説明

撮像装置

【課題】燃料電池装置を電源とする撮像装置において、機器の性能を損なわないように温度管理可能とする。
【解決手段】燃料電池装置202を電源とするデジタルビデオにおいて、レンズユニット206近傍の温度を検知する温度センサ316と、温度センサ316の出力に基づいて燃料電池装置202の動作を制御するシステムコントローラ306とを備え、例えばレンズユニット206の温度が判定基準温度を超えていた場合、リチウムイオン二次電池204の残量が基準残量以上あれば、システムコントローラ306は制御弁310を閉じ、燃料電池312への燃料供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置を電源とするビデオカメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の電子機器においては、充電可能な二次電池が電源として一般的に使用されている。これら二次電池には、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、鉛蓄電池等がある。多くの場合、二次電池を備えた電子機器では、電池駆動時にバッテリ残量が少なくなると、表示手段を介して減電表示が行われ、さらにある一定レベル以下になると自動的に電源が切断されるように構成されている。
【0003】
一方、近年、ビデオカメラ等の電子機器の電源として燃料電池が提案されている。燃料電池とは、水素を燃料として電気化学反応により発電させて電力を取り出すものである。燃料電池には、使用される電解質や燃料の違いによりいくつかのタイプがあり、中でも固体高分子型燃料電池がビデオカメラ等の電子機器の電源用として注目されている。
【0004】
固体高分子型燃料電池は、高分子電解質膜を電解質としており、作動温度が常温〜90度と他の方式の燃料電池に比べ低いことを特徴としている。このため、動作可能となる装置温度に達するのが早く、従って起動に必要な時間が短いので、頻繁に運転/停止の操作
が行われる用途に適している。また、電解質が薄膜で出来ているので電気抵抗が小さく、発生した電気のロスが少なくて済むことから、単位体積あたりの発電量を大きくすることができ、ひいては装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【0005】
また、燃料の小型化かつ軽量化が求められるモバイル型電子機器においては、燃料として大型の水素タンクや重い水素吸蔵合金の利用は困難であるため、水素を直接に燃料として用いるのではなく、液体であるメタノールを用いる方式が主流と考えられている。メタノールを用いる場合に、メタノールを燃料電池に直接供給するダイレクトメタノール方式と、メタノールから改質器を介して作り出した水素を取り出して燃料電池に供給するメタノール改質方式との2通りが提案されている。
【0006】
以下の文献には、前述したように、燃料電池には適切に動作する作動温度帯があり、該温度帯に燃料電池の温度を維持する制御手段を備えたモバイル型の電子機器が開示されている(特許文献1)。また、燃料電池と二次電池を併用している電子機器において、二次電池の残量等を表示する手段を有し、燃料電池からの充電の必要性を使用者に知らしめ、使用感を向上させた技術が開示されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−87170号公報
【特許文献2】特開2003−303609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、電子機器の電源用として期待されている燃料電池ではあるが、発電に際して発熱があるため注意が必要となる。
【0009】
特に、昨今では、電子機器の高集積化によりLSI等の素子の発熱量が増大し、機器内の温度が高くなる傾向がある。これに燃料電池が新たな熱源として加わることで、電子機器内の温度が上昇し、機器の機能に悪影響を及ぼす可能性が考えられる。
【0010】
例えば、CCDを撮像素子として備えた撮像装置を例にとると、CCDは、温度がある一定レベルを超えた場合、素子自体の持つ特性により画素の欠陥が発生する場合がある。これは見た目には白く発光したように見え、白傷と呼ばれ、画面表示上の品質欠陥となる。
【0011】
また、電子機器内に搭載されるLSI等の演算素子においても、それぞれ熱耐性があり、機器内の温度が過度に上昇した場合に機能不良が発生することがある。
【0012】
また、記録再生手段に磁気テープが使用されている場合、テープ材質、テープ上の磁気粉のつけ方により温度特性が生じ、高温雰囲気ではテープに傷がつきやすくなる等の劣化が発生することがある。
【0013】
なにより、使用者が手に持って使用するモバイル機器においては、使用中の過度の発熱は使用者に不快感を与え、使用感を著しく損なってしまう。
【0014】
以上述べたように機器内の温度の上昇による不都合がある一方で、燃料電池は温度が高いと反応が進んで性能が向上する側面があることから、電子機器向けとする場合には温度管理が非常に重要になる。
【0015】
本発明ではかかる実情に鑑み、燃料電池装置を電源とする撮像装置において、機器の性能を損なわないように温度管理可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による撮像装置は、レンズ光学系と、前記レンズ光学系を保持する保持部材とを備え、燃料電池装置を電源とする撮像装置であって、前記レンズ光学系、その近傍、前記保持部材及びその近傍のうちの少なくともいずれかの温度を検知する温度検知手段と、前記燃料電池装置が発電した電力を貯蔵する電力貯蔵手段と、前記電力貯蔵手段の貯蔵残量を検知する電力残量検知手段と、前記温度検知手段及び前記電力残量検知手段の出力に基づいて前記燃料電池装置の動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃料電池装置を電源とする撮像装置において、燃料電池装置以外の部位の温度を検知し、それに基づいて燃料電池装置の動作を制御するようにしたので、該燃料電池装置の発熱により撮像装置の性能を損なうことなく、正常に動作させるように温度管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの外観図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの内部構造を示す透視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るビデオカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るビデオカメラのカメラ部の外観図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るビデオカメラのカメラ部の構造を表す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るビデオカメラの動作について説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係るビデオカメラでの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づき、本発明による実施の形態の一例としてビデオカメラを説明する。
図1は本発明の実施の形態に係るビデオカメラ101の外観図であり、図1(A)は前方からの斜視図であり、図1(B)は後方からの斜視図である。また、図2はビデオカメラ101の内部構成を示す透視図である。また、図3はビデオカメラ101のシステム構成を示すブロック図である。
【0020】
図1において、102はレンズ光学系である。103はビデオカメラ101の本体に開閉可能に連結されたLCDモニタであり、信号処理回路302から出力される動画像や静止画像、又は、磁気テープに記録され、記録/再生回路304で再生される動画像や静止画像を表示する。また、LCDモニタ103はそれと同時に、システムコントローラ306から指示されたビデオカメラ101の各種情報を基にキャラクタジェネレータ307で生成される文字やアイコンを前記映像の上にオンスクリーンディスプレイとして表示する。
【0021】
104は操作スイッチであり、使用者が操作することでビデオカメラ101のモード(例えば記録モードや再生モード)をシステムコントローラ306へ知らせ、システムコントローラ306はこれに従いビデオカメラ101の各部を制御する。105は動画記録モード又は静止画記録モードのいずれかを選択するモード選択スイッチである。106は動画記録の開始を指示するトリガーボタンである。107は静止画記録の開始を指示するためのレリーズボタンである。108は使用者が把持するための把持部である。
【0022】
図2において、201は主基板である。202は燃料電池装置である。203は燃料カートリッジであり、ビデオカメラ101の本体に着脱可能に取り付けられている。使用者は、燃料カートリッジ203を交換することによって燃料補給を行うことができる。204はリチウムイオン二次電池であり、本発明でいう電力貯蔵手段に相当する。206はレンズ光学系102を含むレンズユニットである。
【0023】
図3において、301は映像を電気信号に変換する撮像素子たるCCDである。レンズ光学系102を含むレンズユニット206を介してCCD301の撮像面上に結像された被写体像は、CCD301により光電変換され撮像信号として出力される。本実施形態では、レンズ光学系102からCCD301を経て撮像信号が出力されるまでのブロックをカメラ部10とする。
【0024】
302はカメラ部10から出力された撮像信号をビデオ信号に変換処理する信号処理回路である。303は記録処理回路であり、信号処理回路302から出力されたビデオ信号は、NTSC等のエンコーダ(非表示)を経て、記録処理回路303によって磁気テープに記録するための記録信号に変換される。304は記録信号を磁気テープに記録可能、又は、磁気テープに記録された映像信号を読み取ってLCDモニタ103で再生可能な信号に変換する記録/再生回路である。また、記録/再生回路304で変換された信号は外部の表示装置でも再生可能である。305は記録装置であり、本実施の形態では磁気テープに記録信号を磁気記録する。306はシステムコントローラであり、ビデオカメラ101の各部の動作を制御する。307はビデオカメラ101の各種情報を基に文字やアイコンを生成するキャラクタジェネレータである。308はビデオカメラ101の情報をあらかじめ記憶しておくための不揮発メモリである。これらの回路等は主基板201上に実装されている。
【0025】
315はCCD301の温度情報を取得するための温度センサ、316はレンズユニット206の温度情報を取得するための温度センサである。
【0026】
本実施の形態において、燃料電池装置202は、ポンプ309、制御弁310、改質器311、燃料電池312、燃料検出装置313から構成される。燃料カートリッジ203は、メタノール、ガソリン、LPガス又は天然ガス等に代表される燃料を格納する燃料容器で、燃料がポンプ309によって制御弁310を通して改質器311に送られ、改質器311においてメタノールの水蒸気改質反応によって改質水素等の燃料ガスが生成される。この際、改質器311はシステムコントローラ306の指示で制御される。改質器311で改質された改質水素を含む燃料ガスは、燃料電池312へ送られ、雰囲気中の酸素と結合することで発電し、同時に水を排出する。また、改質器311から燃料電池312までの燃料流路に設けられた燃料検出装置313は、燃料電池312に燃料ガスが送られているかどうかを検出し、システムコントローラ306にその情報を送る。
【0027】
燃料電池312で発電された電気はリチウムイオン二次電池204に供給され充電される。この際、リチウムイオン二次電池204は、システムコントローラ306の指示のもと制御され充電される。ビデオカメラ101の各部は、リチウムイオン二次電池204から電流の供給を受けて動作する。
【0028】
また、リチウムイオン二次電池の残量を検知する残量検知回路314が備えられており、リチウムイオン二次電池204の残量(充電量)を検出する。システムコントローラ306は、各温度センサ315、316の出力を読み込むのと同時に、残量検知回路314に定期的にアクセスし、リチウムイオン二次電池残量情報を取得する。
【0029】
ここで、ビデオカメラ101にリチウムイオン二次電池204を介して電力供給を行う理由を説明する。燃料電池312は水素と酸素が反応して水を発生する過程で生じるエネルギを電気の形で取り出しているため、その出力は燃料ガスの流量に比例する。しかしながら、改質器311の燃料電池用ガス生成能力は生成量の変動に対して一定の応答時間を必要とし、急激な出力増減要求に対しては、燃料ガスの流量をすばやく、適確に追従させることが困難である。つまり、従来の電子機器の電源であった乾電池や二次電池等に比べて負荷に対する応答性が劣る。そのため、それを解消するため、ビデオカメラ101の消費電力の変動に対するバッファとしてリチウムイオン二次電池204を用いている。
【0030】
次に、カメラ部10の構造について説明する。図4はカメラ部10の外観図であり、図4(A)は前方からの斜視図であり、図4(B)は後方からの斜視図である。また、図5はカメラ部10の構造を表す分解斜視図である。
【0031】
カメラ部10は、レンズ光学系102を樹脂製の筐体に収めたレンズユニット206に、CCD301を取り付けて構成されている。具体的には、図5に示すように、CCD301はCCD取付け部材401に接着剤等で固定され、基板402がCCD取付け部材401を挟んでCCD301とは逆の側に取り付けられる。
【0032】
CCD取付け部材401にはCCD301の接続端子406を挿通する穴404が形成されている。さらに基板402にもCCD301の接続端子406を挿通する穴405が形成されるとともに、その穴を囲むようにして半田付けランド(図示せず)が配設されている。
【0033】
CCD301は、CCD取付け部材401を図示しないビスによってレンズユニット206に取付けることで所定の光学的位置に固定され、図4(B)のように穴405から突出した接続端子406を基板402に半田付けすることで電気的に接続される。
【0034】
また、CCD取付け部材401には、CCD301の裏面に対応する部位に開口部403が形成されている。また、基板402上には開口部403に対応する位置に温度センサ315が設置されている。温度センサ315はCCD301裏面近傍の温度に応じた電圧を出力するものであり、その電圧をシステムコントローラ306が読み込むことで、CCD301の温度を知ることができる。取得したCCD301の温度情報と、前述したリチウムイオン二次電池204の残量情報は逐次、メモリ308に記録保持される。
【0035】
さらに、レンズユニット206筐体側面にも温度センサ316が設置されている。温度センサ316はレンズユニット206近傍の雰囲気温度に応じた電圧を出力するものであり、温度センサ315の場合と同様、その電圧をシステムコントローラ306が読み込むことで、レンズユニット206近傍の温度(ほぼレンズユニット206の筐体の温度と平衡していると考えられる。)を知ることができる。
【0036】
以上述べた構成のカメラ部10は、図2に示すように、記録装置305と主基板201とを隣り合わせた記録部ユニットの上面に載るような形でレイアウトされ、これら記録部ユニット及びカメラ部10によりビデオカメラ101の全高を形成している。
【0037】
次に、図6、7を参照して、本実施の形態のビデオカメラ101の動作について説明する。図6はビデオカメラ101における燃料電池装置202の制御動作のアルゴリズムの一例を説明するためのフローチャートである。また、図7(a)〜(c)はLCDモニタ103上のキャラクタジェネレータ307により生成されたキャラクタの表示例を示す図である。
【0038】
まず、温度センサ315からCCD301の温度情報を取得する(ステップ501)。次に、システムコントローラ306はCCD301の温度があらかじめ設定された判定基準温度に対して高いか低いかを判定する(ステップ502)。
【0039】
ステップ502においてCCD301の温度が判定基準温度以下の場合は、システムコントローラ306が燃料検出装置313にアクセスし、現在、燃料ガスが燃料電池312に供給されているかどうかを調べる(ステップ503)。
【0040】
ステップ503において燃料ガスが供給されている場合は、燃料電池装置202の動作状態を使用者に知らせる表示を行って(ステップ504、図7(a)を参照)、ステップ501に戻り、所定のサイクルで次のCCD301の温度情報を取得する。
【0041】
図7(a)は燃料電池装置202の動作状態をLCDモニタ103上に表示した例を示している。LCDモニタ103上には、撮像されている映像(図示は省略する)に、キャラクタジェネレータ307にて生成された文字やアイコン等のキャラクタを重ねて表示している。キャラクタとしては、例えば機器の設定内容や撮影時間等の情報が表現される。また、図7(a)に示すように、リチウムイオン二次電池204の残量と燃料電池装置202の動作状態をさらに加えてアイコン表示も可能である。図7(a)において、601はリチウムイオン二次電池204の残量を模式的に表現するアイコンである。電池を模した枠の中をいくつかのセグメント602に分割し、各セグメントの点灯、消灯を制御して電池残量を使用者に知らしめる。603は燃料電池装置202の動作状態を表現するアイコンである。燃料電池312が発電を行っているとき四角いアイコン603が点滅して、発電中であることを使用者に知らしめる。
【0042】
ステップ503において燃料ガスが供給されていない場合は、システムコントローラ306が制御弁310を駆動させ、燃料電池312への燃料供給を再開させた上で(ステップ505)、前述したのと同様に、燃料電池装置202の動作状態を使用者に知らせる表示を行って(ステップ504)、ステップ501に戻り、所定のサイクルで次のCCD301の温度情報を取得する。
【0043】
一方、ステップ502においてCCD301の温度が判定基準温度より高い場合は、前述したのと同様に、システムコントローラ306が燃料検出装置313にアクセスし、現在、燃料ガスが燃料電池312に供給されているかどうかを調べる(ステップ506)。
【0044】
ステップ506において燃料ガスが供給されている場合は、システムコントローラ306は残量検知回路314によるリチウムイオン二次電池204の残量情報を参照し(ステップ507)、リチウムイオン二次電池204の残量があらかじめ定めた基準残量より多いか少ないかを判定する(ステップ508)。
【0045】
ステップ508においてリチウムイオン二次電池204の残量が基準残量以上の場合は、システムコントローラ306は制御弁310を閉じ、燃料電池312への燃料供給を停止させる(ステップ509)。そして、燃料電池装置202の動作状態を使用者に知らせる表示を行って(ステップ504、図7(b)を参照)、ステップ501に戻り、所定のサイクルで次のCCD301の温度情報を取得する。
【0046】
図7(b)は燃料電池312が停止状態にあることをLCDモニタ上に表示した例を示している。すなわち、LCDモニタ103上には、燃料電池装置202の動作状況を表す四角いアイコンは表示されておらず、燃料電池が停止していることを表現している。なお、理解しやすいように、本図においてアイコン603の非表示を破線にて表現している。これにより使用者は、ビデオカメラ101の電源がリチウムイオン二次電池204に残された電力のみであることを知ることができる。
【0047】
一方、ステップ508においてリチウムイオン二次電池204の残量が基準残量より少ない場合は、システムコントローラ306はLCDモニタ103に発熱に注意すべき旨の警告表示を行い(ステップ510、図7(c)を参照)、また、燃料電池装置202の動作状態を使用者に知らせる表示を行って(ステップ504)、ステップ501に戻り、所定のサイクルで次のCCD301の温度情報を取得する。
【0048】
図7(c)は警告表示をLCDモニタ上に表示した例を示している。LCDモニタ103上には、四角いアイコン603が点滅して燃料電池312が動作中であることを示し、さらに、キャラクタジェネレータ307にて生成したキャラクタ801(例えば「発熱に、ご注意下さい」という文字)を表示し、使用者に注意を促す。
【0049】
以上で、制御動作の一例の説明を終えるが、図6における動作に加え、ステップ508においてリチウムイオン二次電池204の残量が基準残量より少ない場合に、燃料電池装置202の動作を停止することも可能である。この場合、電源がリチウムイオン二次電池204の残量に残された残量に限られることを使用者に知らせるように、LCDモニタ上にキャラクタ、例えば「電池残量が少なくなっています」等の文字を表示する。
【0050】
また、一般にビデオカメラにおいては、動作モードによって消費電力が異なる場合がある。例えば、静止画記録モードでは、消費電力が大きいオートフォーカスを動画記録モードのように常時働かす必要が無く、音声回路も動作不要であるため、消費電力は少ない。また、再生モードにおいては映像再生に必要の無いカメラ部10の電力を遮断し、消費電力を少なくすることも可能である。したがって、ステップ508におけるリチウムイオン二次電池204の残量判定においては、動作モードに応じて判定基準を変更しても良い。その場合、メモリ308に各動作モードでの残量判定基準を記憶しておき、ステップ508の前にそれらを読み出せるようにし、各動作モードに対応させることも可能である。
【0051】
あるいは、再生モードでは映像を記憶しないため、ステップ502において判定基準温度を変更して、撮影モード時よりもCCD301の温度が高くなることを許可し、リチウムイオン二次電池204の充電に電力を振り分けるようにすることも可能である。この場合も、各動作モードにおける判定基準温度情報をメモリ308に記憶しておき、それらを読み出せるようにしておけばよい。
【0052】
なお、LCDモニタ103上の燃料電池装置202の動作状態表示は、本発明の実施の形態で説明したものに限られるものではない。アイコンである必要は無いし、アイコンの意匠にも制約は無い。また、LCDモニタ等の映像表示装置を具備しない電子機器であれば、例えばLED素子等によりインジケーターを設け、その点灯・消滅・明滅等で動作状態を表現しても構わない。
【0053】
以上説明した実施の形態においては、CCD301近傍に温度センサ315を設け、CCD301の温度を検出して燃料電池装置202の動作を制御するようにしたが、燃料電池装置202の動作制御を行うパラメータとしてCCD301の温度に限定されるものではない。
【0054】
例えば、本発明の実施の形態におけるビデオカメラ101はレンズユニット206側面にも温度センサ316を備えている。この温度センサ316の出力によって燃料電池装置202の動作を制御することも可能である。すなわち、レンズユニット206近傍の温度が過度に上昇し、レンズユニット206の筐体の熱膨張による光路長の変化が電気的な補正範囲を超える場合、燃料電池312の動作を停止して温度上昇を抑え、熱によるピントのずれ等の不具合を対策することも可能である。
【0055】
また、主基板201上の演算素子がCCD301よりも熱耐性が劣っている場合、その演算素子の温度情報を得る手段を設け、前述したのと同様に制御を行うようにしてもよい。
【0056】
また、記憶装置305の所定箇所の温度を検知する手段を設けても良い。本発明の実施の形態によるビデオカメラ101のように記録媒体に磁気テープが使用されている場合、前述したようにテープの温度特性により障害のおそれがある。また、光ディスクを記録媒体に使用した場合にも、記録手段としてレーザー発振子を用いるが、温度上昇によってS/Nが悪化するため温度補償が必要となる。従って、記録装置305の記録ヘッドやその近傍、もしくは記録媒体の温度を検知して燃料電池装置202を制御することによって過度な温度上昇を防止することも可能である。
【0057】
また、使用者が把持して使用するモバイル機器においては、使用者が把持する部分(本発明の実施の形態においては、図1(A)の108)の温度情報を得て燃料電池装置の動作を制御すれば、発熱による不快感を低減することも可能になる。
【0058】
いずれの場合においても、判定基準温度と二次電池の残量判定基準をそれぞれのケースに適切な値に設定すれば、好適に本発明の実施が可能である。
【0059】
もちろん、本発明を適用しうる電子機器は、実施の形態のようにビデオカメラに限られるものでなく、燃料電池を電源とするあらゆる電子機器に適用することができる。
【0060】
以上述べたように、燃料電池装置を電源とする電子機器において、燃料電池装置の発熱により電子機器の性能を損なうことなく、正常に動作させるように温度管理することができる。
【0061】
具体的には、CCDの温度情報によって燃料電池の制御をすれば、白傷を回避することができる。また、レンズユニットの温度情報によって燃料電池の動作を制御すれば、熱による光学的変化の影響を抑えることができる。また、LSI等の演算素子の温度情報によって燃料電池の動作を制御すれば、LSI等が熱暴走することを回避できる。また、記録装置の温度情報によって燃料電池の動作を制御すれば、記録媒体の温度特性に対応し記録の安定性に寄与し、記録エラー等の障害を回避できる。その他、機器を構成する部品が熱により損傷することが無く、故障や不具合の少ない電子機器を提供できる。
【0062】
また、把持部の温度情報によって燃料電池の動作を制御すれば、機器の発熱で使用者に不快感を与えることがなく、使用感の良い電子機器を提供することができる。
【0063】
また、燃料電池の動作状態を使用者に知らしめる手段を有することで、使用者は動作状態を素早く把握することができる。さらに、電子機器の発熱に関して、あるいは、発熱による機能障害の危険に関して使用者に知らしめることが可能であり、使い勝手のよい電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 カメラ部
101 ビデオカメラ
102 レンズ光学系
103 LCDモニタ
104 操作スイッチ
105 モード選択スイッチ
106 トリガーボタン
107 レリーズボタン
108 把持部
201 主基板
202 燃料電池装置
203 燃料カートリッジ
204 リチウムイオン二次電池
206 レンズユニット
301 CCD
302 信号処理回路
303 記録処理回路
304 記録/再生回路
305 記録装置
306 システムコントローラ
307 キャラクタジェネレータ
308 メモリ
309 ポンプ
310 制御弁
311 改質器
312 燃料電池
313 燃料検出装置
314 残量検知回路
315 温度センサ
316 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ光学系と、前記レンズ光学系を保持する保持部材とを備え、燃料電池装置を電源とする撮像装置であって、
前記レンズ光学系、その近傍、前記保持部材及びその近傍のうちの少なくともいずれかの温度を検知する温度検知手段と、
前記燃料電池装置が発電した電力を貯蔵する電力貯蔵手段と、
前記電力貯蔵手段の貯蔵残量を検知する電力残量検知手段と、
前記温度検知手段及び前記電力残量検知手段の出力に基づいて前記燃料電池装置の動作を
制御する制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−108517(P2012−108517A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262145(P2011−262145)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【分割の表示】特願2005−221624(P2005−221624)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】