撮像装置
【課題】簡単な構成で可変絞り機構の精度を確保しながらも作業性良く組み立てることができ、良好な光学特性が得られる小型化の撮像装置を提供すること。
【解決手段】本発明の撮像装置1は、撮像用の2重焦点レンズ19と、この2重焦点レンズ19の絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構31と、前記2重焦点レンズ19と前記可変絞り機構31とを接続するための接続部35と、を有する可変絞りユニット30を具備している。
【解決手段】本発明の撮像装置1は、撮像用の2重焦点レンズ19と、この2重焦点レンズ19の絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構31と、前記2重焦点レンズ19と前記可変絞り機構31とを接続するための接続部35と、を有する可変絞りユニット30を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、具体的には内視鏡の対物光学系用のレンズに可変絞り機構を設けて構成した撮像ユニットを有する内視鏡用の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療分野等で広く利用されている。内視鏡は、例えば、体腔内に細長い挿入部を挿入することによって、体腔内の臓器等を観察したり、必要に応じて処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をすることができる。挿入部の先端には、湾曲部が設けられ、内視鏡の操作部を操作することによって、先端部の観察窓の観察方向を変更させることができる。
【0003】
このような内視鏡、及び超小型カメラ等に用いられる撮像装置は、小型化の必要性から、1つの焦点距離(固定焦点)を持つレンズ構成とされるが、可変絞りを備えている場合には、この可変絞りの開口量を小さくすることにより、フォーカス距離を近距離側へと移動させることができるようになっている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、固定焦点となるように形成されたレンズ部と、レンズ部からの光を絞るための回動部材を有する可変絞りと、レンズ部の前後方向に移動させるための駆動手段とを有し、この駆動手段によって回動部材の回動に連動して前記レンズ部を前後方向に進退移動させるようにした撮像装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−318987号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の撮像装置は、可変絞りを用いると焦点位置が変わるので、このような光学特性に対応した2重焦点レンズ(多重焦点レンズともいう)を設けて焦点位置を合わせるか、又は、前記特許文献1に開示されているようにレンズを移動させて焦点位置を合わせないと、十分な光学特性を確保することが困難である。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されている従来技術では、レンズを移動させるための駆動手段が必要であるため、撮像ユニット自体が大きくなってしまい、小型化、細径化が要求される撮像装置には好ましくない。
【0007】
また、可変絞りを形成する可変絞り機構は、各部材の強度が小さく、且つ構造が複雑である。このため、2重焦点レンズを設けた撮像ユニット内に、可変絞り機構を実装する場合に、十分な光学特性を得ようとするためには、前記2重焦点レンズに対し、可変絞り機構の精度を確保しながら位置決めを行わなくてはならず、また容易に組み立てることができず作業性も煩雑であるといった問題点がある。
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で可変絞り機構の精度を確保しながらも作業性良く組み立てることができ、良好な光学特性が得られる小型化の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像用のレンズと、前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、
を有する可変絞りユニットを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で可変絞り機構の精度を確保しながらも作業性良く組み立てることができ、良好な光学特性が得られる小型化の撮像装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
(実施例1)
図1から図9は本発明の撮像装置の実施例1を示し、図1は撮像装置を内視鏡挿入部の先端部に設けた場合の先端部の断面図、図2は図1の可変絞りユニットの製造方法を説明するための説明図、図3は図1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図、図4は図3の可変絞りユニットの分解組み立て図、図5から図9は可変絞りユニットの絞り動作を説明するための説明図であり、図5は絞り羽根部の絞り込み状態を示し、図6は絞り羽根部の開放状態をそれぞれ示している。また、図7は図5の絞り込み状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示し、図8は図7に示す絞り込み状態から開放状態に達するまでの絞り羽根部の中間状態である可変絞り機構の外観構成を示し、図9は図6の開放状態に対応した可変絞り機構の外観構成をそれぞれ示している。
尚、本実施例では、本発明に係る撮像装置を内視鏡に用いて構成した場合について説明するが、本発明に係る撮像装置はこれに限定されるものではなく、その他の小型カメラ等の撮像機器についても適用可能である。
【0012】
図1に示すように、本実施例の撮像装置1は、例えば内視鏡の内視鏡挿入部(以下、挿入部と称す)2を構成する、硬質の先端部2A内に設けられている。
尚、この内視鏡は、使用時には、図示はしないが、ビデオプロセッサ、光源装置、及びモニター等の機器が接続されることより、内視鏡システムとして構成される。また、このような内視鏡システムにおいて、内視鏡は、可撓性を有する細長の挿入部2と、この挿入部2の基端側に接続された操作部(図示せず)と、この操作部(図示せず)の側部から延出され、先端部2A内に設けられた撮像手段である撮像装置1に接続する信号ケーブル27、及び光源装置からの照明光を伝達するライトガイドファイバ(図示せず)などを内蔵したユニバーサルコード(図示せず)と、このユニバーサルコードの端部に設けられ、光源装置及びビデオプロセッサと着脱可能な接続部分であるコネクタ部(図示せず)と、を有している。
【0013】
挿入部2は、先端に形成された硬質の先端部2Aと、この先端部2Aの基端部に形成される湾曲可能な湾曲部(図示せず)と、この湾曲部の基端部から操作部まで形成される細長で可撓性を有する可撓管部(図示せず)と、を有して構成されている。
【0014】
また、挿入部2内には、照明光を伝達するライトガイドファイバ(図示せず)が挿通されている。このライトガイドファイバは、操作部を介してユニバーサルコード内に挿通され、基端部が図示しない光源装置のライトガイドコネクタに接続されている。
【0015】
また、このライトガイドファイバの先端部分は、先端部2A内において固定されている。尚、先端部2Aの先端部分には、照明光学系である照明ユニットの照明窓(図示せず)が配設され、ライトガイドファイバから照明窓(図示せず)を介して照明光が出射される。また、先端部2Aの先端面には先端カバー3が設けてある。
【0016】
また、挿入部2内には、例えば、医療器具としての鉗子等の処置具を挿通可能とする程度の内周長を有する管路である処置具チャンネル(鉗子チャンネルともいう)10が設けてあり、この処置具チャンネル10の先端は、先端カバー3の先端面において開口している。
【0017】
この処置具チャンネル10は、挿入部2の基端側において分岐し、一方は図示はしないが操作部に配設される処置具挿入口まで挿通している。また他方は、挿入部2及びユニバーサルコード(図示せず)内を通って吸引チャンネルに連通し、その基端が図示はしないがコネクタ部を介して吸引手段に接続される。このことにより、処置具チャンネル10は、処置具を挿通したり、又は、先端面の開口を介して体腔内の液体を吸引したりすることができるようになっている。
【0018】
また、先端カバー3の先端面には、送気操作、送水操作によって後述する観察光学系の外表面(観察窓)を形成する先端レンズ17に向けて洗滌液体、又は気体を噴出するための送気送水ノズル(図示せず)が設けられている。
【0019】
次に、撮像装置1を有する先端部2Aの具体的な構成について説明する。
図1に示すように、内視鏡の先端部2A内には、前記したように撮像装置1を構成する撮像ユニット11が設けられている。尚、撮像ユニット11の具体的な構成は後述する。
【0020】
また、先端部2Aの先端側には先端カバー3が設けられている。この先端カバー3は、硬質な導電性材料、例えば金属で形成されると共に、複数孔部(図示せず)が形成された円柱部材4に配設されている。この円柱部材4の基端側には、環状の補強環6が固定されている。
【0021】
そして、円柱部材4、補強環6の外周には、それらの外周を覆うように外皮5が被せられている。この外皮5は、先端カバー3の基端側を介して、先端部2A、湾曲部(図示せず)、及び可撓管部(図示せず)から構成される挿入部2の全長に渡って一体となるように被服しており、その先端外周部分が先端部2Aにおいて接着部5aにより固着されている。
【0022】
先端部2A内の円柱部材4に形成された複数の孔部のうち、1つの孔部が処置具チャンネル10の先端部分を形成し、残りの孔部には、撮像ユニット11、図示しない2つの照明ユニット、及び送気送水ノズルがそれぞれ、配置されている。
【0023】
この場合、例えば複数の孔部のうち、2つ孔部には、先端側から図示しない照明ユニットがそれぞれ嵌装され、この照明ユニットの基端部分に図示しないライトガイドファイバの先端部分がそれぞれ嵌装される。尚、2つの照明ユニット(図示せず)は、各照明レンズの最先端となり、照明窓を構成する照明レンズをそれぞれ有している。
【0024】
また、複数の孔部の内、1つの後部には、撮像ユニット11の先端レンズ(観察窓に相当)17等を固定する第1レンズ枠13が嵌装されており、この先端レンズ17が先端面の面上に露出するように配設されている。
【0025】
本実施例において、撮像ユニット11は、後述する可変絞りユニット30を有するレンズユニット11Aと、CCD(Chage Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子23と、回路基板24と、を有している。
【0026】
レンズユニット11Aは、図1に示すように、第1〜第4レンズ群18〜21と、第1、第3、第4レンズ枠13、14、15と、前記第2レンズ19、及び可変絞り機構31を含んで構成される可変絞りユニット30と、を有して構成されている。
【0027】
本実施例においては、先端レンズ(観察窓に相当)17を含む2つの対物レンズからなる第1レンズ群18が第1レンズ枠13に保持されている。
【0028】
また、第2のレンズである2重焦点レンズ19が可変絞り機構31に固定された状態で第3レンズ枠14に保持されている。すなわち、2重焦点レンズ19を有する可変絞りユニット30は、2重焦点レンズ19が第3レンズ枠14に保持されることによって固定されるようになっている。
また、2つの対物レンズからなる第3レンズ群20が第3レンズ枠14に保持され、1つの対物レンズからなる第4レンズ21が第4レンズ枠15に保持されている。
尚、前記可変絞りユニット30の具体的な構成については後述する。
撮像素子23は、第4レンズ枠15最基端にある対物レンズの基端側に並設されるカバーガラス22が受光面側に設けられ、回路基板24に光学像に対応する電気信号を出力する。この回路基板24は、電気部品及び配線パターンを有し、撮像素子23からの光学像を電気的な画像信号に光電変換を行い、その画像信号を信号ケーブル27に出力する。尚、回路基板24は、信号ケーブル27の複数の信号線25が半田附け等の手段によって接続されている。
【0029】
カバーガラス22、撮像素子23、回路基板24、及び信号ケーブル27の先端部分は、夫々の外周部が一体的に絶縁封止樹脂などの接着部(図中の破線部分)により覆われ、補強用円環部16及び絶縁チューブ14Aにより被覆されている。この絶縁チューブ14Aは、撮像ユニット11の先端部の第1のレンズ枠13の基端側から信号ケーブル27を挿通する接続管の全長に渡って、第4のレンズ枠15、補強用円遠環部16等を被覆している。
【0030】
また、信号ケーブル27は、撮像ユニット11の撮像素子23、及び回路基板24にて取得した画像信号を、図示はしないがコネクタ部を介してビデオプロセッサ内の信号処理回路に伝送する。
【0031】
また、信号ケーブル27は、前記可変絞りユニット30の可変絞り機構31の制御用の信号線26を有している。この信号線26の先端部は、図1に示すように、撮像ユニット11内部に配されて前記可変絞りユニット30の可変絞り機構31に電気的に接続されている。一方、信号線26の基端部は、前記信号ケーブル27と同様に、図示はしないがコネクタ部を介してビデオプロセッサ内の駆動制御手段に電気的に接続されている。
【0032】
本実施例の撮像ユニット11においては、第1のレンズ群18と、第3のレンズ群20との間には、2重焦点レンズ19を有する可変絞りユニット30が設けられている。
この可変絞りユニット30の具体的な構成、及び製造方法について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0033】
図1、及び図2に示すように、可変絞りユニット30は、レンズ(対物レンズ)である2重焦点レンズ19と、可変絞り機構31と、この可変絞り機構31の駆動が可能な面側に前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35と、を有して構成されている。
【0034】
尚、可変絞り機構31の駆動が可能な面側とは、可変絞り機構31の駆動、つまり、絞り開口径を可変することができるように前記2重焦点レンズが接続部35によって固定された可変絞り機構31の面部を意味し、本実施例では、可変絞り機構31の出射面側としている。
【0035】
2重焦点レンズ19は、図2に示すように、多重レンズの特性を有するものであって、レンズの最大径がΦ0であり、可変絞り機構31の絞りを絞った状態の絞り内径Φに対応する径を有する凸レンズ部分を形成するように構成されている。尚、本実施例では、レンズ(対物レンズ)として、2重焦点レンズ19を用いて可変絞りユニット30を構成したが、これに限定されるものではなく、他の対物レンズ等のレンズを用いて構成しても良い。
【0036】
可変絞り機構31は、具体的な構成については後述するが、主に、絞り開口径を変えるための絞り羽根部32と、この絞り羽根部32を第2の基板34とで挟むようにして装着するもので前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35が出射面側に設けられた第1の基板33と、前記第1の基板33とで前記絞り羽根部32を挟むようにして装着する第2の基板34と、を有して構成されている。
【0037】
そして、前記第1の基板33の出射面側には、前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35が設けられている。この接続部35は、例えば、紫外線(UV光ともいう)の照射によって光重合反応を開始して硬化する特性を有するUV硬化樹脂部材を用いている。したがって、このような特性を有するUV硬化樹脂部材を用いることにより、2重焦点レンズ19を第1の基板33に接続固定するようにしている。尚、本実施例では、接続部35としてUV硬化樹脂部材を用いたが、これに限定されるものではなく、他の接続部材を用いても良い。この場合、接続部35は、光透過性を有するものが望ましい。
【0038】
ここで、図2を参照しながら、可変絞りユニット30の製造方法を説明する。
本実施例では、図2に示すように、可変絞り機構31を構成する第1の基板33の出射面側に接続部35であるUV硬化樹脂部材を塗布し、そして、その接続部35上に重ねるようにして位置決めを行いながら、2重焦点レンズ19の入射面側を貼り付ける。
【0039】
この場合、可変絞り機構31の絞り羽根部32によって絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、絞り羽根部32によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態で、可変レンズ絞り機構31に対する2重焦点レンズ19の位置決めを行う。
2重焦点レンズ19の位置決めとは、絞り羽根部32の絞り開口における長手方向の中心軸Oと2重焦点レンズ19(凸レンズ部分)における焦点位置とを位置させて2重焦点レンズ19の芯出しを行うための位置決めである。
【0040】
その後、2重焦点レンズ19の芯出しを行った状態で、図示しないUV光出射手段により、図2に示すように、2重焦点レンズ19の出射面側の全域からUV光を照射する。このことにより、接続部35のUV硬化樹脂部材は光重合反応を開始して硬化することにより、第1の基板33上に2重焦点レンズ19が芯出しされた状態で固定される。こうして、本実施例の可変絞りユニット30を簡単に製造することができる。
【0041】
次に、本実施例の可変絞りユニット30の可変絞り機構31の具体的な構成について、図3から図6を参照しながら説明する。
【0042】
図3に示すように、可変絞り機構31は、第2の基板34上に設けられたイオン伝導アクチュエータ36の変形特性を利用することによって、第1の基板33と第2の基板34との間に回動可能に装着された絞り羽根部32を回動させて、絞り開口径を変えるようにしている。
【0043】
イオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加により、高分子電解質内の陽イオンが陰極側へと移動し、表裏で膨潤に差が生じることで変形するといった特性を有している。そして、イオン伝導アクチュエータ36は、略円弧形状に形成された板体の両側端部に、円筒状に形成された接合部37を設けて形成されている。これらの接合部37には、後述する駆動軸38、及び固定軸40が挿通されるための挿通孔37aが形成されている。
【0044】
また、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏には、信号線26a、26bがそれぞれ半田等によって電気的に接続される。これら信号線26a、26bは、接合部37近傍で束ねられて一本の信号ケーブル26となり、この信号ケーブル26は、図1に示すように、切り欠き13a、15aを介して撮像ユニット11内部に配されて信号ケーブル27内に挿通される。
【0045】
尚、2つの信号線26a、26bのイオン伝導アクチュエータ36に対する接続位置は、図3に示す接続位置に限定されるものではなく、イオン伝導アクチュエータ36に電圧を印加して変形することができるような接続位置であれば良い。
【0046】
次に、図4の分解組み立て図を参照しながら、可変絞り機構31の組み立て手順、及び構成について説明する。
図4に示すように、第1の基板33には、最大の絞り開口径を形成する固定絞り開口33aと、駆動軸38を摺動しながら移動させるための長穴33bと、回動軸39を固定するための回動軸穴33cと、固定軸40を固定するための固定軸穴33dとが形成されている。
【0047】
また、第2の基板34にも、前記第1の基板33と同様に、固定絞り開口34aと、長穴34bと、回動軸穴34cと、固定軸穴34dとが形成されている。したがって、第1、第2の基板33、34を製造する場合には、同じ形状なので、一度のプレス加工等によって容易に製造可能である。
【0048】
そして、これら第1の基板33と第2の基板34との間に介在する絞り羽根部32は、最小の絞り開口径を有する絞り開口32aと、この絞り開口32aを有する本体の基端側に設けられた回動軸39と、この回動軸39の近傍に設けられた駆動軸38とを有して構成されている。
【0049】
回動軸39は、絞り羽根部32の本体の表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。そして、第1の基板33側に突出する回動軸39は、第1の基板33の固定軸穴33cに嵌合される。また、第2の基板33側に突出する回動軸39は、第2の基板34の回動軸穴34cに嵌合されるようになっている。
【0050】
駆動軸38は、絞り羽根部32の本体の表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33側に突出する駆動軸38は、第1の基板33の長穴33bに挿通される。また、第2の基板33側に突出する駆動軸38は、第2の基板34の長穴34bに挿通され、さらに、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通して係合することができるような長さで形成されている。
【0051】
また、第1の基板33と第2の基板34との間には、本体40aに形成された固定軸40が設けられている。この固定軸40は、本体40aの表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33側に突出する固定軸40は、第1の基板33の固定軸穴33dに嵌合される。また、第2の基板33側に突出する固定軸40は、第2の基板34の固定軸穴34dに挿通され、さらに、イオン伝導アクチュエータ36のもう一方の接合部37の挿通孔37aに挿通して係合することができるような長さで形成されている。
【0052】
上記構成の可変絞り機構31の組み立て手順としては、例えば、図4に示すように、作業者は、第1の基板33の回動軸穴33c、固定軸穴33dに回動軸39、固定軸40をそれぞれ嵌合させると同時に、第1の基板33の長穴33bに絞り羽根部32の駆動軸38を挿通させる。
【0053】
そして、この状態において、作業者は、前記固定軸40を第2の基板34の固定軸穴34dに貫通させると同時に、絞り羽根部32の回動軸39を第2の基板34の回動軸穴34cに嵌合させ、また、駆動軸38を第2の基板34の長穴34bに挿通させる。
【0054】
そして、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36における2つの接合部37の貫通孔37aを、第2の基板34の固定軸穴34cから突出している固定軸40と、長穴34bから突出している駆動軸38とにそれぞれ嵌入させる。
【0055】
その後、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏に、信号ケーブル26の信号線26a、26bをそれぞれ半田等によって電気的に接続する。尚、予め信号線26a、26bをイオン伝導アクチュエータ36に接続しても良い。
このような組み立て手順により、本実施例の可変絞り機構31を簡単に組み付けて製造することが可能となる。
【0056】
次に、本実施例の作用について、図5から図9を参照しながら説明する。
本実施例の撮像装置1は、可変絞りユニット30の可変絞り機構31(イオン伝導アクチュエータ36)に電気的に接続される信号ケーブル26を介して、駆動用信号の電流値を変えることによって、イオン伝導アクチュエータ36の変形作用により絞り開口径を変えるようにしている。
【0057】
尚、実際の操作は、例えば、術者が図示しない内視鏡の操作部に設けられたスイッチを操作することによって行われる。そして、このスイッチの操作信号に基づいて、ビデオプロセッサ内の駆動制御手段(図示せず)が制御されて、駆動用信号の電流値が変わるようになっている。
【0058】
いま、術者が図示しない操作部のスイッチを操作して、可変絞りユニット30に駆動用信号を供給したとする。すると、可変絞りユニット30の可変絞り機構31を構成するイオン伝導アクチュエータ36に信号線26a、26bを介して駆動用信号が流れて電圧が印加される。すると、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧が印加されることにより、例えば図7中に示す円弧形状の内側方向に両側の接合部37が収縮するように変形する。
【0059】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、一方の接合部37が固定軸40に固定されているので、もう一方の接合部37が固定絞り開口34a方向に移動することになる。すなわち、この接合部37に挿通されている駆動軸38が長穴34b、33bの固定絞り開口34a方向に移動することによって、一方が回動軸穴33c、34cに固定されている絞り羽根部32は、図5、及び図7に示すように、第1、及び第2基板33,34の固定絞り開口34a、33a内に配置されるように回動する。
【0060】
このことにより、固定絞り開口34a、33aには、絞り羽根部32の絞り開口32aが配置されることにより、可変絞り機構31の絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、絞り羽根部32によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態となる。
【0061】
次に、術者は、図示しない操作部のスイッチを操作して、ビデオプロセッサの制御により、可変絞りユニット30に供給している駆動用信号を停止したとする。
すると、信号線26a、26bを介して供給されていた駆動用信号は、可変絞り機構31のイオン伝導アクチュエータ36には流れない。このため、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加が停止されることにより、例えば両側の接合部37が、図9中に示す円弧形状の外側方向に伸びて元の状態に戻るように変形する。
【0062】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、一方の接合部37が固定軸40に固定されているので、もう一方の接合部37が第1、及び第2の基板33、34の外周方向に移動することになる。
【0063】
すなわち、この接合部37に挿通されている駆動軸38が長穴34b、33bの外周方向(前記絞り時とは逆方向)に移動することによって、一方が回動軸穴33c、34cに固定されている絞り羽根部32は、図8の移動状態を経て、図6、及び図9に示すように、第1、及び第2基板33,34の固定絞り開口34a、33aから回避する位置に配置されるように回動する。
【0064】
このことにより、固定絞り開口34a、33aは、完全に開放された、最大の絞り開口径となる。
【0065】
したがって、実施例1によれば、組み立て時、又は絞り駆動時に必要な強度を確保でき、また高精度で、作業性良く組み立てることができる小型化の可変絞りユニット30を得ることができる。
また、可変絞りユニット30は、絞り羽根部32によって絞り開口を絞った状態にて2重焦点レンズ19の芯出しを行って、この2重焦点レンズ19と可変絞り機構31との位置決めを行った後に接続部35により固定するので、絞りを絞った状態での絞り内径のばらつきを抑えることが可能となる。よって、このような可変絞りユニット30を用いることにより、良好な光学特性が得られる撮像装置の実現が可能となる。
さらに、小型化の可変絞りユニット30を用いることによって、撮像装置1の小型化にも寄与する。
【0066】
尚、実施例1では、可変絞りユニット30を構成する可変絞り機構31は、第1、第2の基板33、34等の面部材に接続部35を介して2重焦点レンズ19を積層して固定するようにして構成したが、これに限定されることはない。例えば、絞り羽根部32、及び第1、第2の基板33、34を、絞り羽根部32が回動可能に立体的に構成し、この構成した可変絞り機構に2重焦点レンズ19を実施例1と同様に接続部35により積層し固定するようにしても良い。
【0067】
また、実施例1では、可変絞りユニット30は、2重焦点レンズ19が可変絞り機構31の出射面側に設けて構成されているが、これに限定されるものではなく、2重焦点レンズ19を可変絞り機構31の入射面側に設けて構成しても良い。このような場合、光学的に、他の対物レンズの移動、又は追加等の処置が必要となる場合もある。
【0068】
次に、実施例1の可変絞りユニット30の変形例1について、図10から図13を参照しながら説明する。
(変形例1)
図10から図13は実施例1の変形例1を示し、図10は変形例1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図、図11は図10の可変絞りユニットの分解組み立て図、図12及び図13は可変絞りユニットの絞り動作を説明するための説明図であり、図12は絞り羽根部の絞り込み状態を示し、図13は絞り羽根部の開放状態をそれぞれ示している。尚、図10から図13は実施例1と同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0069】
実施例1の可変絞りユニット30では、絞り羽根部32の回動によって、固定絞り絞り開口33a、34aを絞った状態と、絞り開口を開放した状態との2つの絞り実行モードを実行できるが、固定絞り開口33a、34aを徐々に絞ったりすることはできない。このため、変形例1の可変絞りユニット30は、固定絞り開口33a、34a、41aを徐々に絞ったり、開放したりすることができるように構成されている。
【0070】
具体的には、変形例1の可変絞りユニット30は、図10に示すように改良がなされた可変絞り機構31Aを有している。その他の2重焦点レンズ19、接続部35の構成については実施例1と同様である。
【0071】
可変絞り機構31Aは、図10から図13に示すように、実施例1と略同様のイオン伝導アクチュエータ36と、同じく実施例1と略同様の第1〜第3の基板33A、34A、41と、第1、第2の絞り羽根部42、43と、を有して構成されている。
【0072】
すなわち、変形例1の可変絞り機構31Aは、2枚羽根で構成された第1、第2の絞り羽根部42、43を設けたことにより、固定絞り開口33a、34aを徐々に絞ったり、開放したりすることができるように構成している。
【0073】
次に、図11の分解組み立て図を参照しながら、可変絞り機構31Aの組み立て手順、及び構成について説明する。
図11に示すように、変形例1の可変絞り機構31Aは、前記したように実施例1の構成要素の他に、第3の基板41と、2枚羽根である第1、第2の絞り羽根部42、43と、第1、第2のスペーサ44、45と、第1、第2のスペーサ受け部46、47と、第1、第2の駆動軸40、48とを設けて構成されている。
【0074】
第1、及び第2の基板33A、34Aには、さらに回動軸穴33c、34c、固定軸穴33d、34dがそれぞれ設けられている。すなわち、第1、及び第2の基板33A、34Aには、固定軸穴33d、34dと、2つの回動軸穴33c、34cとが設けられていることになる。また、第3の基板41にも、同じように、2つの固定軸穴41cと2つの回動軸穴41cとが設けられている。
【0075】
第1の基板33Aと第2の基板34Aとの間には、第3の基板41が配置される。そして、第1の基板33Aと第3の基板41との間には、図11に示すように、第1の絞り羽根部42、第1、第2のスペーサ44、45、及び第1の固定軸40が配されるようになっている。
【0076】
また、第3の基板41と第2の基板34Aとの間には、第2の絞り羽根部43、第1、第2のスペーサ受け部46、47、及び第2の固定軸48が配されるようになっている。
【0077】
第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43とは、図12、及び図13に示すように、それぞれ半円弧形状に形成された絞り開口42a、43aを有して構成されている。すなわち、これら二つの絞り開口42a、43aが、第1〜第3の基板33A、34A、41内の平面において接触することにより、図12に示すように最小の絞り開口径Φ(図2参照)を形成することが可能である。
【0078】
また、第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43には、回動軸42b、43bがそれぞれ設けられている。尚、第2の絞り羽根部43の回動軸43bは、第1の絞り羽根部42の回動軸42bの向きとは逆方向(図中では下方向で第3の基板41の上面方向)に突出するように形成されている。したがって、第1の絞り羽根部42の回動軸42bは、第2の絞り羽根部43の回動軸43bの向きとは逆方向(図中では上方向で第3の基板41の下面方向)に突出するように形成されている。
【0079】
さらに、第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43には、第1、第2の駆動軸40、48を挿通するための挿通孔42c、43cが設けられている。
【0080】
第1、第2のスペーサ44、45は、それぞれスペーサ本体を有し、これらのスペーサ本体の表裏に突出するように固定軸44a、45aが形成されている。これらの固定軸44a、45aは、第3の基板41に設けられた各固定軸穴41dに挿通した後、第1、第2のスペーサ受け部46、47を介して、第2の基板34Aの各固定軸穴34dに嵌合される。
【0081】
また、第1、第2の駆動軸40、48は、円弧部材に形成された本体40aの表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33A側に突出する第1の駆動軸40は、第1の基板33Aの長穴33bに挿通される。また、第3の基板41側に突出する第1の駆動軸40は、第3の基板41の長穴41b、第2の絞り羽根部43の挿通孔43c、第2の基板34Aの長穴34bを介して挿通され、そして、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通されて係合される。
【0082】
また、第2の基板34A側に突出する第2の駆動軸41は、第2の基板34Aの長穴34bに挿通された後、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通されて係合される。また、第3の基板41側に突出する第2の駆動軸48は、第3の基板41の長穴41b、第1の絞り羽根部42の挿通孔42cを介して、第1の基板33Aの長穴34bに挿通される。
【0083】
この場合、第1の絞り羽根部42の第1の基板33A側の回動軸42bは、第1の基板33Aの回動軸穴33cに嵌合される。また、第1の絞り羽根部42の第3の基板41の回動軸42bは、第3の基板41の回動軸穴41cを介して挿通された後、第2の基板34Aの回動軸穴34cに嵌合される。
【0084】
また、第2の絞り羽根部43の第2の基板34A側の回動軸43bは、第2の基板34Aの回動軸穴34cに嵌合される。また、第2の絞り羽根部43の第3の基板41の回動軸43bは、第3の基板41の回動軸穴41cを介して挿通された後、第1の基板33Aの回動軸穴33cに嵌合される。
【0085】
上記構成の可変絞り機構31Aの組み立て手順としては、前記したように、作業者は、第1の基板33Aと第3の基板41との間に、第1の絞り羽根部42、第1、第2のスペーサ44、45、及び第1の駆動軸40とを順次組み付ける。
【0086】
そして、作業者は、第3の基板41と第2の基板34Aとの間に、第2の絞り羽根部43、第1、第2のスペーサ受け部46、47、及び第2の駆動軸48とを順次組み付ける。 そして、実施例1と同様に、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36における2つの接合部37の貫通孔37aを、第2の基板34Aのそれぞれの長穴34bから突出している第1、第2の駆動軸40、48にそれぞれ嵌入させる。
【0087】
その後、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏に、信号ケーブル26の信号線26a、26bをそれぞれ半田等によって電気的に接続する。
このような組み立て手順により、変形例1の可変絞り機構31Aを簡単に組み付けて製造することが可能となる。
【0088】
次に、変形例1の作用について、図12、及び図13を参照しながら説明する。
変形例1においては、可変絞り機構31Aの駆動制御については、略実施例1と同様である。すなわち、術者が図示しない内視鏡の操作部に設けられたスイッチを操作することによって行われる。そして、このスイッチの操作信号に基づいて、ビデオプロセッサ内の駆動制御手段(図示せず)が制御されて、駆動用信号の電流値が変わるようになっている。
【0089】
いま、術者が図示しない操作部のスイッチを操作して、可変絞りユニット30に駆動用信号を供給したとする。すると、可変絞り機構31Aを構成するイオン伝導アクチュエータ36に信号線26a、26bを介して駆動用信号が流れて電圧が印加される。
【0090】
すると、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧が印加されることにより、実施例1と同様に例えば図10中に示す円弧形状の内側方向に両側の接合部37が収縮するように変形する。
【0091】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、双方の接合部37が固定絞り開口34a方向に移動することになる。
すなわち、これらの接合部37に挿通されている第1、第2の駆動軸40、48が長穴34b、33b、41bの固定絞り開口34a方向に移動することによって、第1、第2の絞り羽根部42、43は、回動軸42b、43bを介して回動する。そして、図12に示すように、第1、第2の絞り羽根部42、43の絞り開口42a、43aは、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口34a、33a、41a内にて接合することで、円弧形状の絞り開口を形成する。よって、可変絞り機構31Aの絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、第1、第2の絞り羽根部42、43によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態となる。
【0092】
次に、術者は、図示しない操作部のスイッチを操作して、ビデオプロセッサの制御により、可変絞りユニット30に供給している駆動用信号を停止したとする。
すると、信号線26a、26bを介して供給されていた駆動用信号は、可変絞り機構31Aのイオン伝導アクチュエータ36には流れない。このため、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加が停止されることにより、例えば両側の接合部37が、図10中に示す円弧形状の外側方向に伸びて元の状態に戻るように変形する。
【0093】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、双方の接合部37が第1〜第3の基板33A、34A、41の外周方向に移動することになる。
【0094】
すなわち、この接合部37に挿通されている第1、第2の駆動軸40、48が長穴34b、33b、41bの外周方向(前記絞り時とは逆方向)に移動することによって、第1、第2の絞り羽根部42、43は、図13に示すように、第1〜第3の基板33A,34A、41の固定絞り開口34a、33a、41aから回避する位置へとそれぞれ徐々に離れながら回動軸42b、43bを介して回動する。
【0095】
このことにより、固定絞り開口34a、33a、41aは、完全に開放された、最大の絞り開口径となる。
【0096】
尚、変形例1では、可変絞り機構31Aが図12に示す絞り状態から、図13に示す絞り開放状態の途中において、ビデオプロセッサ内の図示しない駆動制御手段による駆動用信号の電流値を調整したり、駆動用信号の出力の有無を制御すれば、第1、第2の絞り羽根部42、43の回動動作を段階的停止させたり、また、駆動させたり制御できる。
すなわち、第1、第2の絞り羽根部42、43の回動制御を行うことで、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口33a、34a、41aの開口径を変えることが可能となる。
【0097】
したがって、変形例1によれば、可変絞りユニット30は、固定絞り開口33a、34a、41aを徐々に絞ったり、開放したりすることが可能となる。また、可変絞り機構31Aは、2枚羽根の第1、第2の絞り羽根部42、43を設けているので、絞り開口径を形成するための駆動力が大きく、よって、安定した動作性能を確保できる。
さらに、第1、第2の絞り羽根部42、43を設けたことによって、絞り開口径を徐々に調整することができるので、所望する光量が得られる。このため、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口33a、34a、41aの径を小さくすることが可能となり、その結果、2重焦点レンズ19、及び対物レンズの外径を小さくでき、撮像装置1の小型化を図ることも可能となる。その他の効果は実施例1と同様である。
【0098】
(実施例2)
図14から図17は本発明の撮像装置の実施例2を示し、図14は実施例2の撮像装置の断面図、図15は図14のイオン伝導アクチュエータを駆動するための電気回路構成を示すブロック図、図16は図14のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図である。尚、図14から図17は実施例1の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0099】
従来の撮像装置には、ズーム等を行うためのズーム機構を備えたものがある。この種の撮像装置では、ズーム機構のアクチュエータとしてイオン伝導アクチュエータを用いると、このイオン伝導アクチュエータは変位量が少なく、このため、移動レンズ枠の移動範囲も小さくなってしまう。
【0100】
そこで、実施例2の撮像装置1は、同じ特性のイオン伝導アクチュエータを用いても、変位量を大きくすることができるように構成している。
【0101】
具体的には、図14に示すように、撮像装置1を構成する撮像ユニット11Bは、実施例1と略同様に構成されているが、前記変形例1の可変絞りユニット30と、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52と、対物レンズ20aを保持する移動レンズ枠50と、を設けて構成されている。
【0102】
尚、可変絞り機構ユニット30は、前記変形例1にて説明した2枚羽根の第1、第2の絞り羽根部42、43を用いた可変絞り機構31Aを有しており、この可変絞り機構31Aには2重焦点レンズ19ではなく、赤外線カットフィルタ(平板平面レンズ)19Aが接続部35により固定されるようになっている。
また、対物レンズ20aの基端側には、2枚の対物レンズ20bが配置され、両者は共に第3レンズ枠15に保持されている。
【0103】
第1のイオン伝導アクチュエータ51は、図14に示すように、前記可変絞りユニット30Aの基端側の第3レンズ枠15にその外周部分が固定されている。この場合、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変位の支点位置は、移動レンズ枠50に保持されている対物レンズ20aの外径よりも外側に配置されている。
【0104】
また、移動レンズ枠50の先端側には、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57(図16参照)と接触するための突起部50aが形成されている。
【0105】
一方、第2のイオン伝導アクチュエータ52は、図14に示すように、前記移動レンズ枠50の後方で、かつ対物レンズ20bの前方側の第3レンズ枠15の延設部にその外周部分が固定されている。この場合、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変位の支点位置は、前記同様に移動レンズ枠50に保持されている対物レンズ20aの外径よりも外側に配置されている。尚、第3レンズ枠15の延設部は、第2のイオン伝導アクチュエータ52の固定状態を強固なものにしている。
【0106】
第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、図16に示すように、開口51a、52aを有し、また、この開口の中心軸から外周方向にかけて放射状に複数の切り欠き56が設けられることにより、変位線58を介して変位(変形)可能な複数の変形部57を有している。すなわち、これらの変形部57が第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時に撮像ユニット11Aの先端部方向、又は基端部方向に変位することになる。
【0107】
第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52には、それぞれ2本の信号線53a、53bが接続される。これら信号線53は、第3レンズ枠15の貫通孔15b等を介して、ケーブル接続基板54に電気的に接続される。このケーブル接続基板54には、前記可変絞りユニット30Aの信号線26が電気的に接続されている。
【0108】
そして、ケーブル接続基板54の基端部には、信号線55が接続され、この信号線55は、撮像ユニット11A内に配されて、信号ケーブル27内に挿通されるようになっている。
【0109】
図15に前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52を駆動するための電気的な回路構成が示されている。図15に示すように、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、ビデオプロセッサ(図示せず)内の駆動制御部60に信号線53a、53bを介してそれぞれ並列に接続されている。
【0110】
駆動制御部60は電源部62を有し、この電源部62は、例えば、操作部に設けられた切り替えスイッチ61に電気的に接続されている。この切り替えスイッチ61は、2系統の出力端子を有し、これら2系統の出力端子には前記信号線53a、53bが接続されている。すなわち、この切り替えスイッチ61は、スイッチ操作することにより、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52に流れる駆動用信号の極性を反転させることが可能となる。
【0111】
このことにより、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時には、それぞれの変形部57を、撮像ユニット11Bの先端部方向、又は基端部方向に変位させることができ、また、この変位量は、従来と同様の特性のイオン伝導アクチュエータを用いたとしても、従来よりも大きくすることができる。
【0112】
また、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52を、前記電源部62に対してそれぞれの極性を同電位となるように、ケーブル接続基板554を介して並列に接続しているので、前記したように2本の信号線53a、53bを配設するのみで駆動させることが可能となる。このことにより、信号線を配するスペースを少なくすることで、撮像ユニット11Aの小型化にも寄与できる。
【0113】
次に、上記構成の撮像装置の作用について、図14を参照しながら説明する。
図14に示すように、内視鏡の撮像ユニット11Bにおいて、移動レンズ枠50の対物レンズ20aが、基端側の対物レンズ20bよりも最も離れる位置にある状態を初期状態(Tele端位置ともいう)とすると、撮像ユニット11Aは、初期状態となっている。
【0114】
この場合、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、操作部の切り替えスイッチ61によって駆動用信号が供給されて電圧が印加されている。
【0115】
すなわち、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52のそれぞれの変形部57は、その変形特性によって、図14に示すように、撮像ユニット11Bの先端部方向に変形している。
【0116】
このため、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変形部57は、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの周面に接触しながら移動レンズ枠50を、撮像ユニット11Bの先端部方向に移動させる。こうして、移動レンズ枠50は、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変形部57による付勢力によってTele端位置に移動されて配置されるようになっている。
【0117】
次に、術者は、操作部の切り替えスイッチ61を操作してズーミング動作を行うものとする。
【0118】
すると、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52に供給されている駆動信号の極性が反転する。このため、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52のそれぞれの変形部57は、撮像ユニット11Bの基端部方向に変形する(図14中の破線に示す)。
【0119】
このため、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57は、図14中の破線で示すように、移動レンズ枠50の突起部50aに接触しながら移動レンズ枠50を、撮像ユニット11Aの基端部方向に移動させる。こうして、移動レンズ枠50は、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57による付勢力によってWide端位置に移動されて配置される。
【0120】
このように動作する撮像装置1は、前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52として、従来と同様の特性のイオン伝導アクチュエータを用いたとしても、従来の撮像装置よりも変位量が大きくなる。よって、移動レンズ枠50の移動範囲を、従来の移動範囲よりも大きい範囲(Tele端位置からWide端位置までの範囲)となるので、ズーミング性能を向上させることができる。
【0121】
尚、本実施例においては、切り替えスイッチ61によって第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52への駆動用信号の供給を停止することも可能である。したがって、術者によって切り替えスイッチ61を適宜操作して駆動用信号の供給を停止すれば、移動レンズ枠50を、Tele端位置とWide端位置との間の任意の位置に配置させることができる。
【0122】
また、本実施例においては、前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52への駆動制御は、可変絞りユニット30Aの可変絞り制御と連動してなされるようになっている。
【0123】
したがって、実施例2によれば、実施例1と同様な効果が得られる他に、イオン伝導アクチュエータを用いたズーミング機構を有する場合でも、従来よりもイオン伝導アクチュエータの変位量を大きくして、移動レンズ枠の移動範囲も大きくすることができる。このことにより、ズーミング性能の向上化に寄与できるといった効果が得られる。
【0124】
尚、実施例2では、後述する変形例1、変形例2に示すように、イオン伝導アクチュエータに改良を施して構成しても良い。このような変形例1、変形例2を、図17から図20に示す。
【0125】
(変形例1)
図17、及び図18は実施例2の変形例1を示し、図17は変形例1の内視鏡装置の断面図、図18は図17のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図である。尚、図17、及び図18は実施例2の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0126】
実施例2では、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52をレンズ枠(第4レンズ枠)15に固定して、固定絞り開口を形成する複数の変形部57を変形させることによって、移動レンズ枠50を移動させたが、例えば、図17に示すように、撮像ユニット11Cにおいて、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aを、移動レンズ枠50、及び対物レンズ20aに固定し、移動レンズ枠50を移動させるように構成しても良い。
【0127】
この場合、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aは、例えば、図18に示すように、開口51a、52aを有し、また、この開口の近傍に配置された変位線58から外周方向にかけて放射状に複数の切り欠き56が設けられている。
【0128】
この構成により、変位線58を介して変位(変形)可能な複数の変形部57が形成される。すなわち、これらの変形部57が第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時に撮像ユニット11Cの先端部方向、又は基端部方向に変位することになる。
【0129】
また、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aは、図17に示すように、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの入射面側にその開口51a近傍が帖着されるように固定されている。
【0130】
また、第4レンズ枠15の、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aの変形部57の配置位置に対応する位置には、係合溝60、及び係合突起部61が設けられている。この係合溝60には、前記変形部57が接触するための係合部60aが形成されている。また、係合突起部61の表裏には、前記変形部57が接触するための係合部61aが形成されている。
【0131】
すなわち、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aの変形部57は、前記係合溝60、及び係合突起部61の前方側の係合部61aに係合することができるようになっている。
【0132】
一方、第2のイオン伝導アクチュエータ52Aは、図17に示すように、前記移動レンズ枠50の後方にその開口52a近傍が固定されている。
【0133】
そして、第2のイオン伝導アクチュエータ52Aの変形部57は、前記係合突起部61の後方側の係合部61aに係合することができるようになっている。
その他の構成は、実施例2と同様である。
【0134】
したがって、このような変形例1の構成によれば、前記実施例2と同様に駆動用信号の極性を変えたりして第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aの駆動を制御することにより、各変形部57が変形し、係合溝60の係合部60a、又は係合突起部61の係合部61aに接触して移動枠レンズ60を移動させることができる。
【0135】
尚、変形例1では、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aの開口51a、52aは、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの入射光に影響しない開口径にて形成されるようになっている。
【0136】
(変形例2)
図19、及び図20は実施例2の変形例2を示し、図19は変形例2の撮像装置の主要部分の断面図、図20は絞り機能を兼ね備えた図19のイオン伝導アクチュエータの作用を説明するための説明図である。尚、図19、及び図20は実施例2の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0137】
実施例2の撮像装置1では、可変絞りユニット30Aと、ズーミング機構を構成する第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52とを用いて、可変絞り機能、及びズーミング機能を得ていたが、例えば、図19、及び図20に示すように、1つのイオン伝導アクチュエータ70にこれらの可変絞り機能、及びズーミング機能を備えるように構成しても良い。
【0138】
具体的には、図19に示すように、撮像ユニット11Dは、第1レンズ枠13に保持された第1レンズ群18の後方に設けられた固定絞り63を有している。この固定絞り63の出射面側には、開口径が変形によって自在に変えられることのできる絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の外周部が固定されている。
【0139】
尚、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70は、絞り開口である開口70aを有し、この開口70aの開口径が変形特性によつて、例えば、図20に示すように、最小の開口径Φ、又は、この開口径Φよりも大きな開口径Φ1、又は、この開口径よりも大きく最大となる開口径Φ2となるように形成されている。この場合、前記絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70に供給する駆動用信号の電流値を変えることによって、前記したような開口径Φに変えることができる。
【0140】
また、開口径Φを変えるための具体的な構成としては、例えば、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の開口70aの中心軸から外周方向に向けて、3つの切り欠きを設ける。この3つの切り欠きは、図示はしないが開口70aの縁部から外周縁部に到達しない箇所まで形成し、そして、これら切り欠きの基端部から、外周の同じ円弧形状にて所定の長さ分切り欠きを延設することにより、可変絞り変形部を構成する。このことにより、図20に示すように、絞りの開口径Φを変えることができる絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70を実現できる。
【0141】
また、図19に示すように、撮像ユニット11Dは、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の駆動時に、可変絞り変形部と対物レンズ20aが接触するように、この対物レンズ20aを保持している移動レンズ枠50を配設している。
【0142】
すなわち、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70が駆動することによって、変形による可変絞り変形部の付勢力によって移動レンズ枠50を、図19に示すB矢印方向に移動させることが可能である。
【0143】
尚、移動レンズ枠50をTele端位置に戻す場合には、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の駆動を停止するとともに、移動レンズ枠50の基端側の第4レンズ枠15の先端部分に設けられたばね部材71の付勢力によって、移動レンズ枠50を撮像ユニット11Dの先端部方向へと移動させてTele端位置に配置することができるようになっている。
【0144】
したがって、このような変形例2によれば、可変絞りユニット30、及び複雑なズーミング機構を設けなくても、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70のみで可変絞り機能、及びズーミング機能を有する撮像装置1を実現できる。このことにより、撮像装置1のコスト低減、及び小型化に大きく寄与する。
【0145】
以上の実施例に記載した発明は、その実施例、及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、前記実施例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0146】
例えば、実施例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0147】
[付記]
(付記項1)
撮像用のレンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを前記光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0148】
(付記項2)
前記イオン伝導アクチュエータは、
電気的に接続された信号ケーブルを介する通電によって変形する特性を有し、この通電による変形によって前記移動レンズを光軸方向に移動させることを特徴とする付記項1に記載の撮像装置。
【0149】
(付記項3)
前記イオン伝導アクチュエータは、
前記移動レンズの前方側に配置され、前記移動レンズを基端側方向に移動させるための第1のイオン伝導アクチュエータと、
前記移動レンズの後方側に配置され、前記移動レンズを先端側方向に移動させるための第2のイオン伝導アクチュエータと、を有していることをと特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0150】
(付記項4)
前記第1のイオン伝導アクチュエータと、前記第2のイオンアクチュエータとに流れる駆動電流の極性を反転させるように切り替えることにより、前記移動レンズを基端側方向、又は先端側方向に移動させることを特徴とする付記項3に記載の撮像装置。
【0151】
(付記項5)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータは、中央に開口部を有して円弧形状に形成されたもので、その外周部が前記移動レンズを移動自在に保持する鏡枠部材に固定されたことを特徴とする付記項4に記載の撮像装置。
【0152】
(付記項6)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータは、中央に開口部を有して円弧形状に形成されたもので、前記開口近傍には前記移動レンズ、又は前記移動レンズを保持する移動レンズ枠部材が固定されたことを特徴とする付記項4に記載の撮像装置。
【0153】
(付記項7)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータの変形する支点位置は、前記移動レンズの外径よりも外側に配置したことを特徴とする付記項5、又は付記項6に記載の撮像装置。
【0154】
(付記項8)
撮像用のレンズと、前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、を有する可変絞りユニットと、
前記レンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0155】
(付記項9)
撮像用のレンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを前記光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、を有し、
前記イオン伝導アクチュエータは、中央部に前記レンズの絞りの開口径を可変可能な開口部を有し、この開口部の可変状態に連動して前記移動レンズを前記光軸方向に移動させることを特徴とする撮像装置。
【0156】
(付記項10)
前記イオン伝導アクチュエータは、
電気的に接続された信号ケーブルを介する通電によって変形する特性を有し、この通電による変形によって前記開口部を可変させることを特徴とする付記項9に記載の撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の撮像装置の実施例1を示し、撮像装置を内視鏡挿入部の先端部に設けた場合の先端部の断面図。
【図2】図1の可変絞りユニットの製造方法を説明するための説明図。
【図3】図1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図。
【図4】図3の可変絞りユニットの分解組み立て図。
【図5】可変絞りユニットの絞り動作を説明するためのもので、絞り羽根部の絞り込み状態を示す説明図。
【図6】絞り羽根部の開放状態を示す説明図。
【図7】図5の絞り込み状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図8】図7に示す絞り込み状態から開放状態に達するまでの絞り羽根部の中間状態である可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図9】図6の開放状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図10】実施例1の変形例1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図。
【図11】図10の可変絞りユニットの分解組み立て図。
【図12】可変絞りユニットの絞り動作を説明するためのもので、絞り羽根部の絞り込み状態を示す説明図。
【図13】絞り羽根部の開放状態を示す説明図。
【図14】本発明の撮像装置の実施例2を示し、撮像装置の断面図。
【図15】図14のイオン伝導アクチュエータを駆動するための電気回路構成を示すブロック図。
【図16】図14のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図。
【図17】実施例2の変形例1の内視鏡装置の断面図。
【図18】図17のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図。
【図19】実施例2の変形例2の撮像装置の主要部分の断面図。
【図20】絞り機能を兼ね備えた図19のイオン伝導アクチュエータの作用を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0158】
1…撮像装置、
2A…先端部、
2…挿入部、
3…先端カバー、
4…円柱部材、
10…処置具チャンネル、
11A…レンズユニット、
11…撮像ユニット、
19…2重焦点レンズ(多重焦点レンズ)、
22…カバーガラス、
23…撮像素子、
24…回路基板、
25…信号線、
26a、26b…信号線、
27…信号ケーブル、
31…可変絞り機構、
32…絞り羽根部、
32a…開口、
33…第1の基板、
33a…開口、
33b…長穴、
33c…回動軸穴、
33d…固定軸穴、
34…第2の基板、
34c…回動軸穴、
34d…固定軸穴、
34b…長穴、
35…接続部、
36…イオン伝導アクチュエータ、
37…接合部、
37a…挿通孔、
38…駆動軸、
39…回動軸、
40…固定軸、
41…第3の基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に係り、具体的には内視鏡の対物光学系用のレンズに可変絞り機構を設けて構成した撮像ユニットを有する内視鏡用の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内視鏡は、医療分野等で広く利用されている。内視鏡は、例えば、体腔内に細長い挿入部を挿入することによって、体腔内の臓器等を観察したり、必要に応じて処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種処置をすることができる。挿入部の先端には、湾曲部が設けられ、内視鏡の操作部を操作することによって、先端部の観察窓の観察方向を変更させることができる。
【0003】
このような内視鏡、及び超小型カメラ等に用いられる撮像装置は、小型化の必要性から、1つの焦点距離(固定焦点)を持つレンズ構成とされるが、可変絞りを備えている場合には、この可変絞りの開口量を小さくすることにより、フォーカス距離を近距離側へと移動させることができるようになっている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、固定焦点となるように形成されたレンズ部と、レンズ部からの光を絞るための回動部材を有する可変絞りと、レンズ部の前後方向に移動させるための駆動手段とを有し、この駆動手段によって回動部材の回動に連動して前記レンズ部を前後方向に進退移動させるようにした撮像装置に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−318987号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の撮像装置は、可変絞りを用いると焦点位置が変わるので、このような光学特性に対応した2重焦点レンズ(多重焦点レンズともいう)を設けて焦点位置を合わせるか、又は、前記特許文献1に開示されているようにレンズを移動させて焦点位置を合わせないと、十分な光学特性を確保することが困難である。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されている従来技術では、レンズを移動させるための駆動手段が必要であるため、撮像ユニット自体が大きくなってしまい、小型化、細径化が要求される撮像装置には好ましくない。
【0007】
また、可変絞りを形成する可変絞り機構は、各部材の強度が小さく、且つ構造が複雑である。このため、2重焦点レンズを設けた撮像ユニット内に、可変絞り機構を実装する場合に、十分な光学特性を得ようとするためには、前記2重焦点レンズに対し、可変絞り機構の精度を確保しながら位置決めを行わなくてはならず、また容易に組み立てることができず作業性も煩雑であるといった問題点がある。
そこで、本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で可変絞り機構の精度を確保しながらも作業性良く組み立てることができ、良好な光学特性が得られる小型化の撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像用のレンズと、前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、
を有する可変絞りユニットを具備したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成で可変絞り機構の精度を確保しながらも作業性良く組み立てることができ、良好な光学特性が得られる小型化の撮像装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
(実施例1)
図1から図9は本発明の撮像装置の実施例1を示し、図1は撮像装置を内視鏡挿入部の先端部に設けた場合の先端部の断面図、図2は図1の可変絞りユニットの製造方法を説明するための説明図、図3は図1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図、図4は図3の可変絞りユニットの分解組み立て図、図5から図9は可変絞りユニットの絞り動作を説明するための説明図であり、図5は絞り羽根部の絞り込み状態を示し、図6は絞り羽根部の開放状態をそれぞれ示している。また、図7は図5の絞り込み状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示し、図8は図7に示す絞り込み状態から開放状態に達するまでの絞り羽根部の中間状態である可変絞り機構の外観構成を示し、図9は図6の開放状態に対応した可変絞り機構の外観構成をそれぞれ示している。
尚、本実施例では、本発明に係る撮像装置を内視鏡に用いて構成した場合について説明するが、本発明に係る撮像装置はこれに限定されるものではなく、その他の小型カメラ等の撮像機器についても適用可能である。
【0012】
図1に示すように、本実施例の撮像装置1は、例えば内視鏡の内視鏡挿入部(以下、挿入部と称す)2を構成する、硬質の先端部2A内に設けられている。
尚、この内視鏡は、使用時には、図示はしないが、ビデオプロセッサ、光源装置、及びモニター等の機器が接続されることより、内視鏡システムとして構成される。また、このような内視鏡システムにおいて、内視鏡は、可撓性を有する細長の挿入部2と、この挿入部2の基端側に接続された操作部(図示せず)と、この操作部(図示せず)の側部から延出され、先端部2A内に設けられた撮像手段である撮像装置1に接続する信号ケーブル27、及び光源装置からの照明光を伝達するライトガイドファイバ(図示せず)などを内蔵したユニバーサルコード(図示せず)と、このユニバーサルコードの端部に設けられ、光源装置及びビデオプロセッサと着脱可能な接続部分であるコネクタ部(図示せず)と、を有している。
【0013】
挿入部2は、先端に形成された硬質の先端部2Aと、この先端部2Aの基端部に形成される湾曲可能な湾曲部(図示せず)と、この湾曲部の基端部から操作部まで形成される細長で可撓性を有する可撓管部(図示せず)と、を有して構成されている。
【0014】
また、挿入部2内には、照明光を伝達するライトガイドファイバ(図示せず)が挿通されている。このライトガイドファイバは、操作部を介してユニバーサルコード内に挿通され、基端部が図示しない光源装置のライトガイドコネクタに接続されている。
【0015】
また、このライトガイドファイバの先端部分は、先端部2A内において固定されている。尚、先端部2Aの先端部分には、照明光学系である照明ユニットの照明窓(図示せず)が配設され、ライトガイドファイバから照明窓(図示せず)を介して照明光が出射される。また、先端部2Aの先端面には先端カバー3が設けてある。
【0016】
また、挿入部2内には、例えば、医療器具としての鉗子等の処置具を挿通可能とする程度の内周長を有する管路である処置具チャンネル(鉗子チャンネルともいう)10が設けてあり、この処置具チャンネル10の先端は、先端カバー3の先端面において開口している。
【0017】
この処置具チャンネル10は、挿入部2の基端側において分岐し、一方は図示はしないが操作部に配設される処置具挿入口まで挿通している。また他方は、挿入部2及びユニバーサルコード(図示せず)内を通って吸引チャンネルに連通し、その基端が図示はしないがコネクタ部を介して吸引手段に接続される。このことにより、処置具チャンネル10は、処置具を挿通したり、又は、先端面の開口を介して体腔内の液体を吸引したりすることができるようになっている。
【0018】
また、先端カバー3の先端面には、送気操作、送水操作によって後述する観察光学系の外表面(観察窓)を形成する先端レンズ17に向けて洗滌液体、又は気体を噴出するための送気送水ノズル(図示せず)が設けられている。
【0019】
次に、撮像装置1を有する先端部2Aの具体的な構成について説明する。
図1に示すように、内視鏡の先端部2A内には、前記したように撮像装置1を構成する撮像ユニット11が設けられている。尚、撮像ユニット11の具体的な構成は後述する。
【0020】
また、先端部2Aの先端側には先端カバー3が設けられている。この先端カバー3は、硬質な導電性材料、例えば金属で形成されると共に、複数孔部(図示せず)が形成された円柱部材4に配設されている。この円柱部材4の基端側には、環状の補強環6が固定されている。
【0021】
そして、円柱部材4、補強環6の外周には、それらの外周を覆うように外皮5が被せられている。この外皮5は、先端カバー3の基端側を介して、先端部2A、湾曲部(図示せず)、及び可撓管部(図示せず)から構成される挿入部2の全長に渡って一体となるように被服しており、その先端外周部分が先端部2Aにおいて接着部5aにより固着されている。
【0022】
先端部2A内の円柱部材4に形成された複数の孔部のうち、1つの孔部が処置具チャンネル10の先端部分を形成し、残りの孔部には、撮像ユニット11、図示しない2つの照明ユニット、及び送気送水ノズルがそれぞれ、配置されている。
【0023】
この場合、例えば複数の孔部のうち、2つ孔部には、先端側から図示しない照明ユニットがそれぞれ嵌装され、この照明ユニットの基端部分に図示しないライトガイドファイバの先端部分がそれぞれ嵌装される。尚、2つの照明ユニット(図示せず)は、各照明レンズの最先端となり、照明窓を構成する照明レンズをそれぞれ有している。
【0024】
また、複数の孔部の内、1つの後部には、撮像ユニット11の先端レンズ(観察窓に相当)17等を固定する第1レンズ枠13が嵌装されており、この先端レンズ17が先端面の面上に露出するように配設されている。
【0025】
本実施例において、撮像ユニット11は、後述する可変絞りユニット30を有するレンズユニット11Aと、CCD(Chage Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子23と、回路基板24と、を有している。
【0026】
レンズユニット11Aは、図1に示すように、第1〜第4レンズ群18〜21と、第1、第3、第4レンズ枠13、14、15と、前記第2レンズ19、及び可変絞り機構31を含んで構成される可変絞りユニット30と、を有して構成されている。
【0027】
本実施例においては、先端レンズ(観察窓に相当)17を含む2つの対物レンズからなる第1レンズ群18が第1レンズ枠13に保持されている。
【0028】
また、第2のレンズである2重焦点レンズ19が可変絞り機構31に固定された状態で第3レンズ枠14に保持されている。すなわち、2重焦点レンズ19を有する可変絞りユニット30は、2重焦点レンズ19が第3レンズ枠14に保持されることによって固定されるようになっている。
また、2つの対物レンズからなる第3レンズ群20が第3レンズ枠14に保持され、1つの対物レンズからなる第4レンズ21が第4レンズ枠15に保持されている。
尚、前記可変絞りユニット30の具体的な構成については後述する。
撮像素子23は、第4レンズ枠15最基端にある対物レンズの基端側に並設されるカバーガラス22が受光面側に設けられ、回路基板24に光学像に対応する電気信号を出力する。この回路基板24は、電気部品及び配線パターンを有し、撮像素子23からの光学像を電気的な画像信号に光電変換を行い、その画像信号を信号ケーブル27に出力する。尚、回路基板24は、信号ケーブル27の複数の信号線25が半田附け等の手段によって接続されている。
【0029】
カバーガラス22、撮像素子23、回路基板24、及び信号ケーブル27の先端部分は、夫々の外周部が一体的に絶縁封止樹脂などの接着部(図中の破線部分)により覆われ、補強用円環部16及び絶縁チューブ14Aにより被覆されている。この絶縁チューブ14Aは、撮像ユニット11の先端部の第1のレンズ枠13の基端側から信号ケーブル27を挿通する接続管の全長に渡って、第4のレンズ枠15、補強用円遠環部16等を被覆している。
【0030】
また、信号ケーブル27は、撮像ユニット11の撮像素子23、及び回路基板24にて取得した画像信号を、図示はしないがコネクタ部を介してビデオプロセッサ内の信号処理回路に伝送する。
【0031】
また、信号ケーブル27は、前記可変絞りユニット30の可変絞り機構31の制御用の信号線26を有している。この信号線26の先端部は、図1に示すように、撮像ユニット11内部に配されて前記可変絞りユニット30の可変絞り機構31に電気的に接続されている。一方、信号線26の基端部は、前記信号ケーブル27と同様に、図示はしないがコネクタ部を介してビデオプロセッサ内の駆動制御手段に電気的に接続されている。
【0032】
本実施例の撮像ユニット11においては、第1のレンズ群18と、第3のレンズ群20との間には、2重焦点レンズ19を有する可変絞りユニット30が設けられている。
この可変絞りユニット30の具体的な構成、及び製造方法について、図1から図4を参照しながら説明する。
【0033】
図1、及び図2に示すように、可変絞りユニット30は、レンズ(対物レンズ)である2重焦点レンズ19と、可変絞り機構31と、この可変絞り機構31の駆動が可能な面側に前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35と、を有して構成されている。
【0034】
尚、可変絞り機構31の駆動が可能な面側とは、可変絞り機構31の駆動、つまり、絞り開口径を可変することができるように前記2重焦点レンズが接続部35によって固定された可変絞り機構31の面部を意味し、本実施例では、可変絞り機構31の出射面側としている。
【0035】
2重焦点レンズ19は、図2に示すように、多重レンズの特性を有するものであって、レンズの最大径がΦ0であり、可変絞り機構31の絞りを絞った状態の絞り内径Φに対応する径を有する凸レンズ部分を形成するように構成されている。尚、本実施例では、レンズ(対物レンズ)として、2重焦点レンズ19を用いて可変絞りユニット30を構成したが、これに限定されるものではなく、他の対物レンズ等のレンズを用いて構成しても良い。
【0036】
可変絞り機構31は、具体的な構成については後述するが、主に、絞り開口径を変えるための絞り羽根部32と、この絞り羽根部32を第2の基板34とで挟むようにして装着するもので前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35が出射面側に設けられた第1の基板33と、前記第1の基板33とで前記絞り羽根部32を挟むようにして装着する第2の基板34と、を有して構成されている。
【0037】
そして、前記第1の基板33の出射面側には、前記2重焦点レンズ19を固定するための接続部35が設けられている。この接続部35は、例えば、紫外線(UV光ともいう)の照射によって光重合反応を開始して硬化する特性を有するUV硬化樹脂部材を用いている。したがって、このような特性を有するUV硬化樹脂部材を用いることにより、2重焦点レンズ19を第1の基板33に接続固定するようにしている。尚、本実施例では、接続部35としてUV硬化樹脂部材を用いたが、これに限定されるものではなく、他の接続部材を用いても良い。この場合、接続部35は、光透過性を有するものが望ましい。
【0038】
ここで、図2を参照しながら、可変絞りユニット30の製造方法を説明する。
本実施例では、図2に示すように、可変絞り機構31を構成する第1の基板33の出射面側に接続部35であるUV硬化樹脂部材を塗布し、そして、その接続部35上に重ねるようにして位置決めを行いながら、2重焦点レンズ19の入射面側を貼り付ける。
【0039】
この場合、可変絞り機構31の絞り羽根部32によって絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、絞り羽根部32によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態で、可変レンズ絞り機構31に対する2重焦点レンズ19の位置決めを行う。
2重焦点レンズ19の位置決めとは、絞り羽根部32の絞り開口における長手方向の中心軸Oと2重焦点レンズ19(凸レンズ部分)における焦点位置とを位置させて2重焦点レンズ19の芯出しを行うための位置決めである。
【0040】
その後、2重焦点レンズ19の芯出しを行った状態で、図示しないUV光出射手段により、図2に示すように、2重焦点レンズ19の出射面側の全域からUV光を照射する。このことにより、接続部35のUV硬化樹脂部材は光重合反応を開始して硬化することにより、第1の基板33上に2重焦点レンズ19が芯出しされた状態で固定される。こうして、本実施例の可変絞りユニット30を簡単に製造することができる。
【0041】
次に、本実施例の可変絞りユニット30の可変絞り機構31の具体的な構成について、図3から図6を参照しながら説明する。
【0042】
図3に示すように、可変絞り機構31は、第2の基板34上に設けられたイオン伝導アクチュエータ36の変形特性を利用することによって、第1の基板33と第2の基板34との間に回動可能に装着された絞り羽根部32を回動させて、絞り開口径を変えるようにしている。
【0043】
イオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加により、高分子電解質内の陽イオンが陰極側へと移動し、表裏で膨潤に差が生じることで変形するといった特性を有している。そして、イオン伝導アクチュエータ36は、略円弧形状に形成された板体の両側端部に、円筒状に形成された接合部37を設けて形成されている。これらの接合部37には、後述する駆動軸38、及び固定軸40が挿通されるための挿通孔37aが形成されている。
【0044】
また、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏には、信号線26a、26bがそれぞれ半田等によって電気的に接続される。これら信号線26a、26bは、接合部37近傍で束ねられて一本の信号ケーブル26となり、この信号ケーブル26は、図1に示すように、切り欠き13a、15aを介して撮像ユニット11内部に配されて信号ケーブル27内に挿通される。
【0045】
尚、2つの信号線26a、26bのイオン伝導アクチュエータ36に対する接続位置は、図3に示す接続位置に限定されるものではなく、イオン伝導アクチュエータ36に電圧を印加して変形することができるような接続位置であれば良い。
【0046】
次に、図4の分解組み立て図を参照しながら、可変絞り機構31の組み立て手順、及び構成について説明する。
図4に示すように、第1の基板33には、最大の絞り開口径を形成する固定絞り開口33aと、駆動軸38を摺動しながら移動させるための長穴33bと、回動軸39を固定するための回動軸穴33cと、固定軸40を固定するための固定軸穴33dとが形成されている。
【0047】
また、第2の基板34にも、前記第1の基板33と同様に、固定絞り開口34aと、長穴34bと、回動軸穴34cと、固定軸穴34dとが形成されている。したがって、第1、第2の基板33、34を製造する場合には、同じ形状なので、一度のプレス加工等によって容易に製造可能である。
【0048】
そして、これら第1の基板33と第2の基板34との間に介在する絞り羽根部32は、最小の絞り開口径を有する絞り開口32aと、この絞り開口32aを有する本体の基端側に設けられた回動軸39と、この回動軸39の近傍に設けられた駆動軸38とを有して構成されている。
【0049】
回動軸39は、絞り羽根部32の本体の表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。そして、第1の基板33側に突出する回動軸39は、第1の基板33の固定軸穴33cに嵌合される。また、第2の基板33側に突出する回動軸39は、第2の基板34の回動軸穴34cに嵌合されるようになっている。
【0050】
駆動軸38は、絞り羽根部32の本体の表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33側に突出する駆動軸38は、第1の基板33の長穴33bに挿通される。また、第2の基板33側に突出する駆動軸38は、第2の基板34の長穴34bに挿通され、さらに、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通して係合することができるような長さで形成されている。
【0051】
また、第1の基板33と第2の基板34との間には、本体40aに形成された固定軸40が設けられている。この固定軸40は、本体40aの表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33側に突出する固定軸40は、第1の基板33の固定軸穴33dに嵌合される。また、第2の基板33側に突出する固定軸40は、第2の基板34の固定軸穴34dに挿通され、さらに、イオン伝導アクチュエータ36のもう一方の接合部37の挿通孔37aに挿通して係合することができるような長さで形成されている。
【0052】
上記構成の可変絞り機構31の組み立て手順としては、例えば、図4に示すように、作業者は、第1の基板33の回動軸穴33c、固定軸穴33dに回動軸39、固定軸40をそれぞれ嵌合させると同時に、第1の基板33の長穴33bに絞り羽根部32の駆動軸38を挿通させる。
【0053】
そして、この状態において、作業者は、前記固定軸40を第2の基板34の固定軸穴34dに貫通させると同時に、絞り羽根部32の回動軸39を第2の基板34の回動軸穴34cに嵌合させ、また、駆動軸38を第2の基板34の長穴34bに挿通させる。
【0054】
そして、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36における2つの接合部37の貫通孔37aを、第2の基板34の固定軸穴34cから突出している固定軸40と、長穴34bから突出している駆動軸38とにそれぞれ嵌入させる。
【0055】
その後、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏に、信号ケーブル26の信号線26a、26bをそれぞれ半田等によって電気的に接続する。尚、予め信号線26a、26bをイオン伝導アクチュエータ36に接続しても良い。
このような組み立て手順により、本実施例の可変絞り機構31を簡単に組み付けて製造することが可能となる。
【0056】
次に、本実施例の作用について、図5から図9を参照しながら説明する。
本実施例の撮像装置1は、可変絞りユニット30の可変絞り機構31(イオン伝導アクチュエータ36)に電気的に接続される信号ケーブル26を介して、駆動用信号の電流値を変えることによって、イオン伝導アクチュエータ36の変形作用により絞り開口径を変えるようにしている。
【0057】
尚、実際の操作は、例えば、術者が図示しない内視鏡の操作部に設けられたスイッチを操作することによって行われる。そして、このスイッチの操作信号に基づいて、ビデオプロセッサ内の駆動制御手段(図示せず)が制御されて、駆動用信号の電流値が変わるようになっている。
【0058】
いま、術者が図示しない操作部のスイッチを操作して、可変絞りユニット30に駆動用信号を供給したとする。すると、可変絞りユニット30の可変絞り機構31を構成するイオン伝導アクチュエータ36に信号線26a、26bを介して駆動用信号が流れて電圧が印加される。すると、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧が印加されることにより、例えば図7中に示す円弧形状の内側方向に両側の接合部37が収縮するように変形する。
【0059】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、一方の接合部37が固定軸40に固定されているので、もう一方の接合部37が固定絞り開口34a方向に移動することになる。すなわち、この接合部37に挿通されている駆動軸38が長穴34b、33bの固定絞り開口34a方向に移動することによって、一方が回動軸穴33c、34cに固定されている絞り羽根部32は、図5、及び図7に示すように、第1、及び第2基板33,34の固定絞り開口34a、33a内に配置されるように回動する。
【0060】
このことにより、固定絞り開口34a、33aには、絞り羽根部32の絞り開口32aが配置されることにより、可変絞り機構31の絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、絞り羽根部32によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態となる。
【0061】
次に、術者は、図示しない操作部のスイッチを操作して、ビデオプロセッサの制御により、可変絞りユニット30に供給している駆動用信号を停止したとする。
すると、信号線26a、26bを介して供給されていた駆動用信号は、可変絞り機構31のイオン伝導アクチュエータ36には流れない。このため、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加が停止されることにより、例えば両側の接合部37が、図9中に示す円弧形状の外側方向に伸びて元の状態に戻るように変形する。
【0062】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、一方の接合部37が固定軸40に固定されているので、もう一方の接合部37が第1、及び第2の基板33、34の外周方向に移動することになる。
【0063】
すなわち、この接合部37に挿通されている駆動軸38が長穴34b、33bの外周方向(前記絞り時とは逆方向)に移動することによって、一方が回動軸穴33c、34cに固定されている絞り羽根部32は、図8の移動状態を経て、図6、及び図9に示すように、第1、及び第2基板33,34の固定絞り開口34a、33aから回避する位置に配置されるように回動する。
【0064】
このことにより、固定絞り開口34a、33aは、完全に開放された、最大の絞り開口径となる。
【0065】
したがって、実施例1によれば、組み立て時、又は絞り駆動時に必要な強度を確保でき、また高精度で、作業性良く組み立てることができる小型化の可変絞りユニット30を得ることができる。
また、可変絞りユニット30は、絞り羽根部32によって絞り開口を絞った状態にて2重焦点レンズ19の芯出しを行って、この2重焦点レンズ19と可変絞り機構31との位置決めを行った後に接続部35により固定するので、絞りを絞った状態での絞り内径のばらつきを抑えることが可能となる。よって、このような可変絞りユニット30を用いることにより、良好な光学特性が得られる撮像装置の実現が可能となる。
さらに、小型化の可変絞りユニット30を用いることによって、撮像装置1の小型化にも寄与する。
【0066】
尚、実施例1では、可変絞りユニット30を構成する可変絞り機構31は、第1、第2の基板33、34等の面部材に接続部35を介して2重焦点レンズ19を積層して固定するようにして構成したが、これに限定されることはない。例えば、絞り羽根部32、及び第1、第2の基板33、34を、絞り羽根部32が回動可能に立体的に構成し、この構成した可変絞り機構に2重焦点レンズ19を実施例1と同様に接続部35により積層し固定するようにしても良い。
【0067】
また、実施例1では、可変絞りユニット30は、2重焦点レンズ19が可変絞り機構31の出射面側に設けて構成されているが、これに限定されるものではなく、2重焦点レンズ19を可変絞り機構31の入射面側に設けて構成しても良い。このような場合、光学的に、他の対物レンズの移動、又は追加等の処置が必要となる場合もある。
【0068】
次に、実施例1の可変絞りユニット30の変形例1について、図10から図13を参照しながら説明する。
(変形例1)
図10から図13は実施例1の変形例1を示し、図10は変形例1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図、図11は図10の可変絞りユニットの分解組み立て図、図12及び図13は可変絞りユニットの絞り動作を説明するための説明図であり、図12は絞り羽根部の絞り込み状態を示し、図13は絞り羽根部の開放状態をそれぞれ示している。尚、図10から図13は実施例1と同様な構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0069】
実施例1の可変絞りユニット30では、絞り羽根部32の回動によって、固定絞り絞り開口33a、34aを絞った状態と、絞り開口を開放した状態との2つの絞り実行モードを実行できるが、固定絞り開口33a、34aを徐々に絞ったりすることはできない。このため、変形例1の可変絞りユニット30は、固定絞り開口33a、34a、41aを徐々に絞ったり、開放したりすることができるように構成されている。
【0070】
具体的には、変形例1の可変絞りユニット30は、図10に示すように改良がなされた可変絞り機構31Aを有している。その他の2重焦点レンズ19、接続部35の構成については実施例1と同様である。
【0071】
可変絞り機構31Aは、図10から図13に示すように、実施例1と略同様のイオン伝導アクチュエータ36と、同じく実施例1と略同様の第1〜第3の基板33A、34A、41と、第1、第2の絞り羽根部42、43と、を有して構成されている。
【0072】
すなわち、変形例1の可変絞り機構31Aは、2枚羽根で構成された第1、第2の絞り羽根部42、43を設けたことにより、固定絞り開口33a、34aを徐々に絞ったり、開放したりすることができるように構成している。
【0073】
次に、図11の分解組み立て図を参照しながら、可変絞り機構31Aの組み立て手順、及び構成について説明する。
図11に示すように、変形例1の可変絞り機構31Aは、前記したように実施例1の構成要素の他に、第3の基板41と、2枚羽根である第1、第2の絞り羽根部42、43と、第1、第2のスペーサ44、45と、第1、第2のスペーサ受け部46、47と、第1、第2の駆動軸40、48とを設けて構成されている。
【0074】
第1、及び第2の基板33A、34Aには、さらに回動軸穴33c、34c、固定軸穴33d、34dがそれぞれ設けられている。すなわち、第1、及び第2の基板33A、34Aには、固定軸穴33d、34dと、2つの回動軸穴33c、34cとが設けられていることになる。また、第3の基板41にも、同じように、2つの固定軸穴41cと2つの回動軸穴41cとが設けられている。
【0075】
第1の基板33Aと第2の基板34Aとの間には、第3の基板41が配置される。そして、第1の基板33Aと第3の基板41との間には、図11に示すように、第1の絞り羽根部42、第1、第2のスペーサ44、45、及び第1の固定軸40が配されるようになっている。
【0076】
また、第3の基板41と第2の基板34Aとの間には、第2の絞り羽根部43、第1、第2のスペーサ受け部46、47、及び第2の固定軸48が配されるようになっている。
【0077】
第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43とは、図12、及び図13に示すように、それぞれ半円弧形状に形成された絞り開口42a、43aを有して構成されている。すなわち、これら二つの絞り開口42a、43aが、第1〜第3の基板33A、34A、41内の平面において接触することにより、図12に示すように最小の絞り開口径Φ(図2参照)を形成することが可能である。
【0078】
また、第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43には、回動軸42b、43bがそれぞれ設けられている。尚、第2の絞り羽根部43の回動軸43bは、第1の絞り羽根部42の回動軸42bの向きとは逆方向(図中では下方向で第3の基板41の上面方向)に突出するように形成されている。したがって、第1の絞り羽根部42の回動軸42bは、第2の絞り羽根部43の回動軸43bの向きとは逆方向(図中では上方向で第3の基板41の下面方向)に突出するように形成されている。
【0079】
さらに、第1の絞り羽根部42と第2の絞り羽根部43には、第1、第2の駆動軸40、48を挿通するための挿通孔42c、43cが設けられている。
【0080】
第1、第2のスペーサ44、45は、それぞれスペーサ本体を有し、これらのスペーサ本体の表裏に突出するように固定軸44a、45aが形成されている。これらの固定軸44a、45aは、第3の基板41に設けられた各固定軸穴41dに挿通した後、第1、第2のスペーサ受け部46、47を介して、第2の基板34Aの各固定軸穴34dに嵌合される。
【0081】
また、第1、第2の駆動軸40、48は、円弧部材に形成された本体40aの表裏にそれぞれ突出するように形成された円柱部材である。
そして、第1の基板33A側に突出する第1の駆動軸40は、第1の基板33Aの長穴33bに挿通される。また、第3の基板41側に突出する第1の駆動軸40は、第3の基板41の長穴41b、第2の絞り羽根部43の挿通孔43c、第2の基板34Aの長穴34bを介して挿通され、そして、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通されて係合される。
【0082】
また、第2の基板34A側に突出する第2の駆動軸41は、第2の基板34Aの長穴34bに挿通された後、イオン伝導アクチュエータ36の接合部37の挿通孔37aに挿通されて係合される。また、第3の基板41側に突出する第2の駆動軸48は、第3の基板41の長穴41b、第1の絞り羽根部42の挿通孔42cを介して、第1の基板33Aの長穴34bに挿通される。
【0083】
この場合、第1の絞り羽根部42の第1の基板33A側の回動軸42bは、第1の基板33Aの回動軸穴33cに嵌合される。また、第1の絞り羽根部42の第3の基板41の回動軸42bは、第3の基板41の回動軸穴41cを介して挿通された後、第2の基板34Aの回動軸穴34cに嵌合される。
【0084】
また、第2の絞り羽根部43の第2の基板34A側の回動軸43bは、第2の基板34Aの回動軸穴34cに嵌合される。また、第2の絞り羽根部43の第3の基板41の回動軸43bは、第3の基板41の回動軸穴41cを介して挿通された後、第1の基板33Aの回動軸穴33cに嵌合される。
【0085】
上記構成の可変絞り機構31Aの組み立て手順としては、前記したように、作業者は、第1の基板33Aと第3の基板41との間に、第1の絞り羽根部42、第1、第2のスペーサ44、45、及び第1の駆動軸40とを順次組み付ける。
【0086】
そして、作業者は、第3の基板41と第2の基板34Aとの間に、第2の絞り羽根部43、第1、第2のスペーサ受け部46、47、及び第2の駆動軸48とを順次組み付ける。 そして、実施例1と同様に、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36における2つの接合部37の貫通孔37aを、第2の基板34Aのそれぞれの長穴34bから突出している第1、第2の駆動軸40、48にそれぞれ嵌入させる。
【0087】
その後、作業者は、イオン伝導アクチュエータ36の板体の表裏に、信号ケーブル26の信号線26a、26bをそれぞれ半田等によって電気的に接続する。
このような組み立て手順により、変形例1の可変絞り機構31Aを簡単に組み付けて製造することが可能となる。
【0088】
次に、変形例1の作用について、図12、及び図13を参照しながら説明する。
変形例1においては、可変絞り機構31Aの駆動制御については、略実施例1と同様である。すなわち、術者が図示しない内視鏡の操作部に設けられたスイッチを操作することによって行われる。そして、このスイッチの操作信号に基づいて、ビデオプロセッサ内の駆動制御手段(図示せず)が制御されて、駆動用信号の電流値が変わるようになっている。
【0089】
いま、術者が図示しない操作部のスイッチを操作して、可変絞りユニット30に駆動用信号を供給したとする。すると、可変絞り機構31Aを構成するイオン伝導アクチュエータ36に信号線26a、26bを介して駆動用信号が流れて電圧が印加される。
【0090】
すると、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧が印加されることにより、実施例1と同様に例えば図10中に示す円弧形状の内側方向に両側の接合部37が収縮するように変形する。
【0091】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、双方の接合部37が固定絞り開口34a方向に移動することになる。
すなわち、これらの接合部37に挿通されている第1、第2の駆動軸40、48が長穴34b、33b、41bの固定絞り開口34a方向に移動することによって、第1、第2の絞り羽根部42、43は、回動軸42b、43bを介して回動する。そして、図12に示すように、第1、第2の絞り羽根部42、43の絞り開口42a、43aは、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口34a、33a、41a内にて接合することで、円弧形状の絞り開口を形成する。よって、可変絞り機構31Aの絞り開口径を最も小さくして絞りを絞った状態、すなわち、第1、第2の絞り羽根部42、43によって絞り径を図2に示す絞り内径Φにした状態となる。
【0092】
次に、術者は、図示しない操作部のスイッチを操作して、ビデオプロセッサの制御により、可変絞りユニット30に供給している駆動用信号を停止したとする。
すると、信号線26a、26bを介して供給されていた駆動用信号は、可変絞り機構31Aのイオン伝導アクチュエータ36には流れない。このため、このイオン伝導アクチュエータ36は、電圧の印加が停止されることにより、例えば両側の接合部37が、図10中に示す円弧形状の外側方向に伸びて元の状態に戻るように変形する。
【0093】
すると、この変形作用に伴い、イオン伝導アクチュエータ36は、双方の接合部37が第1〜第3の基板33A、34A、41の外周方向に移動することになる。
【0094】
すなわち、この接合部37に挿通されている第1、第2の駆動軸40、48が長穴34b、33b、41bの外周方向(前記絞り時とは逆方向)に移動することによって、第1、第2の絞り羽根部42、43は、図13に示すように、第1〜第3の基板33A,34A、41の固定絞り開口34a、33a、41aから回避する位置へとそれぞれ徐々に離れながら回動軸42b、43bを介して回動する。
【0095】
このことにより、固定絞り開口34a、33a、41aは、完全に開放された、最大の絞り開口径となる。
【0096】
尚、変形例1では、可変絞り機構31Aが図12に示す絞り状態から、図13に示す絞り開放状態の途中において、ビデオプロセッサ内の図示しない駆動制御手段による駆動用信号の電流値を調整したり、駆動用信号の出力の有無を制御すれば、第1、第2の絞り羽根部42、43の回動動作を段階的停止させたり、また、駆動させたり制御できる。
すなわち、第1、第2の絞り羽根部42、43の回動制御を行うことで、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口33a、34a、41aの開口径を変えることが可能となる。
【0097】
したがって、変形例1によれば、可変絞りユニット30は、固定絞り開口33a、34a、41aを徐々に絞ったり、開放したりすることが可能となる。また、可変絞り機構31Aは、2枚羽根の第1、第2の絞り羽根部42、43を設けているので、絞り開口径を形成するための駆動力が大きく、よって、安定した動作性能を確保できる。
さらに、第1、第2の絞り羽根部42、43を設けたことによって、絞り開口径を徐々に調整することができるので、所望する光量が得られる。このため、第1〜第3の基板33A、34A、41の固定絞り開口33a、34a、41aの径を小さくすることが可能となり、その結果、2重焦点レンズ19、及び対物レンズの外径を小さくでき、撮像装置1の小型化を図ることも可能となる。その他の効果は実施例1と同様である。
【0098】
(実施例2)
図14から図17は本発明の撮像装置の実施例2を示し、図14は実施例2の撮像装置の断面図、図15は図14のイオン伝導アクチュエータを駆動するための電気回路構成を示すブロック図、図16は図14のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図である。尚、図14から図17は実施例1の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0099】
従来の撮像装置には、ズーム等を行うためのズーム機構を備えたものがある。この種の撮像装置では、ズーム機構のアクチュエータとしてイオン伝導アクチュエータを用いると、このイオン伝導アクチュエータは変位量が少なく、このため、移動レンズ枠の移動範囲も小さくなってしまう。
【0100】
そこで、実施例2の撮像装置1は、同じ特性のイオン伝導アクチュエータを用いても、変位量を大きくすることができるように構成している。
【0101】
具体的には、図14に示すように、撮像装置1を構成する撮像ユニット11Bは、実施例1と略同様に構成されているが、前記変形例1の可変絞りユニット30と、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52と、対物レンズ20aを保持する移動レンズ枠50と、を設けて構成されている。
【0102】
尚、可変絞り機構ユニット30は、前記変形例1にて説明した2枚羽根の第1、第2の絞り羽根部42、43を用いた可変絞り機構31Aを有しており、この可変絞り機構31Aには2重焦点レンズ19ではなく、赤外線カットフィルタ(平板平面レンズ)19Aが接続部35により固定されるようになっている。
また、対物レンズ20aの基端側には、2枚の対物レンズ20bが配置され、両者は共に第3レンズ枠15に保持されている。
【0103】
第1のイオン伝導アクチュエータ51は、図14に示すように、前記可変絞りユニット30Aの基端側の第3レンズ枠15にその外周部分が固定されている。この場合、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変位の支点位置は、移動レンズ枠50に保持されている対物レンズ20aの外径よりも外側に配置されている。
【0104】
また、移動レンズ枠50の先端側には、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57(図16参照)と接触するための突起部50aが形成されている。
【0105】
一方、第2のイオン伝導アクチュエータ52は、図14に示すように、前記移動レンズ枠50の後方で、かつ対物レンズ20bの前方側の第3レンズ枠15の延設部にその外周部分が固定されている。この場合、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変位の支点位置は、前記同様に移動レンズ枠50に保持されている対物レンズ20aの外径よりも外側に配置されている。尚、第3レンズ枠15の延設部は、第2のイオン伝導アクチュエータ52の固定状態を強固なものにしている。
【0106】
第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、図16に示すように、開口51a、52aを有し、また、この開口の中心軸から外周方向にかけて放射状に複数の切り欠き56が設けられることにより、変位線58を介して変位(変形)可能な複数の変形部57を有している。すなわち、これらの変形部57が第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時に撮像ユニット11Aの先端部方向、又は基端部方向に変位することになる。
【0107】
第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52には、それぞれ2本の信号線53a、53bが接続される。これら信号線53は、第3レンズ枠15の貫通孔15b等を介して、ケーブル接続基板54に電気的に接続される。このケーブル接続基板54には、前記可変絞りユニット30Aの信号線26が電気的に接続されている。
【0108】
そして、ケーブル接続基板54の基端部には、信号線55が接続され、この信号線55は、撮像ユニット11A内に配されて、信号ケーブル27内に挿通されるようになっている。
【0109】
図15に前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52を駆動するための電気的な回路構成が示されている。図15に示すように、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、ビデオプロセッサ(図示せず)内の駆動制御部60に信号線53a、53bを介してそれぞれ並列に接続されている。
【0110】
駆動制御部60は電源部62を有し、この電源部62は、例えば、操作部に設けられた切り替えスイッチ61に電気的に接続されている。この切り替えスイッチ61は、2系統の出力端子を有し、これら2系統の出力端子には前記信号線53a、53bが接続されている。すなわち、この切り替えスイッチ61は、スイッチ操作することにより、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52に流れる駆動用信号の極性を反転させることが可能となる。
【0111】
このことにより、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時には、それぞれの変形部57を、撮像ユニット11Bの先端部方向、又は基端部方向に変位させることができ、また、この変位量は、従来と同様の特性のイオン伝導アクチュエータを用いたとしても、従来よりも大きくすることができる。
【0112】
また、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52を、前記電源部62に対してそれぞれの極性を同電位となるように、ケーブル接続基板554を介して並列に接続しているので、前記したように2本の信号線53a、53bを配設するのみで駆動させることが可能となる。このことにより、信号線を配するスペースを少なくすることで、撮像ユニット11Aの小型化にも寄与できる。
【0113】
次に、上記構成の撮像装置の作用について、図14を参照しながら説明する。
図14に示すように、内視鏡の撮像ユニット11Bにおいて、移動レンズ枠50の対物レンズ20aが、基端側の対物レンズ20bよりも最も離れる位置にある状態を初期状態(Tele端位置ともいう)とすると、撮像ユニット11Aは、初期状態となっている。
【0114】
この場合、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52は、操作部の切り替えスイッチ61によって駆動用信号が供給されて電圧が印加されている。
【0115】
すなわち、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52のそれぞれの変形部57は、その変形特性によって、図14に示すように、撮像ユニット11Bの先端部方向に変形している。
【0116】
このため、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変形部57は、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの周面に接触しながら移動レンズ枠50を、撮像ユニット11Bの先端部方向に移動させる。こうして、移動レンズ枠50は、第2のイオン伝導アクチュエータ52の変形部57による付勢力によってTele端位置に移動されて配置されるようになっている。
【0117】
次に、術者は、操作部の切り替えスイッチ61を操作してズーミング動作を行うものとする。
【0118】
すると、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52に供給されている駆動信号の極性が反転する。このため、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52のそれぞれの変形部57は、撮像ユニット11Bの基端部方向に変形する(図14中の破線に示す)。
【0119】
このため、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57は、図14中の破線で示すように、移動レンズ枠50の突起部50aに接触しながら移動レンズ枠50を、撮像ユニット11Aの基端部方向に移動させる。こうして、移動レンズ枠50は、第1のイオン伝導アクチュエータ51の変形部57による付勢力によってWide端位置に移動されて配置される。
【0120】
このように動作する撮像装置1は、前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52として、従来と同様の特性のイオン伝導アクチュエータを用いたとしても、従来の撮像装置よりも変位量が大きくなる。よって、移動レンズ枠50の移動範囲を、従来の移動範囲よりも大きい範囲(Tele端位置からWide端位置までの範囲)となるので、ズーミング性能を向上させることができる。
【0121】
尚、本実施例においては、切り替えスイッチ61によって第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52への駆動用信号の供給を停止することも可能である。したがって、術者によって切り替えスイッチ61を適宜操作して駆動用信号の供給を停止すれば、移動レンズ枠50を、Tele端位置とWide端位置との間の任意の位置に配置させることができる。
【0122】
また、本実施例においては、前記第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52への駆動制御は、可変絞りユニット30Aの可変絞り制御と連動してなされるようになっている。
【0123】
したがって、実施例2によれば、実施例1と同様な効果が得られる他に、イオン伝導アクチュエータを用いたズーミング機構を有する場合でも、従来よりもイオン伝導アクチュエータの変位量を大きくして、移動レンズ枠の移動範囲も大きくすることができる。このことにより、ズーミング性能の向上化に寄与できるといった効果が得られる。
【0124】
尚、実施例2では、後述する変形例1、変形例2に示すように、イオン伝導アクチュエータに改良を施して構成しても良い。このような変形例1、変形例2を、図17から図20に示す。
【0125】
(変形例1)
図17、及び図18は実施例2の変形例1を示し、図17は変形例1の内視鏡装置の断面図、図18は図17のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図である。尚、図17、及び図18は実施例2の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0126】
実施例2では、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52をレンズ枠(第4レンズ枠)15に固定して、固定絞り開口を形成する複数の変形部57を変形させることによって、移動レンズ枠50を移動させたが、例えば、図17に示すように、撮像ユニット11Cにおいて、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aを、移動レンズ枠50、及び対物レンズ20aに固定し、移動レンズ枠50を移動させるように構成しても良い。
【0127】
この場合、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aは、例えば、図18に示すように、開口51a、52aを有し、また、この開口の近傍に配置された変位線58から外周方向にかけて放射状に複数の切り欠き56が設けられている。
【0128】
この構成により、変位線58を介して変位(変形)可能な複数の変形部57が形成される。すなわち、これらの変形部57が第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52の駆動時に撮像ユニット11Cの先端部方向、又は基端部方向に変位することになる。
【0129】
また、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aは、図17に示すように、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの入射面側にその開口51a近傍が帖着されるように固定されている。
【0130】
また、第4レンズ枠15の、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aの変形部57の配置位置に対応する位置には、係合溝60、及び係合突起部61が設けられている。この係合溝60には、前記変形部57が接触するための係合部60aが形成されている。また、係合突起部61の表裏には、前記変形部57が接触するための係合部61aが形成されている。
【0131】
すなわち、第1のイオン伝導アクチュエータ51Aの変形部57は、前記係合溝60、及び係合突起部61の前方側の係合部61aに係合することができるようになっている。
【0132】
一方、第2のイオン伝導アクチュエータ52Aは、図17に示すように、前記移動レンズ枠50の後方にその開口52a近傍が固定されている。
【0133】
そして、第2のイオン伝導アクチュエータ52Aの変形部57は、前記係合突起部61の後方側の係合部61aに係合することができるようになっている。
その他の構成は、実施例2と同様である。
【0134】
したがって、このような変形例1の構成によれば、前記実施例2と同様に駆動用信号の極性を変えたりして第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aの駆動を制御することにより、各変形部57が変形し、係合溝60の係合部60a、又は係合突起部61の係合部61aに接触して移動枠レンズ60を移動させることができる。
【0135】
尚、変形例1では、第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51A、52Aの開口51a、52aは、移動レンズ枠50の対物レンズ20aの入射光に影響しない開口径にて形成されるようになっている。
【0136】
(変形例2)
図19、及び図20は実施例2の変形例2を示し、図19は変形例2の撮像装置の主要部分の断面図、図20は絞り機能を兼ね備えた図19のイオン伝導アクチュエータの作用を説明するための説明図である。尚、図19、及び図20は実施例2の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0137】
実施例2の撮像装置1では、可変絞りユニット30Aと、ズーミング機構を構成する第1、第2のイオン伝導アクチュエータ51、52とを用いて、可変絞り機能、及びズーミング機能を得ていたが、例えば、図19、及び図20に示すように、1つのイオン伝導アクチュエータ70にこれらの可変絞り機能、及びズーミング機能を備えるように構成しても良い。
【0138】
具体的には、図19に示すように、撮像ユニット11Dは、第1レンズ枠13に保持された第1レンズ群18の後方に設けられた固定絞り63を有している。この固定絞り63の出射面側には、開口径が変形によって自在に変えられることのできる絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の外周部が固定されている。
【0139】
尚、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70は、絞り開口である開口70aを有し、この開口70aの開口径が変形特性によつて、例えば、図20に示すように、最小の開口径Φ、又は、この開口径Φよりも大きな開口径Φ1、又は、この開口径よりも大きく最大となる開口径Φ2となるように形成されている。この場合、前記絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70に供給する駆動用信号の電流値を変えることによって、前記したような開口径Φに変えることができる。
【0140】
また、開口径Φを変えるための具体的な構成としては、例えば、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の開口70aの中心軸から外周方向に向けて、3つの切り欠きを設ける。この3つの切り欠きは、図示はしないが開口70aの縁部から外周縁部に到達しない箇所まで形成し、そして、これら切り欠きの基端部から、外周の同じ円弧形状にて所定の長さ分切り欠きを延設することにより、可変絞り変形部を構成する。このことにより、図20に示すように、絞りの開口径Φを変えることができる絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70を実現できる。
【0141】
また、図19に示すように、撮像ユニット11Dは、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の駆動時に、可変絞り変形部と対物レンズ20aが接触するように、この対物レンズ20aを保持している移動レンズ枠50を配設している。
【0142】
すなわち、この絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70が駆動することによって、変形による可変絞り変形部の付勢力によって移動レンズ枠50を、図19に示すB矢印方向に移動させることが可能である。
【0143】
尚、移動レンズ枠50をTele端位置に戻す場合には、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70の駆動を停止するとともに、移動レンズ枠50の基端側の第4レンズ枠15の先端部分に設けられたばね部材71の付勢力によって、移動レンズ枠50を撮像ユニット11Dの先端部方向へと移動させてTele端位置に配置することができるようになっている。
【0144】
したがって、このような変形例2によれば、可変絞りユニット30、及び複雑なズーミング機構を設けなくても、絞り機能付きイオン伝導アクチュエータ70のみで可変絞り機能、及びズーミング機能を有する撮像装置1を実現できる。このことにより、撮像装置1のコスト低減、及び小型化に大きく寄与する。
【0145】
以上の実施例に記載した発明は、その実施例、及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、前記実施例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0146】
例えば、実施例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0147】
[付記]
(付記項1)
撮像用のレンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを前記光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0148】
(付記項2)
前記イオン伝導アクチュエータは、
電気的に接続された信号ケーブルを介する通電によって変形する特性を有し、この通電による変形によって前記移動レンズを光軸方向に移動させることを特徴とする付記項1に記載の撮像装置。
【0149】
(付記項3)
前記イオン伝導アクチュエータは、
前記移動レンズの前方側に配置され、前記移動レンズを基端側方向に移動させるための第1のイオン伝導アクチュエータと、
前記移動レンズの後方側に配置され、前記移動レンズを先端側方向に移動させるための第2のイオン伝導アクチュエータと、を有していることをと特徴とする付記項2に記載の撮像装置。
【0150】
(付記項4)
前記第1のイオン伝導アクチュエータと、前記第2のイオンアクチュエータとに流れる駆動電流の極性を反転させるように切り替えることにより、前記移動レンズを基端側方向、又は先端側方向に移動させることを特徴とする付記項3に記載の撮像装置。
【0151】
(付記項5)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータは、中央に開口部を有して円弧形状に形成されたもので、その外周部が前記移動レンズを移動自在に保持する鏡枠部材に固定されたことを特徴とする付記項4に記載の撮像装置。
【0152】
(付記項6)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータは、中央に開口部を有して円弧形状に形成されたもので、前記開口近傍には前記移動レンズ、又は前記移動レンズを保持する移動レンズ枠部材が固定されたことを特徴とする付記項4に記載の撮像装置。
【0153】
(付記項7)
前記第1、及び前記第2のイオン伝導アクチュエータの変形する支点位置は、前記移動レンズの外径よりも外側に配置したことを特徴とする付記項5、又は付記項6に記載の撮像装置。
【0154】
(付記項8)
撮像用のレンズと、前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、を有する可変絞りユニットと、
前記レンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【0155】
(付記項9)
撮像用のレンズの光軸方向に移動自在に設けられた移動レンズと、
前記移動レンズを前記光軸方向に移動させるためのイオン伝導アクチュエータを有するズーム機構と、を有し、
前記イオン伝導アクチュエータは、中央部に前記レンズの絞りの開口径を可変可能な開口部を有し、この開口部の可変状態に連動して前記移動レンズを前記光軸方向に移動させることを特徴とする撮像装置。
【0156】
(付記項10)
前記イオン伝導アクチュエータは、
電気的に接続された信号ケーブルを介する通電によって変形する特性を有し、この通電による変形によって前記開口部を可変させることを特徴とする付記項9に記載の撮像装置。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明の撮像装置の実施例1を示し、撮像装置を内視鏡挿入部の先端部に設けた場合の先端部の断面図。
【図2】図1の可変絞りユニットの製造方法を説明するための説明図。
【図3】図1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図。
【図4】図3の可変絞りユニットの分解組み立て図。
【図5】可変絞りユニットの絞り動作を説明するためのもので、絞り羽根部の絞り込み状態を示す説明図。
【図6】絞り羽根部の開放状態を示す説明図。
【図7】図5の絞り込み状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図8】図7に示す絞り込み状態から開放状態に達するまでの絞り羽根部の中間状態である可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図9】図6の開放状態に対応した可変絞り機構の外観構成を示す説明図。
【図10】実施例1の変形例1の可変絞りユニットの外観構成を示す斜視図。
【図11】図10の可変絞りユニットの分解組み立て図。
【図12】可変絞りユニットの絞り動作を説明するためのもので、絞り羽根部の絞り込み状態を示す説明図。
【図13】絞り羽根部の開放状態を示す説明図。
【図14】本発明の撮像装置の実施例2を示し、撮像装置の断面図。
【図15】図14のイオン伝導アクチュエータを駆動するための電気回路構成を示すブロック図。
【図16】図14のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図。
【図17】実施例2の変形例1の内視鏡装置の断面図。
【図18】図17のイオン伝導アクチュエータの構成を示す平面図。
【図19】実施例2の変形例2の撮像装置の主要部分の断面図。
【図20】絞り機能を兼ね備えた図19のイオン伝導アクチュエータの作用を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0158】
1…撮像装置、
2A…先端部、
2…挿入部、
3…先端カバー、
4…円柱部材、
10…処置具チャンネル、
11A…レンズユニット、
11…撮像ユニット、
19…2重焦点レンズ(多重焦点レンズ)、
22…カバーガラス、
23…撮像素子、
24…回路基板、
25…信号線、
26a、26b…信号線、
27…信号ケーブル、
31…可変絞り機構、
32…絞り羽根部、
32a…開口、
33…第1の基板、
33a…開口、
33b…長穴、
33c…回動軸穴、
33d…固定軸穴、
34…第2の基板、
34c…回動軸穴、
34d…固定軸穴、
34b…長穴、
35…接続部、
36…イオン伝導アクチュエータ、
37…接合部、
37a…挿通孔、
38…駆動軸、
39…回動軸、
40…固定軸、
41…第3の基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像用のレンズと、
前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、
前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、
を有する可変絞りユニットを具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記レンズは、
前記可変絞り機構の前記絞りの開口径が絞られたときに、前記レンズの光軸と前記絞り開口径の中心軸とを一致させるようにして位置決めされた状態で前記接続部によって前記可変絞り機構に接続されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記可変絞り機構は、前記絞りの開口径を可変するためのイオン伝導アクチュエータを有していることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記レンズは、2重焦点レンズであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像用のレンズと、
前記レンズの絞りの開口径を可変可能な可変絞り機構と、
前記レンズと前記可変絞り機構とを接続するための接続部と、
を有する可変絞りユニットを具備したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記レンズは、
前記可変絞り機構の前記絞りの開口径が絞られたときに、前記レンズの光軸と前記絞り開口径の中心軸とを一致させるようにして位置決めされた状態で前記接続部によって前記可変絞り機構に接続されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記可変絞り機構は、前記絞りの開口径を可変するためのイオン伝導アクチュエータを有していることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記レンズは、2重焦点レンズであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−244604(P2007−244604A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71656(P2006−71656)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]