説明

攪拌混合装置及びこれを用いた地盤改良工法

【課題】住宅地盤用の地盤改良工法で用いる装置であって、従来装置よりも攪拌効率が良く、かつ、短時間かつ低コストでの施工を可能にする攪拌混合装置を提供すること。
【解決手段】攪拌混合装置1は、固化材を送給するため流路を有する回転ロッド11と、回転ロッドの下端側に設けられた掘削翼21と、掘削土と固化材を攪拌混合するための攪拌翼31,41と、回転ロッドの流路13に連通する上部吐出口51及び下部吐出口52とを有している。回転ロッドの掘進工程では下部吐出口から固化材を吐出させ、逆に、回転ロッドの引抜工程では上部吐出口から固化材を吐出させる。これにより、掘進・引抜のいずれの工程でも吐出された固化材が攪拌翼によって常に攪拌混合されることとなるので、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟弱地盤などの地盤条件の悪い敷地に家屋を建築する際、地盤の支持力を向上させるコラム状の改良体を造成する攪拌混合装置、及びこれを用いた住宅地盤用の地盤改良工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セメントミルク等の固化材と掘削土との攪拌混合により地中に円柱状の地盤改良体を構築する方法では、下端部に掘削刃を有し、その上のロッド周面に攪拌翼を有する回転ロッドを回転させつつ、固化材液を吐出しながら目標深度まで掘進させた後、回転ロッドを回転させ、掘削土と固化材液を攪拌しながら引き抜くことにより地盤改良体の構築が行われる。
【特許文献1】特公昭58−029374号公報
【0003】
このような地盤改良工法の施工手順の概略を、図17に基づいて工程順に説明すると以下のとおりである。
工程a: コラム芯をセットする。
工程b: 空堀を完了する。空堀が完了した時点で固化材の注入を開始するとともに、混
合攪拌を開始する。
工程c: 掘削しながら混合攪拌を行う。
工程d: コラム先端に到達する。
工程e: 混合攪拌しながら引上げる。
工程f: コラム頭部まで到達。スラリー注入完了。再攪拌開始。
工程g: コラム先端まで混合攪拌する。
工程h: コラム先端に到達。
工程i: 混合攪拌しながら再び引上げる。
工程j: コラム成柱完了。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来工法で用いる掘削攪拌装置は、吐出口を、回転ロッドの先端側であって攪拌翼の下方に備えている。このような構成では、回転ロッドの降下時(工程c)には、ロッド先端から吐出された固化材は追随する攪拌翼によって掘削土と攪拌されることとなるが、掘削ロッドの上昇時(工程e)には、攪拌翼が吐出口に先行するため十分な攪拌混合が行われない。
【0005】
したがって、従来の掘削攪拌装置を用いた地盤改良工法では、掘進工程(工程c)と引上工程(工程e)を1工程ずつ、すなわち1サイクル行っただけでは固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができないため、図17に示すとおり攪拌混合を略W字状に2サイクル行う必要があった。
【0006】
しかしながら、図示するW型の2サイクル攪拌方式では、1サイクルに比べて施工時間が長くかかるため施工コストが高くなり、しかも、長時間に亘って発生し続ける騒音等で周辺環境に悪影響を与える虞もある。そこで、当該技術分野の属する土木業界からは、施工品質を落とすことなく施工時間を短縮化できる手法が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術に係る課題は、下記(1)〜(16)に記載の攪拌混合装置及び地盤改良工法によって解決される。
【0008】
(1) 地盤条件の悪い敷地に家屋を建築するに際し用いられ、掘削刃と攪拌翼を有する回転ロッドから固化材を吐出しつつ、該回転ロッドを回転させて掘削土と固化材を攪拌混合し、地中に略コラム状の改良体を造成する攪拌混合装置において、
固化材を送給するため流路を有する回転ロッドと、
前記回転ロッドの下端側に設けられた掘削刃と、
掘削土と固化材を攪拌混合するための攪拌翼と、
前記攪拌翼の上方に設けられ、前記回転ロッドの流路に連通する上部吐出口と、
前記攪拌翼の下方に設けられ、前記回転ロッドの流路に連通する下部吐出口と、を有しており、
掘進工程で前記下部吐出口から固化材を吐出させ、引抜工程で前記上部吐出口から固化材を吐出させるように構成されていることを特徴とする攪拌混合装置。
【0009】
(2) 前記流路と前記上部吐出口の間、または前記流路と前記下部吐出口の間を選択的に遮断可能に構成され、回転ロッドの進退方向に応じて、前記流路を介して送給された固化材を前記上部及び下部吐出口のいずれか一方から吐出させるための切替手段を有していることを特徴とする上記(1)記載の攪拌混合装置。
【0010】
(3) 前記切替手段は、回転ロッドに対し2位置間で変位可能に設けられた流路切替弁から成り、該流路切替弁は、前記流路に対し前記上部吐出口を連通させるとともに前記下部吐出口を遮断する上吐出位置と、前記流路に対し前記上部吐出口を遮断するとともにを前記下部吐出口を連通させる下吐出位置との間で変位可能に設けられていることを特徴とする上記(2)記載の攪拌混合装置。
【0011】
(4) 前記流路切替弁は、前記回転ロッドに対し2位置間で回動可能に設けられた略円筒状部材から成り、攪拌翼を一体的に有していることを特徴とする上記(3)記載の攪拌混合装置。
【0012】
(5) 前記回転ロッドは、固化材を送給可能な独立した2つの流路を有するように構成された2重管を含んでおり、一の経路が前記上部吐出口に接続され、他の経路が前記下部吐出口に接続されていることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0013】
(6) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードはロッド軸方向に対し傾斜した斜面を有しており、
掘進過程および引上過程で前記フリーブレードの斜面に土圧が作用することによって、該フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0014】
(7) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、該ブレード本体の上端側及び/又は下端側に設けられロッド軸方向に対し傾斜した傾斜羽根とを有しており、
掘進過程及び引上過程で前記傾斜羽根に土圧が作用することによって、前記フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0015】
(8) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出し攪拌翼の攪拌径を超える長さに形成されたブレード本体と、攪拌混合時におけるフリーブレードの回転を防止するための回り止め部材とを有しており、
前記回り止め部材は、その側面が攪拌径外の周囲地盤の側壁と接するように、ほぼ攪拌径の外周に沿って張り出した状態で前記ブレード本体に設けられており、
掘進過程及び引上過程で前記回り止め部材に土砂の抵抗が作用することによって、フリーブレードの回転が防止されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0016】
(9) 前記回り止め部材は、略くの字状に張り出した状態で前記ブレード本体に固設されていることを特徴とする上記(8)記載の攪拌混合装置。
【0017】
(10) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合時にロッド回転方向とは逆回転の方向に該フリーブレードをガイドするためのガイドブレードとを有しており、
前記ガイドブレードは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ロッド軸方向に対して傾斜した状態で前記ブレード本体の先端側に設けられており、
掘進過程及び引上過程で攪拌径外側のガイドブレードに土圧が作用することによって、フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0018】
(11) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーとを有しており、
前記ガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、前記ブレード本体の先端側に回転自在に設けられており、
掘進過程及び引上過程において、攪拌径外側の地盤に前記ガイドローラーが食い込むことによって前記フリーブレードの回転が防止されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0019】
(12) 攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合時にロッド回転方向とは逆回転の方向に該フリーブレードをガイドするとともに攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーとを有しており、
前記ガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ロッド軸方向に対して傾斜した状態で前記ブレード本体の先端側に回転自在に設けられており、
掘進過程及び引上過程において、攪拌径外側の地盤に食い込んだ前記ガイドローラーに土圧が作用することによって、前記フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0020】
(13) 前記攪拌翼及び前記フリーブレードはそれぞれ櫛歯状の複数の攪拌爪を有していることを特徴とする上記(6)乃至(12)のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【0021】
(14) 上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の装置を用いた住宅地盤用の地盤改良工法において、
攪拌混合装置の下部吐出口から固化材を吐出させるとともに、該下部吐出口に攪拌翼が追随するように攪拌混合装置を掘進させる工程と、
攪拌混合装置の上部吐出口から固化材を吐出させるとともに、該上部吐出口に攪拌翼が追随するように攪拌混合装置を引き上げる工程と、含むことを特徴とする地盤改良工法。
【0022】
(15) 上記(6)乃至(13)のいずれかに記載の装置を用いた住宅地盤用の地盤改良工法において、
フリーブレードが付勢される回転方向とは逆回転の方向に回転ロッドを回転させながら、攪拌混合装置を掘進させ又は引き上げることを特徴とする地盤改良工法。
【0023】
(16) 上記掘進工程と上記引上工程とを1ステップずつ含む1サイクルで、1の改良体の構築を完了させることを特徴とする上記(14)記載の地盤改良工法。
【発明の効果】
【0024】
上記(1)記載の本発明によれば、攪拌翼の上下にそれぞれ吐出口が設けられており、回転ロッドの掘進過程では下部吐出口から固化材(セメントミルク等の固化材スラリー)が吐出されるようになっており、他方、回転ロッドの引抜過程では上部吐出口から固化材が吐出されるようになっている。したがって、掘進工程では下部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合されることとなる。また、引抜工程では上部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合されることとなる。
このような構成であれば、掘進・引抜のいずれの工程でも吐出された固化材が攪拌翼によって常に攪拌混合されることとなるので、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができる。その結果、攪拌効率が向上するので、施工品質を落とすことなく、従来よりも短時間で施工を完了することが可能になり、施工コストを低減させることができる。
【0025】
上記(2)記載の本発明によれば、回転ロッドの進退方向に応じて、固化材を吐出すべき吐出口を切り替えることが可能になる。
【0026】
上記(3)記載の本発明によれば、固化材を吐出すべき吐出口を簡単かつ確実に切り替えることが可能になる。
【0027】
上記(4)記載の本発明によれば、回転ロッドの回転方向を切り替える際に攪拌翼が受ける土砂の抵抗によって、流路切替弁を回動させることができる。例えば、正回転していた回転ロッドを逆回転させた際に攪拌翼が受ける抵抗によって、略円筒状の流路切替弁を周方向に所定角度回動させることができる。したがって、このような構成によれば、流路切替弁を回動させるための特別な動力を設けなくても、単に回転ロッドの回転方向を変えるだけで確実に流路切替弁を切り替えることができる。
【0028】
上記(5)記載の本発明によれば、上部吐出口および下部吐出口のそれぞれに対し、確実に固化材を送給することが可能になる。
【0029】
上記(6)記載の本発明によれば、フリーブレードは、ロッド軸方向(掘進・引上方向)に対し傾斜した斜面を有している。このような構成であれば、ロッドを回転させながら掘進させている間(又は引上げている間)、フリーブレードの斜面に土圧が作用して、該フリーブレードを逆回転方向に付勢することができる。その結果、攪拌翼とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、少なくとも、攪拌翼とフリーブレードとが同方向に回転することが防止される(周囲地盤の土質や、掘削土の性状等によっては、フリーブレードが攪拌翼に対し逆方向に回転することになる)。したがって、攪拌翼がフリーブレードに対し相対回転する関係が常に維持されるので、攪拌翼と掘削土の共回りが確実に防止され、固化材と掘削土とを確実かつ効率的に攪拌混合することが可能になる。
【0030】
上記(7)記載の本発明によれば、フリーブレードは、ロッド軸方向(掘進・引上方向)に対し傾斜した傾斜羽根を有している。このような構成であれば、ロッドを回転させながら掘進させている間(又は引上げている間)、傾斜羽根の斜面に土圧が作用して、フリーブレードを逆回転方向に付勢することができる。その結果、上記(6)記載の発明と同様に、攪拌翼と掘削土の共回りを確実に防止することができる。
【0031】
上記(8)記載の本発明によれば、フリーブレードは、ほぼ攪拌径の外周(攪拌翼先端の回転軌跡)に沿って張り出した回り止め部材を有している。この回り止め部材は、その側面が攪拌径外の周囲地盤の側壁(孔壁)と接するように位置決めしてあるので、攪拌混合時には側壁と回り止め部材との間に摩擦抵抗が作用する。したがって、回り止め部材には摩擦抵抗によるブレーキ効果が作用するので、掘削土の性状や挙動にかかわらず、フリーブレードを土砂中で静止した状態(非回転状態)に維持させることが可能になる。その結果、攪拌翼と掘削土の共回りをより確実に防止することが可能になる。
【0032】
上記(9)記載の本発明によれば、回り止め部材は略くの字状(山形形状)に張り出した状態でブレード本体に設けられている。このような形状であれば、上下がともに傾斜しているため、掘進時及び引抜時に回り止め部材に作用する抵抗を可及的に緩和することができる。その結果、攪拌混合装置の掘進及び引抜を阻害することなく、攪拌翼と掘削土の共回りを防止することが可能になる。
【0033】
上記(10)記載の本発明によれば、フリーブレードは、ロッド軸方向に対して傾斜したガイドブレードを有している。このガイドブレードは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ブレード本体の先端側に設けられている。このようなガイドブレードを設けることにより、施工時にはガイドブレードが攪拌径外の周囲地盤に食い込み、しかも、掘進過程及び引上過程では傾斜したガイドブレードに土圧(周囲地盤の土砂の抵抗)が作用することによって、フリーブレードを、ロッド回転方向とは逆方向に回転させることができる。したがって、攪拌混合プロセスにおいては、攪拌翼とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレードは常に逆回転状態(攪拌翼に対する逆回転状態)を維持する。その結果、単にフリーブレードを静止させる場合と比較して、攪拌翼と掘削土の共回りがより確実に防止されるとともに、固化材と掘削土とをより効率的に攪拌混合することが可能になる。
【0034】
上記(11)記載の本発明によれば、フリーブレードは、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーを有している。このガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ブレード本体の先端側に設けられている。このようなガイドローラーを延設することにより、施工時にはガイドローラーが攪拌径外の周囲地盤に食い込むため、攪拌翼とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレードは土砂中で静止した状態(非回転状態)に維持することになる。
しかも、ガイドローラーは回転自在に設けられており、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転するため、掘進時及び引抜時にフリーブレードに作用する貫入抵抗及び引抜抵抗を緩和することができる。従って、このようなガイドローラーを延設することにより、単にブレード本体の寸法を長くする場合と比較して掘進抵抗及び引抜抵抗が大幅に緩和され、効率的に施工することが可能になる。
【0035】
上記(12)記載の本発明によれば、フリーブレードは、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーを有している。このガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するようにブレード本体の先端側に設けられているとともに、ロッド軸方向に対して傾斜した状態で設けられている。このようなガイドローラーを延設することにより、施工時にはガイドローラーが攪拌径外の周囲地盤に食い込み、しかも、掘進過程及び引上過程では傾斜したガイドローラーに土圧(周囲地盤の土砂の抵抗)が作用することによって、フリーブレードを、ロッド回転方向とは逆回転の方向に回転させることができる。したがって、攪拌混合プロセスにおいては、攪拌翼とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレードは常に逆回転状態(攪拌翼に対する逆回転状態)を維持する。その結果、単にフリーブレードを静止させる場合と比較して、攪拌翼と掘削土の共回りがより確実に防止されるとともに、固化材と掘削土とをより効率的に攪拌混合することが可能になる。
しかも、ガイドローラーは回転自在に設けられており、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転するため、掘進時及び引抜時にフリーブレードに作用する貫入抵抗及び引抜抵抗を緩和することができる。また、掘進及び引抜において、フリーブレードを円滑に逆回転させることができる。
【0036】
上記(13)記載の本発明によれば、櫛歯状の攪拌爪を設けることにより、固化材と掘削土との攪拌効率を向上させることができる。
【0037】
上記(14)記載の本発明によれば、攪拌翼とフリーブレードとが同方向に回転することが防止される(場合によっては攪拌翼とフリーブレードがそれぞれ相対回転することになる)。したがって、本発明によれば、地盤性状や土質にかかわらず攪拌翼と掘削土の共回りが確実に防止され、固化材と掘削土とを確実に攪拌混合することが可能になる。
【0038】
上記(15)記載の本発明によれば、掘進工程では下部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合され、また、引抜工程では上部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合されることとなる。
このような方法であれば、掘進・引抜のいずれの工程でも吐出された固化材が攪拌翼によって常に攪拌混合されることとなるので、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができる。その結果、攪拌効率が向上するので、施工品質を落とすことなく、従来よりも短時間で施工を完了することが可能になり、施工コストを低減させることができる。
【0039】
上記(16)記載の本発明によれば、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができる。その結果、施工品質を落とすことなく、従来よりも短時間で施工を完了することが可能になり、施工コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、添付図面に基づいて本発明の具体的実施形態について詳細に説明する。
【0041】
(第1実施形態)
はじめに、図1乃至図5に基づいて、第1実施形態に係る攪拌混合装置について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る攪拌混合装置1を示す全体図である。
図2(A)は下側吐出状態にある攪拌混合装置1を示しており、図2(B)は上側吐出状態にある攪拌混合装置1を示している。
図3(A)は下吐出位置にある流路切換弁42を示しており、図3(B)は上吐出位置にある流路切換弁42を示しており、それぞれ図2(A)(B)に対応している。
図4は、回転ロッド11に回動自在に設けたフリーブレード61を示す斜視図であって、図4(A)は掘進時のフリーブレードの挙動を示しており、図4(B)は引き上げ時のフリーブレードの挙動を示している。なお、図4において攪拌爪32,73の図示は省略してある。
図5は、図4に示すフリーブレード61を示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【0042】
攪拌混合装置1は、施工時において回転させながら地中に掘進させる回転ロッド11を有している。回転ロッド11の内部には、後述する吐出口へ向けて固化材を送給するため流路13が形成されている。
【0043】
回転ロッド11の下端側には、180°間隔で水平方向に張り出した掘削翼21が設けられている。掘削翼21の下側には、地盤を掘削するための複数の掘削刃22が一体的に設けられている。この回転ロッド11は掘進時に掘削翼21の掘削刃22が掘削土中に食い込む向きに回転(正回転)させられる。このとき、攪拌翼21は掘削された土中に食い込むようになっている。
【0044】
掘削翼21の上方には、掘削土と固化材を攪拌混合するための攪拌翼31,41が設けられている。上下の攪拌翼31,41はそれぞれ、180°間隔で水平方向に張り出すように設けられている。また、下攪拌翼31には、後述するフリーブレード61の方向に突き出た櫛歯状の複数の攪拌爪32が一体的に形成されている。
【0045】
掘削翼21および下攪拌翼31は、回転ロッド11に対して固設されており、該回転ロッドと一体回転するようになっている。上攪拌翼41は、流路切替弁42を成す円筒状部材に対して固設されている。円筒状の流路切替弁42は、回転ロッド11を囲繞するように設けられており、所定角度の範囲内でロッド周方向に相対的に回動できるようになっている。
【0046】
施工時には、上攪拌翼41が受ける土砂の抵抗によって流路切替弁42が回動し、その結果、回転ロッド11の回転方向に応じて、流路切換弁42が「上吐出位置」と「下吐出位置」の2位置間で周方向にスライド(回動)する。なお、回動可能範囲内では、流路切替弁42は回転ロッド11に対し自在に回動するが、回動限度いっぱいまで変位すると、流路切替弁42は回転ロッド11と一体回転する。
【0047】
流路切替弁42の外壁側には、貫通孔を介して回転ロッド内の流路13に連通する上部吐出口51が設けられている(図2,図3参照)。また、下攪拌翼31の下方における回転ロッド先端側には、流路切替弁42に形成したバイパス通路43を介して流路13に連通する下部吐出口52が設けられている。なお、本発明において、回転ロッドの構成は特に限定されず、例えば、2つの流路を有するように構成された2重管で回転ロッドを構成し、一の経路が上部吐出口に接続され、他の経路が下部吐出口に接続されるようにしてもよい。
【0048】
流路切替弁42が図3(A)に示す「下吐出位置」にある状態では、図2(A)に示すように下部吐出口52に通ずる下流路15がバイパス通路43によって流路13に接続されるとともに、上部吐出口51を流路13から遮断する。一方、流路切替弁42が図3(B)に示す「上吐出位置」にある状態では、図2(B)に示すように貫通孔を介して上部吐出口51が流路13に接続されるとともに、下部吐出口52に通ずる下流路15を流路13から遮断する。施工時には、回転ロッド11の進退方向に応じて流路切替弁42を所定位置に変位させ、流路13を介して送給された固化材を上下の吐出口51,52のいずれか一方から吐出させる。
【0049】
上下の攪拌翼31,41の間には、図1に示すように回転ロッド11に遊嵌させたボス70が設けられている。ボス70は、回転ロッド11のリング状移動規制部材17,17によって上下方向の移動は規制されているが、ロッド外径よりやや大きい内径を有しているため自在に回転できる。このボス70には、水平方向に張り出したフリーブレード61(回転自在翼)が一体的に設けられている。
【0050】
フリーブレード61は、垂直翼から成るブレード本体71を有している。ブレード本体71の下側には、下攪拌翼31の方向に突き出た櫛歯状の複数の攪拌爪73が一体的に設けられている。
【0051】
フリーブレード61の攪拌爪73は、回転する下攪拌翼31の攪拌爪32に対して干渉,接触することはなく、下攪拌翼31及びフリーブレード61の一方の攪拌爪が、他方の攪拌爪間の間隙(或いは攪拌爪の真横)を通過できるようになっている(図1参照)。このような構成により、攪拌混合作業において、掘削土に対し固化材を確実に分散させることができ、その結果、全体にわたって均一な改良体を得ることが可能になる。
【0052】
なお、本実施形態において、攪拌爪は、下攪拌翼31の上側及びフリーブレード61の下側だけに設けられているが、このような攪拌爪を上下の攪拌翼31,41及びフリーブレード61の上下両側及び表裏両面に設けてもよい。また、併せてロッド下端の掘削翼21の上側に攪拌爪を複数設けるようにしてもよい。
【0053】
フリーブレード61のブレード本体71は、攪拌翼31,41の攪拌径(攪拌翼先端の回転軌跡)を超える寸法に設計されている。施工時にはブレード本体71の先端部分が攪拌径の外側の土中に食い込むため、攪拌翼31,41が回転ロッド11とともに回転しても、フリーブレード61は掘削土内で回転ロッドに対して相対的に回転が静止したような状態になる(図5参照)。そのため、掘削土が攪拌翼31,41に団子状に付着して、掘削土が攪拌翼31,41と同期回転する、いわゆる「共回り現象」を防止することができるようになっている。
【0054】
しかし、掘削土の粘着力が相対的に大きい場合などには、掘削土が攪拌翼31,41に団子状に付着してフリーブレード61ごと回転してしまうことがあり、このためフリーブレードがその機能を全く果たせなくなって「共回り現象」が発生することがある。このような共回り現象が発生すると、改良体の品質を確保できないために何らかの補修や補強が必要になる。
【0055】
そこで本発明では「共回り現象」を確実に防止する観点から、フリーブレード61に、ロッド軸方向に対し傾斜した斜面を有する傾斜羽根74が一体形成してある(図4,図5参照)。この傾斜羽根74の下側及び上側斜面(すなわち傾斜羽根の裏側と表側)にはそれぞれ、攪拌混合装置の掘進時及び引上時に土圧が作用するため、攪拌翼31,41とは逆回転方向にフリーブレード61を付勢することができる。その結果、少なくとも、攪拌翼31,41とフリーブレード61とが一体回転することが防止される(地盤性状や掘削土の土質によってはフリーブレード61が攪拌翼31,41に対し逆方向に回転することになる)。
【0056】
なお、図4に示す例では、傾斜羽根74はブレード本体71の上端側に設けられているが、このような傾斜羽根をフリーブレード61の下端側に設けるようにしてもよい。或いは、このような傾斜羽根を図6に示すように、フリーブレード61の上下両側に設けるようにしてもよい。図6(A)はフリーブレードの変形例を示す斜視図であり、図6(B)は図6(A)のフリーブレードを矢印A方向から見た様子を示す側面図である(攪拌爪の図示を省略)。
【0057】
上述した第1実施形態に係る攪拌混合装置によれば、攪拌翼の上下に吐出口が設けられており、回転ロッド11の掘進過程では下部吐出口52から固化材(セメントミルク等の固化材スラリー)が吐出されるようになっており、他方、回転ロッド11の引抜過程では上部吐出口51から固化材が吐出されるようになっている。したがって、掘進工程では下部吐出口52に追随する上攪拌翼41によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合されることとなる。また、引抜工程では上部吐出口51に追随する下攪拌翼31によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合されることとなる。
このような構成であれば、掘進・引抜のいずれの工程でも吐出された固化材が攪拌翼によって常に攪拌混合されることとなるので、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができる。その結果、攪拌効率が向上するので、施工品質を落とすことなく、従来よりも短時間で施工を完了することが可能になり、施工コストを低減させることができる。
【0058】
また、上述した攪拌混合装置によれば、ロッドを回転させながら掘進させている間(又は引上げている間)、フリーブレード61の傾斜羽根74に土圧が作用して、該フリーブレードを逆回転方向に付勢することができる。その結果、攪拌翼31,41とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、少なくとも、攪拌翼31,41とフリーブレード61とが一体回転することが防止される(周囲地盤の土質や、掘削土の性状等によっては、フリーブレードが攪拌翼に対し逆方向に回転することになる)。したがって、攪拌翼31,41がフリーブレード61に対し相対回転する関係が常に維持されるので、攪拌翼と掘削土の共回りが確実に防止され、固化材と掘削土とを確実かつ効率的に攪拌混合することが可能になる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図7乃至図9に基づいて、第2実施形態に係る攪拌混合装置について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る攪拌混合装置を示している。
図8(A)は図7の攪拌混合装置が有するフリーブレード62を示す斜視図であり、図8(B)は図8(A)のフリーブレードを矢印B方向から見た様子を示す側面図である(攪拌爪の図示を省略)。
図9は、図8に示すフリーブレード62を示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【0060】
第2実施形態に係る攪拌混合装置は、上記第1実施形態におけるフリーブレード61とは構成の異なるフリーブレード62を有している。フリーブレード以外の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0061】
フリーブレード62は、第1実施形態のフリーブレード61と同様に回転ロッド11に対し回転自在に設けられている。このフリーブレードは、回転ロッド11の径方向に延出するブレード本体(垂直翼)71と、攪拌混合時におけるフリーブレード62の回転を防止するための回り止め部材77とを有している。
【0062】
2枚のブレード本体71は180°間隔でボス70に対し固設されている。各ブレード本体は、攪拌翼31,41の攪拌径を超える長さに形成されており、施工時にはその先端側の一部が攪拌径の外側の地盤に食い込むようになっている(図9参照)。
【0063】
回り止め部材77は、図8及び図9に示すように、ほぼ攪拌径の外周に沿って略「く」の字状に張り出した状態でブレード本体71に固設されている。この回り止め部材77は、各ブレード本体71の両面にそれぞれ設けられ、本実施形態では合計で4つの回り止め部材が設けられている。
【0064】
上述した第2実施形態に係る攪拌混合装置によれば、回り止め部材77は、その側面が攪拌径外の周囲地盤の側壁(孔壁)と接するようになっているので(図9参照)、攪拌混合時において側壁と回り止め部材との間には摩擦抵抗が作用する。したがって、回り止め部材77には摩擦抵抗によるブレーキ効果が作用するので、掘削土の性状や挙動にかかわらず、フリーブレード62を土砂中で静止した状態(非回転状態)に維持させることが可能になる。その結果、攪拌翼と掘削土の共回りをより確実に防止することが可能になる。
【0065】
また、上述した攪拌混合装置によれば、回り止め部材77は略くの字状(山形形状)に張り出した状態でブレード本体71に設けられている。このような形状であれば、上下がともに傾斜しているため(図8(B)参照)、掘進時及び引抜時に回り止め部材に作用する抵抗を可及的に緩和することができる。その結果、攪拌混合装置の掘進及び引抜を阻害することなく、攪拌翼と掘削土の共回りを防止することが可能になる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、図10及び図11に基づいて、第3実施形態に係る攪拌混合装置について説明する。
図10(A)は、第3実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレード63を示す斜視図であり、図10(B)は図10(A)のフリーブレードを矢印C方向から見た様子を示す側面図である(攪拌爪の図示を省略)。
図11は、図10に示すフリーブレード63を示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【0067】
第3実施形態に係る攪拌混合装置は、上記第1実施形態のフリーブレード61とは構成の異なるフリーブレード63を有している。フリーブレード以外の構成は、第1実施形態と同じであるので、図示及び説明を省略する。
【0068】
フリーブレード63は、第1実施形態のフリーブレード61と同様に回転ロッド11に対し回転自在に設けられている。このフリーブレード63は、回転ロッド11の径方向に延出するブレード本体(垂直翼)72と、攪拌混合時にロッド回転方向とは逆回転の方向にフリーブレード63をガイドするためのガイドブレード81とを有している。
【0069】
2枚のブレード本体72は180°間隔でボス70に対し固設され、回転ロッド11の径方向に延出している。各ブレード本体72は上下の攪拌翼31,41よりやや短く形成されている。
【0070】
ガイドブレード81は、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、鍔状のベースプレート85を介して各ブレード本体の先端側に固設されている。各ガイドブレード81は、ロッド軸方向に対して同角度傾斜した状態で延設されている(図10(B)参照)。
【0071】
上述した第3実施形態に係る攪拌混合装置によれば、施工時にはガイドブレード81が攪拌径外の周囲地盤に食い込み(図11参照)、しかも、掘進過程及び引上過程では傾斜したガイドブレードの側面に土圧(周囲地盤の土砂の抵抗)が作用することによって、フリーブレード63を、ロッド回転方向とは逆方向に回転させることができる。したがって、攪拌混合プロセスにおいては、攪拌翼とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレード63は常に逆回転状態(攪拌翼に対する逆回転状態)を維持する。その結果、単にフリーブレードを静止(回転防止)させる場合と比較して、攪拌翼と掘削土の共回りがより確実に防止されるとともに、固化材と掘削土とをより効率的に攪拌混合することが可能になる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、図12及び図13に基づいて、第4実施形態に係る攪拌混合装置について説明する。
図12(A)は、第4実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレード64を示す斜視図であり、図12(B)は図12(A)のフリーブレードを矢印D方向から見た様子を示す側面図である(攪拌爪の図示を省略)。
図13は、図12に示すフリーブレード64を示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【0073】
第4実施形態に係る攪拌混合装置は、上記第1実施形態のフリーブレード61とは構成の異なるフリーブレード64を有している。フリーブレード以外の構成は、第1実施形態と同じであるので、図示及び説明を省略する。
【0074】
フリーブレード64は、第1実施形態のフリーブレード61と同様に回転ロッド11に対し回転自在に設けられている。このフリーブレード64は、回転ロッド11の径方向に延出するブレード本体(垂直翼)72と、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラー83とを有している。
【0075】
2枚のブレード本体72は180°間隔でボス70に対し固設され、回転ロッド11の径方向に延出している。各ブレード本体72は上下の攪拌翼31,41よりやや短く形成されている。
【0076】
ガイドローラー83は、攪拌翼31,41の攪拌径を超えて延出するように、鍔状のベースプレート85を介して各ブレード本体の先端側で回転自在に軸支されている。各ガイドローラー85は、ロッド軸方向と平行な状態で、延設されたブラケット87によって軸支されている。
【0077】
上述した第4実施形態に係る攪拌混合装置によれば、施工時にはガイドローラー83が攪拌径外の周囲地盤に食い込むため(図13参照)、攪拌翼31,41とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレード64は土砂中で静止した状態(非回転状態)に維持することになる。
しかも、ガイドローラー83は回転自在に設けられており、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転するため、掘進時及び引抜時にフリーブレードに作用する貫入抵抗及び引抜抵抗を緩和することができる。従って、このようなガイドローラーを延設することにより、単にブレード本体の寸法を長くする場合と比較して掘進抵抗及び引抜抵抗が大幅に緩和され、効率的に施工することが可能になる。
【0078】
(第5実施形態)
次に、図14及び図15に基づいて、第5実施形態に係る攪拌混合装置について説明する。
図14(A)は、第5実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレード65を示す斜視図であり、図14(B)は図14(A)のフリーブレードを矢印E方向から見た様子を示す側面図である(攪拌爪の図示を省略)。
図15は、図14に示すフリーブレード65を示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【0079】
第5実施形態に係る攪拌混合装置は、上記第1実施形態のフリーブレード61とは構成の異なるフリーブレード65を有している。フリーブレード以外の構成は、第1実施形態と同じであるので、図示及び説明を省略する。
【0080】
フリーブレード65は、第1実施形態のフリーブレード61と同様に回転ロッド11に対し回転自在に設けられている。このフリーブレード65は、回転ロッド11の径方向に延出するブレード本体(垂直翼)72と、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラー83とを有している。
【0081】
2枚のブレード本体72は180°間隔でボス70に対し固設され、回転ロッド11の径方向に延出している。各ブレード本体72は上下の攪拌翼31,41よりやや短く形成されている。
【0082】
ガイドローラー83は、攪拌翼31,41の攪拌径を超えて延出するように、鍔状のベースプレート85を介して各ブレード本体の先端側で回転自在に軸支されている。各ガイドローラー83は、ロッド軸方向に対して同角度傾斜した状態で、延設されたブラケット87によって軸支されている。
【0083】
上述した第5実施形態に係る攪拌混合装置によれば、施工時にはガイドローラー83が攪拌径外の周囲地盤に食い込み(図15参照)、しかも、掘進過程及び引上過程では傾斜したガイドローラーに土圧(周囲地盤の土砂の抵抗)が作用することによって、フリーブレードを、ロッド回転方向とは逆回転の方向に回転させることができる。したがって、攪拌混合プロセスにおいては、攪拌翼31,41とともに回動しようとする掘削土の影響を受けても、フリーブレード65は常に逆回転状態(攪拌翼に対する逆回転状態)を維持する。その結果、単にフリーブレードを静止(回転防止)させる場合と比較して、攪拌翼と掘削土の共回りがより確実に防止されるとともに、固化材と掘削土とをより効率的に攪拌混合することが可能になる。
しかも、ガイドローラー83は回転自在に設けられており、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転するため、掘進時及び引抜時にフリーブレード65に作用する貫入抵抗及び引抜抵抗を緩和することができる。また、掘進及び引抜において、フリーブレード65を円滑に逆回転させることができる。
【0084】
(地盤改良工法の施工手順)
次に、図16に基づいて、図1に示す攪拌混合装置1を用いた地盤改良工法の施工手順について説明する。
【0085】
まず、攪拌混合装置1を図示しないベースマシンに回転掘進可能に設け、地盤改良工事が必要な場所に位置決めする(図16(a))。次いで、モータを介して回転ロッド11を正回転させながら、攪拌混合装置1の先端側を地盤に向けて押し込む。そして、掘削翼21によって地盤を掘削するとともに、掘削した土砂を攪拌翼31,41と共同して攪拌し、地盤を空掘りする(図16(b))。
【0086】
そして、攪拌混合装置1の先端が設定深さ位置に到達したならば、ポンプを介して、スラリー状の固化材(セメントミルク等)を回転ロッド11の流路13に圧送し始める。このとき、円筒状の流路切替弁42は、図2(A)及び図3(A)に示す「下吐出位置」にある。したがって、流路13内を流れる固化材は、流路切替弁42のバイパス通路43を通って、ロッド先端の下部吐出口52から吐出する(上部吐出口51からは吐出しない)。
【0087】
そして、固化材を圧送するとともに、回転ロッド11を正回転させたまま掘進させ続けることにより、攪拌翼31,41によって掘削土と固化材を混合攪拌する(図16(c))。掘進の過程では、攪拌翼31,41が下部吐出口52に追随する位置関係にあるため、先行する下部吐出口52から吐出された固化材は攪拌翼31,41によって掘削土対し攪拌混合される。
【0088】
なお、図16(c)の掘進工程では攪拌翼31,41は正回転しているが、フリーブレード61の傾斜羽根74の下側斜面には土圧(土砂の抵抗)が作用して、該フリーブレードを逆回転方向に付勢する(図4(A)参照)。その結果、攪拌径外の周囲地盤が極端に緩くても、少なくとも、攪拌翼31,41とフリーブレード61とが同方向に回転することが防止される(傾斜角度や地盤の緩さによってはフリーブレード61が攪拌翼31,41に対し逆方向に回転することになる)。
【0089】
上述した掘削土と固化材との混合攪拌作業が、設定された任意の深さ位置まで行われたならば、固化材の圧送を停止し、必要に応じて定着攪拌を行う(図16(d))。続いて、回転ロッド11を逆回転させる。このとき、上攪拌翼41が土砂の抵抗を受けるため、円筒状の流路切替弁42がロッド外周面に沿って「下吐出位置」から「上吐出位置」へ回動する。その結果、図2(B)及び図3(B)に示すように、回転ロッドの流路13に上部吐出口51が接続され、反対に、下部吐出口52に通ずる下流路15が流路13から遮断される。
【0090】
そして、回転ロッド11の逆回転によって流路切替弁42を限界まで回動させて、吐出口の切替が完了したらならば、再びポンプを作動させて、固化材を回転ロッドの流路13に圧送する。これにより、流路13内を流れる固化材は上部吐出口51から吐出する(下部吐出口52からは吐出しない)。
【0091】
そして、固化材を圧送するとともに、回転ロッド11を逆回転させたまま引き上げることにより、攪拌翼31,41によって土砂と固化材を混合攪拌する(図16(e))。引き上げの過程では、攪拌翼31,41が上部吐出口51に追随する位置関係にあるため、先行する上部吐出口51から吐出された固化材は攪拌翼31,41によって掘削土対し攪拌混合される。このとき、攪拌翼31,41は逆回転しているが、フリーブレード61の傾斜羽根74の上側斜面には土圧(土砂の抵抗)が作用して、該フリーブレードを正回転方向に付勢する(図4(B)参照)。
【0092】
そして、最後に攪拌混合装置を引き揚げれば、地中に土砂と固化材とが混合した円柱体を造成することができる(図16(f))。このような一連の作業が場所を変えて順次必要本数行われる。そして、改良工事が終了して一定時間が経過すれば、土砂と固化材との混合体が固化して成る略コラム状の改良体が形成される。
【0093】
上述したように本発明によれば、掘進工程では下部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合され、また、引抜工程では上部吐出口に追随する攪拌翼によって、吐出された固化材と掘削土とが攪拌混合される。したがって、掘進・引抜のいずれの工程でも吐出された固化材が攪拌翼によって常に攪拌混合されることとなるので、従来のように掘進工程と引抜工程を2サイクル繰り返さなくても、1サイクルで固化材と掘削土を十分に攪拌混合することができる。その結果、施工品質を落とすことなく、従来よりも短時間で施工を完了することが可能になり、施工コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態に係る攪拌混合装置を示す全体図である。
【図2】図2(A)は下側吐出状態にある攪拌混合装置を示しており、図2(B)は上側吐出状態にある攪拌混合装置を示している。
【図3】図3(A)は下吐出位置にある流路切換弁を示しており、図3(B)は上吐出位置にある流路切換弁を示しており、それぞれ図2(A)(B)に対応している。
【図4】回転ロッドに回動自在に設けたフリーブレードを示す斜視図である。
【図5】図4に示すフリーブレードを示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【図6】図6(A)は図4に示すフリーブレードの変形例を示す斜視図であり、図6(B)は図6(A)のフリーブレードを矢印A方向から見た様子を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る攪拌混合装置を示している。
【図8】図8(A)は図7の攪拌混合装置が有するフリーブレードを示す斜視図であり、図8(B)は図8(A)のフリーブレードを矢印B方向から見た様子を示す側面図である。
【図9】図8に示すフリーブレードを示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【図10】図10(A)は、第3実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレードを示す斜視図であり、図10(B)は図10(A)のフリーブレードを矢印C方向から見た様子を示す側面図である。
【図11】図10に示すフリーブレードを示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【図12】図12(A)は、第4実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレードを示す斜視図であり、図12(B)は図12(A)のフリーブレードを矢印D方向から見た様子を示す側面図である。
【図13】図12に示すフリーブレードを示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【図14】図14(A)は、第5実施形態に係る攪拌混合装置が有するフリーブレードを示す斜視図であり、図14(B)は図14(A)のフリーブレードを矢印E方向から見た様子を示す側面図である。
【図15】図15は、図14に示すフリーブレードを示す上面図であって、施工時における攪拌径とフリーブレードとの位置関係を示している。
【図16】本発明の地盤改良工法の施工手順を示す図である。
【図17】従来の地盤改良工法の施工手順を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 攪拌混合装置
11 回転ロッド
13 流路
15 下流路
17 リング状移動規制部材
21 掘削翼
22 掘削刃
31 下攪拌翼
32 攪拌爪
41 上攪拌翼
42 円筒状の流路切替弁(流路切替手段)
43 バイパス通路
51 上部吐出口
52 下部吐出口
61 フリーブレード(回転自在翼)
62 フリーブレード(回転自在翼)
63 フリーブレード(回転自在翼)
64 フリーブレード(回転自在翼)
65 フリーブレード(回転自在翼)
70 ボス
71 ブレード本体(垂直翼)
72 ブレード本体(垂直翼)
73 攪拌爪
74 傾斜羽根
75 ブレード本体
77 回り止め部材
81 ガイドブレード
83 ガイドローラー
85 ベースプレート
87 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤条件の悪い敷地に家屋を建築するに際し用いられ、掘削刃と攪拌翼を有する回転ロッドから固化材を吐出しつつ、該回転ロッドを回転させて掘削土と固化材を攪拌混合し、地中に略コラム状の改良体を造成する攪拌混合装置において、
固化材を送給するため流路を有する回転ロッドと、
前記回転ロッドの下端側に設けられた掘削刃と、
掘削土と固化材を攪拌混合するための攪拌翼と、
前記攪拌翼の上方に設けられ、前記回転ロッドの流路に連通する上部吐出口と、
前記攪拌翼の下方に設けられ、前記回転ロッドの流路に連通する下部吐出口と、を有しており、
掘進工程で前記下部吐出口から固化材を吐出させ、引抜工程で前記上部吐出口から固化材を吐出させるように構成されていることを特徴とする攪拌混合装置。
【請求項2】
前記流路と前記上部吐出口の間、または前記流路と前記下部吐出口の間を選択的に遮断可能に構成され、回転ロッドの進退方向に応じて、前記流路を介して送給された固化材を前記上部及び下部吐出口のいずれか一方から吐出させるための切替手段を有していることを特徴とする請求項1記載の攪拌混合装置。
【請求項3】
前記切替手段は、回転ロッドに対し2位置間で変位可能に設けられた流路切替弁から成り、該流路切替弁は、前記流路に対し前記上部吐出口を連通させるとともに前記下部吐出口を遮断する上吐出位置と、前記流路に対し前記上部吐出口を遮断するとともにを前記下部吐出口を連通させる下吐出位置との間で変位可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載の攪拌混合装置。
【請求項4】
前記流路切替弁は、前記回転ロッドに対し2位置間で回動可能に設けられた略円筒状部材から成り、攪拌翼を一体的に有していることを特徴とする請求項3記載の攪拌混合装置。
【請求項5】
前記回転ロッドは、固化材を送給可能な独立した2つの流路を有するように構成された2重管を含んでおり、一の経路が前記上部吐出口に接続され、他の経路が前記下部吐出口に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項6】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードはロッド軸方向に対し傾斜した斜面を有しており、
掘進過程および引上過程で前記フリーブレードの斜面に土圧が作用することによって、該フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項7】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、該ブレード本体の上端側及び/又は下端側に設けられロッド軸方向に対し傾斜した傾斜羽根とを有しており、
掘進過程及び引上過程で前記傾斜羽根に土圧が作用することによって、前記フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項8】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出し攪拌翼の攪拌径を超える長さに形成されたブレード本体と、攪拌混合時におけるフリーブレードの回転を防止するための回り止め部材とを有しており、
前記回り止め部材は、その側面が攪拌径外の周囲地盤の側壁と接するように、ほぼ攪拌径の外周に沿って張り出した状態で前記ブレード本体に設けられており、
掘進過程及び引上過程で前記回り止め部材に土砂の抵抗が作用することによって、フリーブレードの回転が防止されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項9】
前記回り止め部材は、略くの字状に張り出した状態で前記ブレード本体に固設されていることを特徴とする請求項8記載の攪拌混合装置。
【請求項10】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合時にロッド回転方向とは逆回転の方向に該フリーブレードをガイドするためのガイドブレードとを有しており、
前記ガイドブレードは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ロッド軸方向に対して傾斜した状態で前記ブレード本体の先端側に設けられており、
掘進過程及び引上過程で攪拌径外側のガイドブレードに土圧が作用することによって、フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項11】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーとを有しており、
前記ガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、前記ブレード本体の先端側に回転自在に設けられており、
掘進過程及び引上過程において、攪拌径外側の地盤に前記ガイドローラーが食い込むことによって前記フリーブレードの回転が防止されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項12】
攪拌混合装置は、前記回転ロッドに対し回転自在に設けられたフリーブレードを有しており、
前記フリーブレードは、回転ロッドの径方向に延出するブレード本体と、攪拌混合時にロッド回転方向とは逆回転の方向に該フリーブレードをガイドするとともに攪拌混合装置の掘進及び引抜に伴って回転可能なガイドローラーとを有しており、
前記ガイドローラーは、攪拌翼の攪拌径を超えて延出するように、ロッド軸方向に対して傾斜した状態で前記ブレード本体の先端側に回転自在に設けられており、
掘進過程及び引上過程において、攪拌径外側の地盤に食い込んだ前記ガイドローラーに土圧が作用することによって、前記フリーブレードが、ロッド回転方向とは逆回転の方向に付勢されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項13】
前記攪拌翼及び前記フリーブレードはそれぞれ櫛歯状の複数の攪拌爪を有していることを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載の攪拌混合装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の装置を用いた住宅地盤用の地盤改良工法において、
攪拌混合装置の下部吐出口から固化材を吐出させるとともに、該下部吐出口に攪拌翼が追随するように攪拌混合装置を掘進させる工程と、
攪拌混合装置の上部吐出口から固化材を吐出させるとともに、該上部吐出口に攪拌翼が追随するように攪拌混合装置を引き上げる工程と、含むことを特徴とする地盤改良工法。
【請求項15】
請求項6乃至13のいずれかに記載の装置を用いた住宅地盤用の地盤改良工法において、
フリーブレードが付勢される回転方向とは逆回転の方向に回転ロッドを回転させながら、攪拌混合装置を掘進させ又は引き上げることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項16】
上記掘進工程と上記引上工程とを1ステップずつ含む1サイクルで、1の改良体の構築を完了させることを特徴とする請求項14記載の地盤改良工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−327281(P2007−327281A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160305(P2006−160305)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(391064418)株式会社クロサワジオメック (4)
【出願人】(506197554)
【Fターム(参考)】