説明

撮像装置

【課題】良好な光学特性を有し、より立体感がある立体画像を撮像できる撮像装置を提供すること。
【解決手段】交換可能な交換撮像レンズを装着する装着部、又は、撮影レンズと、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、撮像面を有し、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、第1の撮影が実施されたときの撮像部の撮像面の中心部近傍における垂線に沿った方向上に、被写体と交換撮像レンズ又は撮像レンズとの間に所定の撮像方向中心点を定義したとき、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、交換撮像レンズ又は撮像レンズの光軸に対して垂直な方向に撮像部を移動させるとともに、撮像方向中心点に対して撮像部の撮像面の垂線を向けさせる信号を出力する撮像素子駆動制御部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像を取得する方法として、デジタルカメラ本体の左右水平方向に並設されて、被写体光を同時に入射可能とする2組の撮像光学系と、この2組の撮像光学系のそれぞれに対応して、各撮像光学系により結像されたそれぞれの被写体光を画像信号に変換して出力する2組のCCDと、で構成された撮像装置がある。この撮像装置では、得られた2組の像の差(視差)により、立体画像を取得・再生する。
【0003】
例えば、特許文献1には、2組の「撮像光学系と撮像素子」のそれぞれの組を、互いに光軸が異なる方向になるように配置して立体画像を撮像する構成が開示されている。
また、特許文献2の電子カメラにおいては、ブレ補正レンズをシフト駆動して立体画像を撮像している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−22150号公報
【特許文献2】特開2010−41381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、2組の撮像光学系と、2つのCCDを使用している。このため、コスト的に高価なデジタルカメラになってしまう。また、2つの撮像光学系をカメラに搭載することで、装置が大型化するという問題がある。
さらに、特許文献2の構成では、光学系のうちの少なくとも1つのレンズを光軸に対してシフトさせているので、シフトさせるレンズによっては、光学特性が変化してしまう。このような場合、基線長の確保が困難である。これにより、光学性能が著しく劣化してしまうおそれがある。
この他にも、撮影者が撮像装置全体を移動させることで立体画像を取得する方法も提案、製品化されているが、操作性や安定性に課題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型、安価であり、良好な光学特性を有し、より立体感がある立体画像を撮像できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の撮像装置は、
交換可能な交換撮像レンズを装着する装着部、又は、撮影レンズと、
撮影のトリガ信号を入力すると共に、1つのトリガ信号に基づいて、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、
撮像面を有し、第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、
第1の撮影が実施されたときの撮像部の撮像面の中心部近傍における垂線に沿った方向上に、被写体と交換撮像レンズ又は撮像レンズとの間に所定の撮像方向中心点を定義したとき、
第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、交換撮像レンズ又は撮像レンズの光軸に対して垂直な方向に撮像部を移動させるとともに、撮像方向中心点に対して撮像部の撮像面の垂線を向けさせる信号を出力する撮像素子駆動制御部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、小型、安価であり、良好な光学特性を有し、より立体感がある立体画像を撮像できる撮像装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態に係るデジタルカメラの基本的な概念を示す上面図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図3】シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
【図4】撮像素子の回転移動の状態を簡略化して示している図である。
【図5】垂直同期信号と撮像素子の状態を対応して示す図である。
【図6】変形例における撮像素子の位置状態を説明する図である。
【図7】第2実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態における撮像素子の位置状態を説明する図である。
【図9】第3実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施形態において、撮像素子の位置状態を示す図である。
【図11】第3実施形態において、撮像素子の位置状態を示す他の図である。
【図12】第3実施形態において、撮像素子の位置状態を示すさらに他の図である。
【図13】第3実施形態において、撮像素子の位置状態を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の撮像装置の構成による作用効果を説明する。なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えない。従って、以下で説明する本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
【0011】
(第1実施形態)
図1(a)、1(b)、1(c)は、それぞれ第1実施形態に係る撮像装置、例えばデジタルカメラの基本的な概念を示す上面図である。詳細な構成に関しては、図2以降を用いて後述する。本デジタルカメラによれば、第1の撮影と、第2の撮影との2回の撮影画像に基づいて、より立体感がある良好な立体画像を得ることができる。このための、最も基本的な動作原理を説明する。
【0012】
図1(a)は、通常の撮影状態を示している。通常の撮影状態では、撮像レンズ群110は、被写体面S1を撮像部120の撮像面121上に結像させる。なお、撮像レンズ群110は、1つのレンズではなく複数のレンズで構成されていても良い。
ここで、撮像レンズ群110は、交換可能な交換撮像レンズ、又は、デジタルカメラに固定されている撮影レンズに対応する。
【0013】
図1(a)において、撮像レンズ群110の光軸AXと、被写体面S1の中心近傍における垂線と、撮像面121の中心近傍における垂線とは、略一致している。
【0014】
次に、図1(b)、1(c)においては、第1の撮影が実施されたときの撮像素子120の撮像面121の中心部近傍における垂線に沿った方向上に、被写体面S1(被写体)と撮像レンズ群110との間に所定の撮像方向中心点Cを定義する。
そして、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、撮像レンズ群110の光軸AXに対して垂直な方向に撮像素子120を移動させる。さらに、このとき、撮像方向中心点Cに対して撮像素子120の撮像面121の垂線を向けさせる。
【0015】
図1(b)、1(c)は、それぞれ最も基本的な撮像素子120の移動の状態を示している。
図1(b)は、撮像方向中心点Cを撮像位置中心点として、撮像素子120が撮像位置中心点を中心に図1(a)の位置から反時計まわり方向へ回転移動した状態を示している。
図1(b)に示すように、撮像素子120を撮像位置中心点を中心に反時計まわり方向へ回転移動させた場合、被写体面S1は、撮像素子120側からみて右端側(図1の上側)が撮像レンズ群110に近づくように傾斜する。さらに、被写体面S1は、撮像素子120側からみて左端側(図1の下側)が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。
このとき、像面は、右端側が撮像レンズ群110に近づくとともに、左端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。
このように撮像素子120における像面が傾いた場合、撮像素子120にピントの合う部分は、奥行き方向にピントが合う位置が異なる画像を取得できることになる。これにより、奥行き情報をもった、第1画像を取得できることになる。
【0016】
図1(c)は、撮像方向中心点Cを撮像位置中心点として、撮像部120が撮像位置中心点を中心に図1(a)の位置から時計まわり方向へ回転移動した状態を示している。
図1(c)に示すように、撮像素子120を撮像位置中心点を中心に時計まわり方向へ回転移動させた場合、被写体面S1は、撮像素子120側からみて左端側が撮像レンズ群110に近づくように傾斜する。また、被写体面S1は、撮像素子120側からみて右端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。
このとき、像面は、撮像素子120側からみて左端側が撮像レンズ群110に近づくとともに、右端側が撮像レンズ群110から遠ざかるように傾斜する。このように像面が傾いた場合、撮像素子120にピントの合う部分は、奥行き方向にピントが合う位置が違う画像を取得できることになり、これが第2画像となる。
【0017】
そして、図1(b)に示すように、被写体面S1が撮像素子120側からみて左奥から右手前に傾くように、撮像素子120を回転移動させて撮影した第1画像を右眼用画像として取得する。さらに、図1(c)に示すように、被写体面S1が撮像素子120側からみて左手前から右奥に傾くように、撮像素子120を回転移動させて撮影した第2画像を左眼用画像として取得する。そして、これらの一対の画像により立体画像を取得する。
【0018】
第1画像と第2画像で異なる視点からの煽り画像を取得できる。
第1画像と第2画像は、一対の立体(3D)画像として、映像出力時に同時に出力することで、立体画像を出力することが可能となる。
【0019】
以上のような被写体面S1の傾きは、シャインプルーフの定理に基づいている。図3は、シャインプルーフの定理を説明するための概念図である。
撮像面とレンズ主面を平行でない配置にすると物体面は平行ではなくなる。このとき、撮像面、レンズ主面、物体面は同一直線上の1点(図3の交点55)で交わる。
【0020】
従って、撮像レンズ50の光軸51に対して、撮像素子の撮像面60が垂直な状態では被写体面70も光軸51に対して垂直となる。これに対して、図3に例示するように、撮像面60が90度以外の角度に傾くと、シャインプルーフの定理により、撮像面60の傾きに対応するように被写体面70が煽られて傾斜する。また、撮像面60の角度を変化させた断面上での像面の高さ方向に光軸51を中心に逆方向に倍率が変化する。
これらの現象により、視差の有無にかかわらず、奥行き方向にピント位置が合った画像を取得することができ、立体画像を生成することができる。
【0021】
図4は、撮像素子120の回転移動の状態を簡略化して示している。撮像方向中心点Cは、撮像位置中心点に相当する。
所定の少なくとも一つの撮像位置中心点Cは、被写体面S1と撮像レンズ群110(交換撮像レンズ又は撮像レンズと)の間に定義されている。そして、撮像素子駆動制御部160Aは、撮像位置中心点Cを中心に撮像部120を回転移動させる信号を出力する。
【0022】
これにより、撮像部120は、撮像位置中心点Cを中心として、反時計まわりに回転移動したときは、位置A1で示す状態となる。これに対して、撮像部120は、撮像位置中心点Cを中心として、時計まわりに回転移動したときは、位置A2で示す状態となる。
【0023】
次に、図2を参照して、デジタルカメラ100の動作・制御について、より詳細に説明する。
図2に示すように、デジタルカメラ100は、撮像レンズ群110、撮像素子120、撮像素子駆動制御部160A、同期信号生成部133、駆動部134、画像処理部141、出力処理部143、記録部144、システム制御部151、及び指示部152を備えている。
【0024】
なお、第1実施形態のデジタルカメラ100は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、監視カメラ、撮影機能付きの携帯電話など、動画表示や動画撮影の機能を備える各種の機器に広く適用することができる。
【0025】
撮像レンズ群110は、光学的な被写体像を撮像素子120の撮像面上に結像するための撮影光学系である。撮像レンズ群110は、例えば、絞りやフォーカスレンズ等を含んで構成されている。
【0026】
撮像素子120は、複数の画素が配列された撮像面121を備え、撮像レンズ群110により結像された光学的な被写体像を光電変換して電気的な画像信号を生成するものである。
【0027】
撮像素子120は、画素単位やライン単位での画素リセット(電子シャッタ先幕)および画素読み出し(電子シャッタ後幕)を所望のタイミングで順次行うことができる。即ち、撮像素子120は、露光時間を変更可能な、撮像素子となっている。撮像素子120の具体例としては、CMOS撮像素子等のXYアドレス型撮像素子を挙げることができる。勿論、撮像素子120は、これに限定されるものではない。
【0028】
同期信号生成部133は、システム制御部151の制御の下に、撮像素子120を駆動するタイミングの基礎となる垂直同期信号VDを生成する。
システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間(撮像フレームレートに対応する垂直同期期間)がある場合には、同期信号生成部133に対してトリガ信号を出力するとともに、垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。
【0029】
一方、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる垂直同期期間がない場合には、予め定められた垂直同期期間を同期信号生成部133に設定する。予め定められた垂直同期期間としては、例えば、標準値として与えられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間や、撮像素子120の駆動に今現在用いられている撮像フレームレートに対応する垂直同期期間がある。
このようにして同期信号生成部133に設定された垂直同期期間の垂直同期信号VDを発生させるように、システム制御部151は同期信号生成部133を制御する。
【0030】
駆動部134は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、読出開始パルスや電子シャッタ開始パルスを発生して撮像素子120を駆動する。
【0031】
撮像素子駆動制御部160Aは、撮像素子煽り制御部162と、撮像素子煽り駆動部161と、撮像素子回転角制御部164と、撮像素子回転駆動部163を備えている。そして、撮像素子駆動制御部160Aは、撮像素子120の各種駆動を行う。
【0032】
撮像素子駆動制御部160A内の撮像素子煽り制御部162は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像素子120の煽り制御を行う。
撮像素子煽り制御部162は、垂直同期信号VDのブランキング期間中に撮像素子120の煽り動作が完了するように制御を行う。システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる3Dモードに従い、撮像素子120の煽りの角度を設定し、撮像素子120の煽り制御を行う。
【0033】
撮像素子煽り駆動部161は、撮像素子煽り制御部162からの制御指示(制御信号)に従って撮像素子120の煽り駆動を行う。撮像素子120の煽り駆動は、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターなどを用いて行うことができる。また、煽り駆動は、これらの構成に限られず、その他の構成でも良い。
【0034】
撮像素子回転角制御部164は、システム制御部151の制御の下に、同期信号生成部144によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像素子の回転角制御を行う。具体的には、垂直同期信号VDのブランキング期間中に撮像素子の回転動作が完了するように制御を行う。ここに、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる3Dモードに従い撮像素子120の回転角度を設定し、撮像素子120の回転制御を行う。
【0035】
画像処理部141は、撮像素子120により撮像されて読み出された画像信号に各種の画像処理を施すものであり、3Dフォーマット変換部142を含んで構成されている。3Dフォーマット変換部142は、指示部152が3Dモードを選択すると、システム制御部151によって3Dモードに設定される。
【0036】
3Dフォーマット変換部142は、設定されたモードに対応し、3Dフォーマット変換を行う。3Dフォーマット変換としては、例えば、SIDE BY SIDE、LINE BY LINE、ABOVE−BELOW、CHECKERBOARDを用いる。
【0037】
出力処理部143は、画像処理部141により表示用に処理された画像(3Dフォーマット変換された画像を含む)を、TV等の外部表示装置への画像出力を行う。さらに、このデジタルカメラ100の操作に係るメニューの表示などを行う表示デバイスへの画像出力処理も行う。
【0038】
記録部144は、画像処理部141により記録用に処理された画像データを不揮発に記憶するものであり、例えばメモリカードなどのデジタルカメラ100の外部に搬出し得るリムーバブルメモリとして構成されている。従って、記録部144は、デジタルカメラ100に固有の構成でなくても構わない。
【0039】
指示部152は、このデジタルカメラ100に対する操作入力を行うためのユーザーインタフェースであり、電源のオン/オフを指示するための電源ボタンや撮影開始を指示するための撮影ボタン、3Dモード等を設定するための撮像モード設定ボタン、その他各種の設定ボタンなどを含む。
【0040】
次に、図5(a)、5(b)、5(c)を用いて、撮像素子120の回転駆動と煽り駆動のタイミングを、詳細に説明する。
図5(a)のVD信号は、撮像素子120の垂直同期信号を示している。
図5(b)は撮像素子120の状態を示している。「Exposure」は撮像素子120の露光期間を示し、「V Blank」は撮像素子120の垂直ブランキング期間を示している。また、「R固定」は、3D撮像モード時の右側画像を撮像している状態を示し、「L固定」は3D撮像モード時の左側画像を撮像している状態を示している。また、横方向は、経過時間として示している。
【0041】
また、図5(c)は、撮像素子120の回転状態を示している。撮像素子120の回転状態は、撮像素子120を真上から見た状態を示している。デジタルカメラ100(撮像装置)が3Dモードに設定されたときは、撮像素子120の垂直同期信号VDを基準として、撮像素子120が垂直ブランキング中に左側(L側)あるいは右側(R側)が撮像可能となるように撮像素子の回転駆動と撮像素子の煽り駆動を行う。
【0042】
露光期間中において、撮像素子120は、右側または左側に固定されている。そして、撮像素子120の回転駆動と撮像素子の煽り駆動を繰り返し、右側、左側の画像を交互に撮像する。
【0043】
撮像素子120の回転角は、3Dの設定モードにより複数の回転角で駆動することが可能である。さらに、煽りの角度は3Dの設定モードにより複数の角度で煽ることが可能である。
これにより、立体画像を取得する際の自由度が大きくなる。
【0044】
本実施形態では、撮像素子駆動制御部160Aは、略同じ位置に定義されている及び撮像位置中心点C(撮像方向中心点)に基づいて、信号を出力する。
これにより、撮像素子120は、同一の回転中心位置を基準として定められる円周に沿って、回転移動することになる。
【0045】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図6は、撮像素子駆動制御部160Aからの制御信号に基づいて、撮像素子120が撮像位置中心点(撮像方向中心点)Cを中心として5つの位置A、A1、A2、A3、A4に回転移動した状態を示している。
【0046】
ここで、第1画像と第2画像を以下の表1に掲げる9通りの組合せとすることができる。なお、以下の組合せは例示であり、さらに他の位置状態との様々な組合せを選択することができる。
(表1)
第1の画像 第2の画像
(1) A1 A2
(2) A1 A
(3) A1 A3
(4) A1 A4
(5) A A3
(6) A A2
(7) A A4
(8) A3 A2
(9) A3 A4

【0047】
上記(1)と(9)の場合、撮像素子駆動制御部160Aは、第1の撮影における撮像素子120の位置及び撮像面121の方向と、第2の撮影における撮像素子120の位置及び撮像面121の方向と、が光軸AXに関して互いに略対称となるように信号を出力する。
【0048】
上記(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)の場合、撮像素子駆動制御部160Aは、第1の撮影における撮像素子120の位置及び撮像面121の方向と、第2の撮影における撮像素子120の位置及び撮像面121の方向と、が光軸AXに関して互いに略対称とならないように、信号を出力する。
【0049】
上記(2)の場合、撮像素子駆動制御部160Aは、第2の撮影における撮像面121が光軸AXに対して略直交するように信号を出力する。
これにより、図6の位置Aに示しように、撮像素子120の中心近傍における垂線と光軸AXとは略一致する。
【0050】
上記(5)、(6)、(7)の組合せを行う場合、撮像素子駆動制御部120は、第1の撮影の際に撮像面121が光軸AXに対して略直交する角度に設定されていなかった場合、光軸AXに対して略直交するように信号を出力する。
これにより、これら3通りの組合せの場合、第1の撮影は、位置Aの状態の撮像素子120により行うことができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るデジタルカメラ200について説明する。
図7は、デジタルカメラ200の機能ブロック図である。上記第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】
撮像素子駆動制御部160Bは、撮像素子煽り制御部162と、撮像素子煽り駆動部161と、撮像素子回転中心制御部165と、撮像素子回転駆動部と163を備え、撮像素子の各種駆動を行う。
【0053】
撮像素子煽り制御部162と、撮像素子煽り駆動部161に対して、上記第1実施形態において説明した内容の素子煽り駆動を行う制御信号を出力する。
本実施形態では、撮像素子駆動制御部160B内の撮像素子回転中心制御部165は、システム制御部の制御の下に、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像素子120の回転角中心制御を行う。
【0054】
具体的には、撮像素子回転中心制御部165は、垂直同期信号VDのブランキング期間中に撮像素子120の回転中心位置を決定し、回転動作が完了するように制御を行う。また、システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる3Dモードに従い撮像素子120の回転中心位置を設定し、撮像素子120の回転制御を行う。
【0055】
撮像素子回転駆動部163は、撮像素子回転中心制御部165の制御指示に従い撮像素子120の回転駆動を行う。回転駆動は、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターなどを用いて行うことができる。また、回転駆動は、これらの構成に限られず、その他の構成でも良い。
【0056】
次に、撮像素子120の回転駆動と煽り駆動のタイミングを詳細に説明する。第1実施形態と同様に、撮像素子120が垂直ブランキング中に左側(L側)あるいは右側(R側)が撮像可能となるように撮像素子120の回転駆動と撮像素子120の煽り駆動を行う。
【0057】
露光期間中において、撮像素子120は、右側または左側に固定されている。そして、撮像素子120の回転駆動と撮像素子120の煽り駆動を繰り返し、右側、左側の画像を交互に撮像する。
撮像素子回転角中心位置Cは、3Dの設定モードにより複数の回転角で駆動することが可能である。
また、撮像素子120の煽りの角度は3Dの設定モードにより複数の角度で煽ることが可能である。
【0058】
図8は、本実施形態における撮像素子120の駆動を説明するための図である。
上記第1実施形態では、被写体面S1と撮像レンズ群110との間に1つの撮像位置中心点Cを定義している。
これに対して、本実施形態では、図8に示すように、被写体面S1と撮像レンズ群110との間に2つの撮像位置中心点C1、C2を定義している。
撮像素子駆動制御部160Bは、撮像位置中心点C1またはC2を中心に撮像素子120を回転移動させる信号を出力する。
【0059】
例えば、撮像素子120は、撮像位置中心点C1を中心に回転移動することで、位置A11、A12の状態となる。また、撮像素子120は、撮像位置中心点C2を中心に回転移動することで、位置A21、A22の状態となる。
また、撮像位置中心点の数は、少なくとも1つ定義できる。換言すると、撮像位置中心点Cは、2つに限られず、3つ以上定義することもできる。
【0060】
ここで、上記第1実施形態、第2実施形態では、撮像位置中心点C(撮像方向中心点)は、光軸AX上に定義されている。これに限られず、撮像素子駆動制御部160A、160Bは、光軸AX上とは異なる位置に定義されている撮像方向中心点及び撮像位置中心点に基づいて、信号を出力することもできる。
これにより、撮像素子120の回転駆動の自由度を大きくすることができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るデジタルカメラ300について説明する。
図9は、デジタルカメラ300の機能ブロック図である。上記第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0062】
撮像素子駆動制御部160Cは、撮像素子煽り制御部162と、撮像素子煽り駆動部161と、撮像素子X、Y駆動制御部167と、撮像素子X方向駆動部166aと、撮像素子Y方向駆動部166bとを備え、撮像素子120の各種駆動を行う。
【0063】
撮像素子煽り制御部162は、撮像素子煽り駆動部161へ、上記第1実施形態において説明した内容の素子煽り駆動を行う制御信号を出力する。
【0064】
撮像素子X、Y駆動制御部167は、システム制御部151の制御に基づいて、同期信号生成部133によって生成された垂直同期信号VDをタイミングの基礎として、撮像素子のX、Y駆動制御を行う。
【0065】
ここで、X軸、Y軸は、図10の紙面内で定義される直交2軸座標である。つまり、本実施形態では、撮像素子駆動制御部160Cは、第1の撮影が実施された後であって第2の撮影が実施されるまでの間に、光軸AXに沿った方向及び/または光軸AXに略垂直な方向に撮像部素子120移動させる信号を出力する。
【0066】
具体的には、撮像素子X、Y駆動制御部167は、垂直同期信号VDのブランキング期間中に撮像素子120のX方向への駆動、Y方向への駆動が完了するように制御を行う。システム制御部151は、指示部152からの入力に基づいて定まる3Dモードに従い撮像素子120のX方向の駆動量、Y方向の駆動量を設定し、撮像素子120のX、Y駆動制御を行う。
【0067】
撮像素子X方向駆動部166aは、撮像素子X、Y駆動制御部167の制御指示に従い撮像素子120のX方向への駆動を行う。撮像素子120のX方向への駆動は、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターなどを用いて行うことができ、前記以外でも煽り駆動ができればどのようなものでもよい。
【0068】
また、撮像素子Y方向駆動部166bは、撮像素子X、Y駆動制御部167の制御指示に従い撮像素子120のY方向への駆動を行う。撮像素子120のY方向への駆動は、ボイスコイルモーター(VCM)、ステッピングモーター、超音波モーターなどを用いて行うことができ、前記以外でも煽り駆動ができればどのようなものでもよい。
【0069】
さらに、撮像素子煽り制御部162と、撮像素子煽り駆動部161に対して、上記第1実施形態において説明した内容の素子煽り駆動を行う制御信号を出力する。
【0070】
次に、撮像素子120のX、Y方向駆動と煽り駆動のタイミングを詳細に説明する。第1実施形態と同様に撮像素子120が垂直ブランキング中に、左側あるいは右側が撮像可能となるように撮像素子120のX、Y方向駆動と、撮像素子120の煽り駆動を行う。
【0071】
露光期間中においては、撮像素子120を右側または左側に固定する。撮像素子120のX、Y方向駆動と、撮像素子120の煽り駆動を繰り返し、右側、左側の画像を交互に撮像する。
【0072】
ここで、X、Y方向の駆動量は3Dの設定モードにより複数の駆動量で駆動することが可能である。
また、煽りの角度は3Dの設定モードにより複数の角度で煽ることが可能である。
【0073】
次に、図10(a)、10(b)、11(a)、11(b)、12を用いて本実施形態における撮像素子120の移動状態を詳細に説明する。
図10(a)、10(b)、11(a)、11(b)、12は、それぞれ撮像素子120を上から見た状態(撮像素子120を側面方向から見た状態)を示している。
図10(a)に示す初期状態を(x0、y0、θ0)と定義する。3Dモードが設定された際に、撮像素子X、Y駆動制御部167に設定された値だけ、撮像素子X方向駆動部166aはX軸方向へ撮像素子120を移動させる。また、撮像素子Y方向駆動部166bはY軸方向へ撮像素子120を移動させる。
【0074】
図10(b)に示す状態を(x1、y1、θ0)と定義する。次に、撮像素子煽り制御部162に設定された角度θ1だけ撮像素子120を煽らせる。
図11(a)の状態を(x1、y1、θ1)として、右側の画像を撮像する。次に、撮像素子X、Y駆動制御部167に設定された値だけ、撮像素子X方向駆動部166aはX軸方向へ撮像素子120を移動させる。また、撮像素子Y方向駆動部はY軸方向へ撮像素子120を移動させる。
【0075】
図11(b)の状態を(x2、y2、θ1)と定義する。次に、撮像素子煽り制御部162に設定された角度θ2だけ撮像素子120を煽らせる。この状態を図12に示す(x2、y2、θ2)として、左側の画像を撮像する。
【0076】
このような、撮像素子120のX方向、Y方向への移動と、煽り駆動との組合せにより、例えば、図13で示す位置A0、B0、B1、C0、C1の状態を実現できる。そして、上記第1実施形態の変形例でのべたように、任意の2つの位置状態にて画像を撮像できる。
【0077】
X、Y方向への移動と煽り動作は、撮像素子120のブランキング期間中に行い右側の画像、左側の画像を1組として3D画像に用いる。また、X方向への移動、Y方向への移動、煽り動作は別々に制御してもかまわないし、同時に制御してもかまわない。
【0078】
上記各実施形態においては、立体画像を取得する際に、撮像レンズ群をシフトすることなく、基線長を確保できる。これにより、より立体感を有する画像を取得できる。また、構成を簡便にできるため、装置全体の小型化、低コスト化も達成できる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明に係る撮像装置は、デジタルカメラにおける立体(3D)画像取得に有用である。
【符号の説明】
【0080】
AX 光軸
S1 被写体面
100 デジタルカメラ(撮像装置)
110 撮像レンズ群
120 撮像素子
121 撮像面
133 同期信号生成部
134 駆動部
141 画像処理部
142 3Dフォーマット変換部
143 出力処理部
144 記録部
151 システム制御部
152 指示部
161 撮像素子煽り駆動部
162 撮像素子煽り制御部
163 撮像素子回転駆動部
164 撮像素子回転角制御部
165 撮像素子回転中心制御部
166a 撮像素子X方向駆動部
166b 撮像素子Y方向駆動部
167 撮像素子X駆動制御部
200 デジタルカメラ(撮像装置)
300 デジタルカメラ(撮像装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能な交換撮像レンズを装着する装着部、又は、撮影レンズと、
撮影のトリガ信号を入力すると共に、1つの前記トリガ信号に基づいて、第1の同期信号と第2の同期信号を出力する同期信号生成部と、
撮像面を有し、前記第1の同期信号に基づいて第1の撮影を実施し、前記第2の同期信号に基づいて第2の撮影を実施する撮像部と、
前記第1の撮影が実施されたときの前記撮像部の前記撮像面の中心部近傍における垂線に沿った方向上に、被写体と前記交換撮像レンズ又は前記撮像レンズとの間に所定の撮像方向中心点を定義したとき、
前記第1の撮影が実施された後であって前記第2の撮影が実施されるまでの間に、前記交換撮像レンズ又は前記撮像レンズの光軸に対して垂直な方向に前記撮像部を移動させるとともに、前記撮像方向中心点に対して前記撮像部の前記撮像面の前記垂線を向けさせる信号を出力する撮像素子駆動制御部と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
前記被写体と前記交換撮像レンズ又は前記撮像レンズとの間に所定の少なくとも一つの撮像位置中心点を定義したとき、
前記撮像素子駆動制御部は、前記撮像位置中心点を中心に前記撮像部を回転移動させる信号を出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子駆動制御部は、前記第1の撮影が実施された後であって前記第2の撮影が実施されるまでの間に、前記光軸に沿った方向及び/または光軸に略垂直な方向に前記撮像部を移動させる信号を出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子駆動制御部は、前記光軸上とは異なる位置に定義されている前記撮像方向中心点及び前記撮像位置中心点に基づいて、前記信号を出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子駆動制御部は、略同じ位置に定義されている前記撮像方向中心点及び前記撮像位置中心点に基づいて、前記信号を出力する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子駆動制御部は、前記撮像素子を前記移動させる量を自由に設定可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像素子駆動制御部は、前記第1の撮影における前記撮像部の位置及び前記撮像面の方向と、前記第2の撮影における前記撮像部の位置及び前記撮像面の方向と、が前記光軸に関して互いに略対称となるように、前記信号を出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子駆動制御部は、前記第1の撮影における前記撮像部の位置及び前記撮像面の方向と、前記第2の撮影における前記撮像部の位置及び前記撮像面の方向と、が前記光軸に関して互いに略対称とならないように、前記信号を出力する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像素子駆動制御部は、前記第2の撮影における前記撮像面が前記光軸に対して略直交するように前記信号を出力する請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子駆動制御部は、前記第1の撮影の際に前記撮像面が光軸に対して略直交する角度に設定されていなかった場合、前記光軸に対して略直交するように前記信号を出力する請求項8に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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