説明

撮像装置

【課題】
非線形撮像素子を用いた撮像装置の場合、極端に暗いところから明るいところまで、広範囲にわたって撮像が可能である反面、線形な特性の撮像素子を用いた場合に比べて、コントラストや色づきが悪くなり、実時間でモニタするような場合には不利でもある。
【解決手段】
たとえば録画目的の場合と、モニタで実時間で目で確認する場合とで、非線形な撮像素子へ入射される光量を切り換えて、それぞれに適した画像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。例えば、非線形の光電変換特性を持つ広ダイナミックレンジを使用した撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開平5−30350号公報(特許文献1)がある。該公報には、「[目的]受光量に対してその出力電圧が自然対数的に変化する特性を有する固体撮像素子を備えた固体撮像装置において、各画素間の感度の不均一性を簡単に補正する。[構成]均一光照射時の各画素毎の撮像データをメモリー(MEM)に記憶する。補正演算回路(COR)は、実際の撮像時における各画素毎の撮像データからメモリー(MEM)に記憶された均一光照射時の撮像データを減算することにより、各画素間の感度の不均一性を補正する。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−30350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、撮像素子において、入射光量に対して非線形(たとえば対数特性)な光電変換特性をもつ撮像素子を利用したカメラの開発が行われてきている。このような特性を持った撮像素子は、その光電変換特性が対数の特性であることから、暗いと極端に明るいところがあるシーンを撮影しても、その光電変換特性から、明るいところは白飛びせず、また暗いところも完全には黒つぶれせずに、撮影を行うことができるところに特徴がある。
【0005】
受光量に対してその出力電圧が自然対数的に変化する特性を有する固体撮像素子を備えた固体撮像装置において、各画素間の感度の不均一性を簡単に補正する方法が述べられている。
【0006】
しかしながら、非線形な対数特性を持つセンサは、入射光量に対して出力の階調度が、非線形センサに対して小さくなるため、最終的に得られる映像信号をモニタなどで映し出した画像としては、メリハリのない、色のぼけた感じの画像になるという点は否めない。
【0007】
本発明は、非線形な特性の撮像素子を用いた撮像装置においても、メリハリのある、きれいな色を再現できる画像を得ることにある
【課題を解決するための手段】
【0008】
本課題は、特許請求の範囲に示した構成の撮像装置にて達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メリハリのある、きれいな色を再現できる画像を得ることができる。たとえばテレビやモニタなどで、実時間で映像を見る場合はできるだけメリハリのある画像を得ることができ、たとえば車載レコーダなどで常時記録をしておき、あとで画像解析などさまざまな処理を行えるような、記録の用途にはできるだけ非線形撮像素子の広ダイナミックレンジな特性を生かせるように画像を処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の撮像装置の全体ブロック図である。
【図2】撮像素子の光電変換特性と、それに応じた入射光量の制御を説明した図である。
【図3】本発明にかかる撮像装置を、車載レコーダとモニタなどに応用した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、101は絞り106を含むレンズ、102は入射光量に対して出力が対数特性をもつ撮像素子であり、露光時間を可変にできるいわゆる電子シャッタ機能を持っているものである。103は可変ゲインアンプ、104は映像信号処理回路、105は制御手段である。同図において、レンズ101にて集光された光は撮像素子102によって電気信号に変換され、さらに可変ゲインアンプ103にて所定量増幅され、映像信号処理回路104にて輝度レベルが抽出されるとともに、輝度信号(コントラスト調整など)、および色信号処理がなされ、映像信号に変換され出力される。制御手段105は映像信号処理回路104にて抽出された輝度信号レベルが所定のレベルになるようにレンズ101内の絞り106と、撮像素子102の電子シャッタと、可変ゲインアンプ103を制御する。輝度信号レベルの収束点は、制御手段に入力される切換え信号(複数段階)に応じて換えることができる。なお、可変ゲインアンプ103と、それにかかわる制御はなくてもよい。
【0013】
図2は、縦軸に入射光量、横軸に撮像素子出力をとり、撮像素子102(図1)の光電変換特性を示したもので、対数特性を示している。通常、広ダイナミックな光電変換特性をフルに利用する場合、入射光量は図2のBのところまで使用するのがよい。特に車載用のドライブレコーダなどの録画用途に用いる場合、撮像素子の広ダイナミックレンジの特性のところまでフルに入射光量をとって信号処理を行い、それを録画すれば、あとで録画された画像では、逆行状態(たとえばトンネルの入口や出口付近)のシーンにおいて、暗い部分なども黒つぶれせずに、明るいところも白飛びせずに、(たとえば対向車のナンバープレートなどの番号など)シーンを確認できる。さらに再生時に信号処理を行い、注目したい部分の輝度の階調などを上げることもでき、さらに移っているシーンの見たい情報を明確化することもできる。
【0014】
しかしながら、モニタ上に、現在映している映像を映し出して人間が目で確認する場合には、光電変換特性が線形な特性のセンサに比べて階調が圧縮されているため、見た目のコントラストが弱く、色もぼけた感じに見える。このため、モニタに実時間で映して人間が見る用途の場合は、図2のAのに示した範囲の入射光量までにとどめるようにして、光電変換特性の傾きが立っている部分を撮像素子出力を使って、信号処理で階調度を上げるように処理を行うことで、コントラストや色が見た目に近い画像を得ることができる。
【0015】
図3は、本発明にかかる撮像装置を車載レコーダとモニタへ映す用途へ適用した場合の構成図である。同図において、301は図1に示した撮像装置である。302は車の走行中の撮像装置の画像を録画するドライブレコーダ、303は撮像装置301の撮像した画像を映すモニタである。撮像装置に対するk切換え入力は、たとえば車のドライバが任意で切り替えられるスイッチにつながっていてもよいし、撮像装置がバックモニタ用途なら、たとえばバックギヤと連動して切換え入力が切換わる構成とすれば、通常はドライブレコーダで車後方のシーンを録画に使用し、バックの際には車のドライバがモニタで確認できる画像が、コントラスト、色つきなどがよくなる、という利点がある
【産業上の利用可能性】
【0016】
例えば、複数台のカメラを同時扱う監視カメラなどに利用できる。
【符号の説明】
【0017】
101 レンズ
102 撮像素子
103 可変ゲインアンプ
104 映像信号処理回路
105 制御手段
106 絞り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非線形な光電変換特性を持つ撮像素子と、
該撮像素子出力のレベルを可変とするための撮像素子出力調整手段と、
該撮像素子の出力を映像信号に変換処理する映像信号処理手段と、
該映像信号が所定の輝度になるように前記映像信号処理手段を制御する制御手段と、
を具備し、
前記制御手段は、映像信号の用途に応じて、前記撮像素子出力の所定のレベルになるように、前記撮像素子出力調整手段を制御すること
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−234143(P2011−234143A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102825(P2010−102825)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】