説明

撮影装置及びその制御方法

【課題】フラッシュ撮影時においても広ダイナミックレンジの画像を得ることを可能とする。
【解決手段】露光期間をそれぞれ独立に制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列され、第1受光素子の露光期間tL中に、これより短い露光期間tSで第2受光素子の露光を行うことを可能とする固体撮像素子を用い、第1及び第2受光素子が、露光期間tL,tSの比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、フラッシュ発光期間tF(=t0〜t2)に対する第2受光素子の露光タイミングt1,t3を決定する。そして、第1及び第2受光素子の出力信号を合成することにより、露光期間tL,tSの比率に対応した広ダイナミックレンジの画像データが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDやCMOSセンサ等の固体撮像素子を備えた撮影装置及びその制御方法に関し、特に、画像の広ダイナミックレンジ化を可能とする撮影装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSセンサ等の固体撮像素子を内蔵したデジタルカメラ等の撮影装置が普及している。固体撮像素子に対する代表的な要求として、高画素化と広ダイナミックレンジ化がある。高画素化については、受光素子の微細化により1000万画素以上の画素数が達成されており、要求はほぼ満たされている。一方の広ダイナミックレンジ化については、受光素子の微細化により飽和電荷量の減少が伴うため、受光素子の構造的な改良では広ダイナミックレンジ化に限界がある。このため、広ダイナミックレンジ化には、付加的な技術が必要とされている。
【0003】
この付加的な技術として、露光期間を独立して制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列された固体撮像素子において、第1受光素子を長期間露光(高感度)、第2受光素子を短期間露光(低感度)とし、第1受光素子の露光期間中に第2受光素子の露光を行い、第1受光素子と第2受光素子との出力信号を合成(飽和電圧を揃えて加算)することにより、ダイナミックレンジが広く、かつ同時性が確保された画像を得る技術が本出願人により提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この技術によれば、第1受光素子の露光期間と、第2受光素子の露光期間との比を選択することにより、所望のダイナミックレンジを得ることができる。一方、広ダイナミックレンジ化を必要としない場合には、第1及び第2受光素子の露光期間を同一とし、第1及び第2受光素子の出力信号を合成せずに個別の画素データとすることで、高解像度の画像を得ることができる。
【0005】
さらに、特許文献1では、フラッシュ撮影時に広ダイナミックレンジ化を実現するために、フラッシュ発光(補助光源の発光)を、短期間露光の期間外で、かつ長期間露光の期間内である期間に行うことが提案されている。このタイミングでフラッシュ発光を行うことにより、第2受光素子の短期間露光には影響を与えずに、第1受光素子の長期間露光の光量(積分露光エネルギ)を増大させることができると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−235656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のように、短期間露光の期間外で、かつ長期間露光の期間内である期間にフラッシュ発光を行う場合、フラッシュ発光の光量は、長期間露光の第1受光素子の露光期間に基づいて決定されることになる。この場合、長期間露光の第1受光素子は適正な光量が得られることになるが、短期間露光の第2受光素子は光量が不足する。したがって、特許文献1に記載の技術では、フラッシュ撮影時に所望のダイナミックレンジが得られないといった問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、フラッシュ撮影時においても広ダイナミックレンジの画像を得ることができる撮影装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮影装置は、フラッシュ光を発するフラッシュ発光手段と、露光期間をそれぞれ独立に制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列され、前記第1受光素子の第1露光期間中に、前記第1露光期間より短い第2露光期間で前記第2受光素子の露光を行うことを可能とする撮像手段と、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光手段のフラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を制御する制御手段と、前記第1及び第2受光素子の出力信号を合成して画像データを生成する信号処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、前記制御手段は、前記フラッシュ発光期間を前記第1露光期間に同期させ、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光期間に対する前記第2露光期間のタイミングを制御することが好ましい。この場合、前記制御手段は、前記フラッシュ発光期間と前記第1露光期間の開始時間を同時とすることが好適である。
【0011】
また、前記制御手段は、前記第2露光期間を前記第1露光期間に同期させ、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記第2露光期間に対する前記フラッシュ発光期間のタイミングを制御することも好ましい。この場合、前記制御手段は、前記第1露光期間と前記第2露光期間の終了時間を同時とすることが好適である。
【0012】
また、前記制御手段は、前記フラッシュ発光手段に予備発光を行わせ、前記撮像手段により検出されるフラッシュ光の反射輝度情報に基づいて本撮影用の発光量を算出し、算出した発光量に基づいて前記フラッシュ光の発光時間を決定することが好ましい。
【0013】
また、前記制御手段は、前記発光量に対する発光時間を、複数の前記発光量について記憶した第1テーブルを備え、前記第1テーブルを参照することにより、前記発光時間を決定し、前記第1及び第2露光期間の比率に基づき、前記フラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を決定することが好ましい。さらに前記制御手段は、前記第1テーブルに記憶されていない発光量に対する発光時間を、補間演算により算出することが好ましい。
【0014】
また、前記制御手段は、前記第1露光期間中の発光量に対する前記第2露光期間中の発光量の割合が、前記第1及び第2露光期間の比率となる前記タイミング関係を、複数の前記比率について記憶した第2テーブルをさらに備え、前記第2テーブルを参照することにより、前記比率に対応した前記タイミング関係を決定することが好ましい。さらに前記制御手段は、前記第2テーブルに記憶されていない前記比率に対する前記タイミング関係を、補間演算により算出することが好ましい。
【0015】
また、前記制御手段は、前記第1受光素子から得られる前記反射輝度情報に基づいて前記発光時間を決定し、前記第2受光素子から得られる前記反射輝度情報に基づいて前記タイミング関係を決定することも好ましい。
【0016】
また、前記フラッシュ発光期間及び前記タイミング関係の決定値を、前記画像データに対応づけて記録する記録手段を備えることが好ましい。
【0017】
また、前記第1受光素子は、行方向とこれに直交する列方向とに正方格子状に配列され、前記第2受光素子は、行方向とこれに直交する列方向とに正方格子状に配列されており、前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、同一の配列ピッチで、かつ、互いに配列ピッチの1/2だけ行方向及び列方向にずらして配列されていることが好ましい。
【0018】
また、前記撮像手段には、前記第1受光素子に対応して赤、緑、青のカラーフィルタがベイヤー配列され、かつ、前記第2受光素子に対応して赤、緑、青のカラーフィルタがベイヤー配列されていることが好ましい。
【0019】
また、前記撮像手段は、前記第1受光素子が配列された列と、前記第2受光素子が配列された列とに沿って配列され、前記第1及び第2受光素子に蓄積された信号電荷を読み出して列方向に転送する垂直電荷転送部と、前記垂直電荷転送部からの信号電荷を行方向に転送する水平電荷転送部とを備えたCCD型の固体撮像素子であることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の撮影装置の制御方法は、フラッシュ光を発するフラッシュ発光手段と、露光期間をそれぞれ独立に制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列され、前記第1受光素子の第1露光期間中に、前記第1露光期間より短い第2露光期間で前記第2受光素子の露光を行うことを可能とする撮像手段と、前記第1及び第2受光素子の出力信号を合成して画像データを生成する信号処理手段とを備えた撮影装置の制御方法において、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光手段のフラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1及び第2受光素子が第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、フラッシュ発光手段のフラッシュ発光期間と第2露光期間との相対的なタイミング関係を制御するので、フラッシュ撮影時においても広ダイナミックレンジの画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】固体撮像素子の平面模式図である。
【図3】固体撮像素子及びフラッシュ発光部の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【図4】画像合成処理を説明する画像データの模式図である。
【図5】デジタルカメラの作用を説明するフローチャートである。
【図6】調光処理を説明するフローチャートである。
【図7】画像データのエリア分割の一例を示す図である。
【図8】各分割エリアの重み係数の一例を示す図である。
【図9】各種発光量と発光時間とを対応づけたテーブルを示す図である。
【図10】フラッシュ駆動パルスに対するフラッシュ光の波形を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るテーブルである。
【図12】本発明の第4実施形態に係る固体撮像素子及びフラッシュ発光部の駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【図13】本発明の第4実施形態に係る調光処理を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の第5実施形態に係るデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る固体撮像素子、フラッシュ発光部、及びメカニカルシャッタの駆動方法を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
図1において、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラ10の撮像光学系は、撮影レンズ11と、CCD型の固体撮像素子12と、この両者の間に設けられた絞り13とを備える。撮影レンズ11にはレンズ駆動部14が接続されている。固体撮像素子12には撮像素子駆動部15が接続されている。絞り13には絞り駆動部16が接続されている。
【0024】
CPU17は、操作部18からの操作信号に基づき、デジタルカメラ10の電気制御系全体を統括制御するものである。また、CPU17には、フラッシュ発光部19の発光タイミングや発光量を制御する発光制御部17a、レンズ駆動部14に撮影レンズ11の移動を指示して焦点合わせを行う焦点調節部17b、絞り値及びシャッタ速度(露光期間)を決定し、絞り駆動部16及び撮像素子駆動部15に指示信号を送出する露出調整部17cが構成されている。撮像素子駆動部15は、指示信号に基づいて介して固体撮像素子12を駆動し、撮影レンズ11を通して撮像した被写体画像を撮像信号として出力させる。
【0025】
デジタルカメラ10の電気制御系は、固体撮像素子12の出力信号に対して、ノイズ除去等のアナログ信号処理を施すアナログ信号処理部20と、アナログ信号処理部20の出力信号(RGBの色信号)をデジタル信号に変換するA/D変換部21とを備え、これらはCPU17によって制御される。
【0026】
さらに、デジタルカメラ10の電気制御系は、フレームメモリ22に接続されたメモリ制御部23と、後述する画像合成処理の他、色補間、ガンマ補正、RGB/YC変換処理等を行うデジタル信号処理部24と、撮像画像をJPEG画像に圧縮したり、圧縮された画像を伸張したりする圧縮伸張処理部25と、着脱自在の記録媒体26に対するデータの記録及び読み出し制御を行う外部メモリ制御部27と、カメラ本体の背面に搭載された液晶表示部(LCD)28の表示制御を行う表示制御部29とを備える。これら電気制御系の各部は、制御バス30及びデータバス31によって相互に接続され、CPU17によって制御される。
【0027】
操作部18には、シャッタ操作を行うためのレリーズボタン、動作モードを切り替えるためのモードダイヤル、撮影メニュー(設定項目)をLCD28に表示させるメニューボタン、設定項目を選択し決定するための選択決定ボタン等が含まれている。CPU17は、操作部18を通してユーザからの指示が操作信号として入力され、入力された操作信号に基づいて各種制御を行う。
【0028】
レリーズボタンは、2段式押しボタンスイッチである。自動焦点調節機能(AF:Auto Focus)、自動露出調整機能(AE:Auto Exposure)を用いた撮影では、レリーズボタンが軽く押下される第1の押下操作(半押しともいう)がなされると、焦点調節部17b及び露出調整部17cによりAF処理及びAE処理が行われ、焦点合わせ及び露出調整等の撮影準備が行われる。その状態で、レリーズボタンが強く押下される第2の押下操作(全押しともいう)がなされると、固体撮像素子12により被写体画像の撮像が行われる。
【0029】
モードダイヤルは、各種動作モードの切り替えを行うものであり、広ダイナミックレンジの画像を撮影する「広ダイナミックレンジモード」や、ダイナミックレンジを拡大せずに高解像度の画像を撮影する「高解像度モード」等の選択が可能となっている。
【0030】
さらに、操作部18により、広ダイナミックレンジモード時のダイナミックレンジの拡大率の設定や、フラッシュ発光部19によるフラッシュ発光のオン/オフ設定が可能となっている。
【0031】
フラッシュ発光を伴う撮影(フラッシュ撮影)を行う場合には、発光制御部17aは、レリーズボタンの第2の押下操作に連動して、フラッシュ発光部19を2回発光させる。1回目の発光は被写体からの反射光量を測定するための予備発光(プリ発光)であり、通常の発光に比べて発光量は微小である。2回目の発光は被写体に対して撮影に十分な光を供給するための(適切な露光量を得るための)本発光であり、本発光の発光量が適正であれば、適切な明るさの画像を得ることができる。
【0032】
図2において、固体撮像素子12は、半導体基板上の垂直方向とこれに直交する水平方向に配列され、被写体光を光電変換して電荷を発生する複数の受光素子(光電変換素子)40と、複数の受光素子40の各々で発生した電荷を垂直方向に転送する複数の垂直電荷転送部(VCCD)41と、各VCCD41の端部に接続され、VCCD41の各々を転送されてきた電荷を、水平方向に転送する水平電荷転送部(HCCD)42と、HCCD42から転送されてきた電荷を電圧信号に変換して出力する出力部43とを備えている。以下、受光素子40の垂直方向の並びを列、水平方向の並びを行と呼ぶ。
【0033】
複数の受光素子40は、符号R1,G1,B1を付した第1受光素子群と、符号R2,G2,B2を付した第2受光素子群とに分けられる。第1受光素子群と第2受光素子群とは、それぞれ行方向及び列方向に正方格子状に配列された受光素子40からなり、上記符号に含まれるR,G,Bは、受光素子40上に配列された赤R、緑G、青Bの3原色のカラーフィルタの種類に対応している。第1受光素子群と第2受光素子群とは、行方向及び列方向に同一の配列ピッチで、かつ、互いに配列ピッチの1/2だけ行方向及び列方向にずらして配置されている。受光素子40は、全体として、所謂ハニカム配列となっている。
【0034】
第1及び第2受光素子群のカラーフィルタの配列は、それぞれベイヤー配列(一方向に「G」と「B」を繰り返し、それと直交する方向に「G」と「R」を繰り返した色配列)となっている。このように、カラーフィルタの配列は、全体としてベイヤー配列を2つ組み合わせた色配列であることから、ダブルベイヤー配列とも称される。なお、各受光素子40は、フォトダイオードからなり、カラーフィルタの種類以外は、基本的に同一の構造(同一素子面積、同一開口面積、同一接合深さ、同一飽和量等)を有する。
【0035】
受光素子40の1列ごとに1つのVCCD41が設けられている。受光素子40の各列とそれに対応するVCCD41の電荷転送チャネル(図示せず)との間には、図中に矢印で模式的に示した電荷読み出しゲートが形成されている。露光期間中に各受光素子40で発生して蓄積された信号電荷は、電荷読み出しゲートを介して、VCCD41の電荷転送チャネルに読み出される。
【0036】
VCCD41の電荷転送チャネルは、半導体基板の表層に、受光素子40を避けるように垂直方向に蛇行して形成されている。半導体基板の表面上には、電荷転送チャネルを水平方向に横切り、かつ、受光素子40を避けるように蛇行した垂直転送電極V1,V2,・・・,V8が敷設されている。VCCD41は、撮像素子駆動部15から出力され、垂直転送電極V1〜V8にそれぞれ供給される垂直転送パルスφV1〜φV8によって転送駆動される。
【0037】
第1受光素子群の電荷読み出しゲートは、垂直転送電極V3,V7に隣接して設けられている。一方の第2受光素子群の電荷読み出しゲートは、垂直転送電極V1,V5に隣接して設けられている。したがって、第1受光素子群の受光素子40からVCCD41の電荷転送チャネルへの電荷読み出しは、垂直転送電極V3,V7に読み出しパルスを印加することにより行われる。同様に、第2受光素子群の受光素子40からVCCD41の電荷転送チャネルへの電荷読み出しは、垂直転送電極V1,V5に読み出しパルスを印加することにより行われる。このように、第1及び第2受光素子群の電荷読み出しは、異なる垂直転送電極への読み出しパルスの供給によって行われるため、それぞれ独立に異なるタイミングで行うことが可能である。
【0038】
HCCD42は、電荷転送チャネル(図示せず)とその上に設けられた複数の水平転送電極(図示せず)とで構成される。HCCD42は、撮像素子駆動部15から出力される水平転送パルスφH1,φH2によって2相駆動される。HCCD42の端部に接続される出力部43は、電荷を電圧に変換するフローティングディフュージョン(FD)部とソースフォロア回路とからなるFDアンプにより構成されている。
【0039】
さらに、固体撮像素子12は、受光素子40に蓄積された不要電荷を半導体基板に掃き出すための縦型オーバーフロードレイン(VOD)構造が構成されている。このVOD構造による電荷排出動作は、電子シャッタと呼ばれる動作である。撮像素子駆動部15から半導体基板に所定の電圧(以下、電子シャッタパルスφSUBと呼ぶ)が印加されると、すべての受光素子40の底部に形成されたポテンシャルバリアが低下し、すべての受光素子40に蓄積された電荷が、一斉に半導体基板に掃き出される。
【0040】
次に、広ダイナミックレンジモードにおいてフラッシュ撮影を行う場合の固体撮像素子12及びフラッシュ発光部19の駆動方法を説明する。図3において、タイミングt0以前は、電子シャッタパルスφSUBを周期的に印加し、受光素子40内の蓄積電荷を半導体基板に掃き出す。タイミングt0において、電子シャッタパルスφSUBの印加を停止するとともに、フラッシュ発光部19にフラッシュ駆動パルスの印加を開始し、フラッシュ駆動パルスの印加を停止するタイミングt2までの期間tFの間、フラッシュ発光部19から所定光量のフラッシュ光を出力させる。
【0041】
固体撮像素子12の第1及び第2受光素子群は、タイミングt0から電荷蓄積を開始する。第1受光素子群については、フラッシュ発光期間tFの経過後、タイミングt4において、垂直転送電極V3,V7に読み出しパルスを印加することで、タイミングt0からt4までの露光期間tLの蓄積電荷をVCCD41に読み出す。
【0042】
一方の第2受光素子群については、フラッシュ発光期間tF内のタイミングt1において、垂直転送電極V1,V5に読み出しパルスを印加して、タイミングt0からt1までの間の蓄積電荷をVCCD41に読み出し、この後、高周波数の垂直転送パルスφV1〜φV8及び水平転送パルスφH1,φH2を印加することで、読み出された電荷を、不要電荷として高速に掃き捨てる(すなわち、第2受光素子群は、フラッシュ発光期間tF内のタイミングt1の時点から露光が開始する)。そして、不要電荷を掃き捨てた後、タイミングt3において、垂直転送電極V1,V5に読み出しパルスを印加することで、タイミングt1からt3までの露光期間tSの蓄積電荷をVCCD41に読み出す。
【0043】
上記タイミングt4の後、VCCD41に読み出された第1及び第2受光素子群の蓄積電荷(信号電荷)をそれぞれ垂直転送及び水平転送し、撮像信号として出力部43から出力させる。このように、第1受光素子群は、露光期間tLで露光され、フラッシュ発光期間tFの全期間(タイミングt0からt2)が露光に寄与する。一方の第2受光素子群は、露光期間tSで露光され、フラッシュ発光期間tFの一部の期間tFP(タイミングt1からt2)のみが露光に寄与する。
【0044】
したがって、タイミングt1,t2の設定により、フラッシュ発光による第1及び第2受光素子群の受光量を、それぞれ個別に調節することが可能であり、第1及び第2受光素子群の露光量をそれぞれ適正化することができる。このタイミングt1,t2は、前述の発光制御部17aにより決定される。
【0045】
図4は、上記駆動方法により固体撮像素子12から出力された信号(画像データ)を模式的に示している。第1受光素子からは、長期間露光であるため高感度画像データが得られ、第2受光素子からは、短期間露光であるため低感度画像データが得られる。この高感度画像データと低感度画像データとは、デジタル信号処理部24において、対応する同色の画素同士が、破線で示すように1組ずつ合成され、これにより、広ダイナミックレンジの画像データが生成される。この合成処理は、特開2007−235656に開示されているように、高感度画像データの飽和電圧を、信号スライス処理により低感度画像データの飽和電圧に揃えたうえで、対応する同色の画素同士を加算することによりなされる。
【0046】
なお、CPU17は、高解像度モードでは、第2受光素子群を、第1受光素子群と同一のタイミングで駆動し、両者の露光期間を同一とする(この場合、図3に示す高速V転送は不要となる)。高解像度モードでは、デジタル信号処理部24は、上記の合成処理を実行せず、それぞれを個別の画素データとして、高解像度の画像データを生成する。
【0047】
次いで、デジタルカメラ10の作用を、図5のフローチャートに沿って説明する。CPU17は、モードダイヤルにより広ダイナミックレンジモード以外のモードが選択されている場合には(ステップS1:NO)、その選択されたモードに従う処理を実行し(ステップS2)、広ダイナミックレンジモードが選択されている場合には(ステップS1:YES)、以下の処理を実行する。
【0048】
CPU17は、レリーズボタンの第1の押下操作(半押し)を検出すると(ステップS3:YES)、焦点調節部17b及び露出調整部17cに第1の押下操作が検出されたことを通知する。この通知を受けて、露出調整部17cがAE処理を行い、焦点調節部17bがAF処理を行う(ステップS4)。CPU17は、AE処理の結果に基づき、絞り値及びシャッタ速度(露出値)を設定する(ステップS5)。ここで、シャッタ速度は、第1受光素子群の露光期間tLに対応し、第2受光素子群の露光期間tSは、ダイナミックレンジの拡大率に応じた値に設定される。例えば、ダイナミックレンジの拡大率が200%の場合には「tS=tL/2」、400%の場合には「tS=tL/4」、800%の場合には「tS=tL/8」と設定される。また、ここで、第2受光素子群の露光開始タイミングt1は、任意の初期値に設定される。例えば、t1=t0と設定される。
【0049】
続いて、CPU17は、レリーズボタンの第2の押下操作(全押し)を検出すると(ステップS6:YES判定)、フラッシュ発光部19によるフラッシュ発光の要否を判定し(ステップS7)、フラッシュ発光が必要である場合には(ステップS7:YES)、調光処理を行う(ステップS8)。一方、フラッシュ発光が不要で有る場合には(ステップS7:NO)、本撮影を実行する(ステップS9)。
【0050】
ステップS8の調光処理を説明する図6において、CPU17が調光処理の開始を指示する指示信号を発光制御部17aに送出すると、発光制御部17aは、フラッシュ発光を伴わない非発光露光により撮影されフレームメモリ22に記憶された画像データ(非発光時画像データ)を取得する(ステップS11)。続いて、発光制御部17aは、フラッシュ発光部19により予備発光を行って、予備発光露光により撮影されフレームメモリ22に記憶された画像データ(予備発光時画像データ)を取得する(ステップS12)。なお、ステップS11及びS12では、発光制御部17aは、長期間露光の第1受光素子群に対する非発光時の輝度値Ya及び予備発光時の輝度値Ybを取得する。
【0051】
次いで、発光制御部17aは、取得した非発光時画像データ及び予備発光時画像データを複数のエリアに分割し、分割エリアごとに輝度値の差分値を算出する(ステップS13)。図7は、画像データのエリア分割の一例を示し、画像データ(非発光時画像データまたは予備発光時画像データ)により表される画像を、i×j(ここでは、8×8)個のエリアに分割している。以下では、分割ブロックを、(1,1)、(i,j)といった符号により、区別する。
【0052】
次いで、発光制御部17aは、非発光時画像データから分割エリアごとの非発光時の輝度値Ya(1,1)〜Ya(i,j)を取得する。例えば、非発光時画像データをRGB/YC変換して、各画素の輝度値を求め、画素輝度値の領域ごとの平均値を、非発光時の輝度値Yaとする。一方の予備発光時画像データについても、同様の手順により、各分割エリアの予備発光時の輝度値Yb(1,1)〜Yb(i,j)を取得する。
【0053】
次いで、発光制御部17aは、分割エリアごとに、非発光時の輝度値Ya(x,y)と予備発光時の輝度値Yb(x,y)との差分値Yd(x,y)(=Yb(x,y)−Ya(x,y))を算出する。この差分値Yd(x,y)は、被写体からのフラッシュ光の反射成分(反射輝度情報)を表している。
【0054】
次いで、発光制御部17aは、全分割エリアの差分値Yd(1,1)〜Yd(i,j)に基づき、本撮影時におけるフラッシュ発光量を、予備発光の発光量の何倍とするか(発光倍率Hm)を算出する(ステップS17)。例えば、差分値Yd(1,1)〜Yd(i,j)の単純平均値、あるいは、図8に示すように例えば画像の中央に近い分割エリアの重み付けを大きくして平均した加重平均Ydh,Yahを算出し、目標輝度Yoを用いて次式(1)により、発光倍率Hmを算出する。
【0055】
Hm=(Yo−Yah)/Ydh ・・・(1)
【0056】
次いで、発光制御部17aは、本撮影時のフラッシュ発光量Evを、発光倍率Hmに基づいて、次式(2)により算出する(ステップS15)。
【0057】
Ev=logHm ・・・(2)
【0058】
次いで、発光制御部17aは、算出した発光量Evに対する発光時間(前述の期間tF(タイミングt0を基準としたタイミングt2の値))を決定する(ステップS16)。このタイミングt2の決定は、例えば、図9に示すように、各種発光量Evに対する発光時間を記憶したテーブルLUT1を用いて行う。例えば、発光量Evが2.0である場合、テーブルLUT1を参照して、タイミングt2は、32.0μsと決定される。
【0059】
次いで、発光制御部17aは、第1及び第2受光素子群の露光期間の比(tS/tL)に基づいて、第2受光素子群の露光タイミング(タイミングt0を基準としたタイミングt1,t3の値)を決定する(ステップS17)。
【0060】
ステップS17において、期間tFの発光量に対する期間tFPの発光量の割合が、露光期間の比tS/tLと一致するようにタイミングt1が決定される。具体的には、上記テーブルLUT1を参照し、ステップS15で求められた発光量Evの(1−tS/tL)倍の光量に対する発光時間を求め、この発光時間をタイミングt1とする。例えば、露光期間の比tS/tLが「1/2」、ステップS15で求められた発光量Evが「2.0」である場合、発光量Evの1/2倍の光量1.0に対する発光時間をテーブルLUT1から参照し、タイミングt1は18.0μsと決定される。そして、タイミングt1に露光期間tSを加算した値をタイミングt3とする。
【0061】
なお、ステップS16及びS17において、テーブルLUT1に記憶されていない発光量Evに対する発光時間を求める場合には、最も近い発光量Evに対する発光時間を参照するようにしてもよいが、より精度の高い処理が望まれる場合には、発光制御部17aに補間処理機能を設け、テーブルLUT1に記憶されていない発光量Evに対する発光時間を、補間演算により求めることが好ましい。
【0062】
図5に戻り、CPU17は、フラッシュ撮影を行う場合には、以上の処理により決定されたタイミングt1〜t4に基づき、フラッシュ発光部19及び固体撮像素子12を駆動し、本撮影を行う(ステップS9)。この結果、第1及び第2受光素子群が受光する光量がともに最適化されるため、デジタル信号処理部24による合成処理後の画像データは、ダイナミックレンジの拡大率に対応した、広ダイナミックレンジの画像データとなる。
【0063】
さらに、CPU17は、外部メモリ制御部27を制御し、本撮影の結果得られた画像データを記録媒体26に記録するとともに、本撮影で用いたタイミングt1〜t4の値を、付加情報として、該画像データに関連付けて記録媒体26に記録する(ステップS10)。例えば、CPU17は、タイミングt1〜t4の値を、JPEG形式の画像データに付加されるExifデータとして記録する。
【0064】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、フラッシュ発光の残光を考慮した調光処理の変形例を示す。フラッシュ発光部19から発せられるフラッシュ光は、フラッシュ発光部19に印加されるフラッシュ駆動パルスの終了とともに瞬時には消滅せず、図10(A)に示すように、タイミングt2におけるフラッシュ駆動パルスの停止後も残光が生じる。
【0065】
このため、図9に示すテーブルLUT1を、フラッシュ発光の残光成分を考慮して、発光量と発光時間(タイミングt2)との関係を規定することにより、図6のステップS16で決定されるタイミングt2は高精度となる。
【0066】
一方、上記ステップS17では、タイミングt1は、図10(B)に示す領域Aの光量が、発光量Ev(総発光量)のtS/tLの割合となるように決定される。この領域Aの光量は、発光終了時間がタイミングt1の場合の発光量Evを、発光終了時間がタイミングt2の場合の発光量Evから減算した値に相当する。しかしながら、実際に、第2受光素子群の露光に係る光量は、タイミングt1以降の発光量(領域Aと領域Bを加算したした光量)である。このため、第1実施形態では、第2受光素子群には、残光の影響により、領域Bに対応する光量(発光終了時間がタイミングt1の場合の残光成分)だけ、余分に露光が行われることになる。
【0067】
本第2実施形態は、図6に示す調光処理のステップS17の処理内容が相違する点以外は、第1実施形態と同一構成である。第2実施形態では、発光制御部17aは、図11に示すテーブルLUT2を用いてタイミングt1,t3を決定する。テーブルLUT2は、各種の露光期間の比tS/tL(3/4,1/2,1/4等)について、上記領域A及び領域Bの加算光量が、総発光量(発光量Ev)のtS/tLの割合となるタイミングt1を、それぞれ記憶したものである。
【0068】
タイミングt3は、第1実施形態と同様に、タイミングt1に露光期間tSを加算した値とする。なお、テーブルLUT2に記憶されていない発光量Evまたは比tS/tLに対するタイミングt1を求める場合には、前述の発光制御部17aの補間処理機能により、補間演算を行えばよい。
【0069】
このように、本発明の第2実施形態によれば、フラッシュ発光の残光の影響が防止され、ダイナミックレンジの拡大率に正確に対応した、広ダイナミックレンジの画像データが生成される。
【0070】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、フラッシュ発光の残光の影響を防止可能な調光処理の別の変形例を示す。上記第1実施形態では、調光処理において、ステップS11〜S15の処理を第1受光素子群に対してのみ行い、この結果算出された本撮影用のフラッシュ発光量Evに基づいて発光時間(タイミングt2)を決定した後、ダイナミックレンジの拡大率に対応した露光期間の比tS/tLに基づいて、第2受光素子群の露光タイミング(タイミングt1,t3)を決定しているが、これに対して、第3実施形態では、ステップS11〜S15の処理を、第1及び第2受光素子群のそれぞれに対して行い、反射輝度情報に対応した発光量Evを第1及び第2受光素子群のそれぞれについて個別に求めることにより、発光時間(タイミングt2)と第2受光素子群の露光タイミング(タイミングt1,t3)とをそれぞれ独立に決定する。つまり、第3実施形態では、第1受光素子群から得られる反射輝度情報に基づいてタイミングt2を決定し、これとは独立して第2受光素子群から得られる反射輝度情報に基づいてタイミングt1,t3を決定する。その他の点については、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
【0071】
このように、本発明の第3実施形態によれば、タイミングt1,t2をそれぞれ独立に決定することにより、第1及び第2受光素子群の露光量はそれぞれ個別に適正化されるため、前述したような残光による影響は防止される。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上記第1実施形態では、フラッシュ発光期間に対して、短期間露光の第2受光素子群の露光期間を制御することにより、第2受光素子群の露光量を適正化しているが、逆に、第2受光素子群の露光期間に対して、フラッシュ発光期間を制御することにより、第2受光素子群の露光量を最適化することも可能である。
【0073】
図12は、第4実施形態において、広ダイナミックレンジモードにおいてフラッシュ撮影を行う場合の固体撮像素子12及びフラッシュ発光部19の駆動方法を示す。CPU17は、第1受光素子群の露光期間tLと第2受光素子群の露光期間tSとを同一の時点(タイミングt4)で終了させるように固体撮像素子12の駆動を制御するとともに、フラッシュ発光のタイミングt1,t3を、短露光側の露光期間tS(タイミングt2からt4)に対して調整する。
【0074】
図13は、第4実施形態の調光処理を示す。ステップS21〜S25については、第1実施形態で説明したステップS11〜S15と同一の処理であるので説明を省略する。ステップS26において、発光制御部17aは、ステップS25で算出した発光量Evに対する発光時間tFを決定する。この発光時間tFの決定は、前述のテーブルLUT1を用いて行う。
【0075】
次いで、発光制御部17aは、第1及び第2受光素子群の露光期間の比(tS/tL)に基づき、期間tF(タイミングt1からt3)の発光量に対する期間tFP(タイミングt2からt3)の発光量の割合が、露光期間の比tS/tLと一致するように、第2受光素子群の露光開始タイミングt2に対するフラッシュ発光のタイミングt1,t3を決定する(ステップS27)。このタイミングt1,t3は、第1実施形態と同様な方法で決定することができる。なお、タイミングt1,t3は、第2実施形態や、第3実施形態の方法を用いて決定することも可能である。
【0076】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、図14に示すように、撮影レンズ11の前方にメカニカルシャッタ50を配置し、このメカニカルシャッタ50を駆動するシャッタ駆動部51を設け、CPU17がシャッタ駆動部51を介してメカニカルシャッタ50を駆動することにより、第1及び第2受光素子群の露光期間tL,tSの終了タイミングt4を規定する点が上記第4実施形態と異なる。
【0077】
具体的には、図15に示すように、メカニカルシャッタ50を開放した状態で、電子シャッタパルスφSUBの印加を停止することにより、第1受光素子群の露光を開始し(タイミングt0)、この後、垂直転送電極V1,V5に読み出しパルスを印加することにより、第2受光素子群の露光を開始する(タイミングt2)。そして、期間tSの経過時にメカシャッタ50を閉じることにより、第1及び第2受光素子群の露光を終了させる(タイミングt4)。なお、フラッシュ発光は、上記第4実施形態で説明したタイミングt1,t3で行う。
【0078】
メカニカルシャッタ50を閉状態とした後、高周波数の垂直転送パルスφV1〜φV8及び水平転送パルスφH1,φH2を印加することにより、VCCD41内の蓄積電荷(不要電荷)を高速に掃き捨てる(高速V転送)。この後、垂直転送電極V3,V7及び垂直転送電極V1,V5に読み出しパルスを印加し、第1及び第2受光素子群の蓄積電荷(信号電荷)をVCCD41に読み出す。そして、VCCD41に読み出した信号電荷を垂直転送及び水平転送し、撮像信号として出力部43から出力させる。
【0079】
このように、第5実施形態では、VCCD41への信号電荷の読み出しの直前に、VCCD41の不要電荷を掃き捨てるため、スミアの発生が防止される。また、上記第4実施形態のように、短露光期間tS中に高速V転送が介在しないため、短露光期間tSを、高速V転送に要する時間以下とすることが可能である。
【0080】
なお、上記第1〜第5実施形態では、固体撮像素子12としてCCD型イメージセンサを用いているが、固体撮像素子としては、露光期間を独立して制御可能な第1受光素子と第2受光素子とを一対として複数配列したものであればよく、CMOS型イメージセンサ等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 デジタルカメラ
12 固体撮像素子
17 CPU
17a 発光制御部
17b 焦点調節部
17c 露出調整部
19 フラッシュ発光部
24 デジタル信号処理部
26 記録媒体
27 外部メモリ制御部
40 受光素子
41 垂直電荷転送部
42 水平電荷転送部
50 メカニカルシャッタ
V1〜V8 垂直転送電極
R1,G1,B1 第1受光素子群
R2,G2,B2 第2受光素子群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュ光を発するフラッシュ発光手段と、
露光期間をそれぞれ独立に制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列され、前記第1受光素子の第1露光期間中に、前記第1露光期間より短い第2露光期間で前記第2受光素子の露光を行うことを可能とする撮像手段と、
前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光手段のフラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を制御する制御手段と、
前記第1及び第2受光素子の出力信号を合成して画像データを生成する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記フラッシュ発光期間を前記第1露光期間に同期させ、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光期間に対する前記第2露光期間のタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記フラッシュ発光期間と前記第1露光期間の開始時間を同時とすることを特徴とする請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第2露光期間を前記第1露光期間に同期させ、前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記第2露光期間に対する前記フラッシュ発光期間のタイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1露光期間と前記第2露光期間の終了時間を同時とすることを特徴とする請求項4に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記フラッシュ発光手段に予備発光を行わせ、前記撮像手段により検出されるフラッシュ光の反射輝度情報に基づいて本撮影用の発光量を算出し、算出した発光量に基づいて前記フラッシュ光の発光時間を決定することを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記発光量に対する発光時間を、複数の前記発光量について記憶した第1テーブルを備え、
前記第1テーブルを参照することにより、前記発光時間を決定し、前記第1及び第2露光期間の比率に基づき、前記フラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を決定することを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記第1テーブルに記憶されていない発光量に対する発光時間を、補間演算により算出することを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記第1露光期間中の発光量に対する前記第2露光期間中の発光量の割合が、前記第1及び第2露光期間の比率となる前記タイミング関係を、複数の前記比率について記憶した第2テーブルをさらに備え、
前記第2テーブルを参照することにより、前記比率に対応した前記タイミング関係を決定することを特徴とする請求項7または8に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第2テーブルに記憶されていない前記比率に対する前記タイミング関係を、補間演算により算出することを特徴とする請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1受光素子から得られる前記反射輝度情報に基づいて前記発光時間を決定し、前記第2受光素子から得られる前記反射輝度情報に基づいて前記タイミング関係を決定することを特徴とする請求項6に記載の撮影装置。
【請求項12】
前記フラッシュ発光期間及び前記タイミング関係の決定値を、前記画像データに対応づけて記録する記録手段を備えたことを特徴とする請求項1から11いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項13】
前記第1受光素子は、行方向とこれに直交する列方向とに正方格子状に配列され、前記第2受光素子は、行方向とこれに直交する列方向とに正方格子状に配列されており、前記第1受光素子と前記第2受光素子とは、同一の配列ピッチで、かつ、互いに配列ピッチの1/2だけ行方向及び列方向にずらして配列されていることを特徴とする請求項1から12いずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項14】
前記撮像手段には、前記第1受光素子に対応して赤、緑、青のカラーフィルタがベイヤー配列され、かつ、前記第2受光素子に対応して赤、緑、青のカラーフィルタがベイヤー配列されていることを特徴とする請求項13に記載の撮影装置。
【請求項15】
前記撮像手段は、前記第1受光素子が配列された列と、前記第2受光素子が配列された列とに沿って配列され、前記第1及び第2受光素子に蓄積された信号電荷を読み出して列方向に転送する垂直電荷転送部と、前記垂直電荷転送部からの信号電荷を行方向に転送する水平電荷転送部とを備えたCCD型の固体撮像素子であることを特徴とする請求項14に記載の撮影装置。
【請求項16】
フラッシュ光を発するフラッシュ発光手段と、露光期間をそれぞれ独立に制御可能な第1受光素子と第2受光素子とが対となって複数配列され、前記第1受光素子の第1露光期間中に、前記第1露光期間より短い第2露光期間で前記第2受光素子の露光を行うことを可能とする撮像手段と、前記第1及び第2受光素子の出力信号を合成して画像データを生成する信号処理手段とを備えた撮影装置の制御方法において、
前記第1及び第2受光素子が、前記第1及び第2露光期間の比率に対応する光量をそれぞれ受光するように、前記フラッシュ発光手段のフラッシュ発光期間と前記第2露光期間との相対的なタイミング関係を制御することを特徴とする撮影装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−55327(P2011−55327A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203486(P2009−203486)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】