説明

撮像装置

【課題】顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人の顔を検出しないときであっても、適切なオートフォーカス動作をすること。
【解決手段】進退可能なフォーカスレンズ101cを含み光学画像を生成する光学系101と、光学画像を画像信号に変換する撮像素子301と、光学画像が撮像素子301に合焦するようにフォーカスレンズ101cを進退させる合焦手段305bと、画像信号に基づく画像において人の顔の位置とどの程度人の顔らしいかを示す評価値を出力する顔検出手段305cと、画像信号に基づく画像を複数の領域に分割しそれぞれの領域についてコントラストを算出するコントラスト算出手段305cと、評価値が閾値よりも低い場合は光学画像が撮像素子の評価値が最も高い位置を含む一部の隣接した領域のうちコントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように合焦手段305bを制御する制御手段305bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物の顔を検出し、検出した人物の顔にピントを合わせることができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、人物の顔を検出し、検出した人物の顔にピントを合わせることができる撮像装置が多数製品化されている。この分野については、特許文献1から特許文献3等を始めとして、多数の先行技術文献が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−15023号公報
【特許文献2】特開2009−147574号公報
【特許文献3】特開2009−60379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人物の顔の検出は、所定のアルゴリズムを実行するソフトウエアや、これを回路化したハードウエアによって行なわれる。人物の顔の検出は、どの程度人物の顔らしいかを示す評価値が所定の閾値よりも高いか低いかによって行なわれる。結果的に人物の顔を検出してもしなくても、評価値は存在する。
【0005】
人物の顔を検出すれば、検出した人物の顔にピントを合わせる。一方、人物の顔を検出しなければ、顔検出オートフォーカスから多点オートフォーカス等に自動的に切り替える。しかし、使用者が顔検出オートフォーカスを選択しているということは、被写体に人物の顔が含まれる蓋然性が極めて高い。にもかかわらず、多点オートフォーカス等に自動的に切り替えると、使用者の意図しない被写体にピントが合ってしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決し、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときであっても、適切なオートフォーカス動作をすることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、光軸方向に進退可能なフォーカスレンズを含み被写体の光学画像を生成する光学系と、前記光学画像を画像信号に変換する撮像素子と、前記光学画像が前記撮像素子に合焦するように前記フォーカスレンズを進退させる合焦手段と、前記画像信号に基づく画像において人物の顔の位置とどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する顔検出手段と、前記画像信号に基づく画像を複数の領域に分割しそれぞれの領域についてコントラストを算出するコントラスト算出手段と、前記評価値が第一の閾値よりも高い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記人物の顔の位置に合焦するように前記合焦手段を制御し、前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記評価値が最も高い位置を含む一部の隣接した前記領域のうち前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
この構成においては、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときであっても、最も人物の顔らしいと評価できる位置を含む一部の隣接した領域のうちコントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置にピントを合わせることができる。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、光軸方向に進退可能なフォーカスレンズを含み被写体の光学画像を生成する光学系と、前記光学画像を画像信号に変換する撮像素子と、前記光学画像が前記撮像素子に合焦するように前記フォーカスレンズを進退させる合焦手段と、前記画像信号に基づく画像において人物の顔の位置とどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する顔検出手段と、前記画像信号に基づく画像を複数の領域に分割しそれぞれの領域についてコントラストを算出するコントラスト算出手段と、前記評価値が第一の閾値よりも高い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記人物の顔の位置に合焦するように前記合焦手段を制御し、前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記評価値が最も高い位置を含む前記領域の重み付けを最も高くし複数の前記領域のうち重み付け後の前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0010】
この構成においては、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときであっても、最も人物の顔らしいと評価できる位置を含む領域の重み付けを最も高くし複数の領域のうち重み付け後のコントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置にピントを合わせることができる。
【0011】
また、前記制御手段は、前記評価値が第二の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記複数の領域のうち前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する、ことを特徴とする。
【0012】
この構成においては、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出せず、かつ、評価値が著しく低いときは、多点オートフォーカスに自動的に切り替えることができる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記コントラストのピーク値の最大値が第三の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記領域のうち中央に存在する領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する、ことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出せず、かつ、評価値が著しく低く、さらに、多点オートフォーカスによってもコントラストのピーク値が有意となる領域の位置を特定できないときは、一点オートフォーカスに自動的に切り替えることができる。
【0015】
また、本発明の撮像装置は、前記光学画像を合焦させる前記撮像素子の位置を決定するための方法を選択する選択手段を、さらに備え、前記制御手段は、前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記選択手段によって選択された方法に基づいて前記光学画像を合焦させる前記撮像素子の位置を決定する、ことを特徴とする。
【0016】
この構成においては、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときは、使用者が選択した方法に基づいてピントを合わせる位置を決定することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときであっても、適切なオートフォーカス動作をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観図
【図2】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラのブロック図
【図3】AF領域の配置を説明する図
【図4】本発明の実施の形態に係るデジタルカメラのオートフォーカス動作を説明するフローチャート
【図5】評価値が最も高い位置を重視した多点オートフォーカスを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態)
(1.外観)
図1は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラの外観図である。図1(a)は、正面図であり、図1(b)は、背面図である。
【0020】
デジタルカメラ100の正面には、撮像光学系101とフラッシュ102が配されている。撮像光学系101は、被写体光をデジタルカメラ100内の撮像素子に結像させる。フラッシュ102は、暗所での撮影において、閃光を発して撮影光量の不足を補う。デジタルカメラ100の上面には、シャッターボタン103が配されている。シャッターボタン103を押下すると、撮像素子に結像した被写体光に基づく画像データがメモリカード等の記録媒体に記録される。
【0021】
デジタルカメラ100の背面には、液晶モニター104、モードダイヤル105、各種操作ボタン106が配されている。液晶モニター104には、撮像素子に結像した被写体光に基づく画像が表示される。従って、液晶モニター104に表示された画像を観察しながら撮影のための構図を決定することができる。また、液晶モニター104は、記録媒体に記録された画像データに基づく画像を表示することができる。
【0022】
モードダイヤル105を操作することで、デジタルカメラ100の動作モードを決定することができる。デジタルカメラ100の動作モードには、撮影モードと再生モードがある。撮影モードは、シャッターボタン103を押下することにより、撮像素子に結像した被写体光に基づく画像データをメモリカード等の記録媒体に記録することができる動作モードである。撮影モードは、さらに全自動撮影モード、プログラム撮影モード、シャッター速度優先撮影モード、絞り優先撮影モード、シーン別撮影モードに細分される。
【0023】
再生モードは、記録媒体に記録された画像データに基づく画像を液晶モニター104に表示することができる動作モードである。各種操作ボタン106を操作することによって、撮影モードと再生モードにおける、さらに詳細な設定をすることができる。すなわち、撮影モードにおいては、オートフォーカス動作の方法の選択、露出補正、ホワイトバランス調整、フラッシュ102の発光に関する設定等を行うことができる。また、再生モードにおいては、液晶モニター104に表示された画像の拡大や縮小、液晶モニター104に同時に表示する画像の数の設定、メモリカード等の記録媒体に記録された画像データの検索等を行うことができる。
(2.構成)
図2は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラのブロック図である。撮像光学系101は、被写体光を撮像素子であるCCDイメージセンサー301に結像させる。撮像光学系101は、複数のレンズ群で構成されている。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ100においては、撮像光学系101内にズームレンズ101a、絞り101b、フォーカスレンズ101cを配している。
【0024】
CCDイメージセンサー301は、結像した被写体光に基づく画像信号を出力する。AFE302は、CCDイメージセンサー301の出力する画像信号を補間し、ホワイトバランス調整とガンマ補正を施して画像データに変換し、信号処理LSI305内の前処理部305aに出力する。前処理部305aは、AFE302から出力された画像データをYCデータに変換してからバス303を経由してSDRAM304に格納する。
【0025】
信号処理LSI305は、前処理部305aとCPU305bと画像処理部305cと記憶部305dによって構成されている。CPU305bは、デジタルカメラ100全体の制御を行う。CPU305bは、シャッターボタン103、モードダイヤル105、各種操作ボタン106の操作を監視する。CPU305bは、ズームレンズ101a、絞り101b、フォーカスレンズ101cの動作を制御することができる。ズームレンズ101a、絞り101b、フォーカスレンズ101cには、それぞれを動作させるためのステッピングモータ等のアクチュエータが存在するが、図示を省略している。CPU305bは、ズームレンズ101aを撮像光学系101の光軸方向に移動させることによって、CCDイメージセンサー301に結像する被写体光の倍率を変化させることができる。CPU305bは、絞り101bを動作させることによって、CCDイメージセンサー301に結像する被写体光の光量を調整することができる。CPU305bは、フォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させることによって、被写体光をCCDイメージセンサー301に合焦させることができる。
【0026】
画像処理部305cは、前処理部305aによってSDRAM304に格納されたYCデータを液晶モニター104による表示に適した表示データに変換し、バス303を経由して液晶モニター104に出力する。画像処理部305cは、YCデータにおける指定された領域のコントラストを求めることができる。画像処理部305cは、YCデータに含まれる人物の顔の位置とどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力することができる。
【0027】
シャッターボタン103の半押しによってオートフォーカス動作が開始され、全押しによって撮影が行われる。オートフォーカス動作の方法には、顔検出オートフォーカス、多点オートフォーカス、一点オートフォーカスがある。各種操作ボタン106を操作することによって、オートフォーカス動作の方法を選択することができる。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ100においては、オートフォーカス動作の方法として顔検出オートフォーカスを選択した場合、顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法を選択することができる。顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法を選択するか否かは任意であって、選択しなくても構わない。
【0028】
画像処理部305cは、SDRAM304に格納されたYCデータが、シャッターボタン103の全押しによって格納されたYCデータであるときは、メモリカード306への記録に適した圧縮データに変換し、バス303を経由してメモリカード306に記録する。
【0029】
メモリカード306に記録された圧縮データは、画像処理部305cによって、液晶モニター104による表示に適した表示データに変換され、バス303を経由して液晶モニター104に表示される。
【0030】
記憶部305dには、CPU305bを動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部305dには、CPU305bが顔検出オートフォーカス、多点オートフォーカス、一点オートフォーカスを行なうためのプログラムが記憶されている。
【0031】
信号処理LSI305は、前処理部305aとCPU305bと画像処理部305cと記憶部305dによって構成されているが、これらの機能を複数のLSIに分けて構成してももちろん構わない。通常、CMOSプロセスで作られる信号処理LSIにフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを混載するとコストが上がるので、記憶部305dを信号処理LSIとは別のフラッシュメモリで構成しても構わない。
(3.動作)
(3−1.オートフォーカス動作の方法)
画像処理部305cは、前処理部305aによってSDRAM304に格納されたYCデータからコントラストを求めることができる。CPU305bは、このコントラストが最大になるようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させることによって、いわゆるコントラスト方式のオートフォーカス動作を行なうことができる。
【0032】
このとき、コントラストを求める画像の領域を選択することができる。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ100においては、以下に示すオートフォーカス動作の方法を選択することが可能である。
【0033】
(1)顔検出オートフォーカス
人物の顔が検出された領域のコントラストを求める。画像処理部305cは、画像の中に含まれる人物の顔がどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する。CPU305bは、画像処理部305cの出力する評価値が第一の閾値よりも高い場合は人物の顔が検出されたと判断する。画像の中に複数の人物の顔が検出されたときは、さらに、1)評価値が最も高い人物の顔の領域のコントラストを求める、2)被写体距離が最も近い人物の顔の領域のコントラストを求める、3)最も大きい人物の顔の領域のコントラストを求める、4)記憶部305dに記憶された人物の顔と最も類似する人物の顔の領域のコントラストを求める、5)各種操作ボタン106によって選択された人物の顔の領域のコントラストを求める、の中からコントラストを求める画像の領域を選択することができる。この選択は、使用者が予め各種操作ボタン106を操作することによって行なっておく。人物の顔が移動すれば、コントラストを求める画像の領域も移動する。
【0034】
(2)多点オートフォーカス
画像を複数の領域に分割し、それぞれの領域のコントラストを求める。それぞれの領域をAF領域とよぶ。コントラストのピーク値が最大となるAF領域に合焦させる。図3は、AF領域の配置を説明する図である。図3(a)は、23のAF領域を設けた場合の例を示している。図3(a)においては、AF領域の配置を説明するために全てのAF領域の枠を表示しているが、実際には、合焦したAF領域の枠のみが表示される。オートフォーカス動作が完了すると、コントラストのピーク値が最大となったAF領域の枠が表示される。コントラストのピーク値が最大となるAF領域に合焦させたときに、コントラストが焦点深度内となるAF領域が別に存在すると、コントラストのピーク値が最大となったAF領域の枠に加えて、コントラストが焦点深度内となるAF領域の枠も表示する。
【0035】
(3)一点オートフォーカス
画像の中央のAF領域のコントラストを求める。図3(b)は、画像の中央にAF領域を設けた場合の例を示している。コントラストのピーク値の絶対値に関わらず、コントラストがピーク値となるフォーカスレンズ101cの位置でもって合焦とする。
(3−2.オートフォーカス動作)
本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ100のオートフォーカス動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラのオートフォーカス動作を説明するフローチャートである。使用者は、オートフォーカス動作の方法として、顔検出オートフォーカスを選択している。また、顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法は選択されていない。
【0036】
シャッターボタン103の半押しによってオートフォーカス動作が開始される。画像処理部305cは、画像の中に含まれる人物の顔がどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する。CPU305bは、画像処理部305cの出力する評価値が第一の閾値よりも高い場合は(S101においてY)、人物の顔が検出されたと判断して、撮像光学系101を通過した被写体光がCCDイメージセンサー301の人物の顔が検出された位置に合焦するようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させる(S102)。なお、画像の中に複数の人物の顔が検出された場合は、前記(3.動作)(3−1.オートフォーカス動作の方法)(1)顔検出オートフォーカスのようにコントラストを求める画像の領域を選択することができる。
【0037】
一方、画像処理部305cの出力する評価値が第一の閾値よりも低い場合は(S101においてN)、CPU305bは、画像処理部305cの出力する評価値を第二の閾値と比較する(S103)。
【0038】
CPU305bは、画像処理部305cの出力する評価値が第二の閾値よりも高い場合は(S103においてY)、評価値が最も高い位置を重視した多点オートフォーカスを行なう(S104)。具体的な方法として、以下の二つの方法を例示する。図5は、評価値が最も高い位置を重視した多点オートフォーカスを説明する図である。
【0039】
(1)AF領域限定
図5(a)は、コントラストを求めるAF領域を限定する方法を説明する図である。黒丸は、評価値が最も高い位置を示している。この方法においては、評価値が最も高い位置を含むAF領域とこれに隣接した七つのAF領域についてコントラストを求める。図5(a)においては、コントラストを求めるAF領域を実線によって、コントラストを求めないAF領域を破線によって、それぞれ示している。CPU305bは、撮像光学系101を通過した被写体光がCCDイメージセンサー301のコントラストを求めるAF領域のうちコントラストのピーク値が最も高くなるAF領域の位置に合焦するようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させる(S104)。
【0040】
(2)AF領域重み付け
図5(b)は、AF領域に重み付けを行なう方法を説明する図である。黒丸は、評価値が最も高い位置を示している。この方法においては、評価値が最も高い位置を含むAF領域の重み付けを1.0とし、評価値が最も高い位置を含むAF領域から離れたAF領域は、重み付けを低くする。図5(b)においては、評価値が最も高い位置を含むAF領域に隣接するAF領域の重み付けを0.9とし、これらのAF領域の外側のAF領域の重み付けを0.7とし、さらに、これらのAF領域の外側のAF領域の重み付けを0.7とし、さらに、これらのAF領域の外側のAF領域の重み付けを0.5としている。CPU305bは、撮像光学系101を通過した被写体光がCCDイメージセンサー301の重み付け後のコントラストのピーク値が最も高くなるAF領域の位置に合焦するようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させる(S104)。
【0041】
CPU305bは、画像処理部305cの出力する評価値が第二の閾値よりも低い場合は(S103においてN)、評価値を考慮しない多点オートフォーカスを行なう(S105)。多点オートフォーカスを行なうことによって、全てのAF領域のコントラストのピーク値を得ることができる。そこで、CPU305bは、全てのAF領域のコントラストのピーク値の最大値を第三の閾値と比較する(S106)。
【0042】
CPU305bは、全てのAF領域のコントラストのピーク値の最大値が第三の閾値よりも高い場合は(S106においてY)、撮像光学系101を通過した被写体光がCCDイメージセンサー301のコントラストのピーク値が最も高くなるAF領域の位置に合焦するようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系101の光軸方向に移動させる(S104)。一方、CPU305bは、全てのAF領域のコントラストのピーク値の最大値が第三の閾値よりも小さい場合は(S106においてN)、撮像光学系101を通過した被写体光がCCDイメージセンサー301の中央のAF領域の位置に合焦するようにフォーカスレンズ101cを撮像光学系の光軸方向に移動させる(S107)。
【0043】
以上のように、本発明の撮像装置は、使用者がオートフォーカス動作の方法として顔検出オートフォーカスを選択している場合であっても、どの程度人物の顔らしいかを示す評価値が第一の閾値よりも低いときは、評価値が最も高い位置を重視した多点オートフォーカスを行なう。したがって、人物の顔が存在する可能性が一定程度見込まれるAF領域を重視した多点オートフォーカスを行なうから、使用者の意図した位置にピントを合わせることができる可能性を向上させることができる。
(その他の実施の形態)
実施の形態においては、顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法は選択されていないこととした。ここでは、各種操作ボタン106を操作することによって、顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法を選択した場合について説明する。本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ100においては、顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法として、多点オートフォーカスと一点オートフォーカスのいずれかを選択することができる。図4を再度参照して説明する。
【0044】
(1)多点オートフォーカスを選択した場合
使用者が顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法として多点オートフォーカスを選択した場合、S101におけるNの判断によってS103ではなくS105に分岐する。
【0045】
(2)一点オートフォーカスを選択した場合
使用者が顔検出オートフォーカスに失敗したときに行なうオートフォーカス動作の方法として一点オートフォーカスを選択した場合、S101におけるNの判断によってS103ではなくS107に分岐する。
【0046】
これによって、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときは、使用者が選択した方法に基づいてピントを合わせる位置を決定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、使用者が顔検出オートフォーカスを選択している場合であって、人物の顔を検出しないときであっても、適切なオートフォーカス動作をすることができるので、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ付携帯電話等の撮像装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
100 デジタルカメラ
101 撮像光学系
101a ズームレンズ
101b 絞り
101c フォーカスレンズ
102 フラッシュ
103 シャッターボタン
104 液晶モニター
105 モードダイヤル
106 各種操作ボタン
301 CCDイメージセンサー
302 AFE
303 バス
304 SDRAM
305 信号処理LSI
305a 前処理部
305b CPU
305c 画像処理部
305d 記憶部
306 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に進退可能なフォーカスレンズを含み被写体の光学画像を生成する光学系と、
前記光学画像を画像信号に変換する撮像素子と、
前記光学画像が前記撮像素子に合焦するように前記フォーカスレンズを進退させる合焦手段と、
前記画像信号に基づく画像において人物の顔の位置とどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する顔検出手段と、
前記画像信号に基づく画像を複数の領域に分割しそれぞれの領域についてコントラストを算出するコントラスト算出手段と、
前記評価値が第一の閾値よりも高い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記人物の顔の位置に合焦するように前記合焦手段を制御し、前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記評価値が最も高い位置を含む一部の隣接した前記領域のうち前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
光軸方向に進退可能なフォーカスレンズを含み被写体の光学画像を生成する光学系と、
前記光学画像を画像信号に変換する撮像素子と、
前記光学画像が前記撮像素子に合焦するように前記フォーカスレンズを進退させる合焦手段と、
前記画像信号に基づく画像において人物の顔の位置とどの程度人物の顔らしいかを示す評価値を出力する顔検出手段と、
前記画像信号に基づく画像を複数の領域に分割しそれぞれの領域についてコントラストを算出するコントラスト算出手段と、
前記評価値が第一の閾値よりも高い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記人物の顔の位置に合焦するように前記合焦手段を制御し、前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記評価値が最も高い位置を含む前記領域の重み付けを最も高くし複数の前記領域のうち重み付け後の前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記評価値が第二の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記複数の領域のうち前記コントラストのピーク値が最も高くなる領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記コントラストのピーク値の最大値が第三の閾値よりも低い場合は前記光学画像が前記撮像素子の前記領域のうち中央に存在する領域の位置に合焦するように前記合焦手段を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記光学画像を合焦させる前記撮像素子の位置を決定するための方法を選択する選択手段を、
さらに備え、
前記制御手段は、
前記評価値が前記第一の閾値よりも低い場合は前記選択手段によって選択された方法に基づいて前記光学画像を合焦させる前記撮像素子の位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−191617(P2011−191617A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59045(P2010−59045)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】