説明

撮像装置

【課題】 装置本体を大型化することなく、撮像素子等の電子部品から発せられる熱を外気へと効率よく放出することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】 被写体からの光を撮像する撮像素子18を収容する筐体と、前記筐体に対して開閉可能な可動部と、前記撮像素子及びその近傍の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部56と、前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記可動部を開くべきか否かを判別する判別部50と、前記判別部による判別結果に基づいて、前記可動部の開閉に係る処理を制御する制御部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像撮影可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子カメラの操作者がグリップ部を手で保持して撮影操作を行う際に、手で塞いでしまうことがなく、かつ操作者の撮影操作性を損なうことがない位置であって、カメラ本体の外表面に吸気孔、排気孔、及び空冷ファンを設け、撮像素子に対して発熱源となる駆動回路基板を通る空気流を発生させて駆動回路基板を強制空冷する電子カメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−33718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子カメラを構成する電子部品の小型化及び高性能化により電子部品単体の発熱量が増加している。更に、発熱量が多いハイビジョンやフルハイビジョンの動画像撮影可能な電子カメラが増加している。従来、これら電子カメラに対しては、電子部品から電子カメラの筐体外観面へ熱伝導させ、筐体外観面から外気へと熱を放出させる放熱対策がなされていた。しかしながら、電子カメラの小型化に伴い、筐体外観面の表面積が小さくなり、熱を外気へと効率よく放出させることができず、電子部品の仕様限界温度を超える前に、動画像撮影中であっても動画像撮影を終了せざるを得ない場合があった。
【0005】
また、上述の特許文献1記載の撮像装置では、電子カメラの筐体内に空冷ファンが設けられているが、筐体内に空冷ファンを設けるためのスペースを確保する必要があり、電子カメラが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、装置本体を大型化することなく、撮像素子等の電子部品から発せられる熱を外気へと効率よく放出することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
本発明の撮像装置は、被写体からの光を撮像する撮像素子(18)を収容する筐体(4)4と、前記筐体(4)に対して開閉可能な可動部(16,36)と、前記撮像素子(18)及びその近傍の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部(56)と、前記温度検出部(56)による検出結果に基づいて、前記可動部(16,36)を開くべきか否かを判別する判別部(50)と、前記判別部(50)による判別結果に基づいて、前記可動部(16,36)の開閉に係る処理を制御する制御部(50)とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮像装置によれば、装置本体を大型化することなく、撮像素子等の電子部品から発せられる熱を外気へと効率よく放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態に係る電子カメラの外観を示す正面斜視図である。
【図2】実施の形態に係る電子カメラを構成するカメラ筐体内部及びフラッシュ筐体内部の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態に係る電子カメラの外観を示す背面斜視図である。
【図4】実施の形態に係る電子カメラを構成するカメラ筐体とパネル筐体とを繋ぐ部材の構成を示す図である。
【図5】実施の形態に係る電子カメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る電子カメラにおいて動画像撮影モードに移行した際の処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】動画像撮影中における電子カメラを構成する電子部品の温度と時間の関係を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る撮像装置としての電子カメラについて説明する。図1は、実施の形態に係る電子カメラ2の外観を示す正面斜視図であり、図1(a)は内蔵フラッシュ12を収納している状態を示す図、図1(b)は内蔵フラッシュ12を上げている状態を示す図である。図1に示すように、電子カメラ2は、後述する撮像素子18等(図2参照)を収容するカメラ筐体4を備えている。カメラ筐体4の正面中央部には、レンズマウント部(図示せず)に対して着脱可能なレンズユニット6が装着されている。レンズユニット6内には撮影レンズ6a(図2参照)が収容されており、撮影レンズ6aは被写体からの光をカメラ筐体4内の撮像素子18(図2参照)に導く。また、カメラ筐体4の上面には、静止画像や動画像の撮影を指示する際に操作されるレリーズボタン8、動画像を撮影する際に設定される動画像撮影モードや静止画像を撮影する際に設定される静止画像撮影モード等の撮影モードを切り換える際に操作される撮影モードダイヤル10が設けられている。
【0012】
また、カメラ筐体4の上面中央部には、被写体を撮像する際に、必要に応じて被写体を照明するための内蔵フラッシュ12を有するフラッシュ筐体14が設けられている。フラッシュ筐体14は、カメラ筐体4に対して開閉可能かつ収納可能な可動部16を有している。可動部16は、内蔵フラッシュ12を挟持する2つのアーム16a,16bを備えており、内蔵フラッシュ12を挟持していない端部を軸としてアーム16a,16bを自動または手動で回動させることにより、内蔵フラッシュ12を収納している状態(閉じている状態、図1(a)に示す状態)から上げている状態(開いている状態、図1(b)に示す状態)に、上げている状態(開いている状態)から収納している状態(閉じている状態)に移動する。また、可動部16(アーム16a,16b)を含むフラッシュ筐体14は、カメラ筐体4内に収容されている電子部品(例えば、撮像素子18やASIC24等、図2参照)から発せられる熱を外気へと放出する機能を有している。
【0013】
図2は、電子カメラ2を構成するカメラ筐体4内部及びフラッシュ筐体14内部の構成を示す断面図である。図2に示すように、撮像素子18から発せられた熱は、固定板20等を介してカメラ筐体4に伝導され、カメラ筐体4から、カメラ筐体4にフラッシュ筐体14を固定するビス22a,22b等を介してフラッシュ筐体14、ひいては可動部16に伝導される。また、図2に示すように、ASIC24から発せられた熱は、放熱シート26、放熱板28等を介してカメラ筐体4に伝導され、カメラ筐体4からビス22a,22b等を介してフラッシュ筐体14、ひいては可動部16に伝導される。なお、カメラ筐体4、フラッシュ筐体14、固定板20、ビス22a,22b、放熱シート26、放熱板28等の伝熱材として機能するものは、熱伝導性の良い材料(例えば、アルミ、銅、ステンレス鋼、その他金属部材、ポリカーボネート等)により構成されている。
【0014】
図3は、実施の形態に係る電子カメラ2の外観を示す背面斜視図であり、図3(a)は液晶パネル34を収納している状態を示す図、図3(b)は液晶パネル34を開いている状態を示す図である。図3に示すように、カメラ筐体4の背面右部には、メニュー項目等の選択や様々な設定時に操作されるマルチセレクタ30が設けられており、カメラ筐体4の上部であってフラッシュ筐体14の背面には、被写体像を接眼した状態で視認するファインダ32が設けられている。
【0015】
また、カメラ筐体4の背面中央部には、撮像素子18からの撮像信号に基づくスルー画像、後述する記録媒体52(図5参照)に記録されている画像データに基づく静止画像や動画像、及び撮影に関する情報等を表示する液晶パネル34を有するパネル筐体36が設けられている。パネル筐体36(液晶パネル34)は、カメラ筐体4に対して開閉可能かつ収納可能に構成されている。即ち、パネル筐体36は、パネル筐体36をカメラ筐体4の左右方向を軸として回動可能な回動部38を備えており、回動部38を手動で回動させることにより、パネル筐体36(液晶パネル34)を収納している状態(閉じている状態、図3(a)に示す状態)から開いている状態(図3(b)に示す状態)に、開いている状態から収納している状態(閉じている状態)に移動する。
【0016】
また、回動部38を含むパネル筐体36は、カメラ筐体4内に収容されている電子部品(例えば、撮像素子18やASIC24等)から発せられる熱を外気へと放出する機能を有している。なお、パネル筐体36は、パネル筐体36が開いている状態のとき、カメラ筐体4の上下方向を軸として回動可能に構成されており、図3(b)に示す状態のとき、パネル筐体36をカメラ筐体4の上下方向を軸として180度回動させた後、更にパネル筐体36をカメラ筐体4の左右方向を軸として回動させ収納した状態で、液晶パネル34を視認することもできる。
【0017】
図4は、電子カメラ2を構成するカメラ筐体4とパネル筐体36とを繋ぐ部材の構成を示す図である。撮像素子18やASIC24から発せられた熱は、放熱板等を介して、筐体4内部に設けられている板金40(図4)に伝導され、板金40から、回動部38内部に設けられている軸42(図4)に伝導され、軸42から、軸42にEリング等で固定されているパネル筐体36に伝導される。なお、パネル筐体36、板金40、軸42等の伝熱材として機能するものは、熱伝導性の良い材料(例えば、アルミ、銅、ステンレス鋼、その他金属部材、ポリカーボネート等)により構成されている。
【0018】
図5は、実施の形態に係る電子カメラ2のシステム構成を示すブロック図である。図5に示すように、電子カメラ2は、マイクロプロセッサ等により構成され、電子カメラ2の各部を統括的に制御する制御部50を備えている。制御部50には、レリーズボタン8、撮影モードダイヤル10、内蔵フラッシュ12、撮像素子18、ASIC24、マルチセレクタ30、ファインダ32、液晶パネル34、記録媒体52、アーム駆動部54、及び温度検出部56が接続されている。
【0019】
制御部50は、撮影モードダイヤル10により設定されている撮影モード、及びレリーズボタン8の操作に応じて、静止画像や動画像を撮影するための撮影準備や撮影を実行する。撮像素子18は、CCDまたはCMOS等により構成され、撮影レンズ6aを介した被写体からの光を撮像して撮像信号を制御部50に対して出力する。ASIC24は、撮像素子28からの撮像信号に対して各種の画像処理を施し、画像データを生成する。記録媒体52は、電子カメラ2に設けられたカードスロット(図示せず)に着脱可能に装着される可搬性を有する記録媒体であり、例えば、CFカード、SDカード、スマートメディア等が用いられる。記録媒体52には、ASIC24において生成された画像データ等が記録される。アーム駆動部54は、制御部50からの制御信号に従い、可動部16(アーム16a,16b)を駆動させる。温度検出部56は、撮像素子18の近傍に配置されており、撮像素子18及びその近傍の少なくとも一方の温度を検出し、制御部50に対して出力する。
【0020】
この実施の形態では、制御部50は、動画像撮影モードに移行すると、温度検出部56による検出結果に基づいて、可動部16やパネル筐体36を開くべきか否かを判別し、判決結果に基づいて可動部16やパネル筐体36の開閉に係る処理を制御する。具体的には、温度検出部56により予め設定されている第1温度まで上昇したと検出された場合には、可動部16を開くべきであると判別し、温度検出部56により予め設定されている第1温度より高い第2温度まで上昇したと検出された場合には、パネル筐体36を開くべきであると判別する。以下、図6に示すフローチャートを参照して、この実施の形態に係る電子カメラ2において動画像撮影モードに移行した際の処理について説明する。
【0021】
まず、制御部50は、ユーザーにより撮影モードダイヤル10が操作され、動画像撮影モードに設定されると、動画像として撮影される際の動画像の解像度を取得し、取得結果に基づいて第1温度、及び第1温度より高い第2温度を設定する(ステップS10)。
【0022】
例えば解像度1080iで撮影される場合等、高解像度で撮影される場合には、図7のグラフAに示すように、撮像素子18の温度が急激に上昇することが予想される。したがって、撮像素子18の温度がTmaxに達しないよう早めに放熱対策を施すために、例えば低解像度で撮影される場合より低い温度である温度Tを第1温度に、温度Tを第2温度に設定する。なお、温度Tmaxは限界温度であり、動画像撮影中であって温度Tmaxに達した場合には、制御部50は、動画像撮影を強制的に終了する。
【0023】
また、例えば解像度720pで撮影される場合等、高解像度でない解像度で撮影される場合には、図7のグラフBに示すように、撮像素子18の温度が上昇することが予想される。したがって、撮像素子18の温度がTmaxに達しないよう放熱対策を施すために、例えば高解像度で撮影される場合より低い温度で、かつ低解像度で撮影される場合より高い温度である温度Tを第1温度に、温度Tを第2温度に設定する。
【0024】
また、例えば低解像度で撮影される場合には、図7のグラフCに示すように、撮像素子18の温度が緩やかに上昇することが予想される。したがって、撮像素子18の温度がTmaxに達しないよう放熱対策を施すために、例えば高解像度で撮影される場合より高い温度である温度Tを第1温度に、温度Tを第2温度に設定する。
【0025】
次に、制御部50は、温度検出部56により第1温度まで上昇したと検出されたか否かを判別する(ステップS11)。ステップS11において第1温度まで上昇したと検出された場合には(ステップS11、Yes)、制御部50は、可動部16が収納されているか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12において可動部16が収納されていると判別された場合(ステップS12、Yes)、即ち可動部16が図1(b)に示す状態でなく図1(a)に示す状態である場合には、制御部50は、アーム駆動部54を介して可動部16をポップアップさせる(ステップS13)。
【0026】
具体的には、制御部50は、アーム駆動部54に対して制御信号を出力し、アーム駆動部54は、制御部50からの制御信号に従い、可動部16のアーム16a,16bを回動させ、可動部16(内蔵フラッシュ12)を収納している状態(閉じている状態、図1(a)に示す状態)から上げている状態(開いている状態、図1(b)に示す状態)に移動させる。このように可動部16をポップアップさせることによりフラッシュ筐体14の外観表面積を増大させることができ、その結果、放熱効率を上げることができる。なお、ステップS13において可動部16をポップアップさせる前に、内蔵フラッシュ12の発光動作のためでなく、放熱のために可動部16をポップアップする旨のメッセージ(例えば、「放熱のために内蔵フラッシュを上げます。内蔵フラッシュが発光することはありません。」等のメッセージ)を、液晶パネル34に表示することもできる。また、可動部16をポップアップさせる際、内蔵フラッシュ12の発光による電子カメラ2の温度上昇を防止するために、内蔵フラッシュ12の発光動作を禁止する構成にすることもできる。
【0027】
一方、ステップS12において可動部16が収納されていると判別された場合(ステップS12、No)、即ち可動部16が図1(a)に示す状態でなく図1(b)に示す状態である場合には、制御部50は、ステップS14の処理に移行する。
【0028】
次に、制御部50は、温度検出部56により第2温度まで上昇したと検出されたか否かを判別する(ステップS14)。ステップS14において第2温度まで上昇したと検出された場合には(ステップS14、Yes)、制御部50は、パネル筐体36が収納されているか否かを判別する(ステップS15)。例えば、投光部及び受光部を備えた光センサ(図示せず)、磁気に反応する金属と磁気センサ(図示せず)、パネル筐体36を開くと突出し、パネル筐体36を閉じると埋没するスイッチ(図示せず)等の何れかが電子カメラ2に設けられており、その検出結果に基づいてパネル筐体36が収納されているか否かを判別する。ステップS15においてパネル筐体36が収納されていると判別された場合(ステップS15、Yes)、即ちパネル筐体36が図3(b)に示す状態でなく図3(a)に示す状態である場合には、制御部50は、パネル筐体36を開くべき旨のメッセージ(例えば「放熱するため、液晶パネルを開いて下さい。」等のメッセージ)を液晶パネル34に表示する(ステップS16)。
【0029】
なお、メッセージと共にまたはメッセージに代えて、パネル筐体36を開くよう指示する画像や温度上昇警告マーク等を表示することもできる。このようにユーザーに対してパネル筐体36を開くよう促し、ユーザーがメッセージ等に従いパネル筐体36を開いた場合には、パネル筐体36の外観表面積を増大させることができ、その結果、放熱効率を上げることができる。また、ステップS16の処理と同時に、パネル筐体36を開くべき旨のマーク等をファインダ32にスーパーインポーズで表示することもできる。ファインダ32へのマーク等の表示は、ユーザーがファインダ32を覗いており、液晶パネル34を視認していない場合に有効である。
【0030】
次に、制御部50は、動画像撮影モードから他のモードへ移行したか否かを判別し、動画像撮影モードから他のモードへ移行したと判別されるまで、ステップS10〜S16の処理を繰り返す。
【0031】
この実施の形態に係る電子カメラ2によれば、まず第1温度に達したとき、動画像撮影に影響を及ぼさない可動部16をポップアップさせることにより放熱効率を上げて、第1温度より高い第2温度に達したとき、外観表面積を大幅に増大させることができるパネル筐体36を開かせることにより放熱効率を上げる。したがって、装置本体を大型化することなく、またコストを掛けることなく、撮像素子18等の電子部品から発せられる熱を外気へと効率よく放出することができる。したがって、動画像撮影中に限界温度に達し、動画像撮影を強制的に終了させられることを抑制することができ、動画像撮影時間の長時間化を図ることができる。
【0032】
なお、上述の実施の形態においては、制御部50が可動部16及びパネル筐体36を開くべきであるか否かの判別結果に基づき、可動部16及びパネル筐体36の開閉に係る処理を制御しているが、この開閉に係る処理と共に、制御部50が撮像素子18及びASIC24の少なくとも一方の処理負荷を低減させる構成にすることもできる。例えば、撮像素子18から読み出される画素数、撮像素子18のフレームレート(撮像素子18から単位時間に読み出される撮像信号の数)等を低減させることにより、撮像素子18やASIC24の処理負荷を低減させることができる。この場合には、動画像の解像度等、画質が低下するが、限界温度に達するのを遅らせることができるため、動画像撮影時間を長くすることができる。
【0033】
また、上述の実施の形態においては、動画像撮影モードに設定されている間、撮像素子18等の温度を検出し、可動部16等の開閉に係る処理を制御しているが、スルー画像が液晶パネル34に表示されている間においても、同様の処理を実行してもよい。また、電子カメラ2の電源オフを指示する操作(図示しない電源スイッチの押下)がユーザーによりなされたときにおいても、電源オフを実行する前に、撮像素子18等の温度を検出し、可動部16等の開閉に係る処理を実行してもよい。具体的には、温度検出部56により検出される温度が予め設定されている所定温度以上であるか否かを判別し、所定温度以上の場合には、可動部16及びパネル筐体36の少なくとも一方を開くための処理を実行する。例えば、所定温度以上の場合には、可動部16を開くと共にパネル筐体36を開く旨のメッセージ等を液晶パネル34等に表示する。また例えば、第1温度以上の場合には可動部16を開き、第2温度以上の場合には可動部16を開くと共にパネル筐体36を開く旨のメッセージ等を液晶パネル34等に表示する。この場合には、次に電源カメラ2が電源オンされ、動画像撮影モードにおいて動画像を撮影する際に、長時間動画像を撮影することができる。即ち、動画像撮影を開始する時点での電子部品の温度(初期温度)に基づき限界温度に達するまでの時間が算出され、算出結果に基づき動画像撮影時間が設定される場合等、初期温度を低下させることができるため、限界温度に達するまでの時間が加算され、より長い時間の動画像撮影時間が設定される。
【0034】
また、上述の実施の形態においては、温度検出部56により第1温度まで上昇したと検出されたとき、可動部16を開くべきであると判別し、温度検出部56により第2温度まで上昇したと検出されたとき、パネル筐体36を開くべきであると判別しているが、温度検出部56により第1温度まで上昇したと検出されたとき、パネル筐体36を開くべきであると判別し、温度検出部56により第2温度まで上昇したと検出されたとき、可動部16を開くべきであると判別する構成にしてもよい。また、温度検出部56により第1温度または第2温度まで上昇したと検出されたとき、可動部16及びパネル筐体36を開くべきであると判別する構成にしてもよい。また、第1温度より高く、第2温度より低い第3温度を設定し、温度検出部56により第3温度まで上昇したと検出されたとき、可動部16及びパネル筐体36を開くべきであると判別する構成にしてもよい。
【0035】
また、上述の実施の形態においては、動画像の解像度に基づいて第1温度及び第2温度を設定しているが、所定時間間隔で温度検出部56により検出される温度の温度上昇率を算出し、算出結果に基づいて第1温度及び第2温度を設定する構成にしてもよい。即ち、温度上昇率が大きい場合(例えば図7のグラフAに示すような場合)には、第1温度及び第2温度を低い温度に設定し、温度上昇率が小さい場合(例えば図7のグラフCに示すような場合)には、第1温度及び第2温度を高い温度に設定する。
【0036】
また、上述の実施の形態においては、撮像素子18の近傍に温度検出部56を備えているが、撮像素子18の近傍のみならずASIC24やその他発熱する電子部品の近傍に温度検出部を備えることもできる。このように複数の温度検出部を備えた場合には、何れか一つの温度検出部により第1温度または第2温度まで上昇したと検出されると、制御部50は、可動部16やパネル筐体36を開くべきであると判別する。また、複数の温度検出部により検出される温度の平均温度が第1温度または第2温度まで上昇したとき、可動部16やパネル筐体36を開くべきであると判別する構成にすることもできる。
【0037】
また、上述の実施の形態においては、撮像素子18の近傍に温度検出部56を備え、撮像素子18の温度を検出しているが、所定位置の温度検出部56を備え、撮像素子18やASIC24等の発熱する各電子部品の温度を検出する構成にしてもよい。この場合には、所定位置に配置された温度検出部56により検出される温度と各電子部品の温度との関係を予め実験等で求め、温度検出部56により検出される温度に基づいて、各電子部品の温度を予測し、予測結果に基づいて可動部16及びパネル筐体36の開閉に係る処理を制御する。
【0038】
また、上述の実施の形態においては、液晶パネル34及びファインダ32の両方にパネル筐体36を開くべき旨のメッセージを表示しているが、電子カメラ2がファインダ32を覗いているか否かを判別することができるアイセンサ等を備えている場合であって、アイセンサによりファインダ32を覗いていると判別されたときには、液晶パネル34を消灯し、メッセージをファインダ32にのみ表示する構成にすることもできる。なお、アイセンサによりファインダ32を覗いていないと判別されたときには、パネル筐体36を開くべき旨のメッセージを液晶パネル34にのみ表示、または該メッセージと共に、「液晶パネルを消灯します。ファインダを使用してください。」等のメッセージを数秒間表示した後、液晶パネル34の表示動作を停止、即ち液晶パネル34を消灯する構成にすることもできる。このように、液晶パネル34を消灯させることにより、液晶パネル34からの発熱による電子カメラ2の温度上昇を防止することができる。
【0039】
また、上述の実施の形態においては、可動部16を自動で開く場合について説明したが、可動部16を自動で開く代わりに、可動部16を開くべき旨のメッセージ(例えば「放熱するため、内蔵フラッシュを上げて下さい。」等のメッセージ)等を液晶パネル34やファインダ32に表示する構成にすることもできる。また、上述の実施の形態においては、パネル筐体36を手動で開閉する場合について説明したが、例えばパネル筐体36を開閉する駆動部を備え、パネル筐体36を制御部50の制御により自動で開閉する構成にすることもできる。この場合には、制御部50は、パネル筐体36を開くべきであると判別したとき、メッセージを表示する代わりに、駆動部を介してパネル筐体36を開く。
【符号の説明】
【0040】
2…電子カメラ、4…カメラ筐体、8…レリーズボタン、10…撮影モードダイヤル、14…フラッシュ筐体、16…可動部、18…撮像素子、24…ASIC、26…フレキシブル回路基板、32…ファインダ、34…液晶パネル、36…パネル筐体、38…回動部、50…制御部、54…アーム駆動部、56…温度検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を撮像する撮像素子を収容する筐体と、
前記筐体に対して開閉可能な可動部と、
前記撮像素子及びその近傍の少なくとも一方の温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部による検出結果に基づいて、前記可動部を開くべきか否かを判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に基づいて、前記可動部の開閉に係る処理を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記可動部は、前記筐体の上面に収納可能に設けられる照明部、または前記筐体の背面に収納可能に設けられる表示部を備えることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判別部により前記可動部を開くべきであると判別された場合には、前記制御部は、前記可動部を開くことを特徴とする請求項1または請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記判別部により前記可動部を開くべきであると判別された場合には、前記制御部は、前記可動部を開くべき旨を報知することを特徴とする請求項1または請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記温度検出部により第1温度まで上昇したと検出されたとき、前記判別部は、前記照明部を備える前記可動部、または前記表示部を備える前記可動部を開くべきであると判別し、
前記温度検出部により前記第1温度より高い第2温度まで上昇したと検出されたとき、前記判別部は、前記照明部を備える前記可動部、及び前記表示部を備える前記可動部を開くべきであると判別することを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記可動部が前記照明部を備える場合であって、
前記制御部は、前記照明部を備えた前記可動部を開いた際に、前記照明部による発光動作を禁止することを特徴とする請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記可動部が前記表示部を備える場合であって、
前記制御部は、前記表示部を備えた前記可動部を開いた際に、前記表示部による表示動作を停止することを特徴とする請求項2〜請求項5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子からの撮像信号に対して画像処理を行う画像処理部を備え、
前記判別部により前記可動部を開くべきであると判別された場合には、前記制御部は、前記開閉に係る処理と共に、前記撮像素子及び前記画像処理部の少なくとも一方の処理負荷を低減することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記判別部は、動画像撮影時及び電源オフの際の少なくとも一方において、前記可動部を開くべきか否かを判別することを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−37791(P2012−37791A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179213(P2010−179213)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】