説明

撹拌混合装置

【課題】二次凝集を要請して均一混合を行う。
【解決手段】撹拌混合装置110には、粉体導入口24と液体導入口22とが設けられた導入管55と、導入管55に接続され導入管55より導入された粉体と液体との混合物を一方端部に押し出す押出管60と、押出管60の一方端部に接続され押し出された前記混合物からなる流体を内部に流通される流通路が設けられたケーシング12と、ケーシング12内に配置され駆動源20に接続された軸部14と該軸部14の周囲に取り付けられた撹拌羽根16とからなる撹拌体15と、を有し、粉体導入口24には、漏斗型の粉体導入装置57が取り付けられ、粉体導入装置57には、粉体を搬送するためのフィーダ54が設けられ、フィーダ54は、振動回転駆動源53に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を搬送するフィーダを振動回転させて粉体を導入し液体と撹拌混合する撹拌混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、粉体に液体を添加して混合する場合、液体に粉体を添加して混合する場合、及び粉体と液体とを単に同時に添加し混合した場合には、液体中で粉体の二次凝集粒(いわゆる、ダマ)が生じてしまい、また一旦発生した二次凝集を再度液体中に分散させることは極めて難しいことが知られている。さらに、二次凝集物が原料導入口を閉塞させ、その結果、のちの粉体導入が困難になってしまうという現象も生じやすい。
【0003】
そこで、近年、粉体と液体との混合時に二次凝集の発生を抑制可能な装置及び方法が提案されてきている。
【0004】
従来、上部に液体と粉体とを投入する供給口を設け、下部に排出口を設けたケーシング内部に回転円盤を設け、該回転円盤によりケーシング内部を上部混練室と下部混練室に区分けし、また回転円盤の上部にスクレーパを取り付け、また回転円盤の下位置に回転円盤とは非接触状態で独立して回転する回転スクレーパを取り付け、供給口から投入された粉体と液体とを回転円盤を回転させ混合し、下部混練室に移動した混合物を回転円盤より低速回転する回転スクレーパにより混合掻き取りして排出口から外部に連続的に移動させる液体と粉体との連続混合装置が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0005】
また、回転混合盤を介して粉体と液体を混合する連続混合装置において、液体を噴霧供給し粉体と液体との均一混合を行う装置も提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5)。
【0006】
また、石炭粉等の粉体と水等の液体値を混合してスラリとする方法において、スクリューポンプ内に粉体を送り、更にそのスクリューポンプの途中から液体を供給して粉体と液体とを混合して昇圧し、スクリューポンプの吐出口で圧力を下げてスラリ化する方法も提案されている(例えば、特許文献6)。
【0007】
更に、本願出願人も、2種類以上の物質を内部に収納するケーシングと、ケーシング内に配置された擂り子とを有し、前記ケーシング内側面又は擂り子の外側面の少なくとも一方側に凹凸を形成し、更に前記ケーシングと擂り子を相対的に往復移動させて、ケーシング内側面と擂り子の外側面との隙間に生じる狭圧力によって、前記2種類以上の物質のうち、少なくとも1種以上を分散する分散装置が提案されている(たとえば、特許文献7)。
【0008】
【特許文献1】特開平11−19495号公報
【特許文献2】特開2001−62273号公報
【特許文献3】特開2002−166154号公報
【特許文献4】特開2002−248330号公報
【特許文献5】特開2001−198447号公報
【特許文献6】特開2001−65850号公報
【特許文献7】特開2000−246131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のいずれの混合装置及び混合方法においても、未だ二次凝集を完全に解消し、粉体導入口の閉塞防止可能な装置および方法ではなく、また混合可能な粉体と液体との組み合わせが限定され、今一歩であった。
【0010】
また、上述のいずれの混合装置及び混合方法においても、液体と液体との混合、溶解、化学反応、重合反応等により得られた物が高粘度化する場合にも、その均一混合が不十分となる可能性もあった。
【0011】
また、特に、粉体導入口付近にて、粉体と液体が合流する地点では、粉体導入口付近の粉体と直接または間接的に液体が接触するため、粉体導入口付近で粉体が吸湿して二次凝集を生じ、粉体導入口を塞ぐおそれもあり、かかる場合は、撹拌混合操作を連続して行うことは困難であった。
【0012】
本発明の目的は、特に、粉体と液体との組み合わせにおいて二次凝集の発生を抑制し、二次凝集による原料導入口の閉塞を防止するとともに、混合する液体と液体並びに粉体と液体との組み合わせをほとんど限定することなく汎用性に富み、また液体と液体並びに粉体と液体との均一混合、反応等に優れた撹拌混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撹拌混合装置は、以下の特徴を有する。
【0014】
(1)粉体導入口と、前記粉体導入口の近傍下方に設けられた少なくとも1つ以上の液体導入口と、粉体及び粉体と液体の混合物を搬送するためのフィーダと、前記フィーダを振動回転させる振動回転源と、を備えた導入管を有することを特徴とする撹拌混合装置である。
【0015】
粉体導入口の近傍下方に液体導入口を設けることにより、導入された粉体を分散させて下方に円滑に落とし込むことができる。
【0016】
(2)上記(1)に記載の撹拌混合装置において、前記フィーダには、少なくとも前記液体導入口の位置又は前記液体導入口の位置より下方に粉体送り出し用スクリュー羽根が設けられ、前記粉体送り出し用スクリュー羽根は、その側端部が前記導入管の内壁近傍に達する大きさを有する。
【0017】
上記粉体送り出し用スクリュー羽根によって、導入管内に粉体が滞りなくて円滑に下方に送り出すことができる。
【0018】
(3)上記(1)または(2)に記載の撹拌混合装置において、前記フィーダには、前記粉体と液体との混合物を切断する切断ブレードが少なくとも1つ以上設けられている。
【0019】
上記切断ブレードを有することにより、混合物を適当な大きさに分断しながら導入管内スムーズに搬送することができる。
【0020】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、さらに、前記粉体導入口より下方であって前記液体導口より上方には、オーバーフロー口が設けられている。
【0021】
仮に、粉体導入量及び/又は液体導入量が導入管の搬送能を超えたとしても、粉体と液体の混合物が溢れて、前記粉体導入口から逆流するおそれがない。これにより、粉体導入口が混合物によって塞がることを防止し、連続して安定して粉体を導入することができる。
【0022】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置であって、さらに、前記導入管に接続され前記導入管より導入された粉体と液体との混合物を一方端部に押し出す押出管と、前記押出管の一方端部に接続され押し出された前記混合物からなる流体を内部に流通される流通路が設けられたケーシングと、前記ケーシング内に配置され振動源に接続された軸部と該軸部の周囲に取り付けられた撹拌羽根とからなる撹拌体と、を有する撹拌混合装置である。
【0023】
上述のように、フィーダを振動回転させることによって、仮に、導入管の粉体導入口付近において、導入された液体が、粉体導入口付近の粉体と接触し、フィーダに粉体と液体との二次凝集による付着物が付着したとしても、フィーダから上記付着物を剥離することができる。さらに、フィーダの振動回転により、粉体導入口より随時または連続的に二次凝集物を導入管内に導入することができる。これにより、経時による二次凝集物の塊の増大を抑制することができ、超大化した二次凝集物による粉体導入口の閉塞を抑制することができる。また、導入管から導入された粉体と液体とからなる混合物の凝集体を押出管からケーシングに押し出すことにより、混合物が滞留することなく、随時または連続的にケーシング内に搬送され撹拌混合されて、二次凝集物のない均一な混合物の流体を得ることができる。
【0024】
(6)上記(5)に記載の撹拌混合装置において、前記フィーダは、更に第1の軸部と第2の軸部とからなり、前記振動回転駆動源は、前記第1の軸部を回転させる回転源と、第2の軸部を振動させる振動源とからなる。
【0025】
(7)上記(5)または(6)に記載の撹拌混合装置において、前記ケーシング内部には、前記流通路を仕切り板によって仕切った1つ以上の撹拌室が設けられている。
【0026】
仕切り板を設けることによって、ケーシング内の流通路に乱流が生じ、より撹拌効率が向上する。
【0027】
(8)上記(5)から(7)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、更に、前記ケーシングには、取出口が設けられ、前記取出口近傍には、ケーシング内容物を濾過するフィルタが設けられている。
【0028】
フィルタを設けることによって、未溶解物や不要物を濾過して、所望の溶解物、混合物、反応物等を得ることができる。
【0029】
(9)上記(5)から(8)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、前記ケーシングの内部にスチームを導入する1つ以上のスチーム導入口と、を有する。
【0030】
(10)上記(5)から(9)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、前記ケーシングの内部に導入された混合物を、スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して前記混合物を加熱および/または融解および/または殺菌させる。
【0031】
(11)上記(5)から(10)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して、前記混合物の粘度または反応を調節する。
【0032】
(12)上記(5)から(11)のいずれか1つに記載の撹拌混合装置において、さらに、前記ケーシングの内部に液体を導入する1つ以上の液体導入口を有する。
【0033】
ケーシング内部に液体を導入する液体導入口を設けることにより、ケーシングの内部に導入された混合物を希釈したり、粘度を調節したり、反応を調節させたりすることができる。
【0034】
(13)上記(12)に記載の撹拌混合装置において、導入される液体の量を調整して、前記混合物の粘度または反応を調節する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、粉体導入口の近傍下方に液体導入口を設けることにより、導入される粉体を分散させながら下方に送り出すことができ、さらに、フィーダを振動回転させ、導入管に導入することにより、導入管の粉体導入口付近において、導入された液体が、粉体導入口付近の粉体と接触し、フィーダに粉体と液体との二次凝集による付着物が付着したとしても、フィーダから上記付着物を剥離することができる。さらに、フィーダの振動回転により、粉体導入口より随時または連続的に二次凝集物を導入管内に導入することができる。これにより、経時による二次凝集物の塊の増大を抑制することができ、超大化した二次凝集物による粉体導入口の閉塞を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0037】
実施の形態1.
本発明の一例の撹拌混合装置について図1を用いて以下にその構成を説明する。
【0038】
撹拌混合装置110には、粉体導入口24と液体導入口22とが設けられた導入管55と、導入管55に接続され導入管55より導入された粉体と液体との混合物を一方端部に押し出す押出管60と、押出管60の一方端部に接続され押し出された前記混合物からなる流体を内部に流通される流通路が設けられたケーシング12と、ケーシング12内に配置され駆動源20に接続された軸部14と該軸部14の周囲に取り付けられた撹拌羽根16とからなる撹拌体15と、を有し、粉体導入口24には、漏斗型の粉体導入装置57が取り付けられ、粉体導入装置57には、粉体を搬送するためのフィーダ54が設けられ、フィーダ54は、振動回転駆動源53に接続されている。
【0039】
さらに、撹拌混合装置110の構成について詳細に説明する。
【0040】
導入管55には、上述したように、粉体導入口24と液体導入口22が設けられている。液体導入口22には、バルブ72とポンプ74とを介して液体貯留槽76が接続され、液体貯留槽76には混合用の液体78が貯留されている。一方、粉体導入口24には、漏斗状の粉体導入装置57が接続され、さらに、粉体導入装置57の漏斗の排出口は、導入管55の内部に突出して挿入されている。ここで、粉体導入口24と液体導入口22は近接していることが好ましい。これにより、粉体と液体と所定の割合で随時または連続的に混合することができる。また、粉体導入装置57には、上述したように、粉体を搬送するためのフィーダ57が設けられ、フィーダ57は振動回転駆動源53に接続されている。上記振動回転駆動源については、図2から図5を用いて後述する。
【0041】
図1では、導入管55と粉体導入装置57とは別体に構成されているが、これに限るものではない。例えば、図6から図9に示すように、図1に示す導入管55と粉体導入装置57とを一体に構成してもよい。すなわち、図6に示すように、漏斗状の粉体導入口17が上端に設けられた導入管55であってもよい。漏斗状の粉体導入口17の上方には、粉体を搬送するフィーダ54を振動回転させるための振動回転源53が設けられている。また、フィーダ54には、スクリュー羽根11と粉体送り出し用スクリュー羽根52が設けられている。この粉体送り出し用スクリュー羽根52は、少なくとも液体導入口22の位置又はその位置以降に設けられていることが望ましい。なお、図1においてもフィーダ54には羽根が設けられている。また、導入管55の側面には、液体導入口22が設けられている。上述したように、この液体導入口22は、粉体導入口17の近傍下方に設けられていることが好ましい。液体導入口22を粉体導入口17の近傍下方に設けることにより、液体によって粉体を下方に落とし込むことができ、粉体の導入効率が向上するとともに、粉体の舞い上がりを抑制することができる。
【0042】
また、図6のA−A’線に沿った断面を図7に示す。図7に示すように、液体導入口22は、導入管55の側面に4個所設けているが、これに限るものではない。液体導入口22は、少なくとも1つ以上設けられていればよく、好ましくは、対向して2個所以上設けられていればよい。また、液体導入口22より液体が噴入されることがより好ましい。
【0043】
また、図8に示すように、フィーダ54に設けられた各粉体送り出し用スクリュー羽根52間のピッチを変えてもよい。例えば、図8に示すように、粉体導入口17の粉体投入位置から液体導入口22付近までの各粉体送り出し用スクリュー羽根52間のピッチは狭めにしておき、粉体を順次導入し、一方、粉体と液体とが遭遇する液体導入口22より下方では、フィーダ54の各粉体送り出し用スクリュー羽根52間のピッチは広めにし、粉体と液体との混合物を下方に随時搬送してもよい。これにより、粉体の搬送と混合物との搬送を同時に円滑に行うことができる。
【0044】
さらに、図9に示すように、フィーダ54の下方端に切断ブレード51を設けてもよい。例えば、切断ブレード51を液体導入口22の近傍下方の位置に設けることにより、液体導入口22から導入された液体と遭遇した直後の粉体と液体との混合物を適度な大きさの塊として分断することができる。その結果、混合物を導入管55内で円滑に搬送することができる。また、振動回転源は、混合する粉体と液体との性質に応じ、混合物がダマになりやすい場合には、振動回転を高速とし、一方、混合物が流動性を有する場合には、振動回転数を低速にしてもよい。
【0045】
また、図10に示すように、導入管55に、図6に示す粉体導入口17の下方であって液体導入口22の上方にオーバーフロー口13を設けてもよい。仮に、粉体導入量及び/又は液体導入量が導入管の搬送能を超えたとしても、粉体と液体の混合物が溢れて、粉体導入口より逆流することを防止することができる。さらに、粉体導入口からの逆流による粉体導入口の閉塞も防止することができるため、粉体を連続して安定的に導入することができる。また、仮に、図1に示す導入管55に接続された押出管60の搬送能力を超えて、押出管55に粉体と液体との混合物が導入管55より導入されたとしても、オーバーフロー口13を設けることにより、混合物が粉体導入口に逆流するおそれがない。したがって、粉体導入口の閉塞を防止することができる。
【0046】
また、図10に示すように、フィーダ54の粉体送り出し用スクリュー羽根52は、その側端部が導入管55の内壁近傍に達する大きさに成形されている。これにより、粉体及び粉体と液体との混合物が導入管55の内壁に滞るおそれがなく、その結果、粉体及び粉体と液体との混合物を連続して円滑に搬送することができる。
【0047】
導入管55は、フランジ67を介して押出管60に接続されている。本実施の形態では、押出管60として、モーノポンプを用いている。すなわち、押出管60内に、モータ30に接続された雄ネジ状のロータ61が配置されている。モーノポンプとしては、例えば兵神装備株式会社の「ヘイシン モーノポンプ」を用いてもよい。
【0048】
上記押出管60は、フランジ65を介してケーシング12に接続されている。ケーシング12は、その内部に流体が流通する流通路が設けられ、ケーシング12内には、駆動源20に接続された軸部14と軸部14の周囲に取り付けられた撹拌羽根16とからなる撹拌体15とが設けられている。なお、撹拌羽根は、撹拌される原料に応じて、螺旋状、棒状などの形状を適宜選択して用いることが好ましい。
【0049】
本実施の形態では、ケーシング12の上流側に、押出管60が接続されている。
【0050】
また、仕切り板18が、ケーシング12内部と流通路内に流体又は粉体が連通可能に少なくとも1つ以上設けられ、仕切り板18により仕切られたケーシング12内部は、それぞれ撹拌室200a,200b,200cとして、撹拌度合いの異なる混合物等が順次導入されている。以上のように、ケーシング12内部を仕切り板18により仕切ることによって、乱流効果を高めている。但し、これに限るものではなく、原料の性質などによって容易に撹拌混合可能である場合には、仕切り板18はなくてもよい。
【0051】
また、ケーシング12内の上流側撹拌室200aには、スチーム導入口88が設けられ、また、撹拌室200bには、スチーム導入室84が設けられ、このスチーム導入室84と流通路との間には、フィルタ86が設けられている。また、スチーム導入室84には、スチーム導入口85が設けられ、スチームは、フィルタ86を介して所望の大きさの均一なミスト状になって、ケーシング12内に導入される。なお、スチーム導入口85,88には、スチームの注入圧力を計測する圧力計(図示せず)が取り付けられていてもよい。これにより、スチームの量やスチームの圧力を調整することができる。
【0052】
また、他の実施態様として、上述したケーシング12内の上流側撹拌室200aに設けられたスチーム導入口88を、液体導入口として用いることもできる。かかる場合、液体導入口には、導入される液体の量を計測可能な流量計(図示せず)が取り付けられていてもよい。また、上記液体導入口より導入される液体としては、例えば、粉体と混合させるための溶媒(例えば、水やアルコール類)や、粉体と反応させるための溶剤などが挙げられる。ここで、上記混合用の溶媒は、図1の導入管55の液体導入口22より供給される溶媒と同じ溶媒であっても、異なる溶媒であってもよい。また、上記実施態様において、ケーシング12の撹拌室200bには、上記同様、スチーム導入室84に設けられ、このスチーム導入室84にはスチーム導入口85が設けられ、スチームは、フィルタ86を介して所望の大きさの均一なミスト状になって、ケーシング12内に導入される。なお、スチーム導入口85には、上記同様、スチームの注入圧力を計測する圧力計(図示せず)が取り付けられていてもよい。これにより、スチームの量やスチームの圧力を調整することができる。
【0053】
また、未処理物取出口64が設けられている撹拌室200cには、撹拌体15を包囲するようにフィルタ70が設けられている。このフィルタ70によって、仮に原料の未処理物(例えば、ままこまたはダマ)がケーシング12内に存在したとしても、この未処理物のみ取出口64から排出させることができる。フィルタ70は、例えばミクロレベルの粗さの網目(ファインメッシュ)を有するステンレス製またはセラミック製の濾過部材、あるいは逆浸透膜、高分子膜(ナノフィルタ膜)等を使用することができる。一方、また、撹拌室200cのフィルタ70の外側には、濾過された処理物が導入される処理済み室82が設けられ、この処理済み室82には、処理物取出口62が設けられている。
【0054】
また、未処理物取出口64には、圧力計80と排出用のバルブ68とが設けられ、一方、処理物取出口62には、排出用のバルブ66が設けられている。
【0055】
次に、上記振動回転駆動源53について、図2から図5を用いて説明する。
【0056】
すなわち、振動回転駆動源53は、図2に示すように、フィーダ54を回転させる回転源と、主に第2の軸部48を振動させる振動源とからなる。
【0057】
そして、上記回転源は、図2に示すように、駆動源であるモータ36に接続され回転運動可能な第1のギア34と、第1のギア34と係合し第1のギア34の回転方向と反転した回転方向に回転運動可能な第2のギア32と、第2のギア32が外周側壁に設けられ底部にフィーダ54が連結されているギアユニット30とを有する。
【0058】
一方、上記振動源は、第2の軸部48の一端に連結された偏心カム50と、第2の軸部48の他端に連結されギアユニット30内に装填されるピストン部40と、ピストン部40とギアユニット30との間に設けられ回転運動がピストン部40へ伝達されることを防止する回転防止手段と、を有する。
【0059】
また、本実施の形態では、上記回転防止手段は、ピストン部40の外周側壁とギアユニット30の内周側壁との間に設けられたラジアルベアリング42と、ピストン部40の底部とギアユニット30の内底部との間、ピストン部40の上部とギアユニット30の対向面との間の少なくとも一方に設けられたスラストベアリング44からなる。上述のラジアルベアリング42を設けることによって、第1のギア34および第2のギア32により回転運動が伝達されたギアユニット30の回転運動がピストン部40に伝達されることを防止できる。また、スラストベアリング44を設けることによって、偏心カム50によって振動するピストン部40の振動運動に連動させて、ギアユニット30を矢印102方向に容易にスライドさせながら、第1のギア34と第2のギア32とを係合させ回転運動をギアユニット30に伝達させることができる。
【0060】
なお、これに限るものではなく、振動回転駆動源53は図3に示す構成であってもよい。すなわち、上述した図2の振動回転駆動源では、ピストン部40の底部とギアユニット30の内底部との間、ピストン部40の上部とギアユニット30の対向面との間の少なくとも一方にスラストベアリング44が設けられているが、図3に示す振動回転駆動源では、上記スラストベアリング44の代わりに、平板48a,48bが設けられている。
【0061】
平板48a,48bを設けることにより、偏心カム50によって振動するピストン部40の振動運動に連動させて、ギアユニット30を矢印102方向に容易にスライドさせながら、第1のギア34と第2のギア32とを係合させ回転運動をギアユニット30に伝達させることができる。
【0062】
次に、上記図2,3に示す振動回転駆動源の動作について説明する。
【0063】
振動回転駆動源53において、図2又は図3に示すように、偏心カム50を駆動させ、第2の軸部48を矢印108方向に振動させる。これにより、第2の軸部48に連結されたピストン部40が矢印102方向に振動する。
【0064】
また、偏心カム50の駆動と同時または別に、モータ36を駆動させて第1のギア34を矢印100の方向に回転させる。これにより、第1のギア34の回転は、第1のギア34と係合する第2のギア32に伝わり、第2のギア32は、第1のギア34の回転方向と反転した回転方向、すなわち矢印104方向に回転する。その結果、第2のギア32が外周側壁に形成されたギアユニット30が矢印104方向に回転し、ギアユニット30に連結されているフィーダ54も矢印104方向に回転する。
【0065】
さらに、上述したピストン部40の矢印102方向の振動運動は、ギアユニット30に伝わり、これにより、図2,3に示すように、振動回転駆動源に接続されたフィーダ54は、矢印104方向に回転するとともに、矢印106方向に振動する。
【0066】
その結果、フィーダ54は、粉体導入装置57内で振動および回転し、粉体を効率よく、撹拌混合装置110に輸送することができる。
【0067】
また、他の振動回転駆動源について、図4を用いて以下に説明する。図4に示すように振動回転駆動源は、第1のモータ90に取り付けられた第1の回転軸93と、第1の回転軸93に接続された偏心カム93と、偏心カム93を偏心可能に軸支する軸94と、軸94に連結された振動軸95と、一端が振動軸95に接続され他端の底板97に第2のモータ98が固定されているモータ収納箱96と、モータ収納箱96の底板97に設けられた貫通孔を介して第2のモータ98に回転可能に接続された第2の回転軸99と、第2の回転軸99とフィーダ54とを連結する連結部101とを有する。
【0068】
次に、図4に示す振動回転駆動源の動作について説明する。
【0069】
第1のモータ90を駆動させることにより、第1の回転軸93が回転し、この第1の回転軸93の回転が偏心カム93に伝わり、偏心カム93の回転により軸94に連結された振動軸95が振動運動し、これにより、モータ収納箱96が振動する。一方、モータ収納箱96の底板97に固定された第2のモータ98を駆動させることによって、底板97の貫通孔を介して第2のモータ98に接続された第2の回転軸99が回転する。したがって、第1のモータ90と第2のモータ98を同時に駆動させることにより、モータ収納箱96が振動運動をし、モータ収納箱96に回転可能に接続されている第2の回転軸99が回転運動をするため、第2の回転軸99に連結部101を介して連結されているフィーダ54は、振動回転することとなる。
【0070】
また、他の振動回転駆動源について図5を用いて説明する。図5に示すように、振動回転駆動源駆動源は、モータ102に取り付けられた回転軸104と、一端が振動軸104に接続され他端の底板107に超音波振動子108が固定されているモータ収納箱106と、モータ収納箱106の底板107に連結された振動軸109と、振動軸99と軸部14および/またはフィーダ54とを連結する連結部111とを有する。ここで、上記超音波振動子108は、ピエゾ素子を用いてもよい。
【0071】
次に、図5に示す振動回転駆動源の動作について説明する。
【0072】
モータ102を駆動させることにより、回転軸104が回転し、この回転軸104の回転によりモータ収納箱106が回転する。一方、モータ収納箱106の底板97に固定された超音波振動子108を加振させて、モータ収納箱106の底板107に接続されている振動軸109を振動させる。これにより、モータ100と超音波振動子108を同時に駆動させることにより、モータ収納箱106が回転運動をし、モータ収納箱96に接続されている振動軸109が振動運動をするため、振動軸109に連結部111を介して連結されているフィーダ54は、振動回転することとなる。
【0073】
上記構成の振動回転駆動源53を用いることにより、粉体をほとんど滞留させることなく、粉体導入装置55から導入管55にに送り出すことができ、仮に粉体導入装置57の導入口付近で導入する粉体と液体とが接触しフィーダ54に付着したとしても、振動回転駆動源53によりフィーダ付着物をフィーダ54より剥離させることができる。従って、のちの撹拌混合時に二次凝集を発生させることが抑制でき、円滑な撹拌操作を行うことができる。
【0074】
次に、本実施の形態の撹拌混合装置110の動作について説明する。
【0075】
振動回転駆動源53を駆動させフィーダ54を用いて、粉体導入装置57から粉体を導入管55に押出す。一方、液体78を液体貯留槽76からポンプ74、バルブ72を介して液体導入口22から導入管55内に導入する。
【0076】
ここで、粉体と液体とは接触して凝集体からなる混合物が形成され、この混合物は押出管60内に導入される。押出管60では、モータ63が駆動することにより、ロータ61が回転駆動して混合物をケーシング12との接続方向に押し出す。
【0077】
押し出された混合物は、ケーシング12の上流側の撹拌室200aに導入され、さらに、駆動源20の駆動による撹拌体15の振動撹拌により、順次撹拌室200b,200cに送られながら撹拌混合され、凝集物から均質流体となる。
【0078】
そして、撹拌混合装置110の撹拌室200a,200b,200cに順次送り出された撹拌処理物は、フィルタ70により濾過され、濾過された処理物は、処理済み室82に貯留され、随時または連続で手動または自動によりバルブ66を閉から開にして処理物取出口62より取り出す。一方、未処理物取出口64に設けられた圧力計80が所定圧以上になると手動または自動でバルブ68を閉から開にして、未処理物を排出する。
【0079】
また、ケーシング12内の撹拌室200aのスチーム導入口88および/またはスチーム導入口85よりスチームを導入して、ケーシング12の内部に導入された混合物を、スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して前記混合物を加熱および/または融解および/または殺菌させることができる。また、スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して、前記混合物の粘度または反応を調節することができる。
【0080】
また、上記押出管60は、モーノポンプを用いたがこれに限るものではなく、例えば、市販の渦巻きポンプ、スラリーポンプ、チューブポンプを用いることができる。
【0081】
また、他の実施態様として、ケーシング12内の撹拌室200aのスチーム導入口88を、液体導入口として用いた場合、液体導入口から粉体と混合させるための溶媒(例えば、水やアルコール類)を導入し、ケーシング12の内部に導入された混合物と混合撹拌することによって、混合物の粘度や混合物の希釈率を調整することができる。また、スチーム導入口88を液体導入口として用い、この液体導入口から、粉体と反応させるための溶剤を導入した場合、ケーシング12の内部に導入された混合物と上記溶剤とが撹拌され、反応が促進される。なお、上述したように、上記混合用の溶媒は、図1の導入管55の液体導入口22より供給される溶媒と同じ溶媒であっても、異なる溶媒であってもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、図1においてケーシング12の上部から下部に向かって、混合物を搬送したがこれに限るものではなく、図1において、ケーシングの構造を上限反転させ下部から上部に混合物を搬送してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の撹拌混合装置よれば、二次凝集を起こしやすい混合や、撹拌されたものが高粘度となるものなどを、均一に、また円滑に撹拌混合を行うことが要求される用途に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の撹拌混合装置の構成の例を示す断面概要図である。
【図2】図1に示す撹拌混合装置に接続される粉体導入装置のフィーダの駆動源の構成を示す断面概要図である。
【図3】図1に示す撹拌混合装置に接続される粉体導入装置のフィーダの他の駆動源の構成を示す断面概要図である。
【図4】図1に示す撹拌混合装置に接続される粉体導入装置のフィーダの他の駆動源の構成を示す断面概要図である。
【図5】図1に示す撹拌混合装置に接続される粉体導入装置のフィーダの他の駆動源の構成を示す断面概要図である。
【図6】図1に示す撹拌混合装置の粉体と液体と導入における他の実施の形態の構成を説明する断面概略図である。
【図7】図6のA−A’線に沿った断面図である。
【図8】図6に示す導入管の構成におけるフィーダの他の構成を説明する概略図である。
【図9】図6に示す導入管の構成におけるフィーダの他の構成を説明する概略図である。
【図10】図6に示す撹拌混合装置の導入管の他の構成を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0085】
11 スクリュー羽根、12 ケーシング、13 オーバーフロー口、14 軸部、15 撹拌体、16 撹拌羽根、17,24 粉体導入口、18 仕切り板、20 駆動源、22 液体導入口、30 ギアユニット、32 第2のギア、34 第1のギア、36 モータ、40 ピストン部、42 ラジアルベアリング、44 スラストベアリング、48 第2の軸部、48a,48b 平板、50 偏心カム、51 切断ブレード、52 粉体送り出し用スクリュー羽根、53 振動回転駆動源、54 フィーダ、55 導入管、57 粉体導入装置、60 押出管、61 ロータ、62 処理物取出口、63 モータ、64 未処理物取出口、66,68,72 バルブ、70 フィルタ、74 ポンプ、76 液体貯留槽、78 液体、80 圧力計、82 処理済み室、110 撹拌混合装置、200a,200b,200c 撹拌室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体導入口と、前記粉体導入口の近傍下方に設けられた少なくとも1つ以上の液体導入口と、粉体及び粉体と液体の混合物を搬送するためのフィーダと、前記フィーダを振動回転させる振動回転駆動源と、を備えた導入管を有することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌混合装置において、
前記フィーダには、少なくとも前記液体導入口の位置又は前記液体導入口の位置より下方に粉体送り出し用スクリュー羽根が設けられ、
前記粉体送り出し用スクリュー羽根は、その側端部が前記導入管の内壁近傍に達する大きさを有することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撹拌混合装置において、
前記フィーダには、前記粉体と液体との混合物を切断する切断ブレードが少なくとも1つ以上設けられていることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
さらに、前記粉体導入口の下方であって前記液体導入口より上方には、オーバーフロー口が設けられていることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撹拌混合装置であって、
さらに、前記導入管の一端部に接続され、前記導入管より導入された粉体と液体との混合物を一方端部に押し出す押出管と、
前記押出管に接続され、押し出された前記混合物からなる流体を内部に流通される流通路が設けられたケーシングと、
前記ケーシング内に配置され、振動源に接続された軸部と該軸部の周囲に取り付けられた撹拌羽根とからなる撹拌体と、
を有することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撹拌混合装置において、
前記フィーダは、更に第1の軸部と第2の軸部とからなり、
前記振動回転駆動源は、前記第1の軸部を回転させる回転源と、第2の軸部を振動させる振動源とからなることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の撹拌混合装置において、
前記ケーシング内部には、前記流通路を仕切り板によって仕切った1つ以上の撹拌室が設けられていることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
更に、前記ケーシングには、取出口が設けられ、
前記取出口近傍には、ケーシング内容物を濾過するフィルタが設けられていることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
前記ケーシングの内部にスチームを導入する1つ以上のスチーム導入口と、を有することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
前記ケーシングの内部に導入された混合物を、スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して前記混合物を加熱および/または融解および/または殺菌させることを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項11】
請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
スチーム量および/またはスチームの圧力を調整して、前記混合物の粘度または反応を調節することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項12】
請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の撹拌混合装置において、
さらに、前記ケーシングの内部に液体を導入する1つ以上の液体導入口を有することを特徴とする撹拌混合装置。
【請求項13】
請求項12に記載の撹拌混合装置において、
導入される液体の量を調整して、前記混合物の粘度または反応を調節することを特徴とする撹拌混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−187756(P2006−187756A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219673(P2005−219673)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000251211)冷化工業株式会社 (20)
【Fターム(参考)】