説明

撮像装置

【課題】ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する高画素の素子を用いた場合でも、大型化を招くことなく短距離配線での接続を可能にする。
【解決手段】被写体光束をファインダに導くペンタダハプリズム205と、ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する光電変換素子101と、光電変換素子からの信号をA/D変換するA/D変換回路102と、A/D変換回路からの信号を処理する信号処理回路103と、回路素子を両面実装可能なリジットプリント基板部209a,209bを有するリジットフレキ基板209と、リジットプリント基板部がダハ面205a,205bに対して空間を介して平行に配置されるようにリジットフレキ基板を保持する保持部材208とを備える。そして、リジットプリント基板部のうちの信号処理回路103に近い側のリジットプリント基板部209aに、A/D変換回路を実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一眼レフカメラ等の撮像装置に関し、特にペンタダハプリズムの近傍に回路基板が配設される撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフカメラ等の撮像装置では、ファインダ内の表示デバイスや測光デバイス等を制御する回路を実装したフレキシブルプリント基板を、ペンタダハプリズムの頂部稜線を跨ぐ様に配設したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−136990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の一眼レフカメラ等は、測光性能や被写体認識の高性能化の要請から、ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を利用する光電変換素子として、CCDユニット等を用いることがある。
【0005】
CCDユニット等の高画素の光電変換素子を用いた場合、光電変換素子から出力される信号を処理するA/D変換回路や信号処理回路、付随する回路部品等が必要となり、回路規模が増大する。また、A/D変換回路や信号処理回路等は、ノイズの影響を最小限に留める為に光電変換素子と短距離配線で接続する必要がある。
【0006】
しかし、ペンタダハプリズムの周辺は、回路部品の有効な実装スペースが乏しい。このため、上記特許文献1の撮像装置に、測光や被写体認識用のデバイスとしてCCDユニット等の光電変換素子を使用した場合、回路規模の増大による装置の大型化や、短距離配線での接続の困難性によるノイズの発生や信号減衰等が生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する高画素の光電変換素子を用いた場合でも、大型化を招くことなく、短距離配線での接続を可能にすることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体光束をファインダに導くペンタダハプリズムと、前記ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する光電変換素子と、前記光電変換素子から出力された信号をA/D変換するA/D変換回路と、前記A/D変換回路から出力された信号を処理する信号処理回路と、回路素子を両面実装可能な複数のリジットプリント基板部を有するリジットフレキシブル基板と、前記複数のリジットプリント基板部が前記ペンタダハプリズムのダハ面に対して空間を介して平行に配置されるように前記リジットフレキシブル基板を保持する保持部材と、を備え、前記複数のリジットプリント基板部のうちの前記信号処理回路に近い側のリジットプリント基板部に、前記A/D変換回路が実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する高画素の光電変換素子を用いた場合でも、撮像装置の大型化を招くことなく、短距離配線での接続を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の撮像装置の第1の実施形態である一眼レフカメラの要部を正面側から見た斜視図である。
【図2】図1の一部を分解した斜視図である。
【図3】フレキシブルプリント基板、及びリジットフレキシブル基板の展開図である。
【図4】本発明の撮像装置の第2の実施形態である一眼レフカメラの要部を背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の撮像装置の第1の実施形態である一眼レフカメラの要部を正面側から見た斜視図、図2は図1の一部を分解した斜視図、図3はフレキシブルプリント基板、及びリジットフレキシブル基板の展開図である。
【0013】
本実施形態の一眼レフカメラは、図1及び図2に示すように、本体シャーシ210にミラーボックス201がねじ等の締結部材により締結される。ミラーボックス201には、不図示のレンズ鏡筒の基準面となるマウント202、レンズ鏡筒を通過した被写体光束をファインダへ導くためのメインミラー203、不図示のフォーカルプレーンシャッタユニット、撮像素子ユニット、シーケンス機構等が配置される。
【0014】
ミラーボックス201の上部には、ペンタホルダ204が設けられる。ペンタホルダ204は、レンズ鏡筒からの被写体光束を結像する不図示のフォーカシングスクリーン、及びフォーカシングスクリーンで結像した被写体像を左右及び上下反転させてファインダに導くペンタダハプリズム205を保持する。また、ペンタホルダ204には、不図示のセンサホルダが固定され、センサホルダには、フレキシブルプリント基板206に実装された光電変換素子101が接着等により固定される。
【0015】
また、被写体側から見てペンタホルダ204の左側に位置する本体シャーシ210の上面部には、信号処理回路103が実装されたリジットプリント基板211が固定されている。リジットプリント基板211は、不図示の電源系回路とコネクタ等を介して接続される。
【0016】
結像レンズ207は、ペンタダハプリズム205から射出された被写体光束を光電変換素子101に結像させる。
【0017】
光電変換素子101は、CCDや測光IC等で構成され、ペンタダハプリズム205から射出される被写体光束を電気的なアナログ信号へ光電変換する。光電変換素子101から出力されたアナログ信号は、A/D変換回路102によりデジタル信号に変換される。
【0018】
A/D変換回路102は、ADTG等の電気素子で構成される。ADTGは、光電変換素子101からのアナログ信号をデジタル信号に変換すると共に、駆動制御信号を時間軸にて正確に変化させ、入力する信号のタイミングを生成するタイミングジェネレータとしての役割も有する。
【0019】
光電変換素子101やA/D変換回路102は、リジットプリント基板211及びコネクタ211a、リジットフレキシブル基板209及びフレキシブルプリント基板206の配線等を介して不図示のDC/DCユニット等から供給された電源により駆動する。
【0020】
信号処理回路103は、A/D変換回路102からの信号に対して所定の演算処理を施して画像データの生成、画素補間処理、色変換処理等を行い、得られた演算結果に基づき露光制御や測距制御、光源種類の検知、顔検知や被写体追尾等の被写体認識処理を行う。
【0021】
リジットフレキシブル基板209は、高密度パターニング上に回路素子を両面実装可能な3層以上のリジットプリント基板部209a,209bを備える。また、リジットフレキシブル基板209は、リジットプリント基板部209a,209bに電気的に接続される複数のフレキシブルプリント基板部209c,209d,209eを備える。フレキシブルプリント基板部209cは、先端がコネクタ接点となっており、リジットプリント基板211に実装されたコネクタ211aに電気的に接続される。
【0022】
保持部材208は、ペンタダハプリズム205の頂点両側のダハ面205a,205bを押し付けた状態でペンタホルダ204に固定されて、ペンタダハプリズム205を保持する。また、保持部材208には、ペンタダハプリズム205のダハ面205a,205bから離れる方向に折り曲げられた台座部208a,208bが形成されている。
【0023】
台座部208a,208bには、リジットフレキシブルプリント基板209のリジットプリント基板部209a,209bがペンタダハプリズムのダハ面205a,205bに対して平行に載置される。そして、この状態で、ダハ面205a,205bに対して直交する方向からねじ等の締結部材212によりリジットプリント基板部209a,209bが台座部208a,208bに固定される。
【0024】
これにより、リジットプリント基板部209a,209bと保持部材208との間に、リジットプリント基板部209a,209bのダハ面205a,205b側の面にも電気素子等の回路部品を実装することが可能な空間が形成される。なお、台座部208a,208bは、折り曲げて形成する以外に、例えばボス等で形成してもよい。
【0025】
また、保持部材208の材質を熱伝導率の高い材料、例えば銅合金材料やアルミニウム合金材料等とする事により、回路の駆動により発生する熱を保持部材208を介して他の部品に伝熱させる機能を持たせることが可能となる。
【0026】
ここで、本実施形態では、A/D変換回路102は、信号処理回路103に近い側のペンタダハプリズム205のダハ面205aと平行に配置されたリジットプリント基板部209aの表面側の基板面に実装される。これにより、A/D変換回路102と信号処理回路103とを短距離配線で接続することができる。
【0027】
また、A/D変換回路102が実装されているリジットプリント基板部209aの表面側の基板面に、フレキシブルプリント基板206と電気的に接続する為のコネクタ209fが実装される(図3参照)。これにより、光電変換素子101とA/D変換回路102とを短距離配線で接続することができる。ここで、コネクタ209fは、本発明の接続部の一例に相当する。
【0028】
更に、リジットプリント基板部209aの裏面側の基板面やリジットプリント基板部209bの表面側及び裏面側の基板面には、ファインダ内液晶表示デバイスや、ペンタダハプリズム205の周辺に配設されるデバイスの駆動回路が実装される。これにより、回路規模が増大しても、各種回路を一枚のリジットフレキシブル基板209に効率的に集約して実装することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、ペンタダハプリズム205から射出される被写体光束を光電変換する高画素の光電変換素子101を用いた場合でも、回路規模の増大によるカメラの大型化を回避することができる。また、光電変換素子101とA/D変換回路102、及びA/D変換回路102と信号処理回路103とを短距離配線で接続することができるので、ノイズや信号の減衰等の影響を最小限に留めることができ、精度の高い測光や被写体認識が可能となる。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の撮像装置の第2の実施形態である一眼レフカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複又は相当する部分については、図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図4は、本発明の撮像装置の第2の実施形態である一眼レフカメラの要部を背面側から見た斜視図である。
【0032】
本実施形態の一眼レフカメラは、本体シャーシ210の背面側に、リジットプリント基板301が配置され、リジットプリント基板301には、信号処理回路103が実装されている。信号処理回路103は、カメラの背面側から見て、リジットプリント基板301の左上側に配置されている。また、リジットプリント基板301には、コネクタ301aが信号処理回路103の上側に位置して実装されている。
【0033】
ここで、本実施形態では、信号処理回路103に近いダハ面205bと平行に配置されたリジットプリント基板部209bの表面側の基板面に、コネクタ209g、A/D変換回路102、及びコネクタ209fが実装される。また、リジットプリント基板部209bの裏面側の基板面やリジットプリント基板部209aの表面側及び裏面側の基板面に、ファインダ内液晶表示デバイスや、ペンタダハプリズム205の周辺に配設されるデバイスの駆動回路が実装される。これにより、回路規模が増大しても、各種回路を一枚のリジットフレキシブル基板209に効率的に集約して実装することができる。
【0034】
そして、リジットプリント基板301に実装されたコネクタ301a、及びリジットプリント基板部209bに実装されたコネクタ209に、フレキシブルプリント基板302が接続される。また、リジットプリント基板部209bに実装されたコネクタ209fに、光電変換素子101が実装されたフレキシブルプリント基板206が接続される。これにより、光電変換素子101とA/D変換回路102、及びA/D変換回路102と信号処理回路103とを短距離配線で接続することができる。その他の構成及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0035】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
101 光電変換素子
102 A/D変換回路
103 信号処理回路
205 ペンタダハプリズム
205a,205b ダハ面
208 保持部材
209 リジットフレキシブルプリント基板
209f コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光束をファインダに導くペンタダハプリズムと、
前記ペンタダハプリズムから射出される被写体光束を光電変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子から出力された信号をA/D変換するA/D変換回路と、
前記A/D変換回路から出力された信号を処理する信号処理回路と、
回路素子を両面実装可能な複数のリジットプリント基板部を有するリジットフレキシブル基板と、
前記複数のリジットプリント基板部が前記ペンタダハプリズムのダハ面に対して空間を介して平行に配置されるように前記リジットフレキシブル基板を保持する保持部材と、を備え、
前記複数のリジットプリント基板部のうちの前記信号処理回路に近い側のリジットプリント基板部に、前記A/D変換回路が実装されることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記A/D変換回路が実装された前記リジットプリント基板部に、前記光電変換素子と電気的に接続される接続部が配置されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記リジットフレキシブル基板は、前記ダハ面に対して直交する方向から締結部材により前記保持部材に固定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−255992(P2012−255992A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130117(P2011−130117)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】