説明

撮影装置

【課題】アクセサリーを取り付けたまま外部装置を制御することができる撮影装置を提供する。
【解決手段】被写体を撮影する撮影部と、前記被写体を照明するための照明光または外部装置との通信を行うための信号光を発光する発光部7と、前記発光部を収納する筐体4と、前記筐体において前記発光部の近傍に位置し、アクセサリーを取付け可能な取付部14と、前記発光部の位置を、前記発光部の少なくとも一部が前記筐体内に収納される第1の位置、前記発光部が外部に向かって移動した第2の位置、及び前記第1の位置と前記第2の位置の間で前記取付部に取付けられた前記アクセサリーと干渉しない第3の位置のいずれかに設定する設定部20と、前記発光部が前記第1の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を禁止し、前記発光部が前記第2の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を可能とし、前記発光部が前記第3の位置に位置する場合に前記信号光の発光を可能とする発光制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポップアップ式の内蔵フラッシュを備え、内蔵フラッシュからのフラッシュ信号光に基づいて外部のフラッシュ装置を制御するカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−175636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このカメラにおいては、ファインダーの上部にアクセサリーを取り付けた場合、内蔵フラッシュをポップアップさせることができなくなる。このため、内蔵フラッシュを用いて外部のフラッシュ装置を制御するためには、アクセサリーを取り外さなければならないという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、アクセサリーを取り付けたまま外部装置を制御することができる撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮影装置は、被写体を撮影する撮影部と、前記被写体を照明するための照明光または外部装置との通信を行うための信号光を発光する発光部と、前記発光部を収納する筐体と、前記筐体において前記発光部の近傍に位置し、アクセサリーを取付け可能な取付部と、前記発光部の位置を、前記発光部の少なくとも一部が前記筐体内に収納される第1の位置、前記発光部が外部に向かって移動した第2の位置、及び前記第1の位置と前記第2の位置の間で前記取付部に取付けられた前記アクセサリーと干渉しない第3の位置のいずれかに設定する設定部と、前記発光部が前記第1の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を禁止し、前記発光部が前記第2の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を可能とし、前記発光部が前記第3の位置に位置する場合に前記信号光の発光を可能とする発光制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の撮影装置によれば、アクセサリーを取り付けたまま外部装置を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係る電子カメラの正面図及び平面図である。
【図2】実施の形態に係る電子カメラの背面を示す図である。
【図3】実施の形態に係る電子カメラの筐体内部及びフラッシュユニットの可動機構を示す図である。
【図4】実施の形態に係る電子カメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態に係る電子カメラにおいてフラッシュユニットを第2の位置に移動させた状態を示す図である。
【図6】実施の形態に係る電子カメラにおいてフラッシュユニットを第3の位置に移動させた状態を示す図である。
【図7】実施の形態に係る電子カメラにおいてフラッシュユニットを第3の位置に移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る撮影装置について電子カメラを例に説明する。図1(a)は、実施の形態に係る電子カメラの正面図であり、図1(b)は、平面図である。電子カメラ2は、金属やプラスチックからなる筐体4を備え、筐体4の前面には、被写体光を撮像素子48(図4参照)に導く撮影レンズ5が設けられている。また、筐体4の内部には、被写体を照明する照明光または外部のフラッシュ装置との通信を行う信号光をフラッシュ窓6を介して外部に射出するポップアップ式のフラッシュユニット7が収納されている。また、筐体4の上面には、レリーズ指示を行うレリーズボタン10、フラッシュユニット7により照明光を発光する照明モードと信号光を発光する通信モードとを切換える切換ボタン12及び外部フラッシュや録音用マイク等のアクセサリーを取り付けるアクセサリシュー14が設けられている。
【0010】
図2は、実施の形態に係る電子カメラ2の背面を示す図である。筐体4の背面には、スルー画像等を表示するLCD表示部16、及びポップアップ式のフラッシュユニット7を所定の位置に係止する係止部材17を操作する操作レバー18が設けられている。
【0011】
図3は、実施の形態に係る電子カメラ2の筐体4の内部及びフラッシュユニット7の可動機構を示す図である。フラッシュユニット7の内部には、係止部材17と係合する係合面20a、係合面20b、及び筐体4の内側に固定されたポップアップ制限部19の下面と係合する係合面20cを有する係合部材20、及びフラッシュユニット7の位置を検出するスイッチ22を構成するブラシ24が固定されている。
【0012】
また、筐体4の内側には、フラッシュユニット7を上下に昇降させるためのガイド軸26を支持する上端固定部28及び下端固定部30が形成され、下端固定部30の上面には、フラッシュユニット7を常時上向きに付勢するポップアップバネ32が配置されている。ここで、係合部材20は、ガイド軸26の上下方向に沿って摺動可能なようにガイド軸26に取付けられている。
【0013】
また、筐体4の内側には、係止部材17を常時図3に示す右側に付勢する引張バネ34が設けられている。このため、操作レバー18が操作されていないときの位置(以下、基準位置という。)にある場合(図2参照)、係止部材17は、引張バネ34により右側に付勢され、係合部材20のいずれか一つの係合面と係合する。
【0014】
また、筐体4の側面の内側には、スイッチ22を構成するスイッチ基板36が固定されている。ここで、フラッシュユニット7の位置は、ブラシ24の先端部がスイッチ基板36のどの位置に接触しているかにより検出される。
【0015】
図4は実施の形態に係る電子カメラ2のシステム構成を示すブロック図である。デジタルカメラ2は、CPU40を備え、CPU40には操作部42、LCD表示部16、被写体を撮影するための撮像素子48、撮像素子48により撮影した画像の画像データを記憶する記憶部50、画像データを記憶するメモリカード52、光源であるフラッシュ光源54の点灯、消灯及びフラッシュ光源54から射出される光の発光量を調節する光源制御部56が接続されている。ここで、操作部42には、レリーズボタン10及び切換ボタン12等が含まれている。
【0016】
次に、フラッシュユニット7の位置に基づく照明光または信号光の発光について説明する。例えば、図1(a)に示すように、フラッシュユニット7が筐体4の内部に収納される位置(以下、第1の位置という。)に位置している場合には、CPU40は、ブラシ24の先端部がA位置に接触したことを検知し(図3参照)、フラッシュユニット7による照明光及び信号光の発光を禁止する。このため、フラッシュユニット7が第1の位置に移動した場合、被写体を照明しないで撮影が行われる。
【0017】
ここで、操作者が操作レバー18を左側にスライドさせると(図2参照)、係止部材17の先端部が係合部材20の係合面20aから外れ(図3参照)、ポップアップバネ32の復元力により、フラッシュユニット7がガイド軸26に沿って上昇する。従って、図5(a)に示すように、フラッシュユニット7が筐体4からポップアップした位置(以下、第2の位置という。)に移動する。なお、フラッシュユニット7が第2の位置に移動した場合、図5(b)に示すように、フラッシュユニット7が筐体4から大きく突出するため、アクセサリシュー14にアクセサリーを取り付けることはできない。
【0018】
フラッシュユニット7が第2の位置に移動した場合、CPU40は、ブラシ24の先端部がB位置に接触したことを検知し(図5(a)参照)、切換ボタン12によるモード設定が照明モードと通信モードの何れに設定されているかを判定する。次に、CPU40は、判定したモードによる撮影処理を行う。
【0019】
照明モードが設定された状態においてレリーズボタン10が全押しされると、CPU40は、光源制御部56によりフラッシュ光源54から射出される照明光の発光量を調整して点灯し、フラッシュ窓6を介して照明光を射出して被写体を照明する。また、CPU40は、この照明光により被写体が照明された状態において被写体の撮影を行う。
【0020】
一方、通信モードが設定された状態においてレリーズボタン10が半押しされると、CPU40は、測光及び測距を行い本発光時における外部のフラッシュ装置の照明光の発光量を決定する。次に、レリーズボタン10が全押しされると、CPU40は、フラッシュユニット7から信号光を発光して発光量に関する情報と本発光の発光タイミングに関する情報を外部のフラッシュ装置に送信する。外部のフラッシュ装置により信号光が受信されると、電子カメラ2による撮影と同期して外部のフラッシュ装置により本発光が行われる。
【0021】
次に、操作者がフラッシュユニット7を下に押し下げると、図6(a)に示すように、フラッシュユニット7が係止部材17が係合面20bと係合する位置(以下、第3の位置という。)に移動する。なお、フラッシュユニット7を第3の位置に移動した場合、図6(b)に示すように、フラッシュユニット7の上面の位置とアクセサリシュー14の上面の位置とが略一致し、フラッシュ窓6の全体が筐体4の外部に露出する。
【0022】
フラッシュユニット7が第3の位置に移動した場合、CPU40は、ブラシ24の先端部がC位置に接触したことを検知し(図6(a)参照)、切換ボタン12によるモード設定が通信モードに設定されているか否かを判定する。
【0023】
照明モードに設定されている場合、CPU40は、フラッシュユニット7による照明光及び信号光の発光を禁止する。一方、通信モードに設定されている場合、CPU40は、フラッシュユニット7が第2の位置に移動した場合の通信モードと同様の処理を行う。このため、フラッシュユニット7が第3の位置に移動した場合、フラッシュユニット7からの照明光により直接被写体を照明して撮影を行うことはできないが、外部のフラッシュ装置から照明光を発光させて撮影を行うことが可能となる。
【0024】
この実施の形態に係る電子カメラ2によれば、フラッシュユニット7を第3の位置に移動させることにより、アクセサリシュー14にアクセサリーを取り付けたまま外部のフラッシュ装置を制御することができる。このため、撮影時にアクセサリーを取り外す手間を省くことができ、シャッターチャンスを逃さず的確に被写体を撮影することができる。
【0025】
また、フラッシュユニット7を第3の位置に移動した場合、フラッシュ窓6が完全に筐体4の外部に露出するため(図6(b)参照)、信号光が筐体4により遮られることなく、信号光による通信範囲を広げることができる。また、フラッシュユニット7が筐体4から大きく突出しないため、例えば、操作中にフラッシュユニット7が電子カメラ2のストラップに引っ掛るような障害を予防することができる。
【0026】
また、信号光が筐体4の内部で発光することがないため、信号光が筐体4の隙間から外部に漏光したり、撮影レンズ5の鏡筒の穴等から撮像素子48に漏光することがない。また、筐体4の内部温度の上昇を防止することができる。また、信号光を発光させるために電子カメラ2を特殊な形状にする必要がなく、デザインの自由度を高くすることができる。
【0027】
なお、上述の実施の形態において、図7に示すように、アクセサリシュー14にアクセサリーを取り付けたときのアクセサリーの下面の位置が規格により予め定められている場合、第3の位置は、フラッシュユニット7の上面とアクセサリーの下面とが干渉せず、かつ、フラッシュ窓6が完全に筐体4の外部に露出する位置であればよい。なお、この第3の位置において、フラッシュユニット7の上面とアクセサリーの下面とは、接触していてもよく、接触していなくてもよい。
【0028】
また、上述の実施の形態においては、フラッシュユニット7から信号光を発光することにより外部のフラッシュ装置を制御する場合を例に説明しているが、信号光により制御する外部装置はフラッシュ装置に限定されない。
【0029】
また、上述の実施の形態において、アクセサリシュー14にアクセサリーを取り付けたまま外部装置を制御することができれば、アクセサリシュー14及びフラッシュユニット7の位置は問わない。例えば、筐体4の右側(左側)側面(図2参照)にアクセサリシュー14が設けられ、操作レバー18が操作されるとフラッシュユニット7が筐体4の右(左)方向に向かって移動するようにしてもよい。また、筐体4の下面にアクセサリシュー14が設けられ、フラッシュユニット7が筐体4の下方向に移動するようにしてもよい。
【0030】
また、上述の実施の形態において、アクチュエータやギア等を備え、電動で係止部材17の係止を解除したり、フラッシュユニット7を移動することができるようにしてもよい。また、LCD表示部16においてメニュー画面を表示し、選択されたメニューに対応させてフラッシュユニット7を所定の位置に移動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
2…電子カメラ、4…筐体、5…撮影レンズ、6…フラッシュ窓、7…フラッシュユニット、10…レリーズボタン、12…切換ボタン、14…アクセサリシュー、16…LCD表示部、18…操作レバー、22…スイッチ、40…CPU、48…撮像素子、52…メモリカード、54…フラッシュ光源、56…光源制御部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
前記被写体を照明するための照明光または外部装置との通信を行うための信号光を発光する発光部と、
前記発光部を収納する筐体と、
前記筐体において前記発光部の近傍に位置し、アクセサリーを取付け可能な取付部と、
前記発光部の位置を、前記発光部の少なくとも一部が前記筐体内に収納される第1の位置、前記発光部が外部に向かって移動した第2の位置、及び前記第1の位置と前記第2の位置の間で前記取付部に取付けられた前記アクセサリーと干渉しない第3の位置のいずれかに設定する設定部と、
前記発光部が前記第1の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を禁止し、前記発光部が前記第2の位置に位置する場合に前記照明光及び前記信号光の発光を可能とし、前記発光部が前記第3の位置に位置する場合に前記信号光の発光を可能とする発光制御部と
を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記第3の位置は、前記取付部に前記アクセサリーを取付けた状態において、前記発光部の前記アクセサリー側表面が前記アクセサリーの前記筐体側表面と接触しない位置であることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記第3の位置は、前記発光部の前記アクセサリー側表面の位置と前記取付部の前記アクセサリーに最も近い表面の位置とが略一致する位置であることを特徴とする請求項2記載の撮影装置。
【請求項4】
前記発光部は、前記照明光または前記信号光を射出する発光用窓を備え、
前記第3の位置は、前記発光用窓の全体が前記筐体の外部に露出する位置であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記発光部が前記第3の位置に位置することを検出する検出部を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−3497(P2013−3497A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137131(P2011−137131)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】