説明

撮像装置

【課題】従来例においては、撮影の際に、被写体の状態に応じて、照明部の照度、光軸が調整できるように、集光光学部材を撮影光軸に向けて反射傘と反対方向に回転及び移動させる構造となっており、集光光学部材を回転、移動するための駆動装置を組み込む構成となり、照明部が大きくなってしまう。
【解決手段】被写体を撮像する撮像部1Bと、この撮像部1Bで撮影された情報を記録する記録部2Eと、前記被写体との焦点距離を検知する焦点距離検知部2Fと、前記被写体を照射する照明部1Aと、この照明部1Aを制御する照明制御部2Cを備え、前記照明部1Aは集光レンズ4Aと複数個の光源からなる構成とすることで、駆動装置を組み込まず、小型化が可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、ビデオカメラやデジタルカメラのような撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの撮像装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、被写体を撮像する撮像部と、この撮像部で撮影された情報を記録する記録部と、前記被写体との焦点距離を検知する焦点距離検知部と、前記被写体を照射する照明部と、この照明部を制御する照明制御部を備えていた。
【0004】
一般の撮像装置では、その照明部には単一の光源を備えており、被写体の動き、被写体との撮影距離に関らず、光源は一定の光軸と照度で被写体を照らしていたが、例えば、被写体との撮影距離が遠い場合には、照度が不足し、撮影距離が近い場合には、照度が強すぎて、光の乱反射が発生することと、撮像部と照明部との光軸ずれの影響度が撮影距離の遠い場合に比べて大きくなるため、写真や映像にいわゆる照度ムラが発生してしまっていた。
【0005】
そのような照度ムラの影響を低減できる撮像装置としては、被写体の状態に応じて、照明部の照度、光軸が調整できるように、集光光学部材を撮影光軸に向けて反射傘と反対方向に回転及び移動させることにより、当該出射光の照射方向を変化させ、近距離撮影時と遠距離撮影に応じた照明状態で撮影できる照明部を搭載した撮像装置があった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2001−13562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例における課題は、照明部が大きくなってしまうということであった。
【0007】
すなわち上記従来例においては、撮影の際に、被写体の状態に応じて、照明部の照度、光軸が調整できるように、光源の周りに反射傘を備えた構造となっており、照明部が大きくなってしまう。
【0008】
そこで本発明は、撮像装置の照明部を小さくすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そしてこの目的を達成するために本発明は、被写体を撮像する撮像部と、この撮像部で撮影された情報を記録する記録部と、前記被写体との焦点距離を検知する焦点距離検知部と、前記被写体を照射する照明部と、この照明部を制御する照明制御部を備え、前記照明部は集光レンズと複数個の光源からなる構成とした。
【0010】
これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明は、被写体を撮像する撮像部と、この撮像部で撮影された情報を記録する記録部と、前記被写体との焦点距離を検知する焦点距離検知部と、前記被写体を照射する照明部と、この照明部を制御する照明制御部を備え、前記照明部は集光レンズと複数個の光源からなる構成としたので、被写体に対して光軸を変えることができる撮像装置の照明部を小型化するができるものである。
【0012】
すなわち本発明においては、撮像装置の照明部を集光レンズと複数個の光源から構成したものであるので、光源の周りに反射傘のような大きな構成部材を用いることなく光軸、照度を変えることができるので、その結果として、照明部を小さくすることができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の照明部搭載の撮像装置について図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における撮像装置の概観図である。
【0014】
図1(c)正面視において、撮像装置の前面部に配置されている1Aは、照明部であり、図示していないが、集光レンズとその内側に、例えばLEDなどの複数の光源が配置された構成になっており、被写体が暗い場合などに被写体を明るくするために用いられる。また、1Bは、撮像部であり公知のCCD方式等のカメラレンズである。ここから取り込まれた映像データは、本体内部でMPEG方式等の記録データに変換され、撮像装置内に収められているHDDやSDカードなどの記録媒体に記録される。図1(d)右側面視において、1Cは液晶モニター等の表示装置であり、撮影状況を確認したり、記録媒体に取り込まれた映像データ等を再生した映像等を確認したり、各種設定を表示装置上で設定するために用いる。図1(e)右後方視は、表示装置1Cを開いた上体で実際に表示装置を使用する状態を示している。また、図1(e)右後方視において、1Dは操作スイッチ、1Eはメニューボタン、1Fは撮影ボタン、1Gはズームレバーを示している。操作スイッチ1D、メニューボタン1Eは、各種設定を表示装置上で行うために用いられる。ズームボタン1Gは、被写体を大きく撮ったり(拡大)、広く撮ったり(広角)するために用いられる。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態1における、撮像部と照明部との光軸ずれを補正し、映像の信号レベルに基づいて照明部の光量、及び、光軸を調整する撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図2において、撮像部2Aは、公知のCCD方式等のカメラレンズであり、任意の場所を撮像し、撮像対象領域の撮像画像の映像信号を継続的に取得する。撮像部2Aより取得した映像信号は、制御部2Dにて、MPEG方式等の記録データに変換され、記録部2Eにて、メモリカード、ハードディスク等の記録媒体に記録される。
【0017】
図3に撮像部2Aを示すレンズ群を示す。図3において、3Aはズームレンズ、3Bは手ぶれ補正レンズ、3Cはフォーカスレンズ、3DはCCD、3Eはレンズの前玉、3Fはレンズの後玉を表し、3E、3A、3B、3C、3Fを通して得られた映像は、3Dにて映像信号として変換され、制御部2D等へ送られる。
【0018】
図2において、照明部2Iは、集光レンズと複数個の光源からなる照明部である。図4が照明部2Iの構成例であり、集光レンズ4AとハロゲンライトやLEDなどの複数個の光源4B〜4Fを含む照明部であり、制御部2Dより出力された制御信号は、照明制御部2Cを用いて、照明部2Iの光量、及び、光軸を調整することができる。光源4B〜4Fから照射された光は、集光レンズ4A、例えば凸レンズを通り、被写体に照射される。
【0019】
次に、複数の光源により光軸が変化する動作について説明する。
【0020】
図5は光軸の変化の様子を表した図であり、図5において、5Cは光源4Cを点灯させた場合に照射される光軸である。また、5Aは、光源4Cの点灯から、光源4Eに点灯を変更した時の、光源の移動距離であり、5Bは、光源4Cから照射される光軸5Cと光源4Eの光軸5Dの移動距離である。
【0021】
光軸より照射された出射光は、集光レンズ4Aを通るときに屈折し、照射される。この時、集光レンズ4Aより照射される光は、主光線と平行光を描き出射するため、光源の移動距離5A分、移動した光源4Eより照射された出射光は、集光レンズ4Aの主点に対し、角度を持った入射光となり、照射される主光線もその角度のまま照射されることとなる。結果、光軸は光源の移動方向とは反対方向へ変化することになる。同様に、光源4Cの点灯から、光源4Bに点灯を変更した場合を考えると、光軸は5Bと反対方向に変化する。つまり、集光レンズに対する光源の位置を変えることにより、照明部2Iの光軸を上下に変化させることができる。図5では、光源4B、4C、4Eを用いて光軸が上下方向に変化する説明をしたが、光源4C、4D、4Fを用いることにより、光軸を左右方向にも変化させることができる。そして、照明制御部2Cにより光源4B〜4Fの光量や点灯位置を変更するにより上下左右方向どの方向にでも光軸を変化させることができる。
【0022】
図2において、焦点距離検知部2Fは、ズームレンズ3A、フォーカスレンズ3Cの位置より、被写体までの距離を検知し、制御部2Dに距離情報を伝達する。
【0023】
撮像部2Aと照明部2Iとの光軸ずれを補正する動作について説明すると、制御部2Dが、焦点距離検知部2Fからの距離情報より、撮像部2Aと照明部2Iとの光軸ずれを算出し、照明制御部2Cに照明部2Iの複数個の光源の光量や点灯位置を制御する信号を伝達し、照明部2Iを制御することにより、照明部2Iの光軸を変化させることで、撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれを補正する。
【0024】
次に、被写体の明るさにより、照明部2Iの光量を調整する動作について説明すると、被写体を撮影し、撮像部2Aにとりこまれた映像信号を信号レベル検出部2Gに伝達し、制御部2Dは、信号レベル検出部2Gからの信号レベルにより、被写体の明るさを判定し、明るい場合は、照明部2Iの光量を抑えるように照明制御部2Cに制御信号を伝達し、暗い場合は照明部2Iの光量を増やすように照明制御部2Cに制御信号を伝達して、被写体の明るさに応じて、照明部2Iの光量を調整する。
【0025】
また、被写体に対し、照明部2Iの光軸を合わせる動作について説明すると、撮像部2Aにとりこまれた映像信号を被写体検知部2Hに伝達し、制御部2Dは、被写体検知部2Hからの被写体検知情報により、被写体と照明部2Iとの光軸ずれを算出し、照明制御部2Cに照明部2Iの複数個の光源の光量や点灯位置を制御する信号を伝達し、照明部2Iを制御することにより、照明部2Iの光軸を変化させることで、被写体と照明部2Iの光軸ずれを補正する。
【0026】
次に、図2の作用を図6のフローチャートにて説明する。先ず6Aにて撮影が開始され、6Bにて撮像部2Aと照明部2Iとの垂直方向距離A、水平方向距離Bが入力され、6Cにて照明部2Iが点灯しているかどうかの判定を行い、照明部2Iが点灯している場合は、6Eにて焦点距離検知部2Fで被写体までの距離Cを検知し、6FにてA、B、Cより照明部2Iと撮像部2Aの垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを算出し、6Gで照明制御部2Cにて照明部2Iを制御することにより、垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを補正し、6Cの判定に戻る。6Cにて照明部2Iが点灯していない場合は、6Dにて光軸ずれの補正を停止する。
【0027】
続いて、図2の信号レベル検出部2Gを含めた作用を図7のフローチャートにて説明する。先ず6Aにて撮影が開始され、6Bにて撮像部2Aと照明部2Iとの垂直方向距離A、水平方向距離Bが入力され、7Aにて信号レベルを比較するためのしきい値Tが入力され、6Cにて照明部2Iが点灯しているかどうかの判定を行い、照明部2Iが点灯している場合は、6Eにて焦点距離検知部2Fで被写体までの距離Cを検知し、6FにてA、B、Cより照明部2Iと撮像部2Aの垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを算出し、6Gで照明制御部2Cにて照明部2Iを制御することにより、垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを補正する。照明部2Iが点灯していない場合は、6Dにて光軸ずれの補正を停止する。そして、7Bにて信号レベル検出部2Gより検出した信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tと等しいかどうかの判定を行い、等しくない場合は、7Cにて信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tより小さいかどうかの判定を行い、しきい値Tより大きい場合は、7Eにて照明の光量をダウンさせ、しきい値Tより小さい場合は、7Dにて照明の光量をアップさせ、6Cの判定に戻る。7Bの判定にて信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tと等しい場合は、6Cの判定に戻る。
【0028】
次に、図2の被写体検知部2Hを含めた作用を図8のフローチャートにて説明する。先ず6Aにて撮影が開始され、6Bにて撮像部2Aと照明部2Iとの垂直方向距離A、水平方向距離Bが入力され、7Aにて信号レベルを比較するためのしきい値Tが入力され、6Cにて照明部2Iが点灯しているかどうかの判定を行い、照明部2Iが点灯している場合は、6Eにて焦点距離検知部2Fで被写体までの距離Cを検知し、8Aにて被写体検知部2Hで被写体とレンズ光軸との垂直光軸ずれ距離D、水平光軸ずれ距離Eを検知し、8BにてA、B、C、D、Eより照明部2Iと撮像部2Aの垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを算出し、6Gで照明制御部2Cにて照明部2Iを制御することにより、垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBを補正する。照明部2Iが点灯していない場合は、6Dにて光軸ずれの補正を停止する。そして、7Bにて信号レベル検出部2Gより検出した信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tと等しいかどうかの判定を行い、等しくない場合は、7Cにて信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tより小さいかどうかの判定を行い、しきい値Tより大きい場合は、7Eにて照明の光量をダウンさせ、しきい値Tより小さい場合は、7Dにて照明の光量をアップさせ、6Cの判定に戻る。7Bの判定にて信号レベルをしきい値Tと比較して、しきい値Tと等しい場合は、6Cの判定に戻る。
【0029】
図9から図13は、実施の形態1に係り、図6から図8における垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示している。図9において、図9(a)は図1に示した撮像装置を右側面より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表し、図9(b)は、上方より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表す。図9において、9Aは照明部2Iにおける照明であり、9Bは右側面より見た時の照明部2Iの光軸、9Cは右側面より見た時の撮像部2Aの光軸、9Dは被写体面、C1は被写体面9Dと撮像部2Aまでの距離、A1は右側面より見た時、つまり垂直方向の照明部2Iの光軸と撮像部2Aの光軸の距離、θA1は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、F1は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸、9Eは上方向より見た時の照明部2Iの光軸、9Fは上方向より見た時の撮像部2Aの光軸、B1は上方向より見た時、つまり水平方向の照明部2Iの光軸と撮像部2Aの光軸の距離、θB1は撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度、G1は光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸を表す。垂直光軸ずれ角度θA1は、θA1=tan-1(A1/C1)にて算出され、水平方向の光軸ずれ角度θB1は、θB1=tan-1(B1/C1)にて算出される。
【0030】
図10は、被写体との距離が図9のときよりも遠くなった時の垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示している。図10において、図10(a)は図1に示した撮像装置を右側面より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表し、図10(b)は、上方より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表す。図10において、9Gは撮像部2Aと被写体面9Dとの距離が長くなった場合の被写体面、C2は被写体面9Gと撮像部2Aまでの距離、θA2は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、F2は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸、θB2は撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度、G2は光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸を表す。垂直光軸ずれ角度θA2は、θA2=θA1−tan-1(A1/C2)にて算出され、水平方向の光軸ずれ角度θB2は、θB2=θB1−tan-1(B1/C2)にて算出される。
【0031】
図11は、被写体との距離が図9のときよりも近くなった時の垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示している。図11において、図11(a)は図1に示した撮像装置を右側面より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表し、図11(b)は、上方より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表す。図11において、9Hは撮像部2Aと被写体面9Dとの距離が短くなった場合の被写体面、C3は被写体面9Hと撮像部2Aまでの距離、θA3は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、F3は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸、θB3は撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度、G3は光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸を表す。垂直光軸ずれ角度θA3は、θA3=tan-1(A1/C3)−θA1にて算出され、水平方向の光軸ずれ角度θB3は、θB3=tan-1(B1/C3)−θB2にて算出される。
【0032】
図12、図13は、顔検出機能等の被写体検知を行った時の垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示している。例として図12は、顔検出機能などにより、図9のときよりも被写体が左上に検知された時の垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示しており、図13は、顔検出機能などにより、図9のときよりも被写体が右下に検知された時の垂直光軸ずれ角度θA、水平光軸ずれ角度θBの算出方法を示している。
【0033】
図12において、図12(a)は図1に示した撮像装置を右側面より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表し、図12(b)は、上方より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表す。図12において、D1は上方向に被写体検知した時の被写体までの距離、θA4は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、F4は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸、E1は左方向に被写体検知した時の被写体までの距離、θB4は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、G4は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸を表す。垂直光軸ずれ角度θA4は、θA4=tan-1 ((A1+D1)/C1)−θA1にて算出され、水平方向の光軸ずれ角度θB3は、θB4=tan-1 ((B1+E1)/C1)−θB1にて算出される。
【0034】
図13において、図13(a)は図1に示した撮像装置を右側面より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表し、図13(b)は、上方より見た時の撮像部2Aと照明部2Iの位置関係を表す。図13において、D2は下方向に被写体検知した時の被写体までの距離、θA5は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、F5は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸、E2は右方向に被写体検知した時の被写体までの距離、θB5は撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度、G5は光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸を表す。垂直光軸ずれ角度θA5は、θA5=θA1−tan-1 ((A1−D2)/C1)にて算出され、水平方向の光軸ずれ角度θB5は、θB5=θB1−tan-1 ((B1−E2)/C1)にて算出される。
【0035】
図9から図13での光軸ずれ角度分、随時照明駆動部2Cにより照明部2Iの光源4B〜4Fを制御し照射角度を可変することにより、撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれを補正することが可能となる。
【0036】
図14から図23は、図2の作用の様子を実際の照明状態の様子と合わせて示した図である。ここでは、簡略化のため垂直方向の光軸ずれに関して説明する。まず、図14は光軸変化させてない時の照明、図15、図16は、図14の照明状態での遠距離撮影時の撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれの様子を表す。15Aは撮像部2Aの光軸、15Bは照明部2Iの光軸、15Cは撮像部2Aの撮影範囲、15Dは照明部2Iの照射範囲、15Eは被写体面を表し、16Aは撮影範囲、16Bは照射範囲を表す。図16のように、遠距離時においては撮像部2Aと照明部2Iとの光軸ずれはあるものの実際の撮影状態において光軸ずれの影響度はない。図17、図18は近距離撮影時の撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれの様子を表す。図18のように、近距離時には撮像部2Aと照明部2Iとの光軸ずれの影響度が大きくなり、撮影範囲16Aと照射範囲16Bとのずれが大きくなり、被写体との照射ずれが大きくなっている。図19は、図17、図18における光軸ずれを補正するために図9〜図11に示した光軸ずれ角度算出方法で光軸ずれ角度を算出し、照明駆動部2Cにより照明部2Iの光源4B〜4Fを制御し、光軸ずれ角度分、垂直上方向に照明部2Iの光軸を変化させた時の照明を表し、図中の19Bは垂直方向の光源の移動距離を表す。
【0037】
図20、図21は図19の照明状態での近距離撮影時の撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれの様子を表す。20Aは図19の照明状態での照明部2Iの光軸、20Bは図19の照明状態での照明部2Iの照明範囲を表す。図19のように図17、図18における光軸ずれを補正するために図9〜図11に示した光軸ずれ角度算出方法で光軸ずれ角度を算出し、照明駆動部2Cにより照明部2Iの光源4B〜4Fを制御し、垂直上方向に照明部2Iの光軸を変化させることにより、図20、図21のように撮像部2Aと照明部2Iの光軸ずれを補正できる。
【0038】
図14から図21では、簡略化のため垂直方向の光軸ずれを説明したが、図9から図11で述べたように垂直光軸ずれ角度、及び水平光軸ずれ角度分、随時照明駆動部2Cにより照明部2Iの光源4B〜4Fを制御し照射角度を可変することにより、撮像部2Aと照明部2Iの垂直光軸ずれ、水平光軸ずれを補正することが可能となる。
【0039】
図22は、図21の状態において被写体検知部2Hで、顔検出機能等の被写体検知を行った様子を表す。22Aは、図1の表示装置に表示される被写体検知枠を表す。図22では、被写体検知枠22Aと照明部2Iとの光軸ずれが生じている。これに関しても図12、図13に示した光軸ずれ算出方法で光軸ずれ角度を算出し、照明駆動部2Cにより照明部2Iの光源4B〜4Fを制御し、光軸ずれ角度分、垂直上方向に照明部2Iの光軸を変化させることにより、被写体検知で生じた光軸ずれを補正することができる。図23は、被写体検知で生じた光軸ずれを補正したあとの撮影状態を示す。
【0040】
図24において図24(a)は、照明部2Iにおいて、光源4Cのみを光らせたときの照射の様子を表し、図24(b)は、照明部2Iにおいて、光源4B〜4Fを光らせたときの照射の様子を表す。24A、24Bはそれぞれの場合の照射範囲の様子を示しており、図24(a)の場合は照明はスポット光になり、図24(b)の場合は照明はワイド光になる。図24に示すように光源4B〜4Fを照明駆動部2Cで制御することにより照明部2Iの照射範囲もスポット光にもワイド光にも制御可能である。図25は、図23の照明状態から光源4B〜4Fを照明駆動部2Cで制御することにより照明部2Iの照射範囲をスポット光にしたときの撮影状態を示している。
【0041】
前記のように、本発明は、被写体を撮像する撮像部を有する撮像装置と、前面に集光レンズと、複数個の光源とを備えた照明部であり、光源部の光量、及び、光源場所を可変することで、照射角度を変化させることで前記照明部より照射された照射光を被写体の撮影箇所に合わせることを特徴としている。
【0042】
そのために、照明部の駆動装置を用いないで、被写体に対して最適な照明状態を調整することが可能になるので、小型化可能な照明調整機能をもった撮像装置を実現できる。
【0043】
さらには、照明部の駆動装置を必要としない構成になるため、コスト削減が可能である。
【0044】
さらには、照明部の駆動装置を必要としない構成になるため、装置全体の軽量化が可能である。
【0045】
さらには、微細な位置あわせが可能な撮像部可変部による調整が行えるため、被写体との撮影距離が近い場合にも、撮影に最適な照明位置を被写体に合わせることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる撮像装置は、照明装置を搭載した撮像装置において有効である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】撮像装置の概観図
【図2】本発明の実施の形態1における撮像装置の構成を示すブロック図
【図3】CCD方式等のカメラレンズの図
【図4】照明部2Iの構成例
【図5】光軸の変化の様子を表した図
【図6】本発明の実施の形態1における図2の作用のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態1における図2の信号レベル検出部を含めた作用のフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1における図2の被写体検知部を含めた作用のフローチャート
【図9】撮像部と照明部との光軸ずれ角度の算出図
【図10】撮像部から被写体までの距離が長くなった場合の撮像部と照明部との光軸ずれ角度の算出図
【図11】撮像部から被写体までの距離が短くなった場合の撮像部と照明部との光軸ずれ角度の算出図
【図12】被写体が左上に検知された時の光軸ずれ角度の算出図
【図13】被写体が右下に検知された時の光軸ずれ角度の算出図
【図14】光軸変化させてない時の照明図
【図15】遠距離時の図2の作用の様子を表した図
【図16】遠距離時の図2の作用の様子を実際の照明状態と合わせて示した図
【図17】近距離時の図2の作用の様子を表した図
【図18】近距離時の図2の作用の様子を実際の照明状態と合わせて示した図
【図19】垂直上方向に照明部2Iの光軸を変化させた時の照明
【図20】近距離時の図2の作用の光軸ずれ補正の様子を表した図
【図21】近距離時の図2の作用の光軸ずれ補正の様子を実際の照明状態と合わせて示した図
【図22】顔検出機能等の被写体検知を行った様子を表す図
【図23】被写体検知で生じた光軸ずれを補正した様子を表す図
【図24】照明をスポット光、ワイド光にしたときの図
【図25】図23から照明をスポット光にしたときの様子を示した図
【符号の説明】
【0048】
1A 照明部
1B 撮像部
1C 表示装置
1D 操作スイッチ
1E メニューボタン
1F 撮影ボタン
1G ズームレバー
2A 撮像部
2B 撮像部制御部
2C 照明制御部
2D 制御部
2E 記録部
2F 焦点距離検知部
2G 信号レベル検出部
2H 被写体検出部
2I 照明部
3A ズームレンズ
3B 手ぶれ補正レンズ
3C フォーカスレンズ
3D CCD
3E レンズの前玉
3F レンズの後玉
4A 集光レンズ
4B 光源1
4C 光源2
4D 光源3
4E 光源4
4F 光源5
5A 光源の移動距離
5B 光軸の移動距離
5C 光源4Cの光軸
5D 光源4Eの光軸
9A 照明
9B 右側面より見た時の照明部2Iの光軸
9C 右側面より見た時の撮像部2Aの光軸
9D 被写体面
9E 上方より見た時の照明部2Iの光軸
9F 上方より見た時の照明部2Aの光軸
A1 右側面より見た時の照明部2Iの光軸と撮像部2Aの光軸の距離
B1 上方向より見た時の照明部2Iの光軸と撮像部2Aの光軸の距離
C1 被写体面9Dと撮像部2Aまでの距離
F1 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
G1 光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸
θA1 撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度
θB1 撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度
9G 撮像部2Aと被写体面9Dとの距離が長くなった場合の被写体面
C2 被写体面9Gと撮像部2Aまでの距離
F2 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
G2 光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸
θA2 撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度
θB2 撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度
9H 撮像部2Aと被写体面9Dとの距離が短くなった場合の被写体面
C3 被写体面9Hと撮像部2Aまでの距離
F3 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
G3 光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸
θA3 撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度
θB3 撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度
D1 上方向に被写体検知した時の被写体までの距離
E1 左方向に被写体検知した時の被写体までの距離
F4 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
G4 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
θA4 撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度
θB4 撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度
D2 下方向に被写体検知した時の被写体までの距離
E2 右方向に被写体検知した時の被写体までの距離
F5 光軸ずれを補正した後の垂直方向の照明部2Iの光軸
G5 光軸ずれを補正した後の水平方向の照明部2Iの光軸
θA5 撮像部2Aと照明部2Iの垂直方向の光軸ずれ角度
θB5 撮像部2Aと照明部2Iの水平方向の光軸ずれ角度
15A 撮像部2Aの光軸
15B 照明部2Iの光軸
15C 撮像部2Aの撮影範囲
15D 照明部2Iの照射範囲
15E 被写体面
16A 撮影範囲
16B 照射範囲
19B 光源の移動距離
20A 図19の照明状態での照明部2Iの光軸
20B 図19の照明状態での照明部2Iの照明範囲
22A 被写体検知枠
24A スポット光の時の照射範囲
24B ワイド光の時の照射範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
この撮像部で撮影された情報を記録する記録部と、
被写体との焦点距離を検知する焦点距離検知部と、
被写体を照射する照明部と、
この照明部を制御する照明制御部を備え、
前記照明部は集光レンズと複数個の光源からなる撮像装置。
【請求項2】
前記照明制御部は、前記照明部の複数の光源を特定の組み合わせで点灯して、前記撮像部の光軸に合わせる制御をする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記照明制御部は、さらに前記焦点距離検知部で算出した被写体との焦点距離に応じて照明部を制御する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影する映像の信号レベルを検知する信号レベル検出部を有し、前記照明制御部は、さらに前記信号レベル検出部により算出した被写体の明るさに応じて、照射する照明部を制御することを特徴とする請求項2乃至3いずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影する映像の被写体を検知する被写体検知部を有し、前記照明制御部は、さらに前記被写体検出部にて検出した被写体を捕捉し、その被写体に対し、照明部の光軸を合わせる制御をすることを特徴とする請求項2乃至4いずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−197429(P2010−197429A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38893(P2009−38893)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】