説明

撮像装置

【課題】 監視カメラ装置を設置した後でカメラの撮影方向のずれを検知したとき、ユーザが現場でカメラの位置合わせを行う必要がなく、ユーザ自身がカメラの遠隔操作により撮影方向を容易に修正することを可能にした撮像装置を提供することができる。
【解決手段】 異常を検知した場合(101、102)、撮像部の撮影方向を操作するための表示と撮像画像を表示する(105)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特に、パンチルト制御機能を有し、撮影方向を移動させることが可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークや専用線を介して、遠隔操作によりカメラを制御し、映像を監視する監視カメラシステムが知られている。カメラのフォーカス、ズームを調整した上で、パン角度、チルト角度等を調整することにより撮影方向を設定することが可能である。
【0003】
また、カメラを設置する際に、遠隔操作によりビューワ上の撮影画像を確認しながらパン角度やチルト角度等を調整することでユーザ自身が撮影方向を決定し、設置後は撮影方向を変更することなく、固定カメラ装置として利用される場合がある。しかしながら、ユーザが気づかないうちに、カメラの撮影方向が変わってしまう場合がある。例えば、いたずらや破壊などによる撮影妨害行為によりカメラの撮影方向が勝手に変更される、あるいは、地震などによりカメラを取り付けた天井や壁の振動で撮影方向がずれてしまうなど原因は多岐に渡る。
【0004】
監視カメラ装置に対していたずらや破壊などによる撮影妨害行為があった場合、カメラの異常を検知してユーザに警告を出す、あるいは、撮影妨害行為を行なっている人物を撮影するなどの対策を講じている場合がある。特許文献1では、監視カメラの撮像方向が変化したか否かを検出する検出手段を備え、撮像方向の変化を検出すると警報を出力し、可能な限り早く異常をユーザに知らせるという技術が開示されている。また、特許文献2では、監視カメラに衝撃を検出する衝撃検出部を備え、衝撃が所定の閾値を超えた場合はズームレンズ群を光軸上でワイド端側に移動させ、撮影妨害行為者を撮影できるようにするという技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−185940号公報
【特許文献2】特開2008−123356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、ユーザの意図しないうちにカメラの撮影方向が変わってしまった状態を容易に修正することができない、または撮影方向のずれにユーザが気づかないことがある。
【0007】
例えば、特許文献1では、カメラの撮影方向が変化した場合、ユーザに警報を出力するのみであるため、警報に気がついたユーザが現場まで駆けつけ、ビューワ上の撮影画像を見ながら手動でカメラを動かすことにより撮影方向を修正する必要がある。
【0008】
また、特許文献2では、カメラが受けた衝撃が所定の閾値を超えたことを検知してズームレンズ群をワイド端側に移動させ、撮影妨害行為者を撮影した後、ズームレンズ群を元の位置に戻しても衝撃によって元の撮影方向からずれている場合がある。よって、ユーザが撮影方向のずれに気づかないまま撮影を続けてしまう可能性がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、異常が検知された場合、ユーザが撮影方向を容易に修正することが可能となる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、光学像から撮像画像を取得する撮像手段と、前記撮像手段の撮影方向を移動させるための移動手段と、前記撮像手段により取得した画像を表示部に出力する出力手段と、異常を検知するための検知手段と、前記検知手段により異常を検知した場合、前記移動手段を操作するための表示を前記表示部に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
異常が検知された場合、撮影画像を表示するための表示部に撮影方向を移動させるための表示をすることにより、撮影画像を確認しながら撮影方向を修正することができる。
【0012】
異常が検知された場合に、撮影方向を移動させるための表示をすることにより、撮影方向の移動が不要な場合の誤動作を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通常モードで動作しているときに異常を検知したときのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。
【図2】監視カメラ設置時のビューワのイメージ図である。
【図3】監視カメラの全体システム構成を説明するブロック図である。
【図4】カメラ301の詳細構成を示した図である。
【図5】クライアント304の詳細構成を示した図である。
【図6】ビューワの一例を示した図である。
【図7】カメラ操作部504を表示したビューワの一例を示した図である。
【図8】設置してから通常モードに移行するまでのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】異常検知により通常モードから設置モードに移行した後、再び設置モードから通常モードへ移行するまでのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】2枚の取得画像の比較を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図3は、本発明の好適な実施形態に係る監視カメラの全体システム構成を説明するブロック図である。まず、システムの構成要素について説明する。
【0016】
カメラ301、カメラ302は被写体を撮影し、その映像データを配信するためのネットワークカメラであり、パンチルト制御機能を有するものとする。カメラ301、カメラ302で撮影した映像データをネットワーク303を介して配送している。クライアント304、クライアント305は、具体的には、カメラ301から送信された映像データを受信して表示するコンピュータである。これらカメラ301とクライアント304、クライアント305は、LANやインターネット等のネットワーク303に接続されている。クライアント304、クライアント305は、ネットワーク303を介してカメラ301から配送される映像データを受信することができる。また、ネットワーク303にカメラ302などの複数のカメラを接続することによって、複数の遠隔地の映像データをクライアント304、クライアント305で表示することが可能となる。録画サーバ306は、カメラ301、カメラ302から受信した映像データを録画し、録画した映像データを記録するためのサーバである。
【0017】
通常、ユーザはクライアント304やクライアント305からネットワーク303に接続されているカメラ301やカメラ302を操作することによって、カメラ301やカメラ302の撮影画像を見ることが可能である。この場合のユーザとは、クライアント304やクライアント305を操作する操作者を指す。カメラの台数、クライアントの数、および録画サーバの台数は、図3に示した数に限られるものではなく、任意に数を増減することが可能である。
【0018】
なお、本発明は、このようにクライアントとネットワークを介して接続されるネットワークカメラに限定されるものではなく、クライアントと専用線を介して接続されるカメラにも適用可能である。1台のカメラに1台のクライアントが接続されるシステムにも本発明は適用可能である。
【0019】
本実施形態のカメラ301の動作について、図4を用いて詳細を述べる。
【0020】
図4は、カメラ301の詳細構成を示した図である。カメラ302内の構成は、カメラ301と同様である。
【0021】
カメラ301内の通信I/F401、CPU402、異常検知部403、記憶部404切替部405、カメラ制御部406がバス407に接続されている。異常検知部403には、衝撃や振動を検知する機能を備えており、撮像部412の撮影方向のずれを検知することが可能である。記憶部404は、撮影方向を変更する、ズーム、あるいはフォーカス位置を変更するなど撮影条件を変更するごとに監視領域を撮影した撮影画像を記憶する記憶部であり、異常検知部403がカメラ301の撮影方向のずれを検知するために利用する。切替部405は、設置モードと通常モードとを切り替える切替手段である。
【0022】
カメラ制御部406には、撮像制御部408、ズーム制御部409、フォーカス制御部410、パンチルト制御部411が含まれている。撮像制御部408は撮像部412を制御し、ズーム制御部409はズーム駆動部413を制御し、フォーカス制御部410はフォーカス駆動部414を制御する。パンチルト制御部411は、パン駆動部415、チルト駆動部416を制御することにより、カメラ301の撮像方向を決定する。パンチルト制御部411は、撮像部412の撮像方向を移動させる。カメラ制御部406内の撮像制御部408、ズーム制御部409、フォーカス制御部410、パンチルト制御部411は、CPU402によって制御される。撮像部412は、光学像から撮像画像を取得する。通信I/F401は、撮像部412により取得した画像を、クライアントのモニタに表示されるように出力する。
【0023】
次に、クライアント304の動作について、図5を用いて詳細を述べる。
【0024】
図5は、クライアント304の詳細構成を示した図である。クライアント305内の構成は、クライアント304と同様である。
【0025】
クライアント304内の通信I/F501、CPU502、映像出力部503、カメラ操作部504がバス505に接続されている。カメラ301、カメラ302の映像は、ネットワーク303を介してクライアント304内の通信I/F501に入力され、映像出力部503からモニタ506に出力される。モニタ506は、ビューワ上に撮影画像などを表示する表示部である。ユーザがカメラ操作部504を操作することにより、カメラ301、カメラ302内のパン駆動部、チルト駆動部、ズーム駆動部、フォーカス駆動部、撮像部をそれぞれ操作することができる。
【0026】
カメラ操作部504とは、図2のビューワ(表示部)上に設置モードで表示される、カメラを操作するために必要な操作ボタン等に相当する。カメラ操作部504は、カメラ操作部のパン方向のスクロールバー201、チルト方向のスクロールバー202、ズーム操作部203、フォーカス操作部204、パンチルト駆動するための十字キー205、制御権ボタン206などに相当する。スクロールバー201、202、十字キー205により、撮像方向を操作することができる。カメラ操作部504を操作することにより出力された制御命令は、CPU502により通信I/F501、ネットワーク303を介してカメラ301、あるいはカメラ302に送信される。カメラ301内のCPU402は、カメラ制御部406内の撮像制御部408、ズーム制御部409、フォーカス制御部410、パンチルト制御部411のうち、クライアント304から送られた制御命令を実行するために必要な制御部へ前記制御命令を送る。クライアントは、カメラ301で撮影された画像を表示すると共に、カメラ操作部が表示されている場合には、カメラ301の撮像方向を操作する装置である。
【0027】
カメラ301内の切替部405が通常モードに設定されているときは、カメラ301内のCPU402がモニタ506に表示されているビューワ上のカメラ操作部504を非表示とするよう、クライアント304へ要求を出す。前記要求を受けたクライアント304内のCPU502は、図6(A)のようにビューワ(表示部)上のカメラ操作部504の表示を非表示とし、カメラ301より配信された撮影画像のみビューワ上に表示する。
【0028】
前記切替部405が設置モードに設定されているときは、カメラ操作部504をビューワ上に表示するよう、クライアント304へ要求を出す。前記要求を受けたクライアント304内のCPU502は、図7に示すようなカメラ操作部504をビューワ(表示部)上に表示する。カメラ操作部504は、パン方向のスクロールバー201、チルト方向のスクロールバー202、ズーム操作部203、フォーカス操作部204、パンチルト駆動するための十字キー205、制御権ボタン206などを含む。このとき、ビューワ上にはカメラ操作部504と同時に異常検知を示す警告701を表示する。前記異常検知を示す警告701は、ビューワの枠の色が変わる、ビューワのタイトルバーに警告を表示する、あるいは、警告用のダイアログボックスを提示するなどの形態であっても良い。図7では、異常検知を示す警告701とカメラ操作部504が同時に表示する形態を示した。しかしながら、まず異常検知を示す警告701などで撮影方向に変化があったことをユーザに警告した後、ユーザがビューワをクリックしたときにカメラ操作部504が表示する形態であっても良い。
【0029】
また、図7はビューワの一例であり、図6(B)のようにカメラ操作部801をポップアップする形態であっても良い。図6(B)では、カメラ操作部801を表示すると同時に異常検知を示す警告をポップアップする形態を示した。しかしながら、まずビューワやカメラ操作部801とは別に警告を示すダイアログボックス立ち上げるなどして撮影方向の変化があったことをユーザに警告した後、ユーザがビューワをクリックときにカメラ操作部801がポップアップする形態であっても良い。
【0030】
図8は、設置してから通常モードに移行するまでのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、コンピュータであるCPU402が実行するプログラムの一部を示す。記憶部404は、CPU402が読み出すことができるように、このプログラムを記憶している。CPU402はこのプログラムを記憶部404から読み出して実行する。後述の図1、図9のフローチャートも、同様にCPU402が実行するプログラムの一部を示す。
【0031】
はじめに、カメラ301の電源をONしたときに(ステップ901)、カメラ301のパン駆動部415、チルト駆動部416を含むパンチルト駆動部ぞれぞれの駆動回数が所定の耐久回数の上限を超えているかを検知する(ステップ902)。この耐久回数の上限は、記憶部404に所定回数が予め設定されている。また、記憶部404には、パン駆動回数、チルト駆動回数が記憶されており、パン駆動部415によるパン駆動、チルト駆動部416によるチルト駆動がされる毎に、パン駆動回数、チルト駆動回数が更新される。
【0032】
ステップ902でパンチルト駆動部が耐久回数を超えていなければ、切替部405により設置モードへ設定し、設置モードへ移行する(ステップ903)。そして、図2のような表示が行われるように、クライアント304へビューワ(表示部)上のカメラ操作部504の表示を要求する表示制御を行う(ステップ904)。ここでは、ビューワ上に撮影画像207が表示されるように、撮影画像の配信も行う。また、カメラ301の制御権を取得されると(ステップ905)、ユーザから制御権が開放されるのを監視し(ステップ906)、前記制御権が開放されるまでステップ905とステップ906を繰り返す。設置時における撮影方向の設定なので処理は、制御権を有するクライアントにより行なわれる。
【0033】
ステップ906でユーザから制御権が開放されるのを検知したら、クライアント304へビューワ上のカメラ操作部504を非表示にするよう、要求を出す表示制御を行う(ステップ907)。この要求により、クライアント304は、図6のような表示を行う。撮影画像の配信は継続する。切替部405が設置モードから通常モードに切り替え、設置モードから通常モードへ移行する(ステップ908)。このモードでは、撮影画像の配信は行い、撮影画像207の表示は行われるが、カメラ操作部504の表示は行われない。
【0034】
ステップ902でパンチルト駆動部が耐久回数を超えていた場合、パンチルト駆動回数が耐久回数の上限を超えていることをクライアント304に警告し(ステップ909)、ステップ908へ進む。この場合も、撮影画像は配信する。
【0035】
図8のフローチャートではステップ906でカメラ301の制御権が開放されたことを検知することによりステップ907へ進む手順を示した。しかしながら、ステップ906の代わりにカメラ操作部504よりカメラ操作した後、所定時間が経過したことを検知することによりステップ907へ進むとしても良い。
【0036】
図1は、通常モードで動作しているときに異常を検知したときのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。通常モードでは、クライアントは、撮像部412で撮像され、カメラ301から配信された画像を表示しているが、撮像部412の撮像方向はクライアントからは操作できないモードである。
【0037】
カメラ301が通常モードで動作している間、所定時間ごとに異常検知部403により振動や衝撃を検知する(ステップ101)。ステップ101でカメラ301の振動や衝撃を検知した場合、監視領域の画像を取得し、記憶部404に前記取得画像を記憶する(ステップ102)。そして、以前に取得した画像とステップ102で取得した画像のずれ量を比較する(ステップ103)。すなわち、撮像部412が撮影した画像を予め記憶部404に記憶しておき、異常検知時に撮像部412が撮影した画像を取得し、予め記憶部404に記憶しておいた画像と、異常検知時に取得した画像を比較し、ずれ量を求める。記憶部404は、撮影方向を変更する、ズーム、あるいはフォーカス位置を変更するなど撮影条件を変更するごとに監視領域を撮影した撮影画像を記憶する。ステップ103で比較した画像に所定の閾値以上のずれ量を検知したら(ステップ104)、撮像部412に異常が発生したと判断する。このように、撮像方向が所定以上ずれたことを検知した場合、図2のような表示を行うように、クライアント304へビューワ(表示部)上のカメラ操作部504を表示するよう、要求を出す表示制御を行う(表示制御手順)(ステップ105)。撮影画像の配信は継続する(撮影画像を表示部に出力する出力手順)。ステップ104で所定の閾値以上の画像のずれ量が検知されない場合は、振動や衝撃が検知されてもカメラ301の撮影方向が変化していないと判断し、ステップ101へ戻る。
【0038】
ステップ105の後は、カメラ301の撮影方向にずれ量が生じているとして、図7または図6(B)のような表示を行うように、クライアント304に警告するとともに(ステップ106)、異常検知をログに残す(ステップ107)。このログは記憶部404に残す。切替部405を通常モードから設置モードに切り替えることにより、通常モードから設置モードへ移行する(ステップ108)。なお、通常モードであってもステップ909での警告が行われている場合には、ステップS104で異常が検知されても、ステップ108では、設置モードには移行せずに、ステップ909での警告が行われた通常モードのままの状態を維持するようにしてもよい。
【0039】
なお、ステップ104で所定の閾値以上の画像のずれ量を検知したら、カメラ301の撮影方向のずれが生じる前の撮影方向へ移動する処理を行った後、ステップ105へ処理を進めてもよい。
【0040】
図9は、異常検知により通常モードから設置モードに移行した後、再び設置モードから通常モードへ移行するまでのカメラ301内の処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
ユーザがカメラ操作部504を操作することによりカメラ301が操作されたかを検知し(ステップ1001)、ステップ1001でカメラ301が操作された形跡がある場合は、前記カメラ操作後、所定時間経過しているかを検知する(ステップ1002)。ステップ1002でカメラ301が操作された後、撮影方向を動かされることなく所定時間が経過していたら、ユーザによる撮影方向の修正が終わったと判断する。このように修正が終わったと判断した場合、クライアント304へビューワ(表示部)上のカメラ操作部504を非表示にするよう、要求を出す表示制御を行う(ステップ1003)。この要求により、クライアント304は、図6(A)のような表示を行う。撮影画像の配信は継続する。切替部405を設置モードから通常モードに切り替えることにより、設置モードから再び通常モードへ移行する(ステップ1004)。
【0042】
ステップ104における画像のずれ量の検知については、特開2008−259056において公開されているような方法で実施することが可能である。具体的な検出方法を次に述べる。
【0043】
図10は、2枚の取得画像の比較を示した図である。ここで、取得画像1の比較エリア(図中、斜線部分)1101内の座標(i,j)に位置する特定の画素をa(i,j)で表す。そして、この画素a(i,j)の輝度値をs(i,j)で表す。また、取得画像2内で画素a(i,j)と同一位置にある画素の輝度値をq(i,j)で表す。
【0044】
まず、取得画像1の比較領域(エリア)1101内の全画素に対し、取得画像1と取得画像2との同一位置における画素の輝度値を比較する際、数式1に従って、その相関値Lを計算する。数式1では、輝度値s(i,j)と輝度値q(i,j)の差が比較エリア内の全画素にわたって加算される。そして、n=0,m=0の場合の相関値Lとして、L(0,0)が求められる。ただし、n=±0,1,…,Nであり、m=±0,1,…,Mである。
【0045】
【数1】

【0046】
続いて、n,mをそれぞれ所定の画素数だけ正/負方向に2次元空間的にずらしながら、相関値L(n,m)を求める。図中、比較領域(エリア)1102はX方向に+n、Y方向に+mずらさられている。ここで、相関値L(n,m)は、n=±0から±Nまで、m=±0から±Mまでの範囲で計算される。こうして計算された相関値L(n,m)の最大値と最小値の差が最大相関差Rとして求められる。
【0047】
相関値Lは2つの画像が一致すると小さくなり、2つの画像が一致しないと大きくなるので、取得画像1と一致する取得画像2が、n=±0から±Nまで、m=±0から±Mまでの範囲内に存在する場合、最大相関差Rは大きくなる。一方、存在しない場合、最大相関差Rは小さくなる。取得画像1と取得画像2を比較した結果、CPU402は最大相関差Rが所定値以上であるか否かを判断し、最大相関差Rが所定値以上であれば、両画像のずれ量を検出することが可能である。
【0048】
ここで、画像の一致を判断する際に最大相関差Rを用いるのは、以下の理由による。取得画像1と取得画像2が完全に一致している場合、L(0,0)のみの計算で相関量が計算される。しかし、実際には、パンチルト機構の停止誤差や、振動による揺れ等が生じ、2つの画像は完全に一致しない。従って、最大相関差Rを用いて、両画像の一致度合いが評価される。これにより、画像の比較を簡単かつ正確に行なうことができる。だたし、2つの画像の相関の取り方としては、種々の方式が考えられるので、本実施形態ではその一例が示されているに過ぎず、本発明はこの相関演算の方式に限定されるものではない。
【0049】
上記で述べた通り、監視カメラ装置を設置した後で撮影方向のずれを検知したとき、ビューワ上のカメラ操作部504を表示すると同時にユーザに警告を出すように構成した。このように構成することにより、ユーザ自身がビューワ上の撮影画像を確認しながらカメラの撮影方向を手動で修正することが可能になった。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
201 パン方向のスクロールバー
202 チルト方向のスクロールバー
203 ズーム操作部
204 フォーカス操作部
205 パンチルト駆動するための十字キー
206 制御権ボタン
207 撮影画像
701 異常検知を示す警告
801 カメラ操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学像から撮像画像を取得する撮像手段と、
前記撮像手段の
撮影方向を移動させるための移動手段と、
前記撮像手段により取得した画像を表示部に出力する出力手段と、
異常を検知するための検知手段と、
前記検知手段により異常を検知した場合、前記移動手段を操作するための表示を前記表示部に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検知手段は、振動あるいは衝撃を検知することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記撮像手段により取得した画像を記憶するための記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された画像と、前記検知手段により異常を検知したときに前記撮像手段により取得した画像において所定の閾値以上のずれがあることを異常として検知することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記移動手段による所定回数の移動が行われている場合、前記移動手段を操作するための表示を前記表示部に表示しないように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記移動手段の操作がされてから所定時間が経過した場合、前記移動手段を操作するための表示を前記表示部に表示しないように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像装置の撮像方向を操作するための表示を制御する制御方法であって、
撮像装置により撮影した画像を表示部に出力し、
前記撮像方向が所定以上ずれたことを検知した場合、前記撮像方向を操作するための表示を前記表示部に表示するように制御する表示制御手段とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項7】
撮像装置の撮像方向を操作するための表示を制御する制御手順をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
撮像装置により撮影した画像を表示部に出力する出力手順と、
前記撮像方向が所定以上ずれたことを検知した場合、前記撮像方向を操作するための表示を前記表示部に表示するように制御する表示制御手順とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−160205(P2011−160205A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20363(P2010−20363)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】