説明

擬似被検体回転装置および擬似被検体

【課題】ユーザによる擬似被検体としてのファントムの空気抜き作業の負担を軽減するとともに、ファントムの空気抜きをより効率的に行うことが可能な擬似被検体回転装置の提供を目的とする。
【解決手段】ファントム回転装置は、ファントムを載置することができ、回転ローラー上において、当該回転ローラーを回転させることによって、略円筒形状のファントムを、当該回転ローラーの回転方向に回転可能な載置台と、載置台を傾かせた状態にすることを可能とする傾動機構とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置の校正に用いられる擬似被検体を回転させる装置および、擬似被検体に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置を用いて被検体内の透視画像、断層画像、血流など、被検体内の組織の情報を画像化し、検査・診断が行われている。この医用画像診断装置としては例えば、X線CT(Computed Tomography:X線コンピュータトモグラフィ)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴イメージング)装置、超音波診断装置(Ultrasonic diagnostic equipment)、核医学診断装置(NM:Nuclear Medicine)、PET−CT(Positron Emission Tomography−Computed Tomography)装置等がある。
【0003】
またこれらの医用診断装置では、被検体を撮影することにより画像を取得している。医用画像診断装置のユーザは、取得された画像の閲覧者による診断等に支障を来さないように、当該装置の点検や性能評価等の校正を行っている。校正には実際の被検体が用いられず、擬似被検体としてのファントム(以下、単に「ファントム」という)が使用される(例えば「特許文献1」参照。)。ユーザは医用画像診断装置の寝台にファントムを載置して、当該装置により、このファントムに対して撮影を行って画像データを収集する。ユーザは、収集された画像データに基づいて、校正箇所や校正量を探る。
【0004】
この医用画像診断装置の校正を行うためのファントムの一例として、円筒形の形状を有し、その内部が空洞に形成されているものがある。このファントムの内部には放射性物質や水等の充填物が充填されており、このファントムを撮影して画像データを取得することにより、医用画像撮影の性能の特性を表す測定値が得られる。また、ファントム内部全域に充填物が充填されるとともに、空気が抜かれた状態において、当該ファントムを撮影することにより、ユーザが取得された画像を参照して、医用画像診断装置本来の機能・性能に基づく画像が得られるかについて評価し、得られない場合に、当該装置の校正が行われる。
【0005】
またこのようなファントムは、多列検出器を含みヘリカルスキャン撮影を行うX 線CT装置において、実際の被検体の撮影前に、あらかじめ各種条件を設定するのにも用いられる。すなわち撮影前に操作者がファントムを患者とみなして撮影条件を設定する。例えば、管電圧、管電流、X線ビーム厚、撮影視野(FOV)のサイズ、画像再構成スライス厚、ヘリカルピッチ(天板移動速度)、再構成アルゴリズム、被検体の位置、ビームハードニング、心電同期の手法等の各種パラメータを、あらかじめ適正に設定することができる。撮影条件において患者の被ばく線量を表示し、読影者が撮影条件の適合性を判定することができるようになる。
【0006】
また近年開発されている多列検出器を有するX線CT装置では、当該検出器の素子の列数が増加したことにより検出器が大型化している。したがってこのようなX線CT装置の性能評価等に用いるファントムも大型化する傾向にある。
【0007】
【特許文献1】特開2008−113803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記説明したように、特許文献1のようなファントムでは、内部に水等が充填されて用いられる。しかし、水が充填されるファントムにおいて、当初は内部に水を充填し、空気抜きを行ったとしても、時間の経過にともない、内部に気泡等の空気が存在してしまうことがある。このファントム内部の空気はファントムを用いた医用画像診断装置の校正に支障をきたすおそれがある。このため、このようなファントムを用いた校正作業の前には、当該ファントムを回転させ、気泡を一部に集めてから空気抜きを行っていた。
【0009】
しかしながら、ファントムの中には、例えば多数列検出器を有するX線CT装置に用いるファントムのように、大型のものがある。この大型のファントムに水等を充填するとその重量は非常に重くなってしまう。当該ファントムにおいても空気抜きを行うときは、検査者等のユーザがファントムを回し、また転がすという作業を行う必要があった。このような空気抜きの作業はユーザにとって大きな負担となっていた。また、当該作業が困難であることから空気抜きが確実に行われないというおそれがあった。
【0010】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザによる擬似被検体としてのファントムの空気抜き作業の負担を軽減することが可能な擬似被検体回転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転ローラーが設けられ、かつ該回転ローラー上において、略円筒状の形状を有する擬似被検体を載置したまま、該回転ローラーと接した該擬似被検体を該回転ローラーの回転方向に回転可能な載置台と、前記載置台を傾かせた状態にすることを可能とする傾斜機構と、を備えたこと、を特徴とする擬似被検体回転装置である。
また、上記の課題を解決するために請求項4に記載の発明は、略円筒状の形状であって、内周面の一端から対向する他端へ突出して設けられた略平板状の仕切板を有する擬似被検体を載置可能であるとともに、全体が該擬似被検体の載置面側に湾曲されて形成された擬似被検体収容部と、前記擬似被検体収容部の前記載置面側において、それぞれの回転軸が平行となるように、かつ前記擬似被検体と接触したまま回転されることにより、該擬似被検体収容部に載置された前記擬似被検体を回転させる複数の回転ローラーと、前記擬似被検体収容部を傾かせた状態に保持することを可能とする収容部傾斜手段と、を備えたこと、を特徴とする擬似被検体回転装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1または4に記載の本発明によれば、載置台または擬似被検体収容部において擬似被検体を回転させることができる回転ローラーが設けられており、さらに、載置台または擬似被検体収容部を傾かせることができる機構を備えている。したがってユーザは、本発明にかかる擬似被検体回転装置を用い、擬似被検体を回転ローラーにより回転させることで、擬似被検体内に生じた空気を一部に集めることが容易である。さらに、載置台または擬似被検体収容部を傾かせることで、当該回転によって一部に集めた空気をさらに擬似被検体内側の端部に寄せることが可能である。また、載置台または擬似被検体収容部を傾かせつつ擬似被検体を回転させ、擬似被検体内の空気を当該擬似被検体の内側の端部に寄せることが可能である。すなわちユーザは、擬似被検体内の充填物に空気が含まれていても、本発明を利用することにより、容易に当該空気を擬似被検体内の端部に集めることができるので、擬似被検体の空気抜き作業を容易に行うことが可能である。結果として、擬似被検体の空気抜きをより効率よく行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図1〜図5を参照し、本発明の実施形態の一例について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、この発明の第1実施形態にかかるファントム回転装置の概略斜視図である。なお、本実施形態にかかるファントム回転装置は、本発明の「擬似被検体回転装置」の一例に該当する。また本実施形態にかかるファントムは、本発明の「擬似被検体」の一例に該当する。
【0015】
(ファントム回転装置)
図1に示すように、本実施形態のファントム回転装置10は、複数の回転ローラー21〜25および、一対の支持板40、41が設けられた載置台30を備えている。この載置台30には、例えば円筒形状のファントム70(図3参照/本発明の「擬似被検体」の一例に該当する。)の円周面を載置することができる。さらに載置台30上の回転ローラー群20に接触した回転ローラー21等の上においてファントム70を回転させることが可能である。
【0016】
また、ファントム回転装置10は、載置台30を傾斜させた状態にする傾斜機構50を備えており、この傾斜機構50によって載置台30に載置されたファントム70を載置台30とともに傾斜させることができる(図3参照)。またファントム70は、当該回転ローラー群20に接触したまま回転されているときに、支持板40、41によって支持される。支持板40、41がファントム70を支持する部分は、当該ファントム70の回転軸の軸方向の両端面における略中央部分である。さらにファントム70は、傾斜機構50によって傾斜された状態のときも、この支持板40,41のいずれかによって、傾斜された側の端面が支持される。以下、本実施形態にかかるファントム回転装置10における全体構成について図1〜3を参照して説明する。
【0017】
図2は、図1に示すファントム回転装置10を矢視X方向から見た場合における概略正面図である。この図2においては図1に示す支持板40、41の図示を省略している。また、図3は、この発明の第1実施形態にかかるファントム回転装置10に、ファントム70が載置されている状態を示す概略正面図である。なお、図2および図3において、破線で示している部分は、当該各図における視点からでは見えない部分の構造を示すものである。
【0018】
図1および図2に示すようにファントム回転装置10は、当該装置全体の基礎となる台座としての基台60を備えている。この基台60には、傾斜機構50が設けられている。すなわちこの傾斜機構50は、軸支持部51および支持軸52を有しており、軸支持部51は、支持軸52を略水平(または基台60に対して略平行)に、かつ回転可能に支持する。さらに傾斜機構50は、底板31が水平(基台60に対して平行)な状態となったまま保持する回動規制部53を有している。回動規制部53が底板31を保持することにより、ファントム70の回転時において載置台30と基台60との位置関係を安定させることができる。この傾斜機構50の詳細については後述する。
【0019】
また、図1および図2に示すようにファントム回転装置10は、基台60に対して所定間隔を空けて配置された載置台30を備えている。この載置台30は、傾斜機構50の支持軸52等に取り付けられ、当該傾斜機構50によって基台60に対し傾斜可能にされている。また、この載置台30は、略平板状の底板31と、収容部32を有して構成されている。底板31は基台60側と反対側の面(図1における上側の面)において両端が基台60と離れる方向に湾曲した形状を有し、かつ収容部32も底板31と同様に湾曲した形状を有する。またこの収容部32は、湾曲された一端から他端へ向かう方向に長手方向を有する。
【0020】
またこの収容部32には複数の回転ローラー21〜25(回転ローラー群20/図1参照)それぞれの回転軸が、上述した収容部32の長手方向に対し直交するように、かつ底板31に対し平行となるように設けられている。さらに複数の回転ローラー21〜25は収容部32に対し、それぞれの回転軸の一端(回転ローラー21〜25の図1における手前側の端部または奥側の端部)を結ぶようにして形成される線が、載置されるファントム70の円周面における曲線に対応した曲線となるように取り付けられ、かつそれぞれの回転軸が互いに平行となるように設けられている。なお、収容部32および回転ローラー群20についてのその他の構造の詳細については後述する。
【0021】
また上述のように、傾斜機構50の支持軸52は、軸支持部51に回転可能に支持されており、載置台30の底板31は、その側面の略中央を当該支持軸52により固定支持されている。したがって支持軸52が軸支持部51に挿通され、かつ支持されたまま回転することにより、載置台30全体が基台60に対し傾斜される。なお、この支持軸52と底板31とが固定される位置は、底板31の周縁部であって、少なくとも上述した収容部32の長手方向における一端側または他端側のいずれか一方となる。また、傾斜機構50を当該一端側および他端側の双方に配置し、支持軸52と底板31との固定位置を当該一端側および他端側の双方としてもよい。
【0022】
さらに載置台30には、上述した収容部32の長手方向と平行となるように、かつ収容部32の長手方向に沿った両側面(回転ローラー群20上のファントム70)を挟むように、底板31に対して一対の支持板40、41が設けられている。底板31には、同じく収容部32の長手方向に沿った両側面(回転ローラー群20上のファントム70)を挟むように支持板保持部33が設けられており、この支持板40、41は、それぞれ固定ボルト40a、41aによって、支持板保持部33に対して取り外し可能に取り付けられている。
【0023】
また図1に示すように、支持板40、41における底板31と最も離れた端部それぞれには、載置台30に載置されたファントム70における回転軸の軸方向の両端面を挟むように、回転支持部40b、41bが設けられている(図3参照)。この回転支持部40b、41bは、載置台30に載置されて回転されたファントム70の軸方向における両端面の略中央部を、当該回転されたまま支持するためのものである。また図3に示すように、この回転支持部40b、41bは、それぞれ支持板40、41に対し互いに相対するように設けられる。
【0024】
次に、図1〜図3を参照し、ファントム回転装置10の各部の構成について説明する。
【0025】
(傾斜機構)
図1に示すように傾斜機構50は、軸支持部51、支持軸52、および回動規制部53によって構成されている。なお、図1においては傾斜機構50が1つ示されているが、基台60における収容部32の長手方向における他端側においても、さらに傾斜機構50と同様の機構が設けられていてもよい。
【0026】
図1に示すように軸支持部51は基台60の一面から略垂直方向に突出して設けられている。軸支持部51は、支持軸52を回転可能に支持するものであるから、当該支持軸52に対応した位置に配置される。つまり、この軸支持部51が基台60に対して設けられる位置は、上述した収容部32の長手方向における一端側または他端側のいずれか一方となる。なお、傾斜機構50を一対設ける場合は、当該一端側および他端側の双方に軸支持部51を設ける。
【0027】
また軸支持部51は、基台60側の基部から突出方向に向かって漸次、幅が狭くなるように形成されている。また軸支持部51の突出方向の先端は、当該軸支持部51の基部の方向へ向かって直線状に切れ欠かれており、その切欠の幅は支持軸52の径よりやや広くなるように形成される。また、その切欠における軸支持部51の基部側の端部は、支持軸52を回転可能とするように概ね半円状に形成されている。なお、支持軸52を支持する構造としては、この実施形態にかかる構造に限られず、例えば軸支持部51において、支持軸52を挿通可能とする孔部を設けてもよい。
【0028】
支持軸52は軸支持部51の切欠に対し、当該軸支持部51の突出方向と直交する方向に、かつ基台60の一面と略平行に挿通されている。また支持軸52の一方の端部は底板31に取り付けられており、これによって、支持軸52を回転させた場合に、底板31が基台60に対し傾斜した状態にされる。支持軸52の他方の端部には、支持軸52が軸支持部51から外れないように、軸支持部51の切欠の幅より広い径(または幅)を有する軸止めが設けられている。
【0029】
傾斜機構50における回動規制部53は、軸支持部51および支持軸52によって、基台60に対して傾斜するように回動する底板31の回動を規制するものである。すなわち回動規制部53は、基台60において軸支持部51と並列に設けられた規制ネジ保持部53aおよび、支持軸52と並列に設けられた回動規制ネジ53bを有しており、図1および図2に示すように規制ネジ保持部53aは軸支持部51と概ね同方向に突出するように形成されている。また図1に示すように、規制ネジ保持部53aには、基台60の一面と平行に(支持軸52と略並行するように)回動規制ネジ53bを挿通可能とする孔部が設けられている。この孔部は規制ネジ保持部53aにおいて、規制ネジ保持部53aの基部から、基台60と底板31との間隔とほぼ同じ長さだけ離れた位置に設けられる(図2参照)。ここでいう基台60と底板31との間隔とは、底板31が基台60の面に対して平行な状態における、基台60と底板31との間隔のことをいう。
【0030】
また図1に示すように、回動規制ネジ53bは、規制ネジ保持部53aに挿通され、一端が底板31に到達して、底板31が基台60に対して平行な状態となるように保持する。この回動規制ネジ53bによる底板31の固定方法は種々の方法が考えられ、例えば底板31の側面において、回動規制ネジ53bに形成された雄ネジ溝と螺着する雌ネジ溝を形成し、底板31が基台60に対して平行な状態であるとき、底板31に対し回動規制ネジ53bを螺着させることにより、底板31と基台60を固定する構成であってもよい。また、回動規制ネジ53bが底板31の側面を押付けることにより固定してもよい。
【0031】
このように、規制ネジ保持部53aの孔部が、基台60に対し底板31が平行であるときの、基台60と底板31との間隔と同じ高さに形成されていることによって、当該孔部に挿通された回動規制ネジ53bを、底板31の側面方向に押進めることにより、底板31が基台60に対して平行な状態となるように保持することが可能となる(図1・図2参照)。
【0032】
(収容部および回転ローラー群)
回転ローラー21〜25は、それぞれ回転軸と、当該回転軸よりやや短く形成される円筒形状の回転部とを有して構成されており、当該回転部に当該回転軸が挿通され、回転軸をほぼ中心として回転部が回転する構成となっている。これらの回転ローラー21〜25は、図1および図2に示すように、当該回転軸の軸方向が、収容部32の長手方向と直交し、かつ底板31や基台60の面と平行となるように、収容部32に取り付けられる。
【0033】
図1に示す回転ローラー21〜25は、収容部32における湾曲された一端側に2本、収容部32の中央に1本、収容部32における湾曲された他端側に2本設けられる。すなわち、収容部32は箱状に形成されており、長手方向に沿った両側面に回転ローラー21〜25それぞれの回転軸を挿通可能とする孔部21a〜25aが形成されている(23a、24aについては図示を省略)。この孔部21a等は、図2に示すように収容部32の当該両側面において、それぞれ互いに相対するように形成され、かつ回転ローラー21〜25それぞれの回転軸が、収容部32の長手方向と直交し、かつ底板31や基台60の面と平行に挿通できるような位置に形成される。
【0034】
図1に示すように回転ローラー21は、収容部32の長手方向における一端において、上述した収容部32の孔部21aに対しその回転軸を挿通され、収容部32に回転可能に取り付けられる。また、回転ローラー22の回転軸を挿通させる収容部32の孔部22aは、回転ローラー21の回転軸を挿通させる収容部32の孔部21aと隣接している。回転ローラー22は、その回転軸を当該孔部22aに挿通させることにより、回転ローラー21と平行かつ隣接して、収容部32に取り付けられる。
【0035】
同様に、回転ローラー23は、その回転軸を収容部32の中央位置における両側面の孔部に挿通させることにより収容部32に取り付けられる。同じく回転ローラー25は、回転ローラー21が取り付けられた収容部32における長手方向の一端に対する他端に取り付けられ、また回転ローラー24は収容部32に対し、回転ローラー25に隣接するとともに回転ローラー23、25の間となる位置に取り付けられる(図1参照)。
【0036】
(ファントム)
次に、本発明にかかるファントムの構成の一例を図4および図5を参照して説明する。図4(A)は、この発明の実施形態にかかるファントム70の概略斜視図を示している。図4(B)は、この発明の実施形態にかかるファントム70の概略正面図を示している。この図4において破線で示される部分は、ファントム70の内部構造を示すものである。また、図5(A)〜(C)は、図4におけるA−A断面の概略図を示している。このうち図5(A)は、この発明の実施形態にかかるファントム70において仕切板71の開閉手段72が閉じられているとともに、ファントム70が傾斜されていない状態を示している。また図5(B)は、この発明の実施形態にかかるファントム70において開閉手段72が閉じられているとともに、ファントム70が傾斜されている状態を示している。図5(C)は、この発明の実施形態にかかるファントム70において開閉手段72が開けられているとともにファントム70が傾斜されている状態を示している。以下、本実施形態のファントム70の構成について説明する。
【0037】
図4(A)に示すように本実施形態にかかるファントム70は、概ね円筒形状を有し、かつ内部は空洞となっており、当該円筒の軸方向における両端部は互いに平行な面となっている。また図4(A)および図4(B)に示すように、ファントム70の内側の面において、すなわちファントム70の内側の円周面に円弧状の基部を有し、かつ当該基部からファントム70の内側の円周面における、当該基部と対向する部分へ向かって伸びるように形成された仕切板71が設けられている。この仕切板71は、ファントム70の上述した両端面と略平行である。さらにこの仕切板71の長さは、ファントム70の直径より短く形成され、当該仕切板71の先端がファントム70の内周面に至らないようされる。またファントム70の内側の円周面において、仕切板71が取り付けられる位置は、図4(B)に示すように、ファントム70の軸方向における中央の位置より、どちらかの端面側(図4(B)においては奥側)に寄った位置に設けられる。
【0038】
この図4(B)に示すように仕切板71は、ファントム70の内部において、充填物(例えば水)が仕切板71の一方の面側から他方の面側へ漏れないように、ファントム70の内側を仕切っている。また、ファントム70は、透明な部材によって構成されており、内部を視認可能にされている。
【0039】
また、図5(A)〜(C)に示すように、ファントム70における仕切板71においては、仕切板71の基部側において開閉手段72が設けられている。開閉手段72は、図5(A)および図5(C)に示すように仕切板71の基部から、仕切板71の他端側へ向かってスライド可能に形成されている。
【0040】
すなわち仕切板71は、ファントム70の内周面側の基部と、仕切板71の延伸方向に当該基部と所定間隔離れてその他の延伸部分を有している。図5(C)に示すように、これら基部と延伸部分との間隔は、仕切板71の開口部となる。したがって、開閉手段72を開放したときに、基部側へ集められた空気を当該開口部から仕切板71の反対側へ移動させることができる。
【0041】
また開閉手段72は、仕切板71の当該開口部を塞ぐものである。開閉手段72が当該開口部を塞いだとき、ファントム70内の充填物や空気は、仕切板71を通過して表面から裏面、または裏面から表面へ移動することができなくなる。すなわち、仕切板71には、当該仕切板71の延伸方向に沿ってガイドレール(不図示)が設けられている。これに対し開閉手段72には仕切板71の当該ガイドレールに対し、摺動可能に係合するスライドレール(不図示)が設けられている。
【0042】
また、仕切板71には、これらガイドレールとスライドレールとの位置を固定するストッパ(不図示)が設けられており、このストッパは、仕切板71の開口部を開閉手段72が塞いだときにガイドレールとスライドレールの位置を固定して保持する。このストッパの固定は、人手によって、開口部を開放する方向に開閉手段72をスライドさせるような所定の力が加えられることにより解除される。
【0043】
なお、この実施形態にかかるファントム70においては仕切板71の開閉手段72がスライドする構成となっているが、例えば、仕切板71の基部側にヒンジを設け、開閉手段72が回動するように開閉する構成(例えば開き戸・扉のような構造)であってもよい。
【0044】
また、本実施形態にかかるファントム70は、後述する空気抜き作業を行った後のファントム70の空気を抜くための弁(例えば逆支弁)が設けられている(不図示)。この弁は、仕切板71によって仕切られた狭い領域側、かつ仕切板71の基部側における円周面に設けられる。またファントムの空気抜きの作業者が、この弁を開放することにより、ファントム外部からファントム内部に接触することができるため開閉手段72の開閉動作を行うことが可能である。
【0045】
(空気抜き作業工程)
次に、図2、図3および図5を参照し、上記説明した第1実施形態におけるファントム回転装置10を利用して行うファントム70の空気抜きの作業工程について説明する。
【0046】
<ステップ01>
まず図2に示すように、ファントム回転装置10における載置台30の底板31が、回動規制部53により固定されて基台60に対し平行な状態のとき、支持板40、41がファントム70の両端面の略中央部分を挟持するように、かつ収容部32の回転ローラー21〜25に対しファントム70の円周面が接するように、ファントム70を載置する。
【0047】
<ステップ02>
載置台30に載置されたファントム70を回転ローラー群20の回転方向と同方向に回転させ、ファントム70内の充填物に存在する気泡等を一箇所に集める。つまり、ファントム回転装置10によってファントム70を複数回、回転させた後、回転を止めることにより、ファントム70における充填物内に散在する空気を、ファントム70の上方に集める。なお、仕切板71において上記説明した開閉手段72を有するファントム70においては、仕切板71の基部がある方を上(回転ローラー群20の反対側)にしてファントム70の回転を止める。
【0048】
<ステップ03>
ファントム70を回転させ、ファントム70内の気泡等を一箇所に集めた後、傾斜機構50の回動規制ネジ53bを外す。つまり、当該回動規制ネジ53bによる、載置台30の底板31の固定を解除し、図3に示すように、支持軸52を中心に当該底板31を回動させ、基台60に対し、載置台30に載置されたファントム70を収容部32ごと傾斜させる。傾斜させる方向は、ファントム70を支持軸52側からの視点で、載置されたファントム70を右側半分と左側半分に分けて見たときにおいて、ファントム70内の仕切板71が設けられている側と反対側の方向である(図5(B)参照)。当該作業によって、図5(B)に示すように、ファントム70の一箇所に集められた空気をさらに仕切板71の基部とファントム70の一方の平面側との接点部分に集める。
【0049】
<ステップ04>
ファントム70における円周面に設けられた弁を開け、開閉手段72を開放する。これによって、ファントム70の一箇所に集められた空気を、開閉手段72を通過してこの弁から抜くことが可能である。
【0050】
なお、開閉手段72の開放工程を経ずに、ファントム70の空気抜き作業を行うことも可能である。すなわち、ステップ3において仕切板71の基部とファントム70の一方の平面側との接点部分に空気を集めた後、さらにファントム70を半回転させ、当該接点部分と反対側に空気を集める。さらにファントム70を半回転させ、仕切板71によって仕切られたファントム70の狭い領域側、つまりファントム70の上記弁が存在する側に空気を集め、その後、当該弁を開放する工程によってもよい。
【0051】
この工程によれば、上述した本実施形態のファントム70のような仕切板71の開閉手段72が設けられていないファントムの場合にも、本実施形態にかかるファントム回転装置10を用いてファントムの空気抜き作業を行うことが可能である。
【0052】
また、上記説明したファントム70の空気抜き作業においては、載置台30に載置されたファントム70を回転させ、空気をファントム70の上端に集めてから傾斜機構50により、さらに集めた空気を一箇所に寄せているが、他の工程によることも可能である。例えば、傾斜機構50によって載置台30上のファントム70を傾かせてから、ファントム70の回転作業を行ってもよい。
【0053】
(作用効果)
以上説明した本実施形態にかかるファントム回転装置10の作用および効果について説明する。
【0054】
本発明の実施形態にかかるファントム回転装置10は、ファントム70を載置するとともに、ファントム70の回転作業を補助する回転ローラー群20が設けられた収容部32を有している。
【0055】
さらに、収容部32におけるファントム70の載置面と反対側(収容部32の底部)には、収容部32を支持する平板状の底板31が設けられている。この底板31は、基台60から所定間隔離れた位置に配置される。この底板31は、さらに基台60から立設した傾斜機構50における軸支持部51の支持軸52に回動可能に支持されている。これによって、載置台30に載置されたファントム70を収容部32ごと、基台60に対し、傾斜させることが可能である。
【0056】
したがってユーザは、擬似被検体としてのファントム70を、収容部32に載置した後に、回転ローラー群20により回転させることで、ファントム70に充填された充填物内に生じた気泡等の空気を一部に集める作業を容易に行うことが可能である。
【0057】
さらに、傾斜機構50の回動規制ネジ53bによる底板31の固定を解除した上で、支持軸52を回動中心として収容部32ごとファントム70を傾かせることで、当該回転によって一部に集めた空気を、さらにファントム70内の隅に寄せることが可能である。したがって、ユーザは、ファントム内の充填物に気泡等の空気が含まれていても、ファントム回転装置10を用いて、容易にファントム内の空気をファントム内の端部に集めることができるので、ファントムの空気抜き作業を容易に行うことが可能である。
【0058】
結果として、多列検出器を有するX線CT装置に用いられるような、チャンネル方向に大型化したファントムの空気抜き作業を行う場合においても、ファントムの空気抜き作業をより効率よく行うことができるとともに、当該作業の作業者にかかる負担を軽減することが可能となる。
【0059】
(変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。この変形例にかかるファントム回転装置10は、回転ローラー21〜25および傾斜機構50の支持軸52の駆動機構を有している。また、当該駆動機構をそれぞれ操作する操作手段、当該操作に基づいて、駆動機構を駆動させる制御手段を有している。つまり、本変形例にかかるファントム回転装置10は、載置台30における回転ローラー群20上のファントム70を、その動力によって回転させるものである。
【0060】
この変形例にかかるファントム回転装置10の操作手段は、回転ローラーの操作手段と、支持軸の操作手段とを有している。ユーザにより回転ローラーの操作手段が操作されると、回転ローラーの操作手段から制御手段へ操作に応じた信号が送信される。制御手段は当該信号に応じて回転ローラー21〜25の駆動機構を駆動させる制御を行う。制御手段により当該駆動機構が駆動制御されると、回転ローラー21〜25がそれぞれ同じ方向に回転する。これによって、ユーザは、回転ローラーの操作手段を操作するのみで回転ローラー21〜25を回転させることができ、載置台30に載置されたファントム70内の空気抜き作業がさらに容易となる。
【0061】
また、ユーザにより支持軸の操作手段が操作されると、当該操作手段から制御手段へ操作量に応じた信号が送信される。制御手段は当該信号に応じて支持軸52の駆動機構を駆動させる制御を実行する。制御手段により当該駆動機構が駆動制御されると、支持軸52が回動され、支持軸52に固定支持された底板31が回動され、基台60に対して収容部32が傾斜され、収容部32上のファントム70が傾斜される。これによって、ユーザは、支持軸52の操作手段を操作するのみで支持軸52を回動させることができ、載置台30に載置されたファントム70内の空気をファントム70の隅に集めることが容易となる。結果としてユーザにかかるファントムの空気抜き作業の負担を軽減することが可能となる。
【0062】
なお、操作手段としては、例えばファントム回転装置10に操作パネルを設けることが可能である。制御手段は例えばCPU、ROM、RAMを有している。この制御手段の構成によると、CPUは、操作手段からの信号を受けたことに応じて、ROMからファントム回転装置10における各駆動機構の制御プログラムを読み出した後、当該制御プログラムおよび当該信号に応じて、RAM上において処理を行う。さらにCPUは処理の結果に対応し、各駆動機構に駆動制御の信号を送信する。駆動機構としてはモータ等が用いられ、当該駆動制御の信号に応じて駆動される。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態にかかるファントム回転装置について説明する。
【0064】
(構成)
第2実施形態にかかるファントム回転装置においては、第1実施形態の載置台30における収容部32の回転ローラー群20が設けられない。第2実施形態にかかるファントム回転装置10においては、この回転ローラー群20の替わりに、支持板40、41に、載置台30に載置されたファントムを回転させる機構が設けられている。すなわち、第2実施形態にかかるファントム回転装置について第1実施形態と異なる点は、ファントムを回転させる機構にあり、その他の部分は第1実施形態とほぼ同じ構成である。
【0065】
第1実施形態におけるファントム回転装置では支持板40、41における、回転支持部40b、41bが、支持板40、41に固定されており、それぞれ支持板40、41に対する位置が固定されている。これに対して第2実施形態にかかる支持板40、41には、回転支持部40b、41bに対応する位置に、それぞれ回転盤が設けられている。この回転盤それぞれは、回転支持部40b、41bと同じく支持板40、41の先端位置において、互いに対向するように設けられる。
【0066】
さらに、第2実施形態にかかるファントム回転装置では、支持板40、41における回転盤それぞれが、互いに近づく方向および離れる方向にスライドして移動することができる構造を有している。例えば、回転盤は支持板40、41に対して雄ネジ溝が設けられた軸部材の一端に設けられており、当該一端に対する他端側は、支持板40、41に設けられたネジ孔の雌ネジ溝に対し当該軸部材のねじ雄ネジ溝が螺合することにより、支持板40、41に支持されている。
【0067】
この軸部材がそれぞれ繰り出されることによって、相対する回転盤それぞれを互いに近づかせ、また軸部材を繰り出す方向と反対側に回転させることによって、回転盤それぞれを互いに離れさせることが可能である。
【0068】
またこの回転盤それぞれは、軸部材に固定されている固定板と、当該固定板に回転可能に軸支されている円盤を有している。すなわち、第2実施形態にかかるファントム回転装置は、支持板40、41に軸部材を介して回転盤が固定されおり、回転盤を互いに近づけることによりファントムを挟んで保持することができる。このように回転盤によってファントムを保持しているとき、当該ファントムに接する部分は、当該回転盤の円盤それぞれである。
【0069】
また、円盤は上述の通り固定板に対して回転させることが可能であるため、ファントム回転装置は、回転盤によってファントムを保持しつつ、当該保持したファントムを回転させることが可能である。
【0070】
(空気抜き作業工程)
次に、上記説明した第2実施形態におけるファントム回転装置を利用して行うファントムの空気抜きの作業工程について説明する。
【0071】
<ステップ01>
まずユーザは軸部材を操作し、ファントム回転装置における支持板の回転盤それぞれを、回転盤同士の間にファントムが配置できるような幅になるまで離れさせる。
【0072】
<ステップ02>
次にユーザは、ファントム回転装置10における回転盤それぞれの中心位置の間に、回転させるファントム(例えば円筒形状)の回転軸にあたる部分が配置されるように、ファントムを持ち上げる。
【0073】
<ステップ03>
次にユーザは、軸部材を操作し、回転盤それぞれを互いに近づかせることにより、ファントムを回転盤それぞれによって挟持させ、ファントム回転装置によってファントムを保持させる。
【0074】
<ステップ04>
次にユーザは、回転盤に保持されたファントムを円盤の回転によって回転させる。この回転によって、ファントム70内の充填物に存在する気泡等を一箇所に集める。
【0075】
なお、ファントム内の充填物に存在する空気を集めた後の工程は、第1実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0076】
以上述べた第2実施形態にかかるファントム回転装置の構成によっても、第1実施形態と同様の効果を実現することができる。
【0077】
(変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。この変形例にかかるファントム回転装置は、支持板40、41に対する回転盤の位置が固定されている。ただし、支持板40、41自体を互いに近づかせ、また離すことができる構造を有している。
【0078】
第1実施形態におけるファントム回転装置では底板31における、収容部32の長手方向に沿った側縁部に支持板保持部33が設けられている。支持板40、41は、それぞれこの支持板保持部33に固定ボルト40a、41aを介して固定されている。つまり、第1実施形態にかかるファントム回転装置においては、支持板40、41がファントム回転装置本体に対して位置が固定されている。
【0079】
これに対し、この変形例にかかるファントム回転装置においては、支持板40、41が、それぞれ互いに近づく方向および離れる方向にスライドして移動することができる構造を有している。例えば、第2実施形態にかかる固定ボルトは、所定の長さを有しており、一端側に、ネジ溝が設けられている。また、底板31における支持板保持部33には、当該固定ボルトのネジ溝に螺号するネジ溝が形成されたネジ孔を有している。また、支持板40、41は、当該固定ボルトにおけるネジ溝が形成された側と反対側の他端に、固定されている。
【0080】
すなわち、この変形例にかかるファントム回転装置においては、固定ボルトのネジ山側を支持板保持部33のネジ孔に螺合させて、当該ネジ孔側に推し進めていくことにより、支持板40、41を互いに近づけることができる。したがって、この変形例のファントム回転装置においては、ユーザは支持板40、41を互いに近づけ、支持板40,41における回転盤によってファントムを挟んで保持させることにより、ファントムを容易に回転させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】この発明の実施形態にかかるファントム回転装置の概略斜視図である。
【図2】図1に示すファントム回転装置を矢視X方向から見た場合における概略斜視図である。
【図3】この発明の第1実施形態にかかるファントム回転装置にファントムが載置されている状態を示す概略正面図である。
【図4】(A)この発明の実施形態にかかるファントムの概略斜視図である。(B)この発明の実施形態にかかるファントムの概略正面図である。
【図5】図4におけるA−A断面の概略図であり、(A)この発明の実施形態にかかるファントムにおいて仕切板の開閉手段が閉じられているとともに、ファントムが傾斜されていない状態を示す。(B)この発明の実施形態にかかるファントムにおいて開閉手段が閉じられているとともに、ファントムが傾斜されている状態を示す。(C)この発明の実施形態にかかるファントムにおいて開閉手段が開けられているとともに、ファントムが傾斜されている状態を示す。
【符号の説明】
【0082】
10 ファントム回転装置
20 回転ローラー群
21 回転ローラー
21a 孔部
30 載置台
31 底板
32 収容部
33 支持板保持部
40、41 支持板
40a、41a 固定ボルト
40b、41b 回転支持部
50 傾斜機構
51 軸支持部
52 支持軸
53a 規制ネジ保持部
53b 規制ネジ
60 基台
70 ファントム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ローラーが設けられ、かつ該回転ローラー上において、略円筒状の形状を有する擬似被検体を載置したまま、該回転ローラーと接した該擬似被検体を該回転ローラーの回転方向に回転可能な載置台と、
前記載置台を傾かせた状態にすることを可能とする傾斜機構と、を備えたこと、
を特徴とする擬似被検体回転装置。
【請求項2】
前記擬似被検体が前記回転ローラー上に載置されたとき、当該円筒形状の擬似被検体の軸方向と直交する両側面を挟むような位置に対向して設けられ、かつ前記回転ローラーの軸方向と直交する方向に立設し、さらに該擬似被検体が回転可能なように該両側面の少なくとも中央部分をそれぞれ支持する一対の支持板を備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載の擬似被検体回転装置。
【請求項3】
前記回転ローラーは前記載置台に対して複数設けられているとともに、該複数の回転ローラーの回転軸は、それぞれ略平行となるように設けられており、さらに該回転ローラーの該回転軸それぞれの一端によって形成される線が、載置される該擬似被検体の円周面における曲線に応じた曲線となること、
を特徴とする請求項2に記載の擬似被検体回転装置。
【請求項4】
略円筒状の形状であって、内周面の一端から対向する他端へ突出して設けられた略平板状の仕切板を有する擬似被検体を載置可能であるとともに、全体が該擬似被検体の載置面側に湾曲されて形成された擬似被検体収容部と、
前記擬似被検体収容部の前記載置面側において、それぞれの回転軸が平行となるように、かつ前記擬似被検体と接触したまま回転されることにより、該擬似被検体収容部に載置された前記擬似被検体を回転させる複数の回転ローラーと、
前記擬似被検体収容部を傾かせた状態に保持することを可能とする収容部傾斜手段と、を備えたこと、
を特徴とする擬似被検体回転装置。
【請求項5】
略円筒状の容器によって構成される擬似被検体であって、
前記円筒状の容器内部における周面の一部に基部を有し、かつ該基部から該基部と対向する周面へ向かって延びるように設けられるとともに、該擬似被検体の直径よりより短く形成された仕切板と、
前記仕切板の基部側において開閉可能な開閉手段と、を備えたこと、
を特徴とする擬似被検体。
【請求項6】
前記基部は、前記容器における前記周面の中央より前記擬似被検体の端部側に設けられていること、
を特徴とする請求項5に記載の擬似被検体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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