説明

撮影装置および方法並びにプログラム

【課題】簡易にセキュリティシステムを構築できるようにする。
【解決手段】CPU11は、撮影により被写体の画像を取得する撮像部20のモードを、撮影の指示により被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替える。監視撮影モード時には、画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ記録媒体25に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影により画像を取得するデジタルカメラ等の撮影装置および撮影方法、並びに撮影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ向上のために、家庭内に監視カメラを設置し、留守時の家庭内の状況を常時撮影して監視することが行われている。例えば、ホームサーバーを設置し、家の境界等に設置した監視カメラが撮影した画像や、マイクにより取得した音声をホームサーバーに保存するセキュリティシステムが提案されている(特許文献1参照)。また、デジタルカメラからなる監視カメラを使用し、不審者の侵入を検出した際に監視カメラによる撮影を行い、撮影により取得した画像を記録媒体に記録するようにしたセキュリティシステムも提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−99862号公報
【特許文献2】特開2003−134441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載されたシステムにおいては、監視専用のカメラを用意する必要があり、その結果、セキュリティシステムを構築するためのコストが増大するという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易にセキュリティシステムを構築できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮影装置は、撮影により被写体の画像を取得する撮像手段と、
該画像を記録する記録手段と、
前記撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により前記被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って前記被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替える撮影モード切替手段と、
前記監視撮影モード時には、前記画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ前記記録手段に記録する記録制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
なお、本発明による撮影装置においては、前記記録制御手段を、前記通常撮影モードにより取得された画像を前記記録手段における第1のメモリ領域に、前記監視撮影モードにより取得された画像を前記記録手段における第2のメモリ領域に記録する手段としてもよい。
【0007】
この場合、前記記録制御手段を、前記第1のメモリ領域が不足する場合、前記通常撮影モードにより取得された画像を前記第2のメモリ領域に記録する手段としてもよい。
【0008】
また、本発明による撮影装置においては、前記画像を含む各種表示を行う表示手段と、
前記表示手段の再生モードを、前記通常撮影モードにより取得した画像を再生する通常再生モードと、前記監視撮影モードにより取得した画像を再生する監視再生モードとに切り替える再生モード切替手段と、
前記通常再生モード時には前記通常撮影モードにより取得した画像を再生し、前記監視再生モード時には前記監視撮影モードにより取得した画像を再生する再生制御手段とをさらに備えるものとしてもよい。
【0009】
また、本発明による撮影装置においては、音声を検出する音声検出手段をさらに備えるものとし、
前記記録制御手段を、前記監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合には、該検出から一定時間経過後に前記記録手段への記録を停止する手段としてもよい。
【0010】
また、本発明による撮影装置においては、音声を検出する音声検出手段をさらに備えるものとし、
前記記録制御手段を、前記監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合には、該検出直後に前記撮影により取得した画像を、前記記録手段における上書きを禁止したメモリ領域に記録する手段としてもよい。
【0011】
なお、音声検出手段を備えた場合においては、前記撮像手段を、前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の感度にて撮影を行う手段としてもよく、前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の画素数の画像が取得されるように撮影を行う手段としてもよい。
【0012】
さらに、前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、前記撮影により取得した画像に対してシャープネス処理を施す画像処理手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0013】
また、本発明による撮影装置においては、ACアダプタを接続するAC接続手段をさらに備えるものとし、
前記撮影モード切替手段を、前記AC接続手段に前記ACアダプタが接続された場合に、前記撮影モードを前記監視撮影モードに切り替える手段としてもよい。
【0014】
本発明による撮影方法は、撮影により被写体の画像を取得する撮像手段と、該画像を記録する記録手段とを備えた撮影装置における撮影方法において、
前記撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により前記被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って前記被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替え、
前記監視撮影モード時には、前記画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ前記記録手段に記録することを特徴とするものである。
【0015】
なお、本発明による撮影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替えるようにし、監視撮影モード時には、画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ記録手段に記録するようにしたものである。これにより、1台の撮影装置により、通常の撮影および監視用の撮影の双方を行うことができるため、通常の撮影用の撮影装置と監視用の撮影装置とを別個に用意する必要がなくなる。したがって、セキュリティシステムを低コストにて構築することができる。
【0017】
また、通常撮影モードにより取得された画像を記録手段の第1のメモリ領域に、監視撮影モードにより取得された画像を第2のメモリ領域に記録することにより、通常撮影モードにより取得した画像と、監視撮影モードにより取得した画像とが混在して記録手段に記録されることを防止できる。
【0018】
この場合において、第1のメモリ領域が不足する場合に通常撮影モードにより取得された画像を第2のメモリ領域に記録することにより、通常撮影モードにより取得した画像を残しておくことが可能となる。
【0019】
また、再生モードを通常撮影モードにより取得した画像を再生する通常再生モードと、監視撮影モードにより取得した画像を再生する監視再生モードとに切り替えるようにし、通常再生モード時には通常撮影モードにより取得した画像を再生し、監視再生モード時には監視撮影モードにより取得した画像を再生することにより、通常撮影モードにより取得した画像と監視撮影モードにより取得した画像とが混在して再生されてしまうことを防止できる。
【0020】
また、監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、検出から一定時間経過後に記録手段への記録を停止することにより、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において取得した画像が、上書きされて消失してしまうことを防止できる。
【0021】
また、監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、検出直後に撮影により取得した画像を上書きを禁止したメモリ領域に記録することにより、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において取得した画像が、上書きされて消失してしまうことを防止できる。
【0022】
また、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の感度にて撮影を行うことにより、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において、装置が設置された環境の明るさが不足している場合にも、被写体を認識可能な画像を取得することができる。
【0023】
また、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の画素数にて撮影を行うことにより、画像を拡大してもボケが少なくなるため、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態の被写体を詳細に認識することが容易となる。
【0024】
また、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、撮影により取得した画像に対してシャープネス処理を施すことにより、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において、画像に含まれる被写体を認識することが容易となる。
【0025】
また、ACアダプタが接続された場合に撮影モードを監視撮影モードに切り替えることにより、撮影モードを容易に監視撮影モードに切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による撮影装置を適用したデジタルカメラ1の背面斜視図である。デジタルカメラ1は、図示していないが、その正面にレンズ、ストロボ、補助光ランプ、各種センサ等の、撮影に必要な一般的な各種装置が設けられている。背面および側面には、モニタ15、十字キーや操作ボタンからなる入力部17、AC端子18、メディアスロット19およびマイク20を備える。
【0027】
モニタ15には、メディアスロット19に装填されたメモリカード等の記録媒体に記録された画像の表示、各種設定に必要なメニュー画面、撮影時においてはCCD(不図示)によって取得されたスルー画像が表示される。
【0028】
AC端子18にはACアダプタ30が接続され、これにより、デジタルカメラ1に電力が供給される。
【0029】
メディアスロット19は、メモリカードやICメモリ等の記録媒体が装填される装填口であり、メディアスロット19に記録媒体が装填されると、記録媒体に対してデータの読み取り/書き込みが行われる。
【0030】
マイク20は、音声をデジタルカメラ1に入力する。
【0031】
図2は本実施形態によるデジタルカメラ1の内部構成を示すブロック図である。デジタルカメラ1は、CPU11(撮影モード切替手段、再生モード切替手段、記録制御手段、再生制御手段)、撮像部12、記憶部13、表示制御部14、モニタ15、入力制御部16、入力部17、AC端子18、メディアスロット19、マイク20、マイク制御部21、電源制御部22および画像処理部23を備える。
【0032】
撮像部12は、撮影に用いられるレンズおよびレンズ駆動部、AF制御部、ISO感度制御部、CCDおよびCCD駆動部、A/D変換器等を備えて構成されており、CPU11から出力される制御信号にしたがって撮像処理を行う。
【0033】
記憶部13は、プログラムやデータ等が予め記録されている記録媒体であり、磁気的または光学的記録媒体、半導体メモリ等によって構成されている。記憶部13には、デジタルカメラ1を作動させるための各種プログラムが記録されている。
【0034】
表示制御部14は、CPU11から入力される表示信号に基づいて、モニタ15を制御して画像を含む各種情報を表示させる。モニタ15は、ブラウン管、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electronic Luminescent Display)等で構成される。
【0035】
入力制御部16は、入力部17の操作内容をCPU11に入力する。
【0036】
メディアスロット19は、メモリカードやICメモリといった記録媒体25に対してデータの読み取り/書き込みを行う。
【0037】
マイク制御部21は、マイク20の駆動を制御するとともに、マイク20が集音した音声の音量を検出し、検出した音量が所定の大きさ以上である場合に、その旨の信号(音声検出信号とする)をCPU11に出力する。具体的には、検出した音量が所定のしきい値以上の場合に、音声検出信号を出力する。
【0038】
電源制御部22は、AC端子18からデジタルカメラ1に供給される電力の制御を行うものであり、不図示の充電池に対して充電を行ったり、AC端子18から供給される電力によりデジタルカメラ1を駆動したりする。
【0039】
画像処理部23は、後述する通常撮影モード時においては、撮像部12が取得した画像に対して画質を向上させるための画像処理を施す。具体的には、明るさ補正処理、階調処理、色補正処理、およびシャープネス処理等を施す。なお、監視撮影モード時においては、撮影により取得した画像にシャープネス処理のみを施す。
【0040】
CPU11は、入力される指示信号に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行する等して、デジタルカメラ1を統括的に制御するものである。具体的には、CPU11は入力部17の操作によって入力される指示信号に応じて記憶部13から読み出したプログラムに基づいて処理を実行する。
【0041】
より具体的には、デジタルカメラ1のモードが撮影モードにある場合において、AC端子18にACアダプタ30が接続されていない場合、デジタルカメラ1の撮影モードを通常撮影モードに切り替える。一方、AC端子18にACアダプタ30が接続されている場合、デジタルカメラ1の撮影モードを監視撮影モードに切り替える。
【0042】
ここで、通常撮影モードとは、レリーズボタンの押下によるユーザの撮影操作により被写体の撮影を行い、これにより取得された画像を記録媒体25における第1のメモリ領域に記録するモードである。監視撮影モードとは、所定時間T1の間隔により被写体の撮影常時を行って、これにより取得された画像を記録媒体25における第2のメモリ領域に記録するモードである。
【0043】
図3は記録媒体25のメモリ領域を示す図である。なお、図3においては、第1のメモリ領域25Aと第2のメモリ領域25Bとの割合を3:7としているが、これに限定されるものではない。なお、第1のメモリ領域25Aと第2のメモリ領域25Bとは、記録媒体25のメモリ領域におけるアドレスの位置により区分すればよい。
【0044】
なお、監視撮影モード時においては、取得される画像は、第2のメモリ領域25Bに順次記録され、第2のメモリ領域25Bの空き領域がなくなると、撮影日時の古い画像から順に新たな画像を上書きして記録するリングバッファ方式を採用している。すなわち、図4(a)に示すように第2のメモリ領域25Bの先頭のアドレスから順に画像1、画像2…と画像を記録し、図4(b)に示すように第2のメモリ領域25Bの最後のアドレスまで画像を記録する。ここで、第2のメモリ領域25Bの最後のアドレスに記録された画像を画像iとすると、次に取得される画像i+1は、図4(c)に示すように撮影日時が最も古い画像1に上書きされて第2のメモリ領域25Bに記録される。
【0045】
また、CPU11は、ユーザの設定により、監視撮影モード時において、マイク制御部21が出力した音声検出信号を受信すると、その直後に撮影した画像を第2のメモリ領域25Bに記録した後、一定時間T0の経過後に画像の記録を停止する。ここで、一定時間T0としては、音声検出信号の受信時に画像を取得してから予め定められた数の画像を取得することが可能な長さとすればよい
なお、図5に示すように記録媒体25の第2のメモリ領域25Aの一部に上書き禁止とする第3のメモリ領域25Cを設定し、音声検出信号を受信すると、そのときに撮影した画像を第3のメモリ領域25Cに記録するようにしてもよい。
【0046】
また、CPU11は、ユーザの設定により、音声検出信号を受信するとISO感度を例えば400以上の高感度に変更するように撮像部12に対して指示を行う。これにより、撮像部12は変更された感度により撮影を行う。
【0047】
また、CPU11は、ユーザの設定により、音声検出信号を受信すると画素数をデジタルカメラ1が取得可能な最大画素数に変更する指示を撮像部12に対して行う。これにより、撮像部12は変更された画素数により画像が取得されるように撮影を行う。なお、変更する画素数は、現在設定されている画素数より大きければ、最大画素数に限定されるものではない。
【0048】
また、CPU11は、ユーザの設定により、音声検出信号を受信すると通常監視撮影モード時には行われないシャープネス処理を画像に対して施すように、画像処理部23に対して指示を行う。これにより、画像処理部23は撮影により取得した画像に対してシャープネス処理を施す。
【0049】
また、CPU11は、デジタルカメラ1のモードが再生モードにある場合において、通常撮影モードにより取得した画像を再生する通常再生モードおよび監視撮影モードにより取得した画像を再生する監視再生モードの切り替えの指示に応じて、再生モードを切り替える。なお、切り替えの指示は入力部17から行われる。そして、通常再生モードに切り替えられた場合には、通常撮影モードにより取得した画像を再生する。一方、監視再生モードに切り替えられた場合には、監視撮影モードにより取得した画像を再生する。
【0050】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。本実施形態によるデジタルカメラ1は、ユーザが入力部17から指示を行うことにより、監視撮影モード時における撮影処理を種々設定することが可能であるため、以下設定可能な撮影処理について順次説明する。
【0051】
図6は本実施形態において行われる処理のフローチャートである。電源をオンとすることによりCPU11が処理を開始し、デジタルカメラ1のモードを判定する(ステップSTST1)。デジタルカメラ1のモードが再生モードにある場合には、後述する再生モードの処理を行う(ステップST2)。
【0052】
デジタルカメラ1のモードが撮影モードにある場合には、AC端子18にACアダプタ30が接続されているか否かを判定し(ステップST3)、ステップST3が否定されると、撮影モードを通常撮影モードに切り替え(ステップST4)、後述する通常撮影モードによる撮影処理を行う(ステップST5)。なお、AC端子18にACアダプタ30が接続されているか否かの判定に代えて、ユーザが撮影モードを監視撮影モードに設定しているか否かを判定してもよい。
【0053】
ステップST3が肯定されると、撮影モードを監視撮影モードに切り替え(ステップST6)、監視撮影モードによる撮影処理を行う(ステップST7)。
【0054】
図7は監視撮影モードによる撮影処理のフローチャートである。なお、この撮影処理を第1の撮影処理と称する。まず、ユーザによる電源オフ、撮影モードの切り替え等、監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST11)、ステップST11が肯定されると処理を終了する。ステップST11が否定されると、撮像部12により撮影を行う(ステップST12)。次いで、第2のメモリ領域25Bに空き領域があるか否かを判定し(ステップST13)、ステップST13が肯定されると、第2のメモリ領域25Bの空き領域に撮影により取得した画像を記録する(ステップST14)。
【0055】
ステップST13が否定されると、第2のメモリ領域25Bに記録された画像のうち、最も撮影日時の古い画像に撮影により取得した画像を上書きすることにより、撮影により取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録する(ステップST15)。
【0056】
ステップST14,15に続いて、撮影から所定時間T1が経過したか否かを判定し(ステップST16)、ステップST16が肯定されるとステップST12に戻り、ステップST12以降の処理を繰り返す。これにより所定時間T1の間隔にて常時撮影が行われる。ステップST16が否定されるとユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST17)、ステップST17が否定されるとステップST16に戻る。ステップST17が肯定されると処理を終了する。
【0057】
図8は再生モードの処理のフローチャートである。まずCPU11は再生モードが監視再生モードに設定されているか否かを判定する(ステップST21)。ステップST21が肯定されると、記録媒体25の第2のメモリ領域25Bに記録されている画像を撮影日時が古いものから順に再生し(ステップST22)、処理を終了する。ステップST21が否定されると、記録媒体25の第1のメモリ領域25Aに記録されている画像を撮影日時が古いものから順に再生し(ステップST23)、処理を終了する。
【0058】
図9は通常撮影モードによる撮影処理のフローチャートである。まず、CPU11は、レリーズボタンの押下による撮影の指示がなされたか否かを判定し(ステップST31)、ステップST31が否定されるとステップST36に進む。ステップST31が肯定されると撮像部12により撮影を行う(ステップST32)。次いで、第1のメモリ領域25Aに空き領域があるか否かを判定し(ステップST33)、ステップST33が肯定されると、第1のメモリ領域25Aの空き領域に撮影により取得した画像を記録する(ステップST34)。
【0059】
ステップST33が否定されると、第2のメモリ領域25Bに撮影により取得した画像を記録する(ステップST35)。この場合、第2のメモリ領域25Bに空き領域があればそこに画像を記録し、空き領域がなければ、第2のメモリ領域25Bに記録された画像のうち、最も撮影日時の古い画像に撮影により取得した画像を上書きする。この場合、第2のメモリ領域25Bに上書き禁止とするメモリ領域を設定し、ここに通常撮影モードにより取得した画像を記録する。
【0060】
ステップST34,35に続いて、ユーザによる通常撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST36)、ステップST36が否定されるとステップST31に戻る。ステップST36が肯定されると処理を終了する。
【0061】
このように、第1の処理においては、デジタルカメラ1の撮影モードを、撮影の指示により被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間T1の間隔で常時撮影を行って被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替えるようにし、監視撮影モード時には、画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ記録媒体25の第2のメモリ領域25Bに記録するようにしたものである。これにより、1台のデジタルカメラ1により、通常の撮影および監視用の撮影の双方を行うことができるため、通常の撮影用のデジタルカメラと、監視用のデジタルカメラとを別個に用意する必要がなくなる。したがって、セキュリティシステムを低コストにて構築することができる。
【0062】
また、通常撮影モードにより取得した画像を記録媒体25の第1のメモリ領域25Aに、監視撮影モードにより取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録することにより、通常撮影モードにより取得した画像と、監視撮影モードにより取得した画像とが混在して記録媒体25に記録されることを防止できる。
【0063】
この場合において、通常撮影モード時に第1のメモリ領域25Aが不足する場合に、撮影により取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録することにより、通常撮影モードにより取得した画像を残しておくことが可能となる。
【0064】
また、通常撮影モードにより取得した画像を再生する通常再生モードと、監視撮影モードにより取得した画像を再生する監視再生モードとに切り替えるようにし、通常撮影モード時には通常撮影モードにより取得した画像を再生し、監視再生モード時には監視撮影モードにより取得した画像を再生することにより、通常撮影モードにより取得した画像と監視撮影モードにより取得した画像とが混在して再生されてしまうことを防止できる。
【0065】
次いで、本実施形態の第2の撮影処理について説明する。図10は監視撮影モードによる第2の撮影処理のフローチャートである。まず、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST41)、ステップST41が肯定されると処理を終了する。ステップST41が否定されると、CPU11に音声検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST42)。ステップST42が否定されると、図7におけるステップST12の処理へ進む。この場合、ステップST16が否定されるとステップST42に戻ることとなる。
【0066】
ステップST42が肯定されると、撮像部12により撮影を行う(ステップST43)。次いで、第2のメモリ領域25Bに空き領域があるか否かを判定し(ステップST44)、ステップST44が肯定されると、第2のメモリ領域25Bの空き領域に撮影により取得した画像を記録する(ステップST45)。
【0067】
ステップST44が否定されると、第2のメモリ領域25Bに記録された画像のうち、最も撮影日時の古い画像に撮影により取得した画像を上書きすることにより、撮影により取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録する(ステップST46)。
【0068】
ステップST45,46に続いて、撮影から所定時間T1を経過したか否かを判定し(ステップST47)、ステップST47が肯定されるとステップST43に戻り、ステップST43以降の処理を繰り返す。ステップST47が否定されると、音声検出信号が入力されてから一定時間T0が経過したか否かを判定し(ステップST48)、ステップST48が肯定されると処理を終了する。
【0069】
ステップST48が否定されると、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST49)、ステップST49が否定されるとステップST47に戻る。ステップST49が肯定されると処理を終了する。
【0070】
このように、第2の処理においては、監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、検出から一定時間T0の経過後に処理を終了するようにしたため、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において取得した画像が、上書きされて消失してしまうことを防止できる。
【0071】
次いで、本実施形態の第3の撮影処理について説明する。図11は監視撮影モードによる第3の撮影処理のフローチャートである。まず、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST51)、ステップST51が肯定されると処理を終了する。ステップST51が否定されると、CPU11に音声検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST52)。ステップST52が否定されると、図7におけるステップST12の処理へ進む。この場合、ステップST16が否定されるとステップST52へ戻ることとなる。
【0072】
ステップST52が肯定されると、撮像部12により撮影を行う(ステップST53)。次いで、第2のメモリ領域25Bに空き領域があるか否かを判定し(ステップST54)、ステップST54が肯定されると、第2のメモリ領域25Bの空き領域に撮影により取得した画像を上書き禁止として記録する(ステップST55)。具体的には第2のメモリ領域25Bに上書き禁止の第3のメモリ領域25Cを作成し、ここに画像を記録する。
【0073】
ステップST54が否定されると、第2のメモリ領域25Bに記録された画像のうち、最も撮影日時の古い画像に撮影により取得した画像を上書き禁止として上書きすることにより、撮影により取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録する(ステップST56)。具体的には、最も撮影日時の古い画像が記録されたメモリ領域を第3のメモリ領域25Cに設定し、ここに撮影により取得した画像を記録する。
【0074】
ステップST55,56に続いて、撮影から所定時間T1を経過したか否かを判定し(ステップST57)、ステップST57が肯定されるとステップST53に戻り、ステップST53以降の処理を繰り返す。ステップST57が否定されると、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST58)、ステップST58が否定されるとステップST57に戻る。ステップST58が肯定されると処理を終了する。
【0075】
このように、第2の処理においては、監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、検出直後に撮影により取得した画像を上書きを禁止したメモリ領域に記録するようにしたため、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において取得した画像が、上書きされて消失してしまうことを防止できる。
【0076】
次いで、本実施形態の第4の処理について説明する。図12は監視撮影モードによる第4の撮影処理のフローチャートである。まず、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST61)、ステップST61が肯定されると処理を終了する。ステップST61が否定されると、CPU11に音声検出信号が入力されたか否かを判定する(ステップST62)。ステップST62が否定されると、図7におけるステップST12の処理へ進む。この場合、ステップST16が否定されるとステップST62に戻ることとなる。
【0077】
ステップST62が肯定されると、ISO感度を高くするように変更するとともに、画素数を高くするように変更する指示を行い(ステップST63)、撮像部12により撮影を行う(ステップST64)。次いで、画像処理部23により画像に対してシャープネス処理を施し(ステップST65)、さらに第2のメモリ領域25Bに空き領域があるか否かを判定する(ステップST66)。ステップST66が肯定されると、第2のメモリ領域25Bの空き領域に撮影により取得したシャープネス処理済みの画像を記録する(ステップST67)。
【0078】
ステップST66が否定されると、第2のメモリ領域25Bに記録された画像のうち、最も撮影日時の古い画像に撮影により取得したシャープネス処理済みの画像を上書きすることにより、撮影により取得した画像を第2のメモリ領域25Bに記録する(ステップST68)。
【0079】
ステップST67,68に続いて、撮影から所定時間T1を経過したか否かを判定し(ステップST69)、ステップST69が肯定されるとステップST64に戻り、ステップST64以降の処理を繰り返す。ステップST69が否定されると、音声検出信号が入力されてから一定時間T0が経過したか否かを判定し(ステップST70)、ステップST70が肯定されると処理を終了する。
【0080】
ステップST70が否定されると、ユーザによる監視撮影モードの終了の指示がなされたか否かを判定し(ステップST71)、ステップST71が否定されるとステップST69に戻る。ステップST71が肯定されると処理を終了する。
【0081】
このように、第4の処理においては、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、ISO感度を高くして撮影を行うようにしたため、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において、デジタルカメラ1が設置された環境の明るさが不足している場合にも、被写体を認識可能な画像を取得することができる。
【0082】
また、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、画素数を大きくするようにしたため、画像を拡大してもボケが少なくなり、その結果、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態の被写体を詳細に認識することが容易となる。
【0083】
また、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、撮影により取得した画像に対してシャープネス処理を施すようにしたため、所定の大きさ以上の音声が検出される異常事態において、画像に含まれる被写体を認識することが容易となる。
【0084】
なお、上記第4の処理においては、ISO感度を高くする処理、画素数を高くする処理、および画像に対するシャープネス処理のすべての処理を行っているが、これらのうちの少なくとも1つの処理を行うようにしてもよい。
【0085】
また、上記第4の処理においては、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、検出してから一定時間T0の経過後に処理を終了しているが、第3の処理と同様に、所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、そのときに撮影により取得した画像を上書きを禁止したメモリ領域に記録するようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態に係るデジタルカメラについて説明したが、コンピュータに図6〜12に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】デジタルカメラの背面斜視図
【図2】本実施形態におけるデジタルカメラの内部構成を示すブロック図
【図3】記録媒体のメモリ領域を示す図
【図4】監視撮影モード時におけるメモリ領域への画像の記録を説明するための図
【図5】上書き禁止とするメモリ領域を説明するための図
【図6】本実施形態において行われる処理のフローチャート
【図7】監視撮影モードによる第1の撮影処理のフローチャート
【図8】再生モードの処理のフローチャート
【図9】通常撮影モードによる撮影処理のフローチャート
【図10】監視撮影モードによる第2の撮影処理のフローチャート
【図11】監視撮影モードによる第3の撮影処理のフローチャート
【図12】監視撮影モードによる第4の撮影処理のフローチャート
【符号の説明】
【0088】
1 デジタルカメラ
11 CPU
12 撮像部
13 記憶部
14 表示制御部
15 モニタ
16 入力制御部
17 入力部
18 AC端子
19 メディアスロット
20 マイク
21 マイク制御部
22 電源制御部
23 画像処理部
25 記録媒体
30 ACアダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により被写体の画像を取得する撮像手段と、
該画像を記録する記録手段と、
前記撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により前記被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って前記被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替える撮影モード切替手段と、
前記監視撮影モード時には、前記画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ前記記録手段に記録する記録制御手段とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記記録制御手段は、前記通常撮影モードにより取得された画像を前記記録手段における第1のメモリ領域に、前記監視撮影モードにより取得された画像を前記記録手段における第2のメモリ領域に記録する手段であることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記記録制御手段は、前記第1のメモリ領域が不足する場合、前記通常撮影モードにより取得された画像を前記第2のメモリ領域に記録する手段であることを特徴とする請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記画像を含む各種表示を行う表示手段と、
前記表示手段の再生モードを、前記通常撮影モードにより取得した画像を再生する通常再生モードと、前記監視撮影モードにより取得した画像を再生する監視再生モードとに切り替える再生モード切替手段と、
前記通常再生モード時には前記通常撮影モードにより取得した画像を再生し、前記監視再生モード時には前記監視撮影モードにより取得した画像を再生する再生制御手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項5】
音声を検出する音声検出手段をさらに備え、
前記記録制御手段は、前記監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合には、該検出から一定時間経過後に前記記録手段への記録を停止する手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項6】
音声を検出する音声検出手段をさらに備え、
前記記録制御手段は、前記監視撮影モード時において、所定の大きさ以上の音声を検出した場合には、該検出直後に前記撮影により取得した画像を、前記記録手段における上書きを禁止したメモリ領域に記録する手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の感度にて撮影を行う手段であることを特徴とする請求項5または6記載の撮影装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、所定以上の画素数の画像が取得されるように撮影を行う手段であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項9】
前記所定の大きさ以上の音声を検出した場合に、前記撮影により取得した画像に対してシャープネス処理を施す画像処理手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5から8のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項10】
ACアダプタを接続するAC接続手段をさらに備え、
前記撮影モード切替手段は、前記AC接続手段に前記ACアダプタが接続された場合に、前記撮影モードを前記監視撮影モードに切り替える手段であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項記載の撮影装置。
【請求項11】
撮影により被写体の画像を取得する撮像手段と、該画像を記録する記録手段とを備えた撮影装置における撮影方法において、
前記撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により前記被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って前記被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替え、
前記監視撮影モード時には、前記画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ前記記録手段に記録することを特徴とする撮影方法。
【請求項12】
撮影により被写体の画像を取得する撮像手段と、該画像を記録する記録手段とを備えた撮影装置における撮影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記撮像手段の撮影モードを、撮影の指示により前記被写体の画像を取得する通常撮影モードと、所定時間間隔で常時撮影を行って前記被写体の画像を取得する監視撮影モードとに切り替える手順と、
前記監視撮影モード時には、前記画像を撮影日時の古い画像に順次上書きしつつ前記記録手段に記録する手順とを有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−109575(P2008−109575A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292640(P2006−292640)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(504469411)富士フイルムフォトニックス株式会社 (23)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】