説明

操作入力装置

【課題】操作者の押し込み方向と異なる方向の力を操作者に付与することができる、操作入力装置の提供。
【解決手段】コイル2と、操作入力の作用によりコイル2の軸方向に変位するコア3と、コイル2の端面側に配置されたヨーク4とを備え、コア3がコイル2の軸方向に変位することにより変化するコイル2のインダクタンスを検出することによって、コア3の変位量を検出する操作入力装置であって、コア3の軸に対して非回転対称のギャップがコア3とヨーク4との間にあり、コイル2に電流を流すことにより、コア3とヨーク4との間に発生した磁気吸引力がコア3に作用する、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力を受ける操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作中の指に刺激を与える触覚刺激装置を設けた操作入力装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この操作入力装置は、可動駆動コイルに駆動電流を供給することによって、永久磁石の磁界を利用して、操作者の指に刺激を与える部材を動かすための駆動力を発生させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−4365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、操作者の押し込み方向(Z方向)と同じ方向にしか力を発生させることができない。
【0005】
そこで、本発明は、操作者の押し込み方向と異なる方向の力を操作者に付与することができる、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの端面側に配置されたヨークとを備え、
前記コアの軸について非回転対称のギャップが前記コアと前記ヨークとの間にあり、前記コイルに電流を流すことにより、前記コアと前記ヨークとの間に発生する磁気吸引力が前記コアに作用する、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作者の押し込み方向と異なる方向の力を操作者に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態である操作入力装置の原理を説明するための第1の側面図である。
【図2】本発明の実施形態である操作入力装置の原理を説明するための第2の側面図である。
【図3】非回転対称のギャップ4cを説明するための図である。
【図4】非回転対称のギャップ4dを説明するための図である。
【図5】非回転対称のギャップ4eを説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施例である操作入力装置100の分解斜視図である。
【図7】操作入力装置100の全体斜視図である。
【図8】操作入力装置100の上面図である。
【図9】操作入力装置100のA−A断面図である。
【図10】ヨークの構造図である。
【図11】操作入力装置100のB−B断面図である。
【図12】磁気吸引力FA1,FA2発生時のB−B断面図である。
【図13】操作入力装置200の分解斜視図である。
【図14】操作入力装置200の全体斜視図である。
【図15】操作入力装置200のYZ平面での断面図である。
【図16】磁気吸引力FA3発生時の操作入力装置200の断面図である。
【図17】操作入力装置300の分解斜視図である。
【図18】操作入力装置300の全体斜視図である。
【図19】初期位置状態での操作入力装置300のYZ平面での断面図である。
【図20】磁気吸引力FA5,FA6発生時の操作入力装置300の断面図である。
【図21】本発明の第4の実施例である操作入力装置400の分解斜視図である。
【図22】操作入力装置400の断面図である。
【図23】操作入力装置100A−100Dそれぞれに構成されるコイルのインダクタンスの変化を検出する検出回路例のブロック図である。
【図24】図23における駆動回路66と受信回路67のブロック図である。
【図25】図24の各点における波形を示した図である。
【図26】操作入力装置400を制御する制御方法で操作入力装置400を動作させたときの波形図である。
【図27】コイルに流れる電流の立ち上がり波形に基づいて押し下げ量Wを検出する方法を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置は、操作者の手指等による力を受けて、その受けた力に応じて変化する出力信号を出力する操作インターフェイスである。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0010】
例えば、家庭用又は携帯可能なゲーム機、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器において、そのような電子機器に備えられるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0011】
一方、通常、コイル(巻線)等のインダクタのインダクタンスLは、係数をK、透磁率をμ、コイルの巻数をn、断面積をS、磁路長をdとした場合、
L=KμnS/d
という関係式が成り立つ。この関係式から明らかなように、コイルの巻数や断面積といった形状に依存するパラメータを固定した場合、周囲の透磁率と磁路長の少なくともいずれかを変化させるかによって、インダクタンスが変化する。
【0012】
このインダクタンスの変化を利用する操作入力装置の実施例について以下説明する。この操作入力装置は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のZ軸方向側から入力される操作者の力を受け付けるものである。Z軸方向とは、Z軸に平行な方向のことをいう。操作入力装置は、コイルのインダクタンスの大きさを変化させる変位部材を備えている。操作入力装置は、そのインダクタンスの大きさに応じて変化する所定の信号に基づいて、操作者の操作入力により変位する変位部材の動きを検知することにより、その操作入力を検出することができる。
【0013】
また、本実施形態の操作入力装置は、コイルの周囲に磁界を発生させる電流をそのコイルに流す。このように発生した磁界によって、操作者の刺激となる動きを、操作者の力が作用しうる操作部に生じさせるものである。
【0014】
図1,図2は、本発明の実施形態である操作入力装置の原理を説明するための図であって、その構成の一部を断面図で表した側面図である。図1は、操作者に操作面6bの変位を感じさせるための磁界が生じていない初期状態を示しており、図2は、操作者に操作面6bの変位を感じさせるための磁界が生じている状態を示している。
【0015】
本実施形態の操作入力装置は、基板1と、コイル2と、変位部材6と、コア3と、ヨーク4と、支持部材5(5a,5b)と、検出部160と、制御部170とを備える。
【0016】
基板1は、コイル2が配置される配置面1aを有する基部である。基板1は、コイル2に対するヨークとして用いられてもよい。
【0017】
変位部材6は、基板1に対して操作者の力が入力されてくる側に設けられており、配置面1aに対向する対向面6aと操作者の力が作用しうる操作面6bとを有する。変位部材6は、操作者の力が操作面6bに作用することにより、対向面6aに設置されたコア3がコイル2に近づくことによって、コイル2のインダクタンスを変化させる。
【0018】
コア3は、操作入力の作用によりコイル2の内筒の延長領域(その内筒の内側を含む)上を変位する円柱状の磁性体である。コア3は、変位部材6の対向面6aの中央部に設けられている。ヨーク4は、コイル2の上端面側に配置されている板状の磁性体である。コア3とヨーク4との間には、コア3の中心軸Cについて非回転対称のギャップ4cが、中心軸Cに対して垂直な方向に設けられている(非回転対称のギャップ4cの詳細については、後述)。コイル2に電流を流すことにより、コア3とヨーク4との間に発生した磁気吸引力がコア3に作用する。
【0019】
支持部材5は、対向面6aと配置面1aとの間隔が変化するように変位部材6を変位可能に支持する。支持部材5は、例えば、対向面6aと配置面1aとの間隔が弾性的に変化するように変位部材6を支持する。より具体的には、支持部材5は、バネ部材でもよいし、ゴム部材でもよいし、スポンジ部材でもよいし、空気や油が充填されたシリンダーでもよい。例えば、バネ部材を採用することによって、軽量化や構造の単純化を図ることができ、ゴム部材を採用することによって、絶縁性を図ることができる。また、支持部材5は、粘性を有する粘性部材であってもよい。
【0020】
検出部160は、コイル2のインダクタンスの大きさに応じた波形をコイル2に発生させる第1のパルス信号をコイル2に供給する第1のパルス信号供給手段である。また、検出部160は、コイル2に第1のパルス信号を供給することによってコイル2のインダクタンスの大きさを検出する検出手段である。検出部160は、例えば、第1のパルス信号として、第1の駆動電圧信号をコイル2に印加する。検出部160は、第1の駆動電圧信号のコイル2への印加によってコイル2に流れるパルス電流の波形(第1のパルス電流波形)に基づいて、コイル2のインダクタンスの大きさを検出する。また、検出部160は、例えば、第1の駆動電圧信号のコイル2への印加によってコイル2の両端に発生するパルス電圧の波形(第1のパルス電圧波形)に基づいて、コイル2のインダクタンスの大きさを検出してもよい。コイル2のインダクタンスの大きさの検出結果に応じて、操作面6b上の作用点の位置や変位部材6の変位量を算出することができる。
【0021】
制御部170は、コア3をヨーク4に吸引する磁気吸引力を発生させる第2のパルス信号をコイル2に供給する第2のパルス信号供給手段である。制御部170は、例えば、第2のパルス信号として、第2の駆動電圧信号をコイル2に印加する。第2の駆動電圧信号のコイル2への印加によってコイル2にパルス電流(第2のパルス電流)が流れる。コイル2に第2のパルス電流が流れることにより、少なくともヨーク4及びコア3内を通る磁束(磁界H)が発生するとともに、コイル2及びコア3が全体として電磁石として機能するので、コア3とヨーク4の間に磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力によって、図2に示されるように、ギャップ4cが最も狭い方向に(図1,2の場合、右方に)、支持点5c〜5fを揺動支点として、コア3はヨーク4に引き寄せられる。図2に示す磁力線La,Lbは、磁界Hの向きである。コア3は変位部材6に固定されているので、コア3を横方向に移動させることにより、操作者が触れる操作部である変位部材6を強制的に同じ横方向に移動させることができる。
【0022】
変位部材6を横方向に移動させる吸引力が働くため、支持部材5による弾性反力と異なる方向のために打ち消されることなく変位部材6が移動し、変位部材6のエッジが指に当たることで小さい変位でも強いフィードバック力を操作者に感じさせることができる。
【0023】
制御部170は、第2のパルス信号の波高値の大きさを変えることにより磁気吸引力の大きさを変えることができるので、コア3及び変位部材6の移動量を変えることができる。また、制御部170は、第2のパルス信号の周期やデューティ比を変えることにより磁気吸引力を変動させることができるので、コア3及び変位部材6の振動状態を変えることができる。この振動は、二往復以上の振動に限らず、一往復の振動でもよい。
【0024】
図3は、非回転対称のギャップ4cを説明するための図である。図3は、図1,2のZ1方向から見た図である。ヨーク4の中央部に形成された長孔にコア3が貫通する。コア3の外周とヨーク4の長孔の内周とに挟まれた部分であるギャップ4cは、コア3の中心軸Cに対して回転対称ではない。コア3の上端部(紙面手前側)及び下端部(紙面奥側)はコイル2に電流が流れることにより電磁石の磁極として機能するので、コア3はヨーク4との間で吸引力が発生する。ギャップ4cのX(−)方向の距離dAは、ギャップ4cのX(+)方向の距離dBよりも長いため、磁気吸引力FのX(−)方向成分FAの大きさは、磁気吸引力FのX(+)方向成分FBの大きさよりも小さい。一方、ギャップ4cのY(−)方向の距離とギャップ4cのY(+)方向の距離は略等しいので、磁気吸引力FのY(−)方向成分FDの大きさは、磁気吸引力FのY(+)方向成分FCの大きさと略等しい。したがって、コア3は、X(+)方向に移動する。コア3の移動に伴い、上述の変位部材6も同じ方向に移動する。
【0025】
図4,5に、非回転対称のギャップの別形態を示す。図4の非回転対称のギャップ4dは、ヨーク4を左右に分割することによって形成される。距離dAは距離dBよりも長いため、コア3は右側に移動する。図5は、非回転対称のギャップ4eを示す。図5の場合、コア3の中心軸Cに対して非回転対称の孔が、ヨーク4の中央部に形成されている。図4同様、距離dAは距離dBよりも長いため、コア3は右側に移動する。
【0026】
続いて、本発明に係る操作入力装置及びその制御方法の具体例について説明する。
【0027】
図6は、本発明の第1の実施例である操作入力装置100の分解斜視図である。図7は、操作入力装置100の全体斜視図である。図8は、操作入力装置100の上面図である。シャフト30が、上述のコア3に相当する。コイル20が、上述のコイル2に相当する。
【0028】
コイル20に対するヨークは、コイル20の下側に配置された第1のヨーク部である下側ヨーク10とコイル20の上側に配置された第2のヨーク部である上側ヨーク40とが、コイル20の外側を迂回して接続されることにより構成される。下側ヨーク10の側面ヨーク11,12が、コイル20の外側に位置する迂回部である。
【0029】
下側ヨーク10の下面ヨーク13には、初期状態でのシャフト30の中心軸Cの方向に対して垂直な方向に切り欠かれて開口した切り欠き部15が形成されている。また、下面ヨーク13には、切り欠き部15の輪郭に沿って、初期状態でのシャフト30の中心軸に平行な方向に直立する壁部14が形成されている。
【0030】
図9は、操作入力装置100の図8に示すA−A断面図である。シャフト30は、シャフトホルダ51の内筒に嵌合して支持されている。シャフト30は、シャフトホルダ51の外側面に形成されたピン51a,51bによって、ボビン52の内壁52c(図6参照)に上下方向に凹部が形成されたガイド52a,52b(図6参照)に、接して支持されている。したがって、シャフト30は、上下方向及びピン51aと51bとを結ぶ直線を回転軸Dとする回転方向に自由度を有している。
【0031】
シャフトホルダ51は、スプリング50によって上下方向に移動可能に支えられている。シャフト30が下方向に押されることによりシャフトホルダ51が下方向に押し込まれても、シャフトホルダ51はスプリング50の反発力によってヨーク40の下面に当接するまで押し戻される。シャフト30が上下方向に動くことで、シャフト30の下端部32と下側ヨーク10の下面ヨーク13に形成された壁部14との対向面積Eが変化する。対向面積Eが変化すると、下側ヨーク10と上側ヨーク40とシャフト30とによって形成される磁気回路の磁気抵抗が変化するので、コイル20のインダクタンスが変化する。L1,L2は、磁気回路を通る磁界の方向を示す。コイル20のインダクタンスの大きさを検出することによって、コイル20のインダクタンスの大きさとシャフト30の上下方向の変位量との関係を予め計測した基準データに基づいて、シャフト30の上下方向の変位量を検知することができる。
【0032】
図の場合、シャフト30の下方への移動量が増加するにつれて、対向面積Eが増加することにより、磁気回路の磁気抵抗は減少する。シャフト30の下方への移動量の増加により、コイル20に電流を流した際にコイル20に鎖交する磁束の量が増えるため、コイル20のインダクタンスが増加する。
【0033】
また、シャフト30の下方への移動量が増加するにつれて、シャフト30の下端部32と壁部14とのエアギャップが変化することにより、コイル20のインダクタンスが増加方向又は減少方向に変化するように、シャフト30の壁部14との対向部分(又は、壁部14のシャフト30との対向部分)がテーパ状又は逆テーパ状に形成されていてもよい。
【0034】
図10は、ヨークの構造図である。下側ヨーク10に切り欠き部15が形成され上側ヨーク40に切り欠き部41が形成されているため、磁気回路が全体として中心軸Cに対してアンバランスになっている。つまり、切り欠き部15の切り欠き方向と切り欠き部41の切り欠き方向が互いに逆方向である。これにより、シャフト30の上端部31を上側ヨーク40に引き寄せるX(+)方向の磁気吸引力FA1が発生し、シャフト30の下端部32を下面ヨーク13の壁部14に引き寄せるX(−)方向の磁気吸引力FA2が発生する。
【0035】
図11は、操作入力装置100の図8に示すB−B断面図である。図12は、磁気吸引力FA1,FA2発生時のB−B断面図である。コイル20に電流を流すと、シャフト30の上端部31が上側ヨーク40との最小ギャップを狭める側、且つ、シャフト30の下端部32が壁部14との最小ギャップを狭める側に、回転軸Dを中心にシャフト30が回転する。この回転運動が、操作入力装置からのフィードバック力として操作者に伝わる。シャフト30は、上端部31の位置でゴムリング53によって支持され、回転方向に動いた場合にはゴムリング53の反発力により、回転軸CがZ軸に平行になるように初期位置に復帰する。
【0036】
図13は、本発明の第2の実施例である操作入力装置200の分解斜視図である。図14は、操作入力装置200の全体斜視図である。シャフト130が、上述のコア3に相当する。コイル120が、上述のコイル2に相当する。上述と同様の部分については、その説明を省略する。
【0037】
コイル120に対するヨークは、コイル120の下側に配置された第1のヨーク部である下側ヨーク110とコイル120の上側に配置された第2のヨーク部である上側ヨーク140とが、コイル120の外側を迂回して接続されることにより構成される。下側ヨーク110の側面ヨーク111,112が、コイル120の外側に位置する迂回部である。
【0038】
下側ヨーク110の下面ヨーク113には、中央孔115が形成されている。また、下面ヨーク113には、中央孔115の輪郭の一部分のみに沿って、初期状態でのシャフト130の中心軸Cに平行な方向に直立する壁部114が形成されている。図の場合、壁部114は、XY平面の4軸方向のうちY(−)方向側のみに形成されている。
【0039】
図15は、操作入力装置200のYZ平面での断面図である。シャフト130は、その径方向に、ボビン152の上側の穴152cとシャフトホルダ151とによって拘束されている。シャフトホルダ151には、シャフト130の軸方向に対して垂直な方向にシャフトホルダ逃げ部151aが形成されている。したがって、シャフト130は、上下方向に移動可能であるとともに、ボビン152の上側の穴152cを回転支点として、シャフトホルダ逃げ部151a側に回転自由度を有している。
【0040】
シャフト130にフランジ状に取り付けられた樹脂ワッシャー153に当接するスプリング150によって、シャフト130は上下方向に移動可能に支えられている。シャフト130が下方向に押し込まれても、樹脂ワッシャー153がスプリング150の反発力によって押し戻されることにより、シャフト130はボビン152の下面に当接するまで押し戻される。樹脂ワッシャー153の径はボビン152の上側の穴152cの径よりも大きいため、スプリング150の反力を受けても穴152cから抜けて飛び出ることはない。シャフト130が上下方向に動くことで、シャフト130の下端部132と下側ヨーク110の下面ヨーク113に形成された壁部114との対向面積Eが変化する。対向面積Eが変化すると、下側ヨーク110と上側ヨーク140とシャフト130とによって形成される磁気回路の磁気抵抗が変化するので、コイル120のインダクタンスが変化する。L3は、磁気回路を通る磁界の方向を示す。コイル120のインダクタンスの大きさを検出することによって、コイル120のインダクタンスの大きさとシャフト130の上下方向の変位量との関係を予め計測した基準データに基づいて、シャフト130の上下方向の変位量を検知することができる。
【0041】
図16は、磁気吸引力FA3発生時の操作入力装置200の断面図である。コイル120に高電圧を印加して大電流を流すことにより、シャフト130の下端部132と壁部114との間に働く磁気吸引力FA3によって、シャフト130の下端部132が、ボビン152の穴152cを回転支点として、壁部114との最小ギャップを狭める側に傾斜する。シャフト130の下端部132の部位は、壁部114とのエアギャップが大きくとってあるため、その分シャフト130が傾斜する。コイル120に流す電流を止めた場合、スプリング150の反力により、シャフト130は、回転軸CがZ軸に平行になるように初期位置に復帰する。
【0042】
図17は、本発明の第3の実施例である操作入力装置300の分解斜視図である。図18は、操作入力装置300の全体斜視図である。シャフト230が、上述のコア3に相当する。コイル220が、上述のコイル2に相当する。上述と同様の部分については、その説明を省略する。
【0043】
コイル220に対するヨークは、コイル220の下側に配置された第1のヨーク部である下側ヨーク210とコイル220の上側に配置された第2のヨーク部である上側ヨーク240とが、コイル220の外側を迂回して接続されることにより構成される。上側ヨーク240の側面ヨーク241,242が、コイル220の外側に位置する迂回部である。
【0044】
上側ヨーク240の上面ヨーク243には、中央孔244が形成されている。また、下側ヨーク210には、中央孔が形成されるとともに、その中央孔の輪郭の全周に沿って、初期状態でのシャフト230の中心軸Cに平行な方向に直立する円筒状の壁部212が形成されている。
【0045】
シャフト230の上端部231には、操作者のZ方向の力が直接的に又は間接的に作用する板状部材234が取り付けられている。上側ヨーク240の中央孔244を貫通するシャフト230は、コイル220が巻かれたボビン252の中央孔に挿入されて配置される。
【0046】
図19は、初期位置状態での操作入力装置300のYZ平面での断面図である。シャフト230と一体の板状部材234に当接するスプリング250によって、シャフト230は上下方向に移動可能に支えられている。板状部材234と共にシャフト230が下方向に押し込まれても、板状部材234がスプリング250の反発力によって押し戻されることにより、シャフト230は初期位置状態まで原点復帰する。シャフト230が上下方向に動くことで、シャフト230の下端部232と下側ヨーク210に形成された壁部212との対向面積が変化するので、磁気回路の磁気抵抗が変化し、コイル220のインダクタンスが変化する。L5.L6は、磁気回路を通る磁界の方向を示す。
【0047】
シャフト230の下端部232には、シャフト230の軸に対してシャフト230が非回転対称になるように、欠損部233を設ける。これにより、シャフト230の欠損部233と壁部212との距離が、シャフト230の全周に関して不均一になる。
【0048】
スプリング250を支持するためにベース211が使用されているが、スプリング250の支持部材を他の部材と兼用することによって、ベース211は無くてもよい。例えば、スプリング250を支持するために、下側ヨーク210、上側ヨーク240、ボビン252のいずれかを使用してもよい。
【0049】
図20は、磁気吸引力FA5,FA6発生時の操作入力装置300の断面図である。コイル220に高電圧を印加して大電流を流すことにより、下端部232と壁部212との間に働く磁気吸引力FA6によって、シャフト230の下端部232が、壁部212との最小ギャップを狭める側(すなわち、欠損部233が無い側)に吸引される。欠損部233が設けられている側は、壁部212とのギャップが大きいからである。コイル220に流す電流を止めた場合、スプリング250の反力により、シャフト230は、回転軸CがZ軸に平行になるように初期位置に復帰する。
【0050】
図21は、本発明の第4の実施例である操作入力装置400の分解斜視図である。図22は、操作入力装置400の断面図である。
【0051】
操作入力装置400は、複数の操作入力装置(図21の場合、4個の上述の操作入力装置100(100A−100D))が配置される配置面を有する基板310を備える。基板310に備えられる操作入力装置は、上述の操作入力装置200又は300でもよい。基板310は、XY平面に平行な配置面を有する基部である。三次元の直交座標系の基準点である原点Oは、その配置面から操作者の力が入力されてくる側(図21の場合、基板310に対して上側)に所定距離離れた位置に設定されている。基板310は、樹脂性の基板でもよいが、ヨークの役目を持たせるために鋼板や珪素鋼板などを基材にした鉄板基板でもよい。
【0052】
操作入力装置100A−100Dは、原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に並べられている。操作入力装置100A−100Dは、操作者の力のベクトルを算出しやすくするという点で、その円周方向に等間隔に配置されることが好ましい。各操作入力装置が互いに同特性の場合、隣接する2つのコイルの重心間の距離が等しければよい。操作入力装置100A−100Dは、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の4方向に同心円状に90°毎に配置されている。X(−)方向は、XY平面上でX(+)方向に対して180°反対向きの方向であり、Y(−)方向は、XY平面上でY(+)方向に対して180°反対向きの方向である。操作入力装置100Aは、原点Oに対して正側のX軸上に配置され、操作入力装置100Bは、原点Oに対して正側のY軸上に配置され、操作入力装置100Cは、原点Oに対して負側のX軸上に配置され、操作入力装置100Dは、原点Oに対して負側のY軸上に配置されている。
【0053】
また、操作入力装置400は、基板310に対して操作者の力が入力されてくる側に設けられた変位部材であるキー360を備える。板状のキー360が、基板310に設けられた操作入力装置100A−100Dの上側に配置されている。キー360は、操作入力装置100A〜100Dが配置された配置面に対向する対向面(図21において、下側の面)と、操作者の力が作用しうる操作面(図21において、上側の面)とを有している。キー360は、操作者の力が操作面に作用することにより、対向面が操作入力装置100A−100Dの配置される配置面に近づくことによって、4個の操作入力装置100A−100Dの少なくともいずれか一つのシャフト30(図11,12参照)が下方に押し込まれ、その押し込まれたシャフト30を囲むコイル20のインダクタンスを変化させる。
【0054】
キー360は、図22に示されるように、ケース370によってZ軸方向に移動可能に支持されている。ケース370は、操作者の力が操作面に作用されていない待機状態(初期状態)でのキー360の位置を待機位置として、操作者の力が操作面に作用することによって待機位置から基板310に近づく方向に移動できるように支持する。ケース370は、基板310に固定されている。ケース370は、操作入力装置400が取り付けられるゲーム機等の電子機器のケースでもよいし、操作入力装置400自体のケースでもよい。
【0055】
図23は、操作入力装置100A−100Dそれぞれに構成されるコイルのインダクタンスの変化を検出する検出回路例のブロック図である。インダクタンス検出回路は、操作入力装置100A−100Dの各コイルのインダクタンスの変化を検出する算出手段である。図1,2で示した検出部160及び制御部170は、このインダクタンス検出回路に相当する。つまり、一つのインダクタンス検出回路によって、制御部160と制御部170を実現している。
【0056】
インダクタンス検出回路は、演算手段であるCPU60と、CPU60の第1の出力ポート61に接続された駆動回路66と、一方の端部がグランドに接続された各コイルのもう一方の端部に接続されるマルチプレクサ(MUX)68と、CPU60の第2の出力ポート62とADポート63とに接続された受信回路67とを備える。各コイルは、マルチプレクサ68によって、共通の受信回路67及び駆動回路66を介して、CPU60に接続される。マルチプレクサ68の接続先の切り替えは、アドレスバス64を介して、CPU60からのアドレス指定によって一意に選択される。したがって、各コイルのインダクタンスの検知は、その検知タイミングを各コイルでずらして、コイル毎に逐次行われる。
【0057】
図24は、図23における駆動回路66と受信回路67のブロック図である。駆動回路66は、CPU60の出力ポート61からの出力信号に応じて定電流源66aの出力電流をコントロールすることによって、各コイルに電流を流す。受信回路67は、各コイルに電流を流すことに伴い発生する電圧を、アンプ67aを通してピークホールド回路67bに入力する(ボトムホールド回路に入力されてもよい)。ピークホールド回路67bによってピークホールドされたピーク値(アナログ値)は、ADポート63に入力されて、ADコンバータによって、デジタル値に変換される。
【0058】
図25は、図24の各点における波形を示した図である。CPU60の出力ポート61から矩形波の電圧波形が出力される。この電圧によって、定電流回路66aは、コイルに一定の電流を流す。これにより、コイルは微分波形の電圧V2を発生させる。電圧波形V2として、電圧波形V1の立ち上がりに同期した波形2−1が得られるとともに、電圧波形V1の立下りに同期した波形2−2が得られる。波形2−2は、波形2−1に対して正負が逆側の波形である。アンプ67aは、電圧波形V2を、ADコンバータのダイナミックレンジに適した大きさに増幅する。電圧波形V2をピークホールドするか又はボトムホールドするかによって、そのホールドした値がADコンバータ(ADポート63)に取り込まれる。波形2−1,2−2の振幅値は、各コイルのインダクタンスの大きさに比例して大きくなるため、この振幅値を検出することによって、各コイルのインダクタンスの大きさを評価できる。
【0059】
図26は、操作入力装置400を制御する制御方法で操作入力装置400を動作させたときの波形図である。図23,24を参照しながら、図26の波形図に従って、操作入力装置400の制御方法について説明する。
【0060】
操作入力装置400の制御方法は、操作入力装置100A−100Dの各コイルに第1のパルス信号をコイル毎に供給することによって各コイルのインダクタンスの変化を検出するインダクタンス検出ステップを有する。インダクタンス検出回路のCPU60は、そのインダクタンス検出ステップで、(b)に示されるように、出力ポート61から、矩形波の電圧波形V1として、コイル毎に供給される第1のパルス信号に対応するパルス波形p(p1〜p9)を出力する。パルス波形pが出力ポート61から間欠的に各コイルに出力されることによって、第1のパルス信号が各コイルに間欠的に供給される。また、インダクタンス検出ステップが一定の周期で繰り返されることによって、電圧波形V1の各パルス波形p1〜p9が一定の周期で出力される。パルス波形pは、各コイルのインダクタンスの変化を検出するための駆動電圧である。
【0061】
駆動電圧V1によって、(a)に示されるシャフト30(図11参照)の押し下げ量Wに応じて、(c)に示されるように、インダクタンスの増加に伴う検出電圧V3が発生する。押し下げ量Wが(a)に示されるように変化した場合、検出電圧V3の振幅も押し下げ量Wに比例して増加する。押し下げ量Wの増加に伴って検出電圧V3のパルス波形s3,s4,s5の振幅が増加し、押し下げ量Wの減少に伴って検出電圧V3のパルス波形s6,s7の振幅が減少する。押し下げ量Wに変化が無い場合、検出電圧V3のパルス波形の振幅は同一である(s1,s2,s8,s9)。
【0062】
また、操作入力装置の制御方法は、インダクタンス検出ステップで供給される第1のパルス信号に対して位相が異なる第2のパルス信号を、コイル毎に供給することによって、図12に示されるように、シャフト30の上端部31を上側ヨーク40に吸引する磁気吸引力FA1及びシャフト30の下端部32を壁部14に吸引する磁気吸引力FA2を発生させる磁気吸引力生成ステップを有する。CPU60は、その磁気吸引力生成ステップで、(b)に示されるように、出力ポート61から、矩形波の電圧波形V1として、コイル毎に供給される第2のパルス信号に対応するパルス波形q(q1〜q5)を出力する。パルス波形qが出力ポート61から各コイルに出力されることによって、第2のパルス信号が各コイルに供給される。パルス波形qが出力されることに伴って、(e)に示されるように、FA1,FA2等の磁気吸引力Fが発生する。
【0063】
図26は、インダクタンスの変化の検出結果である検出電圧V3の振幅に応じて、パルス波形q1〜q5を出力する制御方法を示している。すなわち、振幅が所定の閾値未満の検出電圧V3の場合、パルス波形qは出力されず、振幅が所定の閾値以上の検出電圧V3が発生した場合、該検出電圧V3の振幅に対応するパルス波形qが出力される。つまり、押し下げ量Wに応じて操作部の変位を発生させるパルス波形qが、検出電圧V3の振幅に比例した振幅で発生する。そして、パルス波形qの振幅に応じた大きさの磁気吸引力Fが発生する。
【0064】
インダクタンスの変化を検出するためのパルス波形pの振幅電圧、パルス幅及び出力周期は、インダクタンスの変化を検出電圧V3によって検出できる程度の大きさであればよく、操作者が感知できる操作部の動きを引き起こすことが可能な磁気吸引力Fを発生させない程度の大きさであればよい。これにより、インダクタンスの変化を検出するタイミングのたびに、操作者に磁気吸引力Fによる操作部の動きを感じさせてしまうことを防止することができる。これに対し、パルス波形qに伴い発生する操作部の動きは操作者に確実に感知できるようにするため、パルス波形qの振幅電圧、パルス幅及び周期は、操作者が感知できる操作部の動きを引き起こすことが可能な磁気吸引力Fを発生させる程度の大きさであればよい。例えば、パルス波形qの振幅電圧とパルス幅の少なくともいずれか一方は、パルス波形pに比べて、大きくする。
【0065】
このとき、何ら手当てをしていない場合、操作部に動きを与えるためのパルス波形qが出力されることによって生成された検出電圧V3を、インダクタンスの変化を表す信号として、CPU60が誤検出することを防ぐため、例えば、(d)に示されるように、パルス波形qが少なくとも発生している期間では、受信回路67を動作させないようにするためのリセット信号VRを発生させてもよい。これにより、パルス波形qが出力されている期間では、(c)に示されるように、検出電圧V3が生成されないようにすることができる。また、パルス波形qはCPU60が自ら出力するものであるため、パルス波形qに伴い発生する検出電圧V3を、インダクタンスの変化を表す信号として、CPU60が評価しない(無視する)ようにしてもよい。
【0066】
また、(b)は、押し下げ量Wの大きさに応じた振幅のパルス波形qが出力される制御方法を示しているが、(f)に示されるように、押し下げ量Wの大きさに応じたパルス幅のパルス波形qを出力して操作部を変位させる制御方法でもよい。押し下げ量Wが大きくなるほど、パルス波形qのパルス幅を広くする。
【0067】
また、(g)に示されるように、押し下げ量Wの大きさに応じた個数のパルス波形qを出力して操作部を変位させる制御方法でもよい。押し下げ量Wが大きくなるほど、パルス波形qの個数を増大させる。
【0068】
また、(h)に示されるように、本操作入力装置を使用するアプリケーション(例えば、操作者によって使用される電子機器、より具体的には、ゲーム機器や携帯電話など)によっては、パルス波形qはパルス波形pと必ずしも同期している必要はないため、複数のパルス波形pをまたいで、パルス波形qを発生させる時間間隔(パルス波形qの出力間隔)を変更してもよい。インダクタンスの変化を検出するためのパルス波形pは、インダクタンス変化の検出の時間的分解能(追従速度)に相当するため、短い時間間隔で出力されることが望ましい。一方、操作部に変位を付与するためのパルス波形qは、操作者に操作部の変位が生じたことを感じさせることが必要であるため、パルス波形pに比べて出力間隔を長くする。例えば、(h)に示されるように、パルス波形pに重複しないように、パルス波形pが出力されていない任意の期間に、パルス波形qが出力されればよい。
【0069】
また、パルス波形pの出力間隔が狭くなり、パルス波形qの出力タイミングを確保することができない場合には、パルス波形qをパルス波形pよりも優先させて、パルス波形qの出力期間ではパルス波形pの出力を停止させてもよい。
【0070】
また、図26の場合、押し下げ量Wに応じた操作部の変位を発生させているが、パルス波形qの供給態様を変化させることによって、コイルに流れる電流の流れ方が変化するので、操作者に与える振動の態様を変化させることができる。例えば、第2のパルス信号の供給態様を変化させることによりコイルに流す電流の流れ方を変化させることによって、操作者に与える振動の強さ、振動周波数、振動の回数を変化させることができる。また、操作部の変位の発生タイミングを、押し下げ量Wに応じて変化させることに限らず、操作部の押し下げ速度、操作部の操作によって動く対象物(例えば、ディスプレイ上のカーソル、ポインターなど)の移動位置、操作入力装置が使用されるアプリケーション上でのイベント発生に応じて、変化させてもよい。例えば、押し下げ量Wが所定の値に到達した時に、第2のパルス信号をコイルに供給することによって磁気吸引力Fを発生させる。このように発生させた磁気吸引力Fによって、操作者にクリック感を感じさせることができる。
【0071】
図27は、コイルに流れる電流の立ち上がり波形に基づいて押し下げ量Wを検出する方法を説明するためのタイムチャートである。上述の図25,26の場合、押し下げ量Wの検出には、コイルの両端に発生した電圧V2の大きさに対応する検出電圧V3を利用していたが、コイルに流れる電流の立ち上がりの波形を利用してもよい。
【0072】
図27において、(a)は、コイルに印加される電圧波形を示す。(b)は、シャフトが押し込まれていない状態で、(a)の電圧を印加したときにコイルに流れる電流波形を示す。(c)は、シャフトが押し込まれた状態で、(a)の電圧を印加したときにコイルに流れる電流波形を示す。
【0073】
電圧を(a)のように瞬時に立ち上げた場合でも、コイルの性質上、コイルに流れる電流波形は、そのインダクタンスに応じた傾きで立ち上がる。したがって、押し込み量に応じてインダクタンスが増加するように構成されている場合、押し込み量の増加に伴い電流波形の傾きは緩やかになる。つまり、この傾きの大きさを検出することでインダクタンスの大きさを評価することができるので、そのインダクタンスに基づいて、押し込み量の検出を行うことができる。
【0074】
本発明のように操作入力装置からのフィードバック力を操作者に与える構成では、フィードバック力によって操作部の位置が変化し、その変化に伴いインダクタンスが変化する。したがって、上述のリセット信号VR等の誤検出対策をしなければ、操作部の位置やその押し込み量を誤検出するおそれがある。しかしながら、図27のように、電流波形の立ち上がりで押し込み量の検出を行うことによって、操作部の位置が変化する前に、押し込み量の検出を完了することが可能になる。その結果、図26のように、第1のパルス信号と第2のパルス信号の位相を異ならせなくても、第2のパルス信号を第1のパルス信号として使用することによって、フィードバック力の発生と押し込み量の検出をほぼ同時に行うことが可能となる。つまり、操作部の押し込み量を検出する際に電流波形の立ち上がりの傾きを利用することによって、フィードバック力の発生時にも、操作部の位置の変化による影響を受けることなく、操作部の押し込み量の検出が可能になる。なお、図27(a)に示した電圧波形を、方形波にしても、同様の効果が得られる。
【0075】
フィードバック力を発生させる電圧波形には、図27(a)に示される鋸波等の三角波を使用すると好適である。フィードバック力は立ち上がりで強く感じるため、ピーク電圧と通電時間が同じならば三角波と方形波でほぼ同等のフィードバック力の感触が得られる。つまり、三角波を用いることで、約半分の電力で、方形波と同等のフィードバック力を得ることができる。
【0076】
このように、上述の本実施形態の操作入力装置の場合、共通のコイルに対して2種類又は1種類のパルス信号を供給するだけで、操作入力の検出と操作者への力の付与を行うことができる。つまり、操作入力を検出する機能と操作者に力を付与する機能の両方を、複雑な構造を構成することなく、2種類又は1種類のパルス信号をコイルに供給するという単純な構成で実現することができる。また、操作入力を検出するための構成と操作者に力を付与するための構成との間で、部品(コイル)の共有化ができるので、小型化やコスト削減を図ることができる。
【0077】
また、フィードバック振動を、操作部の押し込み方向ではなく、押し込み方向と異なる方向(例えば、操作部を傾斜させる方向、横方向)に発生させることができるので、操作部の押し込み方向にフィードバック振動を発生させる場合よりも、操作者にフィードバック振動を強く感じさせることができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。また、上述の複数の実施形態それぞれの一部を組み合わせて構成された別の実施形態も考えられ得る。
【0079】
操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 基板
2,20,120,220 コイル
3 コア
4 ヨーク
4c,4d,4e ギャップ
5a,5b 支持部材
5c〜5f 揺動支点
6 操作部
10,110,210 下側ヨーク
11,12,111,112,241,242 側面ヨーク
13,113 下面ヨーク
14,114,212 壁部
15,41,115 切り欠き部
30,130,230 シャフト(コア)
31,131,231 上端部
32,132,232 下端部
40,140,240 上側ヨーク
50,150,250 スプリング
51,151 シャフトホルダ
51a,51b ピン
52,152,252 ボビン
52a,52b ガイド
52c 内壁
53 ゴムリング
54 樹脂リング
100,200,300,400 操作入力装置
153 樹脂ワッシャー
211 ベース
233 欠損部
234 板状部材
360 キー(操作部)
370 ケース
C コアの中心軸
D 回転軸
E 対向面積
F* 磁気吸引力
L* 磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位するコアと、
前記コイルの端面側に配置されたヨークとを備え、
前記コアの軸について非回転対称のギャップが前記コアと前記ヨークとの間にあり、前記コイルに電流を流すことにより、前記コアと前記ヨークとの間に発生する磁気吸引力が前記コアに作用する、操作入力装置。
【請求項2】
前記ヨークが、前記コアに対向する位置に、前記ギャップが形成されるように切り欠き部及び/又は壁部を備える、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記ヨークが、前記コイルの一方の端面側に配置された第1のヨーク部ともう一方の端面側に配置された第2のヨーク部とが前記コイルの外側を迂回して接続されることにより構成される、請求項1又は2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記コアの軸に対して前記コアが非回転対称である、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記コイルのインダクタンスの大きさに応じた信号波形を前記コイルに発生させる第1のパルス信号を前記コイルに供給する第1のパルス信号供給手段と、
前記信号波形に基づいて、前記インダクタンスの大きさを検出する検出手段と、
前記磁気吸引力を発生させる第2のパルス信号を前記コイルに供給する第2のパルス信号供給手段とを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記検出手段が、前記信号波形の立ち上がり波形に基づいて、前記インダクタンスの大きさを検出する、請求項5に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記第2のパルス信号が、前記第1のパルス信号として使用される、請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記第1のパルス信号と前記第2のパルス信号の少なくともいずれかが三角波である、請求項5から7のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記コイルのインダクタンス変化を検出することで操作入力を検知する、請求項1から8のいずれか一項に記載の操作入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−18577(P2012−18577A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156054(P2010−156054)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】