説明

撮影装置及び露出制御方法

【課題】オートフォーカス時の適正な露出制御が可能な撮影装置及び露出制御方法を提供する。
【解決手段】撮影装置(100)は、被写体の第1輝度を測定する測光部(16)と、前記第1輝度がオートフォーカスを行うために不十分な輝度の場合、前記被写体に対して補助光を発光する補助光発光部(30)と、前記オートフォーカスを行うための露出制御を行う制御部(10)と、を備え、前記測光部(16)は、前記補助光が照射された後の前記被写体の第2輝度を測定し、前記制御部(10)は、前記第2輝度に対して前記補助光の種類に応じた補正量を加えた値を第3輝度とし、前記第3輝度に基づいてオートフォーカス用の露出制御を行うこと、を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置及び露出制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の撮影装置において、例えば、暗い被写体に対して合焦させる場合、AF(オートフォーカス)補助光を発光させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−051185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、AF補助光は、太陽光等の環境光と異なる波長を有する光である。このような波長のAF補助光が照射されると、実際の被写体とRGB(赤色、緑色、青色)のバランスが異なるものとなる。その場合、AF補助光が照射された被写体に基づいて露出制御を行うと、露出制御が実際の被写体にそぐわない可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、オートフォーカス時の適正な露出制御が可能な撮影装置及び露出制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の発明は、被写体の第1輝度を測定する測光部(16)と、前記第1輝度がオートフォーカスを行うために不十分な輝度の場合、前記被写体に対して補助光を発光する補助光発光部(30)と、前記オートフォーカスを行うための露出制御を行う制御部(10)と、を備え、前記測光部(16)は、前記補助光が照射された後の前記被写体の第2輝度を測定し、前記制御部(10)は、前記第2輝度に対して前記補助光の種類に応じた補正量を加えた値を第3輝度とし、前記第3輝度に基づいてオートフォーカス用の露出制御を行うこと、を特徴とする撮影装置(100)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮影装置(100)であって、色温度によって、前記補助光の種類が異なること、を特徴とする撮影装置(100)である。
請求項3に記載の発明は、被写体の第1輝度を測定し、前記第1輝度がオートフォーカスを行うために不十分な輝度の場合、前記被写体に対して補助光を発光し、前記補助光が照射された後の前記被写体の第2輝度を測定し、前記第2輝度に対して前記補助光の波長に応じた補正量を加えた値を第3輝度とし、前記第3輝度に基づいてオートフォーカス用の露出制御を行うこと、を特徴とする、オートフォーカス用の露出制御方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、オートフォーカス時の適正な露出制御が可能な撮影装置及び露出制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態のカメラの構成を示す図である。
【図2】実施形態のカメラの機能ブロック図である。
【図3】AFの際の露出制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態のカメラ100の構成を示す図である。
カメラ100はカメラ本体1と、レンズユニット2から構成される。ここで、レンズユニット2はカメラ本体1に対して交換可能に装着される。またレンズユニット2は撮影レンズ3と撮影レンズ3を駆動するモータ4およびレンズユニットの情報を記録したレンズ内メモリ18を含む。
【0011】
カメラ本体1は、メインミラー5と、サブミラー6と、フォーカルプレーンシャッター8と、被写体像を光電変換する第1撮像センサ9と、ファインダ光学系20と、被写体像を光電変換する第2撮像センサ16と、焦点検出ユニット7と、制御部10と、手振れセンサ17(例、角速度センサ)と、表示ユニット19と、AF補助光発生部30と、を有している。
【0012】
メインミラー5、サブミラー6、フォーカルプレーンシャッター8および第1撮像センサ9は、撮影レンズ3の光軸に沿って配置され、ファインダ光学系20はメインミラー5の上部領域に、焦点検出ユニット7はサブミラー6の下部領域に配置されている。
【0013】
ここで、撮影者がファインダ光学系20を通して被写界を観察する時、つまり静止画撮影およびライブビュー以外の時は、メインミラー5は、撮影レンズ3から第1撮像センサ9までの撮影光路と交差し、撮影レンズ3を通過した光束を上方に反射させてファインダ光学系20に導くようになっている(実線の位置)。
一方、ライブビュー時および静止画撮影時はメインミラー5は上方に跳ね上げられ、撮影レンズ3を通過した光束はフォーカルプレーンシャッター8および第1撮像センサ9に導かれ、第1撮像センサ9の画像信号に基づいて被写体の撮影画像データを生成することができる(点線の位置)。
【0014】
また、メインミラー5の中央部は光を透過するハーフミラーとなっていて、非撮影時のメインミラー5を透過した一部の光束はサブミラー6によって下方に反射され、焦点検出ユニット7に導かれるようになっている。
【0015】
ファインダ光学系20は、拡散スクリーン11と、コンデンサレンズ12と、ペンタプリズム13と、接眼レンズ14と、再結像レンズ15を有している。
【0016】
拡散スクリーン11はメインミラー5の上方に配置され、実線の位置でのメインミラー5が反射した光束を一旦結像させる。拡散スクリーン11で結像した光束はコンデンサレンズ12およびペンタプリズム13および接眼レンズ14を通過して撮影者の目に到達する。また、拡散スクリーン11によって拡散された光束の一部はコンデンサレンズ12およびペンタプリズム13および再結像レンズ15を通過して第2撮像センサ16に到達する。
【0017】
AF補助光発生部30は、被写体輝度が低い場合に光被写体に補助光を照射し、その反射光を撮像部で撮像することによってAF(オートフォーカス)の精度を上げるためのものである。本実施形態でAF補助光発生部30は、例えば、赤色の光(例えば赤外線)を発生する。
【0018】
図2は、実施形態のカメラ100の機能ブロック図である。図2に示すように、カメラ100は、図1の構成に加えて、タイミングジェネレータ20、信号処理部21、A/D変換部22、バッファメモリ23、バス24、カードインターフェース25、圧縮伸長部26、画像表示部27の各部を備える。タイミングジェネレータ20は、第1撮像センサ9に出力パルスを供給する。また、第1撮像センサ9で生成される画像データは、信号処理部21(撮像感度に対応するゲイン調整部を含む)およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。バッファメモリ23は、バス24に接続される。このバス24には、カードインターフェース25、図1で説明した制御部10、圧縮伸長部26、および画像表示部27が接続される。カードインターフェース25は、着脱自在なメモリカード28と接続し、メモリカード28に画像データを記録する。
【0019】
制御部10には、カメラ100のスイッチ群29(不図示のレリーズ釦などを含む)、タイミングジェネレータ20、および第2撮像センサ16が接続される。さらに、画像表示部27は、カメラ100の背面に設けられた表示ユニット19に画像などを表示する。
【0020】
次に、本実施形態のカメラ100の動作について説明する。図3はAF用露出制御における制御部10の動作を示すフローチャートである。
まず、カメラ100のスイッチがオンにされると、メインミラー5及びサブミラー6は、図1における実線の位置で、被写体光はメインミラー5で反射されて拡散スクリーン11,コンデンサレンズ12、ペンタプリズム13、再結合レンズ15を通って第2撮像センサ16に導かれる。
また、被写体光はメインミラー5で反射されて拡散スクリーン11,コンデンサレンズ12、ペンタプリズム13を通った後、接眼レンズ14に導かれた光は、ファインダにおいて観察可能となる。
【0021】
次に、図3は、AFの際の露出制御のフローチャートである。図示しないレリーズボタンが半押しされると(ステップS01)、制御部10は、第2撮像センサ16からの信号をもとに、被写体がAFを行うために十分な輝度であるかを判断する(ステップS02)。
ここで、被写体が十分な露出である場合は(ステップS02,YES)、ステップS07に進む。
【0022】
制御部10は、例えば、人物の被写体が逆光で暗い場合など、被写体の輝度がAFを行うために不十分であると判断した場合(ステップS02,NO)、補助光発生部30からAF補助光を発光させる(ステップS03)。
被写体にはAF補助光が照射されるが、このとき、AF補助光の光源波長によって、被写体の色は、環境光の下の実際の色とは異なる色となる。例えば、AF補助光が赤色の光の場合、被写体からレンズユニット2に入射する光は赤みがかった光となる。
この入射光はメインミラー5により反射され第2撮像センサ16よって測光される(ステップS16)。
【0023】
制御部10において、第2撮像センサ16で測光された測光情報より、被写体の輝度Y1が計算される。しかし、AF補助光が発光されている場合は、上述のように、AF補助光の光源波によって実際の被写体と色のバランスが異なる。したがって、Y1をもとに露出制御を行うと、AFに対する適正な輝度とならない場合がある。このため、輝度Y1を、AF補助光の種類に応じて補正する必要がある。
【0024】
ここで、輝度Yは、例えば、次式で表される。
Y=0.3*R+0.6*G+0.1*B (式1)
R,G,Bはそれぞれ赤色、緑色、青色の強度である。
この式に基づく計算上において、R(赤色)の係数はG(緑色)と比べて小さいため、Rが支配的な場合は、輝度Yが低めとなる。この輝度を基に露出制御すると、適正露出よりも明るくなる可能性がある。
このため、AF補助光の色に応じてY1を補正して補正後の輝度Y2を求める。この補正量は、補助光の色のバランスや、強度によって異なるものであるが、予め測定されて求められてメモリに記憶されている。
【0025】
次に、この補正後の輝度Y2を基に、制御部10はAF用の露出制御を行う(ステップS06)。
次いで、AF用に適正な露出値の画像がレンズユニット2より入射されて、メインミラー5を通ってサブミラー6で反射され、焦点検出ユニット7により合焦状態が検出される。制御部10は、その合焦状態に応じてレンズ3(合焦レンズ)を駆動し(ステップS08)、レリーズボタンの全押しが検出される(ステップS09)、撮影を行う(ステップS10)。
【0026】
以上、本実施形態によると、AF補助光の色に応じて補正した輝度Y2により、AF用の露出制御を行うので、AF補助光の種類によらず、適正な露出制御を行うことができ、制度の良いAFを行うことが出来る。
【0027】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
本実施形態では、レンズ着脱式カメラについて説明したが、これに限らず、レンズが着脱できない、いわゆるコンパクトカメラであっても良い。また、実施形態ではレンズ着脱式カメラのミラーダウンした状態について説明したが、ミラーアップしてスルー画を観察する場合であっても良い。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0028】
9:第1撮像センサ、16:第2撮像センサ、30:補助光発生部、100:カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の第1輝度を測定する測光部と、
前記第1輝度がオートフォーカスを行うために不十分な輝度の場合、前記被写体に対して補助光を発光する補助光発光部と、
前記オートフォーカスを行うための露出制御を行う制御部と、を備え、
前記測光部は、前記補助光が照射された後の前記被写体の第2輝度を測定し、
前記制御部は、前記第2輝度に対して前記補助光の種類に応じた補正量を加えた値を第3輝度とし、前記第3輝度に基づいてオートフォーカス用の露出制御を行うこと、を特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置であって、
色温度によって、前記補助光の種類が異なること、を特徴とする撮影装置。
【請求項3】
被写体の第1輝度を測定し、
前記第1輝度がオートフォーカスを行うために不十分な輝度の場合、前記被写体に対して補助光を発光し、
前記補助光が照射された後の前記被写体の第2輝度を測定し、
前記第2輝度に対して前記補助光の色の種類に応じた補正量を加えた値を第3輝度とし、前記第3輝度に基づいてオートフォーカス用の露出制御を行うこと、を特徴とする、オートフォーカス用の露出制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−61545(P2013−61545A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200715(P2011−200715)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】