説明

操作情報提供システム、携帯端末及び制御プログラム

【課題】操作対象装置の状態に対応した操作情報を適切に提供する。
【解決手段】操作情報提供システム10は、撮像画像と複数のモデル画像とを比較することによって、撮像画像に最も近似した最近似モデル画像を特定する特定手段と、最近似モデル画像に対応する操作情報を表示させるように表示部94cを制御する表示制御手段とを備え、特定手段は、複数のモデル画像から、撮像画像に撮像されている第1マーク及び第2マークと同じ種類の第1マーク及び第2マークを含むモデル画像のみを選択する第1選択処理実行手段と、第1選択処理で選択されたモデル画像から、第1マークと第2マークとの相対位置関係が撮像画像に撮像されている第1マークと第2マークとの相対位置関係と最も近似するモデル画像を選択する第2選択処理実行手段とを含み、第2選択処理実行手段にて選択されたモデル画像を最近似モデル画像として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象装置の不具合発生時やメンテナンス時に必要な操作に関する情報をユーザに提供する、操作情報提供システム、携帯端末及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の印刷装置で紙詰まり等の不具合が発生した場合、ユーザは、印刷装置の状態を把握し、その状態に応じた適切な操作を行う必要がある。このような場合、従来では、ユーザが、印刷装置の表示部に表示された操作情報を見ながら必要な操作を行っていたが、表示部と操作対象部分とは離れているのが通常であるため、当該操作の作業性が悪いという問題があった。
特許文献1に記載された先行技術は、携帯電話で撮像した被写体画像とプリンタの記憶部に予め記憶したモデル画像とを比較し、モデル画像に被写体画像と同一又は近似の画像が含まれている場合に、そのモデル画像の示すパーツに関する情報を被写体画像に関する情報として携帯電話の表示部に表示させるものである。この先行技術によれば、携帯電話の表示部を被写体の近傍に配置することができるので、ユーザは、表示部を見ながら被写体(プリンタ)を速やかに操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−66967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この先行技術では、被写体に関する一般的なパーツ情報を表示させていたに過ぎないので、被写体の状態に応じて取るべき操作が異なる場合には、ユーザは、被写体の状態に対応した操作情報を容易に知ることができなかった。
【0005】
本発明は、操作対象装置の状態に応じて取るべき操作が異なる場合でも、その状態に対応した操作情報を適切に提供することができる、操作情報提供システム、携帯端末及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る操作情報提供システムは、操作対象装置の操作方法に関する操作情報を提供する操作情報提供システムであって、前記操作対象装置の第1部分に形成された少なくとも1つの第1マークと、前記操作対象装置の第2部分に形成された少なくとも1つの第2マークと、情報表示手段と前記操作対象装置を撮像する撮像手段とを有する撮像装置と、前記操作対象装置に関する画像であって前記第1マークと前記第2マークとがそれぞれ1つ以上画像内に含まれている複数のモデル画像と、前記複数のモデル画像のそれぞれに対応して用意された複数の操作情報とを記憶する記憶手段と、前記撮像装置で撮像された撮像画像と、前記記憶手段に記憶された前記複数のモデル画像とを比較することによって、前記撮像画像に最も近似した最近似モデル画像を特定する特定手段と、前記特定手段にて特定された前記最近似モデル画像に対応する前記操作情報を表示させるように前記情報表示手段を制御する表示制御手段とを備え、前記特定手段は、前記複数のモデル画像から、前記撮像画像に撮像されている第1マーク及び第2マークと同じ種類の第1マーク及び第2マークを含むモデル画像のみを選択する第1選択処理を実行する第1選択処理実行手段と、前記第1選択処理で選択されたモデル画像から、第1マークと第2マークとの相対位置関係が前記撮像画像に撮像されている第1マークと第2マークとの相対位置関係と最も近似するモデル画像を選択する第2選択処理を実行する第2選択処理実行手段とを含み、前記第2選択処理実行手段にて選択されたモデル画像を前記最近似モデル画像として特定することを特徴とする。
【0007】
この構成では、第1マークと第2マークとの相対的な位置関係により現在の操作対象装置の状態に最も近い状態のモデル画像を選択し、当該状態に対応する操作情報を撮像装置に表示させるようにしているので、第1部分又は第2部分の状態が、これらの相対的な位置関係が変化したり、第1部分に別部材が積載されたりすることで変わる場合でも、現在の操作対象装置の状態に対応した操作情報を適切に提供することができる。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、上記のいずれかの操作情報提供システムにおける少なくとも撮像装置として機能する。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る制御プログラムは、上記のいずれかの操作情報提供システムにおける少なくとも特定手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記の構成によって、操作対象装置の状態に応じて取るべき操作が異なる場合でも、その状態に対応した操作情報を適切に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る操作情報提供システムが適用される多機能装置(操作対象装置)の構成を示す斜視図である。
【図2】多機能装置の構成を示す側面図である。
【図3】多機能装置におけるプリンタ部の概略構成を示す側面図である。
【図4】多機能装置におけるプリンタ部の概略構成を示す平面図である。
【図5】実施形態に係る操作情報提供システムを示す概念図である。
【図6】図6(A)は携帯端末の要部構成を示すブロック図であり、図6(B)は画像処理サーバの要部構成を示すブロック図である。
【図7】携帯端末における端末制御部の制御動作を示すフロー図である。
【図8】画像処理サーバにおけるサーバ制御部の制御動作を示すフロー図である。
【図9】キャリッジの周辺部における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図9(A)は第1マークがキャリッジで被覆されたときの撮像画像を示す図であり、図9(B)はキャリッジの操作に関する操作情報が表示された撮像画像を示す図である。
【図10】キャリッジの周辺部における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図10(A)はキャリッジの操作を完了した後の撮像画像を示す図であり、図10(B)は用紙の除去に関する操作情報が表示された撮像画像を示す図である。
【図11】図11(A)〜(C)は、図9(A)及び図10(A)のそれぞれの撮像画像に対応する3つのモデル画像及び操作情報を示す図である。
【図12】搬送路における紙詰まり処理に関する撮像画像を示す図であり、図12(A)は紙詰まりが無いときの撮像画像を示す図であり、図12(B)は一部の第1マークが紙詰まりした用紙で被覆されたときの撮像画像を示す図である。
【図13】図13(A)〜(C)は、図12(B)の撮像画像に対応する3つのモデル画像を示す図である。
【図14】搬送方向変換部における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図14(A)は第1マークが紙詰まりした用紙で被覆されたときの撮像画像を示す図であり、図14(B)は操作情報が表示された撮像画像を示す図である。
【図15】インクカートリッジの操作に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図15(A)は第1マークがユーザの手指で被覆されたときの撮像画像を示す図であり、図15(B)は操作情報が表示された撮像画像を示す図である。
【図16】ガイド部の操作に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図16(A)は第1マークが露出したときの撮像画像を示す図であり、図16(B)は操作情報が表示された撮像画像を示す図である。
【図17】回動部分を撮像した撮像画像を示す図である。
【図18】図18(A)〜(C)は、図17の撮像画像に対応する3つのモデル画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る操作情報提供システム、携帯端末及び制御プログラムの好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[多機能装置の構成]
図5に示す本実施形態の操作情報提供システム10は、図1及び図2に示す多機能装置12(操作対象装置)の操作情報を提供するものである。多機能装置12は、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を併有する複合機であり、印刷機能、コピー機能及びファクシミリ機能を発揮する際に、インク吐出ヘッド46から用紙Pに対してインクが吐出される。つまり、本実施形態の多機能装置12では、画像が記録される「記録媒体」として用紙Pが用いられ、「液体」としてインクが用いられる。また、「印刷ヘッド」又は「液体吐出ヘッド」としてインク吐出ヘッド46が用いられ、「記録媒体搬送手段」として用紙搬送機構38が用いられる。
【0014】
図1及び図2に示すように、多機能装置12は、筐体14と、プリンタ部16と、スキャナ部18と、各種の制御動作を実行する制御部20と、各種の情報を入力又は出力(表示)する操作パネル22とを有している。
【0015】
図2に示すように、筐体14は、各種の機器を収容する収容空間を構成する箱状の部材である。図1に示すように、筐体14の前面14aには、第1開口部24と第2開口部26とが幅方向に並べて設けられており、第2開口部26には、蓋体28が開閉自在に取り付けられている。また、図2に示すように、筐体14の後面14bには、点検窓30が設けられており、点検窓30には、蓋体32が開閉自在に取り付けられている。そして、筐体14の内部に、プリンタ部16及び制御部20が設けられており、筐体14の上部に、枢軸部(図示省略)を介してスキャナ部18が回動自在に設けられている。
【0016】
図3に示すように、プリンタ部16は、筐体14の内部の底部に配置された給紙トレイ34と、筐体14の内部における給紙トレイ34の上方に配置された画像形成部36と、給紙トレイ34に収容された用紙Pを画像形成部36に搬送する用紙搬送機構38と、用紙Pの搬送方向における画像形成部36の下流側であって、かつ、給紙トレイ34の上方に配置された箱状(又は板状)の排紙トレイ40とを有している。また、図4に示すように、プリンタ部16は、複数色(本実施形態では4色)のインクのそれぞれを貯留する「液体カートリッジ」としての複数(本実施形態では4つ)のインクカートリッジ42a〜42dと、インクカートリッジ42a〜42dを着脱自在に保持するカートリッジ保持部44とを有している。
【0017】
図3に示すように、給紙トレイ34は、複数の用紙Pを積層させた状態で収容する容器であり、図1に示すように、第1開口部24から筐体14の内部に着脱自在に挿し込まれている。
【0018】
図4に示すように、画像形成部36は、用紙P(図3)の表面に画像を形成する部分であり、インクを吐出する複数のノズル(図示省略)が設けられたノズル面46a(図3)を有するインク吐出ヘッド46と、インク吐出ヘッド46を保持するキャリッジ48と、キャリッジ48を用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に往復移動させる駆動部50とを有している。駆動部50は、キャリッジ48をガイドする2つのガイドレール52a,52bと、一方のガイドレール52aの上面に互いに離間して設けられた一対のプーリ54a,54bと、一対のプーリ54a,54b間に掛け渡されたタイミングベルト56と、一方のプーリ54aに回転力を付与する駆動モータ58とを有しており、タイミングベルト56に対してキャリッジ48が固定されている。
【0019】
そして、インク吐出ヘッド46のインク流路(図示省略)と、インクカートリッジ42a〜42dのそれぞれとがインクチューブ60a〜60dを介して連通されており、インク吐出ヘッド46のアクチュエータ(図示省略)と制御部20(図2)とが、フレキシブル配線基板(図示省略)を介して電気的に接続されている。さらに、駆動モータ58と制御部20(図2)とが電気配線(図示省略)を介して電気的に接続されている。
【0020】
図3に示すように、用紙搬送機構38は、インク吐出ヘッド46のノズル面46aと対向する印刷領域Qに向けて用紙Pを搬送する搬送路Rと、搬送路Rの上流側端部に近接して設けられ、給紙トレイ34に収容された用紙Pを搬送路Rに供給する給紙ローラ64と、給紙トレイ34に収容された用紙Pを1枚ずつ分離する分離傾斜板66とを有している。また、用紙搬送機構38は、印刷領域Qに配置されたプラテン68と、印刷領域Qの上流側に設けられ、所定のタイミングで用紙Pを印刷領域Qに送り出す一対の駆動ローラ70a及び押さえローラ70bと、印刷領域Qの下流側に設けられ、用紙Pを排紙トレイ40に排出する一対の排紙ローラ72a及び押さえローラ72bとを有している。搬送路Rは、用紙Pを略U字状に曲げながら搬送して当該用紙Pの搬送方向を変換する搬送方向変換部74を有しており、搬送方向変換部74より上流側では、用紙Pが前方から後方に向けて搬送され、搬送方向変換部74より下流側では、用紙Pが後方から前方に向けて搬送されるようになっている。なお、本実施形態の説明では、図2に示された多機能装置12の左側を「前」とし、右側を「後」とする。
【0021】
図3に示すように、用紙搬送機構38では、用紙Pが印刷領域Qを通過するときや、用紙Pが搬送路Rの水平な部分(以下、「水平部」という。)Tを移動するときや、用紙Pが搬送方向変換部74を通過するときに紙詰まりが生じる恐れがある。そして、図2に示すように、印刷領域Q及び水平部Tで詰まった用紙Pについては、スキャナ部18を持ち上げたときに開かれる開口部76からこれを除去することができ、搬送方向変換部74で詰まった用紙Pについては、点検窓30からこれを除去することができる。本実施形態に係る操作情報提供システム10(図5)は、これらの紙詰まりを生じた用紙Pを除去する際に、操作に関する必要な情報をユーザに対して提供することができる。
【0022】
図1に示すように、インクカートリッジ42a〜42d及びカートリッジ保持部44は、第2開口部26の奥側に位置する筐体14の下部に配置されており、カートリッジ保持部44(図4)は、インクカートリッジ42a〜42dが装着されたときに、インクカートリッジ42a〜42dに係合される係止部(図示省略)を有している。当該係止部は、インクカートリッジ42a〜42dの上面を押し下げることによって係止状態が解除されるように構成されており、係止状態が解除された後は、インクカートリッジ42a〜42dを手前に引くことで、これらを第2開口部26から引き出すことができる。本実施形態に係る操作情報提供システム10(図5)は、カートリッジ保持部44からインクカートリッジ42a〜42dを取り外す際に、操作に関する必要な情報をユーザに対して提供することができる。
【0023】
図1及び図2に示すように、スキャナ部18は、画像を読み取る画像読み取り部80と、画像読み取り部80に原稿Wを自動供給する自動供給装置82とを有している。画像読み取り部80は、原稿Wが載置される原稿台80a(図2)と、原稿台80aを覆うカバー80bと、原稿台80aに載置された原稿W、或いは、自動供給装置82から自動供給された原稿Wから画像を読み取るイメージセンサ(図示省略)とを有している。また、図1に示すように、スキャナ部18は、原稿Wのサイズに応じて位置調整可能に構成され、自動供給装置82に供給される原稿Wの供給方向に対して直交する方向の端部に沿って配置される一対のガイド部84を有している。一対のガイド部84のそれぞれは、原稿Wの端部をガイドするガイド壁84aと、ガイド壁84aにおける内側の面の下部に設けられ、原稿Wの端部を受ける板状の原稿受け部84bと、ガイド壁84aにおける内側の面の上下方向中央部に設けられ、画像読み取り部80から排出された原稿Wを受ける板状の原稿排出部84cとを有している。
【0024】
図1に示すように、自動供給装置82を用いて画像読み取り部80(図2)に原稿Wを自動供給する際には、一対のガイド部84間の間隔を調整して、ガイド壁84aを原稿Wの端部に沿うように位置決めし、カバー80bの上面における一対のガイド部84間に原稿Wを載置する。このとき、ガイド壁84aが原稿Wの端部から離間して配置されていると、ガイド部84のガイド機能が損なわれ、原稿Wが斜行して画像読み取り部80に供給される恐れがある。本実施形態に係る操作情報提供システム10(図5)は、一対のガイド部84間の間隔を適正に調整する際に、操作に関する必要な情報をユーザに対して提供することができる。
【0025】
[操作情報提供システムの構成]
図5は、実施形態に係る操作情報提供システム10を示す概念図である。図6は、携帯端末94及び画像処理サーバ98の要部構成を示すブロック図である。図7は、携帯端末94における端末制御部94dの制御動作を示すフロー図であり、図8は、画像処理サーバ98におけるサーバ制御部98cの制御動作を示すフロー図である。
【0026】
操作情報提供システム10は、「操作対象装置」としての多機能装置12の操作方法に関する操作情報を提供するシステムであり、多機能装置12の複数の操作対象部分の「第1部分」に形成された少なくとも1つの第1マーク901,902,903,904,905,906(図9〜図18参照)と、当該複数の操作対象部分の「第2部分」に形成された少なくとも1つの第2マーク921,922,923,924,925,926(図9〜図18参照)と、「撮像装置」としての携帯端末94と、インターネット、LAN、無線回線及び電話回線等のような通信回線96と、画像処理サーバ98と、通信回線96と携帯端末94との間の無線通信を行う無線通信装置97とを備えている。第1マーク901,902,903,904,905,906のそれぞれは、互いに異なる種類として区別できるように形成されており、例えば、色及び形状の少なくとも一方が互いに異なるように形成されている。また、第2マーク921,922,923,924,925,926のそれぞれは、互いに異なる種類として区別できるように形成されており、例えば、色及び形状の少なくとも一方が互いに異なるように形成されている。
【0027】
なお、以下の説明において、複数の第1マーク901を互いに区別する場合には、第1マーク901a,901b,901c…のように表示し、複数の第2マーク921を互いに区別する場合には、第2マーク921a,921b,921c…のように表示する。他の種類の第1マーク902〜906及び第2マーク922〜926についても同様に表示する。
【0028】
図5及び図6(A)に示すように、携帯端末94は撮像部94a、通信部94b、表示部94c、端末制御部94dを有している。撮像部94aは被写体を撮像する機能を有し、多機能装置12を撮像する「撮像手段」として機能する。具体的には、既知の携帯端末のカメラ部などが撮像部94aに該当する。通信部94bは各種の情報(操作情報を含む。)を画像処理サーバ98との間で無線通信装置97及び通信回線96を介してやり取りするものである。具体的には、既知の無線LAN用通信インターフェース装置や赤外線通信用の外部出力用通信インターフェース装置などが通信部94bに該当する。表示部94cは多機能装置12の撮像画像及び多機能装置12の操作方法に関する操作情報を表示する「情報表示手段」として機能するものである。具体的には、既知の携帯端末におけるディスプレイ装置などが表示部94cに該当する。端末制御部94dは撮像部94a、通信部94b、表示部94cの制御動作を実行するものである。端末制御部94dは、1又は複数のコンピュータからなり、各コンピュータはCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムやプログラムで使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUがプログラムを実行する際にデータを一時的に記憶するRAM、及びこれらを接続する内部経路等を備えている(これらについて図示省略)。CPUが実行するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記憶媒体に記憶されており、これらの記憶媒体からROMにインストールされる。そして、このプログラムがCPUで実行されることにより、端末制御部94dの機能が実現される。さらに、端末制御部94dは、表示部94cの動作を制御する「表示制御手段」としての表示制御部94eを有している。
【0029】
図5及び図6(B)に示すように、画像処理サーバ98は、「記憶手段」としての記憶部98aと、通信部98bと、サーバ制御部98cとを有している。記憶部98aは、複数の操作対象部分のそれぞれに対応する複数のモデル画像と、複数のモデル画像のそれぞれに対応して用意された複数の操作情報とを記憶するものである。つまり、記憶部98aには、全ての操作対象部分に関する複数のモデル画像及び複数の操作情報が記憶されている。記憶部98aに記憶された複数のモデル画像のそれぞれには、第1マーク901〜906のいずれかと第2マーク921〜926のいずれかとが含まれている。通信部98bは、各種の情報(操作情報を含む。)を携帯端末94との間で通信回線96及び無線通信装置97を介してやり取りするものである。具体的には、既知の外部出力用の通信インターフェース装置などが通信部98bに該当する。サーバ制御部98cは、通信部98bの制御動作を実行する機能を有している。また、サーバ制御部98cは、特定部98d(特定手段に相当)を有しており、この特定部98dは、「撮像装置」としての携帯端末94で撮像された撮像画像と、「記憶手段」としての記憶部98aに記憶された複数のモデル画像とを比較することによって、撮像画像に最も近似した最近似モデル画像を特定する機能を有している。
【0030】
サーバ制御部98cは、1又は複数のコンピュータからなり、各コンピュータはCPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するプログラムやプログラムで使用されるデータを書き替え可能に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUがプログラムを実行する際にデータを一時的に記憶するRAM、及びこれらを接続する内部経路等を備えている(これらについて図示省略)。CPUが実行するプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記憶媒体に記憶されており、これらの記憶媒体からROMにインストールされる。そして、このプログラムがCPUで実行されることにより、サーバ制御部98cの各機能が実現される。サーバ制御部98cの特定部98dは、さらに第1選択処理実行部98e及び第2選択処理実行部98fを有している。これらの機能については後述する。
【0031】
無線通信装置97は、画像処理サーバ98のサーバ制御部98cから発信されたデータを、通信回線96を介して受信するとともに、当該データを無線通信により携帯端末94に送信し、かつ、携帯端末94から発信されたデータを、無線通信により受信するとともに、当該データを通信回線96を介してサーバ制御部98cに送信する機能を有している。具体的には、既知の無線LAN用通信インターフェース装置や赤外線通信用の外部出力用通信インターフェース装置などが無線通信装置97に該当する。
【0032】
本実施形態に係る操作情報提供システム10は、複数の操作対象部分のそれぞれについて、必要な操作情報を提供することができるように構成されており、複数の操作対象部分のそれぞれには、異なる種類の第1マーク901〜906と、異なる種類の第2マーク921〜926とが形成されている。そこで、以下には、操作対象部分のそれぞれで必要となる操作ごとに操作情報提供システム10の動作を説明する。
【0033】
(キャリッジの周辺部における紙詰まり処理1)
図9は、キャリッジ48の周辺部における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図9(A)は第1マーク901eがキャリッジ48で被覆されたときの撮像画像X1を示す図であり、図9(B)はキャリッジ48の操作に関する操作情報102aが表示された撮像画像X1を示す図である。図10は、キャリッジ48の周辺部における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図10(A)はキャリッジ48の操作を完了した後の撮像画像X2を示す図であり、図10(B)は用紙Pの除去に関する操作情報102cが表示された撮像画像X2を示す図である。そして、図11(A)〜(C)は、図9(A)及び図10(A)のそれぞれの撮像画像X1,X2に対応する3つのモデル画像100a〜100c及び操作情報102a〜102cを示す図である。モデル画像100a〜100cと操作情報102a〜102cとは互いに関連付けられている。
【0034】
図9(A)に示すように、本実施形態では、キャリッジ48をガイドするガイドレール52bの第1部分に少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の第1マーク901a〜901fが形成されており、当該ガイドレール52bの第2部分に少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク921が形成されている。第1部分及び第2部分は共に固定部であり、第1部分はガイドレール52bのほぼ全長に亘る領域に位置しており、第2部分はガイドレール52bの長手方向端部に位置している。つまり、本実施形態では、複数の第1マーク901a〜901fのうち少なくとも1つが、用紙搬送機構38により搬送される用紙Pが搬送不良状態となったときに、その用紙Pによって被覆されると想定される位置(第1部分)に形成されている。また、第2マーク921が、用紙搬送機構38により搬送される用紙Pが搬送不良状態となったときに、その用紙Pによって被覆されることがないと想定される位置(第2部分)に形成されている。
【0035】
図7は、携帯端末94における端末制御部94dの制御動作を示すフロー図である。操作情報提供システム10を用いて多機能装置12の操作情報を取得する際には、まず、ユーザが携帯端末94(図5)を操作することにより、操作情報を取得しようとする操作対象部分の撮像が行われる(ステップS1)。このステップS1では、操作対象部分に形成された第1マーク901及び第2マーク921が共に撮像画像X1に含まれるように、ユーザによって携帯端末94(図5)が操作され、携帯端末94の撮像部94a(図6(A))によって撮像画像X1のデータを取得(撮像)する撮像動作が実行される。図9(A)に示すように、ステップS1で撮像された撮像画像X1には、5つの第1マーク901a〜901d,901fと1つの第2マーク921とが含まれており、第1マーク901eがキャリッジ48で被覆されている。
【0036】
次に、ユーザの操作により、又はステップS1の撮像動作に連動することにより、携帯端末94で撮像された撮像画像X1(図9(A))のデータが画像処理サーバ98(図5)に送信される(ステップS3)。このステップS3では、携帯端末94の端末制御部94d(図6(A))で通信部94b(図6(A))が制御されることによって、撮像画像X1のデータが無線通信装置97及び通信回線96(図5)を介して画像処理サーバ98(図5)に送信される。そして、画像処理サーバ98の通信部98bで撮像画像X1のデータが受信される。画像処理サーバ98では、撮像画像X1に対応する操作情報102a(図11(A))が後述する方法により適宜選択され、選択された操作情報102aのデータが携帯端末94に向けて送信される。この操作情報102aのデータが通信部94bによって受信されると(ステップS5)、表示制御部94eは、表示部94cに既に表示された撮像画像X1の上に操作情報102aを重ねて表示するよう表示部94cを制御する(ステップS7)。図9(B)に示すように、本実施形態の操作情報102aは、手の画像とキャリッジ48の操作方向を示す矢印の画像であり、撮像画像X1及び操作情報102aを見たユーザは、キャリッジ48を矢印方向(右側)に移動させればよいことが分かる。
【0037】
ユーザがキャリッジ48を右側に移動させる操作(第1段階の操作)を完了すると、図10(A)に示すように、多機能装置12(キャリッジ48の周辺部分)の状態が変わるので、続いて、用紙Pを除去する操作(第2段階の操作)を実行する必要がある。そこで、図7のステップS9では、「NO」すなわち用紙Pを除去する操作に関する情報の表示を終了しないと判断され、ステップS1〜S7までの動作が再び実行される。第2段階の操作に関するステップS7では、図10(B)に示すように、表示部94cによって表示された撮像画像X2の上に第2段階の操作に関する操作情報102cが重ねて表示される。この操作情報102cは、手の画像と用紙Pの移動方向を示す矢印の画像であり、撮像画像X2及び操作情報102cを見たユーザは、用紙Pを矢印方向に除去すればよいことが分かる。用紙Pを除去する操作を完了すると、図7のステップS9において「YES」と判断され、携帯端末94の制御動作が終了される。なお、第1段階の操作から第2段階の操作にスムーズに移行するためには、撮像部94aによる多機能装置12の撮像を継続的又は間欠的に行うことが望ましい。
【0038】
図8は、画像処理サーバ98におけるサーバ制御部98cの制御動作を示すフロー図である。画像処理サーバ98(図6(B))では、まず、ステップS11において、通信部98bによって撮像画像X1(図9(A))のデータが受信される。続いて、特定部98dの第1選択処理実行部98eにより、「第1選択処理」が実行される(ステップS13)。つまり、特定部98d(特定手段)における第1選択処理実行部98eは、記憶部98aに記憶されている複数のモデル画像から、撮像画像X1に撮像されている第1マーク901及び第2マーク921と同じ種類の第1マーク901及び第2マーク921を含むモデル画像100a〜100cのみを選択する「第1選択処理」を実行する。
【0039】
ここで、第1選択処理実行部98e(図6(B))の同種第2マーク選択処理実行部98hは、記憶部98aに記憶されている複数のモデル画像から、撮像画像X1に撮像されている第2マーク921と同じ種類の第2マーク921を含むモデル画像のみを選択する同種第2マーク選択処理を実行する「同種第2マーク選択処理実行手段」として機能する。また、第1選択処理実行部98eの同種第1マーク選択処理実行部98gは、同種第2マーク選択処理で選択されたモデル画像から、撮像画像X1に撮像されている第1マーク901と同じ種類の第1マーク901を含むモデル画像100a〜100cのみを選択する同種第1マーク選択処理を実行する「同種第1マーク選択処理実行手段」として機能する。つまり、「特定手段」が有する「第1選択処理実行手段」が、さらに「同種第2マーク選択処理実行手段」と「同種第1マーク選択処理実行手段」とを有している。このように、まず、第2マーク921に着目してモデル画像を大まかに選択し、その後、第1マーク901に着目してモデル画像100a〜100cを細かく選択するようにしているので、モデル画像100a〜100cを速やかに選択することができる。
【0040】
「第1選択処理」が完了すると、ステップS15において「第2選択処理」が実行される。つまり、ステップS15において、特定部98dの第2選択処理実行部98fは、「第1選択処理」で選択されたモデル画像100a〜100c(図11(A)〜(C))から、第1マーク901と第2マーク921との相対位置関係が撮像画像X1に撮像されている第1マーク901と第2マーク921との相対位置関係と最も近似するモデル画像100a(図11(A))を選択する「第2選択処理」を実行する「第2選択処理実行手段」として機能する。また、特定部98dの第2選択処理実行部98f(又はその他の所定部分)は、「第2選択処理」で選択されたモデル画像100aを最近似モデル画像として特定する「最近似モデル画像特定手段」として機能する。次のステップS17では、サーバ制御部98cによって、操作情報102a(図11(A))のデータを通信部98b、通信回線96及び無線通信装置97を介して携帯端末94に送信する送信処理が実行される。
【0041】
以上は、キャリッジ48を右側に移動させる操作(第1段階の操作)に関するサーバ制御部98cの制御動作であり、ステップS17の段階で終了したのでは、用紙Pの除去に関する操作情報を取得することができない。そこで、ステップS19では、「NO」すなわち終了しないと判断され、ステップS11〜S17までの動作が再び実行される。用紙Pを除去する操作(第2段階の操作)に関するステップS13,S15では、最近似モデル画像としてモデル画像100c(図11(C))が選択され、ステップS17では、サーバ制御部98cによって、操作情報102c(図11(C))のデータを通信部98b、通信回線96及び無線通信装置97を介して携帯端末94に送信する送信処理が実行される。第2段階の操作が完了すると、図8のステップS19において「YES」と判断され、画像処理サーバ98の制御動作が終了される。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る操作情報提供システム10によれば、多機能装置12におけるキャリッジ48の周辺部分の操作情報(キャリッジ48の操作及び用紙Pの除去に関する操作情報)を、第1マーク901と第2マーク921との相対的な位置関係に基づいて容易に取得することができる。
【0043】
(キャリッジの周辺部における紙詰まり処理2)
本実施形態では、上述のように、キャリッジ48をガイドするガイドレール52bの第1部分(固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では6つ)の第1マーク901a〜901fが形成されており、当該ガイドレール52bの第2部分(固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク921が形成されているが、他の実施形態では、少なくとも1つの第1マークが、キャリッジ48又はインク吐出ヘッド46(可動部)に形成されてもよい。この場合には、キャリッジ48又はインク吐出ヘッド46(可動部)に形成された第1マークと、第2部分(固定部)に形成された第2マークとの相対位置関係が変動するので、図8のステップS13,15では、当該相対位置関係と最も近似する最近似モデル画像を特定し、図7のステップS7では、当該最近似モデル画像に対応する操作情報を表示させる。これにより、ユーザは、当該相対位置関係に応じた操作情報を容易に知ることができる。例えば、キャリッジ48がホームポジションに位置するか、或いは、搬送路Rの上方に位置するかによって取るべき操作が異なる場合でも、ユーザは、上記操作情報に従って取るべき操作を適切に行うことができる。
【0044】
(搬送路における紙詰まり処理)
図12は、搬送路R(水平部T)における紙詰まり処理に関する撮像画像を示す図であり、図12(A)は紙詰まりが無いときの撮像画像X3を示す図であり、図12(B)は一部の第1マーク902bが紙詰まりを生じた用紙Pで被覆されたときの撮像画像X4を示す図である。図13(A)〜(C)は、図12(B)の撮像画像X4に対応する3つのモデル画像104a〜104cを示す図である。
【0045】
本実施形態では、搬送路Rにおける水平部Tの表面又はその近傍(第1部分,固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の第1マーク902a〜902dが形成されており、水平部Tの側部又はその近傍(第2部分,固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク922が形成されている。したがって、水平部Tで用紙Pの紙詰まりが生じると、紙詰まりを生じた用紙Pによって第1マーク902a〜902dの一部又は全部が被覆される。そこで、操作情報提供システム10によって、図7及び図8に示した方法と同様の方法により、紙詰まり処理に関する操作情報が提供される。なお、この紙詰まり処理に関して用いられる撮像画像は、紙詰まりを生じた用紙Pを含む撮像画像X4(図12(B))である。
【0046】
図12及び図13に示すように、本実施形態において、3つのモデル画像104a〜104cのうち、第1マーク902と第2マーク922との相対位置関係が、撮像画像X4(図12(B))に撮像されている第1マーク902と第2マーク922との相対位置関係と最も近似するモデル画像は、モデル画像104b(図13(B))である。そこで、図8のステップS13,S15では、最近似モデル画像としてモデル画像104bが選択され、ステップS7では、「表示制御手段」としての表示制御部94eによって、モデル画像104bに対応する操作情報(図示省略)を表示部94cに表示させるように表示処理が実行される。
【0047】
(搬送方向変換部における紙詰まり処理)
図14は、搬送方向変換部74における紙詰まり処理に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図14(A)は第1マーク903a〜903dが紙詰まりを生じた用紙Pで被覆されたときの撮像画像X5を示す図であり、図14(B)は操作情報106が表示された撮像画像X5を示す図である。
【0048】
搬送方向変換部74では、搬送方向変換部74又はその近傍(第1部分,固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の第1マーク903a〜903dが形成されており、搬送方向変換部74の側部又は搬送方向変換部74から外れた部分(第2部分,固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク923が形成されている。したがって、搬送方向変換部74で用紙Pの紙詰まりが生じると、紙詰まりを生じた用紙Pによって第1マーク903a〜903dの一部又は全部が被覆される。そこで、操作情報提供システム10によって、図7及び図8に示した方法と同様の方法により、紙詰まり処理に関する操作情報が提供される。
【0049】
図14(A)に示すように、この紙詰まり処理に関して、ステップS1(図7)で撮像された撮像画像X5は、全ての第1マーク903a〜903dが用紙Pで被覆された画像である。また、図14(B)に示すように、ステップS7(図7)で表示される操作情報106は、2つの手の画像と用紙Pの操作方向を示す矢印の画像である。したがって、撮像画像X5及び操作情報106を見たユーザは、用紙Pの幅方向両端部を手で持って、用紙Pを矢印方向に除去すればよいことが分かる。
【0050】
(インクカートリッジの操作)
図15は、インクカートリッジ42a〜42dの操作に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図15(A)は第1マーク904dがユーザの手指で被覆されたときの撮像画像X6を示す図であり、図15(B)は操作情報108が表示された撮像画像X6を示す図である。
【0051】
インクカートリッジ42a〜42dでは、これらの上面(第1部分,固定部)に第1マーク904a〜904dが形成されており、インクカートリッジ42a〜42dから外れた部分(第2部分,固定部)に少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク924が形成されている。したがって、インクカートリッジ42a〜42dのいずれかを手指で押し下げて取り外す際には、第1マーク904a〜904dのいずれかが手指で被覆される。そこで、操作情報提供システム10によって、図7及び図8に示した方法と同様の方法により、インクカートリッジ42a〜42dの取り外しに関する操作情報が提供される。
【0052】
図15(A)に示すように、このインクカートリッジの操作に関して、ステップS1(図7)で撮像された撮像画像X6は、第1マーク904dが手指で被覆された画像である。また、図15(B)に示すように、ステップS7(図7)で表示される操作情報108は、インクカートリッジ42dの移動方向を示す画像である。したがって、撮像画像X6及び操作情報108を見たユーザは、インクカートリッジ42dを手前に移動させればよいことが分かる。
【0053】
なお、インクカートリッジ42a〜42dの装着状態を確認する場合、第1マーク904a〜904dが形成されるインクカートリッジ42a〜42dの上面(第1部分)は「可動部」となり、インクカートリッジ42a〜42dのいずれかが確実に装着されていない場合には、それに対応する第1マーク904a〜904dと、インクカートリッジ42a〜42dから外れた部分(第2部分,固定部)に形成された第2マーク924との相対位置関係が変動する。そこで、操作情報提供システム10では、当該相対位置関係に関する複数のモデル画像が用意され、当該相対位置関係に応じて、インクカートリッジ42a〜42dを確実に装着するための操作情報が提供される。
【0054】
(ガイド部の操作)
図16は、ガイド部84の操作に関する撮像画像及び操作情報を示す図であり、図16(A)は第1マーク905a,905bが露出したときの撮像画像X7を示す図であり、図16(B)は操作情報110が表示された撮像画像X7を示す図である。
【0055】
本実施形態では、一対のガイド部84のそれぞれにおける原稿受け部84bの上面(第1部分,可動部)に、第1マーク905a,905bが形成されており、自動供給装置82の上面(第2部分,固定部)に、少なくとも1つ(本実施形態では1つ)の第2マーク925が形成されている。したがって、用紙Pのサイズに応じてガイド部84間の間隔が適正に調整されていない場合には、第1マーク905a及び905bの少なくとも一方が露出し、ガイド部84間の間隔が適正に調整されているときには、用紙Pによって第1マーク905a及び905bの両方が被覆される。そこで、操作情報提供システム10によって、図7及び図8に示した方法と同様の方法により、ガイド部84の操作に関する操作情報が提供される。
【0056】
図16(A)に示すように、このガイド部の操作に関して、ステップS1(図7)で撮像された撮像画像X7は、全ての第1マーク905a,905bが露出した画像である。また、図16(B)に示すように、ステップS7(図7)で表示される操作情報110は、2つの手の画像とガイド部84の移動方向を示す矢印の画像である。したがって、撮像画像X7及び操作情報110を見たユーザは、矢印方向(ガイド部84間の間隔を狭くする方向)にガイド部84を移動させればよいことが分かる。
【0057】
なお、ステップS1(図7)で撮像された撮像画像X7は、全ての第1マーク905a,905bが用紙Pで被覆された画像であってもよい。この場合、ステップS13,15(図8)では、多機能装置12の状態が適正であることを示す情報を含む操作情報(以下、「適正情報」という。)が複数の操作情報の中から特定され、ステップS7(図7)では、当該適正情報が携帯端末94の表示部94cに表示される。この場合の適正情報は、操作をする必要がないことを示す情報であってもよい。また、多機能装置12は、受信装置を備えるとともに、当該適正情報を受信したときに、通常の動作を開始するように構成されてもよいし、当該適正情報を操作パネル22に表示するように構成されてもよい。さらに、このような適正情報を提供する動作は、他の操作対象部分において操作情報を提供する場面で実行されてもよい。表示部94c又は操作パネル22に適正情報を表示することにより、ユーザは、多機能装置12の状態が適正であることを容易に確認することができる。
【0058】
(回動部分の操作)
図17は、回動部分120を撮像した撮像画像X8を示す図であり、図18(A)〜(C)は、図17の撮像画像X8に対応する3つのモデル画像124a〜124cを示す図である。
【0059】
「操作対象装置」の種類によっては、回動軸を中心として回動される回動部分120を有する場合があり、この回動部分120の状態(回動角度等)に応じて、取るべき操作が異なる場合がある。そこで、操作情報提供システム10によって、図7及び図8に示した方法と同様の方法により、回動部分120の状態(回動角度等)に応じた必要な操作情報が提供される。
【0060】
図17に示すように、本実施形態では、回動部分120(第1部分,可動部)に第1マーク906が形成され、他の部分122(第2部分,固定部)に第2マーク926が形成されている。したがって、回動部分120を回転させると、第1マーク906と第2マーク926との相対位置関係が変動する。
【0061】
図17及び図18に示すように、本実施形態において、3つのモデル画像124a〜124cのうち、第1マーク906と第2マーク926との相対位置関係が、撮像画像X8に撮像されている第1マーク906と第2マーク926との相対位置関係と最も近似するモデル画像は、モデル画像124a(図18(A))である。そこで、図8のステップS13,S15では、最近似モデル画像としてモデル画像124aが選択され、ステップS7では、「表示制御手段」としての表示制御部94eによって、モデル画像124aに対応する操作情報(図示省略)を表示部94cに表示させるように表示処理が実行される。例えば、回動部分120を所定角度で回動させた後にこれを引っ張る必要がある場合には、引っ張る方向を示す矢印等が操作情報として表示部94cに表示される。
【0062】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、「操作対象装置」としてインクを吐出するインク吐出ヘッド46を有する多機能装置12を用いているが、他の実施形態では、「操作対象装置」として、処理液を吐出する処理液吐出ヘッドを有する装置を用いてもよいし、プリンタ、コピー機、スキャナー装置及びファクシミリ装置等のような単機能装置を用いてもよい。すなわち、「操作対象装置」となる装置は、どのような装置であってもよい。
【0063】
上述の実施形態では、操作情報が図形画像(手の画像及び矢印の画像)の構成であるが、他の実施形態では、操作の内容に関する文字情報を操作情報に含めてもよい。また、他の画像を操作情報に含めてもよい。
【0064】
上述の実施形態では、撮像画像の上に操作情報の表示を重ねているが、操作情報の重ね方を特別なものとしてもよい。例えば、第1マーク及び第2マークの少なくとも一方の見え方の変化(傾き、角度、形状、大きさの変化等)を解析し、立体化した操作情報をリアルタイムに撮像画像に重ね合わせてもよい。この技術は、AR(Augmented Reality)技術に関するものということができる。
【0065】
上述の実施形態では、第1マークや第2マークを特別に設けた構成となっているが、第1マーク及び第2マークは、操作対象装置の各部位の表面に描かれた模様であってもよい。また、判断を用意とするために、第1マーク及び第2マークをバーコードなどの特定し易いものとしてもよい。
【0066】
上述の実施形態では、第1マークを含むモデル画像や第2マークを含むモデル画像を選択する構成となっているが、第1マークや第2マークを共通性のない模様(例えば、バーコードなど)とすれば、第1マークや第2マークのみで撮像画像の特定が可能である。つまり、第1マークや第2マークそのものをモデル画像として取り扱ってもよい。その場合に第1マーク及び第2マークの大きさや傾き、変形度合いを解析し、撮像画像の範囲や立体的な位置を特定してもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、モデル画像と操作画像とを記憶する「記憶手段」と、最近似画像を特定する「特定手段」とが、画像処理サーバ98において実現されているが、これらの少なくとも1つは、「操作対象装置」としての多機能装置12で実現されてもよいし、「撮像装置」としての携帯端末94で実現されてもよい。これらの少なくとも1つが多機能装置12で実現される場合、多機能装置12が、携帯端末94と通信する「通信手段」を備えることになる。
【符号の説明】
【0068】
P… 用紙
Q… 印刷領域
R… 搬送路
T… 水平部
W… 原稿
X1〜X8… 撮像画像
10… 操作情報提供システム
12… 多機能装置
38… 用紙搬送機構
42a〜42d… インクカートリッジ
46a… ノズル面
46… インク吐出ヘッド
48… キャリッジ
74… 搬送方向変換部
84… ガイド部
901〜906 …第1マーク
921〜926… 第2マーク
94… 携帯端末(撮像装置)
94a… 撮像部(撮像手段)
94c… 表示部(情報表示手段)
94d… 端末制御部
94e… 表示制御部(表示制御手段)
98… 画像処理サーバ
98a… 記憶部(記憶手段)
98c… サーバ制御部(特定手段)
100,104,124… モデル画像
102,106,108,110… 操作情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象装置の操作方法に関する操作情報を提供する操作情報提供システムであって、
前記操作対象装置の第1部分に形成された少なくとも1つの第1マークと、
前記操作対象装置の第2部分に形成された少なくとも1つの第2マークと、
情報表示手段と前記操作対象装置を撮像する撮像手段とを有する撮像装置と、
前記操作対象装置に関する画像であって前記第1マークと前記第2マークとがそれぞれ1つ以上画像内に含まれている複数のモデル画像と、前記複数のモデル画像のそれぞれに対応して用意された複数の操作情報とを記憶する記憶手段と、
前記撮像装置で撮像された撮像画像と、前記記憶手段に記憶された前記複数のモデル画像とを比較することによって、前記撮像画像に最も近似した最近似モデル画像を特定する特定手段と、
前記特定手段にて特定された前記最近似モデル画像に対応する前記操作情報を表示させるように前記情報表示手段を制御する表示制御手段とを備え、
前記特定手段は、
前記複数のモデル画像から、前記撮像画像に撮像されている第1マーク及び第2マークと同じ種類の第1マーク及び第2マークを含むモデル画像のみを選択する第1選択処理を実行する第1選択処理実行手段と、
前記第1選択処理で選択されたモデル画像から、第1マークと第2マークとの相対位置関係が前記撮像画像に撮像されている第1マークと第2マークとの相対位置関係と最も近似するモデル画像を選択する第2選択処理を実行する第2選択処理実行手段とを含み、
前記第2選択処理実行手段にて選択されたモデル画像を前記最近似モデル画像として特定する、ことを特徴とする操作情報提供システム。
【請求項2】
前記第1部分は可動部であり、
前記第2部分は固定部である、請求項1に記載の操作情報提供システム。
【請求項3】
前記第1選択処理実行手段は、
前記複数のモデル画像から、前記撮像画像に撮像されている第2マークと同じ種類の第2マークを含むモデル画像のみを選択する同種第2マーク選択処理を実行する同種第2マーク選択処理実行手段と、
前記同種第2マーク選択処理で選択されたモデル画像から、前記撮像画像に撮像されている第1マークと同じ種類の第1マークを含むモデル画像のみを選択する同種第1マーク選択処理を実行する同種第1マーク選択処理実行手段と、を有することを特徴とする請求項2に記載の操作情報提供システム。
【請求項4】
前記操作対象装置は、液体を吐出するノズルが設けられたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを保持するキャリッジと、前記ノズル面と対向する印刷領域に向けて記録媒体を搬送する搬送路と、前記キャリッジを記録媒体の搬送方向に対して直交する方向に往復移動させる駆動部とを有し、
前記第1マークは、前記キャリッジ又は前記液体吐出ヘッドに設けられる、請求項2又は3に記載の操作情報提供システム。
【請求項5】
前記操作対象装置は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、その用紙搬送手段によって搬送される用紙に対して印刷を行う印刷ヘッドとを有し、
前記第1部分及び前記第2部分は共に固定部であり、
前記第2マークは、前記用紙搬送手段により搬送される用紙が搬送不良状態となったときに、その用紙によって被覆されることがないと想定される位置に形成され、
前記第1マークは、前記第1部分に複数形成され、
複数の前記第1マークのうち少なくとも1つは、前記用紙搬送手段により搬送される用紙が搬送不良状態となったときに、その用紙によって被覆されると想定される位置に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の操作情報提供システム。
【請求項6】
前記用紙搬送手段は、用紙を略U字状に曲げながら搬送して、当該用紙の搬送方向を変換する搬送方向変換部を有し、
複数の前記第1マークは、前記搬送方向変換部又はその近傍に設けられる、請求項5に記載の操作情報提供システム。
【請求項7】
前記操作対象装置は、液体を吐出するノズルが設けられたノズル面を有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給される液体を貯留する液体カートリッジと、前記液体カートリッジを着脱自在に保持するカートリッジ保持部とを有し、
前記第1マークは、前記液体カートリッジに設けられる、請求項2又は3に記載の操作情報提供システム。
【請求項8】
前記操作対象装置は、画像を読み取る画像読み取り部と、前記画像読み取り部に原稿を自動供給する自動供給装置と、原稿のサイズに応じて位置調整可能に構成され、前記自動供給装置に供給される原稿の供給方向に対して直交する方向の端部に沿って配置されるガイド部とを有し、
前記ガイド部は、前記原稿の端部を受ける原稿受け部を有しており、
前記第1マークは、前記原稿受け部の上面に設けられる、請求項2又は3に記載の操作情報提供システム。
【請求項9】
複数の前記モデル画像の少なくとも1つは、前記操作対象装置の状態が適正であるときの適正画像であり、
前記適正画像に対応して用意された前記操作情報は、前記操作対象装置の状態が適正であることを示す情報を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の操作情報提供システム。
【請求項10】
前記操作対象装置は、
前記特定手段が前記最近似モデル画像として前記適正画像を特定したときに、前記操作対象装置の状態が適正であることを知らせる報知手段を有する、請求項9に記載の操作情報提供システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の操作情報提供システムにおける少なくとも前記撮像装置として機能する、携帯端末。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載の操作情報提供システムにおける少なくとも前記特定手段としてコンピュータを機能させる、制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−231361(P2012−231361A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99133(P2011−99133)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】