説明

撮像装置

【課題】複数の筐体間の隙間を弾性部材によって密封することにより防水機能を有する撮像装置において、外部から衝撃を受けた場合であっても防水機能を維持する。
【解決手段】撮像装置(10)は、撮像レンズ(11)と、該撮像レンズを保持する第1の筐体(12)と、像面側から第1の筐体に取り付けられた第2の筐体(13)と、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間に生ずる隙間を密封する弾性部材(15)とを有する。特に、弾性部材の変形量が所定の閾値を超えた場合に、第1の筐体及び第2の筐体が互いに当接するように、光軸に沿って第1の筐体及び第2の筐体の少なくとも一方から突出して形成された突出部(12d)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を撮像素子に結像させるための撮像レンズを収納する筐体を含む複数の筐体が組み合わされてなる車載カメラや監視カメラのような撮像装置、特に該複数の筐体間の隙間を弾性部材で密封することにより防水機能を備える撮像装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体像を像面側に配置された撮像素子に結像させるための撮像レンズを収納するフロントケースに、像面側からリアケースを組み合わせてなる撮像装置が知られており、例えば車載用カメラ、監視カメラ、デジタルカメラ、携帯電話用カメラなどの用途に広く用いられている。特に屋外や水中に曝される環境下で使用される撮像装置では、フロントケースとリアケースとの間に生じる隙間から装置内部に水分が侵入することを防ぐために、優れた防水機能を備えることが要求される。
【0003】
例えば特許文献1には、フロントケースとリアケースとの間に生じる隙間をゴム製のOリングなどの弾性部材で密封することにより、防水機能を備えた撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007―62670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載カメラ等に用いられる撮像装置では、例えば飛び石などによって外部から衝撃を受ける場合がある。特許文献1の撮像装置ではフロントケースとリアケースとが接触しているため、撮像レンズに外部から受けた衝撃を受けた場合に当該衝撃を吸収できず、撮像レンズが破壊されてしまうおそれがある。このような撮像レンズの破壊を防止するために、フロントケースとリアケースとが接触しないように隙間を設け、当該隙間を密封する弾性部材が有する弾性によって衝撃を吸収するように構成することが有効である。しかしながら、このようにフロントケースとリアケースとを接触しないように配置した場合であっても、外部から受ける衝撃が大きいと、弾性部材がフロントケースとリアケースとの間で圧縮破壊されてしまうという技術的問題点がある。当該衝撃が小さな衝撃であれば弾性部材が有する弾性によって吸収可能であるが、衝撃が大きくなると弾性部材が衝撃を吸収しきれずに、フロントケースとリアケースとの間で圧縮破壊されてしまう。圧縮破壊された弾性部材は弾性が低下したり、形状が異常に変形してしまうため、撮像装置の防水性や耐衝撃性が著しく低下してしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、撮像装置を構成する複数の筐体間の隙間を弾性部材によって密封することにより防水機能を備えた撮像装置において、外部から衝撃を受けた場合であっても防水性及び耐衝撃性を維持可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は上記課題を解決するために、撮像レンズと、被写体側に前記撮像レンズを保持する第1の筐体と、像面側から前記第1の筐体に取り付けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間を密封するように配設された弾性部材とを有する撮像装置において、前記弾性部材の変形量が所定の閾値を超えた場合に、前記第1の筐体及び前記第2の筐体が互いに当接するように、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくとも一方から光軸に沿って突出して形成された突出部を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の撮像装置は、弾性部材の変形量が所定の閾値を超えた場合に、第1の筐体及び第2の筐体が互いに当接するように、第1の筐体及び第2の筐体の少なくとも一方から光軸に沿って突出して形成された突出部を備えるので、外部から大きな衝撃を受けた場合であっても、突出部が突出している分だけ、第1の筐体と第2の筐体との間に少なからず隙間を確保することができる。そのため、撮像装置が過度に大きな衝撃を受けた場合でも、弾性部材が第1の筐体及び第2の筐体間で過度に圧縮されることを防止することができる。従って、外部から受けた衝撃で弾性部材が圧縮破壊されることにより、弾性部材の弾性の低下や、形状の異常変形を防止し、撮像装置の防水性や耐衝撃性を効果的に維持することができる。
【0009】
本発明の撮像装置の一態様では、前記所定の閾値は、前記弾性部材の可逆的な変形が不能となる変形量より小さく設定されていることを特徴とする。
【0010】
この態様によれば、弾性部材の変形量が圧縮破壊される変形量を超えないように、突出部の大きさ(即ち、第1の筐体及び第2の筐体の少なくとも一方から光軸に沿って突出する突出量)が設定されるため、より確実に、弾性部材の第1の筐体及び第2の筐体間における圧縮破壊を防止することができる。尚、当該所定の閾値は、第1の筐体と第2の筐体との間に配設される弾性部材の特性(例えば、弾性部材の材料、形状又はサイズなど)に基づいて個別に設定するとよい。
【0011】
本発明の撮像装置の他の態様では、前記突出部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが対向する面上において前記弾性部材が延在する方向に沿ってリブ状に形成されていることを特徴とする。
【0012】
この態様によれば、外部から撮像装置に衝撃を受けた際に第1の筐体及び第2の筐体が互いに当接した場合に、突出部が弾性部材の延在方向に沿ってリブ状に長く形成されているため、突出部に伝達される衝撃は、当該突出部に沿って広く分散される。そのため、突出部の一部に衝撃が集中することによって突出部自体が破損することを防止することができ、撮像装置の防水性や耐衝撃性を効果的に高めることができる。
【0013】
また、前記突出部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが対向する面上において前記弾性部材が延在する方向に沿って島状に複数形成されていてもよい。
【0014】
この態様によれば、前述のように突出部を弾性部材の延在方向に沿ってリブ状に長く形成する必要がなく、よりシンプルな構造で撮像装置の防水性や耐衝撃性の向上を図ることができる。即ち、突出部を島状(スポット的)に形成することで弾性部材の視認が可能となると同時に、当該島状の突出部を弾性部材の延在方向に沿って複数設けることによって、突出部の一部に衝撃が集中することによって突出部自体が破損することも防止することができる。
【0015】
本発明の撮像装置の他の態様では、前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、前記第2の筐体に貫通して形成された貫通穴を介して先端部が前記第1の筐体に形成されたネジ穴に挿入されたボルトによって、互いに固定されていることを特徴とする。
【0016】
この態様によれば、ボルトの締め付け具合を調整することによって、第1の筐体及び第2の筐体間の隙間の大きさを調整することができるので、弾性部材の変形量を細かく設定でき、密封性を調節することができる。
【0017】
本発明の撮像装置の他の態様では、前記第2の筐体は、前記ネジ穴に内接するように前記第1の筐体に向けて突出して形成されたボス部を有することを特徴とする。また、これに代えて若しくは加えて、前記ボルトは前記貫通穴を貫通する貫通部が、前記ネジ穴に挿入される先端部に比べて径が大きく形成されていてもよい。
【0018】
この態様によれば、撮像装置に横方向(即ち、光軸に交わる方向)から衝撃が加えられた場合であっても、第1の筐体と第2の筐体とが横方向にズレることによって、撮像装置の防水性が低下することを効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の撮像装置は、弾性部材の変形量が所定の閾値を超えた場合に、第1の筐体及び第2の筐体が互いに当接するように、第1の筐体及び第2の筐体の少なくとも一方から光軸に沿って突出して形成された突出部を備えるので、外部から大きな衝撃を受けた場合であっても、突出部が突出している分だけ、第1の筐体と第2の筐体との間に少なからず隙間を確保することができる。そのため、撮像装置が過度に大きな衝撃を受けた場合でも、弾性部材が第1の筐体及び第2の筐体間で過度に圧縮されることを防止することができる。従って、外部から受けた衝撃で弾性部材が圧縮破壊されることにより、弾性部材の弾性の低下や、形状の異常変形を防止し、撮像装置の防水性や耐衝撃性を効果的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】フロントケースに設けられた突出部の周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。
【図3】フロントケースに設けられた突出部とOリングの配置を、像面側から示す平面図である。
【図4】フロントケースに設けられた突出部とOリングの配置を、像面側から示す平面図の他の例である。
【図5】第1変形例に係る撮像装置の突出部の周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。
【図6】第2変形例に係る撮像装置の突出部の周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の形状等は、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0022】
図1は本実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。図1において、上側が被写体側、下側が像面側を示している。撮像装置10は、撮像レンズ11を保持するフロントケース12に、像面側からリアケース13がボルト14で取り付けられた構成を有する。
【0023】
撮像レンズ11は、被写体側にある被写体像を、像面側に配置された撮像素子(図不示)に結像させるための光学レンズであり、フロントケース12内の所定位置に保持されている。撮像レンズ11の光軸に垂直な面方向における位置は、フロントケース12の被写体側に設けられた開口部12aによって規制されており、光軸方向の位置はフロントケース12の像面側に設けられた保持部12bによって規制されている。
【0024】
保持部12bは、フロントケース12の本体の像面側に内側に向って突出するように形成されている。当該保持部12bにある程度の弾性を持たせた場合、フロントケース12内部に収納される撮像レンズ11に外部から衝撃を受けた場合であっても、当該保持部12bの弾性によって当該衝撃を吸収することができる(即ち、保持部12bがしなるように弾性変形することによって、耐衝撃性を高めることができる)。
【0025】
ボルト14は、リアケース13に設けられた貫通穴13cを介して、フロントケース12に設けられたネジ穴12cに達するように挿入されている。ボルト14のうちネジ穴12に達している先端部14aには、ネジ穴12cに係合可能なネジ山が所定のピッチで設けられている。一方、ボルト14のうち貫通穴13cに位置する貫通部14bにはネジ山は設けられておらず、その表面は滑らかに形成されている。また、ボルト14は傘部14cを有しており、ボルト14の先端部14aがネジ穴12cに挿入された際に、リアケース13がフロントケース12と傘部14cとの間に挟み込まれることにより固定されている。
【0026】
尚、ボルトの先端部14aはネジ山が形成されている分、貫通部14bより径が大きくなっている。そのため、貫通穴13cは、ボルト14を像面側から挿入する際に、径の大きい先端部14aを貫通させるべく(即ち、径の大きい先端部14aが内壁に引っかからないように)、ネジ穴12cに比べて径が大きく形成されている。
【0027】
フロントケース12とリアケース13との間に生ずる隙間にはゴムなどの弾性体からなるOリング15が設けられている。Oリング15は周囲の部材から何ら力が加えられていない通常時において円形の断面を有しているが、本発明の撮像装置10内では、図1に示すように、フロントケース12とリアケース13との間で所定量だけ潰されるように配置されている。尚、Oリング15の潰し量は、ボルト14の締め付け量を調整することによって、フロントケース12とリアケース13との間に生ずる隙間の大きさを調整することによって変更することができる。このように、Oリング15を潰して配置することで、フロントケース12とリアケース13との間に生ずる隙間を密封し、撮像装置10の防水性が保たれている。
【0028】
ここで、撮像装置10が図1に矢印で示すような衝撃を受けるとすると、Oリング15の弾性変形することによって、フロントケース12とリアケース13との隙間の大きさが変動し、当該衝撃はOリング15の弾性によって少なからず吸収される。しかしながら、当該衝撃の大きさが所定値を超えると、Oリング15は衝撃を吸収しきれずに、フロントケース12とリアケース13との間で圧縮破壊されてしまい、撮像装置10の防水性や耐衝撃性が著しく低下してしまうおそれがある。
【0029】
そこで、本発明の撮像装置10は、Oリング15の変形量が所定の閾値を超えた場合に、フロントケース12とリアケース13とが互いに当接するように、フロントケース12にから光軸に沿ってリアケース13に向って突出して形成された突出部12dを有する。ここで、所定の閾値は、Oリング15の可逆的な変形が不能となる変形量、即ち、Oリング15が圧縮破壊されてしまう変形量より小さく設定された閾値である。
【0030】
ここで、図2を参照して、突出部12dの構造及び機能について、より詳細に説明する。図2はフロントケース12に設けられた突出部12dの周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。図2(a)は撮像装置10に外部から衝撃が与えられていない通常時における構造を示しており、図2(b)は撮像装置10に外部から衝撃が与えられた変形時における構造を示している。
【0031】
まず図2(a)に示すように、撮像装置10に衝撃が与えられていない通常時では、Oリング15はボルト14の締め付けによって、フロントケース12及びリアケース13間である程度潰されて配置されている。そして、図2(b)に示すように、撮像装置10に衝撃を受けると、Oリング15は、その弾性によりフロントケース12とリアケース13との間で圧縮されるように変形する。ここで、フロントケース12とリアケース13間の隙間がある程度圧縮されると、フロントケース12に設けられた突出部12dがリアケース13に当接し、フロントケース12とリアケース13間の隙間がこれ以上圧縮されることが妨げられる。これにより、Oリング15が過度に変形することによって圧縮破壊されることを防止することができる。
【0032】
突出部12dの大きさは、Oリング15の変形量が所定の閾値を超えた場合に、フロントケース12とリアケース13とが互いに当接するように設定される。具体的には、突出部12dの大きさは、Oリング15の変形量Kが次式
(防水効果を得るために必要な変形量K1)<K<(圧縮破壊に至る変形量K2)
を満たすように設定される。ここで、「防水効果を得るために必要な変形量K1」とは、Oリング15がフロントケース12とリアケース13との隙間を密封することによって防水性を発揮するために必要な変形量である。また、「圧縮破壊に至る変形量K2」とは、Oリング15がフロントケース12とリアケース13間で圧縮破壊される際の変形量である。尚、本実施形態では、変形量K1はOリング15の通常時の直径が10%変形する変形量、変形量K2はOリング15の通常時の直径が40%変形する変形量として規定している。
【0033】
図3はフロントケース12に設けられた突出部12dとOリング15の配置を、像面側から示す平面図である。図3に示すように、突出部12dはフロントケース12のうちリアケースに対向する面上において、Oリング15が延在する方向に沿ってリブ状に形成されている。そのため、突出部12dに伝達される衝撃は、当該突出部12dに沿って広く分散され、突出部12dの一部に衝撃が集中することによって突出部12d自体が破損することを防止することができる。
【0034】
図4はフロントケース12に設けられた突出部12dとOリング15の配置を、像面側から示す平面図の他の例である。この例では、突出部12dはOリング15に沿って島状に複数形成されており、図3のように、突出部12dをOリング15の延在方向に沿ってリブ状に長く形成する必要がなく、よりシンプルな構造で撮像装置10の防水性や耐衝撃性の向上を図ることができる。即ち、突出部12dを島状(スポット的)に形成することで弾性部材の視認が可能となると同時に、当該島状の突出部12dをOリング15の延在方向に沿って複数設けることによって、突出部12dの一部に衝撃が集中することによって突出部12dが破損することも防止できる。
【0035】
尚、上記例では突出部12dをフロントケース12の一部として形成した場合について説明したが、突出部12dはリアケース13の一部として形成されていてもよいし、フロントケース12及びリアケース13の双方から突出するように形成されていてもよい。
【0036】
以上説明したように、本発明の撮像装置10は、Oリング15の変形量が所定の閾値を超えた場合に、フロントケース12及びリアケース13が互いに当接するように突出部12dを備えるので、外部から大きな衝撃を受けた場合であっても、突出部12dが突出している分だけ、フロントケース12とリアケースとの間に少なからず隙間を確保することができる。そのため、撮像装置10が過度に大きな衝撃を受けた場合でも、Oリング15がフロントケース12とリアケース13との間で圧縮破壊されることを防止することができ、優れた防水性や耐衝撃性を有する撮像装置10を実現することができる。
<第1変形例>
【0037】
続いて図5を参照して、第1変形例に係る撮像装置10について説明する。図5は、第1変形例に係る撮像装置10の突出部12dの周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。尚、図5では上述の実施形態と共通する部位には、同一の符号を付すこととし、詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0038】
前述の実施形態に係る撮像装置10では、貫通穴13cの径はネジ穴12cより大きく設けられているため、ボルト14の貫通部14bと貫通穴13cとの間に隙間が存在している(図2を参照)。そのため、撮像装置10に横方向(即ち、光軸に交わる方向)から衝撃を受けた場合、フロントケース12とリアケース13とが当該方向に沿ってズレ、撮像装置10の防水機能が低下してしまうおそれがある。
【0039】
第1変形例に係る撮像装置10では、図5に示すように、リアケース13にフロントケース12に向けて突出し、ネジ穴12cの内壁に少なくとも部分的に内接するボス部13eが設けられている。図5の例では特に、フロントケース12のネジ穴12cの一部を広く形成し、ボス部13eが内接するためのスペース(符号12e)が設けられている。このようにリアケース13にボス部13eを設け、フロントケース12のネジ穴12c(特に、スペース12e)にはめ込むことによって、フロントケース12とリアケース13とが横方向にズレ、撮像装置10の防水機能が低下することを効果的に防止することができる。
<第2変形例>
【0040】
続いて図6を参照して第2変形例に係る撮像装置10について説明する。図6は、第2変形例に係る撮像装置10の突出部12dの周辺構造を詳細に示す拡大断面図である。尚、図6では上述の実施形態と共通する部位には、同一の符号を付すこととし、詳細な説明は適宜省略するものとする。
【0041】
前述したように、貫通穴13cの径はネジ穴12cより大きく設けられているため、ボルト14の貫通部14bと貫通穴13cとの間に隙間が存在している(図2を参照)。そこで、第2変形例の撮像装置10では、図6に示すように、ボルト14の貫通部14bの径を先端部14aに比べて大きく形成することによって、ボルト14と貫通穴13cとの間に隙間を埋めるように構成している。これにより、フロントケース12とリアケース13とが横方向にズレ、撮像装置10の防水機能が低下することを効果的に防止することができる。
【0042】
尚、本発明の撮像装置10では、ボルト14の周辺に接着剤を使用したり、ボルト14のネジ山として緩み防止形状のネジ山を使用することにより、ボルト14とフロントケース12との固定を強化するとよい。特に第1変形例では、ネジ穴12cの一部がボス部13eによって占められるため、ボルト14がネジ穴12cに固定される領域(即ち、ボルト14に形成されたネジ山によってフロントケース12に固定される領域)が少なく、ボルト14が緩んでしまうおそれがあるため、効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、複数の筐体が組み合わされてなる車載カメラや監視カメラのような撮像装置、特に複数の筐体間の隙間を弾性部材で密封することにより防水機能を有する撮像装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 撮像装置
11 撮像レンズ
12 フロントケース(第1の筐体)
12a 開口部
12b 保持部
12c ネジ穴
12d 突出部
13 リアケース(第2の筐体)
13c 貫通穴
13e ボス部
14 ボルト
15 Oリング(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズと、被写体側に前記撮像レンズを保持する第1の筐体と、像面側から前記第1の筐体に取り付けられた第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体との間を密封するように配設された弾性部材とを有する撮像装置において、
前記弾性部材の変形量が所定の閾値を超えた場合に、前記第1の筐体及び前記第2の筐体が互いに当接するように、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくとも一方から光軸に沿って突出して形成された突出部を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記所定の閾値は、前記弾性部材の可逆的な変形が不能となる変形量より小さく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが対向する面上において前記弾性部材が延在する方向に沿ってリブ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記突出部は、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが対向する面上において前記弾性部材が延在する方向に沿って島状に複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の筐体及び前記第2の筐体は、前記第2の筐体に貫通して形成された貫通穴を介して先端部が前記第1の筐体に形成されたネジ穴に挿入されたボルトによって、互いに固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の筐体は、前記ネジ穴に内接するように前記第1の筐体に向けて突出して形成されたボス部を有することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記ボルトは前記貫通穴を貫通する貫通部が、前記ネジ穴に挿入される先端部に比べて径が大きく形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−48008(P2012−48008A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190585(P2010−190585)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】