説明

撮像装置

【課題】撮影後の動作に伴う音を、撮影者に負担をかけることなしに目立たなくすることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係わる撮像装置は、入射した被写体光による像を撮像する撮像手段と、撮像手段による撮像時に、被写体光を撮像手段に導くための可動部材を駆動する可動部材駆動手段と、周囲の音を検知する音検知手段と、撮像手段による撮影後に、音検知手段で検知された音のレベルが閾値に達しない場合は、可動部材駆動手段の動作を停止させる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラでは、カメラの作動に伴って音と振動が発生するため、静かな室内などでは、カメラから発生する音に撮影者が神経を使うことも少なくない。
【0003】
そこで、音の発生を目立たなくするための様々な対策が考えられている。例えば、周囲の音圧に応じてフィルムの自動巻き戻しを行うか否かを自動選択するようにしたカメラが提案されている(特許文献1参照)。また、周囲の音圧に応じてフィルムの巻き上げや巻き戻しの動作モード(静音、通常)を選択するようにしたカメラが提案されている(特許文献2参照)。更に、周囲の音圧に応じてズーム操作時の動作モード(静音、通常)を選択するようにした撮像装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−123913号公報
【特許文献2】特開平8−211461号公報
【特許文献3】特開2005−176015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カメラから発生する音には、上記のようなフィルムの巻き上げや巻き戻し、或いはズーム作動音以外にも、撮影時に発生するクイックリターンミラーの上昇下降音やシャッタの音などがある。これらの音は、一眼レフカメラであれば、撮像媒体がフィルム、撮像素子(デジタル)のいずれであっても、またズームレンズが装着されていなくても発生するものである。このような動作音を低減するため、撮影後のミラーダウンやシャッタチャージを撮影者がレリーズボタンから指を離すまで行わず、撮影者がレリーズボタンから指を離した時点で行うようにしたカメラも登場している。このカメラでは、撮影後に撮影者がカメラを衣服で覆ったり、場所を移動した後にレリーズボタンから指を離したりすることにより、周囲に気を使うことなくミラーダウンやシャッタチャージを行うことができる。
【0006】
しかしながら、撮影者は音を出してもよい状態になるまでレリーズボタンを押し続けなければならないため、撮影後もカメラの操作に集中しなければならず、撮影者にとって大きな負担となることが考えられる。また、うっかりレリーズボタンから指を離してしまい、不用意に音を発生させてしまう可能性もあるなど、改良の余地を残すものであった。
【0007】
本発明の課題は、撮影後の動作に伴う音を、撮影者に負担をかけることなしに目立たなくすることができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。
請求項1に記載の発明は、入射した被写体光による像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像の際に、被写体光を前記撮像手段に導くための可動部材を駆動する可動部材駆動手段と、周囲の音を検知する音検知手段と、前記撮像手段による撮像後に、前記音検知手段で検知された音のレベルが閾値に達しない場合は、前記可動部材駆動手段の動作を停止させる制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記制御手段は、前記音検知手段で検知された音のレベルが閾値に達している場合は、当該音のレベルに応じて、前記可動部材駆動手段の動作を開始するまでの待機時間を設定することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の撮像装置であって、ユーザによる操作入力を取得する操作入力手段を備え、前記制御手段は、前記操作入力手段において時間設定の操作入力を取得したときは、当該時間設定された時間を前記待機時間として設定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の撮像装置であって、前記制御手段は、前記可動部材駆動手段の動作を停止している間、前記操作入力手段において解除指示の操作入力を取得したときは、前記可動部材駆動手段の動作を開始することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、文字情報を表示可能な表示手段を備え、前記制御手段は、前記可動部材駆動手段の動作を停止させていることを知らせる文字情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、入射した被写体光による像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像時に、被写体光を前記撮像手段に導くための可動部材を駆動する可動部材駆動手段と、時間を計測する時間計測手段と、前記撮像手段による撮像後に前記時間計測手段による時間の計測を開始し、当該時間が待機時間に達するまで、前記可動部材駆動手段の動作を停止させる制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の撮像装置であって、文字情報を表示可能な表示手段を備え、前記撮像手段による撮像後に、前記時間計測手段で計測されている時間を前記表示手段に文字情報として表示させることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の撮像装置において、ユーザによる操作入力を取得する操作入力手段を備え、前記制御手段は、前記操作入力手段において時間設定の操作入力を取得したときは、当該時間設定された時間を前記待機時間として設定することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の撮像装置であって、前記制御手段は、前記操作入力手段において時間再設定の操作入力を取得したときには、前記時間計測手段での時間計測をリセットしたうえで再び時間計測を開始することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の撮像装置であって、前記制御手段は、前記操作入力手段において解除指示の操作入力を取得したときには、前記可動部材駆動手段の動作を開始することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10に記載の撮像装置であって、前記可動部材駆動手段は、前記撮像手段による撮像時に、回動ミラーを使用位置から退避位置に回動させることにより、被写体光を前記撮像手段に導き、撮影後に、前記回動ミラーを退避位置から使用位置に回動させることにより、前記撮像手段に対し被写体光を遮光する回動ミラー駆動手段であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の撮像装置であって、前記可動部材駆動手段として、前記撮像手段による撮像時に、シャッタ部材を開閉することにより、被写体光を前記撮像手段に導くシャッタユニットを更に含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影後の動作に伴う音を、撮影者に負担をかけることなしに目立たなくすることができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係わるカメラの主要部分の構成を示す断面図である。
【図2】図1においてミラーダウンしたときの構成を示す断面図である。
【図3】カメラ本体の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】音圧のレベルと待機時間との関係を示す説明図である。
【図5】第1実施形態のカメラを背面側から見たときの斜視図である。
【図6】第1実施形態のカメラにおいて静音モードが設定されたときの撮像から記録までの一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のカメラにおいて静音モードが設定されたときの撮像から記録までの一連の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明に係わる撮像装置をデジタル一眼レフカメラに適用した実施形態について説明する。
(第1実施形態)
【0012】
図1は、第1実施形態に係わるカメラ1の主要部分の構成を示す断面図である。本実施形態のカメラ1はデジタル一眼レフカメラであり、カメラ本体2と、カメラ本体2に対して着脱自在に装着されるレンズ鏡筒3とを備えている。
【0013】
レンズ鏡筒3は、被写体光が入射する複数の撮影レンズ4、不図示の焦点調節機構、絞りユニット5などが設けられている。撮影レンズ4は、入射した被写体光を屈折させてカメラ本体2側に出射する光学部材である。焦点調節機構は、撮影レンズ4の一部を光軸A方向に移動して焦点調節を行うものである。絞りユニット5は、撮影レンズ4を通過する被写体光の光量を調節するものであり、不図示の複数の絞り羽根と絞り羽根駆動機構を備えている。レンズ鏡筒3がカメラ本体2に装着されると、絞り羽根駆動機構の絞込みレバーと、カメラ本体2側の不図示の絞り制御レバーとが係合するように構成されている。そして、露出値により設定された絞り値に基づいて絞り制御レバーが作動すると、レンズ鏡筒3側の絞込みレバーが連動し、所定の絞り値まで絞り羽根が駆動される。なお、絞り羽根の駆動はレンズ鏡筒3内に設けたレンズCPUで行うようにしてもよい。この場合は、カメラCPU40から出力された駆動信号を、レンズ鏡筒3とカメラ本体2の不図示の各マウント部に設けられた電気接点を介してレンズCPUへ伝達することになる。
【0014】
カメラ本体2は、ミラーユニット10、ファインダ光学部20、測光部30、シャッタユニット6、撮像部7、液晶モニタ8などを備えている。以下、各部について説明する。
【0015】
シャッタユニット6は、ミラーユニット10の後方に配置されており、後述するメインミラー11及びサブミラー12がミラーアップして撮影可能状態となったときに、所定量の被写体光を撮像部7に入射させる部分である。シャッタユニット6は、フォーカルプレーンシャッタとして構成された不図示のシャッタ羽根と、このシャッタ羽根を駆動する不図示のシャッタ駆動機構とを備えている。シャッタ羽根は、先幕と呼ばれる先に走行するシャッタ羽根と、後幕と呼ばれる後から走行するシャッタ羽根とで構成されている。本実施形態におけるミラーユニット10は、撮像部7による撮像時に、被写体光を撮像部7に導くための可動部材であるシャッタ羽根を駆動する可動部材駆動手段として機能する。
【0016】
シャッタユニット6は、レリーズボタンの操作などによる撮影指示が入力されると、まず先幕のシャッタ羽根が画面を開くように走行し、その後、所定時間遅れて後幕のシャッタ羽根が画面を覆うように走行する。このように、先幕と後幕とが所定の時間差を維持したまま画面を横切るように走行することで露光が行われる。この先幕と後幕との時間差が露出時間となる。後幕のシャッタ羽根が画面をすべて覆う(閉じる)ことにより露光が完了し、その後、駆動力を蓄えるためのシャッタチャージが行われる。上記シャッタ駆動機構は、シャッタチャージにより蓄積した駆動力を用いてシャッタ羽根を開閉させる部分である。シャッタ駆動機構の動作は、後述するシーケンス制御部27を介してカメラCPU40により制御されている。
【0017】
撮像部7は、撮影レンズ4により形成された被写体像を撮像する撮像手段であり、被写体光による像を露光して電気的な画像信号に変換する。この撮像部7は、不図示のフォトダイオード及びCCD又はCMOSなどで構成されている。また、撮像部7で変換された画像信号は、不図示の画像処理部へ出力される。画像処理部では画像信号に対し、ノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などの、アナログ及びデジタルの処理を行い、最終的な画像データを作成する。この画像データは後述するメモリ16に一時的に記憶される。なお、先に説明したように、本実施形態はデジタル一眼レフカメラについて説明しているが、撮像媒体はフィルムであってもよい。その場合はパトローネから引き出されたフィルム面が撮像素子に相当する。
【0018】
液晶モニタ8は、カメラ本体2の背面に設けられ、撮像部7で撮影された画像(再生画像)、ライブビュー画像を含む動画のほか、メニュー画面やモード設定画面などの操作に関連した情報画面が表示される。また、後述するように、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作を停止したときは、撮影者に停止中であることを知らせるメッセージが表示される。
【0019】
ミラーユニット10は、メインミラー11及びサブミラー12を備えている。ミラーユニット10は撮影レンズ4からの光が入射する位置に設けられ、ファインダ光学部20、又はシャッタユニット6及び撮像部7のいずれかに被写体光を入射させる。本実施形態におけるミラーユニット10は、撮像部7による撮像時に、被写体光を撮像部7に導くための可動部材であるメインミラー11を駆動する可動部材駆動手段として機能する。
【0020】
メインミラー11は、被写体光をファインダ光学部20に反射させるものであり、反射材として、中央部には光の一部を透過させる特性を有する半透過ミラーが用いられている。したがって、メインミラー11は、被写体光をファインダ光学部20に反射させるとともに、被写体光の一部を透過させてサブミラー12に被写体光を入射させている。また、メインミラー11は、端部に不図示のミラー駆動部と連結されている。このミラー駆動部は、メインミラー11及びサブミラー12を定位置(使用位置)から退避位置に回動させる駆動機構である。
【0021】
サブミラー12は、メインミラー11を透過した被写体光の一部を、ミラー13とともに測距センサ9に反射させる反射ミラーである。サブミラー12はメインミラー11に対して回動可能に取り付けられており、その回動によりメインミラー11に折り畳まれた状態及びメインミラー11の裏側で起立した状態となる。
【0022】
測距センサ9は、サブミラー12及びミラー13の近辺に配置されている。この測距センサ9は、画面内に設定された所定の測距エリアにおいて被写体像のデフォーカス量を検出するものである。この測距センサ9で検出されたデフォーカス量に基づいて自動焦点調節が行われる。
【0023】
メインミラー11及びサブミラー12は、静止画撮影時には、図1に示す定位置に固定されて、被写体光をファインダ光学部20及び測距センサ9へそれぞれ反射する。このファインダ光学部20への反射により、撮影者は被写体像をファインダ24で観察することができる。そして、撮影のために不図示のレリーズボタンが全押しされたときには、図1と同一構成の断面図である図2に示すように、メインミラー11が上方に回動してファインダ光学部20へ退避し、それと同時にサブミラー12が回動してメインミラー11に重なるように折り畳まれた状態となる(ミラーアップ)。これにより、被写体光がミラーユニット10の後側に配置されているシャッタユニット6及び撮像部7に入射されて撮影が可能となる。
【0024】
ファインダ光学部20は、ファインダスクリーン21、ペンタプリズム22及び接眼レンズ23を備えている。ファインダスクリーン21は、ミラーユニット10の上方に配置されており、ミラーユニット10で反射された被写体光がファインダスクリーン21に投影されて被写体像が形成される。ファインダスクリーン21上の被写体像は、ペンタプリズム22によって接眼レンズ23に導かれ、接眼レンズ23からファインダ24に導かれる。これにより、撮影者はファインダ24を覗いて被写体像を観察することができる。ファインダ24は接眼レンズ23の後方側に配置されている。また、ファインダスクリーン21は、投影像からの光の一部を分岐させ、この分岐光をペンタプリズム22を介して測光部30へ導いている。
【0025】
測光部30は、プリズム31やレンズ32などの光学系と測光センサ33とを備えている。測光部30はペンタプリズム22からの分岐光を測光センサ33に入射させるものである。測光センサ33は、入射した分岐光に基づいて被写体光の明るさ(輝度)を検出して測光値を得る測光手段として機能する。
【0026】
また、カメラ本体2の前面には、動画撮影時に音声を集音するマイク14が設けられている。このマイク14は、例えばコンデンサマイクロフォンにより構成される。また、マイク14は、後述する静音モードにおいてカメラ周囲の音を検知する音検知手段としても機能する。すなわち、本実施形態では、カメラ周囲の音を検知する音検知手段を、動画撮影時に音声を集音するマイク14と兼用している。
【0027】
次に、カメラ本体2の電気的な構成を図3に示すブロック図を参照しながら説明する。図3では、図1と同等部分を同一符号で示している。以下、各部について説明する。
【0028】
音声処理部15は、マイク14で集音された音声を音圧信号に変換してカメラCPU40に送信する。音圧信号は、音圧のレベルを表わす信号である。音圧のレベルとは、基準となる音に対してどれだけ大きい音であるかを音の強弱で示したものであり、デシベル(dB)単位で表わされる。
【0029】
メモリ16は、EEPROM、ROM、DRAMなどの不図示の記憶媒体により構成されている。EEPROMは、カメラ1の電源がオフしても記憶した情報を保持する不揮発性メモリであり、ユーザ設定やカスタム設定などの入力情報が記憶される。ROMは、カメラ1の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶される。DRAMは、カメラ1の電源がオフしたときに記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、画像データや後述する待機時間のほか、カメラCPU40などが処理を行う際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0030】
また、図示していないが、カメラ1には、メモリカードI/F(インターフェース)部が設けられている。このメモリカードI/F部は、DRAMに記憶されている画像データをメモリカードに記録し、またメモリカードに記録されている画像データを読み出す機能を備えた書き込み/読み出し装置である。このメモリカードI/F部のメモリカードスロットには、メモリカードが着脱自在に装着される。
【0031】
レリーズボタン18は、撮影者による操作入力を取得する操作入力手段の一つである。レリーズボタン18が半押しされると、測光部30による測光と測距センサ9による測距が行われ、露出値の演算及び焦点調節が行われる。また、レリーズボタン18が全押しされると、ミラーユニット10によるメインミラー11及びサブミラー12の回動、及び絞り機構17とシャッタユニット6による露出制御が行われる。
【0032】
電源回路19は、不図示のバッテリ装置から出力された電力を、各部の動作状況に応じて供給する回路である。この電源回路19による電力の供給はカメラCPU40により制御されている。
【0033】
操作部25は、撮影者による操作入力を取得する操作入力手段であり、ダイアル、ボタン、レバー、スイッチなどで構成されている。図3に示す操作部25は、これらを包括的に表わしたものであり、具体例については後述する。
【0034】
表示パネル26は、カメラ本体2の上面に設けられ、おもにシャッタスピード、絞り値、設定感度などの撮影条件に関する情報が表示される。
【0035】
シーケンス制御部27は、絞り機構17、シャッタユニット6及びミラーユニット10の動作タイミングを制御する回路である。このシーケンス制御部27は。カメラCPU40からの動作指示に従って上記各部に所定の駆動信号を出力している。
【0036】
次に、カメラ1の外観とともに操作部25の具体例について説明する。図5は、本実施形態のカメラ1を背面側から見たときの斜視図である。カメラ本体2の上面には、撮影モードなどを選択可能なモードダイアル34、ポップアップ式の閃光装置(ストロボ)28、表示パネル26、レリーズボタン18が配置されている。また、カメラ1を背面から見たときに、右側にはユーザが撮影時にカメラ1を保持する際に使用するグリップ29が設けられている。
【0037】
一方、カメラ1の背面であって、グリップ29の近傍には、メインダイアル35が配置されている。また、カメラ1の前面側であって、グリップ29の近傍には、サブダイアル36が配置されている。これらのダイアルは、おもに撮影モードの設定や、絞り値、シャッタスピード、露出補正値などを入力するためのダイアルである。撮影者は、例えばメインダイアル35を操作することにより、撮影モードを静音モードに切り替えることができる。
【0038】
さらに、カメラ1の背面には液晶モニタ8が配置されている。この液晶モニタ8の上部には、撮影者が接眼状態で被写体像を観察するファインダ24が配置されている。また、液晶モニタ8の左側にはファンクションボタン37が配置され、右側にはセレクタダイアル38が配置されている。本実施形態のファンクションボタン37は、静音モードにおいて、シャッタユニット6及びミラーユニット10が停止している間に押されると、解除指示の操作入力となる。
【0039】
セレクタダイアル38は、上下左右の4方向と中央に図示しない電気接点を持つダイアル形のスイッチである。撮影者が上下左右に刻印されている矢印マーク38aを指で押すと、その押された矢印マーク38aの方向が選択方向として入力される。また、中央に配置されたOKボタン38bが押下されると、その時点での選択内容で決定したことが入力される。このセレクタダイアル38は、主に液晶モニタ8に表示された撮影条件などの変更操作や、メニュー項目、撮影済み画像の変更操作などに用いられる。本実施形態では、セレクタダイアル38の操作により静音モード時の待機時間を任意に設定することができる。
【0040】
例えば、液晶モニタ8に待機時間の設定画面を表示し、セレクタダイアル38の上向き又は下向きの矢印マーク38aが押されたときには、押された回数に応じて数値を増減表示する。そして、OKボタン38bが押されたときに、その時点で入力されている数値を待機時間として設定する。
【0041】
カメラCPU40は、カメラ1全体の動作を制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。以下、カメラCPU40により実行される各種の機能について説明する。
【0042】
カメラCPU40は、レリーズボタン18が半押しされると、測距センサ9で検出された被写体像のデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算する。このレンズ駆動量に応じて不図示のレンズ駆動用モータを駆動することにより、不図示のカップリング機構を介して、駆動力がレンズ鏡筒3の焦点調節機構に伝達されて焦点調節が行われる。なお、レンズ駆動量に応じた駆動信号をレンズ鏡筒3側の図示しないレンズCPUへ送信することにより、レンズ鏡筒3のレンズ内モータにより焦点調節を行うものであってもよい。
【0043】
また同時に、カメラCPU40は、測光センサ33による被写体光の測光値や、装着されているレンズ鏡筒3のレンズ種類、開放F値、焦点距離などのレンズ情報のほか、撮影者により設定された撮影モード、不図示の感度設定部から入力された撮影感度情報などに基づいて適正な露出値を演算する。そして、その露出値に応じた絞り値とシャッタスピード値を設定するとともに、後述する表示パネル26などに絞り値とシャッタスピード値を表示させる。
【0044】
また、カメラCPU40は、レリーズボタン18が半押しの状態から全押しされると、シーケンス制御部27を介してミラーユニット10を制御し、メインミラー11及びサブミラー12を定位置から退避位置まで回動させる(ミラーアップ)。同時に、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを作動させる。これにより、レンズ鏡筒3の絞込みレバーが作動して、絞り羽根が設定された絞り値に応じた位置まで絞り込まれる。この後、カメラCPU40は、シャッタユニット6を制御して、撮像部7を遮光しているシャッタ羽根を駆動する。これにより、入射した被写体光による像が撮像部7で撮影されることになる。そして、シャッタ羽根が画面をすべて閉じることで撮影が終了する。ここまでが露光シーケンスの前半となる。
【0045】
撮影が終了すると、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介してミラーユニット10を制御し、メインミラー11及びサブミラー12を定位置まで回動させる(ミラーダウン)。同時に、シーケンス制御部27を介してシャッタユニット6を制御し、シャッタチャージを行う。さらに、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを初期位置まで復帰させる。これにより絞り羽根は絞り開放状態となる。撮像部7による撮影が終了してから、ここまでが露光シーケンスの後半となる。この露光シーケンスの後半では、ミラーダウンやシャッタチャージなどの動作に伴う音が発生することになる。
【0046】
上述した露光シーケンス(前半、後半)は、通常の撮影モードが設定されているときの動作を時系列に表わしている。本実施形態のカメラ1では、静音モードが設定されたときに、上述した露光シーケンスを連続して実行せず、露光シーケンスの前半が終了した時点で露光シーケンスを一旦停止し、所定の条件が揃った時点で露光シーケンスの後半を実行するようにしている。このような露光シーケンスの実行を制御する制御手段として、カメラCPU40は以下のような処理を実行している。
【0047】
カメラCPU40は、撮像部7による撮影が終了した後、音声処理部15から送信された音圧信号に基づいて音圧のレベルを判定している。そして、カメラCPU40は、音圧のレベルが閾値に達しない場合は、メインミラー11及びサブミラー12が退避位置から定位置に回動しないようにミラーユニット10の動作を停止させる処理を実行する。また同時に、シャッタチャージが行われないようにシャッタユニット6の動作を停止させる処理を実行する。このように、撮影が終了した後に、周囲の音が小さい場合には、ミラーダウンなどの動作に伴う音が目立ちやすいため、露出シーケンスの後半をすぐに実行しないようにしている。また、カメラCPU40は、ミラーユニット10やシャッタユニット6の動作を停止させた場合は、撮影者がレリーズボタン18から指を離してもミラーユニット10やシャッタユニット6の動作を開始しないようにしている。
【0048】
一方、カメラCPU40は、音圧のレベルが閾値に達している場合は、メインミラー11及びサブミラー12を退避位置から定位置に回動するようにミラーユニット10を動作させる処理を実行する。また同時に、シャッタチャージが行われるようにシャッタユニット6を動作させる処理を実行する。このように、撮影が終了した後に、カメラ1の周囲にある程度の音が発生している場合には、ミラーダウンなどの動作に伴う音が目立たないため、以下のような条件下で露出シーケンスの後半を実行するようにしている。
【0049】
すなわち、音圧のレベルが閾値に達している場合に、カメラCPU40は、その音圧のレベルに応じて、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作を開始するまでの待機時間を設定する処理を実行する。なお、カメラCPU40は、時間を計測する時間計測手段としての機能を備えている。待機時間の計測は、カメラCPU40において、第1タイマ及び第2タイマの処理として実行される。
【0050】
ここで、音圧のレベルに応じた待機時間について説明する。図4は、音圧のレベルと待機時間との関係を示す説明図である。本実施形態では、音圧のレベルをレベル1〜3の3段階に設定している。図4に示すように、音圧がレベル3以上に大きければ、時間t1(0.5秒)を待機時間とする。また、音圧がレベル2以上〜レベル3未満であれば、時間t2(10秒)を待機時間とする。さらに、音圧がレベル1以上〜レベル2未満であれば、時間t3(60秒)を待機時間とする。ここで、レベル1未満は、音圧のレベルが閾値に達していないレベルとして判定される。カメラCPU40は、上記のようにして音圧のレベルに応じて待機時間を設定し、この待機時間に関する情報をメモリ16のDRAMに記憶する。また、カメラCPU40は、後述するセレクタダイアル38などの操作入力手段による時間設定の操作入力を取得したときは、その時間を待機時間として設定する処理を実行する。なお、音圧のレベルはさらに細かく設定されていてもよいし、レベル3以上でなければ、音圧のレベルが閾値に達していない(レベル1未満)と判定するようにしてもよい。
【0051】
また、カメラCPU40は、音圧のレベルが閾値に達していない場合に、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作を停止させたときは、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作が停止中であることを知らせるメッセージを液晶モニタ8(又は表示パネル26)に表示させる処理を実行する。そして、待機時間が経過するなどの事象が発生することにより、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作を開始したときには、上記メッセージの表示を終了する処理を実行する。
【0052】
また、カメラCPU40は、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作を停止させている間に、ファンクションボタン37により解除指示の操作入力があった場合には、その時点でシャッタユニット6及びミラーユニット10の動作を開始する処理を実行する。なお、解除指示の操作入力はファンクションボタン37に限らず、専用のボタンを設けてもよいし、他のボタンと兼用させてもよい。
【0053】
次に、第1実施形態のカメラ1において、静音モードが設定されたときの撮像から記録までの一連の処理手順を図6のフローチャートにより説明する。このフローチャートの処理は、撮影モードとして静音モードが設定され、撮影者がレリーズボタン18を半押しすることによりスタートする。
【0054】
ステップS101において、カメラCPU40は、測光処理として、測光部30で検出された測光値を取得し、その測光値などに基づいて露出値を演算する。また、測距処理として、測距センサ9で検出されたデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算する。
【0055】
ステップS102において、カメラCPU40は、演算されたレンズ駆動量に基づいて不図示のレンズ駆動用モータを駆動することにより、焦点調節のためのレンズ駆動を実行する。ステップS103において、カメラCPU40は、レリーズボタン18が全押しされたかどうかを判定する。この判定でNOであれば、ステップS101の先頭に戻る。またステップS103の判定でYESであれば、ステップS104へ移行する。ステップS104において、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介してミラーユニット10を制御し、メインミラー11及びサブミラー12を定位置から退避位置まで回動させる(ミラーアップ)。同時に、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを作動させる。これにより、レンズ鏡筒3の絞り羽根が設定された絞り値に応じた位置まで絞り込まれる。
【0056】
ステップS105において、カメラCPU40は、シャッタユニット6を制御して、撮像部7を遮光しているシャッタ羽根の駆動を開始する(シャッタ走行開始)。続いて、ステップS106において、カメラCPU40は、入射した被写体光による像を撮像部7で撮像する。そして、ステップS107において、カメラCPU40は、シャッタユニット6を制御して、シャッタ羽根の駆動を停止する(シャッタ走行終了)。同時に、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを初期位置まで復帰させる。この後、撮像により得られた画像信号は撮像部7から不図示の画像処理部に送られ画像データが生成される。この画像データは、さらに不図示のメモリカードI/F部を介してメモリカードに記録される。通常の撮影モードでは、この後にすぐに露光シーケンスの後半が実行されるが、本実施形態の静音モードでは、ステップS107の処理が終了すると、後述するようにマイク14による音の検知が開始される。
【0057】
ステップS108において、カメラCPU40は、マイク14による音の検知を開始し、ステップS109において、不図示の第1タイマによる時間計測を開始する。そして、ステップS110において、カメラCPU40は、マイク14により音が検知されたかどうかを判定する。ここでは、先に説明したように、音圧のレベルが閾値に達していない場合には音の検知がなかったと判定し、音圧のレベルが閾値に達している場合に音が検知されたと判定する。このステップS110の判定でYESであれば、ステップS111へ移行し、カメラCPU40は、検知された音の音圧がレベル3以上かどうかを判定する。
【0058】
ステップS111の判定でYESであれば、カメラCPU40は、ステップS112へ移行し、不図示の第2タイマの時間計測により0.5秒経過するまで待機する。ここで、0.5秒経過したと判定した場合、ステップS113において、カメラCPU40は、ステップS109で開始した不図示の第1タイマによる時間計測をリセットする。続いて、ステップS114において、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介してミラーユニット10を制御し、メインミラー11及びサブミラー12を退避位置から定位置まで回動させる(ミラーダウン)。同時に、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介してシャッタユニット6を制御し、シャッタチャージを行う。また、カメラCPU40は、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを初期位置まで復帰させて、レンズ鏡筒3の絞り羽根を開放状態とする。このステップS114が終了すると、次の操作入力があるまで待機する。このように、撮影後における周囲の音がレベル3以上に大きい場合には、ミラーダウンやシャッタチャージなどの動作に伴う音が目立たないため、0.5秒後にステップS114の処理が実行される。なお、周囲の音がレベル3以上に大きい場合には、待機時間を設けずに、すぐにステップS114の処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
また、ステップS111の判定でNOであれば、ステップS115において、カメラCPU40は、検知された音の音圧がレベル2以上〜レベル3未満かどうかを判定する。この判定でYESであれば、カメラCPU40は、ステップS116へ移行し、不図示の第2タイマの時間計測により10秒経過するまで待機する。そして、10秒経過した後にステップS113へ移行する。また、ステップS115の判定でNOであれば、ステップS117において、カメラCPU40は、検知された音の音圧がレベル1以上〜レベル2未満かどうかを判定する。この判定でYESであれば、カメラCPU40は、ステップS118へ移行し、不図示の第2タイマの時間計測により60秒経過するまで待機する。そして、60秒経過した後にステップS113へ移行する。
【0060】
このように、撮影後における周囲の音がレベル1〜2程度である場合には、10〜60秒程度の待機時間の後にミラーダウンとシャッタチャージが行われる。この待機時間の間、撮影者は例えばカメラ1を衣服で覆ったり、場所を移動したりするなどの行動をとることができる。なお、ステップS117の判定でNOであれば、ステップS110に戻る。
【0061】
また、ステップ110の判定でNOであれば、カメラCPU40は、ステップS119へ移行し、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作が停止中であることを知らせるメッセージを液晶モニタ8に表示させる。次に、ステップS120において、カメラCPU40は、ファンクションボタン37の操作入力があるかどうかを判定する。この判定でNOであれば、ステップS121へ移行し、第1タイマによる時間計測が120秒を経過したかどうかを判定する。この判定でNOであれば、ステップS110に戻る。このように、音を検知していない状態でファンクションボタン37の操作入力がない場合は、120秒待機することになる。
【0062】
一方、ステップS120の判定でYESの場合、すなわちファンクションボタン37の操作入力があったとき、又はステップS121の判定でYESの場合、すなわち第1タイマの時間計測が120秒を経過した場合は、ステップS122へ移行し、液晶モニタ8でのメッセージの表示を終了する。この後、カメラCPU40は、ステップS113へ移行する。このように、撮影後における周囲の音がレベル1未満の低いレベルである場合には、120秒の待機時間の後にミラーダウンやシャッタチャージなどが行われる。この待機時間の間、撮影者は例えばカメラ1を衣服で覆ったり、場所を移動したりするなどの行動をとることができる。また、待機時間の間にファンクションボタン37の操作入力があれば、その時点でミラーダウンやシャッタチャージなどが行われる。
【0063】
以上、第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)撮影後にカメラ1の周囲の音が大きい場合にのみミラーダウンやシャッタチャージなどが行われるので、これらの動作に伴って発生する音は目立たなくなり、撮影者は周囲に気を使うことなく撮影を行うことができる。したがって、撮影後のミラーダウンなどの動作に伴う音を、撮影者に負担をかけることなしに目立たなくすることができる。
(2)撮影後にカメラ1の周囲の音が閾値に達していても、比較的小さい場合には、所定の待機時間後にミラーダウンやシャッタチャージなどが行われるため、待機時間の間に、撮影者は例えばカメラ1を衣服で覆ったり、場所を移動したりするなどの行動をとることができる。
(3)音圧のレベルに応じて待機時間に差を持たせているため、周囲の状況に応じて適切な待機時間を設定することができる。例えば、周囲の音圧のレベルが中程度のときには、撮影者はカメラ1を衣服で覆うだけでも十分に動作音を目立たなくすることができるので、待機時間を10秒とすることにより、次の撮影までの待ち時間を必要最小限とすることができる。また、周囲の音圧のレベルが小さいときには、撮影者はカメラ1を持ったまま場所を移動することが考えられるため、待機時間を60秒以上とすることにより撮影者が場所を移動するのに必要な十分な時間を確保することができる。
(4)ミラーユニット10とシャッタユニット6の動作を停止させている間は、撮影者がレリーズボタン18から指を離してもミラーダウンやシャッタチャージなどは行われないので、従来のように撮影者がうっかりレリーズボタンから指を離してしまい、不用意に音を発生させてしまうミスを確実に防止することができる。
(5)撮影者の操作入力によって待機時間を任意に変更することができるので、撮影者は撮影状況や撮影スタイルなどに合わせて所望の待機時間を設定することができる。
(6)音が検知されない場合(音圧のレベルが閾値に達していない場合)は、ミラーユニット10とシャッタユニット6の動作が停止中であることを知らせるメッセージが液晶モニタ8に表示されるので、撮影者は、ミラーダウンやシャッタチャージなどが行われないことを容易に理解することができる。これによれば、撮影者はカメラが故障してミラーダウンやシャッタチャージなどが行われないと誤解することがないので、安心して撮影に集中することができる。
(7)音が検知されず、ミラーユニット10とシャッタユニット6の動作が停止している間にファンクションボタン37の操作入力があったときは、その時点でミラーユニット10とシャッタユニット6の動作を開始するようにしたので、撮影者は自己の判断でこれらの動作を行わせることができる。
(8)カメラ周囲の音を検知する音検知手段として、動画撮影時に音声を集音するマイク14を用いているため、動画撮影機能を備えたカメラであれば、別途マイクを設置する必要がなく、コスト増を抑えることができる。
【0064】
以上説明した第1実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような変形形態として、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)音が検知されない場合だけでなく、音が検知された場合であっても、ミラーユニット10やシャッタユニット6の動作が停止中であることを知らせるメッセージを液晶モニタ8に表示するようにしてもよい。
(2)音が検知されないときだけでなく、音が検知されたときの待機時間(本実施形態では10秒又は60秒)中にファンクションボタン37の操作入力があったときは、その時点でミラーダウンやシャッタチャージなどを行うようにしてもよい。
(3)ファンクションボタン37の機能は、他のボタンなどで実行するようにしてもよい。例えば、ミラーユニット10やシャッタユニット6の動作が停止している間に、再びレリーズボタン18を押すこと(半押し又は全押し)でミラーダウンとシャッタチャージが行われるようにしてもよい。
(4)音圧のレベルが3未満の場合には、待機時間(本実施形態では10秒又は60秒)が経過した後に再度、音圧のレベルを判定するようにしてもよい。
(5)音が検知されない場合には、待機時間(本実施形態では120秒)を設けずに、ファンクションボタン37の操作入力があるまではミラーダウンやシャッタチャージなどを行なわないようにしてもよい。
(第2実施形態)
【0065】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係わるカメラ(以下、カメラ1Aという)の基本的な構成は第1実施形態と同じであるため、図示による説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0066】
本実施形態のカメラCPU(以下、カメラCPU40Aという)は、静音モードが設定された場合は、撮像部7による撮影が終了した後、時間計測手段である不図示のタイマ(第1実施形態の第1又は第2タイマ)による時間計測を開始し、この計測された時間が待機時間に達するまで、メインミラー11及びサブミラー12が退避位置から定位置に回動しないようにミラーユニット10の動作を停止させる処理を実行する。また同時に、シャッタチャージが行われないようにシャッタユニット6の動作を停止させる処理を実行する。すなわち、撮影者は周囲の音が小さく、ミラーダウンなどの動作に伴う音が目立ちやすい場合には、あらかじめ静音モードに設定しておくことにより、撮影が終了した後に、露出シーケンスの後半がすぐに実行されないようにすることができる。
【0067】
また、カメラCPU40Aは、ミラーユニット10やシャッタユニット6の動作を停止させた場合は、撮影者がレリーズボタン18から指を離してもミラーユニット10やシャッタユニット6の動作を開始しないようにしている。一方で、カメラCPU40Aは、ミラーユニット10やシャッタユニット6の動作を停止させている間に、レリーズボタン18が全押しされることにより解除指示の操作入力があった場合は、その時点でシャッタユニット6及びミラーユニット10の動作を開始する処理を実行する。なお、解除指示の操作入力はレリーズボタン18の全押しに限らず、半押しでもよい。或いは、解除指示のための専用のボタンを設けてもよいし、他のボタンと兼用させてもよい。
【0068】
さらに、カメラCPU40Aは、静音モードにおいて、撮像部7による撮影が終了した後、不図示のタイマが時間計測している、待機時間までの積算時間又は待機時間からの減算時間(残り時間)を液晶モニタ8(又は表示パネル26)に表示させる処理を実行する。例えば、待機時間が120秒に設定されているとすると、待機時間までの積算時間で表示した場合は「1秒」、「2秒」、「3秒」・・・「120」秒となり、待機時間からの減算時間で表示した場合は「120秒」、「119秒」、「118秒」・・・「1秒」となる。
【0069】
また、カメラCPU40Aは、セレクタダイアル38などの操作入力手段による時間設定の操作入力を取得したときは、その時間を待機時間として設定する処理を実行する。例えば、液晶モニタ8に待機時間の設定画面を表示し、セレクタダイアル38の上向き又は下向きの矢印マーク38aが押されたときには、押された回数に応じて数値を増減表示する。そして、OKボタン38bが押されたときに、その時点で入力されている数値を待機時間として設定する。
【0070】
または、待機時間の設定画面に「2秒」、「5秒」、「30秒」、「2分」、「5分」などの遅延時間の候補を表示し、セレクタダイアル38の右向き又は左向きの矢印マーク38aが押されたときにカーソル又は点灯枠を移動する。そして、OKボタン38bが押されたときには、その時点でカーソル又は点灯枠が示している数値を待機時間として設定するようにしてもよい。
【0071】
また、カメラCPU40Aは、静音モードにおいて、撮像部7による撮影が終了した後、ファンクションボタン37が押されることにより時間再設定の操作入力があった場合には、タイマでの時間計測をリセットしたうえで、再び時間計測を開始する処理を実行する。例えば、待機時間が120秒に設定されているときに、減算時間の表示が「5秒」であったとすると、その時点でファンクションボタン37が押されると、再び「120秒」の表示から減算時間の時間計測が開始される。なお、時間再設定の操作入力はファンクションボタン37に限らず、専用のボタンを設けてもよいし、他のボタンと兼用させてもよい。
【0072】
次に、第2実施形態のカメラ1Aにおいて、静音モードが設定されたときの撮像から記録までの一連の処理手順を図7のフローチャートにより説明する。このフローチャートの処理は、撮影モードとして静音モードが設定され、撮影者がレリーズボタン18を半押しすることによりスタートする。
【0073】
図7のフローチャートにおいて、ステップS201〜ステップS207までの処理、すなわち露光シーケンスの前半の処理は、図6のステップS101〜S107と同じであるため説明を省略する。
【0074】
ステップS208において、カメラCPU40Aは、不図示のタイマによる時間計測を開始する。ステップS209において、カメラCPU40Aは、計測時間(積算時間又は減算時間)を液晶モニタ8に表示させる。そして、ステップS210において、カメラCPU40Aは、時間計測が待機時間に達したかどうかを判定する。この判定でYESであれば、ステップS211へ移行し、液晶モニタ8での計測時間の表示を終了する。続いて、ステップS212において、カメラCPU40Aは、ステップS208で開始した不図示のタイマによる時間計測をリセットする。
【0075】
さらに、ステップS213において、カメラCPU40Aは、シーケンス制御部27を介してミラーユニット10を制御し、メインミラー11及びサブミラー12を退避位置から定位置まで回動させる(ミラーダウン)。同時に、カメラCPU40Aは、シーケンス制御部27を介してシャッタユニット6を制御し、シャッタチャージを行う。また、カメラCPU40Aは、シーケンス制御部27を介して絞り機構17を制御し、不図示の絞り制御レバーを初期位置まで復帰させて、レンズ鏡筒3の絞り羽根を開放状態とする。このステップS213が終了すると、次の操作入力があるまで待機する。
【0076】
一方、ステップS210の判定でNOであれば、カメラCPU40Aは、ステップS214へ移行し、レリーズボタン18が全押しされたかを判定する。この判定でYESであれば、ステップS211へ移行する。一方、ステップS214の判定でNOであれば、続いて、ステップS215へ移行して、ファンクションボタン37の操作入力があるかどうかを判定する。この判定でYESであれば、ステップS216へ移行し、カメラCPU40AはステップS208で開始した不図示のタイマによる時間計測をリセットし、ステップS208に戻る。また、ステップS215の判定でNOであれば、ステップS209に戻り、待機時間に達するまでステップS214、テップS215の判定を繰り返し実行する。
【0077】
本実施形態では、撮像後にすぐにミラーダウンやシャッタチャージなどが開始されることがなく、所定の待機時間が経過した後にミラーダウンやシャッタチャージなどが行われる。このため、周囲が静かな状況であれば、待機時間の間に撮影者は例えばカメラ1を衣服で覆ったり、場所を移動したりするなどの行動をとることができる。また、待機時間の間にレリーズボタン18が全押しされることにより解除指示の操作入力があれば、その時点でミラーダウンやシャッタチャージなどが行われる。また、待機時間の間にファンクションボタン37の操作入力があれば、その時点での時間計測がリセットされ、再び待機時間の時間計測が開始されることになる。
【0078】
以上、第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)撮影が終了した後、所定の待機時間が経過した後にミラーダウンやシャッタチャージなどが行われるため、周囲の音が小さい場合には、待機時間の間に、撮影者は例えばカメラ1を衣服で覆ったり、場所を移動したりするなどの行動をとることができる。したがって、撮影後のミラーダウンなどの動作に伴う音を、撮影者に負担をかけることなしに目立たなくすることができる。
(2)ミラーユニット10やシャッタユニット6などの動作を停止させている間は、撮影者がレリーズボタン18から指を離してもミラーダウンやシャッタチャージなどは行われないので、従来のように撮影者がうっかりレリーズボタンから指を離してしまい、不用意に音を発生させてしまうミスを確実に防止することができる。
(3)撮影者の操作入力によって待機時間を任意に変更することができるので、撮影者は撮影状況や撮影スタイルなどに合わせて所望の待機時間を設定することができる。
(4)待機時間中はタイマでの計測時間が液晶モニタ8に表示されるので、撮影者は、ミラーダウンやシャッタチャージなどの動作が行われるまでの時間を正確に把握することができる。
(5)待機時間中にレリーズボタン18が全押しされることにより解除指示の操作入力があった場合は、その時点でミラーユニット10とシャッタユニット6の動作を開始するようにしたので、撮影者は自己の判断でこれらの動作を行わせることができる。
(6)待機時間中にファンクションボタン37が押されることにより時間再設定の操作入力があった場合は、タイマでの時間計測がリセットされ、再び待機時間の時間計測が開始されるので、撮影者は周囲の状況に応じて待機時間をさらに延ばすことができる。
【0079】
以上説明した第2実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような変形形態として、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)タイマでの計測時間を液晶モニタ8に表示させるだけでなく、ミラーユニット10及びシャッタユニット6の動作が停止中であることを知らせるメッセージを液晶モニタ8に表示させるようにしてもよい。
(2)第1実施形態の制御を「静音モード1」、第2実施形態の制御を「静音モード2」とし、これら2つの静音モードがモードダイアル34などで切り替えられるようにしてもよい。
なお、上記各実施形態及び変形形態では、撮像装置としてデジタル一眼レフカメラを例に説明したが、本発明に係わる撮像装置は、例えば、ミラーユニットを備えていないカメラ等にも適用することができる。
【0080】
なお、上記各実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0081】
1,1A:カメラ、2:カメラ本体、3:レンズ鏡筒、6:シャッタユニット、7:撮像部、8:液晶モニタ、11:メインミラー、12:サブミラー、14:マイク、16:メモリ、26:表示パネル、37:ファンクションボタン、38:セレクタダイアル、40,40A:カメラCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した被写体光による像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像の際に、被写体光を前記撮像手段に導くための可動部材を駆動する可動部材駆動手段と、
周囲の音を検知する音検知手段と、
前記撮像手段による撮像後に、前記音検知手段で検知された音のレベルが閾値に達しない場合は、前記可動部材駆動手段の動作を停止させる制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、
前記音検知手段で検知された音のレベルが閾値に達している場合は、当該音のレベルに応じて、前記可動部材駆動手段の動作を開始するまでの待機時間を設定すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
ユーザによる操作入力を取得する操作入力手段を備え、
前記制御手段は、
前記操作入力手段において時間設定の操作入力を取得したときは、当該時間設定された時間を前記待機時間として設定すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、
前記可動部材駆動手段の動作を停止している間、前記操作入力手段において解除指示の操作入力を取得したときは、前記可動部材駆動手段の動作を開始すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
文字情報を表示可能な表示手段を備え、
前記制御手段は、
前記可動部材駆動手段の動作を停止させていることを知らせる文字情報を前記表示手段に表示させること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項6】
入射した被写体光による像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像時に、被写体光を前記撮像手段に導くための可動部材を駆動する可動部材駆動手段と、
時間を計測する時間計測手段と、
前記撮像手段による撮像後に前記時間計測手段による時間の計測を開始し、当該時間が待機時間に達するまで、前記可動部材駆動手段の動作を停止させる制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像装置であって、
文字情報を表示可能な表示手段を備え、
前記撮像手段による撮像後に、前記時間計測手段で計測されている時間を前記表示手段に文字情報として表示させること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項6に記載の撮像装置であって、
ユーザによる操作入力を取得する操作入力手段を備え、
前記制御手段は、
前記操作入力手段において時間設定の操作入力を取得したときは、当該時間設定された時間を前記待機時間として設定すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、
前記操作入力手段において時間再設定の操作入力を取得したときには、前記時間計測手段での時間計測をリセットしたうえで再び時間計測を開始すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の撮像装置であって、
前記制御手段は、
前記操作入力手段において解除指示の操作入力を取得したときには、前記可動部材駆動手段の動作を開始すること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10に記載の撮像装置であって、
前記可動部材駆動手段は、
前記撮像手段による撮像の際に、回動ミラーを使用位置から退避位置に回動させることにより、被写体光を前記撮像手段に導き、撮影後に、前記回動ミラーを退避位置から使用位置に回動させることにより、前記撮像手段に対し被写体光を遮光する回動ミラー駆動手段であること、
を特徴とする撮像装置。
【請求項12】
請求項11に記載の撮像装置であって、
前記可動部材駆動手段として、
前記撮像手段による撮像時に、シャッタ部材を開閉することにより、被写体光を前記撮像手段に導くシャッタユニットを更に含むこと、
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−197506(P2010−197506A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39831(P2009−39831)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】