説明

撮像装置

【課題】本発明は、テーブル20を均一の照度で照明することができるとともに、コストダウンを図ることができる資料提示装置10を提供することを課題とする。
【解決手段】資料提示装置10は、テーブル20と、ビデオカメラ30と、照明部33とを備えている。照明部33は、チップ状の発光ダイオードからなる光源34と、光源34とテーブル20との間に介在し光源34から発する光を透過・散乱してテーブル20を照明するための光散乱部材35とを備えている。光散乱部材35は、光源34とテーブル20とを最短距離で結ぶ直線を中心とした光散乱部39を有し、光散乱部39は、第1散乱面39aが第2散乱面39bより光の散乱する度合いを大きく形成し、さらに光を散乱しない非散乱面39cとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被撮像物を載置するテーブルと該テーブル側を撮像方向とするビデオカメラとを備えた撮像装置に関し、詳しくは照明機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の撮像装置として、ビデオカメラを備え、資料を撮像してモニタテレビなどに表示する資料提示装置が知られている。すなわち、資料提示装置では、文書や写真などを撮像しやすいように、資料を載置するテーブルを備え、このテーブルに対してビデオカメラが向くようにして当該カメラを支柱で保持するとともに、撮像時の光量を補うために照明ユニットが装着されている(特許文献1)。従来の装置における照明ユニットは、輝度の低い発光ダイオード(LED)を多数集めて広い範囲からテーブルを均一に照明するようにしているが、多数のLEDを用いているために、配線の複雑化を招いたり、メンテナンスの手間がかかるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−209717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決することを踏まえ、テーブルを均一の照度で照明することができるとともに、配線の簡略化およびメンテナンスの容易化を実現した撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
被撮像物を載置するテーブルと、該テーブル側を撮像方向とするビデオカメラと、テーブルを照明するための照明部とを備えた撮像装置であって、
上記照明部は、チップ状の発光ダイオードからなる光源と、該光源と上記テーブルとの間に介在し上記光源から発する光を透過・散乱してテーブルを照明するための光散乱部材と、
を備え、
上記光散乱部材は、上記光源と上記テーブルとを最短距離で結ぶ直線を中心とした光散乱部を有し、該光散乱部は、上記中心の周辺部分が他の部分より光の散乱する度合いを大きく形成したこと、
を特徴とする。
【0007】
適用例1に記載の撮像装置において、テーブルの上に被撮像物を置いて、ビデオカメラにより被撮像物を撮像して、ディスプレイなどに表示する。このように、テーブルに置いた原稿をディスプレイで表示しつつ原稿を説明するなどのプレゼンテーションを行なうことができる。
また、テーブルは、撮像時に照明部の光源から発する光が光散乱部材を透過することで照明される。光散乱部材は、光源とテーブルとを最短距離で結ぶ直線を中心とした光散乱部を有している。光散乱部は、上記中心の周辺部分が他の部分より光の散乱する度合いを大きく形成したので、チップ型のLEDのような大きな輝度で発行する点光源を用いても、ビデオカメラで撮像したときに、光源の真下のテーブル上の照度が部分的に高くなったスポットを生じることがなく、均一の明るさでテーブルを照明することができる。
また、チップ型のLEDから形成された光源を用いることにより、従来の技術で説明したように、輝度の低いLEDを多数集めた光源を用いた場合と比べて、コストダウンを実現できる。
【0008】
[適用例2]
また、適用例1に記載の撮像装置であって、上記光散乱部は、光を散乱させる凹凸状のシボにより形成することができる。この構成によれば、光散乱部材を射出成形で形成したときに金型のシボの形成により光散乱部を容易に作成することができる。さらに、光散乱部は、同心円上に配置されかつ凹凸形状の違いにより光の散乱する度合いが異なる第1散乱面および第2散乱面を備えている構成をとることができる。この構成により、均一な照明を実現することができる。
【0009】
[適用例3]
適用例1などに記載の撮像装置であって、本発明の他の好適な態様として、上記テーブルは、上記カメラ支持部材を固定する固定部材と、該固定部材の側部にそれぞれ回動可能に支持された展開板を備え、上記ビデオカメラおよび上記照明部は、上記テーブルの中央上方であって、上記固定部材に固定されたカメラ支持部材にそれぞれ装着されている構成をとることができる。この構成により、テーブルの中央上方にビデオカメラおよび照明部を設置したときに、テーブル全体にわたって均一な照明を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1) 資料提示装置10の概略構成
次に、本発明に係る撮像装置の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は実施例としての資料提示装置10の使用状態を示す斜視図、図2はこの資料提示装置10の使用状態を示す側面図、図3は資料提示装置10の収納状態を示す斜視図である。図1に示すように、資料提示装置10は、A4の用紙サイズより大きな面積を有するテーブル20と、ビデオカメラ30および照明部33を先端に搭載したカメラ支持部材40と、展開機構50とを備えている。資料提示装置10の構成により、図3の資料提示装置10の収納状態から、図1および図2のように展開機構50によってテーブル20を使用状態に展開し、テーブル20の上に原稿などを載置し、照明部33でテーブル20上を照らし、ビデオカメラ30により撮像して、ディスプレイにより表示する。このように、テーブル20に置いた原稿をディスプレイで表示しつつプレゼンテーションを行なうことができる。以下、資料提示装置10の各部の構成および動作について説明する。
【0011】
(2) 資料提示装置10の各部の構成
(2)−1 テーブル20
テーブル20は、カメラ支持部材40の下端に固定された固定部材21と、この固定部材21の両側に回転可能に支承された2つの展開板22R,22Lから構成されている。固定部材21および展開板22R,22Lは、合成樹脂製の薄板であり、これらの図には示していないが、その裏面には、補強用の図示しない金属板が固定されている。固定部材21は、その両側に所定長さに亘って凹部が設けられており、ここに、展開板22R,22Lの凸部が嵌り込む。両者の嵌め合い部には、貫通孔が設けられており、ここに、回転軸23R,23Lを挿入することにより、展開板22R,22Lは、固定部材21に対して回転可能になっている。
【0012】
(2)−2 ビデオカメラ30およびカメラ支持部材40
図4はビデオカメラ30を斜め下方から見た状態を示す斜視図である。ビデオカメラ30は、カメラ支持部材40の上部下面に装着されている。カメラ支持部材40は、固定部材21に連結されたベース部41と、このベース部41に回転可能に連設されたアーム部43と、このアーム部43に回転可能に連設されビデオカメラ30を固定するカメラ保持部材45から構成されている。ベース部41内には、展開機構50および電子回路などが収納されている。
【0013】
カメラ保持部材45には、ビデオカメラ30が収納されており、そのビデオカメラ30の撮像レンズ31がカメラ保持部材45の下面に配置されている。また、撮像レンズ31に対してカメラ保持部材45の先端側には、照明部33が設けられている。図5はビデオカメラ30および照明部33の付近を示す断面図である。照明部33は、指向性の強い発光ダイオード(LED)などの点光源からなる光源34と、光源34の光を分散させてテーブル20(図1)の全面にわたって均一な照明を行なうための光散乱部材35とを備えている。この光源34を点灯して光散乱部材35を介してテーブル20の全面に照明するとともに、この反射光をビデオカメラ30により撮像して、出力端子を通じて外部信号を出力する。
【0014】
図6は照明部33を分解した斜視図である。図6において、LEDからなる光源34は、プリント基板33aに固定されており、例えば、日亜化学工業株式会社製;白色チップタイプLED 型名(NS6W083T)を用いることができる。この光源34は、基板上に複数個(例えば、6個)の発光素子を単一のチップ内に配置することに構成されている。
光散乱部材35は、カメラ支持部材40(図5)に装着するための支持基板36と、支持基板36から突設されたカップ形状の光透過部37とを備え、透光性を有するポリカーボネイト(PC)から形成されている。支持基板36は、基板本体36aと、基板本体36aの側端から突設された位置決め片36b,36cと、基板本体36aから裏面側から突設された嵌合突部36dとを備えており、図5に示すように、位置決め片36b,36cおよび嵌合突部36dがカメラ支持部材40の凹所にそれぞれ挿入されることでカメラ支持部材40に位置決めされるとともにねじ止め固定されている。
光透過部37は、支持基板36から突設された円筒状の側壁部38と、側壁部38の下端に一体形成された円板状の光散乱部39とを備えたカップ形状に形成されている。図7は光散乱部材35を示す平面図である。光散乱部39は、光源34とテーブル20とを最短距離に結ぶ直線CPを中心として、第1散乱面39aと、第1散乱面39aと同心円でありかつ第1散乱面39aより外径の大きい第2散乱面39bと、第2散乱面39bと同心円でありかつ第2散乱面39bより外径の大きい非散乱面39cとを備えている。
第1および第2散乱面39a,39bは、シボ加工が施されることで形成された微小の凹凸面になっており、第1散乱面39aが第2散乱面39bより光を散乱させる割合が大きい凹凸面になっている。ここで、光散乱部材35を樹脂の射出成形により形成するシボ加工は、汎用の方法を用いることができる。すなわち、光散乱部39を形成する金型の成形面は、エッチング、電鋳・放電加工を用いて凹凸面とし、この凹凸面を第1散乱面39aおよび第2散乱面39bに転写することにより形成する。ここで、第1散乱面39aは、シボの細いもの、第2散乱面39bは、第1散乱面39aよりもシボの粗いもの、これにより、第1散乱面39aは、第2散乱面39bより光の散乱の割合を大きくしている。また、非散乱面39cは、シボのない平面であり、光の散乱を生じないようにしている。なお、シボは、艶ありタイプで散乱度合いを大きくし、シボの艶なしタイプで散乱度合いを小さくしてもよい。
【0015】
(3) 資料提示装置10の動作
資料提示装置10を使用するには、図3に示すように、資料提示装置10は、テーブル20の展開板22R,22Lがカメラ支持部材40に合わさって閉じられた状態から、展開板22R,22Lを離して、展開板22R,22Lをその自重により回転軸23R,23Lを中心に回動させる。これにより、展開板22R,22Lが開き、図1および図2に示すように載置台に乗ったときに停止する。これにより、資料提示装置10は、使用状態になる。電源コードやディスプレイとの接続をとることの接続を接続するとともに、電源スイッチを入れる。これにより、図8に示すように、光源34からの光が光散乱部材35を通じて展開されたテーブル20上に当てられ、この状態にて、テーブル20に乗せられた資料がビデオカメラ30に撮像される。
【0016】
(4) 実施例の作用効果
上記実施例により、以下の作用効果を奏する。
(4)−1 図5および図8に示すように、光散乱部材35は、光散乱部39に凹凸状のシボを形成し、しかも、照明部33がテーブル20に向かう最短距離の直線から離れるにつれて光の散乱の度合いが小さくなるように、第1散乱面39a、第2散乱面39b、非散乱面39cを配置したので、第1散乱面39a、第2散乱面39b、非散乱面39cを透過した光で照明される領域Ra,Rb,Rcは、直線CPから離れるにつれて照度が小さくなる。よって、資料提示装置10は、ビデオカメラ30で撮像したときに、指向性の高いチップ型のLEDからなる光源34を用いていても、光源34の真下の最短距離の部位におけるテーブル20上の照度が部分的に高くなったスポットを生じることがない。しかも、光散乱部39は、複数の段階で照度を落としているから、テーブル20上での照度の変化をより低減することができる。
【0017】
(4)−2 照明部33は、チップ型のLEDから形成された単一の光源34を用いているので、従来の技術で説明したように、輝度の低いLEDを多数集めて光源した場合と比べて、配線を簡略化し、メンテナンスを容易にすることができる。
【0018】
(4)−3 テーブル20の中央部の固定部材21からカメラ支持部材40を立設して、カメラ支持部材40の上部下面であって、テーブル20の中央上方にビデオカメラ30および照明部33を配置しているので、単一の光源34であっても、テーブル20を均一の照度で照明することができる。
【0019】
(5) 他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(5)−1 上記実施例では、照明部33は、カメラ保持部材45の下面に1つ設けたが、これに限らず、テーブルの上方や側方に複数箇所設定してもよく、その配置および個数は特に限定されない。
(5)−2 光散乱部39は、2段階のシボで形成した第1散乱面39aおよび第2散乱面39bにより構成したが、これに限らず、3以上の多段階、あるいは連続的に光散乱の度合いが異なる構成であってもよい。
(5)−3 上記実施例では、光散乱部39のシボを光散乱部材35の内側面(上面)に形成した構成について説明したが、これに限らず、光散乱部材35の外側面(下面)に形成してもよく、また、内側面および外側面の両方に形成してもよい。また、シボの形状は、円形に限らず、楕円や、テーブルの形状に合わせた4角形であってもよい。
(5)−4 上記実施例では、光散乱部材35の光散乱部39は、シボによる凹凸面で形成したが、これに限らず、光の散乱度合いの異なる樹脂材料を2色成形など形成してもよい。
(5)−5 展開部材を有する折り畳み式のテーブルを有するものについて説明したが、平板状のテーブルを有する形態の撮像装置にも適用できる。また、ビデオカメラとしては、単焦点レンズを搭載したものに限らず、ズームレンズを搭載したタイプのものであっても採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例としての資料提示装置の使用状態を示す斜視図である。
【図2】資料提示装置の使用状態を示す側面図である。
【図3】資料提示装置の収納状態を示す斜視図である。
【図4】ビデオカメラを斜め下方から見た状態を示す斜視図である。
【図5】ビデオカメラおよび照明部の付近を示す断面図である。
【図6】照明部を分解した斜視図である。
【図7】光散乱部材を示す平面図である。
【図8】資料提示装置の照明作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0021】
10…資料提示装置
20…テーブル
21…固定部材
22R,22L…展開板
23R,23L…回転軸
30…ビデオカメラ
31…撮像レンズ
33…照明部
33a…プリント基板
34…光源
35…光散乱部材
36…支持基板
36a…基板本体
36b,36c…位置決め片
36d…嵌合突部
37…光透過部
38…側壁部
39…光散乱部
39a,39b…第1および第2散乱面
39c…非散乱面
40…カメラ支持部材
41…ベース部
43…アーム部
45…カメラ保持部材
50…展開機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撮像物を載置するテーブル(20)と、該テーブル(20)側を撮像方向とするビデオカメラ(30)と、テーブル(20)を照明するための照明部(33)とを備えた撮像装置であって、
上記照明部(33)は、チップ状の発光ダイオードからなる光源(34)と、該光源(34)と上記テーブル(20)との間に介在し上記光源(34)から発する光を透過・散乱してテーブル(20)を照明するための光散乱部材(35)と、
を備え、
上記光散乱部材(35)は、上記光源(34)と上記テーブル(20)とを最短距離で結ぶ直線を中心とした光散乱部(39)を有し、該光散乱部(39)は、上記中心の周辺部分が他の部分より光の散乱する度合いを大きく形成したこと、
を特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
上記光散乱部(39)は、光を散乱させる凹凸状のシボにより形成した撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
上記光散乱部(39)は、同心円上に配置されかつ凹凸形状の違いにより光の散乱する度合いが異なる第1散乱面(39a)および第2散乱面(39b)を備えている撮像装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された撮像装置において、
上記テーブル(20)は、上記カメラ支持部材(40)を固定する固定部材(21)と、該固定部材(21)の側部にそれぞれ回動可能に支持された展開板(22R,22L)を備え、
上記ビデオカメラ(30)および上記照明部(33)は、上記テーブル(20)の中央上方であって、上記固定部材(21)に固定されたカメラ支持部材(40)にそれぞれ装着されている撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−311729(P2008−311729A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155182(P2007−155182)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】