撮像装置
【課題】光学ファインダ機能とライブビュー機能とを両立させて利用することが可能な技術を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓10に導く光学ファインダ手段と、被写体像を斜視する位置に配置され、被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子7と、撮像素子7によって順次に取得される斜視画像に基づいて、表示部12に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段とを備える。
【解決手段】撮像装置1は、撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓10に導く光学ファインダ手段と、被写体像を斜視する位置に配置され、被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子7と、撮像素子7によって順次に取得される斜視画像に基づいて、表示部12に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブビュー機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ(以下では、「一眼レフカメラ」とも称する)では、ライブビュー機能(被写体に関する時系列の画像を動画的態様で表示部に表示する機能)を搭載するカメラが存在する。
【0003】
例えば、特許文献1の一眼レフカメラでは、ファインダ光学系のペンタミラーに含まれる可動ミラーの角度を変えて光路を変更させ、ライブビュー用の撮像素子に被写体像を導き、ライブビュー機能を実現する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−90044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ミラー角度の変更により、ファインダ窓に向かう光路とライブビュー用の撮像素子に向かう光路とが択一的に選択される。このため、光学ファインダ機能とライブビュー機能とは、排他的な関係となり、両者を両立させて利用することができない。
【0006】
そこで、本発明は、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを両立させて利用することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮像装置であって、撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、前記被写体像を斜視する位置に配置され、前記被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって順次に取得される前記斜視画像に基づいて、表示部に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを両立させて利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<1.実施形態>
<構成>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。なお、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図であり、以下の説明では、便宜的に+Y方向を上方向、−Y方向を下方向とする。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。具体的には、撮像装置1は、撮像装置本体(カメラ本体部)2を備え、このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(単に、「撮影レンズ」または「交換レンズ」とも称する)3が着脱可能となっている。
【0012】
撮影レンズ3は、主として、鏡胴101、ならびに、鏡胴101の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)および絞り(不図示)等によって構成される。レンズ群37には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ(「合焦用レンズ」または「AFレンズ」とも称する)等が含まれている。
【0013】
カメラ本体部2は、撮影レンズ3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズ3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
【0014】
また、カメラ本体部2は、その正面左上部にモード設定ダイアル82を備え、その正面右上部に制御値設定ダイアル86を備えている。モード設定ダイアル82を操作することによって、カメラの各種モード(各種撮影モード(人物撮影モード、風景撮影モード、および連続撮影モード等)、撮影した画像を再生する再生モード、および外部機器との間でデータ交信を行う通信モード等を含む)の設定動作(切替動作)を行うことが可能である。また、制御値設定ダイアル86を操作することによれば、各種撮影モードにおける制御値を設定することが可能である。
【0015】
また、カメラ本体部2は、正面左端部にユーザが把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン(シャッターボタン)11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えば4本の単3形乾電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するための記録媒体(ここでは、メモリカード90(図5参照))が着脱可能に収納されるようになっている。
【0016】
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)の2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作(撮像素子(「主撮像素子」とも称する)5(後述)を用いて被写体像に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の本撮影動作)が行われる。
【0017】
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、表示部としてモニタ12が設けられている。モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示したりすることができる。
【0018】
カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓10が設けられている。ファインダ窓10には、撮影レンズ3からの被写体像が導かれ、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって、主撮像素子5によって取得される被写体像と等価な像を視認することができる。具体的には、撮影光学系に入射された被写体像は、ミラー機構6(図3参照)で上方に反射され、接眼レンズ67を介して視認される。このように、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって構図決めを行うことが可能である。なお、レリーズボタン11のS2状態の検出によって本撮影動作が開始されると、ミラー機構6は被写体像を形成する光(被写体光)の光路から待避し、撮影レンズ3からの光(被写体像を形成する光)が主撮像素子5に到達し、被写体に係る撮影画像(画像データ)が得られる。
【0019】
ファインダ窓10の下部には、接眼検知センサ13が設けられている。接眼検知センサ13は、近接物体の有無を検知するセンサであり、ユーザによる光学ファインダ使用の有無を検知する。
【0020】
モニタ12の左上部にはメインスイッチ81が設けられている。メインスイッチ81は、2点のスライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、撮像装置1の電源がオフになり、接点を右方の「ON」位置に設定すると、撮像装置1の電源がオンになる。
【0021】
モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。方向選択キー84は、円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下および左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出されるようになっている。
【0022】
モニタ12の左側には、メニュー画面の設定、画像の削除などを行うための複数のボタンからなる設定ボタン群83が設けられている。
【0023】
次に、撮像装置1の内部構成について説明する。図3および図4は、実施形態に係る撮像装置1の縦断面図である。
【0024】
図3に示すように、撮像装置1の内部には、ファインダ部(「ファインダ光学系」とも称する)102、ミラー機構6、位相差AFモジュール(以下、単にAFモジュールとも称する)20、シャッタ4、主撮像素子5、および副撮像素子7などが備えられている。
【0025】
主撮像素子(ここではCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、撮影レンズ3が備えているレンズ群37の光軸L上において、光軸Lに対して垂直な平面内に配置される。主撮像素子5は、その撮像面で受光された被写体像を光電変換作用により電気的信号に変換して、本撮影画像に係る画像信号を生成する。
【0026】
主撮像素子5の直前には、シャッタ4が配置されている。このシャッタ4は、上下方向に移動する幕体を備え、光軸Lに沿って主撮像素子5に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタである。
【0027】
また、図3に示されるように、撮影レンズ3から主撮像素子5に至る光路(「撮影光路」とも称する)上には、ミラー機構6が設けられている。
【0028】
ミラー機構6は、撮影光学系からの光を上方に向けて反射する主ミラー61(主反射面)を有している。この主ミラー61は、例えばその一部または全部がハーフミラーとして構成され、撮影光学系からの光の一部を透過させる。また、ミラー機構6は、主ミラー61を透過した光を下方に反射させるサブミラー62(副反射面)をも有している。
【0029】
また、ミラー機構6は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、ミラーダウン状態とミラーアップ状態との間で姿勢を切り替えることが可能である。
【0030】
具体的には、撮影モードにおいてレリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、換言すれば構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図3参照)。そして、ミラーダウン状態では、撮影レンズ3からの被写体光は、主ミラー61で上方に反射され焦点板64で結像した後、観察用光束としてファインダ部(「ファインダ光学系」とも称する)102に入射する。
【0031】
また、被写体光の一部は、主ミラー61を透過し、サブミラー62によって下方に反射され、AFモジュール20へと導かれる。
【0032】
AFモジュール20は、セパレータレンズおよびラインセンサ(焦点検出センサ)等を有し、フォーカスレンズによる焦点調節状態に応じた焦点調節に関する情報(「焦点情報」または「測距情報」とも称する)を取得する所謂AFセンサとして機能する。
【0033】
具体的には、AFモジュール20は、撮影領域に設定された測距エリア(「フォーカスエリア」または「AFエリア」とも称する)における被写体からの光をセパレータレンズで分離して2つの像を生成する。そして、AFモジュール20は、当該2つの像をラインセンサで受光し、その像間隔に応じた位相差検出信号を焦点情報として出力する位相差検出機能を有している。すなわち、撮影待機時におけるミラーダウン状態においては、AFモジュール20に導かれる被写体光に基づいて、AFモジュール20から焦点情報が出力される。
【0034】
このようにAFモジュール20は、撮影領域の所定位置に固定的に設定されたAFエリアから、焦点情報を取得する焦点情報取得手段として機能する。
【0035】
一方、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態(図4参照)となるように駆動され、露光動作が開始される。
【0036】
具体的には、図4に示すように、露光時には、ミラー機構6は、回転軸63を支点として上方に向けて跳ね上がり、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避し、撮影レンズ3からの光がシャッタ4の開放タイミングに合わせて主撮像素子5に到達する。主撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体像に関する画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズ3を介して主撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
【0037】
<機能ブロック>
次に、撮像装置1の機能の概要について説明する。図5は、実施形態に係る撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示されるように、撮像装置1は、位相差AFモジュール20、操作部80、全体制御部100、ミラー機構6、シャッタ4、主撮像素子5、A/D変換回路52、デジタル信号処理回路50、および画像メモリ56等を備える。
【0039】
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザの入力操作に応答して、全体制御部100が各種動作を実現する。
【0040】
主撮像素子5は、タイミング制御回路(不図示)から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面(撮像面)に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。
【0041】
主撮像素子5で取得された画像信号(アナログ信号)は、A/D変換回路52によってデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画像信号は、デジタル信号処理回路50に入力される。
【0042】
デジタル信号処理回路50は、A/D変換回路52から入力される画像信号に対してデジタル信号処理を施す。具体的には、黒レベル補正処理、ホワイトバランス(WB)処理、γ補正処理等の信号処理を行う。当該信号処理後の画像信号(画像データ)は、画像メモリ56に格納される。
【0043】
画像メモリ56は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能なメモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有している。
【0044】
本撮影時には、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部100において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
【0045】
副撮像素子7は、基本的には主撮像素子5と同様の機能を有し、いわゆるライブビュー画像取得用(電子ファインダ用)の撮像素子(補助撮像素子)としての役割を果たす。
【0046】
具体的には、副撮像素子7は、光路変更ミラー65eから接眼レンズ67へと進行する光束を遮らない位置(ここでは、接眼レンズ67の上方位置)であって、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に配置される。そして、副撮像素子7は露光を行い、ファインダ光学系に導かれた被写体像に関する斜視画像SGを取得する。なお、副撮像素子7は、ライブビュー用の画像信号を生成するための解像度を有していればよく、通常、主撮像素子5よりも少ない数の画素で構成される。
【0047】
副撮像素子7によって取得された斜視画像SGの画像データは、A/D変換回路52およびデジタル信号処理回路50において所定の処理が施され、画像メモリ56に一旦格納される。画像メモリ56に格納された斜視画像SGの画像データには、全体制御部100の歪み修正部123および輝度補正部124それぞれによって画像処理が施され、ライブビュー用の画像(「表示用画像」とも称する)HGが生成される。表示用画像HGは、VRAM57に転送され、モニタ12に表示される。詳細は、後述する。
【0048】
全体制御部100は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU,RAM120A、およびROM120B等を備える。全体制御部100は、ROM120B内に格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
【0049】
全体制御部100は、上述のプログラムの実行によって、位相差AF制御部121、駆動制御部122、歪み修正部123、輝度補正部124、および表示制御部125等を機能的に実現する。
【0050】
なお、歪み修正部123および輝度補正部124によって実現される各機能は、ライブビュー機能を実現する際に用いられる。
【0051】
位相差AF制御部121は、位相差検出方式による自動合焦(AF)動作(位相差AF)を行う。具体的には、位相差AF制御部121は、AFモジュール20から出力される焦点情報に基づいて、合焦時のフォーカスレンズの位置(レンズ合焦位置)を特定するレンズ合焦位置特定動作を行う。
【0052】
駆動制御部122は、位相差AF制御部121からの制御信号に応じてフォーカスレンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動動作を実行させる。
【0053】
具体的には、駆動制御部122は、位相差AF制御部121からの制御信号に応じて、撮影レンズ3内のレンズ側制御部31を動作させる。レンズ側制御部31は、駆動制御部122からの指令に応じてレンズ駆動部38を駆動させ、撮影レンズ3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズを光軸方向に移動させる。また、フォーカスレンズの位置(単に「レンズ位置」とも称する)は、撮影レンズ3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータがレンズ側制御部31からカメラ本体部2の全体制御部100に送られる。
【0054】
歪み修正部123は、斜視画像SGに射影変換を施して、斜視画像SGの歪みを修正する機能を有している。
【0055】
輝度補正部124は、斜視画像SGに輝度補正を施して、斜視画像SG内の画素位置に応じた輝度差を補正する機能を有している。
【0056】
表示制御部125は、モニタ12などの表示部における表示内容を制御する。例えば、表示制御部125は、副撮像素子7によって連続的に取得される斜視画像SGに基づいて、モニタ12に連続的な画像を表示させる。
【0057】
<構図決め動作(フレーミング動作)について>
次に、撮像装置1における構図決め動作について説明する。撮像装置1では、ユーザは、光学ファインダ視野内の表示、或いはライブビュー表示を視認して、構図決め操作(「フレーミング」とも称する)を行うことが可能になる。
【0058】
具体的には、構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図3参照)。上述のように、ミラーダウン状態では、撮影レンズ3からの被写体光は、主ミラー61で上方に反射され観察用光束としてファインダ部102に導かれる。
【0059】
ファインダ部102は、ペンタミラー65、接眼レンズ67、ファインダ窓10、結像レンズ69、および副撮像素子7等を備えている。
【0060】
ペンタミラー65は、複数のミラー(反射面)を有しており、反射によって被写体像の天地左右を入れ替えて正立像にする機能および被写体光の光路を変更する機能を有している。
【0061】
具体的には、ペンタミラー65は、三角屋根状に形成された2面のミラー(ダハミラー)65a,65bと、当該ダハミラー(ダハ面)65a,65bに対して固定された面65cと、光路変更ミラー(反射面)65eとを有している。
【0062】
ダハミラー65a,65bは、プラスチック成型により一体部品65dとして形成され、被写体光を2回反射させることによって被写体像の姿勢を反転させる機能を有している。光路変更ミラー65eは、被写体光の光路をファインダ窓10へ向かう光路PAに変更する機能を有している。
【0063】
接眼レンズ67は、ペンタミラー65等により正立像にされた被写体像をファインダ窓10の外側に導く機能を有している。
【0064】
このような構成を有するファインダ部102に入射した被写体光は、ペンタミラー65で正立像にされた後に、接眼レンズ67を通ってファインダ窓10へ向かう(図3の光路PA参照)。このように光路PAに沿って、ファインダ窓10に導かれた被写体像は、ユーザ(観察者)の眼へ到達して視認される。
【0065】
このように、撮影モードでは、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって、ファインダ視野内に表示された被写体像を視認し、構図決めを行うことができる。
【0066】
また、ファインダ窓10に導かれる被写体光の光路近傍に配置された副撮像素子7は、光路変更ミラー65eでの反射光の一部を受光し、微小時間間隔(例えば、1/60秒)で被写体像に係る撮影画像を順次に取得する。取得された時系列の撮影画像は、画像処理によって表示用画像HGに補正され、モニタ12に動画的態様にて順次に表示される。
【0067】
このように、撮影モードでは、ユーザは、モニタ12に表示される動画像(ライブビュー画像)を視認して構図決めを行うことができる。
【0068】
<ライブビュー機能について>
ここで、撮像装置1のライブビュー機能について詳述する。図6は、ファインダ部102の拡大図である。図7は、斜視画像SGを示す図であり、図8は、ライブビュー表示の動作フローチャートである。なお、図6では、光路PA上での光路変更ミラー65eの存在位置における被写体像BHが、光路変更ミラー65eを経て導かれる被写体像として仮想的に示されている。
【0069】
上述のように、撮像装置1では、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に配置された副撮像素子7によって取得される斜視画像SGに基づいてライブビュー表示が行われる。
【0070】
副撮像素子7は、光路変更ミラー65eを経て導かれる被写体像を斜視する位置に配置されることから、副撮像素子7の撮像面GP内では、被写体像に対して遠近差が生じる。
【0071】
具体的には、図6に示されるように、ファインダ窓10と、光路変更ミラー65eを経た被写体像BHとは正面から向かい合う正対した位置関係にあることから、ファインダ窓10からは、歪みのない被写体像を視認することができる。これに対して、副撮像素子7は、被写体像BHを斜視する位置に配置されるため、副撮像素子7の撮像面GP内において、被写体像BHに対して遠近差が生じる。詳細には、撮像面GPの上部は、撮像面GPの下部と比較して被写体像BDからの距離が遠くなる。このため、副撮像素子7の撮像面GPに到達する像には、遠近差に応じた倍率変化による歪みが生じ、斜視画像SGは、下部は小さく、上部は大きい台形状の歪んだ画像となる(図7参照)。
【0072】
また、被写体像BHと副撮像素子7の撮像面GPとは、斜めにずれた位置関係にあることから、被写体光の撮像面GPへの入射角が撮像面GPの上下で異なり、副撮像素子7の撮像面GPの上下において受光量に差が生じる。このため、斜視画像SGは、その上部と下部とを対比すると、平均的な輝度に差が生じた画像となる(図7)。
【0073】
撮像面GPの位置に応じた受光量は、撮像装置1における副撮像素子7の撮像面GPの空間位置、光路変更ミラー65eから撮像面GPまでの距離、または撮影光学系のレンズの射出瞳位置に応じて異なる。例えば、射出瞳位置が副撮像素子7の撮像面GPに近い場合は、撮像面GP下部の受光量が減少し、下部の輝度が低い画像が取得される。また、射出瞳位置が副撮像素子7の撮像面GPから遠い場合は、撮像面GP上部の受光量が減少し、上部の輝度が低い画像が取得される。
【0074】
そこで、図8に示されるように、撮像装置1は、ライブビュー表示を実行するに際し、斜視画像SG取得(ステップSP1)後、歪み修正部123によって斜視画像SGの台形状の歪みを修正する(ステップSP2)。そして、撮像装置1は、輝度補正部124によって斜視画像SGにおいて生じていた輝度差を補正する(ステップSP3)。なお、輝度差補正の実行前には、RGBの色空間が、マトリクス演算により輝度成分(Y)と色差成分(Cr、Cb)とをもつ色空間に変換される。
【0075】
以下では、歪み修正部123および輝度補正部124それぞれにおいて実行される処理ついて詳述する。
【0076】
<歪み補正について>
まず、歪み修正部123で実行される歪み修正処理(ステップSP2)について説明する。図9は、形状修正画像KGを示す図である。図10は、座標変換の概念図である。
【0077】
歪み修正部123では、斜視画像SGに射影変換が施され、図7の台形状の斜視画像SGが図9の矩形状の画像(「形状修正画像」とも称する)KGへと修正される。
【0078】
具体的には、図10に示されるように、副撮像素子7の撮像面GPが、3次元空間の中で傾いた平面KPであって、撮像面GPのZ座標がz=ax+by+cで与えられるとする。このとき、撮像面GPにおける座標(x,y)の所定画素は、式(1)を用いると、被写体像BHの像面に平行な平面HPにおける座標(x1,y1)の画素(変換画素)へと変換される。
【0079】
【数1】
【0080】
なお、式(1)中の係数(a,b,c,h,i,j,k,l,m)は、撮像装置1における副撮像素子7の撮像面GPの空間位置と、光路変更ミラー65eから撮像面GPまでの距離とによって一意に決定される。各係数は、撮像装置1の設計時に算出され、ROM120Bに予め記憶されている。
【0081】
このように、歪み修正部123では、射影変換によって斜視画像SGにおける各画素が座標変換され、形状修正画像KGが生成される。
【0082】
なお、形状修正画像KGにおける各画素の画素値には、原則として、座標変換前の斜視画像SGにおける対応画素の画素値がそのまま用いられる。形状修正画像KGの画素と斜視画像SGの画素とが一対一に対応しない場合、例えば形状修正画像KGの画素が、斜視画像SGの複数画素と対応する場合は、複数画素の画素値の平均値を算出し、当該平均値を形状修正画像KGにおける画素の画素値とすればよい。
【0083】
<輝度補正について>
次に、輝度補正部124で実行される輝度差補正処理(ステップSP3)について説明する。図11は、表示用画像HGを示す図である。
【0084】
輝度補正部124では、被写体光の入射角に依存した輝度差が補正され、画像内の位置に応じて平均的な輝度に差のある画像(図9)から、画像内の位置に応じて平均的な輝度に差のない表示用画像HG(図11)が生成される。
【0085】
輝度差補正は、ROM120Bに予め記憶された補正情報を用いて実行される。補正情報は、画像内の位置の違いに応じて生じる輝度差を補正する補正係数を含み、当該補正係数は、画像内の画素ごとに定められている。輝度差補正は、補正対象の画像(ここでは、形状修正画像KG)に含まれる各画素の輝度値に、対応する補正係数をそれぞれ乗じて行われる。
【0086】
このような補正情報は、副撮像素子7で均一輝度の被写体を撮影して得られた画像(試験画像)に基づいて取得される。
【0087】
具体的には、試験画像内における所定画素の輝度値を基準としたときの他の各画素の輝度値を、当該所定画素の輝度値へと合わせる値が補正係数として取得される。例えば、基準画素の輝度値が「10」であり、他の画素の輝度値が「5」であった場合は、他の画素の輝度値を「10」にする値「2」が、当該他の画素に関する補正係数となる。このようにして、補正係数は、他の全画素に関して取得される。なお、試験画像内において基準とされる所定画素としては、画像内において比較的輝度の高い輝度値を有する画素を採用することが好ましい。
【0088】
また、画像内の輝度差は、撮影光学系のレンズの射出瞳位置に応じて変化することから、輝度差補正に用いられる補正情報は、撮像装置1に装着可能な撮影レンズ3ごとに異なる。このため、撮像装置1では、各撮影レンズ3に対応した補正情報がROM120Bに予め記憶され、輝度差補正を実行する際には、現在装着されている撮影レンズ3のレンズ情報に基づいて撮影レンズ3に適した補正情報が選択される。なお、撮影レンズ3のレンズ情報は、コネクタECを介して取得される。
【0089】
以上のように、撮像装置1では、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に副撮像素子7を配置し、当該副撮像素子7によって取得される斜視画像SGに基づいてプレビュー画像を表示させる。これによれば、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを同時に実現できるので、両者を両立させて利用することが可能になる。
【0090】
また、ライブビュー表示の際には、歪み修正部123によって斜視画像SGの歪みが修正されるので、ユーザは、歪みのない正常なライブビュー画像を視認することが可能になる。
【0091】
また、ライブビュー表示の際には、輝度補正部124によって画像内の位置に応じた平均的な輝度の差を補正することによって斜視画像SGの明るさが調整されるので、ユーザは、画像内の位置に応じて輝度差のないライブビュー画像を視認することが可能になる。
【0092】
<2.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態の歪み修正部123では、式(1)を用いた射影変換によって斜視画像SGの画素位置を修正していたが、射影変換後にさらに画素位置を補正してもよい。図12は、斜視画像SGと形状修正画像KGとの対応関係を示す図である。
【0094】
射影変換後の画素位置補正は、設計上の理想の射影変換後の画素位置(「理想画素位置」とも称する)と、撮像装置1における実際の射影変換後の画素位置(「実画素位置」とも称する)とのズレ度合いに基づいて実行される。
【0095】
具体的には、図12に示されるように、斜視画像SG上の複数の画素を参考画素NP1〜NP5とし、当該参考画素NP1〜NP5それぞれについての射影変換後の理想画素位置MP1〜MP5を予めROM120Bに記憶しておく。
【0096】
ライブビュー表示を行う際には、取得された斜視画像SGにおける参考画素NP1〜NP5が最初に射影変換され、参考画素NP1〜NP5それぞれについての射影変換後の実画素位置JP1〜JP5(図12では、実画素位置JP1のみ図示)が求められる。そして、実画素位置JP1〜JP5とそれぞれに対応した理想画素位置MP1〜MP5とのズレが各参考画素NP1〜NP5に関する基準補正量として取得される。
【0097】
このようにして取得された各基準補正量に基づいて、補間により、斜視画像SGの各画素についての補正量がそれぞれ算出され、当該補正量を用いて斜視画像SGの各画素についての射影変換後の各画素位置が補正される。
【0098】
このように、射影変換後にさらに画素位置を補正することによれば、撮像装置1の組み立て誤差等をも考慮した歪み修正が可能となる。
【0099】
また、接眼検知センサ13によってファインダ窓10への接眼が検知された場合は、ライブビュー表示をオフしてもよい。これによれば、ライブビュー表示による電力消費を抑制することが可能になる。また、撮像装置1では、ライブビュー機能の有効化、無効化に際して、ミラーを動作させて光路を切り替える等の機構動作が存在しないので、ライブビュー表示のオン/オフの切替がスムーズになる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。
【図4】実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。
【図5】実施形態に係る撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】ファインダ部の拡大図である。
【図7】斜視画像を示す図である。
【図8】ライブビュー表示の動作フローチャートである。
【図9】形状修正画像を示す図である。
【図10】座標変換の概念図である。
【図11】表示用画像を示す図である。
【図12】斜視画像と形状修正画像との対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 撮像装置
7 副撮像素子
10 ファインダ窓
100 全体制御部
102 ファインダ部
123 歪み修正部
124 輝度補正部
125 表示制御部
SG 斜視画像
HG 表示用画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブビュー機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ(以下では、「一眼レフカメラ」とも称する)では、ライブビュー機能(被写体に関する時系列の画像を動画的態様で表示部に表示する機能)を搭載するカメラが存在する。
【0003】
例えば、特許文献1の一眼レフカメラでは、ファインダ光学系のペンタミラーに含まれる可動ミラーの角度を変えて光路を変更させ、ライブビュー用の撮像素子に被写体像を導き、ライブビュー機能を実現する技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−90044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ミラー角度の変更により、ファインダ窓に向かう光路とライブビュー用の撮像素子に向かう光路とが択一的に選択される。このため、光学ファインダ機能とライブビュー機能とは、排他的な関係となり、両者を両立させて利用することができない。
【0006】
そこで、本発明は、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを両立させて利用することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮像装置であって、撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、前記被写体像を斜視する位置に配置され、前記被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子と、前記撮像素子によって順次に取得される前記斜視画像に基づいて、表示部に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを両立させて利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<1.実施形態>
<構成>
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。なお、図1は、撮像装置1の正面外観図であり、図2は、撮像装置1の背面外観図であり、以下の説明では、便宜的に+Y方向を上方向、−Y方向を下方向とする。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係る撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。具体的には、撮像装置1は、撮像装置本体(カメラ本体部)2を備え、このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(単に、「撮影レンズ」または「交換レンズ」とも称する)3が着脱可能となっている。
【0012】
撮影レンズ3は、主として、鏡胴101、ならびに、鏡胴101の内部に設けられるレンズ群37(図3参照)および絞り(不図示)等によって構成される。レンズ群37には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ(「合焦用レンズ」または「AFレンズ」とも称する)等が含まれている。
【0013】
カメラ本体部2は、撮影レンズ3が装着される円環状のマウント部Mtを正面略中央に備え、撮影レンズ3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部Mt付近に備えている。
【0014】
また、カメラ本体部2は、その正面左上部にモード設定ダイアル82を備え、その正面右上部に制御値設定ダイアル86を備えている。モード設定ダイアル82を操作することによって、カメラの各種モード(各種撮影モード(人物撮影モード、風景撮影モード、および連続撮影モード等)、撮影した画像を再生する再生モード、および外部機器との間でデータ交信を行う通信モード等を含む)の設定動作(切替動作)を行うことが可能である。また、制御値設定ダイアル86を操作することによれば、各種撮影モードにおける制御値を設定することが可能である。
【0015】
また、カメラ本体部2は、正面左端部にユーザが把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面には露光開始を指示するためのレリーズボタン(シャッターボタン)11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として、例えば4本の単3形乾電池が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するための記録媒体(ここでは、メモリカード90(図5参照))が着脱可能に収納されるようになっている。
【0016】
レリーズボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)の2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。レリーズボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。また、レリーズボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、当該本撮影画像の撮影動作(撮像素子(「主撮像素子」とも称する)5(後述)を用いて被写体像に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の本撮影動作)が行われる。
【0017】
図2において、カメラ本体部2の背面の略中央には、表示部としてモニタ12が設けられている。モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカード90に記録された撮影画像を再生表示したりすることができる。
【0018】
カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓10が設けられている。ファインダ窓10には、撮影レンズ3からの被写体像が導かれ、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって、主撮像素子5によって取得される被写体像と等価な像を視認することができる。具体的には、撮影光学系に入射された被写体像は、ミラー機構6(図3参照)で上方に反射され、接眼レンズ67を介して視認される。このように、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって構図決めを行うことが可能である。なお、レリーズボタン11のS2状態の検出によって本撮影動作が開始されると、ミラー機構6は被写体像を形成する光(被写体光)の光路から待避し、撮影レンズ3からの光(被写体像を形成する光)が主撮像素子5に到達し、被写体に係る撮影画像(画像データ)が得られる。
【0019】
ファインダ窓10の下部には、接眼検知センサ13が設けられている。接眼検知センサ13は、近接物体の有無を検知するセンサであり、ユーザによる光学ファインダ使用の有無を検知する。
【0020】
モニタ12の左上部にはメインスイッチ81が設けられている。メインスイッチ81は、2点のスライドスイッチからなり、接点を左方の「OFF」位置に設定すると、撮像装置1の電源がオフになり、接点を右方の「ON」位置に設定すると、撮像装置1の電源がオンになる。
【0021】
モニタ12の右側には方向選択キー84が設けられている。方向選択キー84は、円形の操作ボタンを有し、この操作ボタンにおける上下左右の4方向の押圧操作と、右上、左上、右下および左下の4方向の押圧操作とが、それぞれ検出されるようになっている。なお、方向選択キー84は、上記8方向の押圧操作とは別に、中央部のプッシュボタンの押圧操作も検出されるようになっている。
【0022】
モニタ12の左側には、メニュー画面の設定、画像の削除などを行うための複数のボタンからなる設定ボタン群83が設けられている。
【0023】
次に、撮像装置1の内部構成について説明する。図3および図4は、実施形態に係る撮像装置1の縦断面図である。
【0024】
図3に示すように、撮像装置1の内部には、ファインダ部(「ファインダ光学系」とも称する)102、ミラー機構6、位相差AFモジュール(以下、単にAFモジュールとも称する)20、シャッタ4、主撮像素子5、および副撮像素子7などが備えられている。
【0025】
主撮像素子(ここではCCDセンサ(単にCCDとも称する))5は、撮影レンズ3が備えているレンズ群37の光軸L上において、光軸Lに対して垂直な平面内に配置される。主撮像素子5は、その撮像面で受光された被写体像を光電変換作用により電気的信号に変換して、本撮影画像に係る画像信号を生成する。
【0026】
主撮像素子5の直前には、シャッタ4が配置されている。このシャッタ4は、上下方向に移動する幕体を備え、光軸Lに沿って主撮像素子5に導かれる被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタである。
【0027】
また、図3に示されるように、撮影レンズ3から主撮像素子5に至る光路(「撮影光路」とも称する)上には、ミラー機構6が設けられている。
【0028】
ミラー機構6は、撮影光学系からの光を上方に向けて反射する主ミラー61(主反射面)を有している。この主ミラー61は、例えばその一部または全部がハーフミラーとして構成され、撮影光学系からの光の一部を透過させる。また、ミラー機構6は、主ミラー61を透過した光を下方に反射させるサブミラー62(副反射面)をも有している。
【0029】
また、ミラー機構6は、所謂クイックリターンミラーとして構成されており、ミラーダウン状態とミラーアップ状態との間で姿勢を切り替えることが可能である。
【0030】
具体的には、撮影モードにおいてレリーズボタン11が全押し状態S2にされるまで、換言すれば構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図3参照)。そして、ミラーダウン状態では、撮影レンズ3からの被写体光は、主ミラー61で上方に反射され焦点板64で結像した後、観察用光束としてファインダ部(「ファインダ光学系」とも称する)102に入射する。
【0031】
また、被写体光の一部は、主ミラー61を透過し、サブミラー62によって下方に反射され、AFモジュール20へと導かれる。
【0032】
AFモジュール20は、セパレータレンズおよびラインセンサ(焦点検出センサ)等を有し、フォーカスレンズによる焦点調節状態に応じた焦点調節に関する情報(「焦点情報」または「測距情報」とも称する)を取得する所謂AFセンサとして機能する。
【0033】
具体的には、AFモジュール20は、撮影領域に設定された測距エリア(「フォーカスエリア」または「AFエリア」とも称する)における被写体からの光をセパレータレンズで分離して2つの像を生成する。そして、AFモジュール20は、当該2つの像をラインセンサで受光し、その像間隔に応じた位相差検出信号を焦点情報として出力する位相差検出機能を有している。すなわち、撮影待機時におけるミラーダウン状態においては、AFモジュール20に導かれる被写体光に基づいて、AFモジュール20から焦点情報が出力される。
【0034】
このようにAFモジュール20は、撮影領域の所定位置に固定的に設定されたAFエリアから、焦点情報を取得する焦点情報取得手段として機能する。
【0035】
一方、レリーズボタン11が全押し状態S2にされると、ミラー機構6はミラーアップ状態(図4参照)となるように駆動され、露光動作が開始される。
【0036】
具体的には、図4に示すように、露光時には、ミラー機構6は、回転軸63を支点として上方に向けて跳ね上がり、撮影光路から待避する。詳細には、撮影光学系からの光を遮らないように主ミラー61とサブミラー62とが上方に待避し、撮影レンズ3からの光がシャッタ4の開放タイミングに合わせて主撮像素子5に到達する。主撮像素子5は、光電変換によって、受光した光束に基づいて被写体像に関する画像信号を生成する。このように、被写体からの光が撮影レンズ3を介して主撮像素子5に導かれることによって、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
【0037】
<機能ブロック>
次に、撮像装置1の機能の概要について説明する。図5は、実施形態に係る撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
図5に示されるように、撮像装置1は、位相差AFモジュール20、操作部80、全体制御部100、ミラー機構6、シャッタ4、主撮像素子5、A/D変換回路52、デジタル信号処理回路50、および画像メモリ56等を備える。
【0039】
操作部80は、レリーズボタン11(図1参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザの入力操作に応答して、全体制御部100が各種動作を実現する。
【0040】
主撮像素子5は、タイミング制御回路(不図示)から入力される駆動制御信号(蓄積開始信号および蓄積終了信号)に応答して、受光面(撮像面)に結像された被写体像の露光(光電変換による電荷蓄積)を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。
【0041】
主撮像素子5で取得された画像信号(アナログ信号)は、A/D変換回路52によってデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画像信号は、デジタル信号処理回路50に入力される。
【0042】
デジタル信号処理回路50は、A/D変換回路52から入力される画像信号に対してデジタル信号処理を施す。具体的には、黒レベル補正処理、ホワイトバランス(WB)処理、γ補正処理等の信号処理を行う。当該信号処理後の画像信号(画像データ)は、画像メモリ56に格納される。
【0043】
画像メモリ56は、生成された画像データを一時的に記憶するための、高速アクセス可能なメモリであり、複数フレーム分の画像データを記憶可能な容量を有している。
【0044】
本撮影時には、画像メモリ56に一時記憶される画像データは、全体制御部100において適宜画像処理(圧縮処理等)が施された後、メモリカード90に記憶される。
【0045】
副撮像素子7は、基本的には主撮像素子5と同様の機能を有し、いわゆるライブビュー画像取得用(電子ファインダ用)の撮像素子(補助撮像素子)としての役割を果たす。
【0046】
具体的には、副撮像素子7は、光路変更ミラー65eから接眼レンズ67へと進行する光束を遮らない位置(ここでは、接眼レンズ67の上方位置)であって、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に配置される。そして、副撮像素子7は露光を行い、ファインダ光学系に導かれた被写体像に関する斜視画像SGを取得する。なお、副撮像素子7は、ライブビュー用の画像信号を生成するための解像度を有していればよく、通常、主撮像素子5よりも少ない数の画素で構成される。
【0047】
副撮像素子7によって取得された斜視画像SGの画像データは、A/D変換回路52およびデジタル信号処理回路50において所定の処理が施され、画像メモリ56に一旦格納される。画像メモリ56に格納された斜視画像SGの画像データには、全体制御部100の歪み修正部123および輝度補正部124それぞれによって画像処理が施され、ライブビュー用の画像(「表示用画像」とも称する)HGが生成される。表示用画像HGは、VRAM57に転送され、モニタ12に表示される。詳細は、後述する。
【0048】
全体制御部100は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU,RAM120A、およびROM120B等を備える。全体制御部100は、ROM120B内に格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能を実現する。
【0049】
全体制御部100は、上述のプログラムの実行によって、位相差AF制御部121、駆動制御部122、歪み修正部123、輝度補正部124、および表示制御部125等を機能的に実現する。
【0050】
なお、歪み修正部123および輝度補正部124によって実現される各機能は、ライブビュー機能を実現する際に用いられる。
【0051】
位相差AF制御部121は、位相差検出方式による自動合焦(AF)動作(位相差AF)を行う。具体的には、位相差AF制御部121は、AFモジュール20から出力される焦点情報に基づいて、合焦時のフォーカスレンズの位置(レンズ合焦位置)を特定するレンズ合焦位置特定動作を行う。
【0052】
駆動制御部122は、位相差AF制御部121からの制御信号に応じてフォーカスレンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動動作を実行させる。
【0053】
具体的には、駆動制御部122は、位相差AF制御部121からの制御信号に応じて、撮影レンズ3内のレンズ側制御部31を動作させる。レンズ側制御部31は、駆動制御部122からの指令に応じてレンズ駆動部38を駆動させ、撮影レンズ3のレンズ群37に含まれるフォーカスレンズを光軸方向に移動させる。また、フォーカスレンズの位置(単に「レンズ位置」とも称する)は、撮影レンズ3のレンズ位置検出部39によって検出され、フォーカスレンズの位置を示すデータがレンズ側制御部31からカメラ本体部2の全体制御部100に送られる。
【0054】
歪み修正部123は、斜視画像SGに射影変換を施して、斜視画像SGの歪みを修正する機能を有している。
【0055】
輝度補正部124は、斜視画像SGに輝度補正を施して、斜視画像SG内の画素位置に応じた輝度差を補正する機能を有している。
【0056】
表示制御部125は、モニタ12などの表示部における表示内容を制御する。例えば、表示制御部125は、副撮像素子7によって連続的に取得される斜視画像SGに基づいて、モニタ12に連続的な画像を表示させる。
【0057】
<構図決め動作(フレーミング動作)について>
次に、撮像装置1における構図決め動作について説明する。撮像装置1では、ユーザは、光学ファインダ視野内の表示、或いはライブビュー表示を視認して、構図決め操作(「フレーミング」とも称する)を行うことが可能になる。
【0058】
具体的には、構図決めの際には、ミラー機構6はミラーダウン状態となるように配置される(図3参照)。上述のように、ミラーダウン状態では、撮影レンズ3からの被写体光は、主ミラー61で上方に反射され観察用光束としてファインダ部102に導かれる。
【0059】
ファインダ部102は、ペンタミラー65、接眼レンズ67、ファインダ窓10、結像レンズ69、および副撮像素子7等を備えている。
【0060】
ペンタミラー65は、複数のミラー(反射面)を有しており、反射によって被写体像の天地左右を入れ替えて正立像にする機能および被写体光の光路を変更する機能を有している。
【0061】
具体的には、ペンタミラー65は、三角屋根状に形成された2面のミラー(ダハミラー)65a,65bと、当該ダハミラー(ダハ面)65a,65bに対して固定された面65cと、光路変更ミラー(反射面)65eとを有している。
【0062】
ダハミラー65a,65bは、プラスチック成型により一体部品65dとして形成され、被写体光を2回反射させることによって被写体像の姿勢を反転させる機能を有している。光路変更ミラー65eは、被写体光の光路をファインダ窓10へ向かう光路PAに変更する機能を有している。
【0063】
接眼レンズ67は、ペンタミラー65等により正立像にされた被写体像をファインダ窓10の外側に導く機能を有している。
【0064】
このような構成を有するファインダ部102に入射した被写体光は、ペンタミラー65で正立像にされた後に、接眼レンズ67を通ってファインダ窓10へ向かう(図3の光路PA参照)。このように光路PAに沿って、ファインダ窓10に導かれた被写体像は、ユーザ(観察者)の眼へ到達して視認される。
【0065】
このように、撮影モードでは、ユーザは、ファインダ窓10を覗くことによって、ファインダ視野内に表示された被写体像を視認し、構図決めを行うことができる。
【0066】
また、ファインダ窓10に導かれる被写体光の光路近傍に配置された副撮像素子7は、光路変更ミラー65eでの反射光の一部を受光し、微小時間間隔(例えば、1/60秒)で被写体像に係る撮影画像を順次に取得する。取得された時系列の撮影画像は、画像処理によって表示用画像HGに補正され、モニタ12に動画的態様にて順次に表示される。
【0067】
このように、撮影モードでは、ユーザは、モニタ12に表示される動画像(ライブビュー画像)を視認して構図決めを行うことができる。
【0068】
<ライブビュー機能について>
ここで、撮像装置1のライブビュー機能について詳述する。図6は、ファインダ部102の拡大図である。図7は、斜視画像SGを示す図であり、図8は、ライブビュー表示の動作フローチャートである。なお、図6では、光路PA上での光路変更ミラー65eの存在位置における被写体像BHが、光路変更ミラー65eを経て導かれる被写体像として仮想的に示されている。
【0069】
上述のように、撮像装置1では、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に配置された副撮像素子7によって取得される斜視画像SGに基づいてライブビュー表示が行われる。
【0070】
副撮像素子7は、光路変更ミラー65eを経て導かれる被写体像を斜視する位置に配置されることから、副撮像素子7の撮像面GP内では、被写体像に対して遠近差が生じる。
【0071】
具体的には、図6に示されるように、ファインダ窓10と、光路変更ミラー65eを経た被写体像BHとは正面から向かい合う正対した位置関係にあることから、ファインダ窓10からは、歪みのない被写体像を視認することができる。これに対して、副撮像素子7は、被写体像BHを斜視する位置に配置されるため、副撮像素子7の撮像面GP内において、被写体像BHに対して遠近差が生じる。詳細には、撮像面GPの上部は、撮像面GPの下部と比較して被写体像BDからの距離が遠くなる。このため、副撮像素子7の撮像面GPに到達する像には、遠近差に応じた倍率変化による歪みが生じ、斜視画像SGは、下部は小さく、上部は大きい台形状の歪んだ画像となる(図7参照)。
【0072】
また、被写体像BHと副撮像素子7の撮像面GPとは、斜めにずれた位置関係にあることから、被写体光の撮像面GPへの入射角が撮像面GPの上下で異なり、副撮像素子7の撮像面GPの上下において受光量に差が生じる。このため、斜視画像SGは、その上部と下部とを対比すると、平均的な輝度に差が生じた画像となる(図7)。
【0073】
撮像面GPの位置に応じた受光量は、撮像装置1における副撮像素子7の撮像面GPの空間位置、光路変更ミラー65eから撮像面GPまでの距離、または撮影光学系のレンズの射出瞳位置に応じて異なる。例えば、射出瞳位置が副撮像素子7の撮像面GPに近い場合は、撮像面GP下部の受光量が減少し、下部の輝度が低い画像が取得される。また、射出瞳位置が副撮像素子7の撮像面GPから遠い場合は、撮像面GP上部の受光量が減少し、上部の輝度が低い画像が取得される。
【0074】
そこで、図8に示されるように、撮像装置1は、ライブビュー表示を実行するに際し、斜視画像SG取得(ステップSP1)後、歪み修正部123によって斜視画像SGの台形状の歪みを修正する(ステップSP2)。そして、撮像装置1は、輝度補正部124によって斜視画像SGにおいて生じていた輝度差を補正する(ステップSP3)。なお、輝度差補正の実行前には、RGBの色空間が、マトリクス演算により輝度成分(Y)と色差成分(Cr、Cb)とをもつ色空間に変換される。
【0075】
以下では、歪み修正部123および輝度補正部124それぞれにおいて実行される処理ついて詳述する。
【0076】
<歪み補正について>
まず、歪み修正部123で実行される歪み修正処理(ステップSP2)について説明する。図9は、形状修正画像KGを示す図である。図10は、座標変換の概念図である。
【0077】
歪み修正部123では、斜視画像SGに射影変換が施され、図7の台形状の斜視画像SGが図9の矩形状の画像(「形状修正画像」とも称する)KGへと修正される。
【0078】
具体的には、図10に示されるように、副撮像素子7の撮像面GPが、3次元空間の中で傾いた平面KPであって、撮像面GPのZ座標がz=ax+by+cで与えられるとする。このとき、撮像面GPにおける座標(x,y)の所定画素は、式(1)を用いると、被写体像BHの像面に平行な平面HPにおける座標(x1,y1)の画素(変換画素)へと変換される。
【0079】
【数1】
【0080】
なお、式(1)中の係数(a,b,c,h,i,j,k,l,m)は、撮像装置1における副撮像素子7の撮像面GPの空間位置と、光路変更ミラー65eから撮像面GPまでの距離とによって一意に決定される。各係数は、撮像装置1の設計時に算出され、ROM120Bに予め記憶されている。
【0081】
このように、歪み修正部123では、射影変換によって斜視画像SGにおける各画素が座標変換され、形状修正画像KGが生成される。
【0082】
なお、形状修正画像KGにおける各画素の画素値には、原則として、座標変換前の斜視画像SGにおける対応画素の画素値がそのまま用いられる。形状修正画像KGの画素と斜視画像SGの画素とが一対一に対応しない場合、例えば形状修正画像KGの画素が、斜視画像SGの複数画素と対応する場合は、複数画素の画素値の平均値を算出し、当該平均値を形状修正画像KGにおける画素の画素値とすればよい。
【0083】
<輝度補正について>
次に、輝度補正部124で実行される輝度差補正処理(ステップSP3)について説明する。図11は、表示用画像HGを示す図である。
【0084】
輝度補正部124では、被写体光の入射角に依存した輝度差が補正され、画像内の位置に応じて平均的な輝度に差のある画像(図9)から、画像内の位置に応じて平均的な輝度に差のない表示用画像HG(図11)が生成される。
【0085】
輝度差補正は、ROM120Bに予め記憶された補正情報を用いて実行される。補正情報は、画像内の位置の違いに応じて生じる輝度差を補正する補正係数を含み、当該補正係数は、画像内の画素ごとに定められている。輝度差補正は、補正対象の画像(ここでは、形状修正画像KG)に含まれる各画素の輝度値に、対応する補正係数をそれぞれ乗じて行われる。
【0086】
このような補正情報は、副撮像素子7で均一輝度の被写体を撮影して得られた画像(試験画像)に基づいて取得される。
【0087】
具体的には、試験画像内における所定画素の輝度値を基準としたときの他の各画素の輝度値を、当該所定画素の輝度値へと合わせる値が補正係数として取得される。例えば、基準画素の輝度値が「10」であり、他の画素の輝度値が「5」であった場合は、他の画素の輝度値を「10」にする値「2」が、当該他の画素に関する補正係数となる。このようにして、補正係数は、他の全画素に関して取得される。なお、試験画像内において基準とされる所定画素としては、画像内において比較的輝度の高い輝度値を有する画素を採用することが好ましい。
【0088】
また、画像内の輝度差は、撮影光学系のレンズの射出瞳位置に応じて変化することから、輝度差補正に用いられる補正情報は、撮像装置1に装着可能な撮影レンズ3ごとに異なる。このため、撮像装置1では、各撮影レンズ3に対応した補正情報がROM120Bに予め記憶され、輝度差補正を実行する際には、現在装着されている撮影レンズ3のレンズ情報に基づいて撮影レンズ3に適した補正情報が選択される。なお、撮影レンズ3のレンズ情報は、コネクタECを介して取得される。
【0089】
以上のように、撮像装置1では、ファインダ窓10に導かれる被写体像を斜視する位置に副撮像素子7を配置し、当該副撮像素子7によって取得される斜視画像SGに基づいてプレビュー画像を表示させる。これによれば、光学ファインダ機能とライブビュー機能とを同時に実現できるので、両者を両立させて利用することが可能になる。
【0090】
また、ライブビュー表示の際には、歪み修正部123によって斜視画像SGの歪みが修正されるので、ユーザは、歪みのない正常なライブビュー画像を視認することが可能になる。
【0091】
また、ライブビュー表示の際には、輝度補正部124によって画像内の位置に応じた平均的な輝度の差を補正することによって斜視画像SGの明るさが調整されるので、ユーザは、画像内の位置に応じて輝度差のないライブビュー画像を視認することが可能になる。
【0092】
<2.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0093】
例えば、上記実施形態の歪み修正部123では、式(1)を用いた射影変換によって斜視画像SGの画素位置を修正していたが、射影変換後にさらに画素位置を補正してもよい。図12は、斜視画像SGと形状修正画像KGとの対応関係を示す図である。
【0094】
射影変換後の画素位置補正は、設計上の理想の射影変換後の画素位置(「理想画素位置」とも称する)と、撮像装置1における実際の射影変換後の画素位置(「実画素位置」とも称する)とのズレ度合いに基づいて実行される。
【0095】
具体的には、図12に示されるように、斜視画像SG上の複数の画素を参考画素NP1〜NP5とし、当該参考画素NP1〜NP5それぞれについての射影変換後の理想画素位置MP1〜MP5を予めROM120Bに記憶しておく。
【0096】
ライブビュー表示を行う際には、取得された斜視画像SGにおける参考画素NP1〜NP5が最初に射影変換され、参考画素NP1〜NP5それぞれについての射影変換後の実画素位置JP1〜JP5(図12では、実画素位置JP1のみ図示)が求められる。そして、実画素位置JP1〜JP5とそれぞれに対応した理想画素位置MP1〜MP5とのズレが各参考画素NP1〜NP5に関する基準補正量として取得される。
【0097】
このようにして取得された各基準補正量に基づいて、補間により、斜視画像SGの各画素についての補正量がそれぞれ算出され、当該補正量を用いて斜視画像SGの各画素についての射影変換後の各画素位置が補正される。
【0098】
このように、射影変換後にさらに画素位置を補正することによれば、撮像装置1の組み立て誤差等をも考慮した歪み修正が可能となる。
【0099】
また、接眼検知センサ13によってファインダ窓10への接眼が検知された場合は、ライブビュー表示をオフしてもよい。これによれば、ライブビュー表示による電力消費を抑制することが可能になる。また、撮像装置1では、ライブビュー機能の有効化、無効化に際して、ミラーを動作させて光路を切り替える等の機構動作が存在しないので、ライブビュー表示のオン/オフの切替がスムーズになる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図3】実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。
【図4】実施形態に係る撮像装置の縦断面図である。
【図5】実施形態に係る撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】ファインダ部の拡大図である。
【図7】斜視画像を示す図である。
【図8】ライブビュー表示の動作フローチャートである。
【図9】形状修正画像を示す図である。
【図10】座標変換の概念図である。
【図11】表示用画像を示す図である。
【図12】斜視画像と形状修正画像との対応関係を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 撮像装置
7 副撮像素子
10 ファインダ窓
100 全体制御部
102 ファインダ部
123 歪み修正部
124 輝度補正部
125 表示制御部
SG 斜視画像
HG 表示用画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、
前記被写体像を斜視する位置に配置され、前記被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子と、
前記撮像素子によって順次に取得される前記斜視画像に基づいて、表示部に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記斜視画像に画像処理を施して表示用画像を生成する画像処理手段、
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記表示用画像を前記プレビュー画像として前記表示部に表示させる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記画像処理によって前記斜視画像の明るさを調整する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記画像処理によって前記斜視画像の歪みを修正する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮影光学系を経た被写体像をファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、
前記被写体像を斜視する位置に配置され、前記被写体像に関する斜視画像を取得する撮像素子と、
前記撮像素子によって順次に取得される前記斜視画像に基づいて、表示部に本撮影前のプレビュー画像を表示させる表示制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記斜視画像に画像処理を施して表示用画像を生成する画像処理手段、
をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記表示用画像を前記プレビュー画像として前記表示部に表示させる請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、前記画像処理によって前記斜視画像の明るさを調整する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像処理手段は、前記画像処理によって前記斜視画像の歪みを修正する請求項2に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図7】
【図9】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図7】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2010−21610(P2010−21610A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177660(P2008−177660)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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