説明

撮像装置

【課題】 外部測距方式の位相差AF制御では遠距離被写体に対して、精度が出ず、撮像装置の位置、方位と地図情報から被写体距離を取得する方法は、近距離被写体に対して、相対的に誤差が大きくなってしまい、合焦までに時間がかかる。
【解決手段】 撮像信号AF制御の他に、位相差AF制御と地図参照AF制御を有することで、撮像信号AF制御の合焦にかかる時間を短くでき、ハイブリッドAFとして、高速な焦点調節制御を可能とする。外部測距方式の位相差AF制御の苦手な遠距離被写体に対して、地図参照AF制御を行うことで、より正確な被写体距離を取得する。また、外部測距方式の位相差AF制御において、近距離に被写体がいない時に、地図参照AF制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、詳しくは被写体までの距離を算出することによる自動焦点調節の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ等の撮像装置に搭載されるオートフォーカス(AF)としては、撮像信号AFが一般的である。撮像信号AFは、撮像素子を用いて得られた映像信号から高周波成分を抽出して、合焦状態を示すAF評価値を生成し、AF評価値が最大になるようにフォーカスレンズの位置を制御するものである。
【0003】
また、合焦精度の高い撮像信号AFに加えて、合焦の速い位相差AFを組み合わせた撮像装置も提案されている。位相差AFは、被写体までの距離を測距センサにより検出し、その検出距離に基づいてフォーカスレンズの位置を制御するものである。
【0004】
位相差AFのうち、測距センサの光学系が撮像光学系とは独立して設けられている外部測距方式は、TTL方式と比べ構成が簡単になる一方、被写体の距離が遠くなるほど、測距の精度が落ちるという問題があった。
【0005】
被写体までの距離を取得する方法として、位相差AFのような測距方式以外に、撮像装置にGPSを付属し、撮像装置の位置、方位と地図情報から被写体距離などの情報を取得して、操作者に提示する技術が開示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−060339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
外部測距方式の位相差AF制御では、被写体が遠距離にいる場合に、測距の精度が低く、遠距離被写体に対して、撮像信号AF制御と位相差AF制御を組み合わせたハイブリッドAF制御においても、合焦までに時間がかかっていた。
【0008】
一方、GPSなどを用いて撮像装置の位置、方位と地図情報から被写体距離を取得する方法は、被写体が近距離にいても、遠距離にいても、一定の精度で被写体距離を取得することが可能であるが、近距離被写体に対しては、相対的に誤差が大きくなってしまう。また、上記特許文献1の構成では、撮像装置の位置、方位と地図情報から被写体距離を算出する方法について言及されているが、取得した被写体距離を用いて、焦点調節制御をする方法については言及されていない。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑み、位相差AF制御を搭載した撮像装置において、遠距離の被写体について、高精度に被写体距離を取得しつつ、焦点調節を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、撮像光学系と
前記撮像光学系の外に設けられた光学系と、前記光学系からの像を光電変換する検出部と、前記検出部の出力に基づいて被写体距離を算出する第一の測距手段と、
情報処理装置との通信によって、被写体距離を算出する第二の測距手段
を備えた撮像装置であって、
前記第一の測距手段で所定の距離以上の時に、前記第二の測距手段を行って得られた被写体距離に基づいて、焦点制御を行うことを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、
遠距離の被写体について、被写体距離検出の精度を向上させ、かつ検出した被写体距離に基づいて、自動焦点調節を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1におけるシステムの構成を示す図
【図2】実施例1におけるカメラおよびサーバの構成を示すブロック図
【図3】実施例における測距センサの構成を示す図
【図4】位相差AFにおける像信号を示す図
【図5】実施例におけるカメラのフローチャート
【図6】実施例1におけるカメラの通信処理のフローチャート
【図7】実施例1におけるサーバのフローチャート
【図8】実施例における被写体距離の算出方法を示す図
【図9】実施例におけるカメラの焦点調節制御のフローチャート
【図10】実施例における測距領域を示す図
【図11】実施例2におけるカメラの構成を示すブロック図
【図12】実施例2におけるカメラの地図参照処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施形態に関わるシステム構成を示す図である。カメラ100とサーバ200が通信を行う。ここで言うカメラ100とは、動画や静止画を撮影してメディアに記録する、いわゆるデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等を総称してカメラと呼ぶ。カメラ100は、カメラ100自身が取得した像から算出した被写体距離およびサーバが算出した被写体距離に基づいて自動焦点調節を行う。
【0014】
図2はカメラ100およびサーバ200の内部構成を示す図である。カメラ100内の各ユニットは、バス170を介して接続されており、各ユニットはCPU151によって制御される構造になっている。
【0015】
撮像光学系101には、固定1群レンズ102、ズームレンズ111、絞り103、固定3群レンズ121、フォーカスレンズ131が含まれ、撮像素子141上に被写体光を入射させる。撮像素子141は、被写体光を受光することで撮像を行い、撮像信号を出力する。ズーム制御部113は、CPU151の指示に従いズームモータ112を介してズームレンズ111を駆動して焦点距離を変える。
【0016】
撮像素子141に入射された被写体像は、撮像素子141にて光電変換され撮像信号処理部142で画像信号として整えられる。また、撮像信号がAF信号処理部134へと入力される。AF信号処理部134では、撮像信号から画像信号内の一部のみを抽出し、バンドパスフィルタおよび検波部によって、撮像信号AF制御のためのAF評価値を作成し、フォーカス制御部133へ入力する。
【0017】
一方、撮像光学系101の外部に設けられている測距センサ130は、測距センサ用の分割光学系138と位相差検出部139から構成され、被写体までの距離L1を算出してフォーカス制御部133へ入力する。フォーカス制御部133では、前述のAF評価値および被写体距離L1の結果をCPU151へ引き渡すとともに、CPU151の指示に従いフォーカスモータ132を介して、フォーカスレンズ131を移動させる。
【0018】
撮像信号処理部142で整えられた画像信号は、一時的にRAM154に蓄積される。RAM154に蓄積された画像信号は、画像圧縮解凍部153にて圧縮処理され、画像記録媒体157に記録される。これと並行して、RAM154に蓄積された画像信号は、画像処理部152にて最適なサイズに縮小・拡大処理がなされる。最適なサイズに処理された画像信号は、モニタディスプレイ150に表示されることで、リアルタイムで撮影画像を撮影者に対してフィードバックする。また、撮影直後には、モニタディスプレイに所定時間だけ撮影画像を表示することで撮影画像の確認を行うことも可能となる。
【0019】
操作スイッチ156は使用者が指示を行うための操作を行うためのものである。159は電源バッテリーであり、電源管理158により適切な電源管理を施されてカメラ全体に安定した電源供給を行うものである。
【0020】
測位部160はカメラ100の地理的な現在の位置を検出することができる。具体的にはGPSなどの技術によるユニットとなる。方位検出部161は、電子コンパスなどからなり、カメラ100の光軸がどの方向を向いているかを検出することができる。通信部162はサーバ200と無線通信を行うためのものである。
【0021】
これらの動作に先立って、カメラがOFF状態から起動すると、フラッシュメモリ155に格納されていたプログラムがRAM154の一部にロードされ、CPU151はこのRAM154にロードされたプログラムに従って動作を行う。
【0022】
サーバ200内の各ユニットは、バス205を介して接続されており、各ユニットはCPU201によって制御される構造になっている。RAM203は、CPU201が実行するプログラムを展開する領域、一時的にデータを保存する領域として用いられる。通信部202はカメラ100と通信を行うためのものである。二次記憶装置204はハードディスクなどで構成される。二次記憶装置204はサーバ全体の動作プログラムを保持すると共に、サーバの処理で算出される長期的に保存すべきデータを保存する領域としてもちいられる。本実施例では、二次記憶装置204に、後述する地図情報が格納される。
【0023】
以下、図3、図4を用いて、外部測距方式の位相差AF制御の説明を行う。図3はカメラ100の測距センサ130の構成を表す図である。302、304はそれぞれ第1、第2の結像レンズであり、分割光学系138に相当する。303、305はそれぞれ第1、第2のラインセンサであり、位相差検出部139に相当する。第1及び第2のラインセンサ303、305は、基線長Bだけ互いに離れて設置されている。被写体301からの光のうち第1の結像レンズ302を通った光は、第1のラインセンサ303上に結像し、第2の結像レンズ304を通った光は第2のラインセンサ305上に結像する。
【0024】
ラインセンサ303は30個の画素から構成されており、ラインセンサ305についても同様の構成とする。ラインセンサ303および305は不図示のAGC回路を有しており、AGC回路は、ラインセンサ303および305の出力をサンプリングし、ゲイン調整を行う。
【0025】
図4に、ラインセンサ303、305からの出力信号(以下、像信号とする)の例を示す。ラインセンサ303,305は基線長Bだけ離れているため、ラインセンサ303からの像信号P1とラインセンサ305からの像信号P2は、画素数Xずれた信号となる。そこで、2つの像信号に対して相関演算を行う。相関演算は、画素をずらしながら2つの像信号の相関値を演算し、相関が最大になる位置を像ずれ量Xとして算出する。この相関演算は特に記述しない限り、CPU151で行うものとする。
【0026】
像ずれ量Xと、基線長Bと、結像レンズ302、304の焦点距離fとにより、三角測距の原理で被写体までの距離L1がL1=B・f/Xの関係により求められる。被写体距離L1に基づいて、CPU151は被写体に対して合焦を得るためのフォーカスレンズ位置を算出する。この算出には、計算式を用いた演算だけでなく、予め不図示のメモリに記憶された、被写体距離に対する合焦位置のデータを読み出すことも含む。
【0027】
像ずれ量Xの算出の際に生じる演算誤差は、像ずれ量Xが大きい場合には、被写体距離L1の算出に与える影響は小さい。一方、像ずれ量Xが小さい場合には、演算誤差は被写体距離L1に大きく影響する。このため、外部測距方式の位相差AF制御では、被写体が遠距離にいる場合に、測距の精度が低く、焦点調節に時間がかかる。
【0028】
また、カメラ100は、前述の位相差AF制御の他に、撮像信号AF制御を有する。撮像信号AF制御は、フォーカスレンズ131を微小駆動し、微小駆動する前の状態と、後の状態でAF信号処理部134の出力であるAF評価値を比較する。AF評価値が増えていれば、フォーカス制御部133は、フォーカスレンズ131を同一方向に動かす。評価値が減少している場合には逆方向に動かす。この繰り返しを行い、フォーカスレンズ131を徐々に合焦点に移動させることで、自動焦点調節制御を実現する。
【0029】
また、カメラ100は、サーバ200によって算出された被写体距離L2に基づく地図参照AF制御を有する。測位部160および、方位検出部161から、カメラ100は現在の地理的な位置情報および撮影を行おうとしている方位情報を検出する。通信部162は検出した位置情報、方位情報をサーバ200へ送信する。サーバ200はカメラ100より位置情報と方位情報を受信し、被写体までの距離L2を算出して、カメラ100へ送信する。カメラ100はサーバ200より被写体距離L2を受信し、受信した被写体距離L2に基づいて、フォーカスレンズ131を移動させることで、自動焦点調節制御を実現する。
【0030】
前述の各AF制御は、CPU151が演算を行い、フォーカス制御部133がCPU151の演算結果に基づいて、フォーカスモータ132を介してフォーカスレンズ131を移動させることによって実現される。
【0031】
図5は、本実施例におけるカメラ100のフローチャートである。S501において、カメラ100の電源がONにされると、CPU151が演算を開始する。以下の処理は、CPU151が演算を行うことで実現される。
【0032】
S502において、カメラ100のフラグや制御変数等を初期化する。また、この時にAFMODEの値を1にセットする。S503において、フォーカスレンズ131などの撮像光学部材を初期位置へ移動する。S504において、ユーザの電源OFF操作検出を行う。電源OFF操作を検出した場合は、S505において、カメラ100の電源を切るため、撮像光学部材を初期位置へ移動し、各種フラグや制御変数等のクリアなど、後処理を行う。S506において、カメラ100の処理を終了する。電源OFF操作が検出されなかった場合は、S507において、地図参照処理を行うため、サーバ200との通信処理を行う。
【0033】
図6は通信処理におけるカメラ100のフローチャートである。S601より通信処理が開始されると、CPU151が演算を行い、通信部162がサーバ200との通信を行う。
【0034】
S602において、カメラ100は、測位部160よりカメラ100自身の現在の位置情報を取得する。また、方位検出部161よりカメラ100の光軸の向いている方向である方位情報を取得する。S603において、S602で取得した位置情報、方位情報をサーバへ送信する。S604において、カメラ100はサーバ200へ、サーバ200が算出した被写体距離Lsを送信するよう要求し、サーバ200より被写体距離Lsを受信する。S605において、サーバ200より、サーバ200が算出した被写体距離Lsを受信できたか確認する。カメラ100が被写体距離Lsを受信できた場合には、S606において、地図参照AF制御に用いる被写体距離L2にLsを格納する。被写体距離Lsを受信できなかった場合は、S607において、被写体距離L2にエラーを格納する。S608において、通信処理を終了する。
【0035】
図7は通信処理におけるサーバ200のフローチャートである。S701より通信処理が開始されると、CPU201が演算を行い、通信部202がカメラ100との通信を行う。
【0036】
S702において、サーバ200はカメラ100へ位置情報および方位情報を送信するよう要求し、カメラ100から位置情報、方位情報を受信できたかどうかを確認する。位置情報、方位情報がない場合は、カメラ100より位置情報、方位情報が送信されるまで、S702の処理を繰り返す。位置情報、方位情報がある場合には、S703において、これらを受信し、RAM203に格納する。S704において、二次記憶装置204に格納されている地図情報と、S703で取得した位置情報、方位情報より、後述する方法を用いて、被写体距離Lsを算出する。S705において、カメラ100へ被写体距離Lsを送信する。S706において、サーバ200の処理を終了する。
【0037】
図8を用いて、地図情報および受信した位置情報、方位情報より被写体距離Lsを算出する方法について述べる。CPU201は、カメラ100より受信した位置情報および方位情報801を、サーバ200が有する地図情報に対応付ける。次に、CPU201は、地図情報を参照し、撮影位置から撮影方向に存在する地図上の撮影対象候補802、803を抽出し、このうち最も近い撮影対象候補802を被写体とする。被写体を決定した後、撮影位置から被写体までの距離を地図上で算出し、被写体距離Lsとする。
【0038】
測位部160の精度の影響を受けるため、被写体距離Lsを算出するのに、2m程度の誤差を生じるが、この誤差は被写体が近距離にいても、遠距離にいても変わらないため、特に、遠距離の被写体について、精度良く距離を算出できる。
【0039】
なお、複数の撮影対象候補から1つの被写体を決定する方法は、至近の撮影対象候補を被写体とする方法ではなく、撮影対象候補と撮影位置との距離および撮影方向と撮影対象候補の存在する方向のずれ量を重み付けして合計し、被写体を決定する方法でも良い。また、サーバ200は撮影対象候補が被写体となった頻度を記憶しており、撮影対象候補の内、最も撮影された頻度の高いものを被写体とする方法でも良い。
【0040】
S507の地図参照処理が終了した後、S508において、焦点調節制御処理を行う。
【0041】
図9は焦点調節制御処理におけるカメラ100のフローチャートである。S901より焦点調節制御処理が開始されると、CPU151が演算を行い、CPU151の指示に基づいて、フォーカス制御部133がフォーカスモータ132の制御を行う。
【0042】
S902において、測距センサ130の画素の蓄積を開始し、AGC領域における像信号をモニタする。S903において、像信号が一定のレベルに達したかどうかを確認し、蓄積が終了したか否かを判断する。蓄積が終了した場合にはS904にステップを移す。蓄積が終了していない場合には、S902に戻り、蓄積処理を繰り返す。S904において、測距センサ130の像信号を取得して、相関演算を行い、被写体距離L1および被写体距離L1の信頼性を算出する。この信頼性は、像信号のコントラストおよび相関演算を行った際の像の一致度から算出される。S905において、AF信号処理部134での、AF評価値の算出を行う。S906において、通信部162が受信した被写体距離L2を取得する。
【0043】
S907からS911は、外部測距方式の位相差AF制御と地図参照AF制御のどちらの結果を用いて、焦点調節を行うかを判断するためのものである。図10(a)に示すように、測距センサ130の測距枠1001が被写体である人物1002をとらえている場合には、近い距離で、信頼性が高い結果が算出される。この場合には、測距センサ130が算出した被写体距離L1を用いて、焦点調節を行うことにより、被写体である人物1002に合焦することが可能となり、地図上に載っていない被写体に対しても合焦することが可能である。図10(b)に示すように、測距センサ130の測距枠1001でとらえられる被写体がない場合には、被写体距離L1は、遠い距離で、信頼性が低くなる。この場合には、近い距離に被写体がいないため、サーバ200にてが地図情報から被写体距離L2を算出し、被写体距離L2を用いて、焦点調節を行うことにより、遠距離にある物体1003に合焦することが可能となる。
【0044】
S907において、S904において算出した被写体距離L1が所定の距離以下であるかを確認する。これは、測距センサ130での測距結果は遠距離になるほど、精度が落ちるため、測距センサ130での測距結果である被写体距離L1が精度の確保できる範囲にあるかどうかを確認するためのものである。被写体距離L1が20mよりも近ければ、被写体距離L1を用いて焦点調節制御を行い、被写体距離L1が20mよりも遠ければ、被写体距離L1を用いずに焦点調節制御を行う。また、この時に被写体距離L1の信頼性を取得し、この信頼性が所定値より低ければ、焦点調節制御に被写体距離L1を用いないという判断を行っても良い。被写体距離L1が所定距離以下であり、その信頼性が所定値より高ければ、S908において、焦点調節制御に用いる被写体距離LにL1の値を格納する。
【0045】
被写体距離L1が所定距離より遠い、または、被写体距離L1の信頼性が所定値より低い場合、S909において、被写体距離L2がエラーではないかどうかを確認する。エラーではない場合は、S910において、焦点調節制御に用いる被写体距離LにL2の値を格納する。エラーである場合は、外部測距方式の位相差AF制御でも、地図参照AF制御でも被写体距離を算出できなかったため、AFMODEを2に設定し、ステップを進める。
【0046】
S912では、AFMODEの値によって3つの分岐を行う。それぞれの分岐は主に以下のような処理となる。AFMODE1は外部測距方式の位相差AF制御あるいは地図参照AF制御を使用しての合焦制御である。AFMODE2は撮像信号AFを使用しての合焦制御である。AFMODE3は合焦が完了した状態から変化がないかを監視し、変化があった場合にはAFMODEを1または2として焦点調節制御に移行する処理を行っている。
【0047】
S913において、被写体距離Lと、現在のフォーカスレンズ位置に基づいて目標レンズ位置の算出を行う。また、この目標レンズ位置の算出には、レンズ駆動方向と速度の算出も含む。S914において、目標レンズ位置に到達したかどうか判断する。到達したと判断される場合はS915へステップを移し、到達していないと判断される場合は、S916へステップを移す。S915において、外部測距方式の位相差AF制御または地図参照AF制御にて算出された被写体距離Lへ合焦動作を行った後、合焦近傍にて撮像信号AFを行うため、AFMODEに2を設定する。
【0048】
S917からS920において、撮像信号AF制御を行う。S917において、微小駆動動作を行い、AF評価値が増加しているかを確認する。AF評価値が増加している場合は、S916へステップを移す。AF評価値が増加していない場合は、S918において、微小駆動動作の駆動方向を逆転させる。S919において、AF評価値がピークを通過したかを確認し、ピークを通過していない場合はS916へステップを移す。ピークを通過した場合は、S920において、合焦位置を見つけたと判断し、AFMODEに3を設定する。
【0049】
S921において、AF評価値のピーク位置へとレンズを戻し停止する。S922において、AF評価値が所定値以上変化したか否かの確認を行う。変化していない場合は、S916へステップを移す。変化した場合は、S923において、被写体距離Lが合焦位置から変化したか否かの確認を行う。変化した場合は、被写体距離LとAF評価値がともに変化しているため、大ぼけであると判断し、S924において、AFMODEに1を設定してS916へステップを移す。変化していない場合は、AF評価値は変化しているが、被写体距離は変化していないため、小ぼけであると判断し、S925において、AFMODEに2を設定してS916へステップを移す。
【0050】
S916において、焦点調節制御を終了する。
【0051】
S508の焦点調節制御処理が終了した後、S509において、フォーカス制御部133は、S508で決定した駆動方向、速度、位置でモータを駆動し、フォーカスレンズ131を所望の位置へ移動させる。
【0052】
S510において、撮像素子141は被写体像を光電変換し、撮像信号処理部142が撮像した被写体像を画像信号として整える。S511において、ユーザの記録ボタン押下を検出し、記録中であるか否かを確認する。記録中でない場合は、S504へ戻り、記録中である場合は、撮像信号処理部142で整えられた画像信号を画像圧縮解凍部153が圧縮処理し、画像記録媒体157へ記録した後、S504へ戻る。
【0053】
以上のように、撮像信号AF制御の他に、位相差AF制御と地図参照AF制御を有することで、撮像信号AFの合焦にかかる時間を短くでき、ハイブリッドAFとして、高速な合焦制御が可能となる。また、外部測距方式の位相差AF制御の苦手な遠距離被写体に対して、地図参照AF制御を行うことで、遠距離において、より正確な被写体距離を取得することが可能となる。また、外部測距方式の位相差AF制御において、近距離に被写体がいない時に、地図参照AF制御を行うようにすることにより、不必要に映像をぼかすことを防ぐことができる。
(実施例2)
本発明におけるその他の実施例を示す。実施例1では、位置情報と方位情報から地図情報を参照し、被写体距離を算出する処理をサーバが行い、カメラはサーバからの受信データを基に、焦点調節制御を行う場合についての実施の形態について説明した。実施例2では、これらの処理を全てカメラ自身が行う場合について説明する。本実施例ではサーバとの通信を行う必要がなく、通信部を有していないカメラでも可能な構成である。
【0054】
説明上、実施例1と同一の内容については、同一の符号を用いて、説明を割愛する。
【0055】
図11は、本実施例におけるカメラ100の構成を示す図である。フラッシュメモリ155にはCPU151を動作させるためのプログラムの他、地図情報が格納されている。また、通信部は有さない構成となっている。その他の、101から170の各構成は実施例1と同様である。
【0056】
以下、図5を参照し、図11に示すカメラ構成における、本発明に関わる処理フローについて説明する。最初のステップS501からS506までの処理は、実施例1と同様であるため、説明を割愛する。S507において、地図参照処理を行う。
【0057】
図12は地図参照処理におけるカメラ100のフローチャートである。S1201より通信処理が開始されると、CPU151が演算を行う。
【0058】
S1202において、カメラ100は、測位部160よりカメラ100自身の現在の位置情報を取得する。また、方位検出部161よりカメラ100の光軸の向いている方向である方位情報を取得する。S1204において、フラッシュメモリ155に格納されている地図情報と、S1202で取得した位置情報、方位情報より、被写体距離L2を算出する。
【0059】
地図情報および受信した位置情報、方位情報より被写体距離L2を算出する方法について述べる。CPU151は、取得した位置情報および方位情報を、地図情報に対応付ける。次に、CPU151は、地図情報を参照し、撮影位置から撮影方向に存在する地図上の撮影対象候補を抽出し、このうち最も近い撮影対象候補を被写体とする。被写体を決定した後、撮影位置から被写体までの距離を地図上で算出し、被写体距離L2とする。
【0060】
なお、複数の撮影対象候補から1つの被写体を決定する方法は、至近の撮影対象候補を被写体とする方法ではなく、撮影対象候補と撮影位置との距離および撮影方向と撮影対象候補の存在する方向のずれ量を重み付けして合計し、被写体を決定する方法でも良い。
【0061】
S1204において、被写体距離L2を算出できたか確認する。被写体距離L2を算出できた場合には、S1206へステップを移す。被写体距離L2を受信できなかった場合は、S1205において、被写体距離L2にエラーを格納した後、S1206へステップを移す。S1206において、地図参照処理を終了する。
【0062】
S507の地図参照処理が終了した後、S508において、焦点調節制御処理を行う。S508以降の処理は、実施例1と同様であるため、説明を割愛する。
【0063】
以上のように、撮像信号AF制御の他に、位相差AF制御と地図参照AF制御を有することで、撮像信号AFの合焦にかかる時間を短くでき、ハイブリッドAFとして、高速な合焦制御が可能となる。また、外部測距方式の位相差AF制御の苦手な遠距離被写体に対して、地図参照AF制御を行うことで、遠距離において、より正確な被写体距離を取得することが可能となる。また、外部測距方式の位相差AF制御において、近距離に被写体がいない時に、地図参照AF制御を行うようにすることにより、不必要に映像をぼかすことを防ぐことができる。
(その他の変形例)
また、本実施例では、地図参照処理の後に焦点調節処理を行ったが、地図参照処理と焦点調節処理を並列に行うようにしても良い。
【0064】
また、本実施例では、S907からS911にかけて、外部測距方式の位相差AF制御と地図参照AF制御を選択した後、S912でAF制御のモード遷移を行ったが、S912でAFMODEが1と判断された後に、外部測距方式の位相差AF制御と地図参照AF制御を選択するようにしても良い。
【0065】
また、本実施例では、S501からS512にかけて、カメラ100の動作は、地図参照、焦点調節、撮像、画像処理、記録について説明したが、以上の他に、AEやフラッシュなどの機能を搭載していても良い。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 カメラ
101 レンズユニット
130 測距センサ
133 フォーカス制御部
138 結像レンズ
139 検出部
155 フラッシュメモリ
160 測位部
161 方位検出部
162 通信部
200 サーバ
202 通信部
204 二次記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を受光し、光電変換した出力に基づいて、被写体までの距離に関する情報を算出する第一の測距手段と、
情報処理装置との通信によって、距離に関する情報を算出する第二の測距手段
を備えた撮像装置であって、
前記第一の測距手段で所定の距離以上の時に、前記第二の測距手段を行って得られた距離に関する情報に基づいて、焦点制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第一の測距手段は、
撮像光学系の外に設けられた光学系と、前記光学系からの像を光電変換する検出部と、前記検出部の出力に基づいて被写体距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第二の測距手段は、
前記撮像装置の位置情報を取得する位置取得手段と
前記撮像装置の向いている方位情報を取得する方位取得手段と
前記位置情報と前記方位情報を情報処理装置に送信する送信手段と、
送信した前記位置情報と前記方位情報に基づいて、情報処理装置が算出した被写体距離を受信する受信手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置
【請求項4】
前記第一の測距手段において、測距と同時に信頼性を評価する評価手段を有し、
前記第一の測距手段で所定の距離以上または信頼性が所定未満の時には、前記第二の測距手段を行って得られた被写体距離に基づいて、焦点制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
撮像装置が得た位置情報と方位情報を受信する受信手段と、
前記位置情報と前記方位情報および、情報処理装置に記憶された地図情報より、被写体までの距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段の結果を撮像装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記距離算出手段は、
前記位置情報より前記方位情報の方向に存在する前記地図情報上の物体の内、至近の物体を被写体とし、
前記位置情報と被写体の位置との距離を算出することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記距離算出手段は、
前記位置情報より前記方位情報の方向に存在する前記地図情報上の物体を検索し、検索された物体の位置と前記位置情報との距離および検索された物体の方位と前記方位情報とのずれに基づいて被写体を決定し、
前記位置情報と被写体の位置との距離を算出することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、前記地図情報内の物体が過去に撮像された頻度を記憶する頻度記憶手段を有し、
前記距離算出手段は、前記位置情報より前記方位情報の方向に存在する前記地図情報上の物体の内、前記頻度記憶手段において記憶された頻度が最も高い物体を被写体とし、
前記位置情報と被写体の位置との距離を算出することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項9】
被写体光を受光し、光電変換した出力に基づいて、被写体までの距離に関する情報を算出する第一の測距手段と、
撮像装置の位置情報を取得する位置取得手段と、
撮像装置の向いている方位情報を取得する方位取得手段と、
撮像装置に記憶された地図情報および前記位置情報と前記方位情報より、距離に関する情報を算出する前記第二の測距手段
を備えた撮像装置であって、
前記第一の測距手段で所定の距離以上の時に、前記第二の測距手段を行って得られた距離に関する情報に基づいて、焦点制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記第一の測距手段は、
撮像光学系の外に設けられた光学系と、前記光学系からの像を光電変換する検出部と、前記検出部の出力に基づいて被写体距離を算出することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第一の測距手段において、測距と同時に信頼性を評価する評価手段を有し、
前記第一の測距手段で所定の距離以上または信頼性が所定未満の時には、前記第二の測距手段を行って得られた被写体距離に基づいて、焦点制御を行うことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第二の測距手段は、前記位置情報より前記方位情報の方向に存在する前記地図情報上の物体の内、至近の物体を被写体とし、
前記位置情報と被写体の位置との距離を算出することを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第二の測距手段は、前記位置情報より前記方位情報の方向に存在する前記地図情報上の物体を検索し、検索された物体の位置と前記位置情報との距離および検索された物体の方位と前記方位情報とのずれに基づいて被写体を決定し、
前記位置情報と被写体の位置との距離を算出することを特徴とする請求項9乃至請求項11の何れか1項に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−113204(P2012−113204A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263310(P2010−263310)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】