説明

操作制限装置、把持状態識別装置

【課題】本発明は、ハンドルの把持状態を検出する把持状態識別装置と、ハンドルの把持状態に基づき運転者に対してのみ制御対象の操作を制限する操作制限装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の操作制限装置1は、車載装置8又は/及び車両に持ち込んで車載装置8と連携動作する持込端末10を制御対象とし、当該制御対象装置の操作可否を制御する操作制限装置である。操作制限装置1は、前記車両が走行中か否かを示す走行情報を前記車両から取得する走行情報取得手段2と、前記車両の操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する把持状態識別手段と、前記走行情報が前記車両の走行を示し、前記把持状態識別手段が前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する信号送出手段7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハンドルの把持状態を識別する技術、さらに当該把持状態の識別結果を用いて車載装置又はこれと連携して動作する持込端末の操作を制限する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両にはナビゲーション機能を有する車載装置が広く搭載されている。車載装置の中にはナビゲーション機能の他、テレビ放送受信機能や音楽再生機能など多くの機能を有するものがあり、車内の快適性に大きく貢献している。
【0003】
また、スマートフォンやPDAなどの携帯端末を車載装置と連携させる利用形態があり、これら車内に持ち込んだ携帯端末(持込端末)の有するナビゲーション機能や音楽再生機能などを車載装置で利用することが可能である。
【0004】
しかしながら、運転者が車両走行中に車載装置や持込端末を操作することは危険である。そのため、車両の走行中はこれらの機器の操作を制限することによって安全運転を促す技術が従来考えられている。
【0005】
特許文献1には、携帯端末と車載装置とが連携して動作するシステムにおいて、車両の走行情報を携帯端末に送信し、走行中は携帯端末の操作を規制する技術が開示されている。
【0006】
また特許文献2では、車内で携帯電話が使用されたことを検出すると警告を表示し、車内での携帯電話の使用をやめるように促す技術が開示されている。
【0007】
また特許文献3では、指紋認証手段を備える入力装置が開示されている。当該入力装置は、指紋を検出することによってタッチパネルを操作した者が運転者か否かを検出し、運転者の操作を検出した場合には操作を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−130670号公報
【特許文献2】特開2007−249478号公報
【特許文献3】特開2005−82086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、車両走行中にカーナビゲーションシステムやこれと連携する携帯端末の操作を制限する技術は従来提案されている。
【0010】
しかし、同乗者がいる場合に当該操作をしているのが運転者であるか同乗者であるかを区別するのは困難である。たとえ車両走行中でも同乗者の操作には危険が伴わないので許可する必要があり、運転者の操作のみを制限することが好ましい。
【0011】
その点、特許文献1に記載の車載システムでは、車両走行中は一律に操作を制限するため、同乗者の操作まで制限されてしまうという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載の携帯電話使用警告装置は、乗員が1名であることを検出した場合に運転者が携帯電話を使用していることを特定して警告するものであり、乗員が複数いる場合には運転者の操作のみを制限することは出来ない。乗員数の検出方法については、例えば重量センサで乗員の重量を検出する方法、車両のサスペンションのたわみ量に基づき乗員数を検出する方法、また座席に設けられて乗員が着座するとオン状態になるスイッチを用いる方法等が考えられている。しかしながら、これらの検出方法では、例えば助手席にダミーの錘を搭載した場合に、乗員数を実際よりも多く検出してしまうため、乗員数を高精度に検出するものではない。
【0013】
また、特許文献3に記載の入力装置は、定期的に、例えば運転手が交代する度に指紋を登録するプロセスが必要である。また、同乗者が運転手の代わりに指紋を登録した場合には、運転手は車両走行中も自由に装置の操作を行えてしまう。
【0014】
本発明は上述の問題点に鑑み、同乗者の操作を出来るだけ制限することなく運転者に安全運転を促すことが可能な操作制限装置および把持状態検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の操作制限装置は、車載装置又は/及び車両に持ち込んで車載装置と連携動作する持込端末を制御対象とし、当該制御対象装置の操作可否を制御する操作制限装置であって、前記車両が走行中か否かを示す走行情報を前記車両から取得する走行情報取得手段と、前記車両の操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する把持状態識別手段と、前記走行情報が前記車両の走行を示し、前記把持状態識別手段が前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する信号送出手段とを備える。
【0016】
また、本発明の把持状態識別装置は、電気的に複数の領域に分割された車両の操舵ハンドルの分割領域間に電気的に接続されて電流を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段の電流検出値に基づき前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の操作制限装置では、前記把持状態識別手段が操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、信号送出手段が前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する。これにより、運転者が片手運転をしながら制御対象装置を操作することを制限することができる。なお、操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別した場合に制御対象装置の操作を許可すれば、同乗者の操作は可能になる。
【0018】
また、本発明の把持状態識別装置は、電気的に複数の領域に分割された車両の操舵ハンドルの分割領域間に電気的に接続されて電流を検出する電流検出手段を備え、前記電流検出手段の電流検出値に基づき前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する。これにより、ハンドルの把持状態を識別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】操作制限装置と制御対象装置の構成を示すブロック図である。
【図2】電流検出手段が車両の操舵ハンドルに接続されている状態を示す図である。
【図3】ハンドルの持ち方のバリエーションを示す図である。
【図4】操作制限装置と制御対象装置の構成を示すブロック図である。
【図5】圧力センサーのハンドルへの実装例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の操作制限装置1と操作制限装置1の制御対象装置たる車載装置8の構成を示すブロック図である。操作制限装置1は、カーナビゲーションシステムなどの車載装置8を車両走行中に運転者が操作しないように制限するものである。
【0021】
操作制限装置1は、走行情報取得手段2と、車両の操舵ハンドル(以下、単に「ハンドル」と称する)に接続された電流検出手段5と、走行情報取得手段2が取得した走行情報と電流検出手段5の電流検出値に基づき操作制限をするか否かを判断する制御手段6と、操作制限するための制御信号を制御対象装置に送信する信号送出手段7とを備えている。
【0022】
走行情報取得手段2は、車両が走行中であるか否かを示す走行情報を車両から取得する。ここで走行情報には、車両速度を示す車速情報と、パーキングブレーキの動作状態を示すパーキングブレーキ情報が含まれ、走行情報取得手段2はそれらを取得する車速情報取得手段3とパーキングブレーキ情報取得手段4を備えている。
【0023】
制御手段6は走行情報取得手段2から走行情報を受けて、車両が走行中か否かを判断する。例えば、パーキングブレーキが解除状態にあることをパーキングブレーキ情報が示しており、車両速度が0km/hでないことを車速情報が示していれば、車両は走行中であると判断する。なお、車両速度が0km/hでない場合、パーキングブレーキの状態に関わらず走行中と判断することが出来るので、パーキングブレーキ情報取得手段4は走行情報取得手段2に必須の構成要素ではない。
【0024】
図2は、電流検出手段5がハンドルに接続されている状態を示す図である。ハンドルは右半分と左半分で電気的に二分割されており、その間に電流検出手段5が電気的に接続されて微弱電流を検出する。
【0025】
図2に示すように、運転者が右手でハンドルの右半分を、左手でハンドルの左半分を持つ場合をケースAとする。ケースAでは、ハンドルの左半分→運転者の人体→ハンドルの右半分→電流検出手段5→ハンドルの左半分、と続く閉回路が形成されるので、運転者の生体インピーダンスに応じた微弱電流が電流検出手段5で検出される。
【0026】
一方、ハンドルが片手だけで把持される、あるいは全く把持されない場合には、上記のような閉回路が形成されないので微弱電流が流れない。そこで、制御手段6は電流検出手段5の電流検出値を第1の閾値と比較し、電流検出値が第1の閾値未満である場合にハンドルが所定の(すなわち正しい、あるいは望ましい)両手把持状態にないことを識別する。例えば、人体の体脂肪率を計測するのに必要な電流値を第1の閾値としても良い。また、ここで所定の両手把持状態とは、運転者が右手でハンドルの右半分を、左手でハンドルの左半分を持つケースAの状態のことを言う。こうして電流検出手段5と制御手段6は、ハンドルの把持状態識別手段として動作する。また、電流検出手段5と制御手段6の機能だけを取り出すことによって、ハンドルの把持状態を識別する把持状態識別装置を構成しても良い。
【0027】
制御手段6は、走行情報取得手段2が取得した走行情報から車両が走行中であると認識した場合は、電流検出手段5の電流検出値からハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に制御対象装置の操作を制限する。具体的には、信号送出手段7から操作を制限するための制御信号を車載装置8に送信する。一方、車両の停止中や、車両が走行中であってもハンドルが所定の両手把持状態にあると識別する場合は、操作の制限を行わない。
【0028】
このような操作制限方法によれば、車両走行中に運転者が制御対象装置を操作しようと片手をハンドルから離すと、操作が制限される。車両走行中に操作が可能になるのは、運転者がハンドルを適切に両手把持している場合に限られる。この場合、運転者は物理的にハンドル以外の機器に触れることができないので、車載装置8の操作は制限される一方、同乗者は自由に操作をすることが出来る。こうして運転者と同乗者を区別し、運転者のみの操作を制限することが可能となる。
【0029】
本実施の形態の操作制限装置は、ハンドルが所定の両手把持状態(ケースA)にあるか否かを識別するものであるが、ケースA以外の両手把持状態として幾つかのパターンが想定される。図3には、両手によるハンドルの持ち方をケースAからケースDまで4通り示している。
【0030】
ケースBは両方の手が共にハンドルの右半分を持っている場合を示しており、ケースCは両方の手が共にハンドルの左半分を持っている状態を示している。これらの場合、ケースAとは異なり電流検出手段5を含む閉回路が形成されないので微弱電流が検出されない。そのため、制御手段6はハンドルが所定の両手把持状態にあるとは識別せず、車載装置8の操作を制限する。ケースB,Cはカーブを曲がる際のハンドル操作であると考えられ、このような場合に車載装置8の操作を制限することによって、当該装置を操作する同乗者がカーブを走行中の車内の加速度変化により周囲にぶつかってしまう等の危険を避けることが出来る。
【0031】
あるいは、一時的にケースB,Cのハンドル把持状態になる度に操作制限することを避けたい場合には、信号送出手段7が制御信号を送信するタイミングを一定期間遅らせても良い。すなわち、車両の走行中に、制御手段6でハンドルが所定の両手把持状態にないと識別する状態が一定期間継続した場合に、信号送出手段7は操作を制限する制御信号を車載装置8に送信する。これにより、カーブを曲がる度に同乗者の操作が制限されるという不都合を幾分解消することが可能である。
【0032】
さらに図3のケースDは、両手あるいは一方の手がハンドルの分割領域に跨った状態を示している。この場合、閉回路における生体インピーダンスはケースAよりも小さくなるので、電流検出手段5の電流検出値はケースAよりも大きくなる。そして制御手段6では、電流検出値が第1の閾値以上であることをもって、ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別される。
【0033】
なお、ケースDは不自然なハンドル操作であると言えるので、ケースDを所定の両手把持状態にないと識別するためには、電流検出手段5の電流検出値の閾値として第1の閾値よりも大きい第2の閾値を追加すれば良い。そして制御手段6では、電流検出値が第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合にハンドルが所定の両手把持状態にあると識別する。この場合、ケースDでは電流検出値が第2の閾値以上であることをもって、ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別される。
【0034】
こうすれば、運転者がケースDの持ち方をしている間は同乗者の操作が制限されるので、運転者に対して適切なハンドル操作をするように促すという効果を奏する。
【0035】
<変形例>
以上の説明では車載装置8を操作制限装置の制御対象装置としたが、車内に持ち込み車載装置8と連携して動作するスマートフォンやPDAなどの携帯情報端末(以下、「持込端末」と称する)を制御対象装置としても良い。
【0036】
図4は、持込端末10を制御対象装置とする操作制限装置の構成を示すブロック図である。図4において、図1の同様の構成要素には同一の参照符号を付している。車載装置8は近距離通信手段9を、持込端末10は近距離通信手段11を備えている。操作制限装置1の信号送出手段7から送信された制御信号は車載装置8で受信され、さらに車載装置8から近距離通信手段9,11の通信によって持込端末10に送信される。こうして、車載装置8の他、持込端末10の操作制限が行われる。
【0037】
また、ハンドルは電気的に二分割されるものとしたが、分割数は2に限定しない。分割数をさらに増やせば、同一分割領域を両手で把持するケースBやケースCのような状態に該当する可能性が少なくなる。
【0038】
<効果>
実施の形態1の操作制限装置は、車載装置8又は/及び車両に持ち込んで車載装置8と連携動作する持込端末10を制御対象とし、当該制御対象装置の操作可否を制御する操作制限装置であって、車両が走行中か否かを示す走行情報を車両から取得する走行情報取得手段2と、車両の操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する把持状態識別手段と、前記走行情報が車両の走行を示し、把持状態識別手段が操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、制御対象装置の操作を制限する制御信号を制御対象装置に送出する信号送出手段7とを備える。よって、運転者がハンドルから片手を離した場合等に制御対象装置の操作が制限されるので、車両走行中に運転者は制御対象装置の操作を行う事が出来ない。
【0039】
また、信号送出手段7は、前記走行情報が車両の走行を示し、把持状態識別手段が操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合にのみ、制御対象装置の操作を制限する制御信号を制御対象装置に送出するので、ハンドルが所定の両手把持状態にある場合に、運転者は物理的に手が塞がっており制御対象装置の操作が出来ないが、同乗者は自由に操作を行う事が出来る。こうして、運転者の操作のみを制限することが可能である。
【0040】
また、実施の形態1の操作制限装置において、操舵ハンドルは複数の領域に電気的に分割され、把持状態識別手段は、操舵ハンドルの分割領域間に電気的に接続された電流検出手段5を備え、電流検出手段5の電流検出値が第1の閾値未満である場合に操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別するので、電流検出値からハンドルの把持状態を識別することが可能である。
【0041】
また、実施の形態1の操作制限装置において、把持状態識別手段は、電流検出手段5の電流検出値が、第1の閾値以上であって第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合に操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別し、第2の閾値以上である場合に操舵ハンドルが所定の両手把持にないと識別するので、複数の分割領域に跨ってハンドルを把持するケースD(図3参照)の場合に制御対象装置の操作の制限を行う事が可能である。
【0042】
また、操舵ハンドルは電気的に二分割されている場合には、右手でハンドルの右半分を持ち、左手でハンドルの左半分を持つ状態が所定の両手把持状態となり、これ以外の把持状態である場合に、制御対象装置の操作制限を行うことが可能である。
【0043】
また、信号送出手段7は、把持状態識別手段が所定期間継続してハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、制御対象装置(車載装置8、持込端末10)の操作を制限する制御信号を制御対象装置に送出するので、カーブを曲がる度に同乗者の操作が制限されるという不都合が幾分解消される。
【0044】
また、走行情報取得手段2は車両の走行速度を取得するので、車両速度に基づき走行中か否かが判断される。
【0045】
また、走行情報取得手段2は車両のパーキングブレーキの動作状態を取得するので、パーキングブレーキの動作状態に基づき走行中か否かが判断される。
【0046】
本実施の形態の把持状態識別装置は、電気的に複数の領域に分割された車両のハンドルの分割領域間に電気的に接続されて電流を検出する電流検出手段5を備え、電流検出手段5の電流検出値に基づきハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別することが可能である。
【0047】
また、本実施の形態の把持状態識別装置は、電流検出手段5の電流検出値が第1の閾値未満である場合にハンドルが所定の両手把持状態にないと識別するので、電流検出値からハンドルの把持状態を識別することが可能である。
【0048】
また、本実施の形態の把持状態識別装置は、電流検出手段5の電流検出値が前記第1の閾値以上であって前記第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別し、前記第2の閾値以上である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別するので、複数の分割領域に跨ってハンドルを把持するケースD(図3参照)の場合を所定の両手把持状態にないを識別することが可能である。
【0049】
(実施の形態2)
実施の形態1では、電流検出手段5を用いてハンドルの把持状態を識別したが、電流検出手段5の代わりに圧力センサーを用いても良い。
【0050】
図5は圧力センサーのハンドルへの実装例を示している。この例では、ハンドルの右半分に圧力センサー12R、左半分に圧力センサー12Lを搭載する。圧力センサー12Rはハンドルの右半分の全体に亘って搭載しても良いし、どこか一箇所に搭載し、把持されたときのハンドルの材質がへこむことを検知しても良い。圧力センサー12Lについても同様である。
【0051】
電流出力型の圧力センサーを用いる場合は、圧力センサー12R,12Lが共に所定の閾値以上の電流値を出力した場合に、ハンドルが両手で把持されたことを検出する。ハンドルの把持状態の検出方法以外は実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
走行中にハンドルが両手で把持されている場合にのみ、制御対象装置の操作を許可することにより、運転者と同乗者とを区別し、運転者の操作のみを制限することが可能である。
【0053】
なお、圧力センサーの搭載形態は左右一対に限らない。搭載数をより多く、搭載領域をより細かく区別すれば、ハンドルのどの部分を把持しているかを識別することが可能で、ハンドルの持ち方に応じた操作制限を行う事ができる。
【0054】
<変形例>
なお、圧力センサーの代わりに温度センサーを用いても良い。温度センサーのハンドルへの実装形態は圧力センサーと同様である。温度センサーの測定温度の閾値を例えば30℃とし、測定温度が30℃以上である場合に、ハンドルが把持されていると認識する。
【0055】
こうした温度センサーをハンドルの左半分と右半分に設け、両方の温度センサーの測定温度が共に30℃以上であれば、ハンドルが両手で把持されていると識別することが可能である。
【0056】
温度センサーの搭載形態は左右一対に限らない。搭載数をより多く、搭載領域をより細かく区別すれば、ハンドルのどの部分を把持しているかを識別することが可能で、ハンドルの持ち方に応じた操作制限を行う事ができる。
【0057】
<効果>
実施の形態2の操作制限装置において、ハンドルは複数の領域に分割され、把持状態識別手段はハンドルの各分割領域に設けられた圧力センサー12L,12Rを備え、操作制限装置は、異なる前記分割領域に設けられた2つの圧力センサー12L.12Rの検出値が第1の閾値以上である場合に、ハンドルが所定の両手把持状態にあることを識別し、それ以外の場合にハンドルが所定の両手把持状態にないことを識別する。このような構成により、圧力センサーの検出値を用いてハンドルの把持状態を識別することが可能である。
【0058】
また、実施の形態2の操作制限装置において、ハンドルは複数の領域に分割され、把持状態識別手段はハンドルの各分割領域に設けられた温度センサーを備え、操作制限装置は、異なる前記分割領域に設けられた2つの温度センサーの検出値が第1の閾値以上である場合に、ハンドルが所定の両手把持状態にあることを識別し、それ以外の場合にハンドルが所定の両手把持状態にないことを識別する。このような構成により、温度センサーの検出値を用いてハンドルの把持状態を識別することが可能である。
【0059】
なお、本発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 操作制限装置、2 走行情報取得手段、3 車速情報取得手段、4 パーキングブレーキ情報取得手段、5 電流検出手段、6 制御手段、7 信号送出手段、8 車載装置、9,11 近距離通信手段、10 持込端末、12R,12L 圧力センサー、13R,13L 温度センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載装置、又は/及び車両に持ち込んで前記車載装置と連携動作する持込端末を制御対象とし、当該制御対象装置の操作可否を制御する操作制限装置であって、
前記車両が走行中か否かを示す走行情報を前記車両から取得する走行情報取得手段と、
前記車両の操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する把持状態識別手段と、
前記走行情報が前記車両の走行を示し、前記把持状態識別手段が前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する信号送出手段とを備える、
操作制限装置。
【請求項2】
前記信号送出手段は、前記走行情報が前記車両の走行を示し、前記把持状態識別手段が前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合にのみ、前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する。
請求項1に記載の操作制限装置。
【請求項3】
前記操舵ハンドルは複数の領域に電気的に分割され、
前記把持状態識別手段は、
前記操舵ハンドルの分割領域間に電気的に接続された電流検出手段を備え、
前記電流検出手段の電流検出値が第1の閾値未満である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別する、
請求項1又は2に記載の操作制限装置。
【請求項4】
前記把持状態識別手段は、前記電流検出手段の電流検出値が、前記第1の閾値以上であって前記第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別し、前記第2の閾値以上である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持にないと識別する、
請求項3に記載の操作制限装置。
【請求項5】
前記操舵ハンドルは電気的に二分割された、
請求項3又は4に記載の操作制限装置。
【請求項6】
前記操舵ハンドルは複数の領域に分割され、
前記把持状態識別手段は前記操舵ハンドルの各分割領域に設けられた圧力センサーを備え、
異なる前記分割領域に設けられた2つの前記圧力センサーの検出値が第1の閾値以上である場合に、前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあることを識別し、それ以外の場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないことを識別する、
請求項1又は2に記載の操作制限装置。
【請求項7】
前記操舵ハンドルは複数の領域に分割され、
前記把持状態識別手段は前記操舵ハンドルの各分割領域に設けられた温度センサーを備え、
異なる前記分割領域に設けられた2つの前記温度センサーの検出値が第1の閾値以上である場合に、前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあることを識別し、それ以外の場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないことを識別する、
請求項1又は2に記載の操作制限装置。
【請求項8】
前記信号送出手段は、前記把持状態識別手段が所定期間継続して前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別した場合に、前記制御対象装置の操作を制限する制御信号を前記制御対象装置に送出する、
請求項1〜7のいずれかに記載の操作制限装置。
【請求項9】
前記走行情報取得手段は前記車両の走行速度を取得する、
請求項1〜8のいずれかに記載の操作制限装置。
【請求項10】
前記走行情報取得手段は前記車両のパーキングブレーキの動作状態を取得する、
請求項9に記載の操作制限装置。
【請求項11】
電気的に複数の領域に分割された車両の操舵ハンドルの分割領域間に電気的に接続されて電流を検出する電流検出手段を備え、
前記電流検出手段の電流検出値に基づき前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあるか否かを識別する、
把持状態識別装置。
【請求項12】
前記電流検出手段の電流検出値が第1の閾値未満である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別する、
請求項11に記載の把持状態識別装置。
【請求項13】
前記電流検出手段の電流検出値が前記第1の閾値以上であって前記第1の閾値より大きい第2の閾値未満である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にあると識別し、前記第2の閾値以上である場合に前記操舵ハンドルが所定の両手把持状態にないと識別する、
請求項12に記載の把持状態識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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