撮像装置2の内部を示す図である。なお、図7では撮像装置2の主要部のみを示す。
【0039】
図7を参照して、照明部21は複数のLED31および複数のLED31の駆動回路が搭載された基板32を備える。
【0040】
撮像部22は、図示しない受光レンズを保持するレンズホルダ33(受光レンズ保持部)と、撮像素子34と、撮像素子34を搭載する基板35とを含む。レンズホルダ33の内部には1枚または複数枚の受光レンズが設けられる。
【0041】
撮像素子34は受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する。撮像素子はたとえばCCD(Coupled Charged Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサである。基板35は撮像素子34を搭載する。
【0042】
撮像部22は、さらに、駆動回路36と、基板37と、支持部材38Aとを含む。
駆動回路36は、撮像素子34を駆動する回路であり、たとえば入力されるタイミングパルスに応じて撮像素子34に駆動パルスを与えるとともに撮像素子の各画素から信号を取り出すIC(Integrated Circuit)である。基板37は駆動回路36を搭載する。
【0043】
基板35,37はネジ38Bによって支持部材38Aに取り付けられる。撮像素子34が撮像を行なうために基板35は受光レンズと対向するように支持部材38Aに取り付けられる。一方、基板37は支持部材38Aにおいて基板35と反対側に取り付けられる。
【0044】
撮像部22は、さらに、シャフト39,41,42およびナット40を備える。
シャフト39,41,42は受光レンズの光軸方向(図中のY方向)と平行に基板35,37および支持部材38Aを貫通する。シャフト39,41,42は基板35,37の移動用のガイドとなる。基板35,37はこれらのシャフトに沿って移動する。なお、本実施の形態において撮像素子34の可動範囲はたとえば3mmである。
【0045】
基板35,37と支持部材38Aとには、シャフト39,41,42のそれぞれの先端部39A,41A,42Aを通す穴が形成される。シャフト39の先端部39Aの外表面にはネジ溝が形成される。一方、支持部材38Aでは先端部39Aが通る部分にナット40が挿入される。シャフト39が回転することで基板35,37は受光レンズの光軸方向(Y方向)に沿って移動可能になり、その位置が決定される。なお図7のY方向は図2のY方向に沿った方向に等しい。
【0046】
また、シャフト41,42を基板35,37に通すことによって、シャフト39を回転させた際に、基板35,37が回転することなくレンズの光軸方向に移動することが可能になる。
【0047】
基板を移動させるために、基板を保持するホルダ、および、このホルダを移動させるガイドを設けた場合には必然的に撮像装置が大型化する。撮像装置2は基板35,37を貫通するシャフトにより基板35,37を移動可能にすることで装置全体の小型化を可能にする。
【0048】
撮像部22は、さらに、基板43およびケーブル44を備える。基板43は撮像装置2の全体の動作を制御する制御回路を搭載する。ケーブル44は両端にコネクタ44A,44Bを備え、基板43を基板37に接続する。駆動回路36が取り出した撮像素子34の各画素からの信号は基板43、および基板43に接続されるケーブル4を介して撮像装置2の外部に出力される。
【0049】
図8は、本実施の形態の撮像装置による効果を説明する図である。
図8および図18を参照して、撮像装置2では撮像素子34が受光レンズLA〜LCの方向に沿って移動する。一方、撮像装置112ではレンズホルダ133が受光レンズLA〜LCの方向に沿って移動する。なおレンズホルダ33およびレンズホルダ133は受光レンズLA〜LCの各々の周囲を覆うようにして受光レンズLA〜LCの各々を保持する。
【0050】
レンズと撮像対象との距離を変えることで、撮像素子における視野の大きさが変化する。一般的なカメラでは撮像素子の位置が固定されているので、接写リング等を用いてレンズと撮像素子との距離を変化させている。図18に示す撮像装置112はレンズが可動であるため、視野を変えることができる。
【0051】
一方、撮像装置2は受光レンズLA〜LCの位置を固定して、撮像素子34をレンズの光軸方向に移動させることにより撮像素子34の視野の大きさを変化させる。撮像装置2は視野調整の際に従来必要であった接写リングを用いることなく視野を変えることが可能になる。よって、たとえば撮像装置2を製造現場に設置して製品検査に最適な大きさの視野が得られるよう調整を行なう際に、作業者の手間を減らすことができる。
【0052】
また、撮像装置を設置した際に撮像装置の前面(図2におけるガラス24)と撮像対象との距離に余裕がない場合には接写リングを用いてレンズを撮像対象に近づけることができない可能性がある。本実施の形態によれば撮像装置2の内部で撮像素子を移動させるだけで視野の大きさを変化させることができるので、このような問題を解決できる。
【0053】
さらに撮像装置2では照明部21は受光視野Fを囲むように撮像対象50に向けて照明光を発する。また照明部21の開口径D1は受光レンズ保持部33の内口径D2よりも小さくなるように設定される。これにより受光視野Fの外縁にできるだけ接近させて照明部21を配置できるので撮像対象50を均一に照明することが可能になる。よって、図1の視覚センサ100によって製品の撮影画像に予め登録された色と領域とが含まれているかを検査する場合には、精度のよい検査を行なうことができる。
【0054】
図9は、図7に示す撮像装置2のうちレンズホルダ33、撮像素子34および駆動回路36に関する部分を前方から見た斜視図である。
【0055】
図10は、図9に示す部分を右側面後方から見た斜視図である。
図11は、図9に示す部分を上方から見た斜視図である。
【0056】
図9から図11を参照して、基板35,37との電気的接続にはコネクタ45が用いられる。コネクタ45は図7の支持部材38Aと同様に基板35,37を一体化するために設けられる。
【0057】
基板35,37の電気的接続にコネクタを用いることで、ハーネスを用いた場合よりも撮像素子34と駆動回路36との間の信号伝送の距離が短くなる。これにより撮像素子34を高速動作させる際の動作の信頼性を高くすることができる。
【0058】
図7、図9〜図11に示すように基板35,37は対向するように設けられている。これにより撮像装置2において移動する部分(基板35,37)の大きさを全体に小型化できるので撮像装置2を全体に小型化できる。また基板37は基板35に対向する主表面37Aと、主表面37Bとを備える。
【0059】
以上のように実施の形態1によれば、撮像素子を移動させることで、レンズを撮像対象側に突出させることなく視野の大きさを変えることができるとともに、視野の大きさに因らず撮像対象を均一に照明することができる。さらに実施の形態1によれば、防水性に優れる撮像装置を実現できる。
【0060】
また、実施の形態1によれば、撮像装置を小型化することが可能になるとともに、動作の信頼性を向上させることができる。
【0061】
[実施の形態2]
実施の形態2の撮像装置の全体の構成は図2〜図6に示す実施の形態1の撮像装置2の構成と同様であるが撮像部22の内部構成が撮像装置2と異なる。よって以下では実施の形態2の構成について、撮像部の内部構成における相違点のみを説明する。実施の形態2の撮像装置の他の部分については実施の形態1の撮像装置2と同様の構成を有するので、以後の説明は繰返さない。
【0062】
図12は、実施の形態2の撮像装置が備える撮像部の内部について、実施の形態1との相違点を示す図である。
【0063】
図12を参照して、撮像素子34および駆動回路36が基板35の両面にそれぞれ搭載される。この点で実施の形態2は実施の形態1と異なる。基板35の面35A(すなわち受光レンズに向き合う側の面である第1の主表面)には撮像素子34が搭載される。面35Aに対してレンズホルダ33と反対側の面35B(第1の主表面の裏面側となる第2の主表面)には駆動回路36が搭載される。基板35はたとえば多層配線基板であり、内部の配線によって撮像素子34と駆動回路36とを電気的に接続する。また、面35Bにはケーブル4が接続される。
【0064】
シャフト39,41,42はレンズの光軸方向(Y方向)と平行に基板35を貫通する。シャフト39,41,42は基板35の移動用のガイドとなる。基板35はシャフトに沿ってレンズの光軸方向に移動する。なお基板35においてシャフト39が貫通する部分には内部にナット40が設けられる。これにより実施の形態2では実施の形態1と同様に基板の位置を設定することができる。よって、実施の形態1と同様に実施の形態2においても撮像装置を小型化することができる。
【0065】
また、実施の形態2では1枚の基板の両面に撮像素子と駆動回路とがそれぞれ搭載される。よって実施の形態2によれば実施の形態1に比較して部品点数を削減できるのでコストを低減できる。
【0066】
また、実施の形態2では実施の形態1に比較して撮像素子34と駆動回路36との間の信号伝送の距離がより短くなるので撮像素子34を高速動作させる際に動作の信頼性を高めることができる。
【0067】
[実施の形態3]
実施の形態3の撮像装置は受光レンズが交換可能である点で実施の形態1および形態2の撮像装置と異なる。これにより、実施の形態3ではレンズの位置以外の光学的なパラメータを変更したい場合には、レンズを交換することで容易にパラメータを変更することができる。
【0068】
図13は、実施の形態3の撮像装置の外観を示す図である。
図13を参照して、撮像装置2Aはレンズ33Aが交換可能な点で、実施の形態1および形態2の撮像装置と異なる。なお一般的にカメラのレンズはレンズホルダに収められた状態で交換可能である。よって実施の形態3の説明においては、「受光レンズ」および「レンズホルダ」をまとめて「レンズ」と称する。
【0069】
撮像部22にはレンズマウント33Bが設けられている。なお、「マウント」とはレンズ交換が可能なカメラにおいて交換するレンズを固定する部分のことを指す。
【0070】
レンズマウント33BにはたとえばCマウントが適用される。つまりレンズ33Aはいわゆる「Cマウントレンズ」である。
【0071】
CCDやCMOSセンサを使用したカメラは一般的にCCTV(Closed Circuit Television)レンズを使用する。このレンズのマウントはCマウントあるいはCSマウントと呼ばれる形状をしている。特に、産業用テレビカメラにはCマウントレンズが広く適用される。よって実施の形態3によれば撮像装置の汎用性を高めることができる。
【0072】
図14は、図13のレンズ33Aの外形を示す図である。
図14を参照して、レンズ33Aではフランジ面51から結像面53までの寸法(フランジバックD)は17.526mmに設定されている。フランジ面51はCマウントレンズを撮像部22に固定するための面である。また、撮像部22では結像面53の位置が撮像素子34の撮像面の位置に一致するよう撮像素子34が配置される。レンズ33Aをレンズマウント33Bに取り付けるためのネジ部52は、1インチあたり32山のネジピッチとなっている。
【0073】
なお、レンズマウント33BにはCマウントに変えてCSマウントが適用されてもよい。この場合にも市販されている多くのレンズが撮像装置2Aに取付け可能となる。なお、レンズマウント33BにCSマウントが適用される場合、図17に示すフランジバックDの寸法は約12.5mmとなる。
【0074】
以上のように、実施の形態3によればレンズが交換可能であるため、光学的なパラメータを容易に変更できる。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の撮像装置の適用例を示す図である。
【図2】撮像装置2の外観を示す斜視図である。
【図3】図2の撮像装置2の正面図である。
【図4】図2の撮像装置2の上面図である。
【図5】図2の撮像装置2の右側面図である。
【図6】図2に示す撮像部22の背面を詳細に示す図である。
【図7】図2の撮像装置2の内部を示す図である。
【図8】本実施の形態の撮像装置による効果を説明する図である。
【図9】図7に示す撮像装置2のうちレンズホルダ33、撮像素子34および駆動回路36に関する部分を前方から見た斜視図である。
【図10】図9に示す部分を右側面後方から見た斜視図である。
【図11】図9に示す部分を上方から見た斜視図である。
【図12】実施の形態2の撮像装置が備える撮像部の内部について、実施の形態1との相違点を示す図である。
【図13】実施の形態3の撮像装置の外観を示す図である。
【図14】図13のレンズ33Aの外形を示す図である。
【図15】従来の撮像装置における接写時の構成を示す図である。
【図16】図15の撮像装置102において視野の大きさの変化を説明する図である。
【図17】視覚センサに用いられる従来の撮像装置の構成を示す断面図である。
【図18】図17の受光レンズLA〜LCおよびレンズホルダ133が撮像対象側に突出可能に構成された撮像装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 画像処理装置、2,2A,102,102A,102B 撮像装置、4,44 ケーブル、8 表示部、12 入力部、20 筐体、21,121 照明部、22 撮像部、23 取付部、24 透明材、25 外部接続コネクタ、26 保護部、28 視野調整機構、31 LED、32,35,37,43 基板、33,133 レンズホルダ、33A,111 レンズ、33B レンズマウント、34,134 撮像素子、36 駆動回路、38A 支持部材、38B ネジ、39,41,42 シャフト、39A,41A,42A 先端部、40 ナット、44 ケーブル、44A,44B,45 コネクタ、50,150 撮像対象、51 フランジ面、52 ネジ部、53 結像面、100 視覚センサ、112 カメラ、113 接写リング、D フランジバック、LA〜LC 受光レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部を備え、
前記撮像部は、
受光レンズと、
前記受光レンズの周囲を覆うように前記受光レンズを保持する受光レンズ保持部と、
前記受光レンズの光軸に沿って移動可能であり、かつ、前記受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する撮像素子とを含み、
前記撮像部と一体化されて、前記撮像対象に向けて照明光を発する照明部をさらに備え、
前記照明部の中央には、前記受光レンズ保持部の内口径よりも小さい径を有する開口部が形成される、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、
前記撮像部と前記照明部とを収納する筐体をさらに備え、
前記筐体は、耐水性を有する材質により構成されて、密閉構造を有し、少なくとも前記照明部が前記照明光を投光する側に透明材が設けられる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記受光レンズは、交換可能である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、
前記撮像素子を搭載し、かつ、前記光軸に沿って移動可能な第1の基板と、
前記撮像素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を搭載する第2の基板と、
前記第1および第2の基板が一体となって移動可能なように、前記第1および第2の基板を接続する接続部材とをさらに含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像部は、
前記光軸と平行に前記第1および第2の基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトをさらに含む、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像部は、
前記撮像素子を前記受光レンズに向き合う側の第1の主表面に搭載し、かつ、前記光軸に沿って移動可能な基板と、
前記基板の前記第1の主表面の裏面側となる第2の主表面上に搭載されて、前記撮像素子を駆動する駆動回路とをさらに含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像部は、
前記光軸と平行に前記基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトをさらに含む、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記照明部は、前記受光レンズ保持部に対して前記撮像対象側に設けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
受光レンズと、
前記受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子を搭載する第1の基板と、
前記撮像素子を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路を搭載する第2の基板と、
前記第1および第2の基板が一体となって移動可能なように、前記第1および第2の基板を接続する接続部材と、
前記光軸と平行に前記第1および第2の基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトとを備える、撮像装置。
【請求項10】
受光レンズと、
前記受光レンズにより結像した撮像対象を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子を前記受光レンズに向き合う側の第1の主表面に搭載する基板と、
前記基板の前記第1の主表面の裏面側となる第2の主表面上に搭載されて、前記撮像素子を駆動する駆動回路と、
前記光軸と平行に前記基板を貫通する、移動用のガイドとなるシャフトとを備える、撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置は、視覚センサに用いられる、請求項1から10のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−214682(P2007−214682A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30035(P2006−30035)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】