説明

操向トルク及び操向角測定装置並びにこれを備えた車両用操向装置

本発明は操向トルク及び操向角測定装置に係り、出力軸に固定されるステータと、ステータの内面に配置され、入力軸に固定されるマグネットと、ステータとマグネットとの間で発生する磁場を感知して操向トルクを測定するトルクセンサーと、通常はON信号を出力し、出力軸が回転すると、出力軸の定められた回転区間毎にOFF信号を出力して操向角を測定する操向角信号発生部と、を含む。これにより、部品数を減らし、製造工程を単純化し、コストを節減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操向装置に用いられる操向トルク及び操向角測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用パワーステアリングシステムは、操向輪にかかる摩擦抵抗が大きく操向ハンドルを操向するための操作力が大きいとき、操向ハンドルを円滑に操作できるように補助操作力を提供するシステムである。操向ハンドルの操向を補助する補助操作力は、操向ハンドルを操向するときにトーションバーにかかるトルクを測定して、その大きさを決定する。
【0003】
操向ハンドルのトルクを測定する装置として、様々な方式のトルク測定装置が開発されて使用されているが、部品数が少なく安価な磁場方式が主に使用されている。
【0004】
操向角測定装置(モジュール)には、アングルセンサーが含まれており、このアングルセンサーは、走行中の車両の制御に必要な操向ハンドルの操向の度合いを測定する。
【0005】
また、トルク測定装置(モジュール)には、トルクセンサーが装着されており、このトルクセンサーは、操向ハンドルを円滑に操作できるようにトーションバーにかかるトルクを測定する。
【0006】
かかるアングルセンサーとトルクセンサーは、アングルトルクセンサーの組立体内で他の構成部材と共に個別にモジュール化され、すなわち、アングルセンサーモジュールとトルクセンサーモジュールとで構成される。
【0007】
従来は、上記のように操向トルク及び操向角を感知するためのトルクセンサー及びアングルセンサーをそれぞれ個別に設置していた。したがって、従来のトルク測定装置においては、部品数が増加し、設置工程が複雑なためにコストが上昇するという問題があった。特に、アングルセンサーの場合には、その費用が高く、設置が難しいという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、操向トルク及び操向角の測定機能を一つのアセンブリーに構成して、部品数を減らし、製造工程を単純化して、コストを節減できる操向トルク及び操向角測定装置並びにこれを備えた車両用操向装置を提供するためのものである。
【0009】
本発明が成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されることなく、言及されないさらに他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る操向トルク及び操向角測定装置は、出力軸に固定されるステータと、ステータの内面に配置されて入力軸に固定されるマグネットと、ステータとマグネットとの間に発生する磁場を感知して操向トルクを測定するトルクセンサーと、通常はON信号を出力し、出力軸が回転すると、出力軸の定められた回転区間毎にOFF信号を出力して操向角を測定するようにする操向角信号発生部と、を含む。
【0011】
操向角信号発生部は、印刷回路基板に固定されて磁場を発生させるマグネットと、マグネットと向き合うように配置され、マグネットの磁場を感知して通常はON信号を出力するホールスイッチと、出力軸に固定されて共に回転し、ホールスイッチと向き合う位置にくるとホールスイッチがOFF信号を発生するようにする回転ツースと、を含む。
【0012】
マグネットは、ホールスイッチと向き合う面がN極またはS極になるように配置される。
【0013】
回転ツースは、出力軸に固定される固定部材の一側から突出して形成されるか、出力軸に固定される固定部材に窪んで形成される。
【0014】
本発明の一実施例に係る車両用操向装置は、操向ハンドルと連結される入力軸と、操向輪と連結され、トーションバーを媒介として入力軸と連結される出力軸と、出力軸に固定されるステータと、ステータの内面に配置されて入力軸に固定されるマグネットと、ステータとマグネットとの間に発生する磁場を感知して操向トルクを測定するトルクセンサーと、通常はON信号を出力し、出力軸が回転すると、出力軸の定められた回転区間毎にOFF信号を出力して操向角を測定するようにする操向角信号発生部と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施例に係る操向トルク及び操向角測定装置は、出力軸に配置されており、出力軸が回転すると、共に回転しながら定められた回転区間毎にOFF信号を出力させて、操向角を測定する操向角信号発生部が操向トルクと共に一つのアセンブリーに構成されることにより、部品数を減らして、製造工程を単純化し、コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用操向装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る操向トルク及び操向角測定装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る操向角信号発生部の側面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る操向角信号発生部の構成図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る操向角信号発生部の回転ツースを示した平面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る操向角信号発生部における操向角感知のためのホールスイッチの出力を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施例に係るマグネットの磁束変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付された図面を参照して、本発明に係る実施例について詳細に説明する。この過程において、図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭と便宜のために誇張して示すことがある。また、本発明の構成及び作用を顧慮して特別に定義された用語は、使用者、運用者の意図または慣例によって変わることがある。したがって、これらの用語に対する定義は本明細書の全般にわたる内容に基づき行われるべきである。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係る操向装置を示す構成図である。
【0019】
本発明の一実施例に係る操向装置は、操向ハンドル100と、該操向ハンドル100と連結されて、操向ハンドル100を回転させると、共に回転される入力軸200と、該入力軸200とトーションバーを媒介として連結されて、操向輪とも連結される出力軸300と、入力軸200と出力軸300との間に設置されて操向トルク及び操向角を感知する操向トルク及び操向角測定装置400と、を含む。
【0020】
図2は、本発明の一実施例に係る操向トルク及び操向角測定装置を示す分解斜視図である。
【0021】
図2に示すように、一実施例に係る操向トルク及び操向角測定装置は、ケース11、13と、該ケース11、13の内部に配置されるステータ20と、該ステータ20の内部に配置されるマグネット30とを含む。
【0022】
ケース11、13は、その内部に空間を有する第1ケース11と第2ケース13が相互結合して構成される。第1ケース11には入力軸200が挿入される貫通孔14が形成されて、第2ケース13には出力軸300が挿入される貫通孔15が形成される。
【0023】
ステータ20は第2ケース13の内部に配置されて出力軸300に固定されるステータホルダー22と、該ステータホルダー22の内周面に結合される複数のステータツース21と、を含む。
【0024】
ステータツース21は、ステータホルダー22の上側及び下側にそれぞれ結合される一対の構成となっている。
【0025】
ステータホルダー22は、磁束を集中させるステータツース21において磁束漏れが生じることを防止するために非磁性体から形成されるべきであり、出力軸300が嵌合固定できるように一定レベル以上の強度を有するべきである。
【0026】
マグネット30はステータホルダー22の内部に配置され、ステータホルダー22の内面に装着されたステータツース21と所定のギャップをおいて互いに向き合う配置となり、円周方向に等間隔をおいて極性が変化できるように複数の極を有するリング形状で形成される。
【0027】
かかるマグネット30はマグネットホルダー32の外周面に固定されており、マグネットホルダー32には入力軸200が固定される。
【0028】
入力軸200と出力軸300はトーションバーによって連結されており、出力軸300は路面と接触した操向輪とも連結されているため、外力を加えて操向ハンドル100を回転させたとき、入力軸200と出力軸300の回転角度は相異する。したがって、マグネット30とステータ20の回転角度も相異する。
【0029】
ケース10の内部には、操向トルクを感知するトルクセンサー50が備えられている。トルクセンサー50は、コレクターと向き合って配置される。コレクターは、ステータ20とマグネット30との間に形成される磁場を集中して、トルクセンサー50はコレクターに集中された磁場を感知して操向トルクを測定する。
【0030】
トルクセンサー50は、ケース10の内部に装着される印刷回路基板40に固定され、印刷回路基板40と電気的に連結される。
【0031】
ケース11、13の内部には、操向角を測定するためのインデックス信号を出力する操向角信号発生部が備えられる。
【0032】
操向角信号発生部は、図3及び図4に示すように、印刷回路基板40に固定されて磁場を発生させるマグネット41と、該マグネット41と向き合うように配置されて、マグネット41の磁場を感知して通常はON信号を出力するホールスイッチ42と、出力軸300に固定されて共に回転し、該ホールスイッチ42と向き合う位置にくると、ホールスイッチ42がOFF信号を発生させて操向角を測定する回転ツース31と、を含む。
【0033】
印刷回路基板40は、その中央部に回転ツース31が配置されるように、ほぼ片側が除去された円形状の溝が形成され、その全体的な形状は円形の一部が切り欠かれた形態で形成される。
【0034】
マグネット41は印刷回路基板40に固定され、ホールスイッチ42と向き合う面がN極またはS極になるように配置される。
【0035】
そして、ホールスイッチ42はマグネット41と向き合うように配置され、マグネット41の磁場を感知して通常はON信号を出力する状態にあるものの、回転ツース31が回転してきて向き合う位置にくるとOFF信号を出力する。
【0036】
出力軸300の外周面には、リング形状で形成される回転部材30が固定されて、この回転部材30には一つ以上の回転ツース31が突出して形成される。
【0037】
そして、他の実施例において、図5に示すように、回転ツース34は回転部材35の外周面から窪んだ形態で形成されるとよい。このとき、回転ツース34は三角形状の溝に形成されることが望ましい。
【0038】
上記のように構成される回転ツース及びマグネットにより、ホールスイッチ42は図6に示したような信号を出力する。すなわち、マグネット41とホールスイッチ42は互いに向き合うように設けられているため、ホールスイッチ42はマグネット41の磁場により持続的なオン(ON)動作信号(Digit:1)を出力するが、回転ツース31が回転してきてホールスイッチ42と向き合う位置にくると、オフ(OFF)動作信号(Digit:0)を出力する。再び回転ツース31が遠ざかると、持続的なオン(ON)動作信号を出力して、またこれを繰り返す。
【0039】
すなわち、図7に示したグラフを参照すると、回転ツース31により磁束密度が徐々に落ちていき、ホールスイッチ42と回転ツース31の中心線が正確に一致する位置に至ると、図7のグラフに示されたように最低点となり、これが回転感知信号として認められるようになる。
【0040】
通常のトルクセンサーは、V/Deg[Voltage/Degree]値に出力されるが、該角度はトーションバーのねじり角度を表し、この際における角度量に比例する電圧出力を感知するものである。したがって、運転手の操向力によるねじり角度を積分すれば、移動した総角度量を類推することができる。このとき、該操向角信号発生部は、上記のような類推角度量の情報に360゜回転時毎にインデックス信号値を出力させることによって、同一の方向に360゜以上回転する絶対角の演算が可能になり、計算された角度の範囲を確認するのに用いることができる。例えば、時計回り方向にホールスイッチ42の出力信号が番号1として記録されると、該当操向角範囲は360゜〜720゜範囲内にあると類推することができる。
【0041】
以上、本発明に係る実施例について説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野において通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な範囲の実施例が可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は次の特許庁特許範囲により決まるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸に固定されるステータと、
前記ステータの内面に配置され、入力軸に固定されるマグネットと、
前記ステータと前記マグネットとの間で発生する磁場を感知して操向トルクを測定するトルクセンサーと、
通常はON信号を出力し、前記出力軸が回転すると、出力軸の定められた回転区間毎にOFF信号を出力して操向角を測定する操向角信号発生部と、
を含むことを特徴とする操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項2】
前記ステータは、非磁性体で形成されるステータホルダーと、前記ステータホルダーの内周面に結合される複数のステータツースと、を含む、請求項1に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項3】
前記マグネットは、リング形状で形成され、円周方向に沿って等間隔を置いて極性が変化するように配置される、請求項1に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項4】
前記トルクセンサーは、印刷回路基板に固定され、コレクターと向き合うように配置される、請求項1に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項5】
前記操向角信号発生部は、
印刷回路基板に固定されて磁場を発生させるマグネットと、
前記マグネットと向き合うように配置され、マグネットの磁場を感知して通常はON信号を出力するホールスイッチと、
前記出力軸に固定されて共に回転し、前記ホールスイッチと向き合う位置にくるとホールスイッチがOFF信号を発生させる回転ツースと、
を含む、請求項3に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項6】
前記マグネットは、前記ホールスイッチと向き合う面がN極またはS極になるように配置される、請求項5に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項7】
前記回転ツースは、出力軸に固定される固定部材の一側から突出して形成される、請求項5に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項8】
前記回転ツースは、出力軸に固定される固定部材に窪んで形成される、請求項5に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項9】
操向ハンドルと連結される入力軸と、
操向輪と連結され、トーションバーを媒介として入力軸と連結される出力軸と、
前記出力軸に固定されるステータと、
前記ステータの内面に配置されて前記入力軸に固定されるマグネットと、
前記ステータとマグネットとの間に発生する磁場を感知して操向トルクを測定するトルクセンサーと、
通常はON信号を出力し、前記出力軸が回転すると、出力軸の定められた回転区間毎にOFF信号を出力して操向角を測定する操向角信号発生部と、
を含むことを特徴とする車両用操向装置。
【請求項10】
前記ステータは、非磁性体で形成されるステータホルダーと、前記ステータホルダーの内周面に結合される複数のステータツースと、を含む、請求項9に記載の操向トルク及び操向角測定装置。
【請求項11】
前記マグネットは、リング形状で形成され、円周方向に沿って等間隔を置いて極性が変化するように配置される、請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項12】
前記トルクセンサーは、印刷回路基板に固定され、コレクターと向き合うように配置される、請求項9に記載の車両用操向装置。
【請求項13】
前記操向角信号発生部は、
印刷回路基板に固定されて磁場を発生させるマグネットと、
前記マグネットと向き合うように配置され、マグネットの磁場を感知して通常はON信号を出力するホールスイッチと、
前記出力軸に固定されて共に回転し、前記ホールスイッチと向き合う位置にくるとホールスイッチがOFF信号を発生させる回転ツースと、
を含む、請求項12に記載の車両用操向装置。
【請求項14】
前記マグネットは、前記ホールスイッチと向き合う面がN極またはS極になるように配置される、請求項13に記載の車両用操向装置。
【請求項15】
前記回転ツースは、出力軸に固定される固定部材の一側から突出して形成される、請求項13に記載の車両用操向装置。
【請求項16】
前記回転ツースは、出力軸に固定される固定部材に窪んで形成される、請求項13に記載の車両用操向装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−511710(P2013−511710A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539816(P2012−539816)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008196
【国際公開番号】WO2011/062438
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】