説明

撮像装置

【課題】撮像部の清掃対象面内において付着した異物を、容易に且つカメラを損傷する危険性なく的確に除去する撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体像を光電変換する撮像素子近傍に配置された光学部材の表面を清掃する。光学部材表面に沿って接触しながら走査することにより異物を捕獲除去する捕獲部16を含む異物除去機構1と、異物除去機構1の走査により捕獲された異物を捕獲部16から払拭清掃する払拭部22を含む清掃機構2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部の清掃対象面に付着した異物を除去する機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影レンズの焦点面近傍に塵埃等の異物が存在すると、その異物の影が固体撮像素子に写り込んでしまうという問題がある。このような異物は、レンズ交換時に塵埃が外部から侵入したり、カメラ内部でのシャッタやミラーの動作に伴い、その構造部材である樹脂等の微細な磨耗紛が発生することが原因と考えられている。
【0003】
かかる原因で発生した塵埃が、特に固体撮像素子の保護用のカバーガラスとカバーガラスの前面に配設されている赤外カットフィルタや光学ローパスフィルタ(以下、LPFと略す)等の光学フィルタの間に入り込んでしまう場合がある。この場合には、その塵埃を除去するためにカメラを分解しなければならなかった。このため固体撮像素子のカバーガラスと光学フィルタとの間に塵埃が入り込まないように密閉構造にすることは極めて有効なものであった。
【0004】
しかしながら、光学フィルタの固体撮像素子と対向していない側の面に塵埃が付着した場合、それが焦点面の近傍である場合にはその塵埃が影となって固体撮像素子に写り込んでしまうという問題が依然として残っている。
【0005】
そこで、このような問題点を解決するために粘着性を有する清掃棒により、付着している塵埃を清掃対象物から除去するものが知られている(特許文献1参照)。これは棒状部材の一端部にクッション材を介して粘着材を配設し、クッション性と粘着性を併せ持った清掃部を備えた粘着性清掃棒により、固体撮像素子のカバーガラスの表面や光学フィルタの表面に付着した塵埃を取り除くものである。
【0006】
これとは別に、固体撮像素子のカバーガラスの表面もしくは防塵構造の最外面を、シャッタに設置したワイパーで清掃するものがある(特許文献2参照)。このようなカメラ構成にすると、レンズを外さず、またカメラを分解することなく固体撮像素子のカバーガラス表面又は防塵構造の最外面(例えば光学フィルタ表面)に付着した塵埃を除去することができる。更に、吸着性のクリーニングフィルムを受光素子面で摺動走行し、付着した塵埃を除去するというものがある(特許文献3参照)。特許文献2と同様、このようなカメラ構成にすると、レンズを外さず、またカメラを分解することなく固体撮像素子のカバーガラス表面または防塵構造の最外面(例えば光学フィルター表面)に付着した塵埃を除去することができる。また、特許文献3にはクリーニングフィルムをブラシで洗浄するという発明も開示されている。
【0007】
【特許文献1】実開平06-063183号公報
【特許文献2】特開2003−5254号公報
【特許文献3】特開2004−172961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の構成では、固体撮像素子のカバーガラスの表面や光学フィルタの表面に付着した塵埃が少なければ比較的簡単に取り除くことができるが、多くの塵埃が付着した場合には、複数回の除去作業が必要になる。また、このような構成では、粘着性の清掃棒をカメラ内の清掃対象部以外に接触させてしまうとカメラ内部を汚染し、或いは精密な機構部分に誤って挿入してしまい、専門家による修理が必要となるなどの虞がある。
【0009】
また、特許文献2の構成では、ワイパーに塵埃が付着したまま固体撮像素子のカバーガラスの表面や防塵構造の最外面の同じ部分を何度も摩擦するため、固体撮像素子のカバーガラスの表面や防塵構造の最外面を傷つける。その上、ワイパーに付着した塵埃が固体撮像素子のカバーガラスの表面や防塵構造の最外面に再付着したりするという問題がある。
【0010】
また、特許文献3の構成では、クリーニングフィルムを巻き取るスペースが必要であり、カメラが大型化してしまうという問題がある。また、清掃対象である受光素子面近傍にブラシを設置しただけであれば、ブラシによって除去された塵埃が受光素子面に再付着するという問題もある。
【0011】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本願発明の目的は撮像部の清掃対象面内において付着した異物を、容易に且つカメラを損傷する危険性なく的確に除去する。また撮像部の清掃対象面を傷つけることなく、更には除去した異物を撮像部に再付着しないようにすることを可能にした撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体像を光電変換する撮像素子と、この撮像素子近傍に配設された光学部材と、光学部材表面に接触しながら走査することにより異物を捕獲除去する捕獲部を含む異物除去機構と、走査により捕獲された異物を捕獲部から払拭清掃する払拭部を含む清掃機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像部の清掃対象面内において付着した異物を、容易に且つカメラを損傷させることなく、そして撮像部の清掃対象面を傷つけることなく除去することができる。更に、除去した異物を撮像部に再付着しないようにすることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係る異物除去機構1と清掃機構2を備えた撮像装置の概略構成図を示している。図において、101は入射した光のエネルギーを電気信号に変換する撮像部であり、主に固体撮像素子とこの固体撮像素子を保護するカバーガラスとその前面に配設された光学フィルタとから構成されている。102は被写体からの反射光を捉えて、撮像部101に結像させるための複数のレンズ102a,102b等と絞り102cとからなる交換レンズである。104は交換レンズ102を装着するためのマウント部である。
【0015】
106は、入射した光束の一部をファインダ103方向に反射すると共に残りの光束を撮像部101に透過する状態と、全光束を撮像部101に導くべく光束から退避した状態をとりうる主ミラーである。具体的には、ミラーボックス105内で回動することにより2つの状態を取りうる。111は被写体との距離を測定するAFユニットである。110は入射した光束のうち主ミラー106を透過した光束をAFユニット111に導くサブミラーである。112は入射した光束を所望の時間だけ撮像部101に照射させるようにする複数のシャッタ羽根からなるフォーカルプレーンシャッタである。ファインダ103は主ミラー106により上部に反射した光束が結像するフォーカシングスクリーン107と、フォーカシングスクリーン107に結像した像を正立実像にするために内部で像を反射させるプリズム108と、プリズム108から射出された像を適正な倍率で使用者が確認できるようにする接眼レンズ109とから構成されている。
【0016】
撮像部101に付着した異物を除去するための異物除去機構1は、撮像部101とフォーカルプレーンシャッタ112との間に設置されている。清掃機構2は、撮像部101の図1中下側に設けられている。また、撮像装置は撮影モード及びクリーニングモードを切り替えるモード切替スイッチと、異物除去機構動作ボタンとが設けられている。
【0017】
図2は撮像部101とフォーカルプレーンシャッタ112と異物除去機構1と清掃機構2の概略構成を説明するための側方断面図である。ここで、撮像部101は主に次の部材等から構成されている。201は光学ローパスフィルタであり、保持部材202により保持されている。203は固体撮像素子であり、パッケージ部材204に収められ、カバー部材205により保護されている。そして、光学ローパスフィルタ201及びカバー部材205はそれらの間を密閉するためのシール部材206により固定されている。207は固体撮像素子203の接続端子208が接続していると共に、撮像装置100の動作を制御する制御回路を構成する電気素子が搭載されている基板、209は固体撮像素子203を固定するための保持板である。
【0018】
フォーカルプレーンシャッタ112は主に次の部材等から構成されている。211は複数のシャッタ羽根211a,211b,211c,211dから構成された先幕、212は複数のシャッタ羽根から構成された後幕である。213はフォーカルプレーンシャッタ112において先幕211及び後幕212の駆動スペースを分割している中間板である。214は後幕212の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口が設けてある押え板、215は先幕211の押え板であると同時に、撮像のためにその略中央部に開口が設けられているカバー板である。
【0019】
ここで、異物除去機構1は初期状態では位置1aにあり、位置1bまで移動することが可能である。清掃機構2は光学ローパスフィルタ201の図2中下方に配置される。
【0020】
図3は異物除去機構1と清掃機構2を交換レンズ102側の斜め上から見た斜視図である。なお、図3における上下方向は、図1中の上下方向と同一である。異物除去機構1は主に清掃機構2側に繊維が植毛された基体11と、基体11から清掃機構2側に突出した突起部12と、リンク部13とから構成されている。
【0021】
リンク部13は、ガイド軸14に嵌合する穴13a及びガイド軸14に平行に配設されたリードスクリュ15に合わせて切られたネジ穴13bを有する。なお、ガイド軸14は交換レンズ102から撮像部101までを結ぶ光軸500に垂直に設けられている。リードスクリュ15が駆動モータ(図示せず)によって回転すると、異物除去機構1はガイド軸14により回転が抑えられているため、リードスクリュ15の回転数に応じてガイド軸14と同一方向に移動する。なお、これらガイド軸14、駆動モータ等は、本発明のガイド手段及び駆動手段を構成する。
【0022】
清掃機構2は基体21と、基体21に保持されている繊維22(払拭部)と、後に詳述するガイド部23と、ガイド軸24と、ガイド軸24を芯として壁部26と基体21とを引き離す方向に働く圧縮ばね25と、壁部26と壁部27と、押さえ板28とから構成される。ガイド軸24は壁部26と壁部27に交換レンズ102から撮像部101までを結ぶ光軸500に垂直で、且つガイド軸14に垂直に固定されている。基体21はガイド軸24に嵌合しており、ガイド軸24に沿って移動可能である。ただし、基体21は圧縮ばね25により壁部26から引き離す方向に付勢されているため、外力が働かなければ壁部27に当接した状態となる。
【0023】
更に、基体21はガイド軸24を中心に回転可能となっている。また、不図示のばねにより基体21は図中矢印の方向(ガイド軸24を中心に壁部26に向かって時計回り)に付勢されており、外力が働かなければ押さえ板28に当接した状態となる。この状態においてのみ、基体21の繊維22がある面と基体11に植毛された繊維との距離は繊維22の長さよりも短くなる。なお、これらは前述した突起部12と共に本発明の変位手段を構成する。
【0024】
図4及び図5を用いてガイド部23について説明する。図4は異物除去機構1と清掃機構2の撮像部101側から見た背面図である。図5は異物除去機構1と清掃機構2の側面図である。16は基体11に植毛された繊維群(捕獲部)を表しており、繊維群16の幅W1(図5では紙面に対して垂直方向)は、撮像部101の被清掃面の幅W2(図5では紙面に対して垂直方向)よりも広い。12aは突起部12の図4中右側の面であり、12bは図4中左側の面である。
【0025】
23aはガイド部23の図4中右側の面であり、23bはガイド部23の図4中左側の面である。12cは突起部12の図5中右側の面である。21cは基体21の図5中左側の面であり、23cはガイド部23の図5中右側の面である。なお、ガイド部23の説明がし易いように説明に不要な部分は省略してある。図4に示すようにガイド部23の面23aの図4中下端は突起部12の面12aよりも右側にあり、面23bは面12bよりも左側にある。また、図5に示すようにガイド部23の面23cは突起部12の面12cよりも右側にあり、面21cは面12cよりも左側にある。
【0026】
次に、図6及び図7を用いて異物除去機構1と清掃機構2の動きを説明する。図6(A)〜(D)及び図7(A)〜(C)はそれぞれ、異物除去機構1及び清掃機構2を交換レンズ101側から見た図と右側から見た図とが併記されている。これらの図は本実施形態における一連の動作の流れを表しており、図において異物除去機構1が下方向に走行する場合をダウン走行、上方向に走行する場合をアップ走行とする。なお、付番脇の矢印は、それぞれの移動方向を示すものである。
【0027】
先ず、撮像装置をクリーニングモードにし、異物除去動作ボタン(図示せず)を押すと、図2の位置1aにあった異物除去機構1は繊維群16が撮像部101に接触しながらダウン走行(往路)する。このとき異物除去機構1の繊維群16が、撮像部101に付着していた異物を捕獲する。異物除去機構1が撮像部101の下までダウン走行した時、撮像部101に付着していた異物の除去が終了する(図2中の位置1c)。
【0028】
更に異物除去機構1がダウン走行すると、図6(A)のタイミングで突起部12が清掃機構2の基体21に当接する。異物除去機構1がダウン走行を続けると、図6(B)に示すように突起部12が基体21を図6中下方向に押すため、清掃機構2は付勢ばねの弾力に抗して、ガイド軸24を中心に図6右図において反時計回りに回転する。すると、そのまま異物除去機構1がダウン走行を続けても図6(B)に示すように、繊維22の先端は繊維群16よりも図6右図中右側にあるので、繊維22は繊維群16には接触しない。そして、清掃機構2は図3で説明したように、不図示のばねによって図6右図中時計回りに付勢されているため、異物除去機構1がダウン走行中には常に突起部12と基体21は接触している。更に異物除去機構1がダウン走行し、図6(C)のタイミングで、突起部12は基体21から離れる。
【0029】
ここで、清掃機構2は不図示のばねの付勢により図6(A)の位置へと戻り始める。この場合、繊維群16は繊維22よりも図6(C)中下側にあるので、繊維群16は繊維22に接触しない。そして、図6(D)のタイミングで異物除去機構1は清掃機構2の下端よりも下方までダウン走行が完了し、アップ走行へと切り替わる(図2中の位置1b)。
【0030】
異物除去機構1がアップ走行動作を開始して清掃機構2に接触するとき、ガイド部23の図6左図中左下端が突起部12の左端よりも左側にあるため、突起部12はガイド部23の領域内へ導かれる。そして、異物除去機構1がアップ走行を続けると、図7(A)に示すように、突起部12はガイド部23の図7左図中左側の面に接触しながら上昇する。このとき基体21は突起部12によって図7(A)左図中左側に押されるために、圧縮ばね25の弾力に抗してガイド軸24に沿って図7(A)左図中左方向に移動する。また、図7に示すように異物除去機構1がアップ走行動作中は清掃機構2は押さえ板28に当接し、図7右図中時計回りには回転しない。このため繊維22が繊維群16に接した状態のままアップ走行動作が行われ、繊維群16に付着した異物は繊維22によって払い落とされる。このように清掃機構2は繊維群16の復路起端付近1bで、繊維22と繊維群16とが係合するように初期位置に自動復帰するようになっている。
【0031】
この場合、繊維22は繊維群16を下方向に払うため、繊維群16から払われた異物は清掃機構2よりも上方にある撮像部101には指向せず、つまり撮像部101に異物が再付着することはない。そして、図7(C)に示すように、異物除去機構1が清掃機構2の上端よりも上側までアップ走行動作が進むと、圧縮ばね25によって基体21は図6左図中右側に押し戻され、清掃機構2は図6(A)の位置に復帰する。その後、異物除去機構1はアップ走行動作を続けることで、初期位置(図2中の位置1a)まで戻る。このとき繊維群16には異物が付いていないため、撮像部101への異物の再付着や撮像部101を傷つける心配はない。以上で異物除去機構1と清掃機構2の一連の動作の流れが終了する。
【0032】
以上の構成によれば、撮像部101の清掃対象面内において付着した異物を容易に且つ的確に除去することができ、その際カメラを損傷する危険性は全くない。そして撮像部101の清掃対象面を傷つけることなく行ない、更に除去した異物を撮像部101に再付着しないようにすることができる。
【0033】
なお、本実施形態では異物除去機構1に突起部12、清掃機構2にガイド部23を設けたが、異物除去機構1側にガイド部を、清掃機構2側に突起部を設けても構わない。また、本実施形態では清掃機構2を異物除去機構1との接触によりガイド軸24に沿って移動するようにしたが、異物除去機構1にガイド軸を設けて清掃機構2を移動させるようにしても構わない。また、圧縮ばねの代わりに、例えばゴム材等でなる弾性部材を用いても構わない。
【0034】
(第2の実施形態)
図8は本発明の第2の実施形態に係る異物除去機構3を撮像部101側の斜め上から見た斜視図である。なお、図8における上下方向は、図1中の上下方向と同一である。31は基体、32は基体31に植毛された繊維群である。33と34は基体31の繊維群32が設けられた面に掘られた溝である。35はガイド軸36に嵌合する穴35a及びガイド軸36に平行に配設されたリードスクリュ37に合わせて切られたネジ穴35bを有するリンク部である。異物除去機構3の移動方法は第1の実施形態で説明した異物除去機構1と同様であるため、その説明は省略する。また、異物除去機構3及び清掃機構4のカメラにおける基本的位置関係等については、第1の実施形態の異物除去機構1及び清掃機構2をそれぞれ置き換えた場合と実質的に同様であるため適宜、図2等を参照するものとする。
【0035】
ここで、溝33と溝34について図9を用いて説明する。図9(A)は異物除去機構3を図8中上から見た図、図9(B)は異物除去機構3を不図示の撮像部101側から見た図、図9(C)は異物除去機構3を図8中下から見た図である。図9(A)と図9(C)に示すように、溝33は図8中上側になるにつれて溝の深さは浅くなっている。一方、溝34は溝の深さは一定である。また、図9(B)に示すように、溝33と溝34はそれぞれが平行の関係にあり、更に溝33の図9(B)中下端の中点33aと溝34の図9(B)中上端の中点34aがガイド軸36と平行な直線(図9(B)中の点線)上にある。
【0036】
図10は清掃機構4の図1中の下方向から見た構成図である。41は基体、42は基体41に設けられた繊維、43はガイド軸36に垂直で基体31の繊維群32が設けられた面に垂直に、基体41から繊維群32側に突出した突起部、44は基体41から突起部43と逆側に突出したガイド軸である。45はガイド軸44に嵌合する穴46が設けられたベースであり、47は基体41とベース45を引き離す方向に働く圧縮ばねである。48は圧縮ばね47によって図10中上方向に付勢された基体41を押さえる板材である。つまり、基体41は図10中上下方向に板材48から圧縮ばね47の圧縮限界までを移動可能となっている。49は壁部50の間に異物除去機構3のガイド軸36に垂直で、且つ撮像部101の被清掃面に平行に固定されたガイドバーである。ベース45はガイドバー49に嵌合する穴があいており、ガイドバー49に沿って図10中左右方向に移動可能となっている。51はベース45と壁部50との間に設けられた圧縮ばねである。
【0037】
次に、図11及び図12を用いて異物除去機構3と清掃機構4の動きを説明する。図11(A)〜(C)及び図12(A),(B)はそれぞれ、異物除去機構3及び清掃機構4を図10と同一方向から見た図と異物除去機構3及び清掃機構4の概略側面図とが併記されている。これらの図は第2の実施形態における一連の動作の流れを表しており、図において異物除去機構3が下方向に走行する場合をダウン走行、上方向に走行する場合をアップ走行とする。
【0038】
先ず、撮像装置100をクリーニングモードにし、異物除去動作ボタン(図示せず)を押すと、図2の位置1aにあった異物除去機構3は繊維群32が撮像部101に接触しながらダウン走行する。このとき異物除去機構3の繊維群32が、撮像部101に付着していた異物を捕獲する。異物除去機構3が撮像部101の下までダウン走行した時、撮像部101に付着していた異物の除去が終了する(図2中の位置1c)。
【0039】
図11(A)のタイミングで溝33に清掃機構4の突起部43が入る。そのまま異物除去機構3がダウン走行を続けると、突起部43は溝33に沿って移動する。図11の各側面図に示すように、溝33は図11中上方向になるにつれてその溝が浅くなっているので、ダウン走行中は基体41は異物除去機構3から遠ざかっていく。よって、異物除去機構3は繊維42の先端と繊維群32が接触しないでダウン走行を続ける。図11(B)のタイミングで異物除去機構3は清掃機構4の下端まで到達し(図2中の位置1bと位置1cの間の位置)、図11(C)のタイミングで異物除去機構3は清掃機構4の下端よりも下方までダウン走行が完了し、アップ走行へと切り替わる(図2中の位置1b)。
【0040】
ここで、図11(C)に示すように、清掃機構4は圧縮ばね47の付勢力により図11(C)右図中左右方向は図中の矢印(側面図)に示すように、破線で示す位置41aから板材48に規制される位置まで戻る。更に図11(C)に示すように、清掃機構4は圧縮ばね51の付勢力により図11(C)左図中左右方向は初期位置(図12(A)の位置)に戻る。
【0041】
異物除去機構3がアップ走行動作を開始して清掃機構4に接触するとき、溝34に清掃機構4の突起部43が入る。そのまま異物除去機構3がアップ走行を続けると、突起部43は溝34に沿って移動する。溝34は溝の深さが変わらないので、基体41は板材48に規制された位置のままである。ゆえに、異物除去機構3がアップ走行中は基体41と異物除去機構3の距離は変わらず、基体41は図12左図中右方向にのみ移動する。よって、異物除去機構3は繊維42の先端と繊維群32が接触しながらアップ走行を続ける。そして、繊維群32に付着した異物は繊維42によって払い落とされる。
【0042】
この場合、繊維42は繊維群32を下方向に払うため、繊維群32から払われた異物は清掃機構4よりも上方にある撮像部101には指向せず、つまり撮像部101に異物が再付着することはない。そして、図12(B)に示すように、異物除去機構3が清掃機構4の上端に到達したあと(図2中の位置1c)、異物除去機構3が清掃機構4の上端よりも上側までアップ動作が進む。これにより突起部43が溝34から抜けるので、清掃機構4は圧縮ばね51の付勢力により図11(A)の位置まで戻る。その後、異物除去機構3はアップ動作を続け、初期位置(図2中の位置1a)まで戻る。このとき繊維群16には異物が付いていないため、撮像部101への異物の再付着や撮像部101を傷つける心配はない。以上で第2の実施形態における異物除去機構3及び清掃機構4の一連の動作の流れが終了する。
【0043】
以上の構成によれば、撮像部101の清掃対象面内において付着した異物を容易に且つ的確に除去することができ、その際カメラを損傷する危険性は全くない。そして撮像部101の清掃対象面を傷つけることなく行ない、更に除去した異物を撮像部101に再付着しないようにすることができる。
【0044】
なお、本実施形態では異物除去機構3に溝33と溝34、清掃機構4に突起部43を設けたが、異物除去機構3側に突起部、清掃機構4側に溝を設けても構わない。また、本実施形態では清掃機構4を異物除去機構3との接触によりガイド軸49に沿って移動するようにしたが、異物除去機構3にガイド軸を設けて清掃機構4を移動させるようにしても構わない。また、圧縮ばねの代わりに、例えばゴム材等でなる弾性部材を用いても構わない。
【0045】
更に、本実施形態では捕獲部、すなわち繊維群16が撮像装置本体の上下方向に走行し、清掃対象部位の被清掃面の下方に払拭部、すなわち繊維22を配置した例を説明した。この場合に限らず、繊維群16が撮像装置本体の左右方向に走行し、繊維22を被清掃面の左右いずれかの側方に配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る異物除去機構と清掃機構を備えた撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における撮像部とフォーカルプレーンシャッタと異物除去機構と清掃機構の概略構成を示す側方断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における異物除去機構と清掃機構を交換レンズ側から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における異物除去機構と清掃機構の撮像部側から見た背面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における異物除去機構と清掃機構の側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における動作を示すそれぞれ異物除去機構と清掃機構を交換レンズ側から見た図及び右側面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る撮像装置における動作を示すそれぞれ異物除去機構と清掃機構を交換レンズ側から見た図及び右側面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置における異物除去機構を交換レンズ側から見た斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置における異物除去機構の上面図、正面及び底面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置における清掃機構の底面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置における動作を示すそれぞれ異物除去機構と清掃機構の底面図及び側面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る撮像装置における動作を示すそれぞれ異物除去機構と清掃機構の底面図及び側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 異物除去機構、2 清掃機構、11 基体、12 突起部、13 リンク部、14 ガイド軸、15 リードスクリュ、16 繊維群、21 基体、22 繊維、23 ガイド部、24 ガイド軸、25 圧縮ばね、26 壁部、28 押さえ板、31 基体、32 繊維群、33,34 溝、35 リンク部、36 ガイド軸、37 リードスクリュ、41 基体、42 繊維、43 突起部、44 ガイド軸、45 ベース、47 圧縮ばね、49 ガイドバー、50 壁部、101 撮像部、102 交換レンズ、103 ファインダ、104 マウント部、105 ミラーボックス、106 主ミラー、107 フォーカシングスクリーン、108 プリズム、109 接眼レンズ、110 サブミラー、111 AFユニット、112 フォーカルプレーンシャッタ、201 光学ローパスフィルタ、202 保持部材、203 固体撮像素子、204 パッケージ部材、205 カバー部材、206 シール部材、209 保持板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子近傍に配設された光学部材と、
前記光学部材表面に接触しながら走査することにより異物を捕獲除去する捕獲部を含む異物除去機構と、
前記走査により捕獲された異物を前記捕獲部から払拭清掃する払拭部を含む清掃機構とを備えた撮像装置。
【請求項2】
前記異物除去機構を前記光学部材表面に沿って往復動作させるガイド手段と、
前記異物除去機構の往動作もしくは復動作のいずれか一方の動作時に前記払拭清掃を行い、他方の動作時には前記払拭部が前記捕獲部に接触しないように、前記払拭部の該捕獲部に対する相対位置を変位させる変位手段とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記払拭部は前記変位手段により、前記光学部材表面に平行配置された回転軸のまわりに回転可能に支持され、前記異物除去機構の往動作もしくは復動作のいずれか一方の動作によって前記捕獲部と接触しないように回転変位し、他方の動作によっては変位することなく前記捕獲部と接触することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記変位手段として前記異物除去機構に突起部を付設し、この突起部が前記清掃機構の適所に当接することにより前記払拭部を回転変位させることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記払拭部は前記変位手段により、前記光学部材表面に直交配置されたガイド軸に沿って往復動可能に支持され、前記異物除去機構の往動作もしくは復動作のいずれか一方の動作によって前記捕獲部と接触しないように後退変位し、他方の動作によっては変位することなく前記捕獲部と接触することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記変位手段として前記異物除去機構に溝、前記清掃機構に突起部をそれぞれ付設し、前記溝及び前記突起部が係合することにより前記払拭部を後退変位させることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記異物除去機構は撮像装置本体の上下方向に走行し、前記光学部材の下方に前記払拭部を配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−288452(P2007−288452A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112643(P2006−112643)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】