説明

撮像装置

【課題】輝度が高い場合に撮影者の瞳に入射する光束を制限しても被写体を容易に観察できるようにする。
【解決手段】撮影光学系Lの光路に進入した第1の位置と光路から退避した第2の位置とに移動可能なミラー21と、ミラーが第1の位置に移動した状態で、反射した光束が透過する光学系Oと、光学像をユーザーが視認可能な接眼部23と、ミラーが第2の位置に移動した状態で、撮影光学系を透過した光束による像を撮像する撮像部25と、撮像した画像を表示する表示部26と、被写体の輝度を測定する測光部27と、輝度が第1の所定値以上の場合に、接眼部を介して光学像として被写体を観察する第1状態から表示部に表示される画像として被写体を観察する第2状態に切り換え、その後、輝度が第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下になると第2状態から第1状態に切り換えるように制御する制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の輝度に応じて観察方法を変更する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影者の瞳に強い光が入射しないように、被写体輝度が高くなるにつれて撮影者の瞳に入射する光量を減ずるかまたは入射しないように制御するファインダー光量制御手段を備えたカメラが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−332040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカメラは、被写体輝度が高い場合に撮影者の瞳に入射する光束が制限され、被写体の観察が困難になるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、被写体輝度が高い場合に撮影者の瞳に入射する光束を制限しても被写体を容易に観察できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、撮影光学系(L)の光路に進入した第1の位置と前記光路から退避した第2の位置とに移動可能なミラー(21)と、前記ミラーが前記第1の位置に移動した状態において、前記ミラーにより反射した光束が透過する光学系(O)と、前記光学系を透過した光束による光学像をユーザーが視認可能な接眼部(23)と、前記ミラーが前記第2の位置に移動した状態において、前記撮影光学系を透過した光束による像を撮像する撮像部(25)と、前記撮像部25により撮像した画像を表示する表示部(26)と、被写体の輝度を測定する測光部(27)と、前記輝度が第1の所定値(P1)以上の場合に、前記接眼部を介して光学像として前記被写体を観察する第1状態から前記表示部に表示される画像として前記被写体を観察する第2状態に切り換え、前記第1状態から前記第2状態に切り換えた後、前記輝度が前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値(P2)以下になると前記第2状態から前記第1状態に切り換えるように制御する制御部(29)と、を有することを特徴とする撮像装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記接眼部を介してユーザーが視認する視野内に指標(R1、S2)を表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記表示部が配置された方向を示す矢印(R1)を前記視野内に表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記第2状態を示す文字列(S2)を前記視野内に表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に指標(R2、S1)を表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に前記接眼部が配置された方向を示す矢印(R2)を表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0012】
請求項7の発明は、請求項5に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に前記第1状態を示す文字列(S1)を表示するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0013】
なお、本発明を分かり易く説明するために一実施形態を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、実施形態に開示された構成の少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係るカメラの概略図であって、ミラーが観察位置に移動した状態を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るカメラの概略図であって、ミラーが撮影位置に移動した状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るカメラの制御系統を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る測光センサにより検出した被写体の輝度の経時変化の例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る接眼部を介してユーザーに視認される視野を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るモニタの概略図である。
【図7】第1実施形態に係るカメラの観察状態の切換動作を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係るカメラのOVFモードからEVFモードへの切り換え動作を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係るカメラのEVFモードからOVFモードへの切り換え動作を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係るカメラの概略図であって、ミラーが観察位置に移動した状態を示す図である。
【図11】第2実施形態に係るカメラの概略図であって、ミラーが撮影位置に移動した状態を示す図である。
【図12】第2実施形態に係るカメラの制御系統を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態に係る接眼部を介してユーザーに視認される視野を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る観察状態の切換動作を示すフローチャートである。
【図15】第2実施形態に係るカメラのOVFモードからEVFモードへの切り換え動作を示すフローチャートである。
【図16】第1実施形態に係るカメラのEVFモードからOVFモードへの切り換え動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係るカメラの概略的な構成を示す図である。このカメラは、一眼レフレックスタイプのカメラであって、レンズ鏡筒10とカメラボディ20とから構成されている。
【0016】
レンズ鏡筒10に設けられた撮影光学系Lを透過した被写体からの光束は、カメラボディ20に入射した後、カメラボディ20に設けられたミラー21により後述のファインダ光学系Oと焦点検出装置22に導かれる。そして、ファインダ光学系Oを透過した光束による被写体の光学像がカメラボディ20に設けられた接眼部23を介してユーザーに視認される。
【0017】
また、図2に示すように、ミラー21は、撮影光学系Lを透過した光束から退避する位置に移動可能となっている。この状態において、撮影光学系Lを透過した光束は、カメラボディ20に設けられた撮像部25に入射し、撮像部25の撮像面上に被写体の光学像を形成する。そして、撮像部25により撮像された被写体の画像がカメラボディ20の背面に設けられたモニタ26に表示される。
【0018】
まず、レンズ鏡筒10の構成ついて説明する。
【0019】
レンズ鏡筒10は、レンズマウント11によりカメラボディ20のボディマウント24に着脱可能に装着されている。レンズマウント11とボディマウント24には、不図示の電気接点が設けられており、この電気接点を介してレンズ鏡筒10とカメラボディ20とが通信可能となっている。
【0020】
レンズ鏡筒10には、ズームレンズL1とフォーカスレンズL2とを有する撮影光学系Lと、撮影光学系Lを透過した光束の光量を調節する絞り12とが設けられている。なお、撮影光学系Lは実際には複数のレンズで構成されるが、本実施形態では模式的に2枚のレンズのみを示している。
【0021】
ズームレンズL1は、レンズ鏡筒10の外周に設けられた不図示のズーム環をユーザーが操作することにより撮影光学系Lの光軸方向に移動可能となっている。これにより、撮影光学系Lの焦点距離が調節される。ズームレンズL1の光軸方向の位置情報は、レンズ鏡筒10に設けられたズームエンコーダ13によって検出され、検出結果がレンズ鏡筒10に設けられたレンズCPU14に入力される。
【0022】
フォーカスレンズL2は、撮影光学系Lの光軸方向に移動可能となっており、レンズ鏡筒10に設けられたレンズモータ15により駆動される。これにより、撮影光学系Lの焦点位置が調節される。
【0023】
絞り12は、駆動可能な複数の絞り羽根により開口を形成している。この絞り羽根をレンズ鏡筒10に設けられた絞り駆動部16により駆動して開口の大きさを変化させることで、撮影光学系Lを透過する光束の光量を調節することができる。
【0024】
次に、カメラボディ20の構成について説明する。
【0025】
ミラー21は、メインミラー21aとこのメインミラー21aに軸支されたサブミラー21bとで構成されている。メインミラー21aは、カメラボディ20に設けられた不図示のミラーボックスに軸支されており、撮影光学系Lを透過した光束に進入した位置(図1参照、以下、観察位置と称す)と、撮影光学系Lを透過した光束から退避した位置(図2参照、以下、撮影位置と称す)とに移動可能となっている。
【0026】
ミラー21が、図1に示す観察位置に移動(ミラーダウン)した状態において、撮影光学系Lを透過した光束は、メインミラー21aで反射してファインダ光学系Oに導かれるとともに、メインミラー21aの中央部に設けられたハーフミラーを透過する。そして、ハーフミラーを透過した光束は、サブミラー21bで反射して焦点検出装置22に入射する。
【0027】
ファインダ光学系Oは、撮像部25の撮像面と光学的に等価な位置に配置された焦点板O1と、焦点板O1を透過した光束を集光するコンデンサレンズO2と、コンデンサレンズO2を透過した光束を後述の接眼レンズO4に導くペンタプリズムO3と、ペンタプリズムO3を透過した光束を接眼部23に導く接眼レンズO4とを有している。
【0028】
ファインダ光学系Oに入射した光束は、焦点板O1上に一旦結像した後、コンデンサレンズO2、ペンタプリズムO3、接眼レンズO4を透過して接眼部23に導かれ、ユーザーの眼に入射する。これにより、ユーザーは、接眼部23を介して被写体の光学像を観察することができる。
【0029】
また、ペンタプリズムO3の近傍には、被写体の輝度を測定する測光センサ27と、接眼部23を介してユーザーに視認される視野内に指標を表示する指標部28とが設けられている。
【0030】
測光センサ27は、光電変換素子が二次元配列された受光面を有しており、この受光面にペンタプリズムO3に入射した光束の一部が入射することで被写体の輝度が測定される。
【0031】
指標部28は、焦点板O1に照明光を照射することで、接眼部23を介してユーザーに視認される視野内に各種の指標を表示する。この指標としては、焦点検出を行う領域(フォーカスエリア)や、後述の観察状態の切換表示等である。
【0032】
焦点検出装置22は、撮像部25と光学的に等価な位置に配置されている。また、焦点検出装置22は、複数の光電変換素子がライン状に配列されたラインセンサ(不図示)を有しており、これにより撮影光学系Lを透過した光束を受光して位相差検出方式により撮影光学系Lの焦点調節状態を検出する。
【0033】
撮像部25は、複数の光電変換素子が二次元配列して撮像面を形成する受光素子と、この受光素子の信号に基づいて画像データを生成する画像生成部とを備えている。
【0034】
撮影光学系Lを透過した光束が撮像部25に入射すると、受光素子の撮像面上に形成された被写体の光学像が受光素子により光電変換されて電気信号が生成される。そして、この電気信号に基づいて画像生成部により被写体の画像データが生成される。
【0035】
モニタ26は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等で構成されており、撮像部25により撮像した被写体の画像を表示する。
【0036】
図3は、本実施形態の制御系統を示すブロック図である。
【0037】
カメラボディ20とレンズ鏡筒10は、電気接点E1、E2を介して通信可能となっている。
【0038】
カメラボディ20は、カメラボディ20の動作を統括的に制御するボディCPU29を有している。そして、ボディCPU29には、ミラー21を観察位置と撮影位置とに駆動するミラー駆動部30、焦点検出装置22、撮像部25、モニタ26、測光センサ27、指標部28、ユーザーが操作可能な設定スイッチ31等が接続されている。
【0039】
ボディCPU29は、測光センサ27または撮像部25により測定した被写体の輝度に応じて、ファインダ光学系を介して被写体の光学像を観察するOVF(Optical View Finder)モードと、撮像部25により撮像した被写体の電子画像を観察するEVF(Electrical View Finder)モードとに観察状態を切り換えるように制御を行う。
【0040】
ここで、図4を参照してボディCPU29による被写体の輝度に応じた観察状態の切り換え制御について説明する。
【0041】
図4は、測光センサ27により検出した被写体の輝度の経時変化の例を示した図である。図4の縦軸は被写体の輝度を示し、横軸は時間を示す。
【0042】
図4の時間T1に示すように、被写体の輝度が第1の所定値P1以上になると、ボディCPUはミラー21をミラーアップさせて観察状態をOVFモードからEVFモードに切り換えるように制御する。その後、図4の時間T2に示すように、被写体の輝度が第1の所定値P1よりも小さい第2の所定値P2以下になると、ボディCPUはミラー21をミラーダウンさせて観察状態をEVFモードからOVFモードに切り換えるように制御する。
【0043】
このように、被写体の輝度が第1の所定値P1を超えるような高輝度時には、EVFモードにより被写体を観察するように制御するので、被写体が発する高輝度な光によってユーザーの眼を傷めるのを防止することができる。
【0044】
第1の所定値P1と第2の所定値P2の値は、ユーザーが設定スイッチ31を操作することにより変更可能となっている。第1の所定値P1を増減させることで、OVFモードからEVFモードに切り換える感度を調節することができる。また、第2の所定値P2を増減させることでEVFモードからOVFモードに切り換える感度を調節することができる。また、第1の所定値P1と第2の所定値P2との差(ヒステリシス)を大きくすることで、輝度のゆらぎによって観察状態が頻繁に切り換わるのを防止することができる。
【0045】
ボディCPU29は、観察状態がOVFモードからEVFモードに変更されると、接眼部23を介してユーザーに視認される視野内に観察状態がEVFモードに変更されたことを示す指標を指標部28により表示する。
【0046】
図5は、接眼部23を介してユーザーに視認される視野を示す図である。
【0047】
図5(a)に示すように、観察状態がOVFモードの状態では、ファインダ光学系Oを透過した光束による像を接眼部23を介して視認することができる。一方、観察状態がOVFモードからEVFモードに変更されると、図5(b)に示すように、視野から被写体像が消失するとともに、下向きの矢印(以下、指標R1という)が表示される。この指標R1は、観察状態がEVFモードに変更されたことによって撮像部25により撮像した被写体の画像が接眼部23の下方に設けられたモニタ26に表示されていることを示すものである。この指標R1により、ユーザーは、観察状態がEVFモードに切り換わったことを視覚的に認識することができ、ファインダの視野がブラックアウトしたことに戸惑うことなくスムーズにEVFモードによる被写体の観察に移行することができる。
【0048】
図6は、カメラボディ20の背面に設けられたモニタ26の概略図である。
【0049】
図6(a)に示すように、観察状態がEVFモードの状態では、撮像部25により撮像した被写体の画像がモニタ26に表示される。観察状態がEVFモードからOVFモードに変更されると、図6(b)に示すように、モニタ26の画面から被写体の画像が消失し、画面に上向きの矢印(以下、指標R2という)が表示される。この指標R2は、観察状態がEVFモードに変更されたことによって撮像部25により撮像した被写体画像がモニタ26の上方に設けられた接眼部23に表示されていることを示すものである。また、「OVFモードに切り換わりました。」というメッセージ(文字列)も指標R2とともに表示される。これらの指標により、ユーザーは、観察状態がOVFモードに切り換わったことを視覚的に認識することができ、モニタ26の画面がブラックアウトしたことに戸惑うことなくスムーズにOVFモードによる被写体の観察に移行することができる。
【0050】
次に、第1実施形態に係るカメラの観察状態の切換動作について図7を参照して説明する。この観察状態の切換動作は、カメラボディ20の電源がオンにされるとスタートする。
【0051】
ステップS101において、ボディCPU29は、現在の観察状態がOVFモードか否かを判定する。現在の観察状態がOVFモードでないと判定された場合、すなわち、EVFモードの場合には、ステップS104に進む。一方、現在の観察状態がOVFモードと判定された場合には、ステップS102に進む。
【0052】
ステップS102において、ボディCPU29は、測光センサ27により測定した被写体の輝度が第1の所定値P1以上か否かを判定する。被写体の輝度が第1の所定値P1以上でないと判定された場合には、ステップS106に進む。一方、被写体の輝度が第1の所定値P1以上と判定された場合には、ステップS103に進む。
【0053】
ステップS103において、ボディCPU29は、観察状態をOVFモードからEVFモードに切り換える。
【0054】
ここで、OVFモードからEVFモードへの切り換え動作について図8を参照して説明する。
【0055】
ステップS201において、ボディCPU29はミラー駆動部30を制御してミラー21を撮影位置に移動(ミラーアップ)する。
【0056】
ステップS202において、ボディCPU29は、モニタ26に表示された指標R2(上向き矢印)及び「OVFモードに切り換わりました。」というメッセージをオフにする。
【0057】
ステップS203において、ボディCPU29は、撮像部25により撮像した被写体の画像をスルー画像としてモニタ26に表示する。
【0058】
ステップS204において、ボディCPU29は、指標部28を制御して指標R1(下向き矢印)をファインダ光学系の視野内に表示する。
【0059】
図7に戻って、ステップS104において、ボディCPU29は、撮像部25により検出した被写体の輝度が第2の所定値P2以下か否かを判定する。被写体の輝度が第2の所定値P2以下でないと判定された場合には、EVFモードを維持するとともに、再度、被写体の輝度を検出する。一方、被写体の輝度が第2の所定値P2以下と判定された場合には、ステップS105に進む。
【0060】
ステップS105において、ボディCPU29は、観察状態をEVFモードからOVFモードに切り換える。
【0061】
ここで、EVFモードからOVFモードへの切り換え動作について図9を参照して説明する。
【0062】
ステップS301において、ボディCPU29は、ミラー駆動部30を制御してミラー21を撮影位置から観察位置に移動(ミラーダウン)する。
【0063】
ステップS302において、ボディCPU29は、指標部28によりファインダ光学系Oの視野内に表示された指標R1(下向き矢印)をオフにする。
【0064】
ステップS303において、ボディCPU29は、モニタ26に表示された被写体のスルー画像をオフにする。
【0065】
ステップS304において、ボディCPU29は、指標R2(上向き矢印)及び「OVFモードに切り換わりました。」というメッセージをモニタ26に表示する。
【0066】
図7に戻って、ステップS106において、ボディCPU29は、電源オフの指示があるか否かを判定する。電源オフの指示が無いと判定された場合には、ステップS102に戻る。一方、電源オフの指示があると判定された場合には、観察状態の切換動作の制御を終了する。
【0067】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明で参照する図において、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0068】
第1実施形態では、EVFモード時に、カメラボディ20の背面に設けられたモニタ26に被写体画像を表示するようにしていたが、第2実施形態は、EVFモード時に、ファインダ内に設けたサブモニタ32に被写体画像を表示するものである。
【0069】
図10は、第2実施形態に係るカメラの概略的な構成を示す図であって、観察状態がOVFモードの状態を示す図である。
【0070】
カメラボディ20は、ファインダ光学系OのペンタプリズムO3を挟んで接眼部23と対向する位置に、撮像部25により撮像した画像を表示するサブモニタ32を備えている。また、ペンタプリズムO3のサブモニタ32と対向する面は光束の一部を透過するミラーで構成されている。
【0071】
図11に示すように、ミラー21が観察位置から撮影位置に移動した状態において、撮影光学系Lを透過した光束による像は撮像部25により撮像される。また、観察状態がEVFモードの場合には、撮像部25により撮像した被写体の画像がサブモニタ32に表示される。サブモニタ32に表示された画像は、ペンタプリズムO3、接眼レンズO4および接眼部23を介してユーザーに視認される。
【0072】
図12は、第2実施形態に係るカメラの制御系統を示すブロック図である。
【0073】
カメラボディ20のボディCPU29には、サブモニタ32が接続されている。ボディCPU29は、観察状態がEVFモードの状態において、撮像部25により撮像した画像をサブモニタ32に表示するように制御を行う。
【0074】
図13は、接眼部23を介してユーザーに視認される視野を示す図である。
【0075】
観察状態がOVFモードの状態では、図13(a)に示すように、被写体の光学像が視野内に提示され、観察状態がOVFモードであることを示す指標S1が指標部28により表示される。
【0076】
一方、観察状態がEVFモードの状態では、図13(b)に示すように、サブモニタ32に表示された被写体の電子画像が視野内に提示され、観察状態がEVFモードであることを示す指標S2が指標部28により表示される。
【0077】
このように、観察状態に応じてファインダ光学系の視野内に表示する指標を変更するようにしたので、ユーザーは観察状態を適確に知覚することができる。
【0078】
次に、第2実施形態に係るカメラの観察状態の切り替え動作について図14を参照して説明する。
【0079】
ステップS401において、ボディCPU29は、現在の観察状態がOVFモードか否かを判定する。現在の観察状態がOVFモードでないと判定された場合、すなわち、EVFモードの場合には、ステップS404に進む。一方、現在の観察状態がOVFモードと判定された場合には、ステップS402に進む。
【0080】
ステップS402において、ボディCPU29は、測光センサ27により測定した被写体の輝度が第1の所定値P1以上か否かを判定する。被写体の輝度が第1の所定値P1以上でないと判定された場合には、ステップS406に進む。一方、被写体の輝度が第1の所定値P1以上と判定された場合には、ステップS403に進む。
【0081】
ステップS403において、ボディCPU29は、観察状態をOVFモードからEVFモードに切り換える。
【0082】
ここで、OVFモードからEVFモードへの切り換え動作について図15を参照して説明する。
【0083】
ステップS501において、ボディCPU29はミラー駆動部30を制御してミラー21を撮影位置に移動(ミラーアップ)する。
【0084】
ステップS502において、ボディCPU29は、ファインダ光学系Oの視野内に表示された指標S1をオフにする。
【0085】
ステップS503において、ボディCPU29は、撮像部25により撮像した被写体の画像をスルー画像としてサブモニタ32に表示する。
【0086】
ステップS504において、ボディCPU29は、指標部28により指標S2をファインダ光学系の視野内に表示する。
【0087】
図14に戻って、ステップS404において、ボディCPU29は、撮像部25により検出した被写体の輝度が第2の所定値P2以下か否かを判定する。被写体の輝度が第2の所定値P2以下でないと判定された場合には、EVFモードを維持するとともに、再度、被写体の輝度を検出する。一方、被写体の輝度が第2の所定値P2以下と判定された場合には、ステップS405に進む。
【0088】
ステップS405において、ボディCPU29は、観察状態をEVFモードからOVFモードに切り換える。
【0089】
ここで、EVFモードからOVFモードへの切り換え動作について図16を参照して説明する。
【0090】
ステップS601において、ボディCPU29は、ミラー駆動部30を制御してミラー21を撮影位置から観察位置に移動(ミラーダウン)する。
【0091】
ステップS602において、ボディCPU29は、指標部28によりファインダ光学系Oの視野内に表示された指標S2をオフにする。
【0092】
ステップS603において、ボディCPU29は、サブモニタ32に表示された被写体のスルー画像をオフにする。
【0093】
ステップS604において、ボディCPU29は、指標部28によりファインダ光学系Oの視野内に指標S1を表示する。
【0094】
図14に戻って、ステップS406において、ボディCPU29は、電源オフの指示があるか否かを判定する。電源オフの指示が無いと判定された場合には、ステップS402に戻る。一方、電源オフの指示があると判定された場合には、観察状態の切換動作の制御を終了する。
【0095】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく種々の変形や変更が可能である。以下、例を示す。
【0096】
(1)第1及び第2実施形態において、ペンタプリズムO3の近傍に設けられた測光センサ27により被写体の輝度を測定する例を説明したが、これに限定されることなく、他の方法により被写体の輝度を測定するようにしてもよい。例えば、カメラボディ20の外部に測光センサを設け、この測光センサにより被写体の輝度を測定するようにしてもよい。
【0097】
(2)第1及び第2実施形態において、ファインダの視野内またはモニタ26に指標を表示することによってユーザーに観察状態が変更されたことを視覚的に知覚させる例を説明したが、音声によってユーザーに知覚させるようにしてもよい。例えば、カメラボディ20にスピーカーを設け、このスピーカーから発する電子音または音声により観察状態の変更を報知するようにしてもよい。
【0098】
(3)第1及び第2実施形態において、被写体の輝度に応じて観察状態を切り換える例を説明したが、特定の波長の輝度に応じて観察状態を切り換えるようにしてもよい。例えば、被写体の紫外線量を検出する紫外線センサをカメラボディ20に設け、この紫外線センサの検出結果に応じて観察状態を切り換えるようにしてもよい。
【0099】
(4)第1及び第2実施形態において、レンズ交換式の一眼レフレックスカメラを例に説明したが、レンズ一体型のカメラであってもよい。
【0100】
(5)第2実施形態において、指標部28によりファインダ光学系Oの視野内に指標を表示する例を説明したが、サブモニタ32に指標となる画像や文字列等を表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
L 撮影光学系
10 レンズ鏡筒
20 カメラボディ
21 ミラー
23 接眼部
25 撮像部
26 モニタ
27 測光センサ
28 指標部
29 ボディCPU
32 サブモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系の光路に進入した第1の位置と前記光路から退避した第2の位置とに移動可能なミラーと、
前記ミラーが前記第1の位置に移動した状態において、前記ミラーにより反射した光束が透過する光学系と、
前記光学系を透過した光束による光学像をユーザーが視認可能な接眼部と、
前記ミラーが前記第2の位置に移動した状態において、前記撮影光学系を透過した光束による像を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像した画像を表示する表示部と、
被写体の輝度を測定する測光部と、
前記輝度が第1の所定値以上の場合に、前記接眼部を介して光学像として前記被写体を観察する第1状態から前記表示部に表示される画像として前記被写体を観察する第2状態に切り換え、前記第1状態から前記第2状態に切り換えた後、前記輝度が前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値以下になると前記第2状態から前記第1状態に切り換えるように制御する制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記接眼部を介してユーザーが視認する視野内に指標を表示するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記表示部が配置された方向を示す矢印を前記視野内に表示するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第1状態から前記第2状態に切り換わるのに伴って前記第2状態を示す文字列を前記視野内に表示するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に指標を表示するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に前記接眼部が配置された方向を示す矢印を表示するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記第2状態から前記第1状態に切り換わるのに伴って前記表示部に前記第1状態を示す文字列を表示するように制御することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−223469(P2011−223469A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92547(P2010−92547)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】