説明

撮像装置

【課題】 電子ズーム操作をして動画を撮影する場合にも、電子ズーム画角の動画を記録すると同時に、画像劣化のない全画面画角の動画を記録する。
【解決手段】 画像情報を生成する撮像手段102と、画像情報を全画面画角で処理する画像処理手段113と、画像情報を電子ズーム画角で処理する変倍処理手段123と、処理された画像情報を動画として記録する記録手段129と、画像処理手段により処理された全画面画角の画像情報と、変倍処理手段により処理された電子ズーム画角の画像情報を、記録手段に記録させる制御手段111,121とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ズーム機能を有する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置は、一般に、撮像素子における撮像領域から所望の範囲の信号のみを取り出すことで画像を拡大する電子ズームの機能を有する。
【0003】
しかしながら、一般に電子ズームの場合、撮像素子の一部の画素範囲で撮像した画像を拡大するために画質が劣化する。
【0004】
そのため撮像素子の全有効画素から得られた全画素範囲の画像データを記録媒体に記録するとともに、電子ズームにより拡大表示する画像の画素範囲(ズーム範囲)をズーミング情報として記録媒体に記録するようにした技術が特開2005−12423号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−12423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術では、ユーザーの所望の画角で記録できないという問題がある。即ち、電子ズームで撮影した場合、記録される画像データは実際には全画素範囲の画像データであり、他の機器で再生する場合には電子ズームされた画像データとして再生できないという問題がある。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、電子ズーム操作をして動画を撮影する場合にも、電子ズーム画角の動画を記録すると同時に、画像劣化のない全画面画角の動画を記録することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、画像情報を生成する撮像手段と、前記画像情報を全画面画角で処理する画像処理手段と、前記画像情報を電子ズーム画角で処理する変倍処理手段と、処理された画像情報を動画として記録する記録手段と、前記画像処理手段により処理された全画面画角の画像情報と、前記変倍処理手段により処理された電子ズーム画角の画像情報を、前記記録手段に記録させる制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子ズーム操作をして動画を撮影する場合にも、電子ズーム画角の動画を記録すると同時に、画像劣化のない全画面画角の動画を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1である撮像装置の構成を示す図である。
【図2】実施例1における動画記録のタイミングチャートである。
【図3】実施例1における動画記録される画角の一例を示す図である。
【図4】実施例1における動画記録モードの動作内容を示す図である。
【図5】実施例2である撮像装置の構成を示す図である。
【図6】実施例2における動画記録モードの動作内容を示す図である。
【図7】実施例2における動画記録のタイミングチャートである。
【図8】実施例2における動画記録される画角の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1および2に記載される通りである。
【実施例1】
【0012】
以下、図1を参照して、本発明の実施例1である撮像装置について説明する。
【0013】
撮像装置100は、フレームごとに倍率を更新可能な電子ズームの機能を備える撮像装置である。撮像装置100は、光学ユニット101と、エリアセンサ102と、タイミングジェネレータ(TG)103と、A/D変換部104と、マスター部110と、スレーブ部120とを有する。
【0014】
マスター部110は、マスター制御部111と、マスターメモリ112と、マスター画像処理部113と、マスター圧縮処理部114とを有する。
【0015】
スレーブ部120は、スレーブ制御部121と、スレーブメモリ122と、スレーブ変倍処理部123と、スレーブ圧縮処理部124と、操作部125と、表示回路126と、表示部127と、記録回路128と、記録媒体129とを有する。また、マスター部110とスレーブ部120は、制御部間通信バス140で接続されていて、マスターメモリ112と、スレーブメモリ122に格納されているデータは、制御部間通信バス140を介して相互にやりとりすることが可能になっている。
【0016】
光学ユニット101は、撮像レンズや撮像光学系などを含み、被写体からの光をエリアセンサ102上に結像する。換言すれば、光学ユニット101は、エリアセンサ102上に被写体の光学像を形成する。
【0017】
エリアセンサ102は、撮像手段に相当するものであり、光学ユニット101によって形成された被写体の光学像に基づいて画像データ(画像信号)を生成する。エリアセンサ102は、本実施例1では、入力した光信号を電気信号に変換して蓄積する複数の画素(画像アレー)を有し、かかる複数の画素(画素アレー)に蓄積されている電気信号を読み出して画像データを生成する。エリアセンサ102は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子で構成されている。エリアセンサ102は、TG103から供給されるクロック信号によって駆動され、エリアセンサ102からの画像信号がA/D変換部104に出力される。
【0018】
A/D変換部104は、TG103から供給されるクロック信号に応じて、エリアセンサ102から出力された画像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。
【0019】
マスターメモリ112およびスレーブメモリ122は、A/D変換部104によってデジタル信号に変換された画像信号(画像情報)を、フレームごとに一時的に保持する。
【0020】
マスター画像処理部113は、マスターメモリ112から読み出される画像信号に対して、色処理、ホワイトバランス、ガンマ補正などの処理を施して、YCrCbの輝度と色差信号に変換する。また、マスター画像処理部113は、全画面画角の画像処理を施し、「マスター側記録画像」としてマスターメモリ112に書き込む。
【0021】
マスター圧縮処理部114は、マスター画像処理部113によって処理された画像信号をマスターメモリ112から読み出して、圧縮などの処理を施すと共に、所定のフォーマットに変換して、「マスター側圧縮画像」を動画としてマスターメモリ112に書き込む。その後、所定のタイミングで「マスター側圧縮画像」は、制御部間通信バス140を介して、スレーブメモリ122に転送される。
【0022】
スレーブ変倍処理部123は、スレーブメモリ122から読み出される画像信号に対して、色処理、ホワイトバランス、ガンマ補正などの処理を施して、YCrCbの輝度と色差信号に変換する。また、スレーブ変倍処理部123は、電子ズームの倍率に応じて、記録媒体129に記録される画像サイズや表示部127に表示される画像サイズに合わせた変倍処理を施し、「スレーブ側記録画像」と「表示画像」をスレーブメモリ122に書き込む。
【0023】
スレーブ圧縮処理部124は、スレーブ変倍処理部123によって処理された記録用の画像信号をスレーブメモリ122から読み出して、圧縮などの処理を施すと共に、所定のフォーマットに変換して、「スレーブ側圧縮画像」をスレーブメモリ122に書き込む。
【0024】
記録回路128は、スレーブメモリ122に格納されている、「マスター側圧縮画像」と「スレーブ側圧縮画像」をそれぞれ、着脱可能な記録媒体129に出力する。
【0025】
記録媒体129は、撮像装置100に着脱可能に構成され、記録回路128から出力される画像データを記録する。記録媒体129は、例えば、CD−R、DVD−R、不揮発性のメモリカードなどを使用する。
【0026】
表示回路126は、スレーブ変倍処理部124で生成された「表示画像」に対してスーパーインポーズ等の処理を施すと共に、例えば、NTSC方式のアナログ信号に変換して、表示部127に出力する。
【0027】
表示部127は、表示回路126から出力される画像データの画像や文字などを表示する。表示部127は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などを使用する。
【0028】
操作部125は、ユーザーからの指示を受け付ける。ユーザーは、操作部125を操作することで、例えば、被写体の撮像、電子ズームの倍率の更新(変更)、ズーミングの方向、動画記録の開始又は終了、表示部127のオン又はオフ、撮像装置100の電源のオン又はオフなどを指示することができる。ユーザーの設定した電子ズーム倍率は、動画記録中は任意に変更可能である。
【0029】
操作部125により表示部127をオンすることで、表示部127に設定項目を表示させ、操作部125により項目選択することができる。例えば、電子ズーム利用の選択、動画記録モードの選択などが可能である。
【0030】
マスター制御部111と、スレーブ制御部121は、撮像装置100の全体(動作)を制御し、本実施例1では、特に、電子ズームと動画記録に関連する動作を制御する。
【0031】
スレーブ制御部121は、操作部125の操作状態を監視し、ユーザーによる操作が検出された場合は、操作状態をマスター制御部111へ通知する。例えば、スレーブ制御部121は、操作部125の操作状態を監視し、電子ズームの操作を検出した場合は、電子ズームの倍率に応じて、スレーブメモリ122に保持された画像データのトリミング領域、スレーブ変倍処理部123における変倍処理の変倍率などを制御し、「表示画像」を生成する。併せて電子ズームの操作状態をマスター制御部111へ通知する。
【0032】
また、スレーブ制御部121は、操作部125の操作状態を監視し、動画記録の開始を検出した場合は、スレーブ圧縮処理部124で「スレーブ側圧縮画像」を生成する。併せて動画記録の開始をマスター制御部111へ通知する。あるいは、スレーブ制御部121は、操作部125の操作状態を監視し、動画記録モードの変更を検出した場合は、マスター制御部111へこれを通知する。マスター制御部111は、スレーブ制御部121から通知される各種操作情報に応じて処理を行う。例えば、マスター制御部111は、スレーブ制御部121から動画記録モードの変更が通知されたときは、動画記録モードに応じて、エリアセンサ104の読み出しモードの切り替えやフレームレートの切り替えを行う。
【0033】
また、マスター制御部111は、スレーブ制御部121から動画記録の開始が通知されたときは、その時にフレームレートに応じて、マスターメモリ112に画像データを取り込み、マスター画像処理部113における画像処理などを制御し、「マスター側記録画像」を生成する。その後、マスター圧縮処理部114で「マスター側圧縮画像」を生成する。
【0034】
また、マスター制御部111は、所定のタイミングでマスターメモリ112に格納されている「マスター側圧縮画像」を読み出して、制御部間通信バス140を介して、スレーブメモリ122に転送する。
【0035】
図2は、本実施例1での動画記録中に電子ズームが操作された場合の、マスター部110、スレーブ部120で生成される動画像データについて説明したタイミングチャートである。
【0036】
図2において、VDは垂直同期信号を示している。「露光番号」は、各垂直同期タイミングで各フレームが露光される順番を示す番号である。
【0037】
「読み出し」で示される斜め実線は、各ラインで読み出し走査が完了するタイミングを示している。「リセット」で示される斜め破線は、各ラインでエリアセンサ102の複数の画素(画素アレー)のリセット走査が完了するタイミングを示している。リセット走査のタイミングを示す斜め破線から読み出し走査のタイミングを示す斜め実線までの時間が各ラインにおける露光時間となる。
【0038】
「メモリ更新」における下矢印は、マスターメモリ112、スレーブメモリ122への画像データの保持(書き込み)が完了するタイミングを示している。
【0039】
書き込みが完了した画像データは、順次、マスター画像処理部113、スレーブ変倍処理部123で処理されて記録画像と表示画像が生成される。なお、表示部127はスレーブ部121にしか接続されていないため、マスター部110では表示画像は生成されない。
【0040】
実線矩形の中央の数字は、対応する露光番号を示していて、番号前の「M」はマスター部、「S」はスレーブ部を表している。また、数字の後の「−D」は表示画像、「−R」は記録画像であることを示している。
【0041】
さて、露光番号2のタイミングで動画記録が開始されると、露光番号3で露光された画像データから動画記録されることになる(図3(A))。
【0042】
マスター部110は、露光番号3で露光された画像データM3からマスターメモリ112への取り込みを開始し、マスター画像処理部113にて画像処理を行い、「全画面画角」の「マスター側記録画像 M3−R」をマスターメモリ112へ書き込む(図3(B))。
【0043】
スレーブ部120は、露光番号3で露光された画像データS3を、スレーブ変倍処理部123にて画像処理を行い、「全画面画角」の「スレーブ表示画像 S3−D」と「スレーブ側記録画像 S3−R」をスレーブメモリ122へ書き込む(図3(C)と図3(D))。
【0044】
次に、露光番号4のタイミングで電子ズーム操作が行われると、露光番号4で露光された画像データから電子ズームを適用することになる。
【0045】
スレーブ部120は、露光番号4で露光された画像データS4を、スレーブ変倍処理部123にて画像処理を行った後、指定された電子ズームの倍率に応じた変倍処理を行い、「電子ズーム画角」の「スレーブ表示画像 S4−D」と「スレーブ側記録画像 S4−R」をスレーブメモリ122へ書き込む。その後も、電子ズーム中は指定された電子ズームの倍率に応じて変倍処理を行う。
【0046】
図2の斜線で示された矩形(S4−D〜S6−Dと、S4−R〜S6−R)が、「電子ズーム画角」のフレームを表している(図3(E)と図3(F))。
【0047】
一方、マスター部110は、マスター画像処理部113で電子ズームの倍率に応じた変倍処理は行わないで、M3以前の画像と同様に画像処理だけを行い、「全画面画角」の「マスター側記録画像 M4−R」をマスターメモリ112へ書き込む(図3(B))。
【0048】
その後、「マスター側記録画像」、「スレーブ側記録画像」ともに、それぞれ圧縮処理部114,124で「マスター側圧縮画像」、「スレーブ側圧縮画像」に処理される。「マスター側圧縮画像」は、マスター制御部111により、所定のタイミングで読み出され、制御部間通信バス140を介して、スレーブメモリ122に転送される。
【0049】
スレーブ制御部121は、「マスター側圧縮画像」、「スレーブ側圧縮画像」のそれぞれを、記録回路128を介して、記録媒体129へ書き込む。本実施例1によれば、電子ズームを用いて動画記録を行った場合でも、同時に電子ズームを施さない「全画面画角」の動画も記録するので、ズーム画角外のシーンも記録することが可能になる。
【0050】
図4は、本実施例1での撮像装置100における、動画記録モードの動作内容を表した図である。本実施例1ではエリアセンサ102から、60fpsのフレームレートで画像データを読み出し、動画記録モードでは記録する動画のフレームレートは読み出しフレームレートと同じ「1920×1080 60fps」となる。記録される画角としては全画面画角とユーザーの設定した電子ズーム倍率の電子ズーム画角となる。
【実施例2】
【0051】
以下、図5および図6を参照して、本発明の実施例2である撮像装置について説明する。
【0052】
実施例1では、「全画面画角」と「電子ズーム画角」の2種類の動画を同時に記録するように構成したが、撮影した「電子ズーム画角」とは異なる「電子ズーム画角」で記録した方が、好ましい画角の映像になるケースも多くある。
【0053】
そこで本実施例2では、ユーザーが設定したフレームレートに応じて、複数の画角の動画を記録することで、「全画面画角」と「電子ズーム画角」だけでなく、予め定められた電子ズーム倍率の「中間電子ズーム画角」の動画も同時に記録できる撮像装置について説明する。予め定められた電子ズーム倍率は、動画記録中は変更不可能である。
【0054】
実施例2が実施例1と異なる構成は、マスター画像処理部113の代わりに第1の変倍処理手段であるマスター変倍処理部115が設けられている点である。マスター変倍処理部115は、マスターメモリ112から読み出される画像信号に対して、色処理、ホワイトバランス、ガンマ補正などの処理を施して、YCrCbの輝度と色差信号に変換する。また、マスター変倍処理部115は、全画面画角の画像処理を施し、「マスター側記録画像」としてマスターメモリ112に書き込む。さらに、マスター変倍処理部115は、予め定められた電子ズームの倍率(5倍)に応じて、記録媒体129に記録される画像サイズに合わせた変倍処理を施し、「マスター側記録画像」をマスターメモリ112に書き込む。
【0055】
なお、本実施例2での撮像装置100の変倍処理部115以外の構成は、実施例1の構成と同様であるため説明を省略する。なお、スレーブ変倍処理処置123が第2の変倍処理手段である。
【0056】
図6は、本実施例2での撮像装置100における、動画記録モードの動作内容を表した図である。本実施例2ではエリアセンサ102から、60fpsのフレームレートで画像データを読み出し、動画記録モードとしては「1920×1080 60fps」と、「1920×1080 30fps」が選択可能であるとする。後者を選択した場合、センサ読み出しフレームレートは、記録媒体129に記録される動画のフレームレートより高速となる。記録する動画のフレームレートは、センサ読み出しフレームレートの1/2に限らず、整数分の1であればよい。
【0057】
いま、ユーザーが動画記録モードとして「1920×1080 30fps」を選択した場合に、マスター部110とスレーブ部120では、60fpsで入力される画像データに対して、1フレームおきに画角を変更してそれぞれ2種類の画角の動画を生成する。この動作を説明したのが図6である。
【0058】
マスター部110では、「全画面画角」と「×5電子ズーム画角」のフレームレート30fps動画が生成され、スレーブ部120では、「実際の電子ズーム画角」と「×10電子ズーム画角」のフレームレート30fpsの動画が生成される。10倍の電子ズーム倍率は予め定められている。
【0059】
なお、ユーザーが動画記録モードとして「1920×1080 60fps」を選択している場合は、すでに実施例1で説明したように、マスター部110では「1920×1080 60fps 全画面」の動画を生成し、スレーブ部120では「1920×1080 60fps 実際の画角」の動画が生成される。
【0060】
図7において、実線矩形の中央の数字は、対応する露光番号を示していて、番号前の「M」はマスター部、「S」はスレーブ部を表している。また、数字の後の「−D」は表示画像、「−R」は記録画像であることを示している。
【0061】
さて、露光番号2のタイミングで動画記録が開始されると、露光番号3で露光された画像データから動画記録されることになる(図8(A))。
【0062】
マスター部110は、露光番号3で露光された画像データM3からマスターメモリ112への取り込みを開始し、マスター変倍処理部115にて画像処理を行い、「全画面画角」の「マスター側記録画像 M3−R」をマスターメモリ112へ書き込む(図8(B))。
【0063】
マスター部110は、続いて入力される露光番号4で露光された画像データM4に対して、マスター変倍処理部115にて画像処理を行った後、電子ズーム5倍相当の変倍処理を行い、「×5倍マスター側記録画像 M4−R」をマスターメモリ112へ書き込む。図7の縦ハッチングで示された矩形(M4−R)が「×5倍の電子ズーム画角」のフレームを表している(図8(C))。
【0064】
マスター部110は、全画面画角のマスター側記録画像と、マスター側×5倍記録画像を交互に生成し、それぞれの画角ごとの動画ファイルを生成する。
【0065】
スレーブ部120は、露光番号3で露光された画像データS3を、スレーブ変倍処理部123にて画像処理を行い、「全画面画角」の「スレーブ表示画像 S3−D」と「スレーブ側記録画像 S3−R」をスレーブメモリ122へ書き込む(図8(D)と図8(E))。
【0066】
次に、露光番号4のタイミングで電子ズーム操作が行われると、露光番号4で露光された画像データから電子ズームを適用することになる。
【0067】
スレーブ部120は、露光番号4で露光された画像データS4を、スレーブ変倍処理部123にて画像処理を行った後、ユーザーにより指定された電子ズームの倍率に応じた変倍処理を行い、「電子ズーム画角」の「スレーブ表示画像 S4−D」と「スレーブ側記録画像 S4−R」をスレーブメモリ122へ書き込む。その後も、電子ズーム中は指定された電子ズームの倍率に応じて変倍処理を行う。
【0068】
また、スレーブ部120は、露光番号5で露光された画像データS5を、スレーブ変倍処理部123にて画像処理を行った後、電子ズーム10倍相当の変倍処理を行い、「スレーブ側×10倍記録画像 S5−R」をスレーブメモリ122へ書き込む。
【0069】
図7の斜ハッチングで示された矩形(S4−D、S6−Dと、S4−R、S6−R)が、「電子ズーム画角」のフレームを表していて(図8(F)と図8(G))、横ハッチングで示された矩形(S5−R)が「×10倍の電子ズーム画角」のフレームを表している(図8(H))。
【0070】
スレーブ部120は、ユーザー操作に応じた電子ズーム画角の画像データと、電子ズーム×10倍相当の画像データを交互に生成し、それぞれの画角ごとの動画ファイルを生成する。
【0071】
その後、「マスター側記録画像」、「スレーブ側記録画像」ともに、それぞれ圧縮処理部114,124で「マスター側圧縮画像」、「スレーブ側圧縮画像」に処理される。
【0072】
「マスター側圧縮画像」は、マスター制御部111により、所定のタイミングで読み出され、制御部間通信バス140を介して、スレーブメモリ122に転送される。
【0073】
スレーブ制御部121は、「マスター側圧縮画像」、「スレーブ側圧縮画像」のそれぞれを、記録回路128を介して、記録媒体129へ書き込む。
【0074】
本実施例2によれば、電子ズームを用いて動画記録を行った場合でも、同時に電子ズームを施さない「全画面画角」の動画と、実際の画角以外のズーム倍率の動画を記録するので、ズーム画角外のシーンの記録や、より良好な画角の動画を記録することが可能になる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
102 エリアセンサ
111 マスター制御部
113 マスター画像処理部
115 マスター変倍処理部
121 スレーブ制御部
123 スレーブ変倍処理部
129 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を生成する撮像手段と、
前記画像情報を全画面画角で処理する画像処理手段と、
前記画像情報を電子ズーム画角で処理する変倍処理手段と、
処理された画像情報を動画として記録する記録手段と、
前記画像処理手段により処理された全画面画角の画像情報と、前記変倍処理手段により処理された電子ズーム画角の画像情報を、前記記録手段に記録させる制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記変倍処理手段で処理する電子ズーム倍率は、ユーザーの設定した電子ズーム倍率であり、動画記録中は任意に変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
画像情報を生成する撮像手段と、
前記画像情報を全画面画角で処理すると共に、前記画像情報を電子ズーム画角で処理する第1の変倍処理手段と、
前記画像情報を電子ズーム画角で処理する第2の変倍処理手段と、
処理された画像情報を動画として記録する記録手段と、
前記撮像手段の読み出しフレームレートが、前記記録手段に記録される動画のフレームレートより高速である場合に、前記第1の変倍処理手段により処理された全画面画角の画像情報と、前記第1の変倍処理手段により処理された電子ズーム画角の画像情報と、前記第2の変倍処理手段により処理された電子ズーム画角の画像情報を、前記記録手段に記録させる制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
第1の変倍処理手段で処理する電子ズーム倍率と第2の変倍処理手段で処理する電子ズーム倍率の一方は、ユーザーの設定した電子ズーム倍率であり、動画記録中は任意に変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1の変倍処理手段で処理する電子ズーム倍率と第2の変倍処理手段で処理する電子ズーム倍率の一方は、予め定められた電子ズーム倍率であり、動画記録中は変更不可能であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−124624(P2012−124624A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272152(P2010−272152)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】