説明

操業シミュレーションシステム

【課題】 生産施設の施工に先立って操業シミュレーションを行い、設備投資の無駄を省き、顧客にとって効率的な生産施設を設計施工する。
【解決手段】 生産施設の構成要素データを取得する構成要素データ取得手段11と、取得した構成要素データに基づいて構成要素を3次元モデルとして構築する3次元モデル構築手段12と、構築した3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行う操業シミュレーション手段13と、操業シミュレーションの結果データを出力するシミュレーションデータ出力手段14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産施設における操業状態をシミュレーションするための操業シミュレーションシステムに関するものであり、特に生産施設の新設やリニューアルに際して最適な設備設計を行うことが可能な操業シミュレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物を設計する際に、その構造を事前に検討するためのシミュレーションシステムが種々提案されている。
【0003】
例えば、建築物の構造に対する検討を支援するための建築物設計システムが開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載されている技術は、建築物の立体的構造データを取得するデータ取得手段と、ユーザによって操作され、位置センサを含む位置指示器と、ユーザに装着される立体メガネと、立体映像表示室の内側面に映像を表示する表示手段と、立体メガネの位置に基づいて立体的構造データをデータ処理し、立体メガネを通して建築物が立体的に観察されるように映像を生成する演算装置とを備えている。そして、ユーザにより操作される位置指示器の指示に基づいて、建築物の立体表示が行われ、建築物をリアルかつインタラクティブに観察できるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−21848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築物を建設する際には、その構造や設備配置等を十分に検討して設計を行う必要がある。特に、工場等の生産施設では、実際に操業を始めた後に問題点が発見されると、設備の改修等を行わなければならず費用が嵩むという問題があった。また、設備の改修を行うことができない場合には、効率的な操業を行うことができない場合もあった。
【0006】
この点、上述した従来の技術では、設計段階で建築物の構造を大まかに把握することができるが、施設内の物流や人員配置の問題点を含めた総合的な検証を行うことはできなかった。
【0007】
すなわち、工場等の生産施設を建設する際には、操業上の問題点、製品、材料、仕掛品に関する物流や保管状況、作業員の作業状況などの問題点を事前に把握することにより、顧客にとって納得できる生産施設を提供しなければならない。そのためには、設備レイアウト、人員配置、マテリアル・ハンドリング等を考慮して操業シミュレーションを行い、総合的な判断に基づいて、設備投資の無駄を省き、顧客にとって効率的な生産施設を設計施工する必要がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、設備投資の無駄を省き、顧客にとって効率的な生産施設を設計施工することが可能な操業シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の操業シミュレーションシステムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。
すなわち、本発明の操業シミュレーションシステムは、生産施設における操業状態をシミュレーションするためのシステムであって、生産施設の構成要素データを取得する構成要素データ取得手段と、取得した構成要素データに基づいて構成要素を3次元モデルとして構築する3次元モデル構築手段と、構築した3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行う操業シミュレーション手段と、操業シミュレーションの結果データを出力するシミュレーションデータ出力手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
このような構成からなる操業シミュレーションシステムでは、建築構造物データ、機器データ、及び作業員データ等の構成要素データを取得して3次元モデルを構築し、この3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行い、操業シミュレーションの結果データを得ることができる。
【0011】
この際、構成要素データは、インダストリアル・エンジニアリング手法を用いて導き出すことにより、操業上の問題点を的確に把握することができる。
【0012】
また、円滑に操業を行うことが可能な基準値を格納した円滑操業データ格納手段と、シミュレーションデータ出力手段により出力された結果データと、円滑操業データ格納手段に格納された基準値とを比較する比較手段と、比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、警告を発生する警告発生手段と、を備えることが好ましい。
【0013】
具体的には、保管スペースと保管量との関係、製品の生産量と移送能力との関係、作業内容と必要人員との関係、製品の生産量と生産設備の稼働率との関係等を基準データとして、操業シミュレーションの結果データとの比較判断を行う。そして、保管量が保管スペースを超えた場合、製品が滞留した場合、作業内容が多いため所定時間内に処理が終了しない場合、生産設備の稼働率が想定の範囲を超えて生産工程のボトルネックとなっている場合等に、警告を発生する。
【0014】
また、比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、判断結果の履歴を蓄積する履歴蓄積手段を備えることが好ましい。この履歴蓄積手段に蓄積された判断結果の履歴を参照することにより、効率的に設計の再考を行うことができる。
【0015】
また、比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、結果データが基準値の範囲内となるように構成要素データを修正する構成要素修正手段を備えることが好ましい。具体的には、作業内容が多いため所定時間内に処理が終了しない場合に、人員を自動的に増員する等の処理を行う。これにより、自動的に設計の見直しを行うことができる。
【0016】
また、操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物のリードタイムを演算するリードタイム演算手段と、リードタイム演算手段における演算結果を表示するリードタイム表示手段と、を備えることが好ましい。このリードタイム表示手段に表示されたリードタイムを参照することにより、製品の生産状況を的確に把握することができる。
【0017】
また、操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物の製造スケジュールを作成する製造スケジュール作成手段と、製造スケジュール作成手段で作成した製造スケジュールを表示する製造スケジュール表示手段と、を備えることが好ましい。この製造スケジュール表示手段に表示された生産スケジュールを参照することにより、製品の生産状況を的確に把握することができる。
【0018】
また、操業シミュレーションの結果データに基づいて、構成要素の稼働状況を演算する稼働状況演算手段と、稼働状況演算手段における演算結果に基づいて、構成要素の相関図を作成する相関図作成手段と、相関図作成手段で作成した相関図を表示する相関図表示手段と、を備えることが好ましい。この相関図表示手段に表示された相関図を参照することにより、生産設備の稼働状況等を的確に把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の操業シミュレーションシステムでは、生産施設に関する構成要素データを取得して3次元モデルを構築し、この3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行うことにより、設備投資の無駄を省き、顧客にとって効率的な生産施設を設計施工することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の操業シミュレーションシステムの実施形態を説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、同様の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を行う。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。
第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10は、本発明の基本構成をなすもので、図1に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、及びシミュレーションデータ出力手段14を備えている。
【0022】
第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。
【0023】
構成要素データ取得手段11は、生産施設の構成要素データを取得するための手段である。構成要素データは、例えば、建築構造物データ、機器データ及び作業員データ等からなり、インダストリアル・エンジニアリング手法を用いて導き出される。
【0024】
ここで、インダストリアル・エンジニアリングとは、人、物、設備を総合したシステムの設計、改善、確立に関する技術のことであり、換言すれば、製造に関する様々なノウハウを論理的に体系化することで、他に応用できるようにする技術のことである。このインダストリアル・エンジニアリング手法を用いて、PQ(Performance Qualification)分析、ABC分析(重点分析)、ライン設計、セル生産設計、在庫分析、物流分析等を行う。具体的には、生産施設の製造量、在庫量、売上等の条件に基づいて、必要となる生産ラインや機器、保管スペース等を分析する。
【0025】
3次元モデル構築手段12は、取得した構成要素データに基づいて構成要素を3次元モデルとして構築するための手段である。この3次元モデル構築手段12としては、3次元CADシステムを用いることができる。
【0026】
この3次元モデル構築手段12により3次元モデルを構築するのに先立ち、インダストリアル・エンジニアリングによる分析結果に基づいて、時間軸を考慮した製造シミュレーションを行い、ボトルネック工程を発見して、事前に問題点を抽出することが好ましい。また、ボトルネックや工程の相関などを考慮して、建築物、プラント、マテリアル・ハンドリングなどを適切にレイアウトすることが好ましい。
【0027】
操業シミュレーション手段13は、3次元モデル構築手段12により構築した3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行うための手段である。具体的には、操業シミュレーション手段13により、想定したスケジュールをレイアウトされた計画でシミュレーションする。この操業シミュレーション手段13では、物のみではなく、作業員やマテリアル・ハンドリングまでを含めた検証を行うことができる。すなわち、操業シミュレーション手段13を用いたシミュレーションにより、生産スケジュール、人員配置、マテリアル・ハンドリング等を検証することができる。
【0028】
シミュレーションデータ出力手段14は、操業シミュレーションの結果データを出力するための手段である。このシミュレーションデータ出力手段14は、CRT表示器や液晶表示器等の表示手段やプリンタ等の印刷手段を含んで構成されており、CRT表示器や液晶表示器等の画面に結果データを表示したり、プリンタを用いて結果データを印刷したりすることができる。
【0029】
図7に、液晶表示器によりシミュレーションデータ出力手段14を構成した場合の画面表示の一例を示す。液晶表示器の表示画面70には、図7に示すように、生産施設の内部構造が3D表示される。具体的には、例えば、生産施設を構成する各部屋71のレイアウト、ベルトコンベア72、製品73、保管スペース74、作業員75等が3D表示され、操業シミュレーションが行われる。
【0030】
第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10によれば、3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行うことができるため、実際に生産施設を建設するに先立って、操業上の問題点を抽出して設計を再考することができる。したがって、設備投資の無駄を省き、顧客にとって効率的な生産施設を設計施工することが可能となる。
【0031】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20の概略構成を示す機能ブロック図である。
第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20は、第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の基本構成要素に加えて、円滑操業データ格納手段21、比較手段22、警告発生手段23を含んで構成されている。さらに、第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20は、履歴蓄積手段24を備えることが好ましい。
【0032】
すなわち、第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20は、図2に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、シミュレーションデータ出力手段14、円滑操業データ格納手段21、比較手段22、警告発生手段23、及び履歴蓄積手段24を備えている。
【0033】
第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。以下、第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20に特有な手段についてのみ説明を行う。
【0034】
円滑操業データ格納手段21は、円滑に操業を行うことが可能な基準値を格納するための手段であり、データベースとして構成することができる。具体的には、円滑操業データ格納手段21には、保管スペースと保管量との関係、製品の生産量と移送能力との関係、作業内容と必要人員との関係、製品の生産量と生産設備の稼働率との関係等が基準データとして格納されている。
【0035】
比較手段22は、シミュレーションデータ出力手段14により出力された結果データと、円滑操業データ格納手段21に格納された基準値とを比較するための手段である。具体的には、比較手段22において、保管量が保管スペースを超えているか否か、製品が滞留しているか否か、作業内容が多いため所定時間内に処理が終了しないか否か、生産設備の稼働率が想定の範囲を超えて生産工程のボトルネックとなっているか否か等が判断される。
【0036】
警告発生手段23は、比較手段22において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、警告を発生するための手段である。具体的には、保管量が保管スペースを超えた場合、製品が滞留した場合、作業内容が多いため所定時間内に処理が終了しない場合、生産設備の稼働率が想定の範囲を超えて生産工程のボトルネックとなっている場合等に警告表示が行われる。警告発生手段23による警告は、どのような態様であってもよいが、例えば、CRT表示器や液晶表示器等の画面に警告表示を行ったり、プリンタを用いて警告データを印刷したり、ブザー等の音声発生手段により警告音を発生したりすることができる。
【0037】
履歴蓄積手段24は、比較手段22において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、判断結果の履歴を蓄積するための手段である。この履歴蓄積手段24は、例えば、ハードディスク記憶装置等の大容量記憶装置を含んで構成される。
【0038】
第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステム20によれば、シミュレーション結果が円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、警告を発生することができる。また、判断結果は履歴蓄積手段24に蓄積され、いつでも履歴を参照することができる。したがって、不具合が発生していることを見逃すことなく、効率的に設計の再考を行うことができる。
【0039】
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。
第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステム30は、第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の基本構成要素に加えて、円滑操業データ格納手段21、比較手段22、警告発生手段23、及び構成要素修正手段31を含んで構成されている。
【0040】
すなわち、第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステム30は、図3に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、シミュレーションデータ出力手段14、円滑操業データ格納手段21、比較手段22、警告発生手段23、及び構成要素修正手段31を備えている。
【0041】
第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステム30の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。以下、第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステム30に特有な手段についてのみ説明を行う。
【0042】
構成要素修正手段31は、比較手段22において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、結果データが基準値の範囲内となるように構成要素データを修正するための手段である。具体的には、例えば、操業シミュレーションの結果として、作業内容が多いため所定時間内に処理が終了しない場合に、人員を自動的に増員する等の処理を行う。
【0043】
さらに、操業シミュレーション手段13により、再度、操業シミュレーションを行い、不具合が発生した場合には、さらに構成要素データを修正するような構成とすることが好ましい。
【0044】
第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステム30によれば、自動的に設計の見直しを行うことができるので、設計効率を向上させることが可能となる。
【0045】
<第4の実施形態>
図4は、本発明の第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40の概略構成を示す機能ブロック図である。
第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40は、第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の基本構成要素に加えて、リードタイム演算手段41、及びリードタイム表示手段42を含んで構成されている。
【0046】
すなわち、第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40は、図4に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、シミュレーションデータ出力手段14、リードタイム演算手段41、及びリードタイム表示手段42を備えている。
【0047】
第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。以下、第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40に特有な手段についてのみ説明を行う。
【0048】
リードタイム演算手段41は、操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物のリードタイムを演算するための手段である。なお、リードタイムとは、一般的に受注から製品を納品するまでの時間のことであるが、本実施形態では、このような一般的な意味におけるリードタイムだけではなく、必要に応じて各工程におけるリードタイム等を演算するような設定とすることができる。また、リードタイムの演算対象となる製品は、生産施設で生産する全ての製品であってもよいし、特にリードタイムの演算が必要な一部の製品であってもよい。
【0049】
リードタイム表示手段42は、リードタイム演算手段における演算結果を表示するための手段である。このリードタイム表示手段42は、CRT表示器や液晶表示器等の表示手段を含んで構成されており、CRT表示器や液晶表示器等の画面に製品毎のリードタイムが表示される。さらに、リードタイム表示手段42の構成要素として、プリンタ等の印刷手段を含ませてもよく、この場合には、プリンタを用いて製品毎のリードタイムを印刷することができる。
【0050】
第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステム40によれば、製品毎のリードタイムを参照することができるので、製品の生産状況を的確に把握することが可能となる。
【0051】
<第5の実施形態>
図5は、本発明の第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。
第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステム50は、第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の基本構成要素に加えて、製造スケジュール作成手段51、及び製造スケジュール表示手段52を含んで構成されている。
【0052】
すなわち、第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステム50は、図5に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、シミュレーションデータ出力手段14、製造スケジュール作成手段51、及び製造スケジュール表示手段52を備えている。
【0053】
第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステム50の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。以下、第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステム50に特有な手段についてのみ説明を行う。
【0054】
製造スケジュール作成手段51は、操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物の製造スケジュールを作成するための手段である。なお、製造スケジュールの作成対象となる製品は、生産施設で生産する全ての製品であってもよいし、特に製造スケジュールの作成が必要な一部の製品であってもよい。
【0055】
製造スケジュール表示手段52は、製造スケジュール作成手段51で作成した製造スケジュールを表示するための手段である。この製造スケジュール表示手段52は、CRT表示器や液晶表示器等の表示手段を含んで構成されており、CRT表示器や液晶表示器等の画面に製品毎の製造スケジュールが表示される。さらに、製造スケジュール表示手段52の構成要素として、プリンタ等の印刷手段を含ませてもよく、この場合には、プリンタを用いて製品毎の製造スケジュールを印刷することができる。
【0056】
第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステム50によれば、製品毎の製造スケジュールを参照することができるので、製品の生産状況を的確に把握することが可能となる。
【0057】
<第6の実施形態>
図6は、本発明の第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図である。
第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステム60は、第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステム10の基本構成要素に加えて、稼働状況演算手段61、相関図作成手段62、及び相関図表示手段63を含んで構成されている。
【0058】
すなわち、第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステム60は、図6に示すように、構成要素データ取得手段11、3次元モデル構築手段12、操業シミュレーション手段13、シミュレーションデータ出力手段14、稼働状況演算手段61、相関図作成手段62、及び相関図表示手段63を備えている。
【0059】
第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステム60の各手段は、コンピュータシステム及びその周辺機器を含んで構成されており、コンピュータシステムを構成するCPU等がアプリケーションプログラムに従って動作することにより各手段としての機能を発揮するようになっている。以下、第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステム60に特有な手段についてのみ説明を行う。
【0060】
稼働状況演算手段61は、操業シミュレーションの結果データに基づいて、構成要素の稼働状況を演算するための手段である。ここで、構成要素とは、例えば生産施設において稼働している生産機器のことであるが、作業員等の人員を含んでいてもよい。この稼働状況演算手段61により、生産機器の運搬回数等を自動的に計算する。なお、稼働状況の演算対象となる機器は、生産施設に設置された全ての機器であってもよいし、特に稼働状況の相関関係を把握することが必要な一部の機器であってもよい。
【0061】
相関図作成手段62は、稼働状況演算手段61における演算結果に基づいて、構成要素の相関図を作成するための手段である。この相関図作成手段62により、生産機器の運搬回数等の相関図を作成する。
【0062】
相関図表示手段63は、相関図作成手段62で作成した相関図を表示するための手段である。この相関図表示手段63は、CRT表示器や液晶表示器等の表示手段を含んで構成されており、CRT表示器や液晶表示器等の画面に各機器の稼働状況に関する相関図が表示される。さらに、相関図表示手段63の構成要素として、プリンタ等の印刷手段を含ませてもよく、この場合には、プリンタを用いて各機器の稼働状況に関する相関図を印刷することができる。
【0063】
第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステム60によれば、生産施設に設置された各機器の相関図を参照することができるので、生産設備の稼働状況等を的確に把握することが可能となる。
【0064】
<他の実施形態>
本発明の操業シミュレーションシステムは、上述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の基本構成要素に加えて、各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて操業シミュレーションシステムを構築してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図5】本発明の第5の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図6】本発明の第6の実施形態に係る操業シミュレーションシステムの概略構成を示す機能ブロック図。
【図7】シミュレーションデータ出力手段による表示の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0066】
10,20,30,40,50,60 操業シミュレーションシステム
11 構成要素データ取得手段
12 3次元モデル構築手段
13 操業シミュレーション手段
14 シミュレーションデータ出力手段
21 円滑操業データ格納手段
22 比較手段
23 警告発生手段
24 履歴蓄積手段
31 構成要素修正手段
41 リードタイム演算手段
42 リードタイム表示手段
51 製造スケジュール作成手段
52 製造スケジュール表示手段
61 稼働状況演算手段
62 相関図作成手段
63 相関図表示手段
70 表示画面
71 部屋
72 ベルトコンベア
73 製品
74 保管スペース
75 作業員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産施設における操業状態をシミュレーションするための操業シミュレーションシステムであって、
生産施設の構成要素データを取得する構成要素データ取得手段と、
取得した構成要素データに基づいて構成要素を3次元モデルとして構築する3次元モデル構築手段と、
構築した3次元モデルを用いて操業シミュレーションを行う操業シミュレーション手段と、
操業シミュレーションの結果データを出力するシミュレーションデータ出力手段と、を備えたことを特徴とする操業シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記構成要素データは、少なくとも、建築構造物データと、機器データと、作業員データとを含むことを特徴とする請求項1に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記構成要素データは、インダストリアル・エンジニアリング手法を用いて導き出すことを特徴とする請求項1または2に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項4】
円滑に操業を行うことが可能な基準値を格納した円滑操業データ格納手段と、
前記シミュレーションデータ出力手段により出力された結果データと、前記円滑操業データ格納手段に格納された基準値とを比較する比較手段と、
前記比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、警告を発生する警告発生手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、判断結果の履歴を蓄積する履歴蓄積手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記比較手段において、結果データが円滑に操業を行うことが可能な基準値の範囲を逸脱していると判断された場合に、結果データが基準値の範囲内となるように構成要素データを修正する構成要素修正手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項7】
操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物のリードタイムを演算するリードタイム演算手段と、
前記リードタイム演算手段における演算結果を表示するリードタイム表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項8】
操業シミュレーションの結果データに基づいて、生産物の製造スケジュールを作成する製造スケジュール作成手段と、
前記製造スケジュール作成手段で作成した製造スケジュールを表示する製造スケジュール表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の操業シミュレーションシステム。
【請求項9】
操業シミュレーションの結果データに基づいて、構成要素の稼働状況を演算する稼働状況演算手段と、
前記稼働状況演算手段における演算結果に基づいて、構成要素の相関図を作成する相関図作成手段と、
前記相関図作成手段で作成した相関図を表示する相関図表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の操業シミュレーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−97509(P2008−97509A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281360(P2006−281360)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月18日 「建設工業新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月18日 「建設産業新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月18日 「建設通信新聞」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年6月29日 「日刊工業新聞」に発表
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】