説明

撮像装置

【課題】様々に半径の異なる円盤状物体の撮像画像に発生する歪みを低減し、精密な画像を容易に取得することができ、かつ低コスト化が実現できる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置20は、少なくともライン領域1aを撮像できるセンサ1を備え、円形の平面に光学的に識別可能な模様を有する円盤状物体4の円形の平面をセンサ1で撮像するための撮像装置20であって、2つの、支持面2aを有する支持具2と、円盤状物体4の周面を押さえつけるために移動し、円盤状物体4を回転させるために回転する円形の回転装置3とを備え、2つの支持面2aが、ライン領域1aを軸として対称に配置され、撮像される円盤状物体4を2つの支持面2aと回転装置3とで挟み、回転装置3が円盤状物体4を回転させている間に、円盤状物体4を所定の時間の間撮像するので、撮像装置20は歪みを低減した精密な画像を容易に取得し、かつ低コスト化を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものであり、より詳しくは円盤状物体を識別するための撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、円盤状物体、特に貨幣の種類を識別するための識別装置が広く使われている。貨幣の種類を識別し、貨幣の真偽を見分けることができる識別装置がATMおよび両替機等に搭載されている。一方、遊戯具の課金装置、または貨幣の代わりに遊戯用のメダルを使用する遊戯具のメダル投入装置等においては、投入された貨幣またはメダルの真偽の判定は必要ではあるものの、遊戯具のコスト削減のために、投入された貨幣またはメダルのサイズまたは重量による判定装置が採用されていることがある。このようなサイズまたは重量による判定装置は、低コストである反面、投入された貨幣またはメダルの真偽を見分ける能力が低い識別装置である。
【0003】
これに対し、投入された貨幣またはメダルの真偽を見分ける能力が高い装置として、貨幣またはメダルを撮像し、得られた撮像画像を予め用意しておいた所定のパターンと照合する識別装置がある。以下にその2通りの装置を説明する。
【0004】
検査するコイン(円盤状物体)を平面に垂直な方向から識別装置内で撮像した場合、検査コインの角度(円周方向の回転角度)が様々に異なり、得られる撮像画像は一定ではない。そこで、所定のコインの平面を撮像した画像を、所定のコインを円周方向に少しずつ回転させたものに対応して多数用意する。識別装置に投入された検査コインの平面を撮影した撮像画像を、上記の所定のコインの多数の撮像画像と比較し、一致度の高いものがあれば、検査コインは真であると判定する。
【0005】
特許文献1には、コインを円周方向に回転させながら撮像する検査装置が記載されている。図11は、この検査装置の撮像部130およびコンベア110の構成を示す斜視図である。コンベア110は、直線状に延在する底面部113と、その両側部において直立して設けられているベルト111および側面部112とを備える。ベルト111は、回転体114aと114bとの間に掛け渡されており、回転体114aを回転させるモータ等の駆動手段(図示せず)により図11のm方向に一定速度で移動する。コイン101は側面部112およびベルト111に挟まれ、底面部113上をr方向に側面部112の上を転がりながらn方向に一定速度で移動する。コンベア110の上方には、撮像部130を構成する撮像光学系132と、コイン101の像が撮像光学系132を介して結像するように配置された1次元ラインCCD(以下“CCD”と称す)131とが設けられている。CCD131は、その長さ方向がコイン101の移動方向nと平行であり、コイン101の中心が移動する軌跡上の部分がCCD131上に結像するように配置されている。
【0006】
上記の構成によれば、コイン101をr方向に回転させながらn方向に移動させると、コイン101の中心が移動する軌跡上に位置する部分がCCD131によって読み取られる。コイン101は側面部112の上を転がりながら移動するので、コイン101の円の全面が順次CCD131によって読み取られる。読み取った画像のコイン101に相当する部分だけを抜き出し、時間順に蓄積し2次元の画像を得る。これを、同様の手順で予め用意しておいた良品の2次元画像と比較し、コイン101の良・不良を判定することができる。これによると、所定のコインの多数の撮像画像を用意する必要はなく、1つの撮像画像を用意しておけばよい。それゆえ、画像の比較のための演算処理も少なくてすむ。
【特許文献1】特開平10−239243(平成10年9月11日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、以下の問題を生じる。
【0008】
円盤状物体を検査・識別の対象とする場合、円盤状物体の平面を撮像したときに、円筒の中心軸を軸とする回転により円盤状物体の角度方向が1つに定まらない。そのため、比較に用いる撮像画像を回転させながら順次比較する、または基準となる円盤状物体の角度を変えた多数の撮像画像を予め用意しておき、検査対象の円盤状物体の撮像画像と順次比較する処理が必要になる。
【0009】
検査コインの1つの撮像画像と、角度を変えた所定のコインの多数の撮像画像とを比較する上記の識別装置では、比較すべき撮像画像が多数あるため演算量が膨大になり、検査時間が長くかかる。また、2次元撮像装置は1次元撮像装置に比べ高額である。
【0010】
また、図11に示す検査装置では、コインを回転させながら撮像するが、コインの個体差によるわずかな半径の違いでコインの中心位置が変わるため、中心位置がラインセンサの撮像位置から外れるという問題がある。中心位置がラインセンサの撮像位置から外れると、中心付近の像が得られず、また、得られる画像にも中心位置のズレに応じた歪みが発生する。この画像を比較に用いて検査するためには、歪みを補正する処理が必要となり、演算量が増大する。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々に半径の異なる円盤状物体の撮像画像に発生する歪みを低減し、精密な画像を容易に取得することができ、かつ、低コスト化が実現できる撮像装置を提供することにある。また、上記撮像装置を用いることで、撮像画像に対する画像処理の負担を軽減し、低コスト化が図れる円盤状物体の高精度の検査装置を提供することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る撮像装置は、上記課題を解決するために、少なくともライン領域を撮像できるセンサを備え、円形の平面に光学的に識別可能な模様を有する円盤状物体の上記円形の平面を上記センサで撮像するための撮像装置であって、上記円盤状物体の周面を支持するための支持面をそれぞれ有する2つの支持具と、上記円盤状物体の周面を上記支持面に向かって押さえつけるために移動し、押さえつけた上記円盤状物体の周面に摩擦力を与えることで上記円盤状物体を回転させるために、回転する円柱状の回転装置とを備え、2つの上記支持面が、上記ライン領域を軸として対称に配置され、撮像される上記円盤状物体を2つの上記支持面と上記回転装置とで挟み、上記回転装置が上記円盤状物体を回転させている間に、上記円盤状物体を所定の時間の間、撮像することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、半径が異なる円盤状物体を撮像する場合においても、2つの支持面に挟まれた円盤状物体の円形の平面の中心は、常に支持面が形成する角の二等分線上に位置する上記ライン領域上に位置するため、円盤状物体を回転させることで円盤状物体の全面に渡ってセンサで撮像することができる。
【0014】
よって、半径が異なる円盤状物体の全面にわたって安定した画像を得ることができる。
【0015】
したがって、上記撮像装置は、得られる画像に発生する歪みを低減し、精密な画像を容易に取得することができ、かつ、低コスト化を実現することができる。
【0016】
本発明に係る撮像装置は、少なくとも一方の上記支持具が、撮像を終えた上記円盤状物体を排出するために、位置を動かせる構成であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、一方の支持具が位置を動かして円盤状物体を排出するための隙間を作ることにより、円盤状物体を排出することができる。
【0018】
したがって、簡単に撮像を終えた円盤状物体を撮像エリアから排出し、次の円盤状物体を撮像するための準備をすることができる。
【0019】
本発明に係る撮像装置において、上記円盤状物体と、2つの上記支持面および上記回転装置との接点を結ぶ三角形は、鋭角三角形であってもよい。
【0020】
上記の構成によれば、2つの支持面および回転装置によって確実に円盤状物体の位置を固定することができる。
【0021】
したがって、さらに安定した画像を得ることができる。
【0022】
本発明に係る撮像装置は、複数の上記円盤状物体が上記撮像装置に投入された場合に、上記回転装置が撮像対象の円盤状物体と後続の円盤状物体との間に移動し、後続の円盤状物体が撮像対象の円盤状物体に接することを防ぐ構成であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、複数の円盤状物体が撮像装置に投入された場合に、回転装置が後続の円盤状物体と撮像対象の円盤状物体との接触を防ぐことができる。
【0024】
よって、後続の円盤状物体が撮像対象の円盤状物体に接することで、撮像対象の円盤状物体の回転が不安定になることを防ぐことができる。
【0025】
したがって、複数の円盤状物体が撮像装置に投入された場合にも、安定した画像を得ることができる。
【0026】
本発明に係る撮像装置は、複数の上記円盤状物体が上記撮像装置に投入された場合に、上記回転装置が回転しながら撮像対象の円盤状物体と後続の円盤状物体との間に移動し、後続の円盤状物体に回転を与えながら押し戻す構成であってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、複数の円盤状物体が撮像装置に投入された場合に、回転装置が後続の円盤状物体に回転を与えながら押し戻すことができる。
【0028】
よって、後続の円盤状物体は支持面を転がりながら後退するので、支持面を滑らせる場合より円滑に後続の円盤状物体を押し戻すことができる。
【0029】
したがって、回転装置が後続の円盤状物体を押し戻す際に、円盤状物体と支持面との摩擦で動かなくなる等により撮像装置が故障する危険を低減する。
【0030】
本発明に係る撮像装置は、上記円盤状物体を撮像して得られる複数の1次元データを時系列に蓄積することで平面データを作成し、上記平面データと円盤状サンプルの円形の平面を予め撮像して作成した2次元の平面データサンプルとを比較することにより、当該円盤状物体の適合/不適合を判定してもよい。
【0031】
上記の構成によれば、円盤状物体の平面データを、円盤状サンプルを予め撮像して作成した平面データサンプルと比較することにより、円盤状物体の有する模様が円盤状サンプルの有する模様と一致しているか否かを判定することができる。
【0032】
したがって、撮像画像に対する画像処理の負担を軽減し、低コスト化が図れ、かつ円盤状物体の高精度の検査をすることができる撮像装置を提供できる。
【0033】
本発明に係る撮像装置において、上記平面データサンプルは、上記円盤状サンプルを上記円盤状サンプルの円形の中心を軸にして回転させている間に、上記円盤状サンプルの円形の平面の当該円形の中心を通る線上を撮像して得た1次元データサンプルを時系列に蓄積することにより作成されてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、平面データと平面データサンプルとは同様の手順によって作成される。
【0035】
したがって、平面データと平面データサンプルとの比較は補正等を必要とせず簡単にすることができる。
【0036】
本発明に係る撮像装置は、2次元メモリ領域を有する記憶部を備え、上記円盤状物体の円形の平面上の各点を表す極座標の座標成分に、それぞれ所定の係数をかけた数値を、上記2次元メモリ領域の仮想アドレスとして使用し、上記円盤状物体を撮像して得られる複数の点データを、上記極座標に対応する各仮想アドレスが示す2次元メモリ領域に記憶してもよい。
【0037】
上記の構成によれば、円盤状物体の極座標に応じて円盤状物体上の各点のデータは2次元メモリ領域に記憶される。
【0038】
よって、同様に円盤状サンプルの各点のデータを、円盤状サンプルの極座標に対応して記憶させた2次元データと仮想アドレスを基準に比較することができる。
【0039】
したがって、円盤状サンプルの平面データと円盤状サンプルの平面データサンプルとの撮像密度が異なる場合にも、容易に平面データと平面データサンプルとを比較することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る撮像装置は、少なくともライン領域を撮像できるセンサを備え、円形の平面に光学的に識別可能な模様を有する円盤状物体の上記円形の平面を上記センサで撮像するための撮像装置であって、上記円盤状物体の周面を支持するための支持面をそれぞれ有する2つの支持具と、上記円盤状物体の周面を上記支持面に向かって押さえつけるために移動し、押さえつけた上記円盤状物体の周面に摩擦力を与えることで上記円盤状物体を回転させるために、回転する円柱状の回転装置とを備え、2つの上記支持面が、上記ライン領域を軸として対称に配置され、撮像される上記円盤状物体を2つの上記支持面と上記回転装置とで挟み、上記回転装置が上記円盤状物体を回転させている間に、上記円盤状物体を所定の時間の間、撮像することを特徴としている。
【0041】
よって、半径が異なる円盤状物体の全面にわたって安定した画像を得ることができる。
【0042】
したがって、上記撮像装置は、得られる画像に発生する歪みを低減し、精密な画像を容易に取得することができ、かつ、低コスト化を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の一実施形態について図に基づいて説明すると以下の通りである。
【0044】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1による撮像装置20の構成を示す模式図である。図1の下方向を重力方向とする。
【0045】
撮像装置20は重力方向に沿って配置されたラインセンサ(センサ)1を備える。ラインセンサ1が撮像する読み取りライン1aも同じく重力方向に沿っている。検査される円盤状物体4の周面を、それぞれ支持面2aによって支持するための2つの棒状の支持具2が、それぞれラインセンサ1の読み取りライン(ライン領域)1aを軸として対称(線対称)に配置されている。2つの支持具2の間隔は上方が開いており、下方に行くにしたがって閉じている。2つの支持具2はそれぞれの上方に支点を有し、支点を中心に回動し、下方の間隔を開くことができる。2つの支持具2の間に挟まれるように設置された円盤状物体4は、さらに回転装置3にも挟まれ固定される。回転装置3は、中心を回転軸とする平歯車状の部材であり、2つの支持具2の辺がなす角に向かって円盤状物体4の周面を押さえつけて固定するために位置を動かすことができる。また、円盤状物体4は、支持具2の支持面2aと接しており、円盤状物体4の周面と、2つの支持具2の支持面2aとの接点および回転装置3との接点を結ぶ三角形は、円盤状物体4を固定するために鋭角三角形となっている。以上は、図1で示す平面(円盤状物体4の円形の平面)上での位置関係を示している。尚、円盤状物体4は、円盤状物体4の円形の平面に垂直な方向(図1の平面に垂直な方向)へは動かないように、撮像装置20の内壁等により規制されている。
【0046】
本実施の形態では、回転装置3は円盤状物体4に接して回転させるために多数の歯を持つ歯車状の部材であるが、これに限らず、回転装置3の円周部が円盤状物体4を回転させるだけの摩擦を持つ構造であればよい。すなわち、円盤状物体4が円滑に回転するために、回転装置3と円盤状物体4との摩擦係数は大きい方が好ましく、支持具2と円盤状物体4と摩擦係数は小さい方が好ましい。例えば、回転装置3は円形で、その円周部はゴムで形成されていてもよい。また、本実施の形態では、支持面2aは直線(平面)であるが、ラインセンサ1の読み取りライン1aを軸として線対称になっていればよく、例えば円弧(円柱曲面)であってもよい。また、ラインセンサ1は円盤状物体4の円形の平面に面するように並置されているが、ラインセンサ1の読み取りライン1aが、2つの支持面2aが作る角の二等分線上に配置されていればよく、レンズやミラーで構成された光学系を介してラインセンサ1を自由に配置することができる。尚、円盤状物体4の表平面と裏平面との両方を検査するために、反対側にもラインセンサを設けてもよいし、簡単に片側の撮像データから適合/不適合を判断してもよい。円盤状物体4はその円形の平面に模様を有し、この模様は光学的に識別可能な模様または文字であり、色の違いまたは凹凸等で形成されている。図では円盤状物体4の回転の向きを表すために、円盤状物体4の模様を文字「A」で表している。またラインセンサ1の代わりに2次元のCCDまたはCMOS等で撮像し、1ラインデータだけを使用してもよい。これらセンサは外部の接続先(記憶装置等)に対してA/D変換が必要であれば、A/D変換手段をセンサに備えてもよい。またセンサはアナログ出力で、外部の接続先がA/D変換手段を備えてもよい。
【0047】
図2は、撮像装置20を備える検査装置(撮像装置)30の概略構成を示す模式図である。検査装置30はさらに判定部31を備える。判定部31はラインセンサ1が撮像した撮像データを蓄積するための記憶部32を備える。判定部31は、記憶部32に蓄積された撮像データに基づき、検査対象である円盤状物体4の適合/不適合を判定し、判定結果を外部に出力する。判定部31はまた、支持具2の開閉(すなわち支持具2の回動)、回転装置3の移動および回転、ならびにラインセンサ1の撮像の制御を行う。
【0048】
支持具2および回転装置3は円盤状物体4の接触を検知する機能を有する、または支持具2および回転装置3と円盤状物体4との接触を検知する機能を有する装置が支持具2および回転装置3に併設されている。このため、支持具2および回転装置3と円盤状物体4との接触の有無を判定部31に通知することができる。回転装置3は、想定される最大の円盤状物体4が読み取りライン1aが位置する撮像エリアへ通過できるように移動可能である。また、回転装置3は、想定される最小の円盤状物体4が撮像エリアに配置されたときに、回転装置3と支持具2とによって円盤状物体4を固定できる位置まで移動可能である。回転装置3は、円盤状物体4を一定速度で回転させられるように、一定の速度で回転することができる。また、この速度を変えることもできる。
【0049】
円盤状物体4を検査する工程を図3(a)〜図3(d)を参照して説明する。尚、図3(a)〜図3(d)ではラインセンサを図示せず省略している。図3(a)では、検査対象の円盤状物体4が上方より撮像装置20へ入る。このとき、円盤状物体4が支持具2に挟まれた部分に入れるように、回転装置3は上方へ移動している。支持具2に円盤状物体4が接触すると、接触したことが判定部(図2)へ伝えられる。接触したことが2つの支持具2から判定部に伝えられると、判定部は、回転装置3が下方へ移動するよう回転装置3へ移動命令を出す。図3(b)では、回転装置3が下方へ移動し、円盤状物体4を2つの支持具2と回転装置3とで挟み込み固定する。回転装置3と円盤状物体4とが接触すると、回転装置3は判定部に接触したことを通知する。回転装置3と円盤状物体4とが接触したことが判定部に伝えられると、判定部は、回転装置3が回転するよう回転装置3へ回転命令を出す。図3(c)では、回転装置3を回転(自転)させ、それに接している円盤状物体4を回転させる。尚、このとき回転装置3は、円盤状物体4を回転装置3と滑り無く回転させるため円盤状物体4を適度な圧力で押さえつけている。ただし、回転装置3が円盤状物体4を押さえつけても、支持具2の位置は変わらない。これと同時にラインセンサは撮像を行い、時系列に撮像データを蓄積する。回転装置3は一定の速度で回転し、それにより一定の角速度で回転する円盤状物体4が2回転する間ラインセンサは撮像を続ける。こうして得られた時系列に蓄積された撮像データに基づき、円盤状物体4を検査する。本実施の形態では、ラインセンサの読み取りライン1aが、2つの支持面2aが作る角の二等分線上に配置されているので、円盤状物体4を回転させている間も、常にラインセンサの読み取りライン1a上に円盤状物体4の中心が位置することになる。また、円盤状物体4の直径が異なっていても、常にその中心は読み取りライン1a上に位置する。そのため、各円盤状物体4の直径に多少の誤差があっても、ラインセンサは常に回転する円盤状物体4の中心を含んだ撮像データを得ることができる。すなわち、撮像装置20は半径が異なる円盤状物体の全面にわたって安定した画像を得ることができる。尚、投入された円盤状物体4の直径は、回転装置3が押さえつける軸の位置等から算出することができる。撮像を終えると判定部は、支持具2が回動して下方を開くように、支持具2に対して開扉命令を出す。図3(d)では、撮像(および検査)を終えた後、2つの支持具2が支点を中心に回動して下方を開き、撮像を終えた検査対象の円盤状物体4を下方へ排出する。しかる後、判定部は支持具2に対して閉扉命令を出し、支持具2が閉じられる。
【0050】
ここで、例えば円盤状物体4の排出は、円盤状物体4の位置を平面方向に規制している側壁(図示せず)を取り除くことによって、円盤状物体4の円柱軸方向、すなわち図面の手前または奥行き方向に排出する構造であってもよい。こうすることにより、支持具2を可動とする必要が無くなり、円盤状物体4の位置決めを安定して行うことができる。この場合、2つの支持具2は一体構造となっていてもよい。
【0051】
図4は、円盤状物体4と得られる撮像データとの関係を示す図である。円盤状物体4(左図)からラインセンサによって撮像され得られる1次元データは、逐次記憶部32(図2)に入力され、時系列に並べられて記憶部32に蓄積される。1次元データは、円盤状物体4の円形の平面の読み取りライン上の各点に対応する点データの集合である。こうして得られる2次元の平面データが右図である。平面データを格納する2次元メモリ領域の仮想アドレスの時間軸に対応する軸をメモリライン座標、ラインセンサの座標に対応する軸をメモリカラム座標とする。今、撮像された1次元データは時系列に左から並べられ、平面データを構成している。読み取りライン1a上における円盤状物体4の中心の座標をCとする。白丸または黒丸で示す点は、読み取りライン1aの直線を円盤状物体4の中心を中心としてθ°傾けた直線上に位置し、それぞれの円盤状物体4の中心からの距離はr、rである。この円盤状物体4を左回り(矢印の方向)に回転させ、撮像すると、白丸で示す点の撮像データは、メモリカラム座標V×(C+r)、メモリライン座標H×θの位置に記憶される。黒丸で示す点の撮像データは、メモリカラム座標V×(C+r)、メモリライン座標H×θの位置に記憶される。また、白丸で示す点の撮像データは、メモリカラム座標V×(C−r)、メモリライン座標H×(θ+180)の位置に、黒丸で示す点の撮像データは、メモリカラム座標V×(C−r)、メモリライン座標H×(θ+180)の位置にも記憶される。ここでVは、円盤状物体4上の座標をメモリカラム座標に変換する係数であり、ラインセンサの解像度等に依存した値を有する。同様にHは、円盤状物体4上の座標をメモリライン座標に変換する係数であり、円盤状物体4の回転速度、ラインセンサのスキャン周期に依存した値を有する。円盤状物体4の中心の点は、常に読み取りライン1aのC上に位置するため、メモリカラム座標V×Cの位置の、全てのメモリライン座標上に記憶される。こうして得られる撮像データは円盤状物体4の中心部は密に、外周部は疎にスキャンされる。
【0052】
図5を参照して、本実施の形態によって得られる撮像データと従来技術のそれとの違いについて説明する。
【0053】
図5(a)は、ラインセンサの読み取りライン1aと円盤状物体4の中心の位置とがずれている場合の、従来の撮像装置の円盤状物体4(図中左)と得られる撮像データ(図中右)との関係を示す図である。円盤状物体4の中心に黒丸の模様があり、その上に順に白丸、白四角の模様が並んでおり、この状態を回転角0°とする。円盤状物体4の中心と読み取りライン1aとはずれている。この円盤状物体4を左回り(矢印の方向)に回転させ、撮像した1次元データを時系列で蓄積して平面データとして図示したものが右図である。平面データの左端(の縦のデータ)は回転角0°に対応する1次元データであり、右端は回転角360°に対応する1次元データである。白丸および白四角の模様は円盤状物体4の中心から見て同じ方向にあるけれども、読み取りライン1aと円盤状物体4の中心の位置とが一致していないために、白丸と白四角とはそれぞれ異なる回転角上で検出される。尚、読み取りライン1aと円盤状物体4の中心のずれ方が異なる場合、得られる平面データ上での白丸と白四角との回転角の差も異なってくる。また、黒丸を含む円盤状物体4の中心に近い領域は、円盤状物体4を回転させても読み取りライン1a上を通過しないため撮像されない領域となる。
【0054】
図5(b)は、ラインセンサの読み取りライン1aと円盤状物体4の中心の位置とが一致している場合の、本実施の形態による円盤状物体4(図中左)と得られる撮像データ(図中右)との関係を示す図である。円盤状物体4の中心に黒丸の模様があり、その上に順に白丸、白四角の模様が並んでおり、この状態を回転角0°とする。また円盤状物体4は、円盤状物体4の中心を中心とする扇状の模様(斜線部)を有する。この円盤状物体4を左回り(矢印の方向)に回転させ、撮像した1次元データを時系列で蓄積して平面データとして図示したものが右図である。平面データの左端(の縦のデータ)は回転角0°に対応する1次元データであり、右端は回転角360°に対応する1次元データである。読み取りライン1aと円盤状物体4の中心の位置とが一致しているため、円盤状物体4の中心から見て同じ方向にある白丸および白四角の模様は常に同一の回転角(ここでは0°、180°、360°)上で検出される。また、円盤状物体4の中心にある黒丸の模様は常に同じ位置で読み取られ、平面データ上にラインとして現れる。また、円盤状物体4の同一半径の円周上の点は、円盤状物体4上では円弧をなすが、得られる平面データの画像上では直線となるため、扇状の模様は平面データ上では長方形として現れる。実際には白丸、白四角、および黒丸の模様も歪んだ形で検出されるが、ここでは各点の模様を分類する印として各記号を用いており、歪みを厳密には表していない。円盤状物体4の模様は、光学的に識別可能な模様・文字が色の違い、または凹凸等で形成されている。
【0055】
図6は、円盤状物体4と得られる撮像データとの関係を示す別の図である。円盤状物体4(左図)はその外周に沿って文字列「ABCDEFGHabcdefgh」の模様を有するとする。この円盤状物体4を回転させて得られる撮像データが右図である。ここではラインセンサにより撮像され得られる1次元データを時系列順に左から右に並べているので、円盤状物体4の中心より下の領域で撮像された文字は、平面データ上では裏返しで表される。本図の平面データは、円盤状物体4が2回転する間(0°〜720°)撮像し続けたものである。この平面データを、予め撮像したサンプルデータと比較することにより、円盤状物体4の検査を行うことができる。ただし、撮像を開始した回転角は撮像するたびに異なり、同じ円盤状物体4から得られる平面データも撮像するたびに異なるものになる。
【0056】
図7は、正規の円盤状物体(円盤状サンプル)5(左図)を半回転させ撮像した2次元の撮像データサンプル(平面データサンプル)(右図)である。図6の例と同じく円盤状サンプル5も文字列「ABCDEFGHabcdefgh」の光学的に識別可能な模様を有する。サンプル画像を得るために円盤状物体5を1回転させてもよいが、読み取りライン1aの撮像範囲が円盤状サンプル5の直径を超えていれば、円盤状サンプル5を半回転させることで円盤状サンプル5の全面の情報が得られる。ただし、撮像を開始した回転角は撮像するたびに異なり、同じ円盤状サンプル5から得られる撮像データサンプルも撮像するたびに異なるものになる。しかしながら、こうして得られた撮像データサンプルは、図6の円盤状物体4が正規の模様を有する場合、円盤状物体4を2回転させて得た平面データのどこかの領域と必ず一致する。言い換えると、円盤状物体4を2回転させて得た平面データが、その中に撮像データサンプルを含むとき、当該円盤状物体4は検査に適合すると判断できる。尚、円盤状サンプル5の両側の模様が異なる場合、両面の撮像データサンプルを用意しておき、両方の撮像データサンプルと得られる平面データとを比較する。そして、平面データが、その中に一方の撮像データサンプルを含むとき、当該円盤状物体4は検査に適合すると判断できる。表平面と裏平面との両方にラインセンサを配置し、両面の平面データを得たときは、各平面データが各撮像データサンプルを含むとき、当該円盤状物体4は検査に適合すると判断できる。
【0057】
これにより、様々に半径の異なる円盤状物体の撮像画像に発生する歪みを低減し、精密な画像を容易に取得することができ、かつ、簡単な構成で低コスト化が実現できる撮像装置を提供することができる。また、上記撮像装置を用いた検査装置は、撮像画像に対する画像処理の負担を軽減し、低コスト化が図れ、かつ円盤状物体の高精度の検査をすることができる。
【0058】
比較を簡単にするためには、円盤状物体の撮像と、円盤状サンプルの撮像の密度は同じであることが好ましい。すなわち、2次元の平面データまたは撮像データサンプルを形成する1次元データを得るタイミングは、円盤状物体と円盤状サンプルとにおいて同じ角度毎に行われることが好ましい。そうでない場合、例えば撮像データサンプルの密度が平面データの密度に比べて疎である場合、平面データを間引いたものと撮像データサンプルとを比較してもよい。
【0059】
以上に、円盤状物体4の全面を検査する場合の工程を説明したが、簡単のために円盤状物体4の一部の領域だけの撮像データをもって、円盤状物体4の適合/不適合を検査してもよい。例えば、円盤状サンプル5の模様が4回対称の対称性を有する場合、撮像データサンプルとしては円盤状サンプルの1/4の部分を含むデータを用意すればよい、すなわち円盤状サンプル5を0°〜90°回転させて撮像した撮像データサンプルを用意すればよい。また、円盤状物体4が正規の模様を有する場合、円盤状物体4を1/2回転(0°〜180°)させて撮像した平面データの中に、上記撮像データサンプルが含まれるはずである。これにより、用意する撮像データサンプルを小さくし、撮像する際の回転の量を低減することができる。すなわち、検査時間を短縮することができる。因みに、円盤状サンプル5が対称性を持たない場合でも、上記のように一部の領域の模様だけで円盤状物体4の適合/不適合を検査してもよい。
【0060】
[実施の形態2]
図8(a)は、ラインセンサ1を節約した撮像装置21の構成を示す図であり、図8(b)は、そのときの円盤状物体と撮像される平面データとの関係を示す図である。本実施の形態において実施の形態1と同等の機能を有する部材については詳細な説明を省略し、同一の符号を付す。本実施の形態においては、ラインセンサ1はその読み取りライン1aが、円盤状物体の直径が変わった場合に、想定される最大の円盤状物体4aの中心が位置する領域から、想定される最小の円盤状物体4bの中心が位置する領域と、その延長上にある最大の円盤状物体4aの外周または最小の円盤状物体4bの外周を含む領域とを含む範囲だけをカバーするように設置されている。このように構成することで、想定される任意のサイズの円盤状物体の半径に相当する部分が、読み取りライン1a上に位置することになる。尚、本実施の形態では、読み取りライン1aは最小の円盤状物体4bの半分をカバーし、最大の円盤状物体4aの外周までをカバーしているが、逆に最大の円盤状物体4aは半分しかカバーせず、最小の円盤状物体4bを外周までカバーする構成としてもよい。その方が読み取りライン1aおよびラインセンサ1は短くできる。
【0061】
図8(b)を参照して、本実施の形態における円盤状物体と、撮像して得られる平面データとの関係を説明する。図6の例と同じく最小の円盤状物体4bも文字列「ABCDEFGHabcdefgh」の光学的に識別可能な模様を有する。例えば、最小の円盤状物体4bを読み取る場合、ラインセンサは読み取りライン1aがカバーする円盤状物体4bの上方半分の領域しか読み取ることができない。しかしながら、円盤状物体4bの全面は、必ず読み取りライン1a上を通過するので、実施の形態1と同様に円盤状物体4bの2回転分を撮像し平面データを得ればよい。本実施の形態で用意する撮像データサンプルは、円盤状サンプルを1回転させ、同様に上方半分のみを撮像した撮像データサンプルである。実施の形態1の場合と同様に円盤状物体4bを2回転させて得た平面データが、その中に撮像データサンプルを含むとき、当該円盤状物体4bは検査に適合すると判断できる。最大の円盤状物体の場合も同様にしてもよい。本実施の形態では、このようにラインセンサの長さを節約することができる。
【0062】
[実施の形態3]
図9は、実施の形態3の撮像装置22の構成を示す図である。本実施の形態において実施の形態1と同等の機能を有する部材については詳細な説明を省略し、同一の符号を付す。図9(k)に撮像装置22の構成を示す。撮像装置22は、1つの支持具2と固定された支持具6を備える。支持具2および固定された支持具6は、ラインセンサ1の読み取りライン1aを軸として対称に位置する支持面2a、支持面6aをそれぞれ有する。
【0063】
円盤状物体4を検査する工程を図9(a)〜図9(j)を参照して説明する。図9(a)では、円盤状物体4が撮像装置22に右上方から投入される。図9(b)では、投入された円盤状物体4が回転装置3によって一旦停止される。図9(c)では、回転装置3が上方へ移動し、1つの円盤状物体4を読み取りライン(図示せず)が位置する撮像エリアに通過させる。図9(d)では、回転装置3が下方へ移動する。図9(e)では、回転装置3が円盤状物体4を押さえつけ、支持具2および固定された支持具6とで挟んで位置を固定する。図9(f)では、回転装置3が回転すると同時にラインセンサ(図示せず)が円盤状物体4の撮像を行う。図9(g)〜図9(h)では、複数の円盤状物体4が投入された場合に、後続の円盤状物体4が撮像エリアに入るのを回転装置3が阻止している。また、回転装置3は、後続の円盤状物体4が撮像中の円盤状物体4に接することを防いでいる。図9(i)〜図9(j)では、支持具2の下方を開き、撮像を終えた円盤状物体4を排出する。回転装置3が下方に位置する間、後続の円盤状物体4は撮像エリアに入れない。
【0064】
本実施の形態では、支持具6が固定されているため、円盤状物体4の位置をさらに安定して固定することができる。
【0065】
[実施の形態4]
図10は、実施の形態4の撮像装置23による円盤状物体を検査する工程を示す図である。本実施の形態において実施の形態3と同等の機能を有する部材については詳細な説明を省略し、同一の符号を付す。撮像装置23は、実施の形態3と同様に、1つの支持具2と固定された支持具6を備える。図10(a)では、2つの円盤状物体4c・4dが撮像装置23に投入されている。図10(b)では、回転装置3は、後続の円盤状物体4dを撮像エリアから排除し、先行の円盤状物体4cだけを固定するために、下方へ移動する。このとき、回転装置3は2つの円盤状物体4c・4dの間に割ってはいるように移動する。さらに回転装置3に接した後続の円盤状物体4dが、固定された支持具6に沿って上方に転がるように、回転装置3は反時計回りに回転している。図10(c)〜図10(d)では、回転装置3が反時計回りに回転しながら下方へ移動し、後続の円盤状物体4dを上方へ押し戻し撮像エリアから排除している。図10(e)では、反時計回りに回転している回転装置3が先行の円盤状物体4cを押しつけ時計回りに回転させる。また、このとき円盤状物体4cの撮像が行われる。図10(f)〜図10(g)では、支持具2の下方を開き、撮像を終えた円盤状物体4cを排出する。このとき回転装置3の回転は停止している。図10(h)では、後続の円盤状物体4dを撮像エリアに入れるために、支持具2の下方を閉じる。
【0066】
本実施の形態では、回転装置3が回転しているため、より円滑に後続の円盤状物体4dを撮像エリアから排除できる。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る撮像装置は、円盤状物体の円形の平面の画像を簡単に安定して得ることができるので、コインまたはメダル等の検査装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態1による撮像装置の構成を示すの模式図である。
【図2】撮像装置を備える検査装置の概略構成を示す模式図である。
【図3】円盤状物体を検査する工程を示す図である。
【図4】円盤状物体と得られる撮像データとの関係を示す図である。
【図5】図5(a)は、従来技術による円盤状物体と得られる撮像データとの関係を示す図であり、図5(b)は、実施の形態1による円盤状物体と得られる撮像データとの関係を示す図である。
【図6】円盤状物体と得られる撮像データとの関係を示す別の図である。
【図7】円盤状サンプルを撮像した撮像データサンプルである。
【図8】図8(a)は、実施の形態2による撮像装置の構成を示す図であり、図8(b)は、そのときの円盤状物体と撮像される平面データとの関係を示す図である。
【図9】実施の形態3による撮像装置の構成および円盤状物体を検査する工程を示す図である。
【図10】実施の形態4による撮像装置の構成および円盤状物体を検査する工程を示す図である。
【図11】従来の検査装置の撮像部の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ラインセンサ(センサ)
1a 読み取りライン(ライン領域)
2 支持具
2a 支持面
3 回転装置
4、4a、4b、4c、4d 円盤状物体
5 円盤状サンプル
6 支持具
20、21、22、23 撮像装置
30 検査装置(撮像装置)
31 判定部
32 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともライン領域を撮像できるセンサを備え、円形の平面に光学的に識別可能な模様を有する円盤状物体の上記円形の平面を上記センサで撮像するための撮像装置において、
上記円盤状物体の周面を支持するための支持面をそれぞれ有する2つの支持具と、
上記円盤状物体の周面を上記支持面に向かって押さえつけるために移動し、押さえつけた上記円盤状物体の周面に摩擦力を与えることで上記円盤状物体を回転させるために、回転する円柱状の回転装置とを備え、
2つの上記支持面が、上記ライン領域を軸として対称に配置され、
撮像される上記円盤状物体を2つの上記支持面と上記回転装置とで挟み、上記回転装置が上記円盤状物体を回転させている間に、上記円盤状物体を所定の時間の間、撮像することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
少なくとも一方の上記支持具は、撮像を終えた上記円盤状物体を排出するために、位置を動かせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
上記円盤状物体と、2つの上記支持面および上記回転装置との接点を結ぶ三角形は、鋭角三角形であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
複数の上記円盤状物体が上記撮像装置に投入された場合に、上記回転装置が撮像対象の円盤状物体と後続の円盤状物体との間に移動し、後続の円盤状物体が撮像対象の円盤状物体に接することを防ぐことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の上記円盤状物体が上記撮像装置に投入された場合に、上記回転装置が回転しながら撮像対象の円盤状物体と後続の円盤状物体との間に移動し、後続の円盤状物体に回転を与えながら押し戻すことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
上記円盤状物体を撮像して得られる複数の1次元データを時系列に蓄積することで平面データを作成し、上記平面データと円盤状サンプルの円形の平面を予め撮像して作成した2次元の平面データサンプルとを比較することにより、当該円盤状物体の適合/不適合を判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
上記平面データサンプルは、上記円盤状サンプルを上記円盤状サンプルの円形の中心を軸にして回転させている間に、上記円盤状サンプルの円形の平面の当該円形の中心を通る線上を撮像して得た1次元データサンプルを時系列に蓄積することにより作成されることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
2次元メモリ領域を有する記憶部を備え、
上記円盤状物体の円形の平面上の各点を表す極座標の座標成分に、それぞれ所定の係数をかけた数値を、上記2次元メモリ領域の仮想アドレスとして使用し、
上記円盤状物体を撮像して得られる複数の点データを、上記極座標に対応する各仮想アドレスが示す2次元メモリ領域に記憶することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−55572(P2010−55572A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222869(P2008−222869)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】