説明

撮影装置、撮影方法および撮影プログラム

【課題】 動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくすること。
【解決手段】 デジタルスチルカメラは、動画撮影スイッチと、第1の操作で第1位置となり、第1位置で第1の信号を出力し、第1位置から第2の操作で第2位置となり、第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、を備え、動画撮影スイッチが指示されると(S01でYES)、動画および音声を記録し(S02)、動画および音声を記録していない間に静止画撮影スイッチが第1の信号を出力すると(S10でYES)、撮影条件の調整をし(S11)、動画および音声を記録していない間に静止画撮影スイッチが第2の信号を出力すると(S12でYES)、静止画を記録し(S13)、動画および音声が記録されている間に静止画撮影スイッチが第1の信号を出力すると(S04でYES)、静止画を記録する(S06)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影装置、撮影方法および撮影プログラムに関し、特に動画の撮影中に静止画を撮影することが可能な撮影装置、撮影方法および撮影プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動画の撮影中に静止画を撮影することが可能な撮影装置が特開2005−57361号公報に記載されている。従来の撮影装置は、動画像撮影中に、レリーズボタンが半押しされると、静止画像の撮影動作が行われることを視覚を通じて被写体に知らせる第1通知手段を具えており、レリーズボタンが全押しされると撮影動作を行う。
【0003】
しかしながら、動画像撮影中におけるレリーズボタンを全押しする操作は、半押しする操作をした後に、さらに押下する操作であるため、ユーザはストローク距離の長い操作をしなければならず、手振れが発生しやすくなるといった問題があった。
【特許文献1】特開2005−57361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくした撮影装置を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくすることが可能な撮影方法を提供することである。
【0006】
この発明のさらに他の目的は、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくすることが可能な撮影プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、撮影装置は、動画撮影スイッチと、動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録する動画撮影手段と、動画撮影スイッチとは別に設けられ、第1の操作で第1位置となり、第1位置で第1の信号を出力し、第1位置から第2の操作で第2位置となり、第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、動画撮影手段が動画を記録している間は継続して撮影条件を調整し、動画撮影手段が動画を記録していない間は静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始する撮影条件調整手段と、動画撮影手段が動画を記録していない間に静止画撮影スイッチが第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影して静止画を記録する静止画撮影手段と、を備え、静止画撮影手段は、動画が記録されている間に静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影して静止画を記録する。
【0008】
この局面に従えば、動画が記録されている間に静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影して静止画が記録される。静止画撮影スイッチは、第1の操作で第1位置となり、第1の信号を出力し、第1位置から第2の操作で第2位置となり、第2の信号を出力するので、静止画撮影スイッチに第1の信号を出力させる場合の方が、静止画撮影スイッチに第2の信号を出力させる場合よりもユーザによる操作は簡素である。このため、動画撮影中における静止画撮影のための操作を簡素化することができる。その結果、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくした撮影装置を提供することができる。
【0009】
好ましくは、静止画撮影スイッチは、原点位置から第2位置までの移動距離が、原点位置から第1位置までのストローク距離より長い。
【0010】
この局面に従えば、静止画撮影スイッチは、原点位置から第2位置までの移動距離が、原点位置から第1位置までのストローク距離より長いので、静止画撮影スイッチに第1の信号を出力させる場合の方が、静止画撮影スイッチに第2の信号を出力させる場合よりもユーザの動きが小さい。このため、動画撮影中における静止画撮影のための操作のためのユーザの動きを小さくことができる。
【0011】
好ましくは、静止画撮影スイッチは、第1の圧力で押下されると第1位置となり、第1の圧力より大きな第2の圧力で押下されると第2位置となり、動画撮影手段は、動画を記録している間、音声を記録する。
【0012】
この局面に従えば、静止画撮影スイッチは、第1の圧力で押下されると第1位置となり、第1の圧力より大きな第2の圧力で押下されると第2位置となるので、静止画撮影スイッチが第1位置で発生する音が第2位置で発生する音よりも小さい。その結果、動画および音声の記録中に静止画を記録するための操作により発生する音を小さくすることができる。
【0013】
好ましくは、動画撮影手段は、静止画撮影手段が静止画を記録する間、動画の記録を一時停止し、静止画撮影手段が静止画を記録した後、動画の記録を再開する。
【0014】
この発明の他の局面によれば、撮影方法は、動画撮影スイッチと、動画撮影スイッチとは別に設けられ、第1の操作で第1位置となり、第1位置で第1の信号を出力し、第1位置から第2の操作で第2位置となり、第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、を備えた撮影装置で実行される撮影方法であって、動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されている間は継続して撮影条件を調整するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに静止画撮影スイッチが第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されているときに静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、を含む。
【0015】
この局面に従えば、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくすることが可能な撮影方法を提供することができる。
【0016】
この発明のさらに他の局面によれば、撮影プログラムは、動画撮影スイッチと、動画撮影スイッチとは別に設けられ、第1の操作で第1位置となり、第1位置で第1の信号を出力し、第1位置から第2の操作で第2位置となり、第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、を備えた撮影装置を制御するコンピュータで実行される撮影プログラムであって、動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されている間は継続して撮影条件を調整するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに静止画撮影スイッチが第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、動画を記録するステップにおいて動画が記録されているときに静止画撮影スイッチが第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0017】
この局面に従えば、動画撮影中に手振れが発生する確率を小さくすることが可能な撮影プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラの正面図である。
【図2】本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラの側面図である。
【図3】本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラの背面図である。
【図4】本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラのハードウェア構成の概略の一例を示すブロック図である。
【図5】CPUが有する機能の概要の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
図1は、本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラの正面図である。図2は、本実施の形態の1つにおけるデジタルビデオカメラの側面図である。図3は、本実施の形態におけるデジタルビデオカメラの背面図である。図1〜図3を参照して、デジタルビデオカメラ10は、筐体9の正面に、マイクロホン11と、ストロボ13と、レンズ15と、が配置される。レンズ15の下方にストロボ13が配置され、その両端に2つのマイクロホン11が配置される。なお、マイクロホン11が配置される位置は、図1に示す位置には限定されないが、レンズ15が配置される面と同じ面に配置されるのが好ましい。
【0021】
デジタルビデオカメラ10は、筐体9の側面に、LCD(Liquid Crystal Display)117を含む。LCD117は、筐体9にヒンジ機構で連結され、開閉自在である。図2では、LCD117が閉状態にあるときのデジタルビデオカメラ10の側面を示している。さらに、筐体9の上面に、電源スイッチ19と、ズームレバー25とが配置される。電源スイッチ19は、電源のONとOFFとを切り換えるためのスイッチである。ズームレバー25は、レンズ15の画角を調整するためのレバーである。
【0022】
デジタルビデオカメラ10は、筐体9の背面に、静止画撮影スイッチ21と、動画撮影スイッチ23と、再生スイッチ27と、メニュースイッチ29と、十字パドルキー31とを含む。再生スイッチ27は、撮影した動画像を再生する指示を受け付けるためのスイッチである。メニュースイッチ29は、メニュー画面を表示させる指示を受け付けるためのスイッチである。十字パドルキー31は、メニューの選択等、カーソルを上下左右に移動させる操作を受け付けるためのスイッチである。静止画撮影スイッチ21および動画撮影スイッチ23については後述する。
【0023】
図4は、本実施の形態におけるデジタルビデオカメラのハードウェア構成の概略の一例を示すブロック図である。図4を参照して、デジタルビデオカメラ10は、デジタルビデオカメラ10の全体を制御する中央演算装置(CPU)101と、CPU101が実行するためのプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)103と、レンズ15と、イメージセンサ105と、マイクロホン11と、アナログ/デジタル変換部(A/D)107,109と、メモリ制御部111と、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)113と、液晶表示装置(LCD)117と、LCD117を制御するLCDドライバ115と、JPEG(Joint Photographic Experts Group)−CODEC119と、MPEG(Moving Picture Experts Group)−CODEC121と、大容量記録装置としてのハードディスクドライブ(HDD)123と、外部記録装置127と、操作部131と、を含む。
【0024】
レンズ15、CPU101、ROM103、イメージセンサ105、メモリ制御部111、JPEG‐CODEC119、MPEG‐CODEC121、HDD123、外部記録装置127それぞれは、バス125に接続されている。
【0025】
イメージセンサ105は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子であり、その結像面がレンズの光軸に対して垂直となる。イメージセンサ105は、レンズ15を介して結像面に結像する被写体の光学画像を光電変換し、光電変換した画像をA/D107に出力する。なお、イメージセンサ105は、CMOSイメージセンサに限定されるものではなく、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いてもよい。A/D107は、入力されるアナログ信号の画像のデータをデジタル信号に変換し、メモリ制御部111に出力する。
【0026】
また、マイクロホン11は、音を集音し、アナログ信号の音データを、A/D109に出力する。A/D109は、マイクロホン11から入力されるアナログ信号の音データをデジタル信号に変換し、メモリ制御部111に出力する。
【0027】
メモリ制御部111は、A/D107から入力される画像をSDRAM113の表示画像エリアに格納し、A/D109から入力される音をSDRAM113の音エリアに格納する。LCDドライバ115は、SDRAM113の表示画像エリアに格納された画像のデジタル信号のデータを、R(赤)G(緑)B(青)のアナログ信号のデータに変換し、LCD117に出力する。これにより、LCD117に画像が表示される。
【0028】
操作部131は、電源スイッチ19と、静止画撮影スイッチ21と、動画撮影スイッチ23と、ズームレバー25と、再生スイッチ27と、メニュースイッチ29と、十字パドルキー31とを含む。
【0029】
静止画撮影スイッチ21は、2段階で動作するスイッチであり、ユーザによる第1の操作で第1位置となり、第1位置で第1の信号を出力し、ユーザによる第2の操作で第1位置から第2位置となり、第2位置で第2の信号を出力する。静止画撮像スイッチ21がユーザにより押下されていない原点位置から第2位置までの移動距離(ストローク)は、原点位置から第1位置までの移動距離(ストローク距離)より長い。第1の操作は、ユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する操作であり、第2の操作は、ユーザが第1位置にある静止画撮影スイッチ21を第2位置まで押下する操作である。静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下するためには、ユーザは、第1の操作と、第2の操作とをしなければならない。このため、ユーザが、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下する場合、原点位置から第1位置まで押下する場合よりも操作の回数が多い。また、ユーザが、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下する場合、原点位置から第1位置まで押下する場合よりもストローク距離が長い。
【0030】
また、静止画撮影スイッチ21は、第1の圧力で押下されると第1位置となり、第1の圧力より大きな第2の圧力で押下されると第2位置となる。静止画撮影スイッチ21を第1位置から第2位置まで押下する圧力が、静止画撮影スイッチ21を第1位置まで押下する圧力より大きいのは、ユーザが静止画撮影スイッチ21が第1位置であることを指で感じることができるようにするためである。
【0031】
静止画撮影スイッチ21を第1位置から第2位置まで押下する場合、第1位置まで押下する場合よりも大きな力が静止画撮影スイッチ21に加わるため、静止画撮影スイッチ21が第1位置から第2位置の状態になる際に発生するクリック音は、静止画撮影スイッチ21が押されていない状態から第1位置の状態になる際に発生するクリック音より音が大きくなる。ユーザが静止画撮影スイッチ21を押下して、第1位置または第2位置の状態にする操作に伴って発生するクリック音は、デジタルビデオカメラ10の筐体9を伝わって、マイクロホン11に到達する。
【0032】
なお、ここでは、静止画撮像スイッチ21を押しボタン式のスイッチとしたが、スライド式のスライドスイッチとしてもよい。静止画撮像スイッチ21をスライドスイッチとする場合においても、スライドスイッチがユーザによりスライドされていない原点位置から第2位置までスライドするスライド距離は、原点位置から第1位置までスライドするスライド距離より長い。第1の操作は、ユーザがスライドスイッチを原点位置から第1位置までスライドさせる操作であり、第2の操作は、ユーザが第1位置にあるスライドスイッチを第2位置までスライドさせる操作である。スライドスイッチを原点位置から第2位置にスライドさせるためには、ユーザは、第1の操作と、第2の操作とをしなければならない。このため、ユーザが、スライドスイッチを原点位置から第2位置までスライドさせる場合、原点位置から第1位置までスライドさせる場合よりも操作の回数が多い。また、ユーザが、スライドスイッチを原点位置から第2位置までスライドさせる場合、原点位置から第1位置までスライドさせる場合よりもスライド距離が長い。
【0033】
動画撮影スイッチ23は、動画の撮影の開始および終了の指示を受け付けるためのスイッチである。ユーザが動画撮影スイッチ23を押下すると、押下されたことを示す信号をCPU101に出力する。
【0034】
JPEG−CODEC119は、CPU101により制御され、SDRAM113に格納されたデジタル信号の画像データを圧縮符合化し、JPEGフォーマットの符号化データに変換し、また、JPEGフォーマットの符号化データを復号し、デジタル信号の画像データに変換する。
【0035】
MPEG−CODEC121は、CPU101により制御され、SDRAM113に時系列に格納される複数フレームの画像のデータと、マイクロホン11から入力される音のデータとを圧縮符号化し、MPEGフォーマットの符号化データに変換し、また、MPEGフォーマットの符号化データを復号し、画像のデータと音のデータとに変換する。JPEG−CODEC119が、1フレームの画像を符号化または復号するのに対して、MPEG−CODEC121は、複数フレームの画像からなる動画像と音のデータを符号化または復号する。MPEG−CODEC121は、マイクロホン11から入力される音のデータのみを圧縮符号化し、MPEGフォーマットの符号化データに変換することも可能である。
【0036】
JPEG−CODEC119によりJPEGフォーマットに変換された符号化データおよびMPEG−CODEC121によりMPEGフォーマットに変換された符号化データは、HDD123に記録される。
【0037】
なお、ここでは、大容量記録装置としてHDD123を備える例を説明したが、HDD123に代えて、内蔵のフラッシュメモリであってもよいし、着脱可能なメモリカードであってもよい。
【0038】
外部記録装置127には、着脱可能なCD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)129が装着される。CPU101は、外部記録装置127を介して、CD−ROM129にアクセスすることが可能である。また、外部記録装置127にDVD(Digital Versatile Disc)が装着される場合には、JPEG−CODEC119によりJPEGフォーマットに変換された符号化データおよびMPEG−CODEC121によりMPEGフォーマットに変換された符号化データを、DVDに記録するようにしてもよい。
【0039】
なお、CPU101が実行するプログラムをROM103に記憶する例を示すが、CPU101がHDD123または外部記録装置127に装着されたCD−ROM129に記録されたプログラムをSDRAM113にロードして実行するようにしてもよい。また、CPU101が実行するプログラムを記録する媒体としては、CD−ROM129に限られず、着脱可能な光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)、DVD、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、メモリカードなどであってもよい。
【0040】
図5は、CPUが有する機能の概要の一例を示す機能ブロック図である。図5を参照して、CPU101は、イメージセンサ105を制御する撮影制御部141と、撮影条件を調整する撮影条件調整部143と、を含む。
【0041】
撮影制御部141は、動画撮影部145と、静止画撮影部147とを含む。動画撮影部145は、イメージセンサ105とMPEG−CODEC121とを制御し、動画を記録する。具体的には、動画撮影部145は、動画撮影スイッチ23が押下されたことを示す信号が入力されると、イメージセンサ105に動画を出力させるとともに、動画を撮影中であることを示す撮影中信号を撮影制御部143および静止画撮影部147に出力する。そして、動画撮影部145は、MPEG−CODEC121を制御して、イメージセンサ105が出力する動画およびマイクロホン11が出力する音声を符号化させ、HDD123に記録する。さらに、動画撮影部145は、動画撮影スイッチ23が押下されたことを示す信号が入力されると、動画および音声の記録を終了し、撮影中信号の出力を停止する。
【0042】
撮影条件調整部143は、焦点、露出、絞りおよびホワイトバランス等の撮影条件を調整する。撮影条件調整部143は、動画が記録されている間、換言すれば、動画撮影部145から撮影中信号が入力されている間、撮影条件を調整する。また、撮影条件調整部143は、動画が記録されていないときに、換言すれば動画撮影部145から撮影中信号が入力されてないときに静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されることに応じて、撮影条件の調整を開始する。なお、ここでは、撮影条件調整部143が、焦点、露出、絞りおよびホワイトバランスを調整する例を説明するが、撮影条件調整部143は、焦点、露出、絞りおよびホワイトバランスのうちから選ばれた少なくとも1つを調整するものであればよい。
【0043】
静止画撮影部147は、イメージセンサ105とJPEG−CODEC119を制御し、静止画を記録する。静止画撮影部147は、動画が撮影されていないとき、換言すれば動画撮影部145から撮影中信号が入力されてないときに静止画撮影スイッチ21から第2の信号が入力されることに応じて、イメージセンサ105に静止画を出力させる。そして、静止画撮影部147は、JPEG−CODEC119を制御して、イメージセンサ105が出力する静止画を符号化させ、HDD123に記録する。
【0044】
静止画撮影部147は、動画が記録されている場合、換言すれば動画撮影部145から撮影中信号が入力されている場合、静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されることに応じて、イメージセンサ105に静止画を出力させる。そして、静止画撮影部147は、JPEG−CODEC119を制御して、イメージセンサ105が出力する静止画を符号化させ、HDD123に記録する。イメージセンサ105は、静止画を出力している間は動画を出力できないので、動画撮影部145は、静止画撮影部147が静止画を撮影している間、動画を得ることができないが、前後のフレームを用いて補間した動画像を用いるなどして動画および音声の記録を継続する。なお、動画撮影部145は、静止画撮影部147が静止画を撮影している間に、イメージセンサ105が出力する画像信号をMPEG−CODEC121およびJPEG−CODEC119の両方に供給することによって、動画の記録を一時停止することなく動画および音声の記録を継続するようにしてもよい。
【0045】
なお、動画撮影部145は、静止画撮影部147が静止画を撮影している間、マイクロホン11から出力される音声を継続して記録する。
【0046】
上述したように、撮影条件調整部143は、動画の撮影中に継続して撮影条件を調整している。このため、動画を記録している間に静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力される段階では、撮影条件調整部143により撮影条件が調整されている。したがって、動画を記録している間に静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力される時点で、撮影条件を改めて調整する必要はない。
【0047】
静止画撮影部147は、動画の撮影中にユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する第1の操作をすると、静止画を撮影する。第1の操作は、ユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下する場合よりも操作の回数が少ない。ユーザが静止画撮像スイッチ21を押下する操作によって、デジタルビデオカメラ10を支える手が振れる場合があるが、動画撮影中に静止画を撮影する場合における操作回数を少なくすることによって、手振れの発生する確率を少なくすることができる。また、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する場合のストローク量は、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下する場合のストローク量より短い。このため、動画撮影中に静止画を撮影する際の操作をするための指の動きを少なくすることによって、手振れが発生する確率をさらに少なくすることができる。さらに、ユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する場合に静止画撮影スイッチ21に加えられる力は、静止画撮影スイッチ21を第2位置まで押下する場合に比較して小さい。動画の撮影中に静止画を撮影する操作によって静止画撮影スイッチ21に加えられる力を小さくして、手振れが発生する確率をさらに少なくすることができる。
【0048】
また、上述したように、動画撮影部145は、静止画撮影部147が静止画を記録する間、音声を継続して記録する。静止画撮影スイッチ21が第1位置になるときに発生する機械的な操作音であるクリック音は、静止画撮影スイッチ21が第2位置になるときに発生するクリック音より小さく、直接または筐体9を伝わってマイクロホン11に到達するクリック音は、静止画撮影スイッチ21が第1位置になるときの方が、静止画撮影スイッチ21が第2位置になるときよりも小さい。このように、静止画撮影スイッチ21が第1位置まで押下される操作に応じて静止画を記録するようにしたので、ユーザによる操作により発生するクリック音を小さくして、動画撮影部145により記録されるクリック音を小さな音にすることができる。
【0049】
図6は、撮影処理の流れの一例を示すフローチャートである。撮影処理は、CPU101がROM103、HDD123またはCD−ROM129に記憶された撮影プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図6を参照して、CPU101は、動画撮影スイッチ23が押下されことを検出したか否かを判断する(ステップS01)。動画撮影スイッチ23が押下されたことを検出したならば、処理をステップS02に進めるが、そうでなければ処理をステップS11に進める。
【0050】
ステップS02においては、動画の撮影を開始し、処理をステップS03に進める。ステップS03においては、撮影条件の調整を開始し、処理をステップS04に進める。なお、ステップS03において開始された撮影条件の調整は、以後継続して行う。
【0051】
ステップS04においては、静止画撮影スイッチ21が半押しされたか否かを判断する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されたならば、静止画撮影スイッチ21が半押しされたことを検出する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されたならば、処理をステップS05に進めるが、そうでなければ処理をステップS08に進める。
【0052】
ステップS05においては、動画の撮影を一時停止する。動画の記録を一時停止するが、音声は継続して記録する。次のステップS06においては、静止画を撮影する。そして、静止画の撮影が終了すると、次のステップS07において、動画の撮影を再開し、処理をステップS04に戻す。なお、ここでは、動画の撮影中に静止画撮影スイッチ21が半押しされたことを検出すると、動画の記録を一時停止し、静止画を撮影した後、動画の撮影を再開するようにしたが、静止画の撮影時にイメージセンサ105が出力する画像信号をMPEG−CODEC121およびJPEG−CODEC119の両方に供給することによって、動画の記録を一時停止することなく静止画の撮影を行うようにしてもよい。
【0053】
ステップS08においては、動画撮影スイッチ23の押下を検出したか否かを判断する。動画撮影スイッチ23の押下を検出したならば、処理をステップS09に進めるが、そうでなければ処理をステップS04に戻す。ステップS09においては、動画の撮影を停止し、処理をステップS01に戻す。したがって、動画撮影スイッチ23が押下されてから再び動画撮影スイッチ23が押下されるまで、動画を撮影する。
【0054】
処理がステップS10に進む場合、動画像が撮影されていないときである。ステップS10においては、静止画撮影スイッチ21が半押しされたか否かを判断する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されたならば、静止画影スイッチ21が半押しされたことを検出する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号が入力されたならば、処理をステップS11に進めるが、そうでなければ処理をステップS15に進める。
【0055】
ステップS11においては、撮影条件の調整を開始し、処理をステップS12に進める。次のステップS12においては、静止画撮影スイッチ21が全押しされたか否かを判断する。静止画撮影スイッチ21から第2の信号が入力されたならば静止画撮影スイッチ21が全押しされたと判断する。静止画撮影スイッチ21から第2の信号が入力されたならば、処理をステップS13に進めるが、そうでなければ処理をステップS14に進める。
【0056】
ステップS13においては、静止画を撮影する。次のステップS14においては、静止画撮影スイッチ21の半押しが解除されたか否かを判断する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号および第2の信号のいずれも入力されなければ、静止画撮影スイッチ21の半押しが解除されたと判断する。静止画撮影スイッチ21から第1の信号および第2の信号のいずれも入力されなければ、処理をステップS01に戻すが、そうでなければ処理をステップS12に戻す。
【0057】
ステップS15においては、電源スイッチ19が押下されたか否かを判断する。電源スイッチ19が押下されたならば、電源をOFFとし終了するが、そうでなければ処理をステップS01に戻す。
【0058】
以上説明したように本実施の形態おけるデジタルビデオカメラ10は、動画および音声を記録している最中に静止画撮影スイッチ21が第1位置まで押下されること応じて、静止画を記録する。ユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する場合、原点位置から第2位置まで押下する場合よりも操作が簡素になる。したがって、動画の撮影中に静止画を撮影するためのユーザによる操作を簡素化することによって、手振れが発生する原因が少なくなる。このため、静止画を撮影する操作によって、手振れが発生する確率を小さくすることができる。さらに、手振れの発生確率を減少することによって、撮影中の動画の画質が低下しないようにすることができる。
【0059】
また、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する場合のストローク量は、静止画撮影スイッチ21を原点位置から第2位置まで押下する場合のストローク量より短い。このため、動画撮影中に静止画を撮影する際の操作をするための指の動きを小さくすることによって、手振れが発生する確率をさらに少なくすることができる。さらに、ユーザが静止画撮影スイッチ21を原点位置から第1位置まで押下する場合に静止画撮影スイッチ21に加えられる力は、静止画撮影スイッチ21を第2位置まで押下する場合に比較して小さい。動画の撮影中に静止画を撮影する操作によって静止画撮影スイッチ21に加えられる力を小さくして、手振れが発生する確率をさらに少なくすることができる。
【0060】
また、本実施の形態おけるデジタルビデオカメラ10は、動画および音声を記録している最中に静止画撮影スイッチ21が第1位置まで押下されること応じて、静止画が記録される。静止画撮影スイッチ21が第1位置まで押下されるときに発生するクリック音は、第2位置まで押下されるときに発生するクリック音より小さく、発生したクリック音が直接または筐体9を伝わってマイクロホン11に到達するクリック音は、静止画撮影スイッチ21が第1位置まで押下される場合の方が、第2位置まで押下される場合より小さい。したがって、動画および音声の記録中にユーザが静止画撮影スイッチ21を押下する操作により記録されるクリック音を小さくすることができる。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
9 筐体、10 デジタルビデオカメラ、11 マイクロホン、13 ストロボ、15 レンズ、19 電源スイッチ、21 静止画撮影スイッチ、23 動画撮影スイッチ、25 ズームレバー、27 再生スイッチ、29 メニュースイッチ、31 十字パドルキー、101 CPU、103 ROM、105 イメージセンサ、107,109 A/D、111 メモリ制御部、113 SDRAM、115 LCDドライバ、117 LCD、119 JPEG−CODEC、121 MPEG−CODEC、123 HDD、125 バス、127 外部記録装置、129 CD−ROM、131 操作部、141 撮影制御部、143 撮影条件調整部、145 動画撮影部、147 静止画撮影部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画撮影スイッチと、
前記動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録する動画撮影手段と、
前記動画撮影スイッチとは別に設けられ、
前記動画撮影手段が動画を記録している間は継続して撮影条件を調整し、前記動画撮影手段が動画を記録していない間は前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始する撮影条件調整手段と、
前記動画撮影手段が動画を記録していない間に前記静止画撮影スイッチが前記第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影して静止画を記録する静止画撮影手段と、を備え、
前記静止画撮影手段は、動画が記録されている間に前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影して静止画を記録する、撮影装置。
【請求項2】
前記静止画撮影スイッチは、原点位置から前記第2位置までの移動距離が、原点位置から前記第1位置までのストローク距離より長い、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記静止画撮影スイッチは、第1の圧力で押下されると前記第1位置となり、前記第1の圧力より大きな第2の圧力で押下されると第2位置となり、
前記動画撮影手段は、動画を記録している間、音声を記録する、請求項1または2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記動画撮影手段は、前記静止画撮影手段が静止画を記録する間、動画の記録を一時停止し、前記静止画撮影手段が静止画を記録した後、動画の記録を再開する、請求項1〜3のいずれかに記載の撮影装置。
【請求項5】
動画撮影スイッチと、
前記動画撮影スイッチとは別に設けられ、第1の操作で第1位置となり、前記第1位置で第1の信号を出力し、前記第1位置から第2の操作で第2位置となり、前記第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、を備えた撮影装置で実行される撮影方法であって、
前記動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されている間は継続して撮影条件を調整するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに前記静止画撮影スイッチが前記第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されているときに前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、を含む撮影方法。
【請求項6】
動画撮影スイッチと、
前記動画撮影スイッチとは別に設けられ、第1の操作で第1位置となり、前記第1位置で第1の信号を出力し、前記第1位置から第2の操作で第2位置となり、前記第2位置で第2の信号を出力する静止画撮影スイッチと、を備えた撮影装置を制御するコンピュータで実行される撮影プログラムであって、
前記動画撮影スイッチが指示されることに応じて、被写体を撮影し、動画を記録するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されている間は継続して撮影条件を調整するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、撮影条件の調整を開始するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されていないときに前記静止画撮影スイッチが前記第2の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、
前記動画を記録するステップにおいて動画が記録されているときに前記静止画撮影スイッチが前記第1の信号を出力することに応じて、被写体を撮影し、静止画を記録するステップと、を前記コンピュータに実行させる撮影プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−10004(P2012−10004A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142636(P2010−142636)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】