説明

撮像装置

【課題】撮影を開始してから動画撮影モード設定の間違いに気付いたときに、動画撮影モードの設定を変更し、変更された動画撮影モードに従った撮影中の動画像ファイルを作成すること。
【解決手段】撮像装置は、動画像の撮影開始から所定時間内では、動画撮影モードの設定を受付けるとともに、撮影された動画像データを記録し、所定時間の経過後に、所定時間内に記録された動画像データを、設定されている現在の動画撮影モードに従って変換して記録するよう制御するための制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像プログラム、特に動画像の撮影機能を有する撮像装置および動画像撮像プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の動画撮影可能なデジタルカメラは、前もってユーザが動画撮影モードの設定を行うことで、撮影する動画のフレームレートなどを予め設定することができるようになってきた。
【0003】
このようなデジタルカメラの中には、動画撮影中にユーザのフレームレート切り替え指示によって、撮影の途中からフレームレートを切り替えて記録することが可能なものも登場している。
【0004】
このようなデジタルカメラとして、フレームレート切り替え指示の直後からフレームレートを切り替えるものや、フレームレート切り替え指示からバッファに残っている動画像データ分だけフレームレートを切り替えるものが提案されている。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-352581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、切り替え指示より後の撮影で得られる動画像または、バッファに残っている分の動画像にしか、切り替え後のフレームレートを適用できない。
【0007】
そのため、動画撮影を開始してからユーザが動画撮影モード設定の間違いに気付かないままでいると、所望のフレームレートを撮影された動画像の最初から適用し直すことはできなかった。すなわち、撮影済みの動画像に対して、動画撮影モードの設定を修正することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを目的とする。具体的には、ユーザが動画撮影モードの設定の誤りに気づかないまま動画撮影を続けたときに、フレームレートの修正ができない撮影済みの動画像が発生してしまうのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件発明によれば、少なくとも二つの動画撮影モードを持つ撮像装置は、撮像手段と、動画撮影モード設定手段と、撮像手段で取得された動画像データを、撮影モード設定手段で設定されている撮影モードと他の動画撮影モードのうちの少なくとも一つに従って変換するための変換手段と、撮像手段および変換手段のうちのいずれかからの動画像データを記録するための記録手段とを備え、撮像手段による動画像データの取得の開始から所定時間内では、撮影モード設定手段による撮影モードの設定を受付けるとともに、撮像手段からの動画像データおよび変換手段により他の撮影モードに従って変換された動画像データのうちのいずれか一つを記録手段が記録し、所定時間の経過後に、所定時間内に記録手段によって記録された撮像手段からの動画像データを、撮影モード設定手段により設定されている現在の動画像撮影モードにしたがって変換手段により変換して記録手段により記録するよう制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが動画撮影モードの設定の誤りに気づかないまま動画撮影を続けても所定時間内であればフレームレートを修正することができ、意図しないフレームレートの撮影済みの動画像が記録されるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施例に係わるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係わるデジタルカメラのユーザインターフェイスを説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係わるデジタルカメラの撮影モード時の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係わるデジタルカメラの撮影モード時の表示方法例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係わる撮影モード時の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係わる撮影モード時の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる一実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
本実施例では、動画像データの記録と再生が可能なデジタルカメラに本件発明を適用した例を説明する。本実施例のデジタルカメラは撮影モードと再生モードを有し、さらに動画撮影時の撮影モードとして「高フレームレートモード」と「高画質モード」の二つを有するものとする。
【0014】
また本実施例のデジタルカメラは、撮影開始から30秒の間は、撮影モードの変更が可能な構成になっている。なお、本実施例では撮影モード変更可能時間(所定時間)を30秒とするが、これ以外の時間にしても良い。
【0015】
ここで、各撮影モード時の動画像データの仕様を次に示す。
高フレームレートモード時の動画像データ:
画像サイズ:640x360
フレームレート:300fps
高画質モード時の動画像データ:
画像サイズ:1920x1080
フレームレート:60fps
【0016】
上記のように各撮影モードによって、フレームレートと画像サイズがそれぞれ異なる。それ以外の仕様項目は同じであるため、ここでの説明では省略する。
【0017】
なお、本実施例のデジタルカメラで記録される動画像データは、 MotionJPEG形式の画像データとする。しかし、これ以外の形式の動画像データでも本発明は適用される。例えば、MPEGのようにフレーム間圧縮を行なう圧縮形式の画像データにも本発明は適用可能である。
【0018】
まず、本実施例におけるデジタルカメラの構成を図1および図2を参照して説明示する。本実施例のデジタルカメラのユーザインターフェイスは、図2に示すように、撮影画像や再生画像などを表示する液晶ディスプレイ(LCD)2A、静止画撮影を指示する静止画撮影ボタン2B、および動画像撮影を指示する動画撮影ボタン2Cを有する。
【0019】
また、上記インターフェイスは、再生モード、撮影モードおよび電源OFF状態を切り替えるモード切替スイッチ2D、デジタルカメラの操作を行うために使用する操作ボタン2E、setボタン2F、menuボタン2Gも有する。操作ボタン2Eは上下左右の4つのボタンで構成されており、この操作ボタン2Eと、setボタン2F、menuボタン2Gの3つを使って、デジタルカメラの撮影/再生操作やデジタルカメラ設定を行うことができる。モード切替スイッチ2Dは、左に操作すると再生モード、右に操作すると撮影モード、中央に位置させると電源OFFの状態に切り替えることができる。以上のように、本実施例のデジタルカメラのユーザインターフェイスは構成されている。
【0020】
図1は本実施例のデジタルカメラの構成のブロック図を示す。
図1において、10は被写体の光学像を取得して電気信号に変換する撮像部である。撮像部10は、撮影レンズ、シャッター・絞り、電荷結合素子(CCD)で構成されており、オートフォーカス機能を持つ。撮像部10で変換された電気信号は、アナログ−デジタル(A/D)変換器30に送られる。また撮像部10の動作に関する情報は、システムコントローラ70に送られる。
【0021】
20は、音声を電気信号に変換するマイクである。
【0022】
30は、前述のA/D変換器である。撮像部10からの信号をデジタル信号に変換して、エンコーダ40に送信する。また撮影モードの場合は、モニタ130に表示するためにデジタル−アナログ(D/A)変換器120に送信する。
【0023】
40は、デジタル画像データを圧縮符号化する機能を有するエンコーダである。本発明では、フレームデータをMotionJPEG形式で圧縮するものとする。もちろん、それ以外の圧縮方式を用いても本発明は適用される。エンコーダ40は、システムコントローラからの指示に応じて、圧縮したフレームデータをシステムコントローラ80やデータアクセス制御部50に送る。
【0024】
50は、メモリカード70や内部メモリ60とのデータのやり取りを制御するデータアクセス制御部である。システムコントローラ80からの指示に従い、画像データの記録や読み込みを行う。
【0025】
60は内部メモリであり、制御プログラムが格納されている読み出し専用メモリ(ROM)と、一時的な記憶のためのメモリとして使用するための読み書き可能なメモリからなる。内部メモリ60は、一時的に動画像データを記録するためにも使用される。
【0026】
70は、取り外し可能な外部記録媒体(記録メディア)であるメモリカードである。動画像データなどのデジタルデータをファイル形式で記録する。
【0027】
80は、本装置の全般的な動作や信号処理を制御するシステムコントローラであり、マイクロコンピュータを有する。デジタルカメラ全体の処理を実現するために必要な制御プログラムが、システムコントローラ80に記録されている。
【0028】
90は、デジタルカメラの操作部である。本実施例では、図2の静止画撮影ボタン2B、動画撮影ボタン2C、モード切替スイッチ2D、操作ボタン2E、setボタン2F、menuボタン2Gに対応する。操作部での操作情報はシステムコントローラ70に送られ、そこで管理される。
【0029】
100は、圧縮符号化されたデジタルデータを復号する機能を持つデコーダである。再生モードの場合に、メモリカード70に記録されている圧縮画像データを受信して、デコード処理してD/A変換器120に送信する。
【0030】
120は、D/A変換器である。A/D変換器30やデコーダ100から受け取った画像データをアナログデータに変換して、モニタ130に送信する。また必要に応じて、システムコントローラ80から受け取った文字データを、画像データに多重化して送信する。
【0031】
130は、例えばLCDなどの表示部である。図2のLCD 2Aに対応する。
【0032】
140は、音を出力するためのスピーカである。
【0033】
次に、本実施の形態に係る動画像撮像装置の動作を図を参照して説明する。
【0034】
本実施例のデジタルカメラは、メモリカード70に画像データを記録する撮影モードと、メモリカード70に記録されている画像データを再生する再生モードの2つのモードがある。本実施例では、モード切替スイッチ2Dを右に操作したときに設定される撮影モードでの撮影動作、特に動画撮影ボタン2Cが押された際の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。静止画撮影の動作、再生モードの動作については、本発明とは関係がないため説明を省略する。
【0035】
なお本実施例では、本発明のフローチャートの処理を実現する制御プログラムがシステムコントローラ80に記録されている例を示す。しかし、制御プログラムがメモリカードなどの外部記録媒体70に記録され、システムコントローラ80にロードして実行する形態も可能である。また、ネットワーク上にあるプログラムをシステムコンントローラ80にロードして実行する形態に対しても、本発明は適用される。
【0036】
図3のフローチャートの処理は、動画撮影ボタン2Cが押された際に実行される。
【0037】
システムコントローラ80はステップS300で、動画の「撮影モード情報」と「撮影モード変更情報」を、モニタ130に撮影画像に重ねて表示する。「撮影モード変更情報」には撮影モードを変更できる時間の残り時間も含ませ、撮影開始直後は「30秒」と表示する。なお、残り時間は、撮影経過時間に応じて値を小さくしていく。例えば、撮影時間が12秒経過した時点では、撮影モードの変更可能な時間の残り時間は「18秒」となる。表示方法例については、後で図4を用いて説明する。
【0038】
システムコントローラ80はステップS310で、撮像部10から出力される1フレーム分の画像データをエンコードして、内部メモリに記録する処理を行う。この処理は、1フレーム毎に行う。本実施例では、「高フレームレートモード」と「高画質モード」のどちらのデータも作成できるように、内部メモリには次の仕様の動画像データを記録する。
内部メモリに一時的に記録される動画像データ:
画像サイズ:1920x1080
フレームレート:300fps
【0039】
本実施例では、内部メモリに一時的に記録する動画像データはMotionJPEG方式で圧縮したデータとするが、それ以外の方式で圧縮した動画像データでも良い。例えば、画質等を考慮する場合は、可逆な動画像データを一時的に記録する構成でも良い。
【0040】
次に、システムコントローラ80はステップS320で、ユーザが撮影モードを変更したかどうかの判断を行う。撮影モードの変更方法例については、後で説明する。撮影モードに変更があった場合は処理をステップS330に移す。
【0041】
撮影モードの変更があった場合に、処理をステップS330に進める。システムコントローラ80はステップS330で、内部で管理している撮影モード情報を変更して撮影モードを変更する。
【0042】
システムコントローラ80はステップS340で、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかの判断を行う。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS395 に移す。なお、動画像データ記録処理中に動画像撮影ボタン2Cを押す動作が、撮影終了操作となる。
【0043】
システムコントローラ80はステップS350で、撮影開始から、撮影モード変更可能時間が経過したかどうかの判断を行う。つまり本実施例では、撮影開始から30秒経過したかどうかの判断を行う。30秒経過していない場合(所定時間内)は、処理をステップS300に戻す。経過した場合は、撮影モード変更の受付を終了することを示すメッセージまたはアイコンなどをモニタ130に表示した後(S351)、処理をステップS360に進める。
【0044】
ステップS300からステップS350までの処理を繰り返すことで、最大30秒分の動画像データが内部メモリ60に記録される。またその間ユーザは、撮影モードの変更を行うことが可能となる。
【0045】
ステップS351では、撮影モードの変更の受付を終了することを通知する。これによって、ユーザに現在の撮影モードの設定を確認する機会を与える。なお、ここで現在の撮影モードも表示するようにしてもよい。すなわち、表示によって、ユーザは誤りに気づき、撮影モードの設定を変更して、撮影の開始時点から変更後の撮影モードを適用した撮影結果を得ることができる。
【0046】
ステップS360は、撮影開始から撮影モード変更可能時間(30秒)経過した場合に実行される。システムコントローラ80はステップS360で、内部メモリ60に記録されている動画像データを読み込み、設定された撮影モードに応じた動画像データに変換してからメモリカード70に記録する処理を行う。このステップでは、1フレーム毎に保存処理を行う。
【0047】
設定された撮影モードが「高フレームレートモード」の場合は、内部メモリ60に記録されている画像データを画像サイズ640x360に縮小処理してからメモリカード70に記録する。
【0048】
設定された撮影モードが「高画質モード」の場合は、内部メモリ60に記録されている画像データのフレームレートを変換してからメモリカード70に記録する。本実施例では、300fpsから60fpsになるように、フレームレートを5分の1に変換する処理を行う。本実施例のフレームレートの変換では、5フレーム分のデータを読み込み、1フレームのデータだけ残すフレーム間引き処理を行うこととする。もちろん、高画質化のために全フレームを使用したフレームレート変換処理など、それ以外の方法でも良い。フレームレート変換処理は、内部メモリに5フレーム以上のデータが無い場合は処理をスキップする。
【0049】
システムコントローラ80はステップS370で、ステップS360で処理をした画像データを内部メモリ60から削除する処理を行う。この処理で、処理済の画像データを内部メモリ60から削除するため、内部メモリの使用量はこれ以上増えないことになる。
【0050】
システムコントローラ80はステップS380で、エンコーダ40から出力される1フレーム分の圧縮フレームデータを内部メモリに記録する処理を行う。このステップでは、1フレーム毎に処理を行う。この処理は、ステップS310の処理と同じである。
【0051】
システムコントローラ80はステップS390で、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS395 に進める。撮影終了でない場合は、引き続き撮影処理を続けるために、処理をステップS360に戻す。
【0052】
ステップS360からステップS390を繰り返すことで、内部メモリ60の使用容量の増加を抑えながら、通常の撮影を継続することが可能となる。また同時に、設定された撮影モードに対応した動画像データを、メモリカード70に記録していくことが可能となる。
【0053】
ステップS395は、撮影終了操作があった場合に実行される。システムコントローラ80はステップS395で、内部メモリ60に記録されている動画像データを読み込み、設定された撮影モードに応じた動画像データに変換してからメモリカード70に記録する処理を行う。この処理で、内部メモリに残っている動画像データの全てがメモリカード70に記録される。
【0054】
システムコントローラ80はステップS397で、内部メモリ60をクリアする処理を行う。ステップS397の処理を抜けると、撮影処理が終了となる。
【0055】
次に、ステップS300の表示方法例と、ステップS320の撮影モードの変更方法の例を図4を用いて説明する。
【0056】
図4(a)は、撮影開始直後のLCD(2A)での表示例である。撮影中の映像に重ねて、撮影モード情報40と撮影モード変更情報42を、それぞれ表示する。
【0057】
撮影モード情報40は、現在設定されている動画の撮影モードを文字列で表示する。図4(a)の例では、現在、撮影モードは「高フレームレートモード」に設定されていることが分かる。
【0058】
撮影モード変更情報42は、変更可能な撮影モードと、撮影モードの変更可能な時間の残り時間を表示する。図4(a)の例では、「高画質モード」に変更可能で、撮影モードの変更可能な時間の残り時間は「30秒」ということが分かる。これにより、ユーザは残り時間が少ないと気づいたときに、撮影モードを確認して、誤った設定であれば、変更操作を行うことができ、撮影開始からの動画像に対して変更後の撮影モードを適用した撮影画像を得ることができる。なお、撮影モードの変更が可能な時間と、モニタに表示を開始する残り時間は差をつけても良い。例えば、撮影モードの変更が可能な時間が撮影開始から30秒であっても、モニタには残り10秒になってから撮影モードの変更可能な残時間を表示するようにしてもよい。これにより、撮影開始からではなく、撮影モードの変更可能時間が迫ってから表示されるので、ユーザに確認の必要性を強調して通知することができる。
本実施例の撮影モード変更は、操作ボタン(2E)の右ボタンを使用する仕様とする。ユーザが右ボタンを押下することで撮影モードを変更ことが可能となる。撮影モード変更方法が分かりやすいように、撮影モード変更情報42の左端に右ボタン操作を現すマーク「>」を表示する。
【0059】
撮影モードが変更された表示例を図4(b)に示す。
図4(b)は高画質モードに変更したときの表示の例で、撮影モード情報44として「高画質モード」が表示されている。
また、変更可能な撮影モードが高フレームモードになるので、撮影モード変更情報46として「高フレームモード」を表示している。この表示例からは、変更可能な残時間が「18秒」ということが分かる。
【0060】
このように撮影開始からの一定時間は、「撮影モード情報」、「撮影モード変更情報」を表示するため、ユーザは撮影モードの間違いに気付きやすく、また簡単に変更して修正できるようになる。もちろん、本実施例で示した表示方法や撮影モード変更方法以外の方法を用いるのでも良い。
【0061】
なお、本実施例では、モニタに撮影モードの変更可能な時間の残り時間と、ステップS351のメッセージの両方を表示する場合について説明したが、どちらか一方の表示でもよい。
【0062】
以上説明したように、撮影開始から一定時間内は撮影モードの修正を可能とし、その可能な一定時間の残り時間をユーザに通知する。よってユーザは、ユーザが撮影開始後に撮影モードの間違いに気付いて撮影の開始時の動画像から修正後の撮影モードを適用した撮影結果を得る可能性が非常に高くなる。つまり、撮影開始後に最終的に設定した撮影モードで、最初から撮影していたのと同様の撮影結果を得ることができる。
【0063】
例えば、高画質モードで撮影したかったのに、撮影を開始してから撮影モード設定が間違っていることに気が付いた場合、撮影開始後の一定時間内であれば撮影モードの設定を変更することができ、撮影開始までさかのぼって高画質モードで記録することができる。本実施例では、撮影開始から30秒間は、動画撮影モード設定の修正を可能とする。特に本実施例では、動画撮影モードの修正により、画像サイズとフレームレートの修正が可能となる。
【0064】
なお本実施例では撮影モード変更可能時間を30秒と固定としたが、撮影モード変更可能時間を、例えば撮影モードやメモリ性能に応じて変更するような構成でも良い。また本実施例では、一時ファイルの保管場所として内部メモリを使用する構成としたが、内部メモリの変わりにメモリカードなどの記録メディアを使用するような構成でも良い。
【0065】
また本実施例では、撮影モードとして「高フレームレートモード/高画質モード」の変更が可能なカメラを説明をしたが、以下のようなパラメータ(または、これらの組合せ)の変更が可能なカメラでも本発明は適用できる。すなわち、フレームレート、画像サイズ、画像圧縮率、画像フォーマット、オーディオ設定、撮影設定のパラメータの変更にも本実施例はで適用できる。
【実施例2】
【0066】
上述した第1の実施例では、変更可能時間が経過した後においても、撮像部10の出力信号を一旦内部メモリ60に記憶してからメモリカード70に記録していた。第2の実施例では、変更可能時間内に内部メモリ60に記録された動画データはそのまま保持し、変更可能時間経過後に撮像部10から出力された動画データは、撮影モードに従った処理を経てメモリカード70に直接記憶する。そして、内部メモリ60に保持していた動画データは、撮影終了後に撮影モードに従った処理を経てメモリカードに記録され、先に記録されていた動画データと結合される。
【0067】
本実施例でも第1の実施例と同様に、動画像データの記録と再生が可能なデジタルカメラを例として説明する。ただし、本実施例のデジタルカメラでは撮影モードと再生モードがあることは第1の実施例と同様であるが、動画撮影時の撮影モードとして「標準画像サイズモード」と「大画像サイズモード」の二つがあるものとする。従って、本実施例におけるデジタルカメラの構成は、図1および図2に示す実施例1のそれと同様であり、ここでの説明は省略する。
【0068】
また、変更可能時間についても、第1の実施例と同様の構成であり、本実施例でも30秒として説明するが、それ以外の時間にしても良い。
【0069】
本実施例での各撮影モード時の動画像データの仕様を次に示す。
標準画像サイズモード時の動画像データ:
画像サイズ:1280x720
フレームレート:30fps
大画像サイズモード時の動画像データ:
画像サイズ:1920x1080
フレームレート:60fps
上記のように各撮影モードによって、フレームレートと画像サイズがそれぞれ異なる。それ以外の設定条件は同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0070】
なお、第1の実施例と同様に、本実施例のデジタルカメラで記録される動画像データは、 MotionJPEG形式であるとするが、それ以外の形式の動画像データでも本発明は適用される。例えば、MPEGのようにフレーム間圧縮する圧縮形式でも本発明は適用される。
【0071】
次に、本実施例に係る動画像撮像装置の動作について説明する。
【0072】
本実施例のデジタルカメラは、メモリカード70に撮影画像データを記録する撮影モードと、メモリカード70に記録されている画像データを再生する再生モードの2つのモードがある。本実施例では、モード切替スイッチ2Dを右に操作したときに設定される撮影モード時の撮影動作、特に動画撮影ボタン2Cが押された際の動作を図5のフローチャートを用いて説明する。静止画撮影の動作、再生モードの動作については、本発明とは関係がないため説明を省略する。
【0073】
なお本実施例では、本件発明のフローチャートの処理を実現する制御プログラムがシステムコントローラ80に記録されている例を示す。しかし、制御プログラムがメモリカードなどの外部記録媒体70に記録され、それをシステムコントローラ80にロードして実行する形態も可能である。また、ネットワーク上にあるプログラムをシステムコントローラ80にロードして実行する形態に対しても、本発明は適用される。
【0074】
図5のフローチャートの処理は、動画撮影ボタン2Cが押された際に実行される。
【0075】
システムコントローラ80はステップS500で、動画の「撮影モード情報」と「撮影モード変更情報」を、モニタ130に撮影画像に重ねて表示する。「撮影モード変更情報」にはユーザが撮影モードを変更できる時間の残り時間も含ませ、撮影開始直後は「30秒」と表示する。なお、残り時間は、撮影経過時間に応じて値を小さくしていく。例えば、撮影時間が12秒経過した時点では、撮影モードの変更可能な時間の残り時間は「18秒」となる。表示方法については、基本的には実施例1と同様のため説明を省略する。
【0076】
システムコントローラ80はステップS510で、撮像部10から出力される1フレーム分の画像データをエンコードして、内部メモリ60に記録する処理を行う。この処理は、1フレーム毎に処理を行う。本実施例では、内部メモリには次の仕様の動画像データを記録する。もちろん、これ以外の動画像データを記録する構成でも良い。
内部メモリに一時的に記録される動画像データ:
画像サイズ:1920x1080
フレームレート:120fps
【0077】
本実施例では、内部メモリ60に一時的に記録される動画像データはMotionJPEG形式とするが、それ以外の圧縮形式の動画像データでも良い。例えば、画質等を考慮する場合は、可逆な圧縮形式の動画像データを一時的に記録する構成でも良い。
【0078】
システムコントローラ80はステップS520で、ユーザが撮影モードを変更したかどうかの判断を行う。撮影モードの変更方法は実施例1と同様のため、説明を省略する。撮影モードに変更があった場合は処理をステップS530に移す。
【0079】
ステップS530でシステムコントローラ80は内部で管理している撮影モード情報を変更して撮影モード変更する。
【0080】
ステップS540で、システムコントローラ80はユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS592 に移す。なお、動画像データの記録処理中に動画像撮影ボタン2Cを押す動作を、撮影終了操作とする。
【0081】
ステップS550で、システムコントローラ80は撮影開始から撮影モード変更可能時間だけ経過したかどうかを判断する。つまり本実施例では、撮影開始から30秒経過したかどうかの判断を行う。30秒経過していない場合は、処理をステップS500に戻す。経過した場合は、処理をステップS551に進める。
【0082】
ステップS551では、撮影モードの変更の受付を終了することを通知する。これにより、ユーザに現在の撮影モードの設定を確認する機会を与える。なお、ここで現在の撮影モードも表示するようにしてもよい。すなわち、表示によって、ユーザは誤りに気づき、撮影モード設定を変更して、撮影の開始時点から変更後の撮影モードを適用した撮影結果を得ることができる。
【0083】
ステップS500からステップS550を繰り返すことで、最大30秒分の動画像データが内部メモリ60に記録されることになる。またその間ユーザは、撮影モードの変更を行うことが可能となる。
【0084】
ステップS560の処理は、撮影開始から撮影モード変更可能時間(30秒)経過した場合に実行される。システムコントローラ80はステップS560で、撮像部10から出力される複数フレーム分の画像データを、設定された撮影モードに応じた動画像データに変換、エンコードしてからメモリカード70に記録する処理を行う。
【0085】
設定された撮影モードが「標準画像サイズモード」の場合は、撮像部10からの画像データに対して、縮小処理とフレームレート変換処理をしてからメモリカード70に記録する。本実施例では、「標準画像サイズモード」の場合は、120fpsから30fpsになるようにフレームレートを変換する処理を行う。ここでのフレームレート変換は、4フレーム分のデータから、1フレームのデータだけ残すフレーム間引き処理によりを行うこととする。もちろんそれ以外の方法でも良い。
【0086】
設定された撮影モードが「大画像サイズモード」の場合は、撮像部10からの画像データをフレームレート変換してからメモリカード70に記録する。本実施例では、「大画像サイズモード」の場合は、120fpsから60fpsになるようにフレームレート変換する処理を行う。ここでのフレームレート変換は、2フレーム分のデータから、1フレームのデータを作成する間引き処理を行うこととする。もちろんそれ以外の方法でも良い。
【0087】
システムコントローラ80はステップS570で、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS580 に進める。撮影終了でない場合は、引き続き撮影処理を続けるために、処理をステップS560に戻す。
【0088】
ステップS560からステップS570を繰り返すことで、一定時間経過後の動画像データが、メモリカード70に記録される。
【0089】
ステップS580は、撮影終了操作があった場合に処理を開始する。システムコントローラ80はステップS580で、内部メモリ60に記録されている動画像データを読み込み、設定された撮影モードに応じた動画像データに変換してからメモリカード70に記録する処理を行う。この処理は、内部メモリ60に残っている画像データ全てに対して行う。
【0090】
設定された撮影モードが「標準画像サイズモード」の場合は、内部メモリ60に記録されている画像データに対して、縮小処理とフレームレート変換処理を行ってからメモリカード70に記録する。本実施例では、「標準画像サイズモード」の場合は、120fpsから30fpsになるようにフレームレートを変換する処理を行う。ここでのフレームレート変換では、4フレーム分のデータを読み込み、1フレームのデータだけ残すフレーム間引き処理を行うこととする。もちろんそれ以外の方法でも良い。
【0091】
設定された撮影モードが「大画像サイズモード」の場合は、内部メモリ60に記録されている画像データをフレームレート変換してからメモリカード70に記録する。本実施例では、「大画像サイズモード」の場合は、120fpsから60fpsになるようにフレームレートを変換する処理を行う。ここでのフレームレートの変換では、2フレーム分のデータを読み込み、1フレームのデータを作成する処理を行うこととする。もちろんそれ以外の方法でも良い。
【0092】
システムコントローラ80はステップS590で、ステップS580 で記録した動画像データと、ステップS560で記録した動画像データを結合する処理を行う。この時、動画像データの時間情報の整合性が保たれるように、ステップS580で記録した動画像データの後に、ステップS560で記録した動画像データが続くように処理する。ステップS590の結合処理により、撮影開始からの全ての動画像データが一つの動画像データとして結合されることになる。
【0093】
システムコントローラ80はステップS594で、内部メモリ60をクリアする処理を行う。ステップS594の処理を抜けると、撮影処理が終了となる。
【0094】
ステップS592は、ステップS540で撮影終了操作があった場合に実行される。システムコントローラ80はステップS592で、内部メモリ60に記録されている動画像データを読み込み、設定された撮影モードに応じた動画像データに変換してからメモリカード70に記録する処理を行う。このステップでは、内部メモリに残っている画像データ全てに対して処理を行う。この処理はステップS580と同じ処理となるが、ステップS592ではこの後での結合処理が必要ない。
【0095】
以上のとおり、本実施例では撮影開始後の所定の時間内において動画撮影モードの修正を受け付けることにより、画像サイズとフレームレートの修正が可能となる。
【0096】
また、本実施例では、ユーザが撮影終了操作を行った後に、内部メモリ60に記録した動画像データの変換処理を行う構成としたが、撮影モード変更可能時間経過後であればいつ処理しても良い。
【0097】
また本実施例では、撮影モードとして「標準画像サイズモード/大画像サイズモード」の変更が可能なカメラを説明したが、以下のようなパラメータ(または、これらの組合せ)の変更にも本発明は適用できる。すなわち、フレームレート、画像サイズ、画像圧縮率、画像フォーマット、オーディオ設定、撮影設定のパラメータの変更にも本実施例は適用できる。
【実施例3】
【0098】
第1および第2の実施例では、変更可能時間内に内部メモリ60に記録された動画データの撮影モードに基づく変換を変更可能時間経過後に最終的な撮影モードに基づいて行なっていた。本実施例では、変更可能時間内に内部メモリ60に記録される動画データに対して設定されていない撮影モードに基づいた変換を行なってから記憶している。このため、変更可能時間内に撮影モードが変更された場合は、変更可能時間経過後にメモリカード70に記録された動画データに対して内部メモリ60の動画データをそのまま結合できる。なお、本実施例では内部メモリ60への動画データの記録と同時に、撮影開始時に設定されている撮影モードで変換処理した動画データをカードメモリ70に記録する。この動画データは、その後撮影モードの変更があった場合には、メモリカード70から削除される。
【0099】
本実施例も第1の実施例と同様に、動画像データの記録と再生が可能なデジタルカメラを例として説明する。本実施例のデジタルカメラでも撮影モードと再生モードがあるが、動画撮影時の撮影モードには「標準画質モード」と「高画質モード」の二つがあるものとする。
【0100】
また、変更可能時間についても、第1の実施例と同様の構成であり、本実施例でも30秒として説明するが、それ以外の時間にしても良い。
【0101】
ここで、各撮影モード時の動画像データの仕様を次に示す。
標準画質モード時の動画像データ:
画像サイズ:1280x720
フレームレート:30fps
画像圧縮率:高
高画質モード時の動画像データ:
画像サイズ:1280x720
フレームレート:60fps
画像圧縮率:低
上記のように各撮影モードによって、フレームレートと圧縮率がそれぞれ異なる。それ以外の設定項目は同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0102】
なお、本実施例のデジタルカメラで記録される動画像データは MotionJPEG形式とするが、それ以外の圧縮形式の動画像データであっても本発明は適用される。例えば、MPEG方式のようにフレーム間圧縮する圧縮形式の動画データの記録にも本発明は適用される。
【0103】
次に、本実施例に係る動画像撮像装置の動作を、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0104】
本実施例のデジタルカメラは、メモリカード70に画像データを記録する撮影モードと、メモリカード70に記録されている画像データを再生する再生モードの2つのモードがある。本実施例では、モード切替スイッチ2Dを右に操作したときに設定される撮影モードでの撮影動作、特に動画撮影ボタン2Cが押された際の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。静止画撮影の動作、再生モードの動作については、本発明とは関係がないため説明を省略する。
【0105】
なお本実施例では、本発明のフローチャートの処理を実現する制御プログラムがシステムコントローラ80に記録されている例を示す。しかし、制御プログラムがメモリカードなどの外部記録媒体70に記録され、システムコントローラ80にロードして実行する形態も可能である。また、ネットワーク上にあるプログラムをシステムコントーラ80にロードして実行する形態に対しても本発明は適用される。
【0106】
図6のフローチャートの処理は、動画撮影ボタン2Cが押された際に実行される。
【0107】
ステップS700でシステムコントローラ80は、撮影開始時に初期設定されている撮影モードを読み込む処理を行う。
【0108】
システムコントローラ80はステップS710で、動画の「撮影モード情報」と「撮影モード変更情報」を、モニタ130に撮影画像に重ねて表示する。「撮影モード変更情報」にはユーザが撮影モードを変更できる時間の残り時間も含まれ、撮影開始直後は「30秒」と表示される。なお、残り時間は、撮影経過時間に応じて値を小さくしていく。例えば、撮影時間が12秒経過した時点では、撮影モードの変更可能な時間の残り時間は「18秒」となる。表示方法については、基本的には実施例1と同様のため説明を省略する。
【0109】
ステップS720でシステムコントローラ80は、撮像部10から出力される複数フレーム分の画像データを、ステップS700で読み込んだ初期撮影モードに応じた動画像データに変換、エンコードしてからメモリカード70に記録する処理を行う。
【0110】
同時に、システムコントローラ80はステップS730で、撮像部10から出力される複数フレーム分の画像データを、初期撮影モードではない撮影モードに応じた動画像データに変換、エンコードしてから内部メモリ60に記録する処理を行う。
【0111】
なお、ステップS720、ステップS730で記録する動画像データはMotionJPEG形式とする。もちろんそれ以外の圧縮形式の動画データでも良い。
【0112】
ここで本実施例では、撮像部10から画像サイズ1280x720で60fpsのフレームデータが出力されているとする。撮影モードが「高画質モード」の場合は、撮像部10から出力される全てのフレームに対して圧縮処理を行うことでフレームレート60fpsの動画像データを記録する。撮影モードが「標準画質モード」の場合は、2フレームに一度だけ圧縮処理を行うことでフレームレート30fpsの動画像データを記録する。
【0113】
システムコントローラ80はステップS740で、ユーザが撮影モードを変更したかどうかを判断する。撮影モードの変更方法は実施例1と同様のため、説明を省略する。撮影モードに変更があった場合は処理をステップS750に進める。
【0114】
ステップS750では、システムコントローラ80は、内部で管理している撮影モード情報を変更して撮影モード変更をする。
【0115】
ステップS760でシステムコントローラ80は、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS772 に進める。なお、動画像データ記録処理中に動画像撮影ボタン2Cを押す動作を、撮影終了操作とする。
【0116】
システムコントローラ80はステップS770で、撮影開始から、撮影モード変更可能時間が経過したかどうかを判断する。つまり本実施例では、撮影開始から30秒経過したかどうかの判断を行う。30秒経過していない場合は、処理をステップS710に戻す。経過した場合は、処理をステップS772に進める。
【0117】
ステップS710からステップS770の処理を繰り返すことで、最大30秒分の動画像データが内部メモリ60とメモリカード70にそれぞれ記録される。特に、初期の撮影モードの動画像データをメモリカードに記録し、初期撮影モード以外の撮影モードの動画像データを内部メモリ60に記録する。またその間ユーザは、撮影モードの変更を行うことが可能となる。
【0118】
ステップS772では、撮影モードの変更の受付を終了することを通知する。これにより、ユーザに現在の撮影モードの設定を確認する機会を与える。なお、ここで現在の撮影モードも表示するようにしてもよい。すなわち、ユーザは表示によって誤りに気づき、撮影モード設定を変更して、撮影の開始時点から変更後の撮影モードを適用した撮影結果を得ることができる。
【0119】
ステップS780の処理は、撮影開始から撮影モード変更可能時間(30秒)が経過した場合、または撮影終了操作があった場合に実行される。システムコントローラ80はステップS780で、初期の撮影モードと最終的に設定された撮影モードが同じかどうかを比較・判断する。もし同じだった場合には、処理をステップS790に移す。同じでなかった場合は、処理をステップS782に移す。
【0120】
ステップS790の処理は、初期の撮影モードと最終的に設定された撮影モードが同じだった場合に実行される。システムコントローラ80はステップS790で、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS794 に移す。撮影終了と判断しない場合には、処理をステップS792に移す。なお、既にステップS760で撮影終了と判断した場合は、ここでも同様に撮影終了と判断する。
【0121】
システムコントローラ80はステップS792で、撮像部10から出力される複数フレーム分の画像データを、初期の撮影モードに応じた動画像データに変換、エンコードしてからメモリカード70に記録する処理を行う。ここでの処理は、ステップS720と同様の処理になる。
【0122】
ステップS790とステップS792を繰り返すことで、設定された撮影モードに応じた動画像データをメモリカード70に記録することが可能となる。すなわち、撮影モードが初期状態と変わらなかった場合は、ステップS790とステップS792によりメモリカードへの動画像データの記録が続行される。従ってこの場合は、内部メモリ60に記録された動画像データは不要となる。
【0123】
システムコントローラ80はステップS794で、内部メモリ60をクリアする処理を行う。ステップS794の処理を抜けると、撮影処理が終了となる。
【0124】
ステップS782は、初期の撮影モードと最終的に設定された撮影モードが同じでない場合に実行される。システムコントローラ80はステップS782で、ステップS720で記録された動画像データを(最終設定された撮影モードの画像データではない)メモリカード70から削除する処理を行う。
【0125】
システムコントローラ80はステップS784で、ユーザが撮影終了操作を行ったかどうかを判断する。撮影終了と判断した場合は、処理をステップS788 に処理を進める。撮影終了ではないと判断した場合は、処理をステップS786に進める。なお、既にステップS760で撮影終了と判断した場合は、ここでも同様に撮影終了と判断する。
【0126】
システムコントローラ80はステップS786で、撮像部10から出力される複数フレーム分の画像データを、最終設定された撮影モードに応じた動画像データに変換、エンコードしてからメモリカード70に記録する処理を行う。
【0127】
ステップS784とステップS786を繰り返すことで、最終的に設定された撮影モードに応じた動画像データを、メモリカード70に記録することが可能となる。ただしステップS784とステップS786で記録するのは、撮影モード変更可能時間(30秒)経過後からの動画像データとなる。
【0128】
ステップS788の処理は、撮影終了操作があった場合に実行される。システムコントローラ80はステップS788で、ステップS786でメモリカード70に記録した動画像データに、ステップS730で内部メモリ60に記録した動画像データを結合する処理を行う。この時、動画像データの時間情報の整合性が保たれるように、ステップS786で記録した動画像データの前に、ステップS730で記録した動画像データが記録されるように処理する。ステップS788の結合処理により、撮影開始からの全ての動画像データが一つの動画像データとして結合されることになる。
【0129】
以上説明したように、特に本実施例では、撮影モードの変更がなかった場合は、特別な処理が必要なくなる。すなわち、第1および第2の実施例では、撮影モードが変更されなくても、変更されたときのための変換処理を経つことになるが、本実施例ではそれを避けることができる。
【0130】
本実施例では、内部メモリとメモリカードに、異なる撮影モードの動画像データを記録する例を示したが、それ以外の構成でも良い。例えば、経過前は、初期設定とは異なる撮影モードの動画像データの記録だけを行い、経過後に最終的な撮影モードに対応する動画像データを内部メモリから生成してメモリカードにコピーするような構成でも良い。
【0131】
また本実施例では、撮影モードとして「標準画質モード/高画質モード」の変更が可能なカメラの説明をしたが、以下のようなパラメータ(または、これらの組合せ)の変更でも本発明は適用される。すなわち、フレームレート、画像サイズ、画像圧縮率、画像フォーマット、オーディオ設定、撮影設定のパラメータの変更にも本実施例の発明を適用できる。
【0132】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。
【0133】
即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0134】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0135】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0136】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0137】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの動画撮影モードを持つ撮像装置において、
動画像データを取得するための撮像手段と、
前記動画像データの撮影モードを設定するための撮影モード設定手段と、
前記撮像手段で取得された動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている 動画撮影モードと他の動画撮影モードの少なくとも一つに従った動画像データに変換するための変換手段と、
前記撮像手段および前記変換手段のうちのいずれか一つからの動画像データを記録するための記録手段と、
前記撮像手段による動画像データの取得の開始から所定時間内では、前記撮影モード設定手段による動画撮影モードの設定を受付けるとともに、前記記録手段が前記撮像手段からの動画像データおよび前記変換手段により前記他の動画撮影モードに従って変換された動画像データのうちのいずれか一つを記録し、前記所定時間の経過後に、前記所定時間内に前記記録手段によって記録された前記撮像手段からの動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている現在の動画撮影モードに従って前記変換手段により変換して前記記録手段により記録するよう制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定時間が経過したときに、前記撮影モード設定手段により設定されている前記現在の動画撮影モードに従って前記撮像手段からの動画像データを前記変換手段で変換して前記記録手段により記録することを開始することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記所定時間内では、前記記録手段が前記撮像手段からの動画像データを記録し、前記所定時間が経過したときに前記所定時間内に前記記録手段によって記録された前記動画像データを前記撮影モード設定手段により設定されている前記現在の動画撮影モードに従って前記変換手段で変換して前記記録手段で記録するよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、 前記所定時間が経過したときに前記記録手段による記録が開始された動画像データが、前記所定時間が経過したときに前記記録手段により記録された前記所定時間内の動画データに続けて記録されるよう制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記所定時間内では、前記記録手段が前記撮像手段からの動画像データを記録し、動画像データの撮影が終了したときに前記所定時間内に前記記録手段によって記録された前記動画像データを前記設定手段により設定されている前記現在の動画撮影モードに従って前記変換手段で変換して前記記録手段で記録するよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、動画像データの撮影が終了したときに前記記録手段を制御し、前記変換手段で変換された前記所定時間内の動画データを、前記所定時間が経過したときに前記記録手段による記録が開始された動画像データと結合して記録することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記所定時間内では、前記変換手段が前記他の動画撮影モードに従って変換した動画像データを前記記録手段で記録し、動画像データの撮影が終了したときに前記所定時間内に前記記録手段によって記録された前記動画像データを前記設定手段により設定されている前記現在の動画撮影モードの動画像データとして前記記録手段で記録するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、動画像データの撮影が終了したときに前記記録手段を制御し、前記所定時間内に前記記録手段で記録された動画像データを、前記所定時間が経過したときに前記記録手段による記録が開始された動画像データと結合して記録することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記変換手段および前記記録手段を制御し、前記所定時間内では前記他の動画撮影モードに従って前記変換手段が変換した動画像データおよび動画撮影が開始されたときに前記撮影モード設定手段により設定された動画撮影モードに従って前記変換手段が変換した動画像データを記録することを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記所定時間が経過したときに、前記現在の動画撮影モードと動画撮影が開始されたときに前記撮影モード設定手段により設定された動画撮影モードとを比較し、比較された動画撮影モードが同じときは、動画撮影が開始されたときに前記撮影モード設定手段により設定された動画撮影モードに従って前記変換手段が変換した動画像データに続けて前記所定時間が経過したときから記録が開始された動画像データを記録し、異なるときには動画像データの撮影が終了したときに、前記他の動画撮影モードで変換されて記録された前記所定時間内の動画データを、前記所定時間が経過したときにから前記記録手段による記録が開始された動画像データと結合して記録することを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記記録手段は、動画像データを前記撮像装置の内部メモリまたは記録メディアのいずれかに記録することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記動画撮影モードは、フレームレート、画像サイズ、画像圧縮率、画像フォーマット、オーディオ設定、撮影設定のいずれか、またはそれらの組合せで構成されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像手段または前記変換手段からの動画像データを符号化する符号化手段を備え、前記記録手段は、前記符号化手段で符号化された動画像データを記録することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項14】
動画像データを表示するための表示手段をさらに備え、前記制御手段は、前記所定時間内では、前記撮像手段からの動画像データを前記表示手段に表示させるとともに、前記撮影モード設定手段によって設定されている動画撮影モードおよび前記他の撮影モードの情報も前記表示手段に表示するよう制御することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記所定時間内において、動画像データの取得の開始からの経過時間を前記表示手段に表示するよう制御することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
少なくとも二つの動画撮影モードを持ち、動画像データを取得するための撮像手段、および前記動画像データの撮影モードを設定するための撮影モード設定手段とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記撮像手段で取得された動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている動画撮影モードと他の動画撮影モードの少なくとも一つに従った動画像データに変換するための変換ステップと、
前記撮像手段および前記変換ステップのうちのいずれか一つからの動画像データを記録するためのステップと、
前記撮像手段による動画像データの取得の開始から所定時間内では、前記撮影モード設定手段による撮影モードの設定を受付けるとともに、前記記録ステップが前記撮像手段からの動画像データおよび前記変換ステップで前記他の動画撮影モードに従って変換された動画像データのうちのいずれか一つを記録し、前記所定時間の経過後に、前記所定時間内に前記記録ステップで記録された前記撮像手段からの動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている現在の動画撮影モードに従って前記変換ステップで変換して前記記録ステップで記録するよう制御する制御ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項17】
コンピュータを、
少なくとも二つの動画撮影モードを持ち、動画像データを取得するための撮像手段および前記動画像データの撮影モードを設定するための撮影モード設定手段とを備えた撮像装置の制御方法において、
前記撮像手段で取得された動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている動画撮影モードと他の動画撮影モードの少なくとも一つに従った動画像データに変換するための変換手段と、前記撮像手段および前記変換手段のうちのいずれか一つからの動画像データを記録するための記録手段と、前記撮像手段による動画像データの取得の開始から所定時間内では、前記撮影モード設定手段による動画撮影モードの設定を受付けるとともに、前記記録手段が前記撮像手段からの動画像データおよび前記変換手段により前記他の撮影モードに従って変換された動画像データのうちのいずれか一つを記録し、前記所定時間の経過後に、前記所定時間内に前記記録手段によって記録された前記撮像手段からの動画像データを、前記撮影モード設定手段で設定されている現在の動画撮影モードに従って前記変換手段により変換して前記記録手段により記録するよう制御する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17のプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
コンピュータを、請求項1乃至15のいずれか一項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、請求項1乃至15のいずれか一項に記載された撮像装置の各手段として機能させるプログラムを格納した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227595(P2012−227595A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91023(P2011−91023)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】