説明

撮像装置

【課題】撮影者の視点と等しい姿勢情報に基づいた姿勢判定(縦横判定)を行うことができ、撮影された写真に撮影者の意図の通りの姿勢情報を付与することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮影者を撮像する撮像部151と、撮像部151の出力から撮影者の目の部分の画像を抽出する抽出部152と、抽出部152によって判定された目の画像からまぶた方向を判定するまぶた方向判定部153とを備える。また、まぶた方向判定部153の出力結果から撮像装置本体の姿勢判定を行う姿勢判定手段としてのCPU101を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置に関し、特に、姿勢判定技術に特徴のある撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の姿勢判定技術に関して、従来は、撮像装置に加わる重力によって動くボール等の被検物の位置を検知することで、縦横(姿勢)を判定する手法が一般的であった。
【0003】
また、画像データを用いて、撮像装置の縦横判定を行う技術が特許文献1にて提案されている。
【0004】
特許文献1に提案された技術は、撮像装置により得られた画像データに含まれる特定画像部分を検知する画像検知手段と、該特定画像部分の検知結果に基づいて撮像装置の姿勢を判定する判定手段によって、撮像装置の縦横判定を行うものである。
【特許文献1】特開2006−74498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置に加わる重力によって縦横を判定する手法では、撮像装置を水平方向に向けて構えていなければ、正しい縦横を判定できなかった。また、宇宙等の無重力空間では重力が掛からず、やはり正しい縦横を判定することができなかった。
【0006】
また、被写体の画像データを用いて縦横判定する手法では、被写体の天地を判定できない場合や、判定できても首を傾けていた場合等は、正確な判定ができなかった。
【0007】
本発明の目的は、撮影者の視点と等しい姿勢情報に基づいた姿勢判定(縦横判定)を行うことができ、撮影された写真に撮影者の意図の通りの姿勢情報を付与することができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮影者を撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された前記撮影者の画像から前記撮影者の目の部分の画像を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記目の画像からまぶたの方向を判定するまぶた方向判定手段と、前記まぶた判定手段の出力に基づいて撮像装置本体の姿勢判定を行う姿勢判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮像装置によれば、撮影者の視点と等しい姿勢情報に基づいた姿勢判定(縦横判定)を行うことができ、撮影された写真に撮影者の意図の通りの姿勢情報を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る撮像装置のブロック図である。
【0012】
図1において、CPU101(姿勢判定手段)は撮像装置の制御を司る。レリーズスイッチ102は、操作を受け付けると、一連のレリーズシーケンスを実行し、写真の撮影/保存を行う。測距部103は、撮像装置から被写体までの距離を測定する。測光部104は、被写体の輝度を測定する。
【0013】
重力センサ105は、撮像装置の受ける重力に基づいて撮像装置の天地判定を行う。接眼検知部106は、撮影者が撮像装置のファインダを覗いているか否かを検知する。焦点レンズ駆動部107は、測距部103の測距結果に基づいて焦点レンズ108を駆動して最適な焦点調整を行う。
【0014】
絞り駆動部109は、測光部104の測光結果と、設定されたシャッタースピードに応じてレンズの絞り110を駆動し、最適な露出を得る。シャッター駆動部111は、設定されたシャッタースピードでシャッター112を開口する。ストロボ発光部113は、必要な露光量や効果に応じてストロボ114を制御/発光する。
【0015】
測距点表示装置115は、選択可能もしくは選択された測距点を示すため、ファインダ内測距枠を点灯するための装置である。ファインダ内情報表示装置116は、ファインダ接眼状態で露出情報を確認するために、ファインダ視野下部に露出情報を表示する装置である。
【0016】
画像表示部117は、撮影情報や、撮影された画像を表示する。撮像素子118は、不図示のレンズを介して投影された画像を光電変換し、アナログ信号として出力する半導体素子である。
【0017】
撮像素子清掃装置119は、撮像素子118の前面に付いたごみを振り払い、撮影された画像にごみが写り込むことを防止するための装置である。AD変換装置120は、撮像素子118の出力を入力としてAD変換を行い、画像情報をデジタル信号として出力する装置である。
【0018】
画像処理装置121は、AD変換装置120の出力を受けて、画像として作り込む処理を行い、画像表示部117や情報記録装置122へ出力する装置である。情報記録装置122は、画像情報を記録するための動作を司る装置である。情報記録媒体123は、撮像装置に対して着脱自在なデジタルデータを保存するための媒体である。
【0019】
撮影者撮像部151は、撮影者の画像を取得するために撮像装置の背面に取り付けられているものであり、ファインダに接眼した、もしくは外部情報表示装置117を観察している撮影者を認識することが可能である。
【0020】
目抽出部152は、撮影者カメラ151の情報から撮影者の目の部分の画像を抽出するための手段である。まぶた方向判定部153は、目判定部152によって抽出された目の画像を所定時間連続的に取得してまぶたの動きベクトルを検出し、検出した動きベクトルから撮影者の目の上下方向を判定する。
【0021】
瞬きの際にまぶたの動きベクトルを検出すると、まぶたが閉じる時の動きベクトルとまぶたが開くときの動きベクトルとを検出する。また、まぶたが閉じてから開くまでの時間と瞬きと瞬きのとの時間間隔とを比較すると、まぶたが閉じてから開くまでの時間の方が圧倒的に短い。
【0022】
従って、まぶたが閉じる方向の動きベクトルと検出してからまぶたが開く方向の動きベクトルを検出するまでの時間を検出すると、まぶたの方向が判定できる。まぶたのある方向が目の上方向と判定することができる。
【0023】
図2は、図1の撮像装置の簡略側面と、撮影者を示す図である。
【0024】
撮像装置本体(一眼レフ撮像装置の本体)201には、レンズ202が装着されており、被写体像を撮像素子118に結像する。撮影者251の目252は、撮影者カメラ151により検知される。
【0025】
図3は、図1の撮像装置によって実行される姿勢判定(縦横判定)処理の手順を示すフローチャートである。
【0026】
本処理は、図1におけるCPU101の制御の下に実行される。
【0027】
撮像装置の一連の撮影フローの中で、縦横判定を行う。
【0028】
まず、ステップS301にて、接眼検知部106を用いて、撮影者が撮影待機状態にあるか否か(接眼しているか否か)を判定し、接眼していなければステップS302に、接眼していればステップS303に進む。
【0029】
ステップS302は、撮影者カメラ(撮影者撮影手段)151を用いた縦横判定ができないと判断したときに進むフローであり、重力センサ105(第2の姿勢判定手段)の出力を確認し、ステップS306に進む。
【0030】
ステップS303では、撮影者カメラ151で撮影者をモニタし、ステップS304に進む。
【0031】
ステップS304では、撮影者カメラ151でモニタした撮影者画像の中から、目抽出部152を用いて目の画像を抽出する。目の画像を抽出できなければステップS302に、目の画像を抽出できればステップS305に進む。
【0032】
ステップS305では、ステップS304にて抽出した目の画像に対して、まぶた方向判定部153が、まぶたが閉じる時の動きベクトルとまぶたが開くときの動きベクトルとその時間間隔を検出することで、まぶたの方向を判定する。まぶたの動きベクトルを検出できない、またはまぶたの方向を判定できなければステップS302に、まぶたの方向を判定できればステップS306に進む。
【0033】
ステップS306(姿勢判定手段)では、ステップS302での重力センサ出力確認結果、もしくはステップS305でのまぶた方向の判定結果に応じて縦横判定(姿勢判定)を行い、縦であればステップS307に、横であればステップS308に進む。
【0034】
ステップS307では、縦横フラグを“縦”に、ステップS08では、縦横フラグを“横”にして、本処理を終了する、その後は一連の撮影フローに戻る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置のブロック図である。
【図2】図1の撮像装置の簡略側面と、撮影者を示す図である。
【図3】図1の撮像装置によって実行される姿勢判定(縦横判定)処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
101 CPU
151 撮影者カメラ
152 目判定部
153 瞬き方向判定部
201 撮像装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記撮影者の画像から前記撮影者の目の部分の画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記目の画像からまぶたの方向を判定するまぶた方向判定手段と、
前記まぶた判定手段の出力に基づいて撮像装置本体の姿勢判定を行う姿勢判定手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記まぶた判定手段は、前記抽出手段によって抽出された前記目の画像を所定時間連続的に取得してまぶたの動きベクトルを検出するとともに、まぶたが閉じる方向の動きベクトルと検出してからまぶたが開く方向の動きベクトルを検出するまでの時間を検出して、前記撮影者の目の上下方向を判定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記抽出手段によって目の画像を抽出できなかった場合に、前記撮像装置本体の姿勢判定を行う第2の姿勢判定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記まぶた方向判定手段によって前記まぶた方向を判定できなかった場合に、前記撮像装置本体の姿勢判定を行う第2の姿勢判定手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−302725(P2009−302725A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152834(P2008−152834)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】