説明

擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器

【課題】緑茶、荒挽き茶、粉末顆粒茶を湯で煎じた後の茶を擂り潰して、繰返し新鮮な茶湯を得るようにした擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器を提供する。
【解決手段】内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃2,…を形成した容器1の上面開口部に、着脱自在に蓋3を被せ、該蓋の中心部と前記容器の底面中心部とで軸支された回転軸6に、擂潰し羽根6a,…を、前記容器1の内部に形成された多数の凸刃2,…に近接させて設けた構成にして、前記多数の凸刃2,…と前記擂潰し羽根6a,…との間で煎じた茶を擂り潰し、茶の内部に潜在する養分を露出させて湯を投入し、新鮮な茶湯が得られるようにした擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑茶、荒挽き茶、粉末顆粒茶等の茶を湯で煎じた後に擂り潰すことにより、繰返し新鮮な茶湯を得ることのできる擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
湯で煎じた茶(緑茶、荒挽き茶、粉末顆粒茶等)は、繰返し煎じると、茶としての味や香り、及び色素等の新鮮さが段々と薄れ、茶殻としてそのまま捨てられているのが一般的である。繰返し煎じられた茶殻でも、その内部には各種ビタミン、カリウム、カルシウム、リン、カフェイン、鉄分、抗酸化カテキン等の養分並びに食物繊維等が濃厚に含まれており、繰返し擂り潰して新鮮味を出し、飲料することにより健康飲料としての利用価値が見出され、擂り潰したものを各種食材に添加することにより健康食品としての利用価値が見出される。
【0003】
従来、茶葉等を擂り潰して、粉砕した茶湯を注ぐことのできる容器(急須)は、種々提示され、周知されている。例えば、特許文献1には、適当な長さの山形形状である多数の凸部が本体内部の底部上面からその周辺立上がり部に延長させて形成され、お茶を飲めることは無論、各種の葉茶、更に種子、果実等を粉末にして飲食することのできる急須が開示されている。
【0004】
又、特許文献2には、茶(緑茶)等の葉,胡椒,ごま粒等を粉砕して挽くため、ハンドルレバーにより回動する下部摺り合わせ部材の上部に、上部摺り合わせ部材をケース本体に固定して設け、前記下部摺り合わせ部材の上面と上部摺り合わせ部材の下面にそれぞれ歯を設けると共に、下部摺り合わせ部材の上面と上部摺り合わせ部材の下面の歯と外縁との間にそれぞれ微小凹部を設けて成る挽き器が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−10111号公報
【特許文献2】特開2005−118−116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の茶葉等を擂り潰して粉砕するようにした容器(急須)は、摺り粉木等で各種の葉茶,更には種子,果実等を擂り潰して粉末にするようにしたものであり、煎じた茶をそのまま容器内で擂り潰して繰返し新鮮な茶湯を注いで飲用できるようにしたものではなく、又特許文献2に記載されている挽き器は、お茶(緑茶)等の葉,胡椒,ごま粒等を丸みを帯びて粉砕し、挽くことを主目的とするものであり、煎じた後の茶を擂り潰して繰返し新鮮な茶湯を注ぎ、飲用するのに供するには供し難い。
よって本発明は、煎じた後の新鮮さが薄れた茶及び茶殻を捨てること無く繰返し擂り潰して新鮮な茶湯を得ることのできる擂り潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器を提供することを目的とすると共に、擂り潰したものが健康食品としても有用となり得るようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下に記載するような手段を講じて成る擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器の開発に至ったものであり、即ち、その解決するための手段は、内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成した容器の上面開口部に着脱自在に、蓋を被せ、該蓋の中心部と前記容器の中心部とで軸支された回転軸に、擂潰し羽根を、前記容器の内部に形成された多数の凸刃に近接させるようにして設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
前記内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成した容器は、網目フィルターを付けた注ぎ口を有する急須状の容器であって、該容器の底面中心部に軸受穴を設け、該軸受穴に、擂潰し羽根を設けた回転軸の下端部を着脱自在に嵌合させると共に、回転軸の上端部を蓋の中心部に軸支して回転可能に組立られていることを特徴とする。或いは、内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成し、外部へ透水させるフィルターを付設した容器の上面開口部に着脱自在に蓋を被せ、該蓋の中心部と前記容器の中心部とで軸支された回転軸に、複数の擂潰し羽根を前記容器の内部に形成された凸刃に近接させて設けて成るものを、やかん状容器の上面開口部に着脱自在に装着して構成されていることを特徴とする。
【0009】
前記擂潰し羽根を設けた回転軸が、下端は円錐状に尖らせ、上端部は容器の上面開口部に脱着自在に被せる蓋の中心部を貫通させて回転自在に軸支され、上端にハンドル等の回転手段が施されて一対に組立られていることを特徴とし、前記回転軸に設けられた擂潰し羽根は、フラットな帯板材により、容器の内部に形成された凸刃に近接するように形成されると共に、上方が開くように内側へ斜めに形成され、回転方向に開くように捩られた捩れ角度面を有する形状にして放射状に複数設けられていることを特徴とする。
【0010】
又、前記回転軸に設けられた擂潰し羽根は、螺旋状の擂潰し羽根に形成されて容器の内部に形成された多数の凸刃に近接するように設けたものであっても良く、擂潰し羽根の下端部が、プロペラ状に形成されていても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記手段にて記載するように、内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成した容器の上面開口部に、着脱自在に蓋を被せ、該蓋の中心部と前記容器の中心部とで軸支された回転軸に、擂潰し羽根を前記容器に形成された凸刃に近接させて設けた構成であり、回転軸を回すことにより容器に形成された凸刃と回転軸に設けた擂潰し羽根との間で煎じた後の茶は擂り潰されて、茶の内部に潜在している養分が露出し、新鮮さが増すから、擂り潰しを繰返しながら湯を投入することにより、繰返し新鮮な茶湯が得られると共に、擂り潰されたものは健康食品として利用できる効果がある。
【0012】
又、着脱自在に蓋を被せて擂り潰すから、急須ややかん等と同様にして茶湯を注ぎやすく、且つ容器内の湯熱が冷めることのない新鮮な茶湯を得るのに効果を奏する。或いは冷水等を注いで利用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための最良の形態を、以下実施例を示す図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、急須状の容器の実施形態を示す本発明に係る実施例図であり、図1の(A)はその側断面図、(B)は(A)のA−A断面図である。図示するように容器1の内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃2,…が形成され、容器1の上面開口部には蓋3が係止爪3a,3a,…により着脱自在に係止されて被せられており、茶湯の注ぎ口4には網目フィルター5が付設されている。
【0015】
容器1の底面中心部に設けられた軸受穴には、回転軸6の下端部が着脱自在に嵌合され、回転軸6の上端部は、蓋3の中心部を貫通させて軸受7により軸支されている。このように、容器1の底面中心部と蓋3の中心部で軸支された回転軸6には、前記容器1の内部に形成された多数の凸刃2,…に近接させて擂潰し羽根6a,…が設けられている。
【0016】
複数の擂潰し羽根を放射状に設けた回転軸6は、下端を円錐状に尖らせて容器1の底面中心部に設けられた軸受穴に嵌入しやすくすると共に、上端部は蓋3の中心部を貫通させて手回しハンドル8を取付け、手回しハンドル8を回すことにより擂潰し羽根6a,…を回転させるような回転手段が施されて、図2に示すように一対に組立てられた構成となっている。手回しハンドル8の代りに小型モーター等の回転手段を施すこともできる。
【0017】
擂潰し羽根6a,…は、図2の(a)に示すように回転軸6に放射状に複数設けもので、例えばステンレス鋼板のフラットな帯板材により、容器1の内部に形成された凸刃2,…に近接するように形成されると共に、上方が開くように内側へ斜めに形成され、回転方向に開くように捩られた捩れ角度面6b,…を有する形状に構成され、複数の擂潰し羽根の少なくとも1箇所は、注ぎ口付近に溜まった茶及び茶殻を掻き落とすべく上方を内側へ斜めにしないで形成されるのが望ましい。或いは擂潰し羽根を、図2の(b)に示すように螺旋状の擂潰し羽根にして容器1の内部に形成された多数の凸刃に近接するようにして設けても良く、図2の(c)に示すように擂潰し羽根の下端部が、プロペラ6C状に形成されていても良い。
【0018】
蓋3は、フラットな円板状の板材の外周に弾力性のある複数の係止爪3a,…を設けて、容器1の上面の開口外周縁に着脱自在に係止させて装着するようにしてあるが、陶器製の蓋のように弾力性のある係止爪を設けるのが困難な場合は、被せた蓋の外周縁を手で押さえて手回しハンドルを回すようにしても良い。
【0019】
なお、本実施例では、容器1の内部に形成された凸刃2は、波状の山形に形成された擂鉢状であるが、図3に示すような円錐又は角錐状の多数の凸刃2a,…により形成された擂鉢状のものでも良い。
【0020】
以上のようにして、図1に示す容器1内に緑茶、荒挽き茶、粉末顆粒緑茶等の茶を入れて煎じた後、手回しハンドル8を回すことにより、容器1内の茶は、容器1の内部に形成された多数の凸刃2,…と、該凸刃に近接させて設けられた擂潰し羽根6a,…との間で擂り潰されて、茶の内部に潜在した養分が露出して、容器内に投入された湯は新鮮な茶湯となり、網目フイルター5で濾されて注ぎ口4から注がれる。
【実施例2】
【0021】
図4は、やかん状容器の実施形態を示す側断面図である。図示するように、内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃2b,…が形成され、外部へ透水させる網目フイルター5A,…を付設した容器1Aの上面開口部に、着脱自在に蓋3Aを被せ、該蓋の中心部と前記容器1A内の底面中心部とで軸支された回転軸6Aに、擂潰し羽根6c,…を、前記容器1Aの内部に形成された多数の凸刃2b,…に近接させて設けて成るもの(外観は図5に示すようなもの)を、やかん状容器1Bの上面開口部に着脱自在に装着された構成となっている。容器1Aの下端部は、3〜4箇所を支持脚1a,…で支持してある。
【0022】
擂潰し羽根を設けた回転軸6Aは、下端を円錐状に尖らせて、容器1Aの底面中心部に設けられた軸受穴に嵌入しやすくすると共に、上端部は蓋3Aの中心部を貫通させて手回しハンドル8Aを回すことにより擂潰し羽根6c,…を回転させるような回転手段が施されて、図6に示すように一対に組立てられた構成となっている。手回しハンドル8Aの代りに、モーター等の回転手段を施すこともできる。
【0023】
擂潰し羽根6c,…は、図6に示すように回転軸6Aに放射状に複数設けられたもので、例えばステンレス鋼板のフラットな帯板材により、容器1Aの内部に形成された凸刃2b,…に近接するように形成されると共に、上方が開くように内側へ斜めに形成され、回転方向に開くように捩られた進み角度面6d,…を有する形状にして構成されている。或いは前記図2の(b),(c)に示すように擂潰し羽根が、螺旋状の擂潰し羽根に形成されたり、擂潰し羽根の下端部が、プロペラ状に形成されていても良い。
【0024】
容器1Aは、テーパー円筒状に形成され、内部の底面と底面より立上がった壁面に形成される多数の凸刃2b,…は、金属板で形成する場合は外側から内側へ先の尖ったポンチ等で突き出すことにより、容器の内側に多数の凸刃を形成することができる。
【0025】
蓋3Aは、フラットな円板状板の外周に、弾力性をもたせた係止爪3b,…を設けて、容器1Aの上面開口縁部とやかん状容器1Bの上面開口縁部とに着脱自在に係止させて装着できるようにしてある。或いは、係止爪3b,…がなくても蓋3Aの外周縁を押さえて手回しハンドル8Aを回すようにしても良い。
【0026】
以上のようにして、図4に示す容器1A内に緑茶、荒挽き茶、粉末顆粒茶等の茶を入れて煎じた後、手回しハンドル8Aをまわすと、容器1内の茶は、容器1A内に形成された多数の凸刃2b,…と、該凸刃に近接させて設けられた擂潰し羽根6c,…との間で擂り潰されて、茶の内部に潜在した養分が露出し、容器内に投入される湯は、新鮮な茶湯となって網目フイルター5A,…で濾されると共にやかん状容器1B内に溜まり、注ぎ口4Aより注がれる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1を示す図面で、(A)はその側断面図、(B)は(A)のA−A断面図である。
【図2】擂潰し羽根の実施形態を示す図面で、(a)は回転軸に複数の擂潰し羽根を放射状に設けて一対に組立てた実施形態の斜視図、(b)は螺旋状の擂潰し羽根の実施形態を示す斜視図、(c)は擂潰し羽根の下端部をプロペラ状に形成した実施形態の要部斜視図である。
【図3】容器内に形成する凸刃の他の実施形態を示す要部断面の斜視図である。
【図4】本考案の実施例2を示す側断面図である。
【図5】回転軸の上端部を貫通させて軸支し、手回しハンドルを設けた蓋を、テーパー状の容器に着脱自在にして装着した外観斜視図である。
【図6】回転軸に複数の擂潰し羽根を放射状に設けて一対に組立てた実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1,1A 容器
1a 支持脚
1B やかん状容器
2,2a,2b 凸刃
3,3A 蓋
3a,3b 係止爪
4,4A 注ぎ口
5,5A 網目フイルター
6,6A 回転軸
6B,6a,6c 擂潰し羽根
6b,6d 捩れ角度面
6C プロペラ
7,7A 軸受
8,8A 手回しハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成した容器の上面開口部に、着脱自在に蓋を被せ、該蓋の中心部と前記容器の中心部とで軸支された回転軸に、擂潰し羽根が、前記容器の内部に形成された凸刃に近接するようにして設けられていることを特徴とする擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項2】
内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成した容器が、網目フィルターを付けた注ぎ口を有する急須状の容器であって、該容器の底面中心部に軸受穴を設け、該軸受穴に、擂潰し羽根を設けた回転軸の下端部を着脱自在に嵌合させると共に、回転軸の上端部を蓋の中心部に軸支して、回転可能に組立られていることを特徴とする請求項1記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項3】
内部の底面と底面より立上がった壁面に多数の凸刃を形成し、外部へ透水させる網目フィルターを付設した容器の上面開口部に、着脱自在に蓋を被せ、該蓋の中心部と前記容器の中心部とで軸支された回転軸に、擂潰し羽根を前記容器の内部に形成された凸刃に近接させて設けて成るものを、やかん状容器の上面開口部に着脱自在に装着して構成されていることを特徴とする請求項1記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項4】
擂潰し羽根を設けた回転軸が、下端は円錐状に尖らせ、上端部は容器の上面開口部に着脱自在に被せる蓋の中心部を貫通させて回転自在に軸支され、上端にハンドル等の回転手段が施されて一対に組立てられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項5】
回転軸に設けられた擂潰し羽根が、フラットな帯板材により、容器の内部に形成された凸刃に近接するように形成されると共に、上方が開くように内側へ斜めに形成され、回転方向に開くように捩られた捩れ角度面を有する形状にして放射状に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項6】
回転軸に設けられた擂潰し羽根が、螺旋状の擂潰し羽根に形成されて容器の内部に形成された凸刃に近接するように設けられていることを特徴をする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。
【請求項7】
擂潰し羽根の下端部が、プロペラ状に形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の擂潰し羽根を備えた茶湯注ぎ容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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