説明

操作メニューの作成システム、方法及びプログラム

【課題】現在の端末装置のメニュー構造と近い構造のメニューに、新しい機種の端末装置のメニュー構造をカスタマイズするメニュー作成システムを提供する。
【解決手段】メニュー作成システムは、現在の端末装置10の標準メニュー中に存在し、カスタムメニュー中に存在しない機能のリストを作成する削除機能リスト作成部23と、現在の端末装置10の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を算出する差分値算出部24と、新しい機種の端末装置30の標準メニューの各機能に、削除機能リスト及び差分値を適用して、新しい機種の標準メニューの各機能を並び替える削除機能リスト適用部32及び差分値適用部33と、最終的な配置を決定するメニュー再構成部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器などにおける操作メニューの作成システム、方法及びプログラムに関し、更に詳しくは、カスタマイズされた操作メニューを作成する機能を有する操作メニューの作成システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機などの携帯端末機器は多機能化し、ますます複雑化している。多くの機能を使いこなすために、利用者によるメニューカスタマイズの機能を有する携帯端末機器も知られている。カスタマイズされた操作メニュー(カスタムメニュー)を使っているときに問題となるのは、利用者が端末機器の機種変更を行なった場合である。つまり、現在の機種で今まで利用していたカスタムメニューを、新しい機種でそのまま利用しようとした場合に問題となる。
【0003】
新たに使用する端末機器の機種が現在使用中の端末機器の機種と同じ操作体系のメニューを持った機種間であれば、カスタムメニューも移行できる場合がある。しかし、異なるキャリアや、メーカー、或いは、基本ソフトを用いる機種間となると、殆どの場合には、人間が介在して手作業でカスタムメニューを作り直さなければならない。
【0004】
特許文献1には、異なる機種に移行した際に、新しい機種で操作メニューを変更する操作メニュー変更装置を記載している。この公報の装置では、ユーザが現在の機種で利用頻度が高かった操作メニュー構造を新しい機種に適用する。この目的のため、ユーザが現在の機種を用いているときに、ユーザが操作メニューで実際に操作した項目の操作回数を予め記録しておき、そのメニュー構造における機能毎のユーザの習熟度を算出する。機種を変更する際には、その習熟度と新しい機種における機能毎の難易度とを用いて新機種における機能毎の習熟度を推定し、新しい機種におけるメニュー構造を決定する。特許文献1には、この手法は携帯端末機に利用可能である旨が示されている。
【0005】
特許文献2には、カメラにおける操作メニューのカスタマイズ方法が記載されている。この公報に記載の方法では、サーバが、現在の機種のメニュー構造と新しい機種のメニュー構造とを比較し、その比較結果に基づいて、その差分情報を含むメニュー情報を生成する。次いで、その差分情報を新しい機種のメニュー構造に適用してカスタマイズされたメニュー構造を決定する。このとき、同一のメニュー機能が存在するか否かが判定され、同一のメニュー機能が存在する場合には、現在の機種のメニュー機能がそのまま引き継がれる。現在の機種に存在し新しい機種に存在しないメニュー機能は新しい機種ではサポートされていないため破棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−331063号公報
【特許文献2】特開2007−018351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の手法では、ユーザの習熟度と新しい機種のメニュー構造における難易度とにより、新しい機種のメニュー構造をカスタマイズする。このため、新しい機種のメニュー構造に近い構造のメニューが得られ、現在の機種におけるメニュー構造とは必ずしも類似しないメニュー構造が得られる可能性が高い。つまり、ユーザが使い慣れたメニュー構造は必ずしも得られない。
【0008】
特許文献2の手法では、現在の機種のメニュー構造と新しい機種のメニュー構造との差分データを利用しているものの、現在の機種のメニュー構造と近い構造のメニュー構造を得ることについては記載がない。
【0009】
本発明は、上記に鑑み、現在の機種のメニュー構造と近い構造のメニューに、新しい機種のメニュー構造をカスタマイズする操作メニューの作成システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する削除機能リスト作成部と、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する差分値算出部と、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する削除機能リスト適用部と、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する差分値適用部と、前記差分値適用部で決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するメニュー再構成部と、を備えるメニュー作成システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、コンピュータが、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成するステップと、コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出するステップと、コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成するステップと、コンピュータが、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定するステップと、コンピュータが、前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するステップと、を有するメニュー作成方法を提供する。
【0012】
更に、本発明は、コンピュータに、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する処理と、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する処理と、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する処理と、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する処理と、前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定する処理と、を実行させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のメニュー作成システム、方法、及び、プログラムは、ユーザが希望するカスタムメニューに類似したメニューを第2の端末装置上で構築することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るメニュー作成システムを用いてメニューを作成する様子を示すブロック図。
【図2】図1のメニュー作成システムの一部を示すブロック図。
【図3】類似機能リストを例示する表。
【図4】図1のメニュー作成システムの処理を示すフローチャート。
【図5】第1の携帯端末の標準メニューを各機能の基準値と共に示す線図。
【図6】第1の携帯端末におけるメニューの各機能の差分値の算出を例示する線図。
【図7】第2の携帯端末における機能削除リストの適用を例示する線図。
【図8】第2の携帯端末における差分値適用を例示する線図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るメニュー作成システムを用いてメニューを作成する様子を示すブロック図。
【図10】図9のメニュー作成システムにおける処理を示すフローチャート。
【図11】類似機能リストを作成する場合にタグを利用する様子を示す線図。
【図12】N分木ツリー構造における各要素の順位を示す基準値の付け方のルールを示す線図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の概要を説明する。本発明のメニュー作成システムは、その最小構成において、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する削除機能リスト作成部と、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する差分値算出部と、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する削除機能リスト適用部と、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する差分値適用部と、前記差分値適用部で決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するメニュー再構成部とを備える。
【0016】
また、本発明のメニュー作成方法は、その最小構成において、コンピュータが、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成するステップと、コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出するステップと、コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成するステップと、コンピュータが、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定するステップと、コンピュータが、前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するステップとを有する。
【0017】
更に、本発明のプログラムは、その最小構成において、コンピュータに、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する処理と、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する処理と、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する処理と、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する処理と、前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定する処理とを実行させる。
【0018】
上記メニュー作成システム、方法、及び、プログラムは、カスタムメニュー中で各機能が存在する順位に近い順位に、対応する機能を第2の端末装置の操作メニュー中に配置できるので、カスタムメニューに近似した操作メニューが第2の端末装置上で得られる効果がある。
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る操作メニューの作成システムを構成するサーバにおける操作メニューの作成の様子を示すブロック図である。サーバ20は、現在の機種である携帯端末(端末装置)10においてカスタマイズされた操作メニューを、新しい機種である携帯端末30に、類似した状態で引き継ぐために、カスタマイズされた操作メニュー(以下、カスタムメニューと呼ぶ)を作成するために用いられる。
【0020】
携帯端末10は、メニュー送信部11を有する。メニュー送信部11は、携帯端末10で現在使用されているカスタムメニューのツリーを取得し、サーバ20へ送信する。サーバ20は、メニュー受信部21、類似機能データベース(DB)22、削除機能リスト作成部23、差分値算出部24、及び、メニューデータ送信部25を有する。
【0021】
メニュー受信部21は、携帯端末10からメニューツリーを受信する。類似機能DB22は、少なくとも現在の機種の携帯端末10と新しい機種の携帯端末30のそれぞれの類似する機能の対応表を保存している。
【0022】
削除機能リスト作成部23は、メニュー受信部21を介して受信した第1の携帯端末10のカスタムメニューのツリーと、予め保存されている携帯端末10の標準メニューのツリーとを比較し、カスタムメニュー内で削除されている機能のリストを作成する。差分値算出部24は、メニュー受信部21で受信したメニューツリーと、予め保存されていた携帯端末10の標準メニューとを比較し、配置(順位)が変更された機能を特定し、その機能の順位を示す数値(基準値)の差分値を算出する。メニューデータ送信部25は、類似機能リストと、削除機能リストと、差分値とを新しい機種である携帯端末30へ送信する。
【0023】
携帯端末30は、メニューデータ受信部31、削除機能リスト適用部32、差分値適用部33、メニュー再構成部34、及び、フィードバック部35を有する。メニューデータ受信部31は、類似機能リストと、削除機能リストと、差分値とをサーバ20から受け取る。削除機能リスト適用部32は、メニューデータ受信部31が受け取った類似機能リスト及び削除機能リストを元に、第2の携帯端末30の標準メニューに削除機能リストを適用して、第1のメニューを作成する。差分値適用部33は、第1のメニューの各機能の標準メニューにおける順位の基準値と差分値とから第1のメニューの各機能の基準値を算出する。メニュー再構成部34は、差分値適用部33で算出された第1のメニュー内の各機能の基準値に基づいて各機能を再配置することで、携帯端末10で使用していたメニューツリーに類似したメニューを再構成する。フィードバック部35は、必要に応じてサーバ20へ設定結果をフィードバックする。このフィードバックにより、例えばユーザによって類似機能の対応付けが変更されたなどの場合に、類似機能DB22にその変更を反映させることが出来る。
【0024】
図2は、図1のメニュー作成処理における双方の携帯端末10、30におけるメニューや機能の例を示している。携帯端末10は、標準メニュー(初期メニュー)と現在使用中のカスタムメニューとを保存している。携帯端末30は初期メニューを保存している。類似機能DB22には、類似機能リスト作成部22aが付属しており、類似機能リスト作成部22aは、予め受信した各機種の標準メニューから類似機能リストを作成し、これを類似機能リストとして類似機能DB22内に保存している。図2には、電話帳、連絡先、及び、住所録が互いに類似する機能である旨と、メール、MMS、及び、SMSが互いに類似する機能である旨とが示されている。また、各端末で採用可能なメニューの階層構造の例が示されている。図3は、類似機能DB22内に保存された類似機能リストを例示している。この例では、例えば、機種Aは携帯端末10に相当し、機種Bは携帯端末30に相当する。
【0025】
図4は、図1のメニュー作成処理に際して各装置10、20、30における処理を示すフローチャートである。同図に示すように、サーバ20は、予め携帯端末10や携帯端末30から初期メニュー(標準メニュー)を受信し、類似機能リスト作成部22aで類似機能リストを作成しこれを類似機能DB22内に保存している (ステップS11)。機種変更を行なうにあたって、携帯端末10はサーバ20へ現在使用中のメニューツリーを送信する(ステップS12)。サーバ20は、削除機能リスト作成部23を起動して、受信したメニューツリーと、新機種の初期メニューと、類似機能リストとから、削除機能リストを作成し(ステップS13)、次いで、差分値を算出する(ステップS14)。その後、サーバ20は、作成した削除機能リスト及び差分値を新機種である携帯端末30に送信する(ステップS15)。
【0026】
新機種である携帯端末30は、ステップS21で、削除機能リスト及び差分値を受信すると、削除機能リスト適用部32を起動し、自身の標準メニューにまず削除機能リストを適用し、自身の標準メニューから削除リストに登録された機能を削除したメニュー(第1のメニュー)を作成する(ステップS22)。次いで、差分値適用部33を起動し、第1のメニューの各機能に差分値を適用する(ステップS23)。その後、得られた各機能の基準値に従って、階層化されたツリー構造中に各機能を再配置し、メニューを再構成する(ステップS24)。ユーザが、再構成されたメニューの内容を承諾すれば、そのまま第2の携帯端末30のカスタムメニューが決定する。フィードバック部35は、ユーザが得られたメニューを訂正すると、その訂正に従って再構成されたメニューを訂正すると共にデータのフィードバックを行なう(ステップS25)。フィードバックされるデータには、例えば、類似機能の訂正に関するデータが含まれる。
【0027】
次に、具体的な実施例を参照して、上記実施形態における処理を更に詳細に説明する。図12は、階層をDとするN分木のツリー構造において、各要素の順位を示す基準値の付け方の一般的な例を示す。各要素は、第0階層の要素が基準値”0”、第1階層の要素が基準値“1〜N^1”、第2階層の要素が基準値“N^1+1〜N^2”、…、第n階層の要素が基準値“N^(n−1)+1〜N^n”として表される。
【0028】
図5は、階層化された標準メニュー内の各機能について、図12に示した基準値の付け方に従って、各機能の基準値を算出した例を示している。この例では、標準メニュー及びカスタムメニューの双方のメニューツリーがN分木として表され、メニューツリー内のそれぞれの機能の基準値は、第0階層の機能がルートノードであり基準値”0”、第1階層の機能が基準値“1〜N^1”、第2階層の機能が基準値“N^1+1〜N^2”、…、第n階層の機能が基準値“N^(n−1)+1〜N^n”として表される。同図には、N=6の場合について、ツリー中の各機能の基準値が例示されている。機能が存在しない位置の基準値は空き番号とする。サーバ20は、図5の標準メニュー及びカスタムメニューから、削除機能リストを作成し、次いで、双方のメニュー中の各機能の基準値の差分値を算出する。
【0029】
N=6として、機能削除リストの作成方法、及び、差分値の算出方法を図6に示す。図6の左メニューは変更前の機種(第1の携帯端末10)の標準メニューを示し、右メニューは変更前の機種で使用されているカスタムメニューを示す。標準メニューには、カスタムメニュー中に存在しないため削除されるべき機能が示されている。つまり、第1階層の「メール」、第2階層の「メール」、「インターネット」及び「ツール」、第3階層の「アラーム」及び「予定表」が削除される旨が示されている。これら機能は削除機能リストに登録される。
【0030】
図6において、図示された差分値は、双方のメニューツリーにおいて、各機能のメニュー内の順位を示す数値である基準値を求め、次いで、カスタムメニューにおける各機能の基準値から標準メニューにおける各機能の基準値を差し引くことで求められている。変更がない機能は差分値が0である。例として、「カメラ」の差分値は、カスタムメニューにおける基準値“1”から標準メニューにおける基準値“95”を差し引いて、“−94”と求められる。同様に、「電卓」は差分値“−90”、「電話帳」は差分値“9”、「カレンダー」は差分値 “−77”と求められる。
【0031】
図7は、新機種の標準メニューに、図6における処理で求めた削除リストを適用する例が示されている。左図が新機種の標準メニュー、右図が削除機能リストを反映した後のメニュー(新カスタムメニュー)を示している。標準メニュー中の第2及び第3階層の「Eメール」は、削除リストの「メール」に対応しており、これに基づいて削除される。また、「インターネット(Internet)」及び「ツールBOX」が、削除リストの「インターネット」及び「ツール」に基づいて削除されるべき旨が示されている。なお、「ツールBOX」については、カスタムメニューに対応する機能又は類似機能が存在しないので、削除機能として登録されたものの、標準メニュー中に次の階層中に子の機能が存在するので、暫定的に残している。この暫定的に残した機能の子機能が最終的に残されると、その機能は最終のメニュー(新カスタムメニュー)中で復活する。
【0032】
図8は、差分値の適用方法を例示する。図8の左図のメニューは、図7の右図のメニューと同じであり、削除リスト反映後で且つ差分値適用前のメニューを、差分値適用の手法と共に示す。また、図8の右図は差分値適用後のメニューを示している。この差分値適用(基準値補正)では、削除機能リスト反映後の標準メニューの各機能の基準値と、入力された差分値との和から、各機能の基準値を求める。得られた基準値に基づいて各機能をメニューツリー内で再配置する。図6のメニュー中で、位置の変更も削除もなかった機能は、図8の右図でそのまま配置される。
【0033】
例えば、図8の左側メニューの「連絡先」は、図7の右側メニューの[連絡先」に対応しており、図7の差分値“9”が、図8の左側メニューの連絡先の基準値”3”に加えられ、新しい基準値が“12”となる。同様に「カメラ」、「カレンダー」、[電卓]の基準値がそれぞれ“−6”、“−2”、“9”と定まる。図8の右側メニューは、図8の左側メニューで差分値を適用した後の基準値に従って、各機能を再配列した例を示している。この再配置では、基準値に変更がないものはその位置を固定する、基準値が小さいものから空き位置に配列する、基準値が負であっても第0階層が固定されているので、第0階層の下に配列する、各機能は最終的に左詰めで配列する、などの原則を守って配置する。各機能は、その配列後に、基準値を修正する。なお、「メインメニュー」は、このメニュー構成では、特例条件として基準値2の位置に固定されているものとする。
【0034】
図8の右図の差分値補正後のメニューでは、削除された「ツールBOX」の子の機能が最終的に残ったため、「ツールBOX」を復活させている。差分値補正をした結果、「ツールBOX」の下の階層が全てなくなった場合には、この「ツールBOX」はそのまま削除される。本実施例では、変更前の機種のメニューツリーも変更後の機種のメニューツリーも共に、N=6のN分木であるため、第0階層は待ち受け画面で、第1階層は、例えば、メインメニューと左右のソフトキーに割り付けられるという制約がある。
【0035】
なお、変更前の機種の標準メニューと新機種の標準メニューとで、ツリー構造におけるNの値が異なる場合に、メニューの深さの再現を重視するときには、変更後のNの値を用いて差分値を補正することが好ましい。
【0036】
本実施例における類似機能リストは、図3で例示したように、それぞれの機種の間で類似した機能を対照させる対照表として示される。各機能は1対1で対応するとは限らず、1の機能に対して複数の機能であったり、対応する機能がなかったりする。類似機能リストは、タグ付けなど、コード番号を付して各機能を分類することによって行われる。図11に、機種が異なる場合の類似(同一)機能の例を示した。機種が異なると、同じタグで示される機能“mail”が、1箇所に示される機種と、複数個所に示される機種とがあるものの、これらは同一タグとして対応付けられる。
【0037】
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施形態に係るメニュー作成システムについて述べる。本メニュー作成システムでは、図9に示すように、図1の新機種の携帯端末30内に配置した削除機能リスト適用部32、差分値適用部33、及び、メニュー再構成部34に代えて、サーバ20内に、削除機能リスト適用部27、差分値適用部28、及び、メニュー再構成部29を備えている。また、サーバ20は、初期メニューDB26を予め備えている。サーバ20は、削除機能リストの適用と、差分値の適用と、メニューの再構成とを実行する。新機種の携帯端末30には、カスタマイズされた操作メニューのメニューツリーが送信される。
【0038】
削除機能リストの適用、差分値の適用、及び、メニューの再構成がサーバ20内で行なわれても、メニュー作成システムの基本的な処理自体は変わらない。但し、差分値適用などの処理がサーバ20で行われるため、それに関連する部分の処理が異なっている。図10に第2の実施形態における処理のフローチャートを示す。図4においては、移行先の携帯端末30で行なったステップS22〜ステップS24が、ステップS16〜ステップS18としてサーバ20内で実行される。本実施形態では、作成されたカスタムメニューのツリーが送信され(ステップS19)、移行先の携帯端末30で受信され(ステップS26)、携帯端末30のカスタムメニューが設定される(ステップS27)。本実施形態では、新機種の携帯端末30へは、カスタマイズされたメニューツリーのみを送信するので、サーバにおける類似機能リストや差分値算出方法などを、外部に公開しなくてもよいという利点がある。
【0039】
上記各実施形態のメニュー作成システムでは、メニューの階層と並び順の順位とに基づいて、カスタムメニューの各機能の基準値を定め、その基準値と標準メニューの各機能の基準値との差分値を算出する。次いで、移行先機種の標準メニューにその差分値を適用してカスタムメニューを作成する。ここで、対応する機能の抽出に際して、変換する機能につけられたタグと同一のタグを持つ機能を抽出し、類似機能リストを作成することで、名称が異なる同等の機能を抽出して並べ替えることが可能になる。
【0040】
上記各実施形態のメニュー作成システムでは、以下の効果が得られる。第1の効果は、ユーザが新しい機種に以前の機種のカスタムメニューを対応させる際に、新しいカスタムメニューを自分の手で最初から設定する必要がないことである。この理由は、標準メニューとの差分値を利用してメニューを再構成するため、移行先の機種が、異なるメニュー体系を持った機種であっても、類似の並び順を持ったメニューを生成することができるためである。
【0041】
第2の効果は、移行先の機種に新機能があっても、生成されたカスタムメニューでその機能を利用することができることである。この理由は、標準メニューとの差分値を利用してメニューを再構成するため、明示的に削除を行なった機能以外は、そのまま残されるためである。
【0042】
以上、本発明を特別に示し且つ例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明は、その実施形態及びその変形に限定されるものではない。当業者に明らかなように、本発明は、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更が可能である。例えば、本発明の端末装置は、必ずしも携帯端末に限定されない。
【符号の説明】
【0043】
10:端末装置
11: メニュー送信部
20:サーバ
21:メニュー受信部
22:類似機能DB
22a:類似機能リスト作成部
23:削除機能リスト作成部
24:差分値算出部
25:メニューデータ送信部
26:初期メニューDB
27:削除機能リスト適用部
28:差分値適用部
29:メニュー再構成部
30: 端末装置
31:メニューデータ受信部
32:削除機能リスト適用部
33:差分値適用部
34:メニュー再構成部
35:フィードバック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する削除機能リスト作成部と、
前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する差分値算出部と、
前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する削除機能リスト適用部と、
前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する差分値適用部と、
前記差分値適用部で決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するメニュー再構成部と、を備えるメニュー作成システム。
【請求項2】
前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付けて、前記類似機能リストを作成する類似機能リスト作成部を更に備える、請求項1に記載のメニュー作成システム。
【請求項3】
前記差分値算出部は、前記第2の端末装置の基準メニューが、Nを2以上の自然数として、N分木のツリー構造を有するとき、前記差分値の算出に先立って、前記第1の端末装置の基準メニュー及びカスタムメニューをN分木のツリー構造に変換する、請求項1又は2に記載のメニュー作成システム。
【請求項4】
前記差分値算出部は、前記第1及び第2の端末の基準メニュー及び前記カスタムメニューにおいて、第0階層の機能の基準値を0、第1階層の機能の基準値を1〜N^1、第2階層の機能の基準値をN^1+1〜N^2と表す請求項1〜3の何れか一に記載のメニュー作成システム。
【請求項5】
前記削除機能リスト作成部、差分値算出部、削除機能リスト適用部、差分値適用部、及び、メニュー再構成部をサーバ内に配置する、請求項1〜4の何れか一に記載のメニュー作成システム。
【請求項6】
前記削除機能リスト適用部、差分値適用部、及び、メニュー再構成部を前記第2の端末装置内に配設する、請求項1〜4の何れか一に記載のメニュー作成システム。
【請求項7】
コンピュータが、第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成するステップと、
コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出するステップと、
コンピュータが、前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成するステップと、
コンピュータが、前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定するステップと、
コンピュータが、前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定するステップと、を有するメニュー作成方法。
【請求項8】
前記差分値算出ステップでは、前記第2の端末装置の基準メニューが、Nを2以上の自然数として、N分木のツリー構造を有するとき、前記差分値の算出に先だって、前記第1の端末装置の基準メニュー及びカスタムメニューをN分木のツリー構造に変換する、請求項7に記載のメニュー作成方法。
【請求項9】
コンピュータに、
第1の端末装置の標準メニュー中に存在し、該標準メニューから作成されたカスタムメニュー中に存在しない機能のリストを削除機能リストとして作成する処理と、
前記第1の端末装置の標準メニューにおける各機能の並び順を数値化した基準値と、前記カスタムメニューにおける対応する機能の並び順を数値化した基準値との差分値を、前記カスタムメニュー中の各機能毎に算出する処理と、
前記第1の端末装置の標準メニュー中の各機能と、第2の端末装置の標準メニュー中の各機能とを対応付ける類似機能リストを参照し、前記第2の端末装置の標準メニューから前記削除機能リストに含まれる機能に対応する機能を削除した第1のメニューを作成する処理と、
前記第1のメニュー中に残された各機能の前記標準メニュー中の並び順を数値化した基準値と当該各機能に対応する差分値とから、当該各機能の前記第1のメニュー中の並び順を決定する処理と、
前記決定した並び順に基づいて前記第1のメニューの各機能を配置して第2の端末装置の操作メニューを決定する処理と、を実行させるプログラム。
【請求項10】
前記差分値の算出処理では、前記第2の端末装置の基準メニューが、Nを2以上の自然数として、N分木のツリー構造を有するとき、前記差分値の算出に先だって、前記第1の端末装置の基準メニュー及びカスタムメニューをN分木のツリー構造に変換する、請求項9に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−150384(P2011−150384A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8701(P2010−8701)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】